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特許異議申立

2020-700864

遊技機

審判番号
2020-700864
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-145470外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6703378
請求日
2020年11月11日
審決日
2021年10月07日
公報発行日
2022年02月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6703378号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論
特許第6703378号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第6703378号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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特許第6703378号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成27年7月23日に出願した特願2015-145470号であって、令和2年5月12日にその特許権の設定登録がされ、同年6月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年11月11日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、当審判合議体(以下「当審」という。)は令和3年2月2日付けで特許権者及び特許異議申立人に対して審尋を行い、それに対して、特許権者はその指定期間内である同年4月2日に、特許異議申立人はその指定期間内である同年4月7日に、それぞれ回答書を提出し、当審において同年5月25付けで取消理由を通知した。特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である同年7月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、これに対して、申立人は、同年9月16日に意見書を提出した。

第2 訂正請求について

1 請求の趣旨

本件訂正請求の趣旨は、特許第6703378号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。

2 訂正の内容

本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。

(1)訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に、

「特定期間」と記載されているのを、

「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正する。(なお、下線は訂正箇所を示す。以下、(2)~(4)についても同様。)

(2)訂正事項2

特許請求の範囲の請求項1に、

「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行しない、」と記載されているのを、

「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行せず、」に訂正する。

(3)訂正事項3

特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、

「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を加える。

(4)訂正事項4

願書に添付した明細書の段落【0007】に

「(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行う遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行しない、ことを特徴とする。」と記載されているのを、

「(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行う遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行せず、前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、ことを特徴とする。」に訂正する。

3 訂正の適否

(1)訂正事項1

ア 訂正の目的について

訂正事項1は、訂正前の請求項1に「特定期間」と記載されているのを、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正することで、訂正前の請求項1の「特定期間」を明確にするとともに限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項1は、発明特定事項である「特定期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項1について、本件特許明細書には、以下の記載がある。(なお、下線は関連箇所を示す。)

(ア)「【0007】
(1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1、パチスロ機等)であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、獲得枚数報知演出、累積賞球数報知演出、累積獲得枚数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、右打ち報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。」
(イ)「【0081】
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払い出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態等の特別遊技状態に制御すること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数よりも多い第1ラウンド数となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数よりも多い第1回数となること、確変状態における大当り確率が第2確率よりも高い第1確率となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数よりも多い第1連チャン数となることの一部又は全部といった、遊技者によってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。」
(ウ)「【0174】
ステップS501にて受信コマンドがある場合には(ステップS501;YES)、例えば受信コマンドのMODEデータを確認すること等により、その受信コマンドが大当り開始指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS502)。そして、大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻る。連チャン回数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた連チャン回数カウンタの格納値であり、連チャン回数を示すものであればよい。ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。また、連チャン回数とは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが連続して発生した回数をいう。
【0175】
ステップS502にて受信コマンドが大当り開始指定コマンドではない場合には(ステップS502;NO)、その受信コマンドは大入賞口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、大入賞口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;YES)、賞球数カウント値を15加算するように更新する(ステップS505)。賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた賞球数カウンタの格納値であり、賞球数を示すものであればよい。ここで、賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。
【0176】
ステップS505の処理を実行した後には、累積賞球数カウント値を15加算するように更新してから(ステップS506)、ステップS501の処理に戻る。累積賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた累積賞球数カウンタの格納値であり、累積賞球数を示すものであればよい。ここで、累積賞球数とは、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」
(エ)「【0178】
このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。
【0179】
ステップS507にて受信コマンドが大当り終了指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その受信コマンドは遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS509)。そして、遊技状態指定コマンドであるときには(ステップS509;YES)、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて時短制御が終了するか否かを判定する(ステップS510)。そして、時短制御が終了するときには(ステップS510;YES)、累積賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS511)。
【0180】
このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」
(オ)「【0188】
本実施の形態では、エラー報知画像と、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する第3報知としての確変確定報知演出用の確変確定報知演出画像と、特定期間としての大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する第1報知としての賞球数報知演出用の賞球数報知演出画像と、連チャン回数を報知する第4報知としての連チャン回数報知用の連チャン回数報知画像や大当り中に再生されている楽曲名を報知する第5報知としての大当り中楽曲名報知用の大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像とがそれぞれ異なるレイヤーに配置される。具体的には、図26(A)に示すように、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像には、各画像データにおいて、画像を重畳して描画する際に用いるZ値が設定されるようになっており、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122には、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像の画像データのZ値を設定するZ値設定テーブルが記憶されている。このZ値設定テーブルは、各画像データの項目に対応付けて、画像を描画するときに用いるZ値が登録されている。」

(カ)「【0191】

なお、Z値に「2」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、特別期間としての連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する第2報知としての累積賞球数報知演出用の累積賞球数報知演出画像もZ値に「2」が設定されている。更に、エラー報知画像や確変確定報知演出画像や賞球数報知演出画像や累積賞球数報知演出画像や連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像のみならず、背景となる背景画像等にもZ値が設定されており、これら背景画像等には、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも大きなZ値が設定されている。

(キ)「【0222】
ステップS216にて確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS216;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS217;NO)、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS218)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS218の処理では、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出、あるいは「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(C)に示すような賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出が実行される。」
(ク)「【0237】
ステップS397にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS397;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。そこで、この実施の形態では、累積賞球数報知演出よりも賞球数報知演出を優先的に実行するようにしている。」
(ケ)「【0239】
ステップS399にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS399;NO)、最上位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS400)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS400の処理では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出、あるいは「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による累積賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(D)に示すような累積賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出が実行される。」
(コ)「【0338】
以上説明したように、パチンコ遊技機1では、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)」

これらの記載によれば、本件特許明細書には、「特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、がそれぞれ記載されているといえる。

また、段落【0174】で「・・・大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻」っており、段落【0175】で「・・・賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」と「賞球数」が「現在の」大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数のことであり、段落【0178】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」、段落【0180】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」と、「連チャン」中の「大当り中」に「カウント値が「0」に初期化される」ことで「大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる」ことが記載されており、「本件特許明細書で、「大当り中」に対応した特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知は、「連チャン中における直近の大当り」のものであるといえる。

また、上記した「特別期間」に対応する、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間の大当りは、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることは、遊技機分野の技術常識から明らかである。

そうすると、「特別期間」は、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることとなるから、訂正前の請求項1の「前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間」における「当該特定期間とは異なる非特定期間」は、「直近以外の大当り」の期間、すなわち、「連チャン中に制御された大当りの集合」(直近の大当りと直近以外の大当りを合わせた全ての大当り)の期間から「直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であるといえる。

そうすると、「特定期間」は、連チャン中における直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。

よって、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2

ア 訂正の目的について

訂正事項2は、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行しない、」と記載されているのを、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行せず、」に訂正したものであり、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

上記アのとおり、訂正事項2は、カテゴリー、対象及び目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項2に係る訂正は、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3

ア 訂正の目的について

訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、

前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を付加することで、訂正前の請求項1の「非特定期間」及び「特別期間」を明確にするとともに限定するものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項3は、「非特定期間」及び「特別期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項3について、本件特許明細書には、上記(1)ウの記載がある。

上記(1)ウのとおり、本件特許明細書には、「特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、段落【0175】、【0178】の記載、及び、遊技機分野の技術常識から、連チャン中における「特定期間」としての大当り中と異なる大当り中が「非特定期間」であり、「特定期間」は、直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。

よって、訂正事項3は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項4

ア 訂正の目的について

訂正事項4は、上記訂正事項1~3に係る訂正により、訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、本件特許明細書の段落【0007】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、当該訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書の【0007】の記載を、請求項1の記載と整合を取るためのものであるから、訂正事項1~訂正事項3で説示したとおり、当該訂正事項4は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

よって、訂正事項4は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

4 独立特許要件

本件特許異議の申立てにおいては、請求項1が申立ての対象であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件につき検討することを要しない。

第3 訂正後の本件発明

本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、記号AないしFは、分説するため当審が付した。

【請求項1】

A 遊技を行う遊技機であって、

B 報知演出を実行する報知演出実行手段

を備え、

C 前記報知演出実行手段は、

前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、

D 前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、

E 前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行せず、

C1 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、

C2 前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、

F ことを特徴とする遊技機。

第4 特許異議の申立について

1 特許異議申立理由の概要

申立人は、本件特許に対し、次の理由を申し立てている。

証拠方法として甲第1証及び甲第2号証を提出し、本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1ないし2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

<証拠方法>

甲第1号証:ミリオンゴッド 神々の系譜で万枚獲得,YouTube,2012年 3月19日,[2020年11月10日検索],特に0:00~1:52,URL,https://www.youtube.com/watch?v=lxtpeN0lb2Y
甲第2号証:特開2014-000303号公報

2 取消理由通知の概要

令和3年5月25日付けで当審が特許権者に通知した取消理由は、概略、次のとおりである。

(1)(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 記

本件訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明1」という。)には「前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、出願時の技術常識に照らしても、本件訂正前発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

したがって、本件訂正前発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(2)(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

記

本件訂正前発明1には「前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、「特定期間」、「非特定期間」及び「特別期間」が何と対応するのか明瞭でない。

したがって、本件訂正前発明1は明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

3 令和3年7月26日付け意見書(特許権者提出)の概要

特許権者は、令和3年7月26日付け意見書において、本件訂正発明は、当審が指摘したサポート要件違反、明確性違反に該当しないため、取り消されるべきものではない旨を主張している。

4 令和3年9月16日付け意見書(申立人提出)の概要

申立人は、令和3年9月16日付け意見書において、次の主張をしている。

(1)本件訂正請求書でした訂正は、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たしていないため、認められない。

(2)本件訂正は、実質上特許請求の範囲を変更するものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項に規定する要件を満たしていないため、認められない。

(3)本件特許異議申立の審理は、設定登録時の請求項に係る発明により進められるべきものであり、設定登録時の請求項に係る発明は、令和2年11月12日提出の異議申立書に記載のように、特許法第29条第2項の規定に該当し、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

第5 取消理由についての当審の判断

1 サポート要件について

訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、例えば、(1)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(2)「特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドが実行されている期間」、「非特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドと次回ラウンドとの間の期間」、「特別期間」が「大当り遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(3)「特定期間」が「押し順ナビあり遊技中」、「非特定期間」が「押し順ナビなし遊技中」、「特別期間」が「ART遊技期間」(スロットの場合)を包含する記載となっており、これら(1)、(2)の解釈では、「非特定期間」に「獲得した価値」が大当り中のものではなく、(3)の解釈では、「非特定期間」に獲得する価値が理論的にはゼロではないことから、適当に押した押し順が、偶然正解すれば獲得できる程度の価値を合計して報知することを含むものとなることから、遊技機の技術分野における出願時の技術常識に照らしても、訂正前の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえなかった。

しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、いずれも大当り中であることが特定された。そのため、本件訂正発明は、上記(1)~(3)のように解釈される余地はなくなった。

よって、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。

2.明確性について

訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、(1)「特定期間」は(連チャンが発生する契機となる)「大当り中」、「非特定期間」は(連チャンが発生する契機となった)「大当り中」とは異なる(次以降に発生する)「大当り中」、「特別期間」は「連チャン中」、(2)「特定期間」は「直近(最新)の「大当り中」」、「非特定期間」は「連チャン中にすでに発生した大当りの集合から、「特定期間」である直近(最新)の大当り(1つ)を除いた「大当り中」」、「特別期間」は「連チャン中」、(3)「特定期間」は、「大当り中の1ラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間」、「非特定期間」は、「大当り中の1ラウンド以外のラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間以外の期間」、「特別期間」は、「連チャン中における大当り中」、(4)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」と解釈することができるものの、いずれであるのかが明瞭ではなかった。

しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、上記(2)の解釈に沿ったものであることが明確となった。

よって、本件訂正発明は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において通知した理由とは別に、本件特許は、特許法第29条第2項の規定により、取り消されるべきものである旨主張しているので、以下検討する。

1 甲第1号証に基づく進歩性について

(1)甲第1号証について

本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(ミリオンゴッド 神々の系譜で万枚獲得,YouTube,2012年 3月19日,[2020年11月10日検索],特に0:00~1:52,URL,https://www.youtube.com/watch?v=lxtpeN0lb2Y)には、次の事項が記録されていると認定することができる。

ここで、「〈1分52秒〉」は、甲第1号証の再生開始からの経過時間を示すものであり、以下の同様の「分秒」に係る記載も同じである。また、画像に表示されるものは、ある一定時間表示されるものもあるが、この異議決定の認定において、必ずしも最初に表示された時点での経過時間に対応させて認定しているものではなく、このスロットマシンの内容を表現するにあたり、当審で適切であると認定したタイミングに対応させて認定したものである。

さらに、認定した事項は、瞬間的な画像の表示内容以外にも、画像の表示内容の変化(時系列を伴うもの)も含まれる。

ア 記録事項

(ア) 0分00秒

[図:0001381656000001.jpg]

(イ) 0分17秒

[図:0001381656000002.jpg]

(ウ) 0分30秒

[図:0001381656000003.jpg]

(エ) 1分17秒

[図:0001381656000004.jpg]

(オ) 1分19秒

[図:0001381656000005.jpg]

(カ) 1分20秒

[図:0001381656000006.jpg]

(キ) 1分21秒

[図:0001381656000007.jpg]

(ク) 1分23秒

[図:0001381656000008.jpg]

(ケ) 1分24秒

[図:0001381656000009.jpg]

(コ) 1分28秒

[図:0001381656000010.jpg]

(サ) 1分29秒

[図:0001381656000011.jpg]

(シ) 1分41秒

[図:0001381656000012.jpg]

(ス) 1分44秒

[図:0001381656000013.jpg]

(セ) 1分51秒

[図:0001381656000014.jpg]

イ 動画に記録された事項

(ア) <0分~1分52秒>

動画像の開始から1分52秒の間、動画像の左上に、「YouTube」と表示され、動画像の左下に、「ミリオンゴット 神々の系譜で万枚獲得」と表示され、その下に「2012/03/19」と表示され、動画像上部には、表示装置があり、花が咲いた草原と山と空が表示されており、それに加えて様々な表示演出が順次なされ、動画像下部である当該表示装置の下部には、青い7、黄色い7、GOD等の図柄が9つ表示されており(この表示されている部分を以下「図柄表示領域」という。)、時間の経過とともにそれら図柄が視認できない状態となった後に、図柄表示領域の下部に3つある丸い部材(以下「操作部材」という。)を手で操作すると、図柄表示領域内で操作部材の上に3つの図柄が視認可能な状態で停止することを見て取ることができる。

また、動画の開始から1分52秒の動画像上部の表示装置の上部には、左から順に「GOD GAME」、「LAST」、「TOTAL」の文字の横にそれぞれ数字が表示されており、「GOD GAME」の横の数字は「43」で変わらず、「LAST」の横の数字は、図柄が視認できない状態となった後に、「86」から順に3つの図柄が視認可能な状態で停止する毎に、「61」までカウントダウンされること、「TOTAL」の横の数字は、動画開始時には「9978」と表示され、時間の経過とともに「9993」、「9990」、「10005」、「10002」と変化していることが見て取れる。

これらのことを考慮すると、甲第1号証に記録されているものは、2012年(平成24年)3月19日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、表示装置及び図柄表示領域を備えた「ミリオンゴッド 神々の系譜」という機種のスロットマシンの動画像である。

(イ) <1分17秒~1分22秒>

動画像の1分17秒~1分22秒の間、表示装置に赤い丸の中に白抜きの数字で「1」、「2」、「3」と操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、操作部材の上の図柄表示領域内に3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$15GET」の表示が表示装置に表示されるスロットマシンが見て取れる。

(ウ) <1分23秒~1分45秒>

動画像の1分23秒~1分45秒の間、「$15GET」の表示が表示装置から消え、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、操作部材を操作する順番が表示されない状態で、操作部材を操作し、図柄表示領域にある図柄の縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で横方向に揃って停止しない状態が繰り返された後、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となった後、操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示されるスロットマシンが見て取れる。

ウ 把握される技術事項

上記イで認定した記録事項から、甲第1号証には、「ミリオンゴッド 神々の系譜」という機種のスロットマシンは、以下の内容を有し、以下の動作を行うことが記録されていると認められる。

(ア)上記イ(ア)より、0分00秒~1分52秒の動画像では、スロットマシンは、時間の経過とともに図柄表示領域の表示が視認不能となり手による操作部材の操作に応じて操作部材の上の表示が視認可能な状態で停止していることから、スロットマシンは遊技を行うことができると把握できる。

(イ)上記イ(ア)より、0分00秒~1分52秒の動画像には、スロットマシンには、表示装置を備え、表示装置には、花が咲いた草原と山と空が表示されるとともに、その前面に様々な表示演出が順次なされることが把握できる。

(ウ)上記イ(イ)より、1分17秒~1分22秒の動画像では、表示装置に赤い丸の中に白抜きの数字で「1」、「2」、「3」と操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、操作部材が操作されると、表示装置には、停止ボタンに対応した3つのボタンのうち、左のボタンのランプが赤から青に変わり、3つの操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃った状態で停止表示されるとともに、「$15GET」が表示装置に表示されることが把握できる。そして、「$15GET」の表示がスロットマシン分野の技術常識から、15枚のメダルを獲得していることを表していることは明らかである。

(エ)上記イ(ウ)より、1分23秒~1分45秒の動画像では、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、操作部材を操作する順番が表示されない状態で、操作部材を操作し、図柄表示領域にある図柄の縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で横方向に揃って停止しない状態が繰り返された後、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、その状態で図柄表示領域に操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、操作部材が操作されると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示されることが把握でき、上記(ア)のとおり、「TOTAL」の横の数字は、動画開始時には「9978」と表示され、時間の経過とともに「9993」、「9990」、「10005」、「10002」と変化しており、「$15GET」と表示された際には、元の数字に15が加算され、その直後には3が減算されることから、スロット分野の技術常識を勘案すると、「TOTAL」の表示はメダルの増減を表していることは明らかである。

よって、「$10000OVER」の表示は、10000枚を超えたメダルを獲得していることを表していることは明らかである。

(オ)上記イ(ウ)より、1分23秒~1分45秒の動画像では、「操作部材を操作する順番が表示」しており、「その順番に従って、手で操作部材を操作すると、黄色の7が視認可能な状態で、3つ横方向に揃って停止し、「$15GET」の表示が表示装置に表示され」、再び、「操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示され」ており、上記(エ)のとおり「TOTAL」の横の数字は、メダルの増減を表しているといえ、「TOTAL」の横の数字が「9990」から「10005」となっているから「$10000OVER」の表示は、動画として撮影される前からの「$15GET」を積算することにより「$10000」を超えたときの表示であることは明らかである。

よって、動画像において、1分44秒付近で「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時に、「$15GET」の表示がなされず「$10000OVER」の表示がなされた「操作部材を操作する順番が表示され」た単位遊技の期間に獲得したメダルと、1分21秒付近で「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時に、「$15GET」の表示がなされた「操作部材を操作する順番が表示され」た単位遊技の期間を含めて「$15GET」の表示がなされた「操作部材を操作する順番が表示され」た単位遊技の期間に獲得したメダルを合計したものが「$10000」を超えたことにより「$10000OVER」が表示されたものであるといえる。

ウ 甲1第号証に記録された発明

上記ア、イより、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記録されていると認められる(本件発明の分説A~Fに概ね対応させて、a~fの符号を、当審にて付した。)。

「a 遊技を行うスロットマシンであって(ウ(ア))、
b 様々な表示演出が順次なされる表示装置があり(ウ(イ))、
c、c1、c2、e 表示装置に、操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、黄色の7が視認可能な状態で、3つ横方向に揃った状態で停止表示されるとともに、「$15GET」が表示装置に表示され、15枚
のメダルを獲得し(イ(イ)、ウ(ウ))、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、操作部材を操作する順番が表示されない状態で、操作部材を操作し、図柄表示領域にある図柄の縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で横方向に揃って停止しない状態が繰り返された後、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、その状態で図柄表示領域に操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、操作部材が操作されると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示され、10000枚を超えたメダルを獲得し(ウ(エ))、
d 「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時(動画開始から1分44秒付近)に「$15GET」の表示がなされず「$10000OVER」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルと、「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時(動画開始から1分21秒付近)に「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間を含めて「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルを合計したものが$10000を超えたことにより「$10000OVER」が表示される(ウ(オ))
f 「ミリオンゴッド 神々の系譜」という機種のスロットマシン(イ(ア))。」

(2)甲第2号証について

ア 甲第2号証の記載

本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特開2014-303号公報)には、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審が付した。)

(ア)「【0020】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るスロットマシン1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシン1の内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシン1の制御回路の全体構成を示すブロック図である。」
(イ)「【0287】
本実施の形態においては、AT抽選条件が成立する毎に実行されるナビストック数抽選で決定されたナビストック数の合計数に応じて、ATに制御される。」
(ウ)「【0296】
また、サブ制御部91は、ATゲーム数上乗せ抽選処理を実行することにより、制御中のATに対してATゲーム数が上乗せ決定された場合に、当該ATゲーム数が上乗せ決定されたことを報知するATゲーム数上乗せ演出を行なうタイミングを決定する。ATゲーム数上乗せ演出においては、後述する図20(b)に示すように、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知される。」
(エ)「【0298】
ここで、本実施の形態においては、AT中の純増数が1000枚に達した場合に、液晶表示器51において純増数到達演出が行なわれる。純増数到達演出においては、後述する図20(a)に示すように、液晶表示器51の画面上に「1000枚GET!!」といった、純増数が1000枚に達したことが数値で報知される。
【0299】
純増数到達演出が行なわれるタイミングは、AT中の純増数が1000枚に達したゲームにおける入賞判定が終了した後に設定されている。そのため、ATゲーム数が上乗せ決定されたときの先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出が行なわれるタイミングとは、いずれもATゲームにおける入賞判定された後で同じタイミングであり、両者の報知タイミングが重なる場合がある。さらに、いずれの報知においても、液晶表示器51の画面上に数値を用いて報知される。そのため、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが同じタイミングで行なわれた場合、同じ装置において同一の態様で複数の報知が行なわれることになり、遊技者に対して混同を生じさせる虞がある。
【0300】
ここで、「同一の態様」とは、複数の報知対象の双方が同じ概念を生じ、その表現方法や形式も同じであることをいう。たとえば、本実施の形態においては、ATゲーム数の上乗せ決定を報知することと、純増数の到達を報知することとが、数値という同じ概念を生じ、また、同じ文字体や同じ大きさの文字を用いて表現されており、その表現方法や形式が同じである。
【0301】
そこで、サブ制御部91は、ATゲーム数上乗せ抽選処理において、先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、ATゲーム数上乗せ演出の報知タイミングを強制的に後報知に決定する。これにより、後述する図20(c)に示すように、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、液晶表示器51においては、純増数到達演出のみ行なわれるようにすることができる。」
(オ)「【0459】
たとえば、図27は、変形例での液晶表示器51における画面状態を説明するための図である。図27(a)に示すように、純増数到達演出とATゲーム数上乗せ演出の報知とが重なるときには、純増数到達演出の報知タイミングを後ろにずらすことにより、液晶表示器51においては、ATゲーム数上乗せ演出のみ行なわれるようにしてもよい。」
(カ)「
[図:0001381656000015.jpg]
」

イ 甲第2号証に記載の技術

上記アより、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

「AT抽選条件が成立する毎に実行されるナビストック数抽選で決定されたナビストック数の合計数に応じて、ATに制御される(【0287】)スロットマシン1(【0020】)において、
ATゲーム数上乗せ抽選処理を実行することにより、制御中のATに対してATゲーム数が上乗せ決定された場合に、当該ATゲーム数が上乗せ決定されたことを報知するATゲーム数上乗せ演出を行なうタイミングを決定し、ATゲーム数上乗せ演出においては、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知され(【0296】)、
AT中の純増数が1000枚に達した場合に、液晶表示器51において純増数到達演出が行なわれ、純増数到達演出においては、液晶表示器51の画面上に「1000枚GET!!」といった、純増数が1000枚に達したことが数値で報知され(【0298】)、純増数到達演出が行なわれるタイミングは、AT中の純増数が1000枚に達したゲームにおける入賞判定が終了した後に設定され、ATゲーム数が上乗せ決定されたときの先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出が行なわれるタイミングとは、いずれもATゲームにおける入賞判定された後で同じタイミングであり(【0299】)、先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、ATゲーム数上乗せ演出の報知タイミングを強制的に後報知に決定し、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、液晶表示器51においては、純増数到達演出のみ行なわれるようにし(【0301】)、
または、純増数到達演出とATゲーム数上乗せ演出の報知とが重なるときには、純増数到達演出の報知タイミングを後ろにずらすことにより、液晶表示器51においては、ATゲーム数上乗せ演出のみ行なわれるようにしてもよい(【0459】)技術。」

2 当審の判断

(1)対比

本件訂正発明と甲1発明とを対比する。

ア 構成Aについて

甲1発明の構成aは、本件訂正発明の構成Aに相当することは明らかである。

イ 構成Bについて

甲1発明の構成bでは、「スロットマシン」において「表示装置」では「様々な表示演出が順次なされている」ことから、「スロットマシン」が「様々な表示演出」を実行するための実行手段を備えていることはスロットマシンの分野の技術常識から明らかである。

そうすると、甲1発明は本件訂正発明の構成Bに相当する構成を有するといえる。

ウ 構成C、構成C1及び構成C2について

甲1発明の「獲得」した「メダル」は、本件訂正発明の「獲得した価値」に相当する。

甲1発明は「スロットマシン」であり、スロットマシンにおいて「連チャン」は、一般的に、ボーナスが連続して発生すること、ATやARTのセット数が継続して発生することであるから、「連チャン」をこのように解釈すると、甲1発明は、構成Cに相当する構成を有さないといえる。

しかしながら、本件訂正発明の「連チャン」は、「大当り」に相当する遊技者にとって有利な状態が連続して発生すること、であって、甲1発明の構成c、c1、c2、eで「表示装置に、操作部材を操作する順番が表示され、各操作部材はランプ表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、黄色の7が視認可能な状態で、3つ横方向に揃った状態で停止表示されるとともに、「$15GET」が表示装置に表示され、15枚のメダルを獲得」できることが、甲1発明の構成dのように「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時(動画開始から1分44秒付近)に「$15GET」の表示がなされず「$10000OVER」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルと、「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時(動画開始から1分21秒付近)に「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間を含めて「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルを合計したものが$10000を超えたことにより「$10000OVER」が表示され」ており、甲1発明の「「$15GET」の表示」、「「$10000OVER」」の「表示」が、それぞれ本件訂正発明の「第1報知」、「第2報知」に相当し、「LAST」から1分44秒付近)、「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時(動画開始から1分21秒付近)に発生している「表示装置に、操作部材を操作する順番が表示され」ている状態は、「遊技者に有利な状態」であるといえる。

そうすると、甲1発明と本件訂正発明とは、「前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、遊技者に有利な状態に制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、」、「前記期間は、前記遊技者に有利な状態に制御されている期間である、」点で共通する。

エ 構成Dについて

上記ウのとおり、甲1発明の「$10000OVER」の表示、「獲得」した「メダル」は、それぞれ本件訂正発明の「第2報知」、「獲得した価値」に相当するから、甲1発明の構成dと、本件訂正発明の構成Dとは「前記第2報知として、前記期間において獲得した価値の大きさと、前記期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知」する点で共通する。

オ 構成Eについて

甲1発明では、「「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時(動画開始から1分44秒付近)」に「操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示され」ることから、甲1発明では「「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時(動画開始から1分21秒付近)」に「操作部材を操作する順番が表示され」たときの「$15GET」の表示が「「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時(動画開始から1分44秒付近)」ではなされていない。

よって、「$15GET」の表示(「第1報知」)と「$10000OVER」の表示(「第2報知」)とが重複する場合に、一方の報知のみを表示する点で本件訂正発明と共通しており、甲1発明と本件訂正発明とは「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、一方の報知のみ報知を実行する」点で共通する。

カ 構成Fについて

甲1発明の「「ミリオンゴッド 神々の系譜」という機種のスロットマシン」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。

よって、甲1発明の構成fは、本件訂正発明の構成Fに相当する

したがって、本件訂正発明と甲1発明とは、

[一致点]

「A 遊技を行う遊技機であって、
B 報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
C’前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、遊技者に有利な状態に制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、
D 前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
E’前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、一方の報知のみ報知を実行し、
C1’、C2’ 前記期間は、前記遊技者に有利な状態に制御されている期間である、
F 遊技機。」

である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成C、C1、C2)

「前記報知演出実行手段は、前記報知演出として」、

本件訂正発明は、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であ」るのに対して、

甲1発明では、「表示装置に、操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、黄色の7が視認可能な状態で、3つ横方向に揃った状態で停止表示されるとともに、「$15GET」が表示装置に表示され、15枚のメダルを獲得し、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、操作部材を操作する順番が表示されない状態で、操作部材を操作し、図柄表示領域にある図柄の縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で横方向に揃って停止しない状態が繰り返された後、図柄表示領域の図柄が視認できない状態となり、その状態で図柄表示領域に操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、操作部材が操作されると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示され」ている点。

[相違点2](構成D)

「前記第2報知として」

本件訂正発明では、「前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し」ているのに対して、

甲1発明では、「「LAST」の表示が「62」、「TOTAL」の表示が「9990」の時(動画開始から1分44秒付近)に「$15GET」の表示がなされず「$10000OVER」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルと、「LAST」の表示が「67」、「TOTAL」の表示が「9978」の時(動画開始から1分21秒付近)に「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間を含めて「$15GET」の表示がなされた操作部材を操作する順番が表示された単位遊技の期間に獲得したメダルを合計したものが$10000を超えたことにより「$10000OVER」が表示され」ている点。

[相違点3](構成E)

報知の実行期間が重複するときに、

本件訂正発明は、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行」しないのに対して、

甲1発明は、「操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、操作部材の上の図柄表示領域内にある3つの図柄が縦方向真ん中に黄色の7が視認可能な状態で順に3つ横方向に揃って停止し、「$10000OVER」の表示が表示装置に表示され」、「$15GET」が表示されない点。

(2)判断

ア 相違点1及び2について

相違点1及び2は密接に関係しているため併せて検討することとする。

甲1発明では、「表示装置に、操作部材を操作する順番が表示され、その順番に従って、手で操作部材を操作すると、黄色の7が視認可能な状態で、3つ横方向に揃った状態で停止表示されるとともに、「$15GET」が表示装置に表示され、15枚のメダルを獲得」できる状態が所定回数発生する状態(以下、「AT遊技状態」という。)を1セットとして、それが連続して発生するのか否かが不明であり、また、複数回発生することが周知技術であるとする根拠も示されてない。

また、上記1(2)イで示したとおり甲2技術は、「AT」が「上乗せ」されて連続するときに、直近の「AT」に制御されている期間に獲得したメダルの枚数の報知と、それまでに「AT」に制御されている期間に獲得したメダルの枚数の報知を実行可能な技術ではないから、甲1発明に、甲2技術を適用しても、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明の構成にはならない。

よって、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明、甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。

イ 相違点3について

上記1(2)イで示したとおり甲2技術は、「AT抽選条件が成立する毎に実行されるナビストック数抽選で決定されたナビストック数の合計数に応じて、ATに制御されるスロットマシン1において」「ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、液晶表示器51においては、純増数到達演出のみ行なわれるように」すること、「純増数到達演出とATゲーム数上乗せ演出の報知とが重なるときには、純増数到達演出の報知タイミングを後ろにずらすことにより、液晶表示器51においては、ATゲーム数上乗せ演出のみ行なわれるようにしてもよい」ことである。

ここで、甲2技術は、「ATに制御されるスロットマシン1」において、「ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるとき」に「純増数到達演出」、「ATゲーム数上乗せ演出」のいずれかの報知タイミングを後ろにずらす技術であり、いずれかの演出を実行しない技術ではないから、本件訂正発明の構成Eの「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行」しない、のうち、「実行しない」点を満たさず、この点が設計的事項であるとするに足る根拠も認められず、甲第2号証には、上記相違点に係る構成は記載も示唆もされていない。

仮に、いずれかの報知タイミングを後ろにずらすことにより、報知タイミングを後ろにずらした時点では、後ろにずらした時点の演出は実行しないので、この点を満たすとした場合においても、甲2技術は、「純増数到達演出」、「ATゲーム数上乗せ演出」と、「枚数」と「ゲーム数」に関する報知をずらす技術であるため、甲1発明におけるともに「枚数」に関する報知について甲2技術を適用する動機付けはない。

よって、仮に、甲1発明に甲2技術を適用する動機付けがあるとしても、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明、甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。

ウ してみると、甲1発明及び甲2技術に基いて、上記相違点に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。

エ 申立人の主張

(ア)申立人は、異議申立書において、特に相違点について、次の主張をしている。

「このように、甲第2号証には、それぞれ対象期間の異なる獲得価値の大きさに関する2つの報知(ATゲーム数上乗せ演出および純増枚数到達演出)のタイミングが重複するときの演出実行手法として、純増枚数到達演出のみ行うこと(段落0301、0334、図20(c))、逆にATゲーム数上乗せ演出のみ行うこと(段落0459、図27(a))等が記載されている。これらの記載から、甲第2号証には、それぞれ対象期間が異なる価値の大きさに関する2つの報知タイミングが重複するとき、いずれの報知を行うかに関し、両方の方法が開示されている(以下、甲2記載事項」という。)。以上のとおりであるから、甲1発明において、甲2記載事項を考慮することで、「「$15GET」表示と「$10000 OVER」表示と、のタイミングが重複するときに、「$15GET」表示を行い、「$10000 OVER」表示を行わない」ようにし、上記相違点に係る本件特許発明の特定事項のようになすことは、当業者が適宜なし得ることである。」(異議申立書16頁1行~16行)

(イ)申立人の主張に対して、甲1発明に甲2技術を適用する動機付けがないことは、上記(2)イで検討したとおりであり、さらに、甲第2号証には、対象期間が異なる「枚数」に関する報知のタイミングが重複するときについては記載も示唆もなく、甲第2号証に記載されている事項を考慮することで、上記相違点に係る本件特許発明の特定事項のようになすことは、当業者が適宜なし得ることであるとするに足る根拠も提示されていない。

また、申立人から、対象期間が異なる「枚数」に関する報知のタイミングが重複するときに、「累積でない枚数」の報知を実行しないことが遊技機の分野で公知であることを示す証拠も提出されていない。

よって、申立人の主張を採用することはできない。

(3)まとめ

以上のことから、本件訂正発明は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第7 特許異議申立人の意見

申立人は、意見書(4頁25行~5頁30行)において「「一方、訂正後発明の構成IおよびEでは、「第2報知」は、「連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」である「特別期間において獲得した価値の大きさを報知する」である。すなわち、訂正後発明の「第2報知」は、連チャン中の大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知するものであって、報知対象は、連チャン中の大当たり毎の賞球数を合計したもの(累積賞球数)であり、報知タイミングは、直近の大当たり終了時である。・・・中略・・・「第2報知」の報知対象は、連チャン中の大当たり毎の賞球数(N個)を合計した累積賞球数(2N個、3N個、4N個・・・)であり、これは、上記の本件特許明細書等に記載されている「第2報知」の報知対象である、区切りとなる所定数の「5000個」、「10000個」とは異なるものである。

なお、訂正事項3により、「特別期間」は、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」に訂正されているが、そもそも、本件特許明細書等には、「特別期間」が「連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間である」ことは記載されていないし、示唆も一切されていない。

そうすると、訂正事項3により、上記各段落の記載を根拠に、構成Eおよび構成Iとすることは、本件特許明細書等に記載も示唆もされていない事項を導入するものである。また、他の訂正事項についても同様に新規事項の追加に該当する疑念がある。

・・・中略・・・

なお、訂正後発明によると、第1報知、第2報知とも直近の大当たり終了時に実行されることになり、常に報知タイミングが重複する。このため、訂正後発明では、第1報知のみが実行され、第2報知は一切実行されない。このような発明は、本件特許発明の課題と乖離してしまう点も指摘しておく。」と主張している。

しかしながら、訂正事項3が新規事項を追加するものでなく、また、実質上特許請求の範囲を変更するものでもないことは、上記「第2 3(3)」のとおりであり、さらに補足すると、上記申立人の主張において、第1報知、第2報知の報知タイミングが、常に、大当りの終了時に毎回、重複することが前提となっていると考えられるが、訂正後の請求項1からそのような事項は導き出せず、上記「第3」の訂正後の本件発明の構成E(意見書における構成G)の「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知を実行せず、」の記載を併せて考慮すれば、申立人の主張のように、常に「第1報知」と「第2報知」の実行期間が重複し、「第2報知」が実行されることがない、ということになるならばその前提は合理性がないことは明らかである。

したがって、申立人の「訂正後発明の「第2報知」は、連チャン中の大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知するものであって、報知対象は、連チャン中の大当たり毎の賞球数を合計したもの(累積賞球数)であり、報知タイミングは、直近の大当たり終了時である」との主張は、妥当ではないから、採用することができない。

第8 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

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2020-700864

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