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特許拒絶査定不服審判

2021-008484

半導体マッハ・ツェンダ型光変調器およびそれを用いたIQ光変調器

審判番号
2021-008484
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-088409外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月28日
審決日
2022年11月18日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 88409「半導体マッハ・ツェンダ型光変調器およびそれを用いたIQ光変調器」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月 7日出願公開、特開2019-194637〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)5月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 5月25日付け:拒絶理由通知書 令和2年 8月 3日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年 9月25日付け:拒絶理由(最初の拒絶理由)通知書 令和2年11月30日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 3月24日付け:拒絶査定 令和3年 6月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年6月28日付の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年6月28日付の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「2つのアーム導波路を有するマッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路と、 入力光を前記2つのアーム導波路に分波する半導体で構成された1×2型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路からの光を合波する半導体で構成された2×1型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路を伝搬する光に位相差を付与するための位相変調手段とを備えた半導体マッハ・ツェンダ型光変調器であって、 前記1×2型のマルチモード干渉カプラおよび前記2×1型のマルチモード干渉カプラは、ハイメサ構造に形成され、2つの前記マルチモード干渉カプラのうち前記2×1型のマルチモード干渉カプラにのみ高次モード光を放射させるためのスラブ型光導波路が接続され、 前記位相変調手段は、線対称な形状となるよう配置された2つのストリップ線路を含む進行波型高周波配線であり、前記2つのストリップ線路の間に前記1×2型のマルチモード干渉カプラが設けられ、前記2つのストリップ線路は、前記1×2型のマルチモード干渉カプラと重畳せず、前記MZ型の光導波路に対して光変調信号を印加駆動することにより光に位相差を付与することを特徴とする半導体マッハ・ツェンダ型光変調器。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和2年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「2つのアーム導波路を有するマッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路と、 入力光を前記2つのアーム導波路に分波する半導体で構成された1×2型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路からの光を合波する半導体で構成された2×1型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路を伝搬する光に位相差を付与するための位相変調手段とを備えた半導体マッハ・ツェンダ型光変調器であって、 前記1×2型のマルチモード干渉カプラおよび前記2×1型のマルチモード干渉カプラは、ハイメサ構造に形成され、2つの前記マルチモード干渉カプラのうち前記2×1型のマルチモード干渉カプラにのみ高次モード光を放射させるための高次モード光放射手段が接続され、 前記位相変調手段は、線対称な形状となるよう配置された2つのストリップ線路を含む進行波型高周波配線であり、前記2つのストリップ線路の間に前記1×2型のマルチモード干渉カプラが設けられ、前記2つのストリップ線路は、前記1×2型のマルチモード干渉カプラと重畳せず、前記MZ型の光導波路に対して光変調信号を印加駆動することにより光に位相差を付与することを特徴とする半導体マッハ・ツェンダ型光変調器。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「2×1型のマルチモード干渉カプラにのみ高次モード光を放射させるための」「手段」を、上記のとおり「スラブ型光導波路」に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2006/095776号(平成18年9月14日公開。原査定の「引用文献6」。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。) 「 [0001] 本発明は、半導体光変調器に関し、より詳細には、光通信システムや光情報処理システムの分野に用いられる半導体光変調器に関するものである。」 「[0051] (第1の実施形態) ・・・(中略)・・・ [0053] 図2は、本実施形態に係る半導体光変調器の導波路構造の断面図で、図3は、図2に示された導波路構造のバンドダイヤグラムを示した図である。 本実施形態に係る半導体光変調器では、半絶縁性の(SI)-InP基板10上に、nInPクラッド層(第1のn型半導体クラッド層)11、半導体光導波層19、p-InAlAs層(ポテンシャルバリア層としての半導体クラッド層)15、n-InPクラッド層(第2のn型半導体クラッド層)16とが順次積層されている。半導体光導波層19では、ノンドープのInPクラッド層12、電気光学効果を有する、ノンドープの半導体コア層13、ノンドープのInPクラッド層14が積層されており、InPクラッド層14の上部にp-InAlAs層15が積層されることになる。 なお、本明細書では、「n-半導体」および「n型半導体」とは、n型ドーピングされた半導体のことを指す。もちろん、p型ドーピングについても同様に表記する。 [0054] 半導体コア層13には、たとえば、多重量子井戸層と、その上下(半導体コア層13のInPクラッド層12側およびInPクラッド層14側)にバンドギャップが多重量子井戸層よりも大きぐかつ、InPクラッド層12および14よりも小さい値を持つ、光閉じ込め層を有する構造を用いることができる。また、多重量子井戸層のバンドギャップ波長は、使用する光波長において、電気光学効果が有効に作用し、かつ、光吸収が問題とならないように設定されている。 [0055] また、本実施形態に係る導波路構造は、図2に示すようにハイメサ導波路構造を有し、半導体光導波層19へ電圧印加を行うため、n-InPクラッド層11、および、n-InPクラッド層16の上部に、それぞれ電極17,18が設けられている。 なお、本実施形態では、導波路構造として、ハイメサ導波路構造を用いているが、これに限定されず、リッジ導波路構造を用いても良い。」 「[0065] さて、高速な光変調器実現には、進行波型電極構造が有用である。よって、電極17、18には進行波型電極を適用しても良い。この進行波型電極構造では、光変調器におけるインピーダンス整合や光と電気の速度整合が重要となる。このインピーダンス整合や速度整合は、光変調器の光導波路の容量成分を制御することにより可能である。すなわち、ノンドープ層である半導体光導波路層19(半導体コア13とその上下のノンドープInPクラッド層12、14)の総厚と導波路幅とを適切に設計することが大切となってくる。」 「[0077] (第3の実施形態) 本実施形態では、第1および第2の実施形態にて説明した導波路構造(位相変調導波路)を用いたマッハツェンダ型光変調器について説明する。本実施形態に係るマッハツェンダ型光変調器40は、第1および第2の実施形態にて説明した導波路構造を備えている。 [0078] 図8において、入力光を2つに分岐する手段としてのMMI(Multi-Mode Interference)力ブラ42aの2つの出力端にはそれぞれ、本発明の一実施形態に係る位相変調導波路41aおよび41bが連結されている。位相変調導波路41aおよび41bの出力端はそれぞれ、2つの入力光を合波する手段としてのMMIカプラ42bの2つの入力端のそれぞれに連結されている。また、基板上に形成された第1のn型半導体クラッド層の所定の領域に電極43が設けられ、位相変調導波路41aおよび41b上の所定の領域に電極44が設けられている。本実施形態では、位相変調導波路41aおよび41bの長さL(位相変調領域)は、3mmとしている。 [0079] このような構成において、MMIカプラ42aの一方の入力端から入力光が入力されると、該入力光はMMIカプラ42aにて2つに分岐され、分岐光のそれぞれは、位相変調導波路4laおよび4lbに導かれる。このとき、電極43および44により位相変調導波路41aおよび41bの位相変調領域に印加された電圧に基づいて、位相変調導波路41a、および41bを通過する分岐光の位相を変調する。変調された光は、MMI力プラ42bにて合波され、MMIカプラ42bの一方の出力端から出力される。」 図2、図8は、次のとおりである。 「[図2] [図:0001393553000001.jpg] [図8] [図:0001393553000002.jpg] 」 上記図8から、MMIカプラ42a、42bは導波路構造と同じハイメサ構造を有していること、電極43,44は位相変調導波路41aおよび 41bと平行で等距離にある線を基準とした線対称な形状となるよう配置された線状の配線であること、及び、MMIカプラ42a、42bは電極43,44と重畳しておらず当該電極の間に配置されていること、が見てとれる。 (イ)引用発明1について 上記(ア)によれば、引用文献1には、半導体光変調器について、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(なお、引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。)。 「導波路構造として、第1の実施形態である半導体によるハイメサ導波路構造を用いており、([0055]、図2) 前記第1の実施形態の導波路構造を用いたマッハツェンダ型光変調器であって、([0077]、図8) 入力光を2つに分岐する手段としてのMMIカプラ42aを有し、([0078]、図8) 前記MMIカプラ42aの出力端にはそれぞれ、前記第1の実施形態に導波路構造からなる位相変調導波路41aおよび41bが連結され、([0078]、図8) 基板上に形成された第1のn型半導体クラッド層の所定の領域に電極43が設けられ、位相変調導波路41aおよび41b上の所定の領域に電極44が設けられ、([0078]、図8) 前記電極43,44は位相変調導波路41aおよび41bと平行で等距離にある線を基準とした線対称な形状となるよう配置された線状の配線からなる進行波型電極構造であって、([0065]、図8) 位相変調導波路41aおよび41bの出力端はそれぞれ、2つの入力光を合波する手段としてのMMIカプラ42bの2つの入力端のそれぞれに連結され、([0078]、図8) MMIカプラ42aの一方の入力端から入力光が入力されると、該入力光はMMIカプラ42aにて2つに分岐され、分岐光のそれぞれは、位相変調導波路4laおよび4lbに導かれ、電極43および44により位相変調導波路41aおよび41bの位相変調領域に印加された電圧に基づいて、位相変調導波路41a、および41bを通過する分岐光の位相を変調し、変調された光は、MMI力プラ42bにて合波され、MMIカプラ42bの一方の出力端から出力され、([0079]、図8) MMIカプラ42a、42bは導波路構造と同じハイメサ構造を有し、(図8) MMIカプラ42a、42bは電極43,44と重畳しておらず当該電極43,44の間に配置されている、(図8) 半導体光変調器。」 イ 引用文献2 (ア)同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011―186258号公報(原査定の「引用文献2」。以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は光導波路素子に関し、特に、基板にマッハツェンダー型導波路を形成した光変調器あるいは光スイッチなどの光導波路素子に関する。」 「【0019】 本発明の光導波路素子について、以下に詳細に説明する。図3に示すように、本発明の光導波路素子は、基板にマッハツェンダー型導波路を形成した光導波路素子において、該マッハツェンダー型導波路の出射側の合波部(13)に入力される2つの導波路(11,12)の傾きが0度であり、該合波部の合波後の導波路がマルチモード導波路であり、さらに、該合波部から出力される導波路が、出力主導波路(14)とそれを挟む2本の出力副導波路からなる3分岐導波路で構成されることを特徴とする。」 「【0028】 本発明の光導波路素子に係る実施例について、図4乃至図6を用いて説明する。図4(a)は光導波路素子のMZ型導波路の合波部を含む部分の形状を示しており、図4(b)は、図4(a)の点線B部分の導波路の概略を示したものである。 【0029】 図4(a)に示すような合波部22に入力される2つの導波路は、MZ型導波路の分岐導波路20及び21で構成されている。区間αの導波路は、図4(a)に示すような曲線部分(左側部分)と、該曲線部分と滑らかに接続される直線部分(図4(b)に示す長さL1部分)から構成されている。分岐導波路20及び21の先端部分は、合波部22に接続されており、接続する直前部分には、図4(b)に示すように、2つの導波路の傾きが0度となるように、長さL1の平行な直線部分を有している。なお、平行な直線部分は、傾きが完全に0度であることが好ましいが、0.1度以下の誤差であれば、本発明と同様な効果が期待できる範囲として許容可能である。」 「【0034】 合波部の形状は、図4(a)に示すような台形状や図4(b)に示すような長方形状など種々の形状が採用可能であるが、合波部の入力側の接続部で分岐導波路と滑らかに接続し、合波部の出力側で出力副導波路と滑らかに接続するよう設定している。 【0035】 3分岐導波路は、出力主導波路23と出力副導波路24,25から構成される。出力副導波路の幅W4は、出力主導波路の幅W6よりも小さい導波路幅とし、例えば1~6μm程度としている。そして、出力副導波路には、高次モード光のみが伝搬されるよう設定されている。また、出力副導波路が出力主導波路となす角度θ1は、3分岐導波路側の不連続度を低減するため、2度以下の角度とすることが好ましい。また、入力側導波路の接続と同様に、入力部の傾きを0度とし、出力主導波路と平行に設定することも可能である。また、正弦波関数や3次関数など、合波部から出る部分のみを0度に設定可能な関数形状とすることも可能である。」 「【0039】 入力側の導波路と合波部との接続状態を、図4や図5のような形状とすることで、不要な高次モードの励起が抑制され、出力の消光比や、ON光とOFF光との光出力間の相補性を向上させることが可能となる。」 図4は、次のとおりである。 「【図4】 [図:0001393553000003.jpg] 」 (イ)上記(ア)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「マッハツェンダー型導波路の出射側の合波部に入力される2つの導波路と、該合波部の合波後の導波路がマルチモード導波路であり、さらに、該合波部から出力される導波路が、出力主導波路とそれを挟む2本の出力副導波路からなる3分岐導波路で構成され、(【0019】、図4) 該出力副導波路には、高次モード光のみが伝搬されるよう設定され、不要な高次モードの励起が抑制され、出力の消光比や、ON光とOFF光との光出力間の相補性を向上させることが可能となる(【0035】、【0039】) 光導波路素子。」 ウ 引用文献3 同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-170710号公報(原査定の「引用文献1」。以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。 「【0023】 図1は、本実施の形態1に係る光スイッチ100の模式的な平面図である。また、図2は、図1に示す光スイッチ100の半導体からなる部分のみを示した平面図である。図1、2に示すように、この光スイッチ100は、順次接続しているハイメサ型の導波路である入力導波路11、入力側MMI(多モード干渉器)12、入力側曲げ導波路13a、13b、位相変調導波路14a、14b、出力側曲げ導波路15a、15b、出力側MMI16、出力導波路17と、メサ構造を有するサポートメサ部18a~18gと、パッド電極27と、低反射コーティング膜29とを備えている。」 「【0030】 ここで、下部クラッド層21a、21bの突出高さについて説明する。入力導波路11などの直線導波路における下部クラッド層21aの突出高さd1の値は0.50μmである。その結果、特許文献1の場合と同様に、高次モードで伝播する光が導波路の長さの中で充分に減衰し、高次モードでの光の伝播が抑制される。 【0031】 一方、入力側曲げ導波路13a、13b、出力側曲げ導波路15a、15bにおける下部クラッド層21bの突出高さd2の値は1.00μmであり、直線導波路における下部クラッド層21aの突出高さd1よりも大きくなっている。その結果、基本モードで伝播する光の曲げ伝播損失が十分に抑制される。 【0032】 以下、具体的に説明する。一般に、導波路の曲げ伝播損失は、外界の屈折率と導波路のモード屈折率との差に依存し、この屈折率差が大きいほど曲げ伝播損失が小さくなることが知られている。ハイメサ型導波路ではコア層の両側面が屈折率の小さい空気で挟まれているために、幅方向の屈折率差が極めて大きい。したがって、従来、ハイメサ型導波路は曲げ伝播損失の低減に関して有利であり、曲げの曲率半径を小さくしても低伝播損失特性を示すと考えられてきた。 【0033】 しかしながら、高次モードで伝播する光が適切に放射し、減衰するように設計されたハイメサ型導波路においては、曲げ導波路とした場合の基本モードの曲げ伝播損失が実用上無視できない程度の大きさとなる。本発明者らは、その理由は、ハイメサ型導波路には、下部クラッド層の下に基板が存在しているためであると考えた。 ・・・(略)・・・ 【0037】 したがって、本実施の形態1係る光スイッチ100は、入力導波路11などの直線導波路における下部クラッド層21aの突出高さd1を0.50μmとするとともに、入力側曲げ導波路13a、13b、出力側曲げ導波路15a、15bにおける下部クラッド層21bの突出高さd2を1.00μmとし、突出高さd1よりも大きくすることにより、高次モードでの光の伝播が抑制されるとともに、基本モードで伝播する光の曲げ伝播損失が十分に抑制される。」 (イ)上記(ア)から、引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「ハイメサ型の導波路である入力導波路11、入力側MMI(多モード干渉器)12、入力側曲げ導波路、位相変調導波路、出力側曲げ導波路、出力側MMI、出力導波路と、を備えた光スイッチは、(【0023】) 高次モードの伝搬を抑制する課題を有している(【0030】、【0037】)技術的事項」 エ 引用文献4 (ア)同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2008/111342号(原査定の「引用文献7」。以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。 「[0010] 非特許文献1には、ハイメサ=リッジ構造について記載がある。このハイメサ=リッジ構造は、半導体MZ光強度変調器を構成する一対の光位相変調器領域のそれぞれが、n-InP上部クラッド層、SI-InP層、電子-重い正孔の各第1量子順位間の遷移波長が1370nmで厚さ0.3μmのアンドープInGaAlAs/InAlAs多重量子井戸コア層、n-InP下部クラッド層からなるn-SI-i-n積層構造がドライエッチング技術を用いて幅2μmでメサストライプ状に加工され、その両脇がSiN膜と低誘電率樹脂(ベンゾシクロブテン:BCB)で埋め込まれることにより形成されている。この構造は以下の理由で採用されていると考えられる。素子の小型化を図るうえで、光位相変調器領域と光合分波器とを滑らかに繋ぐ曲がり光導波路を形成することが課題となる。この曲がり光導波路における信号光放射に起因した損失をできるだけ抑えられるよう、光信号に対する光導波路としての横方向閉じ込め係数を大きくするために、ハイメサ=リッジ構造が採用される。 [0011] しかし、こうしたハイメサ=リッジ構造は一般に横方向光閉じ込め係数が高いが故に、逆に横方向高次モードでの信号光伝搬を招くことが懸念される。そのため、加工にあたっては光導波路幅(すなわちハイメサ=リッジ幅)の高精度な制御が求められる。光導波路で発生するこうした高次モード成分は曲がりや不連続にて放射波に結合し、結果として光変調特性の劣化や挿入損失の増加などを招く恐れがある。非特許文献1に開示されている光導波路は、1550nm帯において横方向に多モード光導波路と考えられ、上述の課題は無視できない。こうした懸念があるにもかかわらず敢えて光導波路幅が2μmに設定されているのは、このハイメサ=リッジ構造がこの幅の条件でしか、上述の速度整合条件とインピーダンス整合条件を同時に満足できないからである。」 (イ)上記(ア)から、引用文献4には、次の技術的事項(以下「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「半導体MZ光強度変調器において、([0010]) ハイメサ=リッジ構造は一般に横方向光閉じ込め係数が高いが故に、逆に横方向高次モードでの信号光伝搬を招くことが懸念される([0011])技術的事項。」 オ 引用文献5 (ア)本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014―48516号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。 「【0018】 本発明の光変調器は、厚さ20μm以下の基板に光導波路が形成され、該光導波路はマッハツェンダー型導波路と該マッハツェンダー型導波路の合波部から信号光を導波し該基板の外に出力するための出力導波路と、該信号光がオフ状態の時に該合波部から出力される放射光をモニタするモニタ手段とを有する光変調器において、該出力導波路を伝搬する放射光の一部を、該出力導波路から除去し、該基板の外に放出するための漏洩光除去手段を備えるため、モニタ出力で判定したバイアス点と、主出力の最適バイアス点が一致させることが可能となり、精度の高いバイアス制御が可能な光変調器を提供することが可能となる。」 「【0027】 漏洩光除去手段は、出力導波路の近傍に配置され、かつ、基板の端部近傍まで連続して形成されたスラブ導波路や、出力導波路の近傍に配置された光吸収材で構成することが可能である。スラブ導波路である場合には、他の光導波路を形成するプロセスに合わせて同時に形成することが可能であり、また、光吸収材を電極と同じ材料で構成する場合には、電極形成プロセスの少なくとも一部で、当該光吸収材を形成することが可能である。」 (イ)上記(ア)から、引用文献5には、次の技術的事項(以下「引用文献5に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「マッハツェンダー型導波路を有する光変調器において、(【0018】) 出力導波路にスラブ導波路からなる漏洩光除去手段を設ける(【0027】)技術的事項。」 カ 引用文献6 (ア)本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-323135号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。 「【0016】 このように、従来構造のMMI型光合流・分岐回路は、作製時の寸法誤差が生じた際に問題が生じやすいのみならず、パターン変換誤差が起きやすいという欠点を有していた。又、入力導波路数より出力導波路数が少ない合流回路においては、本質的に多くのパワーが反射されてしまうという問題もあった。」 「【実施例6】 【0053】 図13は、本発明に係る多モード干渉型光導波路の第6の実施例を示す図であり、4入力1出力の半導体MMI型光合流・分岐回路の上面図である。 図13に示すように、本実施例の半導体MMI型光合流・分岐回路は、光信号が入射される入力導波路1301~1304と、光信号が出射される出力導波路1306と、一方の端部に入力導波路1301~1304が接続されると共に他方の端部に出力導波路1306が接続され、入力導波路1301~1304及び出力導波路1306よりも導波路幅の広い多モード干渉領域1305と、多モード干渉領域1305の他方の端部に接続された多モード導波路1307、1308とを有する。入力導波路1301~1304、出力導波路1306及び多モード干渉領域1305からなる光導波領域の両側には、光閉じ込めするため、側壁に沿って、導波路領域のコア層よりも深く形成された溝1309、1310が形成されており、更に、溝1309、1310の外側にスラブ領域1311、1312が形成されている。ここで、入力導波路1301~1304及び出力導波路1306の幅は2μm、多モード干渉領域1305の幅及び長さは、それぞれ16μm及び134μmに設定した。動作原理は、図2に示した従来のものと同様である。図13に示したMMI型光合流・分岐回路の導波路のC-C’断面での断面構造は、導波路本数が4本になっていることを除けば、図6に示したものと同様である。 ・・・(略)・・・ 【0056】 更に、本実施例では図2に示した従来例における多モード干渉領域の終端部207に、複数の導波モードの存在が可能な多モード導波路1307、1308を、少なくとも2本設け、更に、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310を横切って、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に、多モード導波路を接続した構造であるため、従来例において多モード干渉領域の終端部207で反射されていた光が、多モード導波路1307、1308に導かれて、スラブ領域1311、1312に伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生しない。そのため、作製時にパターン変換誤差が生じたとしても、過剰損失が若干増加するだけで、反射のない光合流・分岐回路を提供することが可能となる。ここで、多モード導波路1307、1308の構造に関しては特に制約があるわけではない。複数の導波モードの存在を許容していれば、直線状であっても曲線状であってもかまわない。この多モード導波路は、導波路の側壁に沿って形成された溝1309、1310の幅の分だけ伝搬したところで、横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広い、スラブ領域1311、1312に接続されているため、光を吸収するための何らかの構造等に接続されていなくても、十分に光の反射を抑制することが可能である。」 「【0062】 上記実施例1乃至実施例7においては、導波路構造として、図16(a)に示すように、光導波領域の両側の側壁をコア層よりも深くエッチングした、所謂、ハイメサ構造の導波路を用いているが、光導波領域の両側のクラッド厚が光導波領域のクラッド厚よりも薄いような導波構造であれば同様な効果が期待できる。」 図13は、次のとおりである。 「【図13】 [図:0001393553000004.jpg] 」 (イ)上記(ア)から、引用文献6には、次の技術的事項(以下「引用文献6に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「MMI型光合流・分岐回路において、(【0053】) 従来構造のMMI型光合流・分岐回路は、作製時の寸法誤差が生じた際に問題が生じやすいのみならず、パターン変換誤差が起きやすいという欠点や、入力導波路数より出力導波路数が少ない合流回路においては、本質的に多くのパワーが反射されてしまうという問題があり、(【0016】) 導波路構造として、光導波領域の両側の側壁をコア層よりも深くエッチングした、所謂、ハイメサ構造の導波路を用い、(【0062】) 光信号が入射される複数の入力導波路と、光信号が出射される出力導波路と、一方の端部に入力導波路が接続されると共に他方の端部に出力導波路が接続され、入力導波路及び出力導波路よりも導波路幅の広い多モード干渉領域と、多モード干渉領域の他方の端部に接続された多モード導波路と、スラブ導波路と、を有し、(【0053】、図13) 横方向の閉じこめが実質上存在しない、もしくは十分に横幅の広いスラブ領域に、多モード導波路を接続した構造により、従来構造において多モード干渉領域の終端部で反射されていた光が多モード導波路に導かれてスラブ領域に伝搬することが可能となり、入力導波路を逆行するような反射が発生せず、十分に光の反射を抑制することが可能である(【0056】)技術的事項。」 (3) 対比 本件補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 本件補正発明の「2つのアーム導波路を有するマッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路」との特定事項について (ア)引用発明1の「位相変調導波路41aおよび41b」は、本件補正発明の「2つのアーム導波路」に相当する。 (イ)さらに、上記引用発明1の「位相変調導波路41aおよび41b」は「マッハツェンダ型光変調器」を構成するものであるから、引用発明1は本件補正発明の「マッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路」に相当する構成を備えている。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。 イ 本件補正発明の「入力光を前記2つのアーム導波路に分波する半導体で構成された1×2型のマルチモード干渉カプラ」との特定事項について (ア)引用発明1の「MMIカプラ42a」は、本件補正発明の「マルチモード干渉カプラ」に相当する。 (イ)引用発明1の上記「MMIカプラ42a」は、「入力光を2つに分岐する手段」であり、「出力端にはそれぞれ、前記第1の実施形態の導波路構造からなる位相変調導波路41aおよび41bが連結」されている。また、前記「MMIカプラ42a」は導波路構造と同じ構造を有することから半導体からなるものであることは明らかである。 そうすると、引用発明1の「MMIカプラ42a」は、本件補正発明の「入力光を前記2つのアーム導波路に分波する半導体で構成された1×2型」である構成を充足する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。 ウ 本件補正発明の「前記2つのアーム導波路からの光を合波する半導体で構成された2×1型のマルチモード干渉カプラ」との特定事項について (ア)引用発明1の「MMIカプラ42b」は、本件補正発明の「マルチモード干渉カプラ」に相当する。 (イ)引用発明1の「MMIカプラ42b」は、「2つの入力光を合波する手段」であり、「出力端にはそれぞれ、前記第1の実施形態の導波路構造からなる位相変調導波路41aおよび41bが連結」されるものである。また、前記「MMIカプラ42b」は導波路構造と同じ構造を有することから半導体からなるものであることは明らかである。 そうすると、引用発明1の「MMIカプラ42b」は、本件補正発明の「前記2つのアーム導波路からの光を合波する半導体で構成された2×1型」である構成を充足する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。 エ 本件補正発明の「前記1×2型のマルチモード干渉カプラおよび前記2×1型のマルチモード干渉カプラは、ハイメサ構造に形成され」との特定事項について 引用発明1の「MMIカプラ42a」及び「MMIカプラ42b」は、ハイメサ構造である第1の実施形態の導波路構造と同じ構造を有するものである。 よって、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。 オ 本件補正発明の「2つの前記マルチモード干渉カプラのうち前記2×1型のマルチモード干渉カプラにのみ高次モード光を放射させるためのスラブ型光導波路が接続され」との特定事項について 引用発明1は上記特定事項に該当する構成を備えていない点で、本件補正発明と相違する。 カ 本件補正発明の「前記位相変調手段は、線対称な形状となるよう配置された2つのストリップ線路を含む進行波型高周波配線であり、前記2つのストリップ線路の間に前記1×2型のマルチモード干渉カプラが設けられ、前記2つのストリップ線路は、前記1×2型のマルチモード干渉カプラと重畳せず、前記MZ型の光導波路に対して光変調信号を印加駆動することにより光に位相差を付与する」との特定事項について (ア)引用発明1の「進行波型電極構造」は、引用発明1の「進行波型高周波配線」に相当する。 (イ)引用発明1の「進行波型電極構造」は、「位相変調導波路41aおよび41bの位相変調領域」に電圧を印加し、「位相変調導波路41a、および41bを通過する分岐光の位相を変調」するものであるから、本件補正発明の「前記MZ型の光導波路に対して光変調信号を印加駆動することにより光に位相差を付与する」「位相変調手段」に相当する。 (ウ)引用文献1の「電極43,44」は「位相変調導波路41aおよび 41bと平行で等距離にある線を基準とした線対称な形状となるよう配置された線状」のものであるから、本件補正発明の「線対称な形状となるよう配置された2つのストリップ線路」に相当する。 (エ)引用発明1の「電極43,44」は「MMIカプラ42a、42b」と「重畳せず」に「間に挟む」ものであることは、本件補正発明の「前記2つのストリップ線路の間に前記1×2型のマルチモード干渉カプラが設けられ、前記2つのストリップ線路は、前記1×2型のマルチモード干渉カプラと重畳せず」に相当する。 (オ)上記(ア)~(エ)によれば、引用発明1は、本件補正発明の上記特定事項を満たしている。 キ 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「2つのアーム導波路を有するマッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路と、 入力光を前記2つのアーム導波路に分波する半導体で構成された1×2型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路からの光を合波する半導体で構成された2×1型のマルチモード干渉カプラと、 前記2つのアーム導波路を伝搬する光に位相差を付与するための位相変調手段とを備えた半導体マッハ・ツェンダ型光変調器であって、 前記1×2型のマルチモード干渉カプラおよび前記2×1型のマルチモード干渉カプラは、ハイメサ構造に形成され、 前記位相変調手段は、線対称な形状となるよう配置された2つのストリップ線路を含む進行波型高周波配線であり、前記2つのストリップ線路の間に前記1×2型のマルチモード干渉カプラが設けられ、前記2つのストリップ線路は、前記1×2型のマルチモード干渉カプラと重畳せず、前記MZ型の光導波路に対して光変調信号を印加駆動することにより光に位相差を付与することを特徴とする半導体マッハ・ツェンダ型光変調器。」 【相違点】 本件補正発明は「2つの前記マルチモード干渉カプラのうち前記2×1型のマルチモード干渉カプラにのみ高次モード光を放射させるためのスラブ型光導波路が接続され」るのに対して、引用発明1は相当する構成を有さない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点について (ア)引用発明1,2及び周知技術に基づく判断 a 引用文献3~6に記載された技術的事項から、マッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路において、出力側において高次モードの光を除去する課題は周知な課題であり、当該高次モード光除去の手段としてスラブ導波路を用いることは周知技術と認められる。 b 引用発明1もマッハ・ツェンダ(MZ)型の光導波路を有していることから、上記出力側において高次モードの光を除去する周知な課題を有していることは当業者には明らかである。 引用発明1において、当該課題を解決するために引用発明2の合波部に高次モード光のみが伝搬されるよう設定された2本の出力副導波路を形成する2×1型のマルチモード干渉カプラに採用することに格別の困難性はない。当該2本の出力副導波路として周知技術のスラブ導波路を選択することは当業者が適宜なしうるものである。 c よって、引用発明1において、引用発明2及び引用文献3~5に記載された技術的事項から認定される周知技術に基づいて、上記相違点に係る発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到しうるものである。 (イ)引用発明1及び引用文献6に記載された技術的事項に基づく判断 a 引用発明1の「MMIカプラ42b」と引用文献6に記載された「MMI型分岐回路」は、ともにハイメサ構造の光導波路で構成され、かつ、入力された光信号を複数に分岐する機能を果たすものであることから、両者は構造及び機能の観点から同じものである。 引用文献6に記載された技術的事項から、引用発明1の「MMIカプラ42b」は、構造に起因する問題である「作製時の寸法誤差が生じた際に問題が生じやすいのみならず、パターン変換誤差が起きやすいという欠点」、及び、機能に起因する問題である「入力導波路数より出力導波路数が少ない合流回路においては、本質的に多くのパワーが反射されてしまうという問題」を有していることは当業者には明らかである。 b 引用発明1において、上記問題を解決するために、引用文献6に記載された技術的事項に基づいて、MMIカプラ42bとして、多モード導波路及びスラブ導波路が接続されたものを採用し、上記相違点に係る発明の構成をなすことは、当業者が容易に想到しうるものである。 イ 上記相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1、引用発明2、引用文献6に記載された技術的事項及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 ウ 小括 本件補正発明は、以上のとおり、引用発明1、2及び引用文献3~5に記載された技術的事項から認定される周知技術や、引用発明1及び引用文献6に記載された技術的事項、に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 本件補正についてのむすび 本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年6月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった原査定の引用文献6に記載された発明及び原査定の引用文献2に記載された発明、原査定の引用文献1,7に記載された技術的事項から認定される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 原査定の引用文献6:国際公開第2006/095776号(上記第2の引用文献1) 原査定の引用文献2:特開2011-186258号公報 (上記第2の引用文献2) 原査定の引用文献1:特開2009-170710号公報 (上記第2の引用文献3) 原査定の引用文献7:国際公開第2008/111342号(上記第2の引用文献4) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された上記原査定の引用文献1,2,6及び7の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「スラブ導波路」に係る限定事項を「高次モード光放射手段」に上位概念化したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、原査定の引用文献6に記載された発明及び原査定の引用文献2に記載された発明、原査定の引用文献1,7に記載された技術的事項から認定される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1、引用発明2及び原査定の引用文献1、7の記載された技術的事項から認定される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-008484

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