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特許拒絶査定不服審判

2024-015907

マルチコアファイバ及びファンアウト組立体

審判番号
2024-015907
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-520399外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年10月03日
審決日
2026年01月22日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-520399「マルチコアファイバ及びファンアウト組立体」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日国際公開、WO2021/067880、令和 4年12月14日国内公表、特表2022-551839〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2020年(令和2年)10月2日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年10月2日、米国、2019年11月5日、米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和4年 5月30日 :翻訳文の提出 令和5年 7月31日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年 6月 4日 :原査定の謄本の送達) 同年10月 3日 :審判請求書の提出 以下、2019年(令和元年)10月2日を「最先の優先日」という。 2 本願発明について (1) 本願発明の認定 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年2月2日に提出された手続補正書による補正(以下「令和6年2月2日の補正」という。)により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものであると認める。ただし、令和6年2月2日の補正により、請求項1の記載における末尾の「光ファイバアセンブリ」という語を請求項2などと同じ「光ファイバ組立体」に補正されたが、もう一つ存在した「光ファイバアセンブリ」という語は補正されずにそのままの記載とされたところ、当該補正の趣旨を考慮し、「光ファイバアセンブリ」という用語は「光ファイバ組立体」と同義であるとして解釈する。 <本願発明> 「【請求項1】 マルチコアファイバ(MCF)と、 コンバイナと、 光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、 不整合と を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリであって、 前記マルチコアファイバ(MCF)は、 MCF NA値と、 MCFコア直径と、 MCF外径(OD)とを含み、 前記コンバイナは、 前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、 ピグテール部分とを含み、 前記ピグテール部分は ピグテールNA値と、 ピグテールコア直径とを含み、 前記光ファイバは、 光ファイバNA値と、 光ファイバのコア径とを含み、 接合損失の少なくとも2dBを占める不整合であって、前記不整合は、 光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、 光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、 からなるグループのうちの選択された1つである、光ファイバ組立体。」 (2) 本願発明の分説 検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】を掲載する。 <本願明の分説> <構成X> マルチコアファイバ(MCF)と、 コンバイナと、 光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、 不整合と を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリであって、 <構成A> 前記マルチコアファイバ(MCF)は、 MCF NA値と、 MCFコア直径と、 MCF外径(OD)とを含み、 <構成B> 前記コンバイナは、 前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、 ピグテール部分とを含み、 <構成C> 前記ピグテール部分は ピグテールNA値と、 ピグテールコア直径とを含み、 <構成D> 前記光ファイバは、 光ファイバNA値と、 光ファイバのコア径とを含み、 <構成E> 接合損失の少なくとも2dBを占める不整合であって、前記不整合は、 光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、 光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、 からなるグループのうちの選択された1つである <構成X> 光ファイバ組立体。 <参考図> 【図1】 [図:0001436748000001.jpg] (3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、図を明細書の対応する記載箇所に挿入して示した。 ア 技術分野、背景技術、発明が解決しようとする課題(【0001】~【0006】) 「【技術分野】 【0001】 …(中略)… 【0002】 本明細書には、光源からのマルチモード(MM)信号を、特に、マルチコアファイバ(MCF)スパンおよび光源からのMM信号を伝播するための入出力(I/O)コンバイナ(ファンイン(Fan-in)および/またはファンアウト(Fan-out))組立体、例えば垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)送信器に伝播するためのシステム、方法、および製品が記載される。 (合議体注 【0002】の記載には翻訳の不備があり、意味が取れないので、当合議体により作成した翻訳を示す。 「本明細書において記載されるのは、光源からマルチモード(MM)信号を伝送するためのシステム、方法及び製造品であり、より具体的には、マルチコアファイバ(MCF)スパン及び入出力(I/O)コンバイナ(ファンイン及び/又はファンアウト)アセンブリに対して、垂直共振器形面発光レーザ(VCSEL)送信機などの光源からMM信号を伝送するためのものである。」) 【背景技術】 【0003】 ファイバレーザは高出力光応用にしばしば用いられる。これらの用途では、テーパファイババンドル(TFB)光カプラが、様々な光源からの複数の光入力を単一の光出力ポートに結合するためにしばしば使用される。より具体的には、TFBは、典型的には、複数のレーザの出力パワーをマルチモード光ファイバに結合して、これらの高パワー光応用においてファイバレーザおよび増幅器をポンピングする目的で使用される。 【0004】 ほとんどの光ファイバは、通常ファイバ軸上に位置する単一のファイバコアを有するが、複数のコアを含む特殊ファイバもある。マルチコアファイバ(MCF)と呼ばれるこのようなファイバは、複数の光信号を単一のファイバによって並列に搬送することを可能にすることによって、現在の光ファイバシステムの通信信号伝送容量を大幅に増加させる可能性を有する。MCFは、シングルコアファイバと同等またはそれに近い直径を有するように開発されている。しかしながら、マルチモードファイバのコア径は大きく(例:50um)、光ファイバの外ガラス径は曲げの信頼性(例:<200um)によって制限されるため、MCFのコア径は、市販のシングルコアマルチモードファイバのコア径よりも小さいことが好ましい。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、当該技術分野におけるニーズに対処し、MCFおよびコンバイナ(または「ファンアウト」)組立体を利用して、VCSEL送信器などの光源からMM信号を伝搬することを目的とする。本明細書に記載される一実施形態によれば、マルチコアファイバ内のコアのNAは、コンバイナの入射ファイバのNAより大きくてもよい。入射ファイバは、TFBピグテールと接続されるか、または「接続される」ファイバとして定義され得る。従って、例示的な入射ファイバは、TFBピグテールのコアNAに嵌合し、充填不足にすることができる。 【0006】 あるいは、MCF内のコアのNAは、コンバイナ入射ファイバ内のコアのNAとほぼ等しくできる。本明細書に記載される例示的な実施形態は、ファイバNAと先細り要因とのバランスをとって、どこで輝度損失が発生するかを制御することができ、それによって、クロストークを最小限に抑えるように迷光を除去することができる。」 イ 課題を解決するための手段(【0007】) 「【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明の複数の実施形態によれば、光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバ組立体のような、光源からのMM信号を伝搬するように構成された、例示的なシステムおよび製品が本明細書に記載されており、光ファイバ組立体は、ファイバ開口数(NA)値と、第1のコア直径および第1の外径(OD)を有するマルチコアファイバ(MCF)と、MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、光源と通信する少なくとも1つのピグテール部分とを含むコンバイナとを含み、コンバイナは、光源からのMM信号を伝搬し、MM信号が少なくとも1つのピグテール部分を満たすように、ファイバNA値より小さい信号NA値を有するMM信号を伝搬する。」 ウ 発明を実施するための形態(【0012】~【0042】、【図1】、【図4】、【図7】、【図9】) 「【発明を実施するための形態】 【0012】 本明細書に記載される1つ以上の例示的な実施形態による用語 MCF:マルチコアファイバ MM:マルチモード VCSEL:垂直共振器型面発光レーザ TFB:テーパファイババンドル テーパ比:TFBがMCFからピグテールに向かって漸減する係数 NA値:開口数 ファイバNA値:MCF内のいずれかのコアのNA 信号NA値:MCF内の光のNA ピグテールNA値:TFBピグテールのコアのNA TFB NA値:ピグテールNA値とTFBのテーパ比との積 リボンNA値:リボンファイバアレイのコアのNA 入射NA値:入射ファイバのコアのNA 【0013】 本発明は、VCSEL送信器、または単に「VCSEL」のような光源からMM信号を伝搬するためのMCFおよびファンアウト組立体に関する。上述したように、MCFにおけるコア直径は、市販のシングルコアマルチモードファイバにおける直径よりも小さいことが好ましい。MCF内のコアNAは、明るさを維持するために、より大きな直径のコアよりも高くする必要があり、ここで、明るさは、直径とNAの積として理解され得る。多くのTFB組立体では、コア直径は、入力ピグテールから出口に向かって先細りし、それによって、断熱テーパでNAを増加させ得る。 【0014】 当業者であれば、VCSELは、半導体レーザ、より具体的には、モノリシックなレーザ共振器を有するレーザダイオードとして説明することができ、放射光は、チップ表面などの上面に垂直な方向に送信器から出射することが理解されるであろう。これは、ウエハから個々のチップを切断することによって形成された表面から発光する従来のエッジ発光半導体レーザとは反対である。VCSELは、典型的には、かなり小さいモード領域(例えば、直径が数ミクロン程度)に対してのみ高いビーム品質を有し、したがって、出力パワーに関して制限される。 【0015】 より大きなモード領域では、高次横モードの励起は避けられない。これは、共振器の長さがわずか数ミクロンという非常に短いことの結果である。短い共振器往復時間により、VCSELはギガヘルツ(GHz)範囲の周波数で良好に変調され得る。したがって、VCSELは、光ファイバ通信用および自由空間光通信用の送信器として有用であり得る。短距離通信では、850nmのVCSELがMMファイバと組み合わせて使用され、10Gbit/sのデータレートが数百メートルの距離にわたって到達され得る。 【0016】 本発明の一実施形態によれば、複数のVCSEL (例:8個のVCSEL)があってもよく、それぞれがNA<0.28および9μmモードフィールド直径(MFD)を有する。例示的なMM VCSELは、活性層の上のわずかな距離に開口を含むことができる。この例示的なMM VCSELのMFDは、活性層(例えば、約10um)上の開口または窓の直径として記載され得る。発散は上部と下部の反射器の間に支持された横モードから発生する。複数のVCSELの各々は、50μm、0.2NAコアを有する複数のファイバに任意に結合されてもよく、複数のファイバは、リボン状ファイバアレイに組み立てられてもよい。この実施形態は、一端で複数のVCSELに接続し、他端でMM MCF(例えば、8つのコアファイバ)に接合するファンアウトコンポーネントをさらに含むことができる。 以下にさらに詳細に説明するように、ファンアウトコンポーネントは、任意選択的に、リボン状MMファイバアレイ、すなわち、光源とピグテール部分との間の「ファイバリボン」接続を介して達成することができる。例示的なファイバリボンは、円形または「巻取り可能なリボン」構成、線形リボン構成などのような、しかしこれらに限定されない任意の構成を特徴とすることができる。さらに、例示的なファイバリボンアレイは、マルチファイバコネクタ、マルチファイバプッシュオンコネクタ、拡張ビームマルチファイバコネクタ、レンズ付きマルチファイバ相互接続などで終端することができる。 【0017】 MCFファイバの外側ODの制約により、ファンアウトの入力と出力の間に(例えば、コア直径とNAの積にほぼ等しい)輝度の不整合が存在する可能性がある。この不整合は、光がMCFのコアから迷光として結合されるため、光信号の減衰を引き起こす可能性がある。1つのコアからの迷光は、他のコアに結合する可能性があり、その結果、信号クロストークが発生し、リンク性能に大きな悪影響を及ぼす可能性がある。従って、コアによって捕捉される迷光の量を最小にしながら、MCF入力に入射される送信器(例:VCSEL)からの信号のモード内容を管理するための設計が必要とされる。同様に、MCF出力は、出力ファンアウトに結合されてもよく、これは、望ましくないクロストークをもたらす別のソースとなり得る。 【0018】 NA、OD、コア直径など(しかし、これらに限定されない)のような1つまたは複数の異なる特性を有する光源(例:VCSEL)に接続するためのMCFおよびコンバイナまたはファンアウトアレイのいくつかの例示的実施形態が本明細書に記載される。例示的コンバイナアレイは、入射ファイバ、テーパファイババンドル(TFB)部分、およびTFBピグテール部分を含んでもよく、ここで、TFBは例示的MCFに接続される。この接続は、機械的コネクタまたは融着接合のいずれかを介して達成することができることに留意されたい。さらに、接合された又は機械的な接続のいずれも、各コア間のクロストークを低減するために、モードストリッパを特徴とすることができる。場合によっては、コンバイナまたはファンアウトの同様の構成が、MCFからの光を結合するために必要とされ得る。 【0019】 本明細書に記載される実施形態は、入力テーパによって生成される輝度機構の損失および/または不整合から生じる迷光およびクロストークを議論するが、同じ原理が出力テーパで生じる迷光およびクロストークに適用され得ることを当業者は理解するであろう。換言すれば、入力側に見られる入射ファイバ、TFBピグテール、ダウンテーパ、および接合領域に関連する損失は、出力側で発生する可能性がある。したがって、クロストークは、光ストリッパ(例えば、高屈折率コーティング、光ストリッピングゲルなど)を出力またはアップテーパに追加することによって改善することができる。これは、膨張コア間の前方散乱またはエバネセント結合に起因する可能性がある。したがって、光ストリッピングは、入力テーパ、出力テーパ、またはその両方で実行することができる。 【0020】 上述のように、TFBと光源との間の接続は、ピグテール部分に融合されたリボンアレイを含むことができる。出力が必要な場合、入射ファイバは出力ファイバとして機能し、この構成は逆の方法で動作して(例えば、光源の代わりに)複数の光受信器に接続される。入射ファイバと同様に、この出力は、上述のリボンアレイ技術を利用することができる。出力ファイバは、光が反対方向(例えば、MCFからの光を光源ではなく受光器に伝送する)に進む入射ファイバに類似している。換言すれば、MCF内のコアの半分は光を一方向に搬送でき、残りの半分は光を反対方向に搬送できる。したがって、TFBからのファイバは、半入射(または入力)ファイバおよび半出力ファイバとみなすことができる。 【0021】 全体的に直径とNAの積に等しい輝度を維持するために、MCF中のコアのNAは、より大きな直径のコアのNAよりも高くする必要がある。さらに、多くのTFBでは、コア直径は入力ピグテールから出口に向かって先細り、断熱テーパではNAで必然的に増加する。多くの場合(例えば、クロストークを低減するために)、TFBが本質的に損失のないものであり、輝度が保持されていることが望ましいため、入力ピグテール内のコアは、より大きなコア内に、(例えば、充填不足の)より小さなNA光を含み、(例えば、完全に満たされた)より大きなNA光を含み得る、より小さなコア直径を有するファイバへのテーパリングを容易にすることができる。 【0022】 コアクラッド屈折率差がテーパに沿って変化しないので、入力ピッグテールファイバは、入射する光よりも高いNAを有することが好ましい。換言すれば、入力ピッグテールファイバは、充填不足にされるべきである。これは、ピッグテールを、同様のコア直径を有するがより低いNAを有する入射ファイバに接続することによって達成することができる。送信器(例:VCSEL)に結合された例示的な入射ファイバは、OM3またはOM4タイプのファイバであり得、これは、50μmのコア直径およびNAを有し、OM3/4タイプのファイバを充填不足にする。この場合、光源から入射される光のNAを制限することによって、または、OM3もしくはOM4ファイバの中もしくは後のモードフィルタリングによって、光のNAを低減することが望ましい。このコンディショニングは、入力ピグテールがより高いNA光を誘導することを防止する。より高いNA光はテーパで除去され、MCFでクロストークを引き起こす可能性がある。 【0023】 TFBおよびMCFのこの設計の1つの利点は、OM3ファイバのような入射ファイバを必要とせずに、入力ピグテールを複数のVCSELに直接結合することを容易にすることである。この場合、結合光学系は、損失を低下させながらTFBを介して輝度を維持するために、入力ピグテールを充填不足にする必要がある。 【0024】 図1~図6は、例示的な実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体のための様々な配置オプションの選択を示す。以下の図に記載された配置の各々は、NA<0.28および9μmのMFDを有するVCSELを特徴とするが、このような光源は単に説明のためのものであり、光源のタイプおよび/またはパラメータに対する任意の変形を利用することもできることが理解される。本明細書に記載する例示的な実施形態では、0.28未満のNA値を有するVCSELについて説明するが、別のNA値を使用してもよいことに留意されたい。例えば、例示的なMM VCSELは、0.2から0.3NAの範囲内のNA値を有することができる。さらに、例示的なVCSELは、代替的に、少数モード(FM)VCSELまたはシングルモード(SM)VCSELであってもよいことに留意されたい。 【0025】 以下に説明する様々な実施形態は、マルチコアファイバ送信組立体(例えば、入力側にある入射、TFBピグテール、ダウンテーパ、またはス接合領域)の入力側に関連するが、追加の実施形態は、出力側の出力配置に向けられてもよいことに留意されたい。これらの構成によれば、クロストーク(下記の図8参照)を改善するために、出力側(例えば、高屈折率コーティング/ゲルまたは他の光ストリッピング手段の使用)で光ストリッピングを行うことができる。さらに、MCFから光受信器への結合を目的として、以下に説明するものと同様のオプションを利用することができる。 【0026】 図1は、本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム100を示す。システム100は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的なVCSELのような複数の送信器を含む。送信器110は、レンズ120を介して送信し、NAが0.20でMFDが26μmのコアを有するMM MCF160に接続される。システム100の実施形態によれば、送信器110は、0.20のNAおよび50μmのMFDを有するファイバを有するリボンアレイ130(リボンには複数のファイバがあるが、1つのみを図示する)を介して送信する。このリボンアレイは、0.20のNAおよび65μmのMFDを有するTFBピグテール140に融合することができる。さらに、TFBピグテール140は、NA>0.20およびその出力における26μmのMFDを有するTFB150と通信可能であってもよい。図1はリボンアレイ130の単一のファイバのみを示しているが、当業者は、例示的なリボンアレイ130が複数のファイバを含むことを理解するであろう。したがって、複数のコアに結合する複数の発光ファセットが存在してもよい。 【図1】 [図:0001436748000002.jpg] 【0027】 MM MCF160に関して、および本明細書に記載される様々な実施形態を通して、前述のMFDは、MCF160内のコアのコア直径を指すことができることに留意されたい。換言すれば、MCF160内のコアのMFD値を、MM MCF160におけるMFDの上限値としてサービスしてもよい。さらに、例示的なシステム100および本明細書に記載される例示的なシステムの他のすべての実施形態において、種々のNA値は、信号NA(例えば、TFBの出力で生成される光のNA、ピグテールファイバに入射される光のNA)、例示的なシステムの種々のコンポーネント(例:TFB、ピグテールファイバ、入射ファイバ、リボンアレイなど)におけるファイバNAを参照し得ることに留意されたい。 【0028】 表1は、例示的なMCFおよびファンアウト組立体に関連する様々なデータを含む。 【0029】 【表1】 [図:0001436748000003.jpg] …(中略)… 【0032】 図4は、本発明のさらなる実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム400を示す。システム100と同様に、システム400は、NA<0.28および9umのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器410を含む。送信器410は、レンズ420を透過し、NAが0.30でMFDが26μmのコアを有するMCF460に接続される。なお、MCF460におけるコアのNAは、システム100のNAよりも大きい。システム400の実施形態によれば、送信器410は、0.20のNAおよび50μmのMFDを有するファイバを含むリボンアレイ430を介して送信する。このリボンアレイは、0.16のNA、50μmのMFD、および75μmのODを有する不整合TFBピグテール440に融合することができる。最後に、TFBピグテール440は、NA>0.30およびその出力における26μmのMFDを有するTFB450と通信することができる。リボンアレイ430とTFBピグテール440との間の不整合ODは、2dBの接合損失のような接合損失の尺度を説明することができることに留意されたい。同様に、TFB450とMCF460との間の接合は、本質的に無損失の接合であってもよい。無損失接合については、以下に詳細に説明する。 【図4】 [図:0001436748000004.jpg] …(中略)… 【0037】 図7は、本発明の一実施形態によるマルチコアファイバおよびファンアウト組立体の例示的なシステム700を示す。システム100と同様に、システム700は、NA<0.28および9μmのMFDを有する例示的な複数のVCSELなどの送信器710を含む。送信器710は、レンズ720を透過し、0.20のNAおよび26μmのMFDを有するコアを有するMCF760に受信器790に接続される。送信器710は、NAが0.20、MFDが50μm、ODが125μmの複数のファイバからなるリボンアレイ730を介して送信する。このリボンアレイは、TFBピグテール740に融合することができ、このピグテール740は、TFB750と通信することができる。 【図7】 [図:0001436748000005.jpg] 【0038】 一実施形態によれば、MCF760は、点765において機械的な接続を介してTFB750に接続されてもよい。リボンアレイの複数のファイバを充填する送信器710からの複数のモードに基づいて、システム700内の様々な点で損失を推定することができる。点735において、リボンアレイ730からTFBピグテール740へのコネクタにおける損失は、2.2dBの最大損失および同じ値の名目損失を有すると推定され得る。 …(中略)… 【0041】 図9は、本明細書に記載の例示的な実施形態による、クロストークレベルと測定されたチャネル損失とを相関させる例示的なグラフ900を示す。具体的には、グラフ900は、入射条件が充填不足の状態から完全に充填された状態まで変化するときのクロストークとチャネル損失との間の関係を示す。例えば、二つの測定(例:VCSEL VS. OM4)は、一つのチャネルのみがアクティブな状態(下側の曲線910を参照)で行われた。 【0042】 上側の曲線920は、全てのチャネルが点灯した状態での10Gの測定値を表し、一つのチャネル曲線からのシフトを示す。したがって、全チャネルでの補正を考慮すると、約3dBの損失と-30dBのクロストークがある。一実施形態によれば、クロストーク測定が1つのチャネルで行われた場合、1つのチャネルから別のチャネルへの平均クロストークは~-34.4dBである。すべてのチャンネルが同時に動作している場合、平均クロストークは~-26.4dBです。平均挿入損失は~3.1dBである。10Gb/s NRZリンク送信をテストしたところ、すべてのチャネルがアクティブになった。さらに、3.1dBの挿入損失は、(例えば、2つのTFB、MCF-MCF接合および複数のコネクタなどの)リンク全体を説明することができる。 【図9】 [図:0001436748000006.jpg] 」 3 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由1(進歩性の欠如)の要旨は、次のとおりである。 理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、最先の優先日前に発行された特表2014-522997号公報(以下「引用文献1」という。)に記載された発明に基づいて、最先の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、最先の優先日前に発行された文献である引用文献1(特表2014-522997号公報)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(2)において参照する記載及び(3)において引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。また、図を明細書の対応する記載箇所に挿入して示した。)。 ア 段落【0001】~【0006】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、一般に光ファイバ分野、特にマルチコアファイバの個々のコアに接続するため、および、更にはマルチコアファイバのそれら個々のコアに接続する際に低光損失を保持するための技術およびデバイスに関するものである。 【背景技術】 【0002】 大容量光ネットワークへの絶え間なく拡大する要求のため、ネットワーク容量拡大のための手段としてマルチコアファイバ(MCF)を用いるシステムの設計と製造への関心が高まっている。MCFの可能性の最大限の開拓は、例えば7つ、あるいはそれ以上の多数の密集したコアを有するファイバ、および、ファイバベースのアンプに対応することはもちろん、マルチコアファイバ(MCF)伝送システムにおいて、それぞれ個々のコアによって伝達される信号の増幅のために複数のコアからなる他のファイバベースの部品の開発を必要としてきた。 【0003】 マルチコアファイバアンプを使用した増幅を実現するには、複数の入力ファイバからそれぞれ個々の増幅コアに、信号を別々に入射する必要がある。加えて、入力信号、入力パワー変動に依存しない、あるいはその他の要因といった様々な状況下で、一定あるいは所定の利得を保持するため、各コアを別々に励起できることが望ましい。 …(中略)… 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 対処しなければならない1つの技術的な問題は、標準的な入力ファイバおよびマルチコア増幅ファイバの根本的に異なる形状から生じる。例えば、7つの標準的な単一コアのシングルモードファイバ(以下、SSMF)入力と7コアのマルチコア増幅ファイバ(以下、A-MCF)のそれぞれ個々のコアとの間での接続を提供すること、そこで7つのSSMFとA-MCFが互いに十分に同じ外径、例えば~125μmを持つことが要求されるであろう。カプラは、SSMFコアの各々がそれぞれ個々のA-MCFコアに接続できるように、7つのSSMFの断面積と単一のSSMFの断面積の間の移行を提供しなければならない。 【0006】 さらに、上首尾な接続の解決法は、さらにモードフィールド径の問題に対処しなければならない。カプラへの各入力でのモードフィールド径は、それぞれの入力SSMF各々のモードフィールド径に一致しなければならず、カプラ出力での各コアのモードフィールド径は、それぞれのA-MCFコア各々のモードフィールド径に一致しなければならない。モードフィールド径における著しい不一致は、容認しがたい高損失をもたらすであろう。それゆえ、通常テーパー状にすることに起因するモードフィールド径増加のせいで、SSMF部分が要求される出力形状を実現するためにテーパー状にされる接続方法は、満足のいくものではない。」 イ 段落【0013】~【0014】 「【発明を実施するための形態】 【0013】 本発明の特徴は、異なる形状およびモードフィールド径を持つ光ファイバの低損失接続を提供するための構造および技術に向けられている。本発明のさらなる特徴に従い、これらの今までにない構造および技術は、複数の入力ファイバとマルチコアファイバのそれぞれ個々のコアとの間で低損失結合を提供する状況に適用される。 【0014】 具体的には、以下に記載のとおり、本発明の特徴は、複数の入力ファイバ(例えば、励起/信号結合器の共通ポートで使用されるピグテールファイバ)と入力ファイバとは異なるモードフィールド径(MFD)を持つマルチコア利得ファイバあるいはその他のファイバとの間で、低損失、低クロストークの接合部分を提供するために使用できるテーパーファイババンドル(TFB)カプラの状況に適用される。」 ウ 段落【0023】~【0093】、【図1A】~【図16】 「【0023】 後に続く記述は、以下のセクションで構成されている。 1.例となる7コア構造 2.例となるTFBカプラ 2.1 モードフィールド径 2.2 モード結合(クロストーク) 3.TFBカプラでの用途のための特別に設計されたペデスタルファイバ 4.その他の応用 5.一般的な技術 6.TFBカプラの試験的用途の例 7.結論 【0024】 1.例となる7コア構造 本発明の特徴は、例となる7コアMCFと7つの単一コア、シングルモードのピグテール入力ファイバ一式との間の接合部分を提供する状況において記載されている。当然のことながら、他のタイプのMCFやここに具体的に描写および記載されたものとは異なる形状やコア構造を持つ入力ファイバとの用途のため、ここに記載された構造および技術は変更されるかもしれない。 【0025】 例えば、記載された構造および技術は、シングルモードコア、マルチモードコアあるいはそれらの組み合わせからなるファイバや、その他の分布、その他の断面コア構造、あるいはここに記載されたそれらとは異なる複数のコアを持つファイバも、併せて使用されるであろう。加えて、後に続く記述および添付の図において、入力ファイバとMCFコアとの間の一対一の対応がある。当然のことながら、本発明のある実践においては、そのような一対一の対応を持つことは必要でない、あるいは望ましくないかもしれない。 【0026】 図1Aは、複数の入力ファイバに接続される、例となるMCF20の断面図を示す。MCF20は、図1Bに示されたとおり、共通クラッド28内に伸びる7つのレイズド、あるいはステップインデックスのシングルモードコア21~27からなる。一般的に言えば、MCFの設計において、MCFと入力ファイバが単一コアファイバとして同じ量の物理的空間を占拠することを許すために、標準的な単一コアファイバと同じ外径を持つことが望ましい。例えば、MCF20は、一般的な単一コアファイバにおいて標準直径である外径125μmの円形の外周形状を持つ。 【図1A】 【図1B】 [図:0001436748000007.jpg] 【0027】 MCFコア21~27は、中央コア21と正六角形30の頂点に位置する6つの外周コアと共に端面に横断面の六角形構造を持つ。隣接する外周コアの各対22/23、23/24、24/25、25/26、26/27、27/22と中央コア21が、正三角形31を形成するのが分かるであろう。それゆえ、各コアとすぐ隣接するコアとの間のコア対コア間隔、すなわちコア“ピッチ”は、全ての7つのコアにおいて同じであるのが分かるであろう。本例において、コアピッチはおよそ40μmであり、一般的な125μmのシングルモードピグテールファイバの直径のおよそ3分の1である。 【0028】 図2は、図1Aおよび図1Bに示したとおり、7つの入力ファイバ41~47およびある長さのMCF20からなる光リンクの略図を示す。各入力ファイバ41~47は、単一の中央に位置するシングルモードコア410~470、および、直径がMCF20のそれと名目上等しい、すなわち125μmである、円形の外周形状を持つ。各入力ファイバコア410~470は、MCF端面29において、それぞれ個々のMCFコア21~27に接続される。 【図2】 [図:0001436748000008.jpg] 【0029】 本記述から当然のことながら、非対称構造、非六角形コアパターン、2つ以上のMCFを用いた構造、および、異なる数あるいは配置のコアを持つMCFを用いた構造を包含する、図2の光リンクとは異なる構造やトポロジーを持つ光リンクにおいて、本発明の特徴を実践することは可能である。加えて、MCFとは異なる外周直径を持つ入力ファイバを包含する光リンクにおいて、本発明の特徴を実践することも可能である。 【0030】 図3は、入力ファイバ41~47およびMCF20のそれぞれの断面を並べた比較を提供する。入力ファイバ41~47は、きっちりとまとめて積み重ねるように組み立てられており、125μmのコアピッチを持ち、それはMCF20の40μmのピッチよりかなり大きい。それゆえ、7つの単一コアファイバをMCF20の個々のコアに接続することは、MCF20のきっちりと間隔を空けたコアと入力ファイバ41~47のより幅広く間隔を空けたコアとの間での接合部分を提供するために、扇形というような構造を必要とする。 【図3】 [図:0001436748000009.jpg] 【0031】 本発明の特徴に従い、テーパーファイババンドル(TFB)カプラは、必要とする扇形を実現するのに使用される。クラッド励起デバイスのコア及びクラッド両方への入力を提供するというようなその他の状況において、TFBカプラは、すでに使用されてきた。しかしながら、TFBカプラの使用は、本発明の特徴が対処する複数の問題のせいで、これまでマルチコアファイバやデバイスには上手く拡がっていない。 【0032】 TFBカプラを構成するための例となる技術の簡単な説明に続き、モードフィールド径およびクロストークの問題を対処する技術とファイバの記述が続く。 【0033】 2.例となるTFBカプラ 本発明の特徴にしたがって、テーパーファイババンドル(TFB)カプラは、複数の入力ファイバとマルチコアファイバ端面での個々のコアとの間のテーパー状にされた接合部分を提供するのに使用される。TFBカプラは、参照することにより全てが包含される米国特許公開第2008-0267560号明細書に記載されたとおり、その他の状況で用いられてきた。以下に述べるとおり、いくつかの理由のため、TFBカプラは、これまで、マルチコアファイバおよびデバイスと併せてうまく用いられてはいない。 【0034】 図4は、例となるTFBカプラ60の略図(正確な縮尺で描かれていない)を示し、それぞれ個々のコア62を有し、溶融合しテーパー状にされ出力端面64で終わるブロック63で一緒に束ねられた複数のピグテール入力ファイバ61を備える。図5は、TFBカプラ端面64とMCF端面29との間の並べた比較を提供する断面図(正確な縮尺で描かれていない)を示し、TFB端面64での個々のコア62とMCF端面29との間の一対一の対応を説明する。 【図4】 [図:0001436748000010.jpg] 【0035】 図5に示されるとおり、TFB端面64でのコア62は、MCF端面29のコアと物理的なサイズにおいて一致しないかもしれない。TFBカプラ60をテーパー状にする時、MCF端面29のコアと比較して、出力コア62は小さいかもしれない。しかしながら、以下に述べるように、テーパー状にすることによるTFBのコアサイズの縮小は、モードフィールド径(MFD)の拡大が付き物である。さらに以下に述べるとおり、TFB出力コア62は、MCFコアと同じようなMFDを有するように構成される。 【図5】 [図:0001436748000011.jpg] 【0036】 TFBカプラ60は、ピグテール入力ファイバ61が入力ファイバ41~47に対応する端面形状を有するように、そして、TFB出力端面64がMCF端面29に対応するコア構造を有するように構成される。2つの端面を互いに適切な整列にあるそれぞれのコアに対して接続することが可能である限り、TFB出力端面64の外周とMCF端面29の外周が異なる形状を持つかもしれないことが知られている。テーパー状にされたブロック63は、TFBの入力と出力の形状との間でテーパー状の移行を提供する。 【0037】 図6A~図6Dは、TFBカプラを製造するための例となる技術を説明する一連の略図である。 【0038】 図6A:最初に、一式の適切なファイバ61が組み立てられる。本例において、それらのファイバは、標準ピグテールのシングルモードファイバである。しかしながら、記載された技術は、当然のことながら、他のタイプのファイバと共に用いられるかもしれない。 【図6A】 [図:0001436748000012.jpg] 【0039】 図6B:ファイバ61の端部は一緒に集められ、それぞれのコア62は、コアの求められる最終の配置に従って、互いに対し正確に位置づけされる。 【図6B】 [図:0001436748000013.jpg] 【0040】 図6C:ファイバの端部は、その後、ブロック63を形成するため、熱せられ一緒に溶融合される。これは、適切な接着剤によっても行うことができる。 【図6C】 [図:0001436748000014.jpg] 【0041】 図6D:ブロック63は、その後、求められるテーパー割合にテーパー状にされ、その後、TFBカプラの端面64を生成するため切り取られる。 【図6D】 [図:0001436748000015.jpg] 【0042】 TFBカプラ構造の使用はコアピッチの問題に対処するものであるが、モードフィールド径やクロストークを含む複数のその他の問題も対処されなければならない。 【0043】 2.1 モードフィールド径 1つの問題は、マルチコア利得ファイバが、ピグテールファイバのモードフィールド径(MFD)と比べて、一般に比較的小さいMFDを持つことである。従来のテーパーバンドルファイバ(TFB)カプラは、テーパー状にされた端部及びテーパー状にされていない端部の両方で、標準のピグテールファイバと一致する(一般に8~9μm)モードフィールド径を持つように、しばしば設計される。利得ファイバのコアのモードフィールド径(一般に5~6μmで、およそ3μmのコアサイズを持つ)は、しばしば、ピグテールファイバよりかなり小さく、大きな接続損失をもたらす。 【0044】 留意すべきことは、ここに使用されるとおり、第一ファイバのMFDが第二ファイバのMFDに『対応する』と言われた場合、単語『対応する』は、二つのMFDが互いに十分に近く、容認できる低損失でファイバが互いに接続されることを許すということを意味するのに使用される。それゆえ、『対応する』は『同じ』とは同義語ではない。例えば、少量の熱拡散がモードフィールドのマッチングを改善するのに使用される。 【0045】 著しく似ていないコアの接続の従来方法は、マルチコアファイバの場合には、しばしば適切でない。上記のとおり、ピグテールファイバは一般的に8~9μmのMFDを有し、その一方で、エルビウムドープファイバ(EDF)といった利得ファイバは一般的に5~6μmのMFDを有する。この差異は大きすぎる。例えば、熱拡散を使用した接続は、長引く加熱がコア形状はもちろん、コア配列の対象性をも歪めることができるという問題がある。さらに、熱拡散は、外側のコアとは異なり、中心コアのモードフィールド径に影響を及ぼすことができる。それゆえ、ある量の熱拡散は、対応するコア間でのモードフィールドのマッチングを改良するのに好ましい一方、モードフィールド径が著しく似ていない場合は好ましくない。 【0046】 一般的に言えば、互いにおよそ1μm以内にあるMFDは、熱拡散を使った微調整を行いやすい。それゆえ、ここに記載されたれた例となるカプラに関して、当然のことながら、MFDの正確なマッチングが望ましい一方、MFDがおよそ±1μmの範囲内に互いに一致するところで、容認できる低レベルの損失を実現することができる。 【0047】 2.2 モード結合(クロストーク) 一般的に言えば、ランダムなモード結合の結果として、クロストークはファイバ長の増加と共に減少する。カプラのテーパー状にされた領域において、コア直径が短尺なファイバにわたって連続的、あるいは、ほぼ連続的に変化しているところで(すなわち、ランダムモード結合の場合のファイバ長は、クロストークに対し比較的重要でない影響を持つ)、よく知られた共鳴および長く続かない結合のメカニズムが原因で、テーパーに沿ったあらゆる位置において、コア間のクロストークが生じるかもしれない。これは、TFBにおけるファイバがほとんど同一であるときの特別な場合であり、それゆえ、ほとんど同一の伝搬定数、βを有する。その上、およそ1.8より小さいV値を持つステップインデックスファイバといったいくつかのコア設計において、テーパー状にすることは、モードフィールドを拡散し、場合によりコア間で著しい重複を引き起こす。それゆえ、たとえテーパー状ファイバの入力端および出力端でのモード重複が、局所的にクロストークを抑制するために十分に小さいとしても、モード重複増加の結果として入力端および出力端の間でクロストークが生じるかもしれない。 【0048】 3.TFBカプラでの用途のための特別に設計されたペデスタルファイバ 本発明の特徴によれば、上記の問題は、TFBカプラの構成における利用のために特別に設計されたファイバの利用を通して対処される。これらの設計の背後の原理を理解するため、第一に例となるマルチコアファイバへの要求、およびマルチコアファイバのデバイスが記載される。 【0049】 例となるマルチコアファイバにおける効果的な空間分割多重伝送のため、例えば7あるいは19といった複数のコアは、望ましくは六角形のパターンに配置され、標準的なシングルモードファイバと似た直径、例えば125μmのクラッドに組み込まれる。上記のとおり、例となる7コアMCFは、およそ40μmのコア対コアピッチを有する。 【0050】 1.55μm帯における光増幅でのMCFを基にした応用において、各MCFコアは、一般的に、エルビウムあるいはエルビウムとイッテリビウムの混合物といった1つあるいはそれ以上の希土類元素をドープされる。ラマンやパラメトリック増幅といった他の応用では、非希土類ドーパントが用いられるかもしれない。他タイプのファイバアンプはもちろん、これらにとって、低励起パワーで良い増幅を実現するために、各MCFコアが小さい直径、例えば3μmを持つことが望ましい。非線形効果を使うデバイスにおいて、コア直径はかなり小さくできる。代わりに、高出力パワーで操作するよう設計されたデバイスにおいて、励起状態吸収といった有害な非線形効果やパワーを激減させる効果を避けるため、コア直径はかなり大きくできる。 【0051】 マルチコアアンプにおいて、信号とポンピング光の両者は効果的にMCFコアに入射される必要がある。上記で述べたとおり、もっともらしい解決策は、MCFのコア数に対応する複数のシングルモードファイバを束ねて近接したひとまとめの構成にし、コア対コアピッチがマルチコア利得ファイバのコア対コアピッチと対応する直径にまでそのファイババンドルをテーパー状にすることである。入力ファイバが125μmの外周クラッド直径を持つシングルモードファイバであると仮定すると、ファイババンドルは、マルチコアファイバのコアピッチに対応するコアピッチを実現するため、3.0の倍数でテーパー状にされる。 【0052】 光ファイバがテーパー状にされるとき、各ファイバ領域のそれぞれの直径サイズにおけるパーセンテージ変化は、実質的には同じである。それゆえ、シングルモードファイバが3.0の倍数でテーパー状にされるとき、ファイバの外周直径のみが減少するのではなく、コア直径もおよそ3.0の倍数で減少する。標準的なシングルモードファイバにおいて、3.0の倍数でのコア直径の減少は、モードフィールド径の著しい増加を引き起こす。 【0053】 図7は、およそ0.32%の一定の屈折率差デルタ(Δ)を持つと仮定されるシングルモードのシリカファイバにおけるコア直径の関数として、980nm(破線曲線71)および1550nm(実線曲線72)の波長における算出されたモードフィールド径を説明するグラフ70を示す。 【図7】 [図:0001436748000016.jpg] 【0054】 シングルモードファイバにおいて、光は基本のLP01導波路モードで伝搬し、コア領域の中心にピークを持ちクラッドへと減少が広がるガウシアン形状の横軸方向のエネルギー分布を持つ。SMFにおいて、モードフィールド径は、横軸方向のエネルギー分布がピーク値の1/eにまで減少するところでのファイバの直径と定義される。グラフ70に示されるとおり、大きいコア直径において、モードフィールド径は一般にコア直径より小さい。より小さいコア直径では、モードフィールド径は一般にコア直径より大きい。 【0055】 より小さいコア直径でのMFDの急な増加についての理由は、これらのより小さい直径では、コア-クラッドの境界が、比較的小さいパーセンテージの伝搬光以外、全てを閉じ込めるというその能力を失う。それゆえ、これらのより小さいコア直径では、横軸方向のエネルギー分布は比較的幅広く、大きいモードフィールド径を生じる。 【0056】 一般的に言えば、ファイバにとって、できるだけ小さいモードフィールド径を持つことが望ましい。それゆえ、本例では、標準のシングルモードファイバは一般的におよそ8μmのコア半径を有する。図7に示したとおり、このコア半径は、1550nmにおける最小の、あるいは最小に近いMFDに対応する。 【0057】 図7のシングルモードファイバが最初のコア半径の8μmから3の倍数でテーパー状にされるとき、結果として生じるコア直径は、およそ2.67μmである。曲線72によって示されるとおり、そのコア直径において、1550nmでのモードフィールド径は増加して22μmを越え、それゆえにテーパー状にされたファイバの端部は、著しい損失無しに比較的小さいコアのマルチコア利得ファイバと接続することはできない。 【0058】 単一コアの状況において、異なったコア(例えば、シングルモードファイバとエルビウムドープファイバのコアというように)のそれぞれのモードフィールド径の対応は、熱拡散の方法を使って成し遂げることができる。残念ながら、モードフィールド径での大きな変化において、この技術は、マルチコアファイバあるいはマルチコアのペデスタルファイバにとっては適切ではない。いくらかの量の熱拡散は一般に望ましいが、マルチコアファイバの場合は、コアの配列をも歪めるかもしれない。 【0059】 本発明の特徴は、特に、モードフィールド径での変化を同時に起こしつつ、より小さい直径にテーパー状にすることができる、設計されたペデスタルファイバを提供する。そのようなペデスタルファイバは、複数のファイバから比較的小さいコアのマルチコア利得ファイバに光を結合するために適切なTFBカプラを構成することにおけるモードフィールド径の問題に対処するために使用することができる。 【0060】 図8Aおよび図8Bは、例となるペデスタルファイバにおけるテーパー状にされる前(図8A)とテーパー状にされた後(図8B)のそれぞれの屈折率分布80aおよび80bを示す。 【図8A】 【図8B】 [図:0001436748000017.jpg] 【0061】 テーパー状にされていない屈折率分布80aは、第一の屈折率よりも低い第二の屈折率を持つペデスタル領域82aによって取り囲まれた第一の屈折率を持つコア領域81aからなる。ペデスタル領域82aは、第二の屈折率より低い第三の屈折率を持つクラッド領域83aによって取り囲まれている。 【0062】 テーパー状にされていないファイバにおいて、光は、クラッドとしてのペデスタルの作用82aと一緒にコア81aによって誘導される。伝搬モードはコアとペデスタルの境界によって最初に制限される。コア81aによって誘導される光のMFDと比べてペデスタル82aの半径が比較的大きいので、ペデスタルとクラッドの境界は、全体のモード制限には比較的わずかしか寄与しない。 【0063】 ファイバがテーパー状にされると、コア半径は減少し、コアによって制限される光のパーセンテージにおいても対応する減少が生じる。同時に、ペデスタル半径の大きさも、テーパー状にされていないファイバでのコア領域のそれに近づく。それゆえ、テーパー状にされた屈折率分布80bにおいて、伝搬モードの小さいパーセンテージ以上に制限するには、コア領域81bは小さすぎる。それどころか、モードは主に、ペデスタル82bとクラッド83bとの間の境界によって導かれる。それゆえ、TFBカプラを構築するのにペデスタルファイバを使うことで、コアピッチにおける必要とされる縮小を実現するため、熱によってテーパー状にすることを利用することが可能であり、同時にファイバのテーパー状にされた端部でのモードフィールド径のサイズを操作することが可能である。 【0064】 図9Aは、本発明の特徴に従った例となるペデスタルファイバ(FIBER-I)における屈折率分布を示し、図9Bはさまざまな異なるテーパー割合における算出されたモードフィールド径を示す。FIBER-Iにおいて、テーパー割合が増加するのにつれてモードフィールド径は着実に減少するということが示されている。 【図9A】 [図:0001436748000018.jpg] 【図9B】 [図:0001436748000019.jpg] 【0065】 本発明の特徴に従い、FIBER-Iは、選択されたテーパー割合によってファイバをテーパー状にすることが、コアピッチでの必要とされる減少とモードフィールド径での必要とされる減少を同時に実現するというように構成されたペデスタル屈折率分布を有する。 【0066】 それゆえ、図9Bに示されるとおり、ファイバが3.0の倍数でテーパー状にされるにつれ、モードフィールド径は約8.5μmから6μmに同時に減少するということが見て取れ、0.23の開口数(NA)および3.2μmのコア直径を持つエルビウムドープコアのモードフィールド径に等しい。 …(中略)… 【0078】 4.その他の応用 上記に述べたとおり同様の検討は、その他の応用および設計についても使用できる。例えば、その概念は、個々の入力ファイバからマルチコア出力ファイバへのMFDの減少よりはむしろ増加に対して拡大される。さらに、モード変換テーパーは、送信機、受信機、モジュレーター、および同類のものといったオプトエレクトロニクスの能動部品と同様、アイソレータ、フィルタ、カプラ、および同類のものといった光受動部品というような他のデバイスにも適用することができる。 【0079】 それらその他の応用において、マルチコアファイバにおいて伝搬を最適化するようにマルチコアファイバのモードを設計することができると同時に、1つあるいはそれ以上の上記に列挙された部品のモードを一致させるよう、個々のファイバのモードを設計することができる。マルチコア部品については、反対の配置が適用される可能性があり、その場合個々のファイバが標準のシングルモードファイバか、あるいはある特徴について最適化されたファイバであるかもしれない。 【0080】 5.一般的な技術 上記で述べたとおり、本発明の特徴は、コア対コアピッチおよびモードフィールド径の両者がマルチコア利得ファイバのそれらと一致するといったマルチコア利得ファイバに、信号およびポンピング光を入射するためのテーパーファイババンドルを提供する。 …(中略)… 【0089】 6.TFBカプラの試験的用途の例 ここに説明されたTFBカプラは、7つのコア全てにおいて同時に起こる増幅を提供する7コアのマルチコアエルビウムドープファイバ(MC-EDF)アンプの増幅および雑音特性の研究において使用されてきた。信号およびポンピング光は、2つの説明されたTFBカプラを使用したMC-EDFの個々のコアに接続されている。 …(中略)… 【0093】 図16は、EDFAの増幅特性を研究するために使用された試験的な組立品160の略図である。1520~1580nmの範囲で動作する外付けの共振レーザーダイオードからの単一周波数レーザー光は信号として利用され、WDMカプラを使って980nmのポンピング光と混合される。不要波の後方反射を避け、ASE雑音を抑制するため、アイソレータが入力および出力ポートの両方に接続され、ポンピング光は順方向に伝搬するのを許可される。測定目的のため、中央コアは#0と番号付けされ、外周のコアは、順に#1~#6と番号付けされる。 【図16】 [図:0001436748000020.jpg] 」 (2) 【0024】及び【0025】から把握できる事項の認定 ア 引用文献1の【0024】、【0025】には、次の記載がある(下線は当合議体による。)。 「【0024】 1.例となる7コア構造 本発明の特徴は、例となる7コアMCFと7つの単一コア、シングルモードのピグテール入力ファイバ一式との間の接合部分を提供する状況において記載されている。当然のことながら、他のタイプのMCFやここに具体的に描写および記載されたものとは異なる形状やコア構造を持つ入力ファイバとの用途のため、ここに記載された構造および技術は変更されるかもしれない。 【0025】 例えば、記載された構造および技術は、シングルモードコア、マルチモードコアあるいはそれらの組み合わせからなるファイバや、その他の分布、その他の断面コア構造、あるいはここに記載されたそれらとは異なる複数のコアを持つファイバも、併せて使用されるであろう。…(後略)」 イ 前記アに摘記した引用文献1の記載を参酌すると、【0027】以降に記載された「7つの単一コア、シングルモードの入力ファイバ41~47」、「ピグテール入力ファイバ61を備えるTFBカプラ60」及び「7コアMCF20」を順に接合した「光リンク」並びに「送信機」について、「シングルモード」を「マルチモード」と読み替えた、又は、「マルチモード光」に対応したものとした次の技術事項(以下「認定事項A」という。)を理解することができる。 <認定事項A> 「7つの単一コアマルチモードの入力ファイバ41~47、ピグテール入力ファイバ61を備えるTFBカプラ60及び7コアマルチモードMCF20を順に接合した光リンクであって、 送信機からの入力光はマルチモード光であり、前記光リンクはマルチモード光を伝搬する光リンク。」 (3) 引用発明の認定 前記(2)において認定した認定事項Aを踏まえつつ、前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、【図2】~【図4】に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「7つの単一コアマルチモードの入力ファイバ41~47、ピグテール入力ファイバ61を備えるTFBカプラ60及び7コアマルチモードMCF20を順に接合した光リンクであって、(認定事項A) 送信機からの入力光はマルチモード光であり、前記光リンクはマルチモード光を伝搬し、(認定事項A) テーパーファイババンドル(TFB)カプラは、複数の入力ファイバとマルチコアファイバ端面での個々のコアとの間のテーパー状にされた接合部分を提供するのに使用され、(【0033】) TFBカプラ60は、それぞれ個々のコア62を有し、溶融合しテーパー状にされ出力端面64で終わるブロック63で一緒に束ねられた複数のピグテール入力ファイバ61を備えるものであり、(【0034】) TFBカプラ60は、ピグテール入力ファイバ61が入力ファイバ41~47に対応する端面形状を有するように、そして、TFB出力端面64がMCF端面29に対応するコア構造を有するように構成され、(【0036】) ここで、単語『対応する』は、二つのMFDが互いに十分に近く、容認できる低損失でファイバが互いに接続されることを許すということを意味する、(【0044】) 光リンク(【0028】)。」 5 本願発明と引用発明の対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点(光ファイバ組立体) (ア) 構成Xは、次の構成を特定するものである。 「マルチコアファイバ(MCF)と、 コンバイナと、 光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、 不整合と を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリ(光ファイバ組立体)」 (イ) 次の<引用発明の構成>の欄に記載したものは、それぞれ<本願発明の構成>の欄に記載したものに相当する。 <引用発明の構成> <本願発明の構成> ・7コアマルチモードMCF20 ・マルチコアファイバ(MCF) ・ピグテール入力ファイバ61を ・コンバイナ 備えるTFBカプラ60 ・単一コアマルチモードの ・光源をピグテール部に動作可能 入力ファイバ41~47 に結合するための光ファイバ (ウ) 引用発明の「光リンク」は、「7つの単一コアマルチモードの入力ファイバ41~47、ピグテール入力ファイバ61を備えるTFBカプラ60及び7コアマルチモードMCF20を順に接合した光リンク」(認定事項A)であるから、本願発明にいうところの「光ファイバアセンブリ(光ファイバ組立体)」であるといえる。 (エ) 引用発明において、「TFBカプラ60は、ピグテール入力ファイバ61が入力ファイバ41~47に対応する端面形状を有するように、そして、TFB出力端面64がMCF端面29に対応するコア構造を有するように構成され」(【0036】)、(ここで、単語「対応する」は、二つのMFDが互いに十分に近く、容認できる低損失でファイバが互いに接続されることを許すということを意味する」(【0044】)ことから、TFBカプラ60が備える「ピグテール入力ファイバ61」と「単一コアマルチモードの入力ファイバ41~47」との間には、「容認できる低損失でファイバが互いに接続される」程度の「不整合」があるといえる。 (オ) 引用発明における「送信機」が本願発明にいうところの「光源開口数(NA)値を有する」といえることは自明であり、引用発明の「光リンク」は「送信機からの入力光はマルチモード光であり、前記光リンクはマルチモード光を伝搬[する]」(認定事項A)ものであることから、前記(ウ)の検討結果も踏まえると、引用発明の「光リンク」は、本願発明にいうところの「光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリ(光ファイバ組立体)」であるといえる。 (カ) 以上の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、構成Xの観点である次の点において一致する。 「マルチコアファイバ(MCF)と、 コンバイナと、 光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、 不整合と を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリ(光ファイバ組立体)」の発明である点。 イ 構成Aの観点(マルチコアファイバ(MCF)について) (ア) 構成Aは、次の構成を特定するものである。 「前記マルチコアファイバ(MCF)は、 MCF NA値と、 MCFコア直径と、 MCF外径(OD)とを含[む]」こと。 (イ) 引用発明における「MCF20」が「NA値」、「コア直径」及び「外径(OD)」を備えることは自明であるから、本願発明と引用発明は、構成Aの観点である次の点において一致する。 「前記マルチコアファイバ(MCF)は、 MCF NA値と、 MCFコア直径と、 MCF外径(OD)とを含[む]」点。 ウ 構成Bの観点(コンバイナについて) (ア) 構成Bは、次の構成を特定するものである。 「前記コンバイナは、 前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、 ピグテール部分とを含[む]」こと。 (イ) 引用発明における「TFBカプラ60」は、「複数のピグテール入力ファイバ61を備え」(【0034】)、「TFB出力端面64がMCF端面29に対応するコア構造を有するように構成され[る]」(【0036】)ものであるから、本願発明にいうところの「前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分」と「ピグテール部分」とを含むものであるといえる。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点である次の点において一致する。 「前記コンバイナは、 前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、 ピグテール部分とを含[む]」点。 エ 構成Cの観点(ピグテール部分について) (ア) 構成Cは、次の構成を特定するものである。 「前記ピグテール部分は ピグテールNA値と、 ピグテールコア直径とを含[む]」こと。 (イ) 引用発明の「ピグテール入力ファイバ61」が「NA値」及び「コア直径」を備えることは自明であるから、本願発明と引用発明は、構成Cの観点である次の点において一致する。 「前記ピグテール部分は ピグテールNA値と、 ピグテールコア直径とを含[む]」点。 オ 構成Dの観点(光ファイバについて) (ア) 構成Dは、次の構成を特定するものである。 「前記光ファイバは、 光ファイバNA値と、 光ファイバのコア径とを含[む]」こと。 (イ) 引用発明の「入力ファイバ」が「NA値」及び「コア直径」を備えることは自明であるから、本願発明と引用発明は、構成Dの観点である次の点において一致する。 「前記光ファイバは、 光ファイバNA値と、 光ファイバのコア径とを含[む]」点。 カ 構成Eの観点(不整合について) (ア) 構成Eは、次の構成を特定するものである。 「接合損失の少なくとも2dBを占める不整合であって、前記不整合は、 光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、 光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、 からなるグループのうちの選択された1つである」こと。 (イ) 前記ア(エ)において検討したとおり、引用発明においては、「TFBカプラ60は、ピグテール入力ファイバ61が入力ファイバ41~47に対応する端面形状を有するように、そして、TFB出力端面64がMCF端面29に対応するコア構造を有するように構成され[る]」(【0036】)ものの、「ピグテール入力ファイバ61」と「単一コアマルチモードの入力ファイバ41~47」との間には、「容認できる低損失でファイバが互いに接続される」程度の「不整合」がある。 (ウ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Eの観点にける一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。 a 構成Eの観点における一致点 「接合損失」を含む「不整合であって、前記不整合は、 光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、 光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、 からなるグループのうちの選択された1つである」点。 b 構成Bの観点における相違点 「不整合」の占める「接合損失」の大きさが、 本願発明においては、「少なくとも2dBを占める」のに対して、 引用発明においては、「容認できる低損失」である点。 (2) 一致点及び相違点 前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである。 ア 一致点 「マルチコアファイバ(MCF)と、 コンバイナと、 光源をピグテール部に動作可能に結合するための光ファイバと、 不整合と を含む、光源開口数(NA)値を有する前記光源からのマルチモード(MM)信号を伝搬するための光ファイバアセンブリであって、 前記マルチコアファイバ(MCF)は、 MCF NA値と、 MCFコア直径と、 MCF外径(OD)とを含み、 前記コンバイナは、 前記MCFと通信するテーパファイババンドル(TFB)部分と、 ピグテール部分とを含み、 前記ピグテール部分は ピグテールNA値と、 ピグテールコア直径とを含み、 前記光ファイバは、 光ファイバNA値と、 光ファイバのコア径とを含み、 接合損失を占める不整合であって、前記不整合は、 光ファイバNAとピグテールNAとのNA不整合と、 光ファイバコア径とピッグテールコア径とのコア径不整合と NAミスマッチとコア直径ミスマッチの両方と、 からなるグループのうちの選択された1つである、光ファイバ組立体」の発明である点。 イ 相違点 「不整合」の占める「接合損失」の大きさが、 本願発明においては、「少なくとも2dBを占める」のに対して、 引用発明においては、「容認できる低損失」である点。 6 判断 (1) 本願発明の数値限定の技術上の意義の検討 本願発明の「接合損失の少なくとも2dBを占める」という特定事項の、技術上の意義について検討する。 請求人は、令和4年2月2日提出の意見書において、本願明細書の【0032】を補正の根拠としているところ、「リボンアレイ430とTFBピグテール440との間の不整合ODは、2dBの接合損失のような接合損失の尺度を説明することができることに留意されたい」との記載があるのみで、当該2dBの接合損失を有することで、引用発明にないどのような有利な効果があるのか、何ら記載はない。 したがって、「接合損失の少なくとも2dBを占める」ことの技術上の意義は不明であるといわざるを得ない。 (2) 相違点に係る接合損失の数値限定の評価 引用発明は接合損失の程度を「容認できる低損失」としているところ、どの程度の接合損失を容認するかは当業者が適宜決定して選択すべきものであり、「少なくとも2dB」とすることは設計事項にすぎない。 また、当該「少なくとも2dB」の接続損失が、通常は「容認できる低損失」とはしないとしても、接合損失が通常許容される接合損失よりも大きいというだけで、ほかに当業者が予測・発見困難な効果であって格別顕著な効果がない限り、本願発明は、引用発明に比較して退歩的発明(「退歩発明」又は後退発明とも呼ばれる。)と位置づけられるものであって、さらには本願においては接合損失の上限を示していない以上全く使い物にならないほどの接合損失があるものも包摂しているのであるから、このようなものに、特許権という独占権を付与してまで発明を奨励することが特許法の趣旨に適うとは認められず、とても本願発明に選択発明として進歩性を認めるべき道理はない。 (3) 退歩的発明又は後退発明についての補足 ア 一般に、退歩的発明、すなわち、引用発明のある構成の変更(省略・限定等を含む)をすることにより、当業者が予測・発見可能な望ましくない効果を奏するものであって、当業者に予測・発見困難で望ましい顕著な効果を奏するのではない場合、望ましくない効果を奏するという意味において、当該退歩的発明の構成とすることに積極的な動機付けはないとしても、ある構成の変更は自明であるとして、当該発明の進歩性は否定される(参考裁判例として、東京高等裁判所平成15年3月27日判決(平成13年(行ケ)第364号)参照)のであって、阻害要因があるとは認められるべきものではない。 イ 上記アの考え方は、進歩性の判断の結果の国際調和の観点からも肯定されるものであり、例えば欧州の審査ガイドライン(Guidelines for Examination in the EPO Part G - Chapter VII-10.1参照)には、次のように規定されている。括弧書きで付した翻訳は、JETROによるものである。(URL: https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/europe/ip/pdf/guidelines_part_g.pdf) 「10.1 Predictable disadvantage; non-functional modification; arbitrary choice If an invention is the result of a foreseeable disadvantageous modification of the closest prior art, which the skilled person could clearly predict and correctly assess, and if this predictable disadvantage is not accompanied by an unexpected technical advantage, then the claimed invention does not involve an inventive step(see T 119/82 and T 155/85). In other words, a mere foreseeable worsening of the prior art does not involve an inventive step. However, if this worsening is accompanied by an unexpected technical advantage, an inventive step might be present. Similar considerations apply to the case where an invention is merely the result of an arbitrary non-functional modification of a prior-art device or of a mere arbitrary choice from a host of possible solutions (see T 72/95 and T 939/92).」 (「10.1 予見可能な不利;非機能的な変更;恣意的な選択 発明が,最も近接する先行技術を予見可能な不利となるように変更した結果であって,当該技術の熟練者であれば明らかに予測して正確に評価することができ,この予見可能な不利が予想外の技術的利点を伴っていなければ,クレームされた発明には進歩性が含まれていないことに留意すべきである(T 119/82及びT 155/85参照)。換言すれば,先行技術を単に予見可能に悪化させることは進歩性を含んでいない。ただし,この悪化が予想外の技術的利点を伴っていれば,進歩性が存在しているかもしれない。ある発明が先行技術装置の単なる恣意的かつ非機能的な変更の結果である場合,又は多数の可能な解決からの単なる恣意的な選択である場合にも,これと同様の考え方が適用される(T 72/95及びT 939/92参照)。」) (4) 判断のまとめ 以上検討のとおりであるから、本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 7 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、本願発明は少なくとも2dBの接合損失を有しており、これは典型的な接合損失である、0.1dB未満の損失量よりも20倍以上大きい(>20x)ものであり、引用文献1は、本願発明のような、標準の20倍を超える損失(そして、許容される接合損失を上回る損失)について、教示および示唆していないから、本願発明は進歩性を有する旨主張する。 本願発明が通常許容されないような接合損失を有するとしても本願発明に進歩性が認められるべきでないことは、前記6(2)において検討したとおりであるから、請求人の主張は前記6(4)の結論を左右するものではない。 8 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-015907

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