特許拒絶査定不服審判
2024-003797
操作支援装置、操作支援方法および操作支援プログラム
- 審判番号
- 2024-003797
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-522483
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本電信電話株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 岡北 有平
- 審判官 木方 庸輔
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q) / P18 .575-WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-522483「操作支援装置、操作支援方法および操作支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年11月18日国際公開、WO2021/229810〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)5月15日を国際出願日とする特願2022-522483号に係る特許出願であり、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和5年 7月10日付け 拒絶理由通知
同年 9月13日 意見書・手続補正書の提出
同年10月23日付け 拒絶査定
令和6年 3月 4日 審判請求書・手続補正書の提出
同年 5月27日作成 前置報告
同年10月 1日 上申書の提出
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年3月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は本件補正により変更された箇所を示す。
(本件補正後の特許請求の範囲)
「【請求項1】
ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部と、
取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作の参照情報が記載されたサイトのURLとを特定する特定部と、
前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記参照情報が記載されたサイトのURLとを前記ユーザに対して表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする操作支援装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年9月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
(本件補正前の特許請求の範囲)
「【請求項1】
ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部と、
取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作を支援する支援情報とを特定する特定部と、
前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記支援情報とを前記ユーザに対して表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする操作支援装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「特定部」を特定するために必要な事項である「・・・入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作を支援する支援情報・・・」を本件補正により「・・・入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作の参照情報が記載されたサイトのURL・・・」とする補正事項(以下「補正事項1」という。)、及び、本件補正前の請求項1に記載された発明の「表示制御部」を特定するために必要な事項である「・・・前記支援情報・・・」を本件補正により「・・・前記参照情報が記載されたサイトのURL・・・」とする補正事項(以下「補正事項2」という。)を含むものである。
上記補正事項1は、本件補正前の「ユーザの操作を支援する支援情報」の内容を本願明細書の段落【0034】に記載されているように「ユーザの操作の参照情報が掲載されたサイトのURL」に具体的に特定するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記補正事項2は、補正事項1によって補正された事項と文言の整合性を採るものであるから、補正事項1と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献1(特開2012-256155号公報)
(ア)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-256155号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。なお、下線は当審にて付与した。
「【0001】
この発明は、例えば銀行などの窓口業務におけるオペレーターの入力作業を支援するような入力支援装置、入力支援システム、及び入力支援方法に関する。」
「【0014】
図1に示すように、入力支援装置10は、本体11、キーボード12aとマウス12bからなる入力操作部12(情報入力手段)、及びモニター13(表示手段)で構成している。そして、入力支援装置10は通信回線2を介してサーバー20と接続している。
【0015】
詳述すると、入力支援装置10は、金融機関窓口でオペレーターが直接操作する装置であって、図2に示すように、入力操作部12、モニター13、端末記憶部14、回線接続部15、端末制御部16、及び通帳機構部17で構成している。
【0016】
入力操作部12は、キーボード12a、及びマウス12bで構成し、オペレーターによる入力操作を受付ける機能を有している。
モニター13は、CRT、あるいは液晶ディスプレイなどで構成し、各種情報を表示する機能を有している。」
「【0019】
端末制御部16は、CPU、メモリ、及びプログラム等で構成し、オペレーターが入力支援装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有している。」
「【0023】
このような構成の入力支援装置10とサーバー20において、入力支援装置10は、ワークフロー情報30(ワークフロー情報)に基づいてメインフロー(入力段階)、及びサブフロー(入力段階)ごとに分割構成した所定の入力項目(所定の情報)に対応する入力支援情報(入力支援情報)をモニター13に表示してオペレーターの入力を支援する、あるいは所定の入力項目を一括してモニター13に表示してオペレーターの入力を支援する。」
【0024】
ここで、ワークフロー情報30、及びモニター13に表示される入力支援情報について、図3、及び図4を用いて説明する。
なお、図3はワークフロー情報30に格納しているワークフローのフローチャートを示し、図4は入力支援情報をモニター13に表示した入力支援画面の画面構成図40を示している。
【0025】
ワークフロー情報30は、個人情報や入出金額などの所定の入力項目を入力作業手順、所謂ワークフローに基づいて分割して、オペレーターに対して段階的に入力指示可能に構成したものであって、入力支援装置10で利用可能な情報に変換している。その一例として、ワークフロー情報30は、図3に示すように、1つの取引における入力作業手順を分割構成したメインフローと、メインフローをさらに分割構成したサブフローとで構成している。」
「【図4】
[図:0001422138000001.jpg]
」
「【0029】
また、入力支援情報としてモニター13に表示した入力支援画面の画面構成図40は、図4に示すように、画面上部を上下に分割した上部表示範囲のメインフロー表示部5、メインフロー表示部5の下側表示範囲を左寄りで左右に分割した左部画面範囲のサブフロー表示部6、及び右部表示範囲の作業内容表示部7で構成している。
【0030】
メインフロー表示部5には、ワークフロー情報30におけるメインフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示している。なお、図4では、第1処理が現在の入力段階であることを示している。
【0031】
サブフロー表示部6には、メインフロー表示部5に別色表示している現在の入力段階に対応するサブフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示している。なお、図4では、第1-a処理が現在の入力段階であることを示している。
【0032】
作業内容表示部7には、サブフロー表示部6に別色表示している現在の入力段階に対応する入力項目を表示している。なお、図4では、第1-a処理に対応する入力項目を表示している。また、作業内容表示部7には、入力項目に対応する注意事項やヘルプなどを同時に表示してもよい。」
「【0037】
ここで、図5のステップS101において、入力支援装置10の端末制御部16は、オペレーターの操作によって入力方法切換ボタン59が押下されたか否かを判定する(ステップS102)。オペレーターが入力方法切換ボタン59を押下せずに(ステップS102:No)、新規口座開設手続きボタン51を押下すると、端末制御部16は、入力支援情報を表示して段階的にオペレーターの入力作業を支援する段階入力処理を開始する。そして、入力支援情報として個人情報入力画面60をモニター13に表示する(ステップS103)。
【0038】
この個人情報入力画面60は、図7に示すように、メインフロー表示部5に「個人情報入力」、「通帳/カード作成」、及び「入金手続き」の順番からなるメインフローを表示するとともに、現在の入力段階である「個人情報入力」をオペレーターが識別可能に別色表示している。
【0039】
また、サブフロー表示部6には、メインフロー表示部5に別色表示した「個人情報入力」段階に対応する「住所氏名入力」、及び「詳細情報入力」の順番からなるサブフローを表示している。さらに、現在の入力段階である「住所氏名入力」をオペレーターが識別可能に別色表示している。
【0040】
作業内容表示部7には、サブフロー表示部6に別色表示した「住所氏名入力」段階に対応する入力項目を表示している。
詳述すると、作業内容表示部7の上部に現在の入力段階を示す「住所氏名入力」と、「住所・氏名を入力し、確定キーを押してください」という操作案内のメッセージを表示している。また、その下部に顧客の住所を入力する住所欄61、及び氏名を入力する氏名欄62を画面上下に並べて表示している。さらに、作業内容表示部7の右下には確定ボタン69を表示している。
【0041】
図5のステップS103において、オペレーターが住所欄61、及び氏名欄62に入力して確定ボタン69を押下すると、端末制御部16は、段階入力処理を「詳細情報入力」段階に移行する。そして、詳細情報入力画面(図示省略)として、サブフロー表示部6の別色表示を「詳細情報入力」に変更するとともに、作業内容表示部7に「詳細情報入力」段階に対応する入力項目と、確定ボタンを表示する。
【0042】
その後、オペレーターが詳細情報入力画面の確定ボタンを押下すると、端末制御部16は、メインフローの「個人情報入力」段階における入力が完了しているか否かを判定する(ステップS104)。」
「【図7】
[図:0001422138000002.jpg]
」
(イ)引用文献1に記載されているといえる事項
a 段落【0015】の記載事項を踏まえると、引用文献1には「入力操作部12、モニター13、端末記憶部14、回線接続部15、端末制御部16、及び通帳機構部17で構成される入力支援装置10」が記載されているとえる。
b 段落【0029】、図7の記載事項を踏まえると、引用文献1には「入力支援情報としてモニター13に表示した入力支援画面は、画面上部を上下に分割した上部表示範囲のメインフロー表示部5、メインフロー表示部5の下側表示範囲を左寄りで左右に分割した左部画面範囲のサブフロー表示部6、及び右部表示範囲の作業内容表示部7で構成されている」との事項が記載されているといえる。
c 段落【0037】~【0042】、図7の記載事項を踏まえると、引用文献1には「端末制御部16は、入力支援情報を表示して段階的にオペレーターの入力作業を支援する段階入力処理を実行する機能も備え、当該段階入力処理は、例えば、作業内容表示部7に表示される新規口座開設手続きボタン51がオペレーターの操作によって押下されると該当する処理を開始すること、作業内容表示部7の右下に表示される確定ボタン69がオペレーターの操作によって押下されると入力処理を次段階へ移行する等の処理を含むものである」との事項が記載されているといえる。
(ウ)引用文献1に記載された発明(引用発明)
上記(ア)及び(イ)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「入力操作部12、モニター13、端末記憶部14、回線接続部15、端末制御部16、及び通帳機構部17で構成される入力支援装置10であって、(上記(イ)a)
入力支援装置10は、ワークフロー情報30(ワークフロー情報)に基づいてメインフロー(入力段階)、及びサブフロー(入力段階)ごとに分割構成した所定の入力項目(所定の情報)に対応する入力支援情報(入力支援情報)をモニター13に表示してオペレーターの入力を支援し、(【0023】)
端末制御部16は、CPU、メモリ、及びプログラム等で構成し、オペレーターが入力支援装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有し、(【0019】)
ワークフロー情報30は、1つの取引における入力作業手順を分割構成したメインフローと、メインフローをさらに分割構成したサブフローとで構成しており、(【0025】)
入力支援情報としてモニター13に表示した入力支援画面は、画面上部を上下に分割した上部表示範囲のメインフロー表示部5、メインフロー表示部5の下側表示範囲を左寄りで左右に分割した左部画面範囲のサブフロー表示部6、及び右部表示範囲の作業内容表示部7で構成されており、(上記(イ)b)
メインフロー表示部5には、ワークフロー情報30におけるメインフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示し、(【0030】)
サブフロー表示部6には、メインフロー表示部5に別色表示している現在の入力段階に対応するサブフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示し、(【0031】)
作業内容表示部7には、サブフロー表示部6に別色表示している現在の入力段階に対応する入力項目を表示し、入力項目に対応する注意事項やヘルプなどを同時に表示してもよく、(【0032】)
また、端末制御部16は、入力支援情報を表示して段階的にオペレーターの入力作業を支援する段階入力処理を実行する機能も備え、当該段階入力処理は、例えば、作業内容表示部7に表示される新規口座開設手続きボタン51がオペレーターの操作によって押下されると該当する処理を開始すること、作業内容表示部7の右下に表示される確定ボタン69がオペレーターの操作によって押下されると入力処理を次段階へ移行する等の処理を含むものである、(上記(イ)c)
入力支援装置10。」
イ 引用文献2(特開2017-27283号公報、拒絶査定の引用文献3)
(ア)引用文献2の記載事項
同じく原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された本願出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-27283号公報(拒絶査定時の引用文献3。以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当審にて付与した。
「【0002】
複合機(複写機、プリンタ、スキャナ等の機能を兼ね備えた装置)等の画像形成装置において、操作マニュアルや障害対処マニュアル等のヘルプ情報を電子化して記憶し、付属の画面に表示することが行われている。・・・(以降省略)」
「【0020】
管理装置200は、ヘルプDB(データベース)210、ヘルプ提供部220、ヘルプ移行処理部230、管理情報DB240を有する。
【0021】
ヘルプDB210は、ヘルプ情報を保持するデータベースである。ヘルプDB210には、多数のヘルプ項目が記憶されている。個々のヘルプ項目は、それぞれ、その項目を一意に識別するヘルプIDと、その項目についてのヘルプ情報の内容であるヘルプ内容とを含んでいる。ヘルプ内容は、当該ヘルプ項目の話題に対応するヘルプ記事の内容であり、例えば、画像形成装置100のある特定の操作についての操作方法の説明や、特定のエラーに対する対処方法の説明等である。」
「【0023】
ヘルプ提供部220は、画像形成装置100のヘルプ取得部114からヘルプ取得要求を受け取り、これに応じて画像形成装置100にヘルプ項目を送信する。例えば、ヘルプ提供部220は、取得したいヘルプIDを指定したヘルプ取得要求を受け取ると、そのヘルプIDに対応するヘルプ項目をヘルプDB210から読み出し、その画像形成装置100に返信する。」
「【0031】
ヘルプUI部112は、ユーザにヘルプ情報を表示又は印刷するためのUI処理を行う。例えばヘルプUI部112は、ヘルプの目次情報を画像形成装置100の画面に表示する。表示された目次の中からユーザが詳細情報を見たい項目の見出しを選択すると、ヘルプUI部112は、選択された見出しに対応するヘルプ項目をヘルプキャッシュ116から探す。目的のヘルプ項目がヘルプキャッシュ116内から見つかった場合は、そのヘルプ項目のヘルプ内容を画面に表示等する。見つからなかった場合は、ヘルプ取得部114にそのヘルプ項目を管理装置200から取得させる。そして取得されたヘルプ項目を画面表示する。ヘルプUI部112は、ユーザの指示に応じて、ヘルプ内容を画面表示する代わりに、又はこれに加えて、ヘルプ内容を印刷出力してもよい。またヘルプUI部112は、画像形成装置100にてエラーが生じた場合に、そのエラーに関するヘルプ項目を画面表示する。」
「【0043】
図7に、この想定事例における移行元の画像形成装置100Aの画面・ヘルプツリー情報(図2では符号242)の内容を例示する。図中「画面ツリー」の列の各行には、それぞれ各操作画面の画面IDと表題が示されている。この例では画面IDは4桁の整数である。操作画面は3階層(記載を省略したホーム画面を入れると4階層)からなるツリー構造をなしており、画面IDの最上位桁(4桁目)が1階層目の分類を、その次の桁が2階層目の分類を、そしてその次の2桁が3階層目の分類を表している。例えば、画面ID「1000」の(メインの)設定画面上には、画面ID「1100」のネットワーク設定画面や画面ID「1200」のセキュリティ設定画面を呼び出すためのボタンやタブ等のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)部品が表示され、そのGUI部品を選択することで、所望の種類の設定画面が呼び出される構成となっている。ヘルプ画面(ヘルプ項目)は、操作画面に対応しているので、操作画面の画面IDと同じ値のヘルプIDで識別される。また図中「ヘルプ情報ファイル」の列の各行には、それぞれ当該行のID(画面ID=ヘルプID)に対応するヘルプ画面(ヘルプ項目)の内容を表すファイルのファイル名が示されている。例えば、全機種のヘルプ情報を保持している管理装置200のヘルプDB210が、管理装置200のファイルシステム内で「/helpfile」というパスのフォルダであり、そのフォルダ内には、機種Aの場合は「/helpfile/device-type-A」というように機種ごとにフォルダが用意されているとする。この場合、機種Aの「ネットワーク設定」画面についてのヘルプ画面のファイルは、「/helpfile/device-type-A/1100.help」というパスで表される。なお、「.help」という拡張子はあくまで説明のためのものであり、実際にはヘルプ項目のファイルはXML(eXtensible Markup Language)形式やHTML(Hypertext Markup Language)形式等の形式で表現されている。」
(イ)引用文献2に記載された技術事項
上記(ア)で摘記した事項を踏まえると、引用文献2には、「ヘルプ情報を電子化してデータベースに記憶し、ヘルプの目次情報を画面に表示し、ユーザが選択した見出しに対応するヘルプ項目をデータベースから取得して表示する」、「各ヘルプ項目のファイルを所定のパス(例えば、「/helpfile/device-type-A/1100.help」というパス)で特定する」との技術事項が記載されている。
(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
ア 「ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部」について
引用発明の「オペレーター」は、入力操作部12を介して入力操作を行い、入力支援装置を操作する者であるから、本件補正発明の「ユーザ」に相当する。
本件補正発明の「操作情報」について、本願明細書の段落【0019】には、「操作情報とは、端末上で起動しているアプリケーションに関する情報、端末制御に関する情報、および端末が備えるセンサから取得できる情報のうち、いずれか1つ以上である。端末制御に関する情報とは、例えば、どのアプリを起動しているか等である。また、端末上で起動しているアプリケーションに関する情報とは、例えば、ユーザ操作、表示するデータ、開いているページのURL等である。また、端末が備えるセンサから取得できる情報とは、例えば、画像、GPS、加速度、音声等である。」と記載されている。
一方、引用発明においては、「端末制御部16は、入力支援情報を表示して段階的にオペレーターの入力作業を支援する段階入力処理を実行する機能も備え、当該段階入力処理は、例えば、作業内容表示部7に表示される新規口座開設手続きボタン51がオペレーターの操作によって押下されると該当する処理を開始すること、作業内容表示部7の右下に表示される確定ボタン69がオペレーターの操作によって押下されると入力処理を次段階へ移行する等の処理を含むもの」であり、当該「新規口座開設手続きボタン51がオペレーターの操作によって押下される」ことや「確定ボタン69がオペレーターの操作によって押下される」ことは、オペレーターの操作情報といえるものであるから、本件補正発明の「ユーザの操作情報」に相当する。また、引用発明の「作業内容表示部7」は、モニター13に表示した入力支援画面に表示されるものであるから、前記「入力支援画面」は本件補正発明の「ユーザが操作する画面」に相当する。
そうすると、引用発明の「端末制御部16」は、入力支援画面上で該オペレーターの操作情報を取得しているといえる。
してみると、引用発明の「端末制御部16」は、本件補正発明の「取得部」に対応する機能を備える構成であるから、本件補正発明の「ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部」に相当する。
イ 「取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作の参照情報が記載されたサイトのURLとを特定する特定部」について
引用発明には、「ワークフロー情報30は、1つの取引における入力作業手順を分割構成したメインフローと、メインフローをさらに分割構成したサブフローとで構成しており、 ・・・途中省略・・・ メインフロー表示部5には、ワークフロー情報30におけるメインフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示し、サブフロー表示部6には、メインフロー表示部5に別色表示している現在の入力段階に対応するサブフローを順番に一覧表示するとともに、現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示し、作業内容表示部7には、サブフロー表示部6に別色表示している現在の入力段階に対応する入力項目を表示し、入力項目に対応する注意事項やヘルプなどを同時に表示してもよい」旨特定されており、前記「メインフロー」及び「サブフロー」は、いずれも本件補正発明における「所定の作業フロー」に相当する。
また、引用発明のメインフロー表示部5及びサブフロー表示部6は、それぞれ「現在の入力段階をオペレーターが識別可能に別色表示する」のであるから、前記「(別色表示されている)現在の入力段階」は、本件補正発明の「(所定の作業フローにおける)進捗状況」に相当する。ここで、前記「(別色表示されている)現在の入力段階」は、上記「ア」で言及したように、端末制御部16が取得したオペレ-ターの操作情報を用いて特定されていることは明らかである。
さらに、引用発明においては「作業内容表示部7には、サブフロー表示部6に別色表示している現在の入力段階に対応する入力項目を表示し、入力項目に対応する注意事項やヘルプなどを同時に表示してもよく」とされており、前記「別色表示している現在の入力段階に対応する入力項目」は、本件補正発明の「進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目」に相当する。
ここで、前記「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」は、オペレーターが現在の入力段階に対応する入力項目に必要事項を入力する際のオペレーターの操作の支援情報といえるものである。
そして、引用発明の「端末制御部16」は「CPU、メモリ、及びプログラム等で構成し、オペレーターが入力支援装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有し」ていることを踏まえると、前記「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」の支援情報を特定する処理についても、引用発明の端末制御部16が実行していることは明らかである。
してみると、引用発明の「端末制御部16」は、本件補正発明の「特定部」に対応する機能を備える構成であるから、本件補正発明と引用発明は、「取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作の支援情報とを特定する特定部」を備えるという点で共通している。
一方、両発明において共通する事項である「支援情報」について、本件補正発明の「特定部」は「前記ユーザの操作の参照情報が記載されたサイトのURL」と特定しているのに対し、引用発明の「端末制御部16」は「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」を表示させているという点において相違している。
ウ 「前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記参照情報が記載されたサイトのURLとを前記ユーザに対して表示させる表示制御部」について
上記ア及びイで言及した事項を踏まえると、引用発明は、「モニター13に表示した入力支援画面を通して「メインフロー及びサブフロー」(本件補正発明の「作業フロー」に相当)と「(別色表示されている)現在の入力段階」(本件補正発明の「(所定の作業フローにおける)進捗状況」に相当)と「支援情報」とをオペレーターに対して表示させて」いる。
そして、引用発明の「端末制御部16」は「CPU、メモリ、及びプログラム等で構成し、オペレーターが入力支援装置10を操作して取引を行う取引操作等の各種処理機能や、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する制御機能を有し」ていることを踏まえると、上記入力支援画面に対しての表示制御に係る処理を実行しているのは「端末制御部16」であることは明らかである。
してみると、引用発明の「端末制御部16」は、本件補正発明の「表示制御部」に対応する機能を備える構成であるから、本件補正発明と引用発明は、「前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記支援情報とを前記ユーザに対して表示させる表示制御部」を備えるという点で共通している。
一方、両発明において共通する事項である「支援情報」について、本件補正発明の「表示制御部」は、表示する内容として「前記参照情報が記載されたサイトのURL」と特定しているのに対し、引用発明の「端末制御部16」は、「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」を表示させているという点において相違している。
エ 「操作支援装置」について
引用発明の「入力支援装置10」は、オペレーターによる入力操作を支援するものであるから、本件補正発明の「操作支援装置」と称し得るものである。
(4)一致点及び相違点
上記(3)で対比したとおり、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部と、
取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作の支援情報とを特定する特定部と、
前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記支援情報とを前記ユーザに対して表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする操作支援装置。
(相違点1)
両発明において共通する事項である「支援情報」について、本件補正発明の「特定部」は「前記ユーザの操作の参照情報が記載されたサイトのURL」と特定しているのに対し、引用発明の「端末制御部16」は「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」を表示させているという点。
(相違点2)
両発明において共通する事項である「支援情報」について、本件補正発明の「表示制御部」は、表示する内容として「前記参照情報が記載されたサイトのURL」と特定しているのに対し、引用発明の「端末制御部16」は、「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」を表示させているという点。
(5)判断
相違点1及び2は、いずれも、両発明において共通する事項である「支援情報」に関する事項であるから、両相違点をまとめて検討する。
引用発明の「作業内容表示部7」には「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」が表示されており、当該「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」は、オペレーターが入力項目に対して入力作業を行う際に支援が必要な場合に参照するために利用するものであり、本件補正発明の「ユーザの操作の参照情報」に相当するものであることは明らかである。
また、引用発明においては、当該「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」の表示態様に関して如何なる態様で表示しているのか特定されていないものの、ヘルプ情報の表示態様として、上記(2)イで言及したような「ヘルプ情報を電子化してデータベースに記憶し、ヘルプの目次情報を画面に表示し、ユーザが選択したヘルプ項目をデータベースから取得して表示する」との表示態様、「ユーザからの操作により対応する項目を順次選択してヘルプ情報を表示する」との表示態様(必要ならば、特開2019-8663号公報)、「ヘルプファイルを格納したベースディレクトリを含むヘルプファイルのリンクURLを付したヘルプボタンを表示する」との表示態様(必要ならば、特開2005-259003号公報)など、様々な表示態様が本願出願前において周知である。
さらに、ヘルプ情報の格納先を特定するために、上記(2)イで言及したような「各ヘルプ項目のファイルを所定のパス(例えば、「/helpfile/device-type-A/1100.help」というパス)で特定する」との技術事項や「ヘルプ情報の格納先を示す情報としてURLが用いられる」との技術事項(必要ならば、特開2005-259003号公報の段落【0017】、特開2018-192754号公報の段落【0018】等)も本願出願前において周知である。
ここで、上記周知の事項を踏まえると、引用発明の「作業内容表示部7」に表示する「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」の具体的内容及び表示態様をどのようにするかは、利用者の利便性、表示する注意事項やヘルプの情報量、注意事項やヘルプなどに利用できる表示画面のスペースなどの様々な事情に応じて決定される事項である。
してみると、引用発明において「入力項目に対応する注意事項やヘルプなど」を本件補正発明のように「参照情報が記載されたサイトのURL」として特定・表示することは、当業者であれば容易になし得たことである。
また、本願発明の奏する作用効果は、上記相違点1及び2を総合的に勘案しても、引用発明及び周知技術による作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について1 本願発明
令和6年3月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年9月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2」の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2012-256155号公報
引用文献2:特開2008-139980号公報
引用文献3:特開2017-27283号公報
引用文献4:特開2011-70269号公報
3 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び3の記載事項は、上記「第2」の[理由]2(2)に記載したとおりである。また、引用文献1(特開2012-256155号公報)に記載された発明(引用発明)は、前記第2の2(2)ア(ウ)のとおりのものである。
4 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)「ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部」について
上記「第2」の2(3)アのとおりであるから、引用発明の「端末制御部16」は、本願発明の「取得部」に対応する機能を備える構成であるから、本願発明の「ユーザが操作する画面上で該ユーザの操作情報を取得する取得部」に相当する。
(2)「取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作を支援する支援情報とを特定する特定部」について
上記「第2」の2(3)イで検討した事項から相違点として言及した点を除いたとおりであって、つまり、引用発明の「端末制御部16」は、本願発明の「特定部」に対応する機能を備える構成であるから、本願発明の「取得された前記操作情報を用いて、所定の作業フローにおける進捗状況と、前記進捗状況に応じて、入力中の操作の対象となる項目に対応する前記ユーザの操作を支援する支援情報とを特定する特定部」に相当する。
(3)「前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記支援情報とを前記ユーザに対して表示させる表示制御部」について
上記「第2」の2(3)ウで検討した事項から相違点として言及した点を除いたとおりであって、つまり、引用発明の「端末制御部16」は、本願発明の「表示制御部」に対応する機能を備える構成であるから、本願発明の「前記作業フローと特定された前記進捗状況と前記支援情報とを前記ユーザに対して表示させる表示制御部」にも相当する。
(4)「操作支援装置」について
上記「第2」の2(3)エのとおりであり、引用発明の「入力支援装置10」は、オペレーターによる入力操作を支援するものであるから、本願発明の「操作支援装置」と称し得るものである。
(5)まとめ
上記(1)~(4)で検討したとおり、本願発明と引用発明はその構成において相違しているとはいえない。
5 判断
上記「4 対比」で検討したとおり、本願発明と引用発明はその構成において相違しているとはいえないから、本願発明は引用文献1に記載された発明(引用発明)である。
したがって、特許法特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
また、仮に、本願発明の「支援情報」が本願明細書の段落【0034】において例示されている「ユーザの操作の参照情報を示すテキストデータや、参照情報が掲載されたサイトのURL等」を意図しているとしても、上記「第2」の「2 補正の適否」で検討したとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 審判請求人の主張について
審判請求人が審判請求書の3(2)において主張している点については、上記「第2」の「2 補正の適否」で検討したとおりであるから採用できない。
なお、令和5年9月13日に提出された意見書における主張についても上記「第3」の「4 対比」で検討したとおりであるから採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号、及び、同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-003797