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特許拒絶査定不服審判

2021-007365

電池モジュール

審判番号
2021-007365
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-007550外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月07日
審決日
2022年08月09日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01M) / P18 .575-Z (H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 7550「電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 1日出願公開、特開2019-128979〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成30年1月19日に出願したものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年12月 8日付け:拒絶理由通知
令和 3年 2月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 3月 3日付け:拒絶査定
令和 3年 6月 7日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年6月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年6月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を次のとおり補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。

「 【請求項1】
複数の単電地が積層された積層体と、
前記積層の方向に荷重をかけて前記積層体を拘束する拘束部材と、
前記拘束部材によって前記積層体とともに前記積層方向に拘束される変位調整部材であって、該積層体に含まれるいずれか二つの単電地間の間隙、該積層体の積層方向の一方の端部および他方の端部のうちの少なくとも一箇所に配置される変位調整部材と、
を備えた電池モジュールであって、
前記変位調整部材は、積層方向に弾性変位可能な第1の弾性体および第2の弾性体を少なくとも備えており、
前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きい金属製のばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が前記第1の弾性体よりも相対的に小さいゴム若しくは合成樹脂によって構成されており、
ここで、前記積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態における該積層体の積層方向の基準長さX0から該積層体が膨張して第1の長さX1に至るまでは、前記第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御され、且つ、該積層体がさらに膨張して前記X1から第2の長さX2に至るまでは、前記第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御されることを特徴とする、電池モジュール。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和3年2月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
複数の単電地が積層された積層体と、
前記積層の方向に荷重をかけて前記積層体を拘束する拘束部材と、
前記拘束部材によって前記積層体とともに前記積層方向に拘束される変位調整部材であって、該積層体に含まれるいずれか二つの単電地間の間隙、該積層体の積層方向の一方の端部および他方の端部のうちの少なくとも一箇所に配置される変位調整部材と、
を備えた電池モジュールであって、
前記変位調整部材は、積層方向に弾性変位可能な第1の弾性体および第2の弾性体を少なくとも備えており、
前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が相対的に小さい金属、合金、ゴム若しくは合成樹脂によって構成されており、
ここで、前記積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態における該積層体の積層方向の基準長さX0から該積層体が膨張して第1の長さX1に至るまでは、前記第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御され、且つ、該積層体がさらに膨張して前記X1から第2の長さX2に至るまでは、前記第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御されることを特徴とする、電池モジュール。」

2 補正の適否

請求項1に係る本件補正は、以下の補正事項を含むものである。

ア 本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ばね」について「金属製の」との限定を付加する。

イ 本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2の弾性体」について、弾性変位量が「第1の弾性体」よりも「小さ」く、かつ、材料を「ゴム若しくは合成樹脂」に限定する。

上記補正事項ア、イは、本件補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正による請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項、引用発明

折りたたみ中(クリックで表示)

ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献(韓国公開特許第10-2017-0038300号公報)には、図面とともに、次の記載がある。また、当審における仮訳を付記する。(下線は当審で付加した。)。

「
[図:0001388830000001.jpg]
」(当審仮訳:[0001]本発明は二次電池に関する。)
「
[図:0001388830000002.jpg]
」(当審仮訳:[0007]電気自動車に入るリチウムイオン電池の場合、電気エネルギーを充電、放電して使用することができ、正極、負極、分離膜、電解液で構成されたパウチ型形状に製造される。パウチ型リチウムイオン電池は、基本単位である電池セル(Cell)を外部の衝撃や熱、振動などから保護するために一定の数(5~6セル、多くは20~30セル)で束ねて電池モジュールを構成する。モジュール構成時には、高密度のエネルギーを出すために空きスペースを最小限に抑え、コンパクトなバッテリーとして設計する必要がある。このとき、考慮しなければならない点が膨張力である。バッテリーの充電と放電の際、バッテリーに発生する膨張力とバッテリーの劣化に伴ってバッテリーの厚さが増加する追加の膨張力が発生する。したがって、増加する膨張力を予想してモジュールを構成する必要がある。)
「
[図:0001388830000003.jpg]
[図:0001388830000004.jpg]
」(当審仮訳:発明が解決しようとする課題

[0010]本発明の一実施形態は、二次電池の充電および放電時に発生する膨張を抑制することができる弾性部材を含む二次電池を提供することを目的とする。

[0011]本発明の一実施形態は、弾性部材が二次電池の膨張度合いに応じて異なる圧力(または力)で膨張を受ける二次電池を提供することを目的とする。

発明を解決するための手段

[0013]本発明の実施形態に係る二次電池は、1つ以上の単位セルが配置された二次電池モジュールの配列方向側に配置された冷却板; 前記冷却板の外側に設けられ、二次電池モジュールの膨張を段階的に受け入れる少なくとも1つの弾性部材; を含む。

[0014]ここで、前記弾性部材は第1弾性部材および第2弾性部材を含み、前記第1弾性部材および第2弾性部材は前記単位セルまたは前記二次電池モジュールの膨張を順次受け入れることができる。

[0015]また、前記弾性部材は、前記単位セルまたは前記二次電池モジュールの膨張度合いによって、前記単位セルまたは前記二次電池モジュールに対する抵抗力が異なってもよい。

[0016]また、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材より長くてもよい。

[0017]さらに、前記弾性部材はばねまたはゴムである。

[0018]ここで、ばねは第1ばねおよび第2ばねを含み、第1ばねの内側に第2ばねを配置することができる。

[0019]ゴムは、二次電池モジュールまたは二次電池パックに発生する膨張力を所定の力以下に制御することができる。)

「
[図:0001388830000005.jpg]
」(当審仮訳:[0033]図1は、本発明の一実施形態による二次電池パック(10)の一部の分解図の斜視図である。図1には、二次電池パック(10)の1つの単位セル(30)と両側に配置された冷却板(40)が示されている。

[0034]一方、本発明の実施形態に係る二次電池において、二次電池パック(10)は、少なくとも一つの単位セル(30)が配列されて形成された二次電池モジュール(20)、冷却板(40)、弾性部材(50)が含まれる。 二次電池には、単位セル(30)が少なくとも1つを含まれ、2つ以上の場合には隣接して配置される。)

「
[図:0001388830000006.jpg]
」(当審仮訳:[0038]また、少なくとも1つの弾性部材(50)を、冷却板(40)の外側に水平方向に二次電池モジュール(20)の膨張を受けるように配置することができる。弾性部材(50)は、一端が冷却板(40)に結合され、他端が単位セル(30)、二次電池モジュール(20)、または二次電池モジュール(20)のケース(60)に接触して支持される。

・・・(省略)・・・。)

「
[図:0001388830000007.jpg]
」(当審仮訳:[0040]本発明の実施形態による弾性部材(50)は、二次電池モジュール(20)の膨張度合いに応じて異なる圧力(または力、以下同じ)で二次電池モジュール(20)の膨張を受け取ることができる。例えば、二次電池モジュール(20)の初期膨張時には低圧力で二次電池モジュール(20)を加圧することができ、二次電池モジュール(20)の追加膨張時には相対的に高い圧力で二次電池モジュール(20)を加圧することができる。

[0041]この目的のために、図3に示されるように、弾性部材(50)は、二次電池モジュール(20)の膨張度合いに応じて異なる圧力を与えるために様々に形成することができる。

[0042]図3(a)に示すように、異なる弾性係数を有する複数の弾性部材(50)をそれぞれ冷却板(40)に配置することができる。ここで、弾性部材(50)は、コイルばね、板ばねなどの弾性力を付与することができる部材はどのような部材でも使用することができるが、以下ではコイルばねを使用した場合について主に説明する。

[0043]例えば、弾性係数が相対的に小さい弾性部材は、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を一次的に受け入れるように長く形成することができる。また、弾性係数が相対的に高い弾性部材は、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)がさらに膨張する場合、二次的に単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け入れることができるように、短く形成することができる。

・・・(省略)・・・。)

「
[図:0001388830000008.jpg]
」(当審仮訳:[0047]図3Bを参照すると、複数の弾性部材(50)のそれぞれが互いに異なる直径を有し、弾性部材(50)としてコイルばねを使用する場合、相対的に小さい直径を有する弾性部材(50)が相対的に大きい直径を有する弾性部材(50)を有する弾性部材(50)のコイルの内側に配置されている。この場合、冷却板(40)において弾性部材(50)が占める領域の広さを低減することができる。

・・・(省略)・・・。)

「
[図:0001388830000009.jpg]
[図:0001388830000010.jpg]
」(当審仮訳:[0050]ただし、以下では、図3(b)に示す弾性部材(50)を適用した場合について主に説明する。

[0052]弾性部材(50)は、第1弾性部材(52)と第2弾性部材(54)とを含むことができる。互いに異なる直径を有する2つ以上の弾性部材(50)で形成され、冷却板(40)の一面一側に形成される。具体的には、弾性部材(50)は、相対摘記に直径が小さく長さが長い第1の弾性部材(52)と、相対的に直径が大きく長さが短い第2の弾性部材(54)とが含まれる。

・・・(省略)・・・。

[0053]第1弾性部材(52)と第2弾性部材(54)は、ばね(50a)またはゴム(50b)である。

[0055]図2を参照すると、本発明の実施形態による二次電池は、二次電池モジュール(20a)、冷却板(40a)、第1ばね(52a)、第2ばね(54b)及びケース(60)が含まれる。二次電池モジュール(20a)は、複数の単位セル(30)が隣接して配置されて構成されている。二次電池モジュール(20a)に含まれる単位セル(30)の個数は、二次電池の容量や大きさなどに応じて決定される。冷却板(40a)は、1つ以上の単位セル(30a)が配列される二次電池モジュール(20a)の配列方向に配置される。冷却板(30a)の外側には、図2の水平(左右)方向に二次電池モジュール(20a)の膨張を受けるために少なくとも1つのばね(50a)が設けられる。ばね(50a)は、第1ばね(52a)と第2ばね(54a)とを含むことができる。第1ばね(52a)は、第2ばね(54a)に対して延長して形成されてもよい。例えば、第1ばね(52a)と第2ばね(54a)は、それぞれ直径が小さく長さが長い第1ばね(52a)と直径が大きく長さが短い第2ばね(54a)であり、直径が大きい2弾性部材(54)の内部に直径の小さい第1弾性部材(52)が挿入した形態で設けることができる。2つのばね(50a)がそれぞれの冷却板(30a)に配置されているが、本発明はこれに限定されない。少なくとも1つまたは2つ以上のばね(50a)は、冷却板(40a)の一側面の一部および中央部分または全面にわたって配置されてもよい。

[0056]二次電池の充電及び放電時に、二次電池モジュール(20a)内には熱が発生したり消滅したりするが、これは二次電池モジュール(20a)を構成している単位セル(30a)の膨張又は収縮の発生とつながっている。二次電池モジュール(20a)を構成している単位セル(30a)の数が多いほど、膨張または収縮する程度が変わり得る。

[0057]二次電池の充電及び放電時に、各単位セル(30a)はケース(60)方向に膨張する。これにより、第1ばね(52a)および第2ばね(54a)はケース(60)の方向に圧縮される。ケース(60)に当接している第1ばね(52a)は、各単位セル(30a)が膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュール(20a)を加圧することができる。第1スプリング(52a)は、単位セル(30a)の膨張に対して反発力を提供し、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け取ることができる。この後、各単位セル(30a)の膨張が継続して進行し、ケース(60)と第2ばね(54a)とが当接する。これにより、第2ばね(54a)は二次圧縮が発生し、相対的に高い圧力で二次電池モジュール(20a)を加圧することができる。したがって、第2のばね(54a)は、さらに進行する単位セル(30a)の膨張に対して反発力を提供し、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け取ることができる。・・・(省略)・・・。」

「
[図:0001388830000011.jpg]
」(当審仮訳:[0064]以上、代表的な実施形態を通じて本発明について詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、上述した実施例について、本発明の範疇から逸脱しない限り様々な変形が可能であることが理解できるはずである。したがって、本発明の権利範囲は、説明された実施例に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められなければならない。)

図1

[図:0001388830000012.jpg]

図2

[図:0001388830000013.jpg]

図3

[図:0001388830000014.jpg]

イ 上記記載から、引用文献には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア)段落[0001]、[0055]及び図2によれば、引用文献には、「二次電池」についての発明が記載されている。

(イ)段落[0055]には「二次電池は、二次電池モジュール(20a)、冷却板(40a)、第1ばね(52a)、第2ばね(54b)及びケース(60)が含まれる。」、「ばね(50a)は、第1ばね(52a)と第2ばね(54a)とを含むことができる。」と記載されている。

そして、図2によれば、「二次電池」が、二次電池モジュール20a、冷却板40a、ばね50a及びケース60aを含むことが見て取れる。

よって、引用文献に記載された「二次電池」は、二次電池モジュール、冷却板、ばね及びケースを備えているといえる。

(ウ)上記段落[0055]に「二次電池モジュール(20a)は、複数の単位セル(30)が隣接して配置されて構成されている。」と記載されている。また、図2によれば、二次電池モジュール20aは複数の単位セル30aが積層された積層構造であることが見て取れる。

よって、引用文献に記載された「二次電池モジュール」は、複数の単位セルが積層された積層構造であるといえる。

(エ)上記段落[0055]に「冷却板(40a)は、1つ以上の単位セル(30a)が配列される二次電池モジュール(20a)の配列方向に配置される。」と記載されている。また、図2によれば、単位セル30aが積層された積層構造の両端に「冷却板40a」が配置されていることが見て取れる。

よって、引用文献に記載された「冷却板」は、単位セルが積層された二次電池モジュールの両端に配置されているといえる。

(オ)上記段落[0055]には「冷却板(30a)の外側には、図2の水平(左右)方向に二次電池モジュール(20a)の膨張を受けるために少なくとも1つのばね(50a)が設けられる。」と記載されており、図2によれば、該「水平(左右)方向」とは「単位セル30a」の積層方向であることは明らかである。

ここで、引用文献の図1に示された二次電池パック10の一部分解図に関して、段落[0038]に「弾性部材(50)は、一端が冷却板(40)に結合され、他端が・・・ケース(60)に接触して支持される。」と記載されているところ、引用文献の図2にはケース60aと冷却板40aとの間に設けられたばね50aが見て取れることから、該図2に示された「ばね50a」も一端が冷却板40aに結合され、他端がケース60aに接触して支持されることは当然想定されていることである。

よって、引用文献に記載された「ばね」は、単位セルの積層方向に二次電池モジュールの膨張を受けるために、一端が冷却板に結合され、他端がケースに接触して支持されるといえる。

(カ)引用文献の段落[0055]の「ばね(50a)は、第1ばね(52a)と第2ばね(54a)とを含むことができる。第1ばね(52a)は、第2ばね(54a)に対して延長して形成されてもよい。例えば、第1ばね(52a)と第2ばね(54a)は、それぞれ直径が小さく長さが長い第1ばね(52a)と直径が大きく長さが短い第2ばね(54a)であり、直径が大きい第1ばね(54a)の内部に直径の小さい第1弾性部材(52)が挿入した形態で設けることができる。」との記載によれば、「ばね50a」は、直径が小さく長さが長い第1ばね52aと、直径が大きく長さが短い第2ばね54aとを含み、第1ばね52aが第2ばね54aの内部に挿入した形態で設けられているといえる。

そして、引用文献の段落[0042]に「弾性部材(50)は、コイルばね、板ばねなどの弾性力を付与することができる部材はどのような部材でも使用することができるが、以下ではコイルばねを使用した場合について主に説明する。」と、同段落[0047]に「図3Bを参照すると、複数の弾性部材(50)のそれぞれが互いに異なる直径を有し、弾性部材(50)としてコイルばねを使用する場合、相対的に小さい直径を有する弾性部材(50)が相対的に大きな直径を有する弾性部材(50)を有する弾性部材(50)のコイルの内側に配置れている。」と記載されているところ、図2には、図3(b)と同様な弾性部材であるコイル状のばね50aが見て取れるから、ばね50aに含まれる第1ばね52a及び第2ばね54aもコイルばねが使用されていることは明らかである。

さらに、図2によれば、第1ばね52a及び第2ばね54aは単位セル30aの積層方向に変位可能であることは明らかである。

よって、引用文献に記載された「ばね」は、直径が小さく長さが長い第1ばねと、直径が大きく長さが短い第2ばねとを含み、第1ばねが第2ばねの内部に挿入した形態で設けられ、第1ばね及び第2ばねはコイルばねが使用され単位セルの積層方向に変位可能であるといえる。

(キ)段落[0042]に「図3(a)に示すように、弾性係数が異なる複数の弾性部材(50)をそれぞれ冷却板40に配置することができる。ここで、弾性部材(50)は、コイルばね、板ばねなどの弾性力を付与することができる部材はどのような部材でも使用することができるが、以下ではコイルばねを使用した場合について主に説明する。」と、同段落[0043]に「例えば、弾性係数が相対的に小さい弾性部材は、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を一次的に受け入れるように長く形成することができる。また、弾性係数が相対的に高い弾性部材は、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)がさらに膨張する場合、二次的に単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け入れることができるように、短く形成することができる。」とそれぞれ記載されているところ、段落[0055]及び図2には、長さが長い第1ばね52a及び長さが短い第2ばね54aが示されているから、第1ばね52aは弾性係数が相対的に小さく、第2ばね54aは弾性係数が相対的に高いことは明らかである。

よって、引用文献には、第1ばねは弾性係数が相対的に小さく、第2ばねは弾性係数が相対的に高いことが記載されているといえる。

(ク)引用文献の段落[0057]によれば、「二次電池充電及び放電時に、各単位セル(30a)はケース(60)方向に膨張」し、「ケース(60)と当接している第1ばね(52a)は、各単位セル(30a)が膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュール(20a)を加圧」し、「単位セル(30a)の膨張に対して反発力を提供し、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け取」り、「この後、各単位セル(30a)の膨張が継続して進行し、ケース(60)と第2ばね(54a)とが当接する」と、「第2ばね(54a)は二次圧縮が発生し、相対的に高い圧力で二次電池モジュール(20a)を加圧」し、「さらに進行する単位セル(30a)の膨張に対して反発力を提供し、単位セル(30)または二次電池モジュール(20)の膨張を受け取る」ことが記載されているといえる。

ウ 上記イから、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「複数の単位セルが積層された積層構造である二次電池モジュールと、
二次電池モジュールの両端に配置された冷却板と
単位セルの積層方向に二次電池モジュールの膨張を受けるために、一端が冷却板に結合され、他端がケースに接触して支持されるばねと、
ケースとを備えた二次電池であって、
ばねは、直径が小さく長さが長い第1ばねと、直径が大きく長さが短い第2ばねとを含み、第1ばねが第2ばねの内部に挿入した形態で設けられ、第1ばね及び第2ばねはコイルばねが使用され単位セルの積層方向に変位可能であり、
第1ばねは弾性係数が相対的に小さく、第2ばねは弾性係数が相対的に高く、
二次電池充電及び放電時に、各単位セルはケース方向に膨張し、ケースと当接している第1ばねは、各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュールを加圧し、単位セルの膨張に対して反発力を提供し、単位セルまたは二次電池モジュールの膨張を受け取り、その後、各単位セルの膨張が継続して進行し、ケースと第2ばねとが当接すると、第2ばねは二次圧縮が発生し、高い圧力で二次電池モジュールを加圧し、さらに進行する単位セルの膨張に対して反発力を提供し、単位セルまたは二次電池モジュールの膨張を受け取る、二次電池。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用文献の段落[0007]に記載されているように、電池モジュールの基本単位は電池「セル」であることから、引用発明の「単位セル」は本件補正発明の「単電池」に相当する。

よって、引用発明の「複数の単位セルが積層された積層構造である二次電池モジュール」は、本件補正発明の「複数の単電地が積層された積層体」に相当する。

(イ)引用発明においては、「単位セルの積層方向に二次電池モジュールの膨張を受けるために、一端が冷却板に結合され、他端がケースに接触して支持されるばね」が備えられているところ、「ケース」は、ばねを介して「二次電池モジュール」の移動を制限していることは明らかである。

そして、引用発明の「ケース」は二次電池モジュールに対して「単位セルの積層方向」に「荷重をかけて」いるか否か明記されていないものの、ばねの機能を損なわない程度に「ケース」によって二次電池モジュールに荷重をかけていることは当然のことである。

してみると、引用発明の「ケース」は、「単位セルの積層方向」に荷重をかけて「二重電池モジュール」の移動を規制しているといえ、本件補正発明の「積層の方向に荷重をかけて前記積層体を拘束する拘束部材」に相当する。

(ウ)引用発明の「ばね」は「単位セルの積層方向に二次電池モジュールの膨張を受けるために」備えられているから、該「ばね」は「二次電池モジュールの膨張」による「二次電池モジュール」の変位を調整しているといえ、本件補正発明の「変位調整部材」に相当する。

また、引用発明の「ばね」を構成する「ケースに当接している第1ばね」は、「各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュールを加圧し、単位セルの膨張に対して反発力を提供」するのであるから、該「ばね」自体は「ケース」によって「二次電池モジュール」と供に積層方向の移動が制限されるといえる。

そして、引用発明の「ばね」の「一端」は、「二次電池モジュールの両端に配置された冷却板」に結合されているから、「ばね」は「二次電池モジュールの両端に配置」されているといえる。

してみると、引用発明において、「ケース」によって「二次電池モジュール」と供に積層方向の移動が制限され、「二次電池モジュールの両端に配置」される「ばね」は、本件補正発明の「拘束部材によって前記積層体とともに前記積層方向に拘束される変位調整部材であって、該積層体の積層方向の一方の端部および他方の端部のうちの少なくとも一箇所に配置される変位調整部材」に相当する。

(エ)引用発明の「二次電池モジュール」、「ケース」及び「ばね」を備えた「二次電池」は、本件補正発明の「電池モジュール」に相当する。

(オ)引用発明の「一端が冷却板に結合され、他端がケースに接触して支持されるばね」は、「第1ばね」及び「第2ばね」とを含む。そして、「ケースに当接している第1ばねは、各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され」、「ケースと第2ばねとが当接すると、第2ばねは二次圧縮が発生」するから、「第1ばね」及び「第2ばね」は、「単位セルの積層方向」に弾性的に変位するといえる。

よって、引用発明の「ばね」が「単位セルの積層方向」に弾性的に変位する「第1ばね」及び「第2ばね」を含むことは、本件補正発明の「前記変位調整部材は、積層方向に弾性変位可能な第1の弾性体および第2の弾性体を少なくとも備えて」いることに相当する。

(カ)本件補正発明の「第1弾性体」及び「第2弾性体」に関し、本件明細書の段落【0008】に「所定の荷重に対する弾性変位量が相対的に大きい(即ち弾性率が相対的に小さい)第1の弾性体」、同【0009】に「所定の荷重に対する弾性変位量が相対的に小さい(即ち弾性率が相対的に大きい)第2の弾性体」と記載されている。

してみると、引用発明の「第1ばねは弾性係数が相対的に小さく、第2ばねは弾性係数が相対的に高」いことと本件補正発明とは、「前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が前記第1の弾性体よりも相対的に小さい材料によって構成されて」いることで共通する。

ただし、第1の弾性体を構成するばねに関し、本件補正発明は「金属製」であるのに対し、引用発明はその旨特定されておらず、また、第2の弾性体を構成する材料に関し、本件補正発明は「ゴム若しくは合成樹脂」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

(キ)引用発明において、「第1ばね」が「ケースに当接している」状態から「ケースと第2ばねとが当接する」状態までは、「第1ばね」が「各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュールを加圧」することは明らかである。ここで、上記(イ)を踏まえれば、「第1ばね」が「ケースに当接している」状態とは、本件補正発明の「積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態」に相当する。そして、「第1ばね」が「ケースに当接している」状態から「ケースと第2ばねとが当接する」状態では、「二次電池モジュール」は「ケース」によって所定荷重で拘束された状態の長さから膨張して所定の長さに膨らむことは当然のことである。さらに上記(オ)も踏まえれば、「第1ばね」が「各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュールを加圧」するとは、「第1ばね」が「各単位セルの積層方向」に弾性的に変位し、「各単位セルの積層方向」に「二次電池モジュールを加圧」するといえるから、本件補正発明の「第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御される」ことに相当する。

してみると、引用発明における、「第1ばね」が「ケースに当接している」状態から「ケースと第2ばねとが当接する」状態までは、「第1ばね」が「各単位セルが膨張する方向に一次圧縮され、低圧力で二次電池モジュールを加圧」することは、本件補正発明の「前記積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態における該積層体の積層方向の基準長さX0から該積層体が膨張して第1の長さX1に至るまでは、前記第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御され」ることに相当する。

また、引用発明において、「ケースと第2ばねとが当接する」状態からさらに「単位セルの膨張」が「進行」した状態までは、「第2ばねは二次圧縮が発生し、高い圧力で二次電池モジュールを加圧」することは明らかである。そして、「ケースと第2ばねとが当接する」状態からさらに「単位セルの膨張」が「進行」した状態では、「二次電池モジュール」は、「ケースと第2ばねとが当接する」状態での長さからさらに膨張が進行して所定の長さに膨らむことは当然のことである。さらに、上記(オ)も踏まえれば、「第2ばねは二次圧縮が発生し、高い圧力で二次電池モジュールを加圧」するとは、「第2ばね」が「各単位セルの積層方向」に弾性的に変位し、「各単位セルの積層方向」に「二次電池モジュールを加圧」するといえるから、本件補正発明の「第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御される」ことに相当する。

してみると、引用発明における、「ケースと第2ばねとが当接する」状態からさらに「単位セルの膨張」が「進行」した状態までは、「第2ばねは二次圧縮が発生し、高い圧力で二次電池モジュールを加圧」することは、本件補正発明の「積層体がさらに膨張して前記X1から第2の長さX2に至るまでは、前記第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御されること」に相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次

のとおりである。

【一致点】

「複数の単電地が積層された積層体と、
前記積層の方向に荷重をかけて前記積層体を拘束する拘束部材と、
前記拘束部材によって前記積層体とともに前記積層方向に拘束される変位調整部材であって、該積層体の積層方向の一方の端部および他方の端部のうちの少なくとも一箇所に配置される変位調整部材と、
を備えた電池モジュールであって、
前記変位調整部材は、積層方向に弾性変位可能な第1の弾性体および第2の弾性体を少なくとも備えており、
前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が前記第1の弾性体よりも相対的に小さい材料によって構成されており、
ここで、前記積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態における該積層体の積層方向の基準長さX0から該積層体が膨張して第1の長さX1に至るまでは、前記第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御され、且つ、該積層体がさらに膨張して前記X1から第2の長さX2に至るまでは、前記第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御されることを特徴とする、電池モジュール。」

【相違点1】

第1の弾性体を構成するばねに関し、本件補正発明は「金属製」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。

【相違点2】

第2の弾性体を構成する材料に関し、本件補正発明は「ゴム若しくは合成樹脂」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。

(4)相違点に対する判断

以下、各相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用発明の「第1ばね」は「コイルばね」が使用されているところ、一般にコイルばねを金属で形成することは技術常識であるから、引用発明において「第1ばね」を「金属製」とすることは、引用文献1において当然想定されている事項に過ぎない。

してみれば、相違点1に係る構成は引用発明に基づいて当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

上記「(2)ア」によれば、引用文献には「弾性部材」として「ばね」又は「ゴム」を使用する実施形態が記載されているところ、同文献には「弾性部材(50)は、コイルばね、板ばねなどの弾性力を付与することができる部材はどのような部材でも使用することができる」(段落[0042]を参照)、「以上、代表的な実施例を通じて本発明について詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、上述した実施例について、本発明の範疇から逸脱しない限り、様々な変形が可能である。」(同段落[0064]を参照)等の記載が存在し、弾性部材として「コイルばね」と「ゴム」とを併用することを阻害する格別な理由も見当たらない。

そして、電池分野において、弾性部材として「ばね」と「ゴム」の両者を使用することは普通に行われていることに過ぎない(必要とあれば、特開2009-170687号公報の段落【0027】、【0029】、図1、特開2014-93146号公報の段落【0019】、【0021】、図2、特開2017-193300号公報の段落【0014】、【0034】、【0035】、図12、実願昭58-90109号(実開昭59-194262号)のマイクロフィルム(4頁13行ないし6頁19行、第4図参照)。

さらに、本願明細書には、弾性体として「金属製のばね」と「ゴムもしくは合成樹脂」の両方を採用することによる格別な作用効果について何等記載されていない。

してみると、引用文献に接した当業者にとって、引用発明において「コイルばね」と「ゴム」との併用を試みることはごく自然な発想にすぎず、格別の技術的困難性を伴うことではない。

したがって、相違点2に係る構成は引用発明に基づいて当業者が容易になし得たことである。

エ 審判請求人の主張について

審判請求人は、令和3年6月7日提出の審判請求書において、「引用文献1に開示される技術は、電池モジュールを構成する二次電池(単電池)が充放電する際に発生し得る膨張を抑制することができる弾性部材を備える電池モジュールの提供を目的として創出されています(引用文献1の段落0 007、0010等)。かかる目的を実現するために、本願電池モジュールに備えられる第1の弾性体および第2の弾性体の場合のように、金属製ばねとゴムのようにわざわざ異質な2種類の部材を調達するような煩雑なことを当業者が容易に想到するとは思えません。このことは、例えば、引用文献1の段落0055および0059における次の記載(翻訳文)からも明らかです。・・・省略・・・。このような記載ぶりと図面中の構成からみても、第1弾性部材および第2弾性部材の一方をスプリング(ばね)としたときには他方もスプリング(ばね)とし、もしも一方をゴムとしたときには他方もゴムとすることが容易に理解されます。」(6頁16行ないし7頁25行を参照)と主張する。

しかしながら、引用文献に記載された目的は、「二次電池の充放電時に発生し得る膨張を抑制することができる弾性部材を備える電池モジュールの提供する」(段落[0007]を参照)というものであって、その「弾性部材」を特定の1種類の部材に限定することを前提とするものではない。

そして、上記ウで述べたように、引用文献には段落[0042]、段落[0064]に見られるような記載が存在し、弾性部材として「コイルばね」と「ゴム」とを併用することを阻害する格別な理由も見あたらない。そして、電池分野において、弾性部材として「ばね」と「ゴム」の両者を使用することは普通に行われていることに過ぎないことから、引用発明において「コイルばね」と「ゴム」とを併用することを試みることは格別の技術的困難性を伴うことではない。

よって、異議申立人の主張は採用できない。

(5)まとめ

したがって、本件補正発明は、引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上から、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和3年6月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、令和3年2月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

請求項1に係る発明についての原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。

「理由1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された次の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された次の引用文献1又は引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。

<引用文献等一覧>

1.韓国公開特許第10-2017-0038300号公報

2.特開2016-004724号公報

3 引用文献、引用発明

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明は、前記「第2[理由]2(2)」に記載したとおりである。

4 引用発明との対比

(1)前記「第2[理由]2(3)」で検討した点を除き、本願発明と引用発明とを対比する。

まず、引用発明の「第1ばね」及び「第2ばね」は弾性体といえる。

ここで、本願発明の「第1弾性体」及び「第2弾性体」に関し、本件明細書の段落【0008】に「所定の荷重に対する弾性変位量が相対的に大きい(即ち弾性率が相対的に小さい)第1の弾性体」、同【0009】に「所定の荷重に対する弾性変位量が相対的に小さい(即ち弾性率が相対的に大きい)第2の弾性体」と記載されている。

してみると、引用発明の「第1ばねは弾性係数が相対的に小さく、第2ばねは弾性係数が相対的に高」いことと、本願発明の「第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が前記第1の弾性体よりも相対的に小さい金属、合金、ゴム若しくは合成樹脂によって構成されて」いることとは、「前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が前記第1の弾性体よりも相対的に小さい材料によって構成されて」いる点で共通する。

ただし、第2の弾性体を構成する材料に関し、本願発明は「金属、合金、ゴム若しくは合成樹脂」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

(2)上記(1)及び前記「第2[理由]2(3)ア(ア)ないし(オ)、(キ)」から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「複数の単電地が積層された積層体と、
前記積層の方向に荷重をかけて前記積層体を拘束する拘束部材と、
前記拘束部材によって前記積層体とともに前記積層方向に拘束される変位調整部材であって、該積層体の積層方向の一方の端部および他方の端部のうちの少なくとも一箇所に配置される変位調整部材と、
を備えた電池モジュールであって、
前記変位調整部材は、積層方向に弾性変位可能な第1の弾性体および第2の弾性体を少なくとも備えており、
前記第1の弾性体は、所定の荷重に対する弾性変位量が前記第2の弾性体よりも相対的に大きいばねによって構成されており、前記第2の弾性体は、前記弾性変位量が相対的に小さい材料によって構成されており、
ここで、前記積層体が前記拘束部材によって積層方向に所定荷重で拘束された状態における該積層体の積層方向の基準長さX0から該積層体が膨張して第1の長さX1に至るまでは、前記第1の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御され、且つ、該積層体がさらに膨張して前記X1から第2の長さX2に至るまでは、前記第2の弾性体が弾性変位することによって該積層体の積層方向への拘束荷重が制御されることを特徴とする、電池モジュール。」

【相違点3】

第2の弾性体を構成する材料に関し、本願発明は「金属、合金、ゴム若しくは合成樹脂」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。

5 相違点3の判断

引用発明の「第2ばね」は「コイルばね」が使用されているところ、一般にコイルばねを金属で形成することは技術常識であるから、引用発明において「第2ばね」を「金属製」とすることは、引用文献1において当然想定されている事項に過ぎない。

してみれば、相違点3に係る構成は引用発明に基づいて当業者が容易になし得たことである。

(3)小括

以上から、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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2021-007365

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