特許異議申立
2024-700151
遊技機
- 審判番号
- 2024-700151
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-101706
- 登録番号
- 7330640
- 請求日
- 2024年02月20日
- 審決日
- 2024年11月25日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人武和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 渋谷 知子
- 審判官 酒井 保
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F) / P1651.14 -YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第2条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7330640号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7330640号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第7330640号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7330640号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、令和2年6月11日に出願した特願2020-101706号であって、令和5年8月14日にその特許権の設定登録がされ、同月22日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、令和6年2月20日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年2月20日 :申立人による本件特許に対する特許異議の申立て
令和6年6月24日付:取消理由通知
令和6年8月23日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年9月 3日付:(申立人に対し)訂正請求があった旨通知
(なお、訂正請求に対し、申立人から意見書の提出はなかった。)
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和6年8月23日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。(下線は当審において付した。以下同様。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記群演出に用いられる一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも一のキャラクタの第1画像と一のキャラクタの第2画像とを含む複数の一のキャラクタの画像によって構成され、」
とあるのを、
「前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記一のキャラクタの第1画像は該一のキャラクタの手の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、」
とあるのを、
「前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり、」
に訂正する。
(3)訂正事項3
上記訂正事項2の「前記一のキャラクタの第1画像は、・・・最も後方の位置となる画像であり、」の後に
「前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、」
を加える。
(4)訂正事項4
上記訂正事項3の「前記一のキャラクタの第4画像は、・・・該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、」の後に
「前記一のキャラクタの第2画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも前方の位置となる画像であり、」
を加える。
(5)訂正事項5
上記訂正事項4の「前記一のキャラクタの第2画像は、・・・前記第1画像よりも前方の位置となる画像であり、」の後に
「前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像であり、」
を加える。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に
「前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長い」
とあるのを、
「前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長く、」
に訂正する。
(7)訂正事項7
上記訂正事項6の「前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長く、」の後に
「前記所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回するとともに、前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない」
を加える。
(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0006】に
「(1)可変表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
・・・
前記群演出に用いられる一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも一のキャラクタの第1画像と一のキャラクタの第2画像とを含む複数の一のキャラクタの画像によって構成され、
前記一のキャラクタの第1画像は該一のキャラクタの手の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、
前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長い。」
とあるのを、
「(1) 可変表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
・・・
前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、
前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり、
前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、
前記一のキャラクタの第2画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも前方の位置となる画像であり、
前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像であり、
前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長く、
前記所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回するとともに、前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない。」
に訂正する。
2 一群の請求項
本件訂正請求は、二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をするものではないから、一群の請求項に係る特許法第120条の5第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「前記群演出に用いられる一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも一のキャラクタの第1画像と一のキャラクタの第2画像とを含む複数の一のキャラクタの画像によって構成され、」
と記載されていたのを、
「前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、」
とする訂正事項1の訂正は、
訂正前の請求項1に記載された「一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期」が、「複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで」、「進行方向へ移動する」「アニメーションの1周期」であることを限定するとともに、
訂正前の請求項1に記載された「一のキャラクタの第1画像」、「一のキャラクタの第2画像」、「一のキャラクタの画像」における「一のキャラクタ」が、「前記群演出に用いられる」「一のキャラクタ」と同じキャラクタであることを明瞭にするために、「該一のキャラクタの第1画像」、「該一のキャラクタの第2画像」、「該一のキャラクタの画像」とし、
訂正前の請求項1に記載された「所定アニメーションの1周期」が、「該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像」に加えてさらに「該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像と」を含むことを限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮、及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1の訂正は、本件特許の明細書における、「図171(a)においては、群予告演出において用いられるキャラクタの画像が示されている。図171(a)に示すように、群予告演出におけるキャラクタの画像としては、画像A~画像Fといった6種類の画像が用いられている。「第1画像」は画像A、「第2画像」は画像Bおよび画像C、「第3画像」は画像Dおよび画像E、「第4画像」は画像Fとして、各々例示する。また、群予告演出においては、画像A~画像Fの各画像が順番に表示されるが、その際には、画像Aおよび画像Fが5フレーム分、画像Bおよび画像Eが2フレーム分、画像Cおよび画像Dが1フレーム分、各々表示される。上述したように、1フレーム分は約33.3msecの時間に対応する。なお、群予告演出におけるキャラクタの画像は、6枚(6種類)に限らず、4枚(4種類)や8枚(8種類)など、その他の偶数枚で構成されてもよい。」(【0766】)との記載、「図173に示すように、群予告演出時においては、画像A~画像Fを周回するように順番に用いて画面に表示することで、キャラクタが走り去るような動作を画面上で表現している。」(【0769】)との記載、「このように、群予告演出におけるアニメーションの1周期においては、画像Aおよび画像Fが他の画像B~画像Eよりも表示時間が長くなっている。こうして周回するように各画像を順番に切り替えて表示することで、群予告演出においては、キャラクタが画面にフレームインして画面からフレームアウトして走り去るようなアニメーションが表示される。」(【0770】)との記載に基づくものであるから、本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項1による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「前記一のキャラクタの第1画像は該一のキャラクタの手の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、」
と記載されていたのを、
「前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり、」
とする訂正事項2の訂正は、
訂正前の請求項1に記載された「前記一のキャラクタの第1画像」の「進行方向側でありかつ該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる」「手の位置」が、「該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置」でありかつ「前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置とな」ることを限定し、さらに「前記一のキャラクタの第1画像」の「該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2の訂正は、本件特許の【図171】(a)、【図173】の「群予告演出において用いられるキャラクタの画像」(【0766】)のうちの「(第1画像)」において、キャラクタの進行方向側にある右手の先端部分の位置が、「(第1画像)」~「(第4画像)」のうちでキャラクタの顔に最も近い位置となり、かつ、同「(第1画像)」において、進行方向と逆方向側にある左手の先端部分の位置が、「(第1画像)」~「(第4画像)」のうち最も後方の位置となることが示されていることに基づくものであるから、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項2による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(3)訂正事項3について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、」
との記載を追加する訂正事項3の訂正は、上記(1)で検討した訂正事項1において、訂正前の請求項1に記載された「所定アニメーションの1周期」が「該一のキャラクタの第4画像」を含むことを限定したことに加えて、さらに、当該「第4画像」について、
「前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像」であることを追加して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3の訂正は、本件特許の【図171】(a)、【図173】の「群予告演出において用いられるキャラクタの画像」(【0766】)のうちの「(第4画像)」において、キャラクタの進行方向と逆方向側にある右手の先端部分の位置が、「(第1画像)」~「(第4画像)」のうち最も後方の位置となり、かつ、同「(第4画像)」において、進行方向側にある左手の先端部分の位置が、「(第1画像)」~「(第4画像)」のうちキャラクタの顔に最も近い位置となることが示されていることに基づくものであるから、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項3による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(4)訂正事項4について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記一のキャラクタの第2画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも前方の位置となる画像であり、」
との記載を追加する訂正事項4の訂正は、訂正前の請求項1に記載された「前記一のキャラクタの第2画像」について、「該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも前方の位置となる」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4の訂正は、本件特許の【図171】(a)、【図173】の「群予告演出において用いられるキャラクタの画像」(【0766】)のうちの「(第2画像)」において、キャラクタの進行方向側にある右手の先端部分の位置が、「(第1画像)」よりもキャラクタの顔から離れた位置となり、かつ、同「(第2画像)」において、進行方向と逆方向側にある左手の先端部分の位置が、「(第1画像)」よりも前方の位置となることが示されていることに基づくものであるから、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項4による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(5)訂正事項5について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像であり、」
との記載を追加する訂正事項5の訂正は、上記(1)で検討した訂正事項1において、訂正前の請求項1に記載された「所定アニメーションの1周期」が「該一のキャラクタの第3画像」を含むことを限定したことに加えて、さらに、当該「第3画像」について、
「前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像」であることを追加して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項5の訂正は、本件特許の【図171】(a)、【図173】の「群予告演出において用いられるキャラクタの画像」(【0766】)のうちの「(第3画像)」において、キャラクタの進行方向と逆方向側にある右手の先端部分の位置が、「(第4画像)」よりも前方の位置となり、かつ、同「(第3画像)」において、進行方向側にある左手の先端部分の位置が、「(第4画像)」よりもキャラクタの顔から離れた位置となることが示されていることに基づくものであるから、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項5による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(6)訂正事項6について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「・・・第2画像の表示時間よりも長い」
とあるのを、
「・・・第2画像の表示時間よりも長く、」
とする訂正事項6の訂正は、訂正事項7(下記(7)参照)の訂正を行うことに伴い、記載を整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、上記の検討結果をふまえると、訂正事項6による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(7)訂正事項7について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「前記所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回するとともに、前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない」
との記載を追加する訂正事項7の訂正は、訂正前の請求項1に記載された、「所定アニメーションの1周期」を「構成」する「複数の一のキャラクタの画像」について、「前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回するとともに、前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない」
ことを限定するものであるから、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項7の訂正は、本件特許の明細書における、「図171(a)においては、群予告演出において用いられるキャラクタの画像が示されている。図171(a)に示すように、群予告演出におけるキャラクタの画像としては、画像A~画像Fといった6種類の画像が用いられている。「第1画像」は画像A、「第2画像」は画像Bおよび画像C、「第3画像」は画像Dおよび画像E、「第4画像」は画像Fとして、各々例示する。また、群予告演出においては、画像A~画像Fの各画像が順番に表示されるが、その際には、画像Aおよび画像Fが5フレーム分、画像Bおよび画像Eが2フレーム分、画像Cおよび画像Dが1フレーム分、各々表示される。上述したように、1フレーム分は約33.3msecの時間に対応する。なお、群予告演出におけるキャラクタの画像は、6枚(6種類)に限らず、4枚(4種類)や8枚(8種類)など、その他の偶数枚で構成されてもよい。」(【0766】)との記載、「図173に示すように、群予告演出時においては、画像A~画像Fを周回するように順番に用いて画面に表示することで、キャラクタが走り去るような動作を画面上で表現している。」(【0769】)との記載、及び、【図173】において、「A(第1画像)」→(「B(第2画像)」→)「C(第2画像)」→「D(第3画像)」→(「E(第3画像)」→)「F(第4画像)」→(「E(第3画像)」→)「D(第3画像)」→「C(第2画像)」→(「B(第2画像)」→)「A(第1画像)」の順で周回することが示されるとともに、右手と左手の先端部分の位置が、「C(第2画像)」における位置と「D(第3画像)」における位置との間となる画像が「用いられない」ことが示されていることに基づくものであるから、本件特許の明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、上記の検討結果をふまえると、訂正事項7による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてされた、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかである。
(8)訂正事項8について
訂正事項8に係る訂正は、訂正事項1~7の訂正による特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるために行う明細書についての訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、上記(1)~(7)の検討をふまえると、訂正事項8による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
4 小括
上記のとおり、訂正事項1~8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、訂正事項1~5、7に係る訂正については、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであるが、訂正事項1~7は、特許異議の申立てがされている請求項1に係る訂正であり、同条第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。(なお、符号A等及び下線は当審において付し、下線は本件訂正により訂正された部分を示す。)
(本件発明)
「A 可変表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する群演出実行手段を備え、
C 前記群演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、第3表示期間とを含み、
C1 前記第1表示期間は、前記群演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
C2 前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
C3 前記第3表示期間は、キャラクタの新たな表示がされることなく、表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
D 前記群演出においては、キャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの表示がされ、
E1 前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、
F1 前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり、
F2 前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、
F3 前記一のキャラクタの第2画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも前方の位置となる画像であり、
F4 前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となり、該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像であり、
G 前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長く、
H 前記所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回するとともに、前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない、
A 遊技機。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審において、令和6年6月24日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(明確性)
本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
記
ア 請求項1に係る発明には、「一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも一のキャラクタの第1画像と一のキャラクタの第2画像とを含む複数の一のキャラクタの画像によって構成され」るとの記載がある。
当該記載部分の、「一のキャラクタの第1画像」と「一のキャラクタの第2画像」における「一のキャラクタ」が、同じキャラクタであるのか、それとも異なるキャラクタであってもよいのかが明確でない。
イ 請求項1に係る発明には「群演出に用いられる一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期」との記載があるが、「一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーション」とはどのようなものか、また、その「1周期」とはどのようなものであるのかが、明確でない。
ウ 請求項1に係る発明には、「前記一のキャラクタの第1画像は該一のキャラクタの手の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像」との記載があるが、本件特許明細書の実施例を参照しても、「手の位置が・・・顔に最も近い位置となる画像」について直接的な記載はないため、「手の位置が」「顔に最も近い位置」とは、具体的にどのような位置であるのか明確でない。
(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
甲第1号証:特開2020-022917号公報
(令和2年2月13日公開)
甲第2号証:「CR真・北斗無双 プレミア!?ザコ群予告にハート様、
赤保・神拳ZONE!~でかいババアもいるよ!~【たぬパチ!】」,
YouTube[online][video],2016年3月12日公開,
URL: https://www.youtube.com/watch?v=9MYmhc0WLIY
甲第3号証:「CRA びっくりぱちんこあしたのジョー99ver 甘デジ!
役物が凄く好きだった台!!楽曲情熱ガンガンも最高!!
懐かしい台の実践!【ぱち細道】」,
YouTube [online] [video],2019年6月4日公開,
URL: https://www.youtube.com/watch?v=ja1atMJZUd0
(以下、甲第1号証~甲第3号証をそれぞれ「甲1」~「甲3」という。)
2 甲号証の記載
(1)甲1に記載された事項等
ア 甲1には次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。以下同様。)
「【0059】
2.遊技機の電気的構成
・・・図6~図7に示すように、パチンコ遊技機PY1は、・・・主制御基板100による遊技の進行に応じた遊技演出(特図変動演出、保留演出、大当たり遊技演出)、客待ち演出、通常ボタン40や特殊ボタン41の操作が有効な期間(操作有効期間)において操作を促す操作促進演出などの演出に関する制御を行う演出制御基板(以下「サブ制御基板」)120・・・等を、遊技盤1の画像表示装置50よりさらに背面側に備えている。・・・サブ制御基板120を、後述する画像制御基板140、ランプ制御回路151、および音声制御回路161とともに、演出の制御を行う演出制御部と位置づけることができる。なお、演出制御部は、少なくともサブ制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50、スピーカ52、枠ランプ53、盤ランプ54、および、可動装置55,56等)を用いた遊技演出、客待ち演出、および操作促進演出を制御可能であればよい。」
「【0075】
サブ制御基板120には、画像制御基板140が接続されている。サブ制御基板120の演出制御用マイコン121は、主制御基板100から受信したコマンドに基づいて、すなわち、主制御基板100による遊技の進行に応じて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の表示制御を行わせる。・・・」
「【0096】
3-2.特図に関わる遊技
次に、特図に関わる遊技について説明する。パチンコ遊技機PY1は、発射された遊技球が第1始動口11に入賞すると、特図1抽選を行う。特図1抽選が行われると、特図1表示器81aにおいて、特図1の可変表示(変動表示を行った後に停止表示)を行って、特図1抽選の結果を報知する。ここで、停止表示される特図1には、大当たり図柄およびハズレ図柄がある。すなわち、特図1抽選の結果には大当たり、およびハズレがある。大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行され、新たな遊技状態が設定されて、当該入賞に基づく遊技が終了する。一方、ハズレ図柄が停止表示されると、大当たり遊技が行われず、当該入賞に基づく遊技が終了する。」
「【0230】
H.群予告(キャラクタ群予告に相当)
「群予告」は、「Nリーチ」,「拡大リーチ」において行われることがある演出であり、複数のキャラクタから成るキャラクタ群が登場する予告演出である。「群予告」は、大当たり判定の結果が「ハズレ」であった場合よりも「大当たり」であった場合の方が行われ易いため、大当たり遊技が行われる可能性が高いことを示唆する演出として機能する。」
「【0232】
H-b.キャラ群予告B
「キャラ群予告B」は、「群予告」の1種であり、キャラクタBのみから成るキャラクタ群が右から左に移動して表示される予告演出である。」
「【0259】
演出制御用マイコン121は、図33(B)に示すN群予告選択テーブルを用いて、「キャラ群予告A」,「キャラ群予告B」を実行するか否かを選択可能である。・・・」
「【0263】
「キャラ群予告B」では、図37(B)に示すように、キャラクタが群れを成すように、多数(例えば11)のキャラB画像G301が表示部50aの右縁部から左方向に向かって移動するように表示される。そして、「キャラ群予告A」とは異なり、群れの最後尾のキャラクタとして、図37(C)に示すように、キャラB画像G301が表示部50aに表示される。その後、多数のキャラB画像G301は、表示部50aの左縁部からフレームアウトするように消去され、「キャラ群予告B」は終了する。」
「【図37】
[図:0001420314000001.jpg]
」
イ 認定事項
上記アの【0263】、図37(B),(C)の記載より、以下の事項が認定できる。(以下「認定事項」という。)
「「キャラ群予告B」では、最初のキャラB画像G301が表示部50aの右縁部から左方向に向かって移動する表示を開始してから、多数のキャラB画像G301の新たな表示がされ、キャラB画像G301の表示が表示部50aの左縁部から最初にフレームアウトするように終了する。」
ウ 甲1発明
上記アに摘記した記載事項及びイの認定事項から、甲1には次の発明が記載されていると認められる。(以下「甲1発明」という。なお、符号a等は、本件発明の構成A等に概ね対応させて当審において付した。)
(甲1発明)
「a 特図1の可変表示を行って、特図1抽選の結果を報知し、大当たり図柄が停止表示されると大当たり遊技が実行されるパチンコ遊技機PY1であって(【0096】)、
b 多数のキャラB画像G301が群れを成すように表示部50aの右縁部から左方向に向かって移動するように表示される「キャラ群予告B」(【0263】)を実行する演出制御用マイコンを備え(【0259】)、
c 「キャラ群予告B」では、最初のキャラB画像G301が表示部50aの右縁部から左方向に向かって移動する表示を開始してから、多数のキャラB画像G301の新たな表示がされ、キャラB画像G301の表示が表示部50aの左縁部から最初にフレームアウトするように終了し(認定事項)、群れの最後尾のキャラクタとして、キャラB画像G301が表示部50aに表示され、多数のキャラB画像G301は、表示部50aの左縁部からフレームアウトするように消去され、「キャラ群予告B」が終了する(【0263】)、
a パチンコ遊技機PY1。」
(2)甲2に記載された事項等
甲2に係るYouTubeの動画を視聴することで、甲2には、次の事項が記録されていることが認定できる。(なお、「<0分07秒>」等は、動画の再生開始からの経過時間を示すものである。以下同様。)
ア <0分07秒>
[図:0001420314000002.jpg]
・左上部に「CR真北斗無双 初打ち1K~ザコ群、赤保、神拳ZONE~ 仕事帰りにとりあえずの前哨戦!」と表示され、下半部に「CR真・北斗無双 導入4日目、仕事帰りに空き台を発見したので初打ち」と表示されていることから、パチンコ遊技機についての動画であると認められる。
イ <0分20秒>
[図:0001420314000003.jpg]
・下部に「通常保留から発展」と表示されている。
ウ <0分31秒その1>
[図:0001420314000004.jpg]
・左上部の「ザコ群」の記載をふまえれば、表示部右縁部から、「ザコ群」の最初のキャラクタの画像が登場して表示されていることが見て取れる。
エ <0分31秒その2>
[図:0001420314000005.jpg]
・「ザコ群」のキャラクタが連続して表示部右端より現れ、左端に向かって移動する画像を表示する演出が実行されていることが見て取れる。
オ <0分32秒その1>
[図:0001420314000006.jpg]
・最初に表示された「ザコ群」のキャラクタが、表示部の左縁部近くまで移動していることが見て取れる。
カ <0分32秒その2>
[図:0001420314000007.jpg]
・「ザコ群」の最初に表示されたキャラクタに次のキャラクタが追いつき、表示部の左縁部より最初にフレームアウトした後も、「ザコ群」のキャラクタが多数連続して表示部右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する演出が実行されていることが見て取れる。
キ <0分33秒>
[図:0001420314000008.jpg]
・「ザコ群」の最後尾のキャラクタの表示が、表示部の右縁部から開始されたことが見て取れる。
ク <0分34秒>
[図:0001420314000009.jpg]
・「ザコ群」の最後尾のキャラクタが全体を現したことが見て取れる。
ケ <0分35秒その1>
[図:0001420314000010.jpg]
・「ザコ群」の最後尾のキャラクタが表示部左側へ進行し、右縁部からは新たなキャラクタの表示がないことが見て取れる。
コ <0分35秒その2>
[図:0001420314000011.jpg]
・「ザコ群」の最後尾のキャラクタが、表示部の左縁部に到達したことが見て取れる。
サ <0分35秒その3>
[図:0001420314000012.jpg]
・「ザコ群」の最後尾のキャラクタが、表示部の左縁部からフレームアウトしつつあることが見て取れる。
シ 上記ウ~カの、「ザコ群」の最初のキャラクタの画像の表示を右縁部から開始し、キャラクタの表示が左縁部で最初にフレームアウトして終了するまでの期間と、上記カ~クの、右縁部から「ザコ群」のキャラクタの新たな表示がされつつ、左縁部から「ザコ群」のキャラクタの表示がフレームアウトする状態が継続する期間を比較すると、後者の期間の方が長いことが見て取れる。
上記ア~シより、甲2には、以下の技術的事項が開示されていると認められる。(以下、「甲2開示事項」という。)
「ザコ群」の複数のキャラクタが群となって移動する画像を表示する演出を実行するパチンコ遊技機であって、「ザコ群」が群となって移動する演出においては、「ザコ群」の最初のキャラクタの画像の表示を開始してからキャラクタの表示が最初にフレームアウトして終了するまでの期間よりも、「ザコ群」のキャラクタの新たな表示がされ、かつ、キャラクタの表示がフレームアウトする状態が継続する期間の方を長くした、パチンコ遊技機。
(3)甲3に記載された事項等
甲3に係るYouTubeの動画を視聴することで、甲3には、次の事項が記録されていることが認定できる。
ア <10分17秒>
[図:0001420314000013.jpg]
・左上部に「びっくりぱちんこあしたのジョー(京楽)Light ver」と白字で表示されるとともに、中央上部に「あしたのジョー」とのタイトルが表示されていることから、「あしたのジョー」のキャラクタが登場する演出が表示部で行われるパチンコ遊技機であることが認定できる。
・表示部の右縁部から、最初の「ジョー」のキャラクタが登場していることが見て取れる。
イ <10分18秒その1>
[図:0001420314000014.jpg]
・同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して表示部の右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する演出が実行されていることが見て取れる。
・「ジョー」のキャラクタの左手が、進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられていることが見て取れる。
ウ <10分18秒その2>
[図:0001420314000015.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、進行方向側でキャラクタの首より低い位置にあることが見て取れる。
エ <10分18秒その3>
[図:0001420314000016.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、さらに低い位置に下ろされていることが見て取れる。
オ <10分18秒その4>
[図:0001420314000017.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が進行方向とは反対側にあることが見て取れる。
カ <10分18秒その5>
[図:0001420314000018.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、オの画像より前で低い位置に下ろされていることが見て取れる。
キ <10分18秒その6>
[図:0001420314000019.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、進行方向側でキャラクタの首より低い位置にあることが見て取れる。
ク <10分18秒その5>
[図:0001420314000020.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられていることが見て取れる。
ケ <10分19秒その1>
[図:0001420314000021.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、進行方向側でキャラクタの首より低い位置にあることが見て取れる。
コ <10分19秒その2>
[図:0001420314000022.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が、さらに低い位置に下ろされていることが見て取れる。
サ <10分19秒その3>
[図:0001420314000023.jpg]
・「ジョー」のキャラクタの左手が進行方向とは反対側にあることが見て取れる。
・最初に表示されたジョーのキャラクタが、表示部の左縁部まで移動していることが見て取れる。
シ <10分19秒その4>
[図:0001420314000024.jpg]
・最初に表示されたジョーのキャラクタが、表示部の左縁部でフレームアウトしつつあることが見て取れる。
ス <10分19秒その5>
[図:0001420314000025.jpg]
・最初に表示されたジョーのキャラクタが、表示部の左縁部でほぼフレームアウトし、右縁部からは新たなキャラクタの表示がないことが見て取れる。
セ <10分21秒>
[図:0001420314000026.jpg]
・群の最後尾の「ジョー」のキャラクタが、表示部の左縁部からフレームアウトしつつあることが見て取れる。
ソ 上記イ~オの「ジョー」のキャラクタの画像は、この順に左手を前から後ろに少しずつ移動し、上記オ~クの「ジョー」のキャラクタの画像は、この順に左手を後ろから前に少しずつ移動しており、上記ク~ケの「ジョー」のキャラクタの画像は、もう一度、左手を前から後ろに少しずつ移動していくことから、左手が進行方向側で最も振り上げられた上記イの位置から、逆方向側の後ろの上記オの位置へ動き、また進行方向側の上記クの位置に戻るまでが、当該アニメーションの1周期であり、これらの「ジョー」のキャラクタの画像を周回するように順番に切り替えて表示することで、進行方向へ移動するように表示されるアニメーションであると認められる。
タ <10分44秒>
[図:0001420314000027.jpg]
・左下と右上の数字が「9」で停止した後、表示が変化し続けていた中央の数字が「9」で止まり、光り輝くようなエフェクトが表示されている。
チ <10分47秒>
[図:0001420314000028.jpg]
・左、中央、右の数字が、全て「9」で並んで表示されている。
ツ <10分53秒>
[図:0001420314000029.jpg]
・「FINAL CHANCE」(ファイナルチャンス)との文字が表示される。
テ <10分57秒>
[図:0001420314000030.jpg]
・左、中央、右の数字が、全て「3」で並んで表示されている。
ト <11分09秒>
[図:0001420314000031.jpg]
・「15R BONUS」(15ラウンドボーナス)の文字が表示される。
ナ <11分14秒>
[図:0001420314000032.jpg]
・「ハンドルを右へ回すんだ!!」の文字が表示され、遊技者に有利な状態であるため、遊技球の発射ハンドルを右に回して「右打ち」を行うよう指示されていることが見て取れる。
ニ <11分19秒>
[図:0001420314000033.jpg]
ヌ 上記ソ~ニ及びパチンコ遊技機の分野における技術常識をふまえると、甲3のパチンコ遊技機が、可変表示の結果が特定の表示結果となったことに基づいて、遊技者にとって有利な状態に制御可能な機能を備えることは明らかである。
上記ア~ヌより、甲3には、以下の発明が開示されていると認められる。(以下「甲3発明」という。なお、符号a等は、本件発明の構成A等に概ね対応させて当審において付した。)
(甲3発明)
a 「あしたのジョー」のキャラクタが登場する演出が表示部で行われ、可変表示の結果が特定の表示結果となったことに基づいて、遊技者にとって有利な状態に制御可能であるパチンコ遊技機であって(上記アとヌ)、
b 同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して表示部右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する演出が実行され(上記イ)、
c 最初の「ジョー」のキャラクタが表示部の右縁部から左方向に向かって移動する表示を開始してから、多数の「ジョー」のキャラクタの新たな表示がされ(上記ア~サ)、「ジョー」のキャラクタの表示が表示部の左縁部から最初にフレームアウトして終了し(上記サ~ス)、群の最後尾の「ジョー」のキャラクタが表示部に表示され、多数の「ジョー」のキャラクタは、表示部の左縁部からフレームアウトするように消去され、「ジョー」のキャラクタが群となって移動する演出が終了し(上記スとセ)、
d 当該演出においては、「ジョー」のキャラクタが左手を前後に動かしながら進行方向へ移動するアニメーションの表示がされ(上記ソ)、
ef 当該アニメーションの1周期は(上記ソ)、少なくとも、左手が進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられている画像(上記イ)と、左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像(上記ウ)と、左手がさらに低い位置に下ろされている画像(上記エ)と、左手が進行方向とは反対側にある画像(上記オ)と、左手が先の画像より前で低い位置に下ろされている画像(上記カ)と、左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像(上記キ)とを、この順で周回し、これら複数の「ジョー」のキャラクタの画像を、周回するように順番に切り替えて表示することによって構成された(上記ソ)、
a パチンコ遊技機。
3 当審の判断
(1)明確性(取消理由1、特許異議申立ての理由3)について
本件発明は、本件訂正請求により、上記第3に記載のように訂正されたことから、下記ア~ウに記載のように、取消理由1として通知した明確性要件違反(上記第4 1(1)参照)は解消された。
ア 訂正後の本件発明では、「一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、」(構成E1)と特定され、「一のキャラクタの第1画像」、「一のキャラクタの第2画像」、「一のキャラクタの第3画像」、「一のキャラクタの第4画像」がいずれも同じキャラクタの画像であることが明確となった。
イ 訂正後の本件発明では、「前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期」(構成E1)と特定され、「所定アニメーション」の「1周期」が「複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示する」「アニメーション」の周回の「1周期」であることが明確となった。
ウ 訂正後の本件発明では、「前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、該一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記他方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であ」る(構成F1)と特定され、「キャラクタの第1画像」における「キャラクタの一方の手の先端部分の位置」が「進行方向側」かつ「群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置」となる画像であることが明確となった。
したがって、本件特許の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。
(2)進歩性(取消理由2、特許異議申立ての理由2)について
ア 本件発明と甲3発明との対比
本件訂正請求により訂正された本件発明について、まず、甲3発明と対比する。
(ア)構成Aについて
甲3発明のaより、甲3発明は、本件発明の構成Aの「可変表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する構成を備える。
(イ)構成Bについて
甲3発明のbの「同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して表示部右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する」ことは、本件発明の構成Bの「複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する」ことに相当するから、甲3発明のbの「同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して」「群となって」「移動する画像を表示する演出」は、本件発明の「群演出」に相当する。
また、甲3発明においても、上記のように「群となって」「移動する画像を表示する演出が実行され」ることより、甲3発明が、本件発明の構成Bにおける「群演出を実行する群演出実行手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
よって、甲3発明は、本件発明の構成Bの「複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する群演出実行手段」に相当する構成を備える。
(ウ)構成C及び構成C1について
甲3発明のcの「最初の「ジョー」のキャラクタが表示部の右縁部から左方向に向かって移動する表示を開始」することは、本件発明の構成C1の「群演出において最初のキャラクタの表示を開始」することに相当し、同様に、前者の「多数の「ジョー」のキャラクタの新たな表示がされ」ること及び「「ジョー」のキャラクタの表示が表示部の左縁部から最初にフレームアウトして終了」することは、後者の「キャラクタの新たな表示がされ」ること及び「いずれかのキャラクタの表示が最初に終了する」ことに相当する。
また、甲3発明において、「最初の「ジョー」のキャラクタが表示部」に「表示」されてから、「「ジョー」のキャラクタの表示が表示部の左縁部から最初にフレームアウトして終了」するまでの時間が、本件発明の構成C、C1の「第1表示期間」に相当する。
よって、甲3発明は、本件発明の構成Cと「前記群演出における画像の表示期間は、第1表示期間を含」む点で共通するとともに、本件発明の構成C1の「前記第1表示期間は、前記群演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であ」るとの構成を備える。
(エ)構成C及び構成C3について
甲3発明のcの「群の最後尾の「ジョー」のキャラクタが表示部に表示され、多数の「ジョー」のキャラクタ」が「表示部の左縁部からフレームアウトするように消去され、「ジョー」のキャラクタが群となって移動する演出が終了」するまでの期間において、「最後尾のキャラクタ」の後にキャラクタの新たな表示がされず、表示されている多数の「ジョー」のキャラクタは表示部の左縁部に達した順にフレームアウトすることは自明であるから、甲3発明は、本件発明の構成C3の「キャラクタの新たな表示がされることなく、表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する」構成を備えている。
また、甲3発明のcの「群の最後尾の「ジョー」のキャラクタが表示部に表示され」てから、「多数の「ジョー」のキャラクタ」が「消去され、「ジョー」のキャラクタが群となって移動する演出が終了」するまでの期間が、本件発明の構成C、C3の「第3表示期間」に相当する。
よって、甲3発明は、本件発明の構成Cと「前記群演出における画像の表示期間は、第3表示期間を含」む点で共通するとともに、本件発明の構成C3の「前記第3表示期間は、キャラクタの新たな表示がされることなく、表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であ」るとの構成を備える。
(オ)構成Dについて
上記(イ)より、甲3発明のbの「同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して表示部右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する演出」が、本件発明の「群演出」に相当するから、甲3発明のdの「当該演出においては、「ジョー」のキャラクタが手を前後に動かしながら進行方向へ移動するアニメーションの表示がされ」ることは、本件発明の構成Dの「前記群演出においては、キャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの表示がされ」ることに相当する。
(カ)構成E1について
甲3発明のbより、「「ジョー」のキャラクタ」は、群れとなって移動する演出に用いられることから、本件発明の構成E1の「群演出に用いられる一のキャラクタ」に相当するものである。
また、甲3発明のdの「「ジョー」のキャラクタが左手を前後に動かしながら進行方向へ移動するアニメーション」は、efより、「複数の「ジョー」のキャラクタの画像を、周回するように順番に切り替えて表示することによって構成され」る「1周期」を有し、甲3発明のefの「左手が進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられている画像」、「左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像」、「左手がさらに低い位置に下ろされている画像」、「左手が進行方向とは反対側にある画像」は、「「ジョー」のキャラクタが左手を前後に動かしながら進行方向へ移動するアニメーション」の「1周期」を構成する画像であるから、それぞれ、本件発明の構成E1における「該一のキャラクタの」「第1画像」、「第2画像」、「第3画像」「第4画像」に相当するものといえる。
よって、甲3発明は、本件発明の構成E1の「群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され」ることに相当する構成を備える。
(キ)構成F1について
甲3発明のefの「複数の「ジョー」のキャラクタの画像」のうち、「左手が進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられている画像」の左手(一方の手)の先端部分の位置は、キャラクタの顔に最も近くなる位置であるといえるから、本件発明の構成F1の「第1画像」とは、「一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置とな」る画像である点で共通する。
(ク)構成F2について
甲3発明のefの「複数の「ジョー」のキャラクタの画像」のうち、「左手が進行方向とは反対側にある画像」の左手(一方の手)の先端部分の位置は、最も後方の位置であるといえるから、本件発明の構成F2の「第4画像」とは、「一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置とな」る画像である点で共通する。
(ケ)構成F3について
甲3発明のefの「複数の「ジョー」のキャラクタの画像」のうち、「左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像」は、「左手が進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられている画像」(上記キで検討した、本件発明の「第1画像」と左手(一方の手)の先端部分の位置において共通する画像)よりも、左手(一方の手)の先端部分の位置がキャラクタの顔から離れた位置であるといえるから、本件発明の構成F3の「第2画像」とは、「一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置とな」る画像である点で共通する。
(コ)構成F4について
甲3発明のefの「複数の「ジョー」のキャラクタの画像」のうち、「左手がさらに低い位置に下ろされている画像」及び「左手が先の画像より前で低い位置に下ろされている画像」は、「左手が進行方向とは反対側にある画像」(上記(ク)で検討した、本件発明の「第4画像」と左手(一方の手)の先端部分の位置について共通する画像)よりも、左手(一方の手)の先端部分の位置が前方の位置であるといえるから、本件発明の構成F4の「第3画像」とは、「一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置とな」る画像である点で共通する。
(サ)構成Hについて
甲3発明のefの「アニメーションの1周期は、左手が進行方向側でキャラクタの首の高さまで振り上げられている画像と、左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像と、左手がさらに低い位置に下ろされている画像と、左手が進行方向とは反対側にある画像と、左手が先の画像より前で低い位置に下ろされている画像と、左手が進行方向側でキャラクタの首より低い位置にある画像とを、この順で周回」することは、上記(カ)での検討をふまえると、本件発明の構成Hの「所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回する」点で共通する。
イ 一致点及び相違点
上記アからみて、本件発明と甲3発明とは、
「A 可変表示の表示結果が特定表示結果となったことに基づいて遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する群演出実行手段を備え、
C’前記群演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第3表示期間とを含み、
C1前記第1表示期間は、前記群演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
C3 前記第3表示期間は、キャラクタの新たな表示がされることなく、表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
D 前記群演出においては、キャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの表示がされ、
E1 前記群演出に用いられる複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期は、少なくとも該一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され、
F1’ 前記一のキャラクタの第1画像は、該一のキャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり、
F2’ 前記一のキャラクタの第4画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり、
F3’ 前記一のキャラクタの第2画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第1画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置となる画像であり、
F4’ 前記一のキャラクタの第3画像は、該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ該一のキャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が前記第4画像よりも前方の位置となる画像であり、
H’ 前記所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像は、前記第1画像、前記第2画像、前記第3画像、前記第4画像、前記第3画像、前記第2画像の順で周回する、
A 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](構成C、C2)
本件発明は、「群演出における画像の表示期間」がさらに「第2表示期間」を含み(構成C)、該「第2表示期間」は、「第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間」である(構成C2)のに対し、甲3発明の、「同じ「ジョー」のキャラクタが多数連続して表示部の右縁部より現れ、群となって左縁部に向かって移動する画像を表示する演出」(群演出に相当)は、そのような期間を含んでいない点。
[相違点2](構成F1~F4)
本件発明においては、「一のキャラクタの他方の手の先端部分の位置」が、「第1画像」では「進行方向と逆方向側でありかつ」「最も後方の位置」であり、「第4画像」では「進行方向側でありかつ」「該一のキャラクタの顔に最も近い位置」であり、「第2画像」では「進行方向と逆方向側でありかつ」「前記第1画像よりも前方の位置」であり、「第3画像」では「進行方向側でありかつ」「前記第4画像よりも該一のキャラクタの顔から離れた位置」であるのに対し、甲3発明では、「「ジョー」のキャラクタ」の「右手」(他方の手)の先端部分の位置は、いずれの画像においても進行方向側のキャラクタの首の高さで静止している点。
[相違点3](構成G)
本件発明は、「前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第1画像の表示時間が前記所定アニメーションの1周期における前記一のキャラクタの第2画像の表示時間よりも長い」との構成を備えるのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えるか不明である点。
[相違点4](構成H)
「所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像」について、本件発明は、「前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が、前記第2画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置と前記第3画像における前記一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置との間となる中間画像を含まない」との構成を備えるのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えない点。
ウ 相違点についての判断
(ア)相違点4について
事案に鑑み、上記相違点4についてまず検討する。
上記「2(1)」に記載した甲1発明、及び、「2(2)」に記載した甲2発明は、「一のキャラクタの第1画像と該一のキャラクタの第2画像と該一のキャラクタの第3画像と該一のキャラクタの第4画像とを含む」「複数の画像を周回するように順番に切り替えて表示することで一のキャラクタが進行方向へ移動する所定アニメーションの1周期」を備えているか不明であるため、上記相違点4に係る「第2画像」と「第3画像」の「間となる中間画像を含まない」との構成を備えるものではない。
また、 当該相違点4に係る構成が、遊技機の技術分野において、周知技術であると認めるに足る証拠も発見できない。
そして、本件発明は、相違点4に係る構成を備えることにより、群演出に用いられる所定アニメーションの1周期を構成する複数の画像では、最も手の先端部分の動作の大きい第1画像と第4画像、及び、第1画像から連なる第2画像と、第4画像から連なる第3画像は表示させる一方で、第1画像や第4画像と比較して手の先端部分の動作の小さい第2画像と第3画像との間の中間画像を間引くことにより、滑らかなアニメーションとして遊技者に見せることができ、大きな動きのアニメーションを実現しつつ、構成する画像の数を減らすことができるという効果を奏するものと認められる。
(イ)小括
上記(ア)より、その他の相違点について判断するまでもなく、本件発明は、当業者であっても、甲1~甲3発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立ての理由の概要
申立人は、令和6年2月20日に提出された特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)において、本件特許に対し、取消理由通知において採用しなかった、次の理由を申し立てている。
(1)理由1(発明該当性要件)
本件特許発明1は、ハードウェア資源として群演出実行手段を備え、群演出実行手段は、複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行するものであるから、この群演出がソフトウェアの情報処理に相当する。
しかし、群演出について、表示期間やキャラクタの種類及び態様(手の位置)の記載はあるものの、群演出実行手段により所定の群演出を実行するという使用目的に応じた技術的関係について、具体的手段、具体的手順は記載されていない。そのため、本件特許発明は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって使用目的に応じた特有の情報処理装置を構築するものではない(特許・実用新案審査ハンドブック附属書B第1章 コンピュータソフトウェア関連発明〔事例2-6〕〔事例2-10〕参照)。
したがって、本件特許発明は、技術的課題を解決するために単に群演出におけるキャラクタの種類や態様を工夫しただけに過ぎないものであって、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、課題解決に向けた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されているといえる事項が記載されているとは言えないから、本件特許発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」とは言えないので、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しない。
(2)理由3(明確性要件)
「構成B」について
本件特許発明は、「複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する群演出実行手段」を備えたものであるが、本件特許発明には、画像を表示する手段が一切特定されていない。そのため、群演出実行手段が複数のキャラクタが群となって進行する画像をどこに表示するのか理解できず、発明が著しく不明確である。
2 異議申立ての理由の検討
当審における取消理由通知において採用されなかった、上記発明該当性要件(特許異議申立の理由1)及び明確性要件(特許異議申立の理由3の(イ)(a))について、以下検討する。
(1)発明該当性要件について
特許法第29条第1項柱書(以下「29条1項柱書」と略す。)は「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と定め、その前提となる「発明」については同法第2条第1項が「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定めている。
したがって、(1)産業上利用できる発明ではない場合、(2)自然法則を利用した発明でない場合、(3)技術的思想の創作でない場合、(4)技術的思想の創作のうち高度なものでない場合、のいずれかに該当するときは、29条1項柱書にいう「発明」ではないことになる。
そして、申立人は、上記「第5 1(1)」のとおり、「本件特許発明は、技術的課題を解決するために単に群演出におけるキャラクタの種類や態様を工夫しただけに過ぎないものであって、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、課題解決に向けた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されているといえる事項が記載されているとは言えないから、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではな」いとして、29条1項柱書にいう「発明」ではない旨申し立てているから、以下、本件発明が「(2)自然法則を利用した発明でない場合」及び「(3)技術的思想の創作となる発明でない場合」に該当するかについて検討する。
ここで、「請求項に記載された特許を受けようとする発明が、特許法第2条第1項に規定する「発明」といえるか否かは、それが、特許請求の範囲の記載や願書に添付した明細書の記載及び図面に開示された、「特許を受けようとする発明」が前提とする技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか否かによって判断すべきものである。」(知財高裁令和2年6月18日判決、令和元年(行ケ)第10110号参照。)
そして、「ゲームのルール自体は自然法則を利用したものといえないものの、同発明は、ゲームのルールを遊技機という機器に搭載し、そこにおいて生じる一定の技術的課題を解決しようとしたものであり、それが全体として一定の技術的意義を有するのであれば、同発明は自然法則を利用した発明であり、かつ技術的思想の創作となる発明であると解することができる。」(知財高裁平成21年6月16日判決、平成20年(行ケ)第10279号参照。)
以上の見地に立って、本件発明が解決しようとする技術的課題とその技術的意義の観点から、本件発明の発明該当性について検討する。
ア 本件発明の技術的課題について
本件発明が解決しようとする技術的課題について、本件特許の明細書に以下のとおり記載されている。
「【背景技術】
【0002】
従来、複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する遊技機が知られている。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した遊技機によれば、群演出を実行することで遊技に面白みを享受させることができるが、このような群演出に関してはまだまだ改良の余地があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、より好適に群演出を実行することができる遊技機を提供することである。」
そうすると、本件発明は、「複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する遊技機」(【0002】)という背景技術を前提として、「群演出を実行することで遊技に面白みを享受させる」ことに関し「まだまだ改良の余地があった」(【0004】)ために、「より好適に群演出を実行することができる遊技機を提供する」(【0005】)という技術的課題を解決しようとするものであるといえる。
イ 本件発明の技術的意義について
本件発明の技術的意義について、本件特許の明細書には、以下の事項が記載されている。
「【0780】
また、画像A(第1画像)は、画像Bや画像C(第2画像)よりもキャラクタの手の位置が鉛直方向から傾いており、キャラクタの手が最も振りあがる画像である。このため、画像Aは、画像Bや画像Cよりも特徴的なアニメーションの画像である。画像F(第4画像)は、画像Dや画像E(第3画像)よりもキャラクタの手の位置が鉛直方向から傾いており、キャラクタの手が第1画像と対となって最も振りあがる画像である。このため、画像Fは、画像Dや画像Eよりも特徴的なアニメーションの画像である。このような特徴的な画像Aや画像Fは、キャラクタが歩くアニメーションが表示される通常時においては用いられない。」
「【0784】
群予告演出は、複数のキャラクタが画面上を走り抜けるような演出であるためスピード感や臨場感がある。群予告演出におけるアニメーションを滑らかなものとするためには、より多くの画像を用いた方が好ましいが、群予告演出は、複数のキャラクタが画面上を走り抜けるような演出であり、また、画像A(第1画像)や画像F(第4画像)のような特徴的な画像が用いられるため、それらの間の画像を多少省略して画像を間引いたとしても、滑らかなアニメーションとして遊技者に見せることができる。このように、特徴的な画像を用いる一方で、間の画像を一部省略したとしても、好適な群予告演出を提供することができる。
【0785】
・・・、上述したように、群予告演出においては画像を一部省略したとしても滑らかなアニメーションとして遊技者に見せることができるため、設計者が多くの画像を用意する必要がない。
【0786】
さらに、画像A(第1画像)や画像F(第4画像)のような特徴的な画像は、他の画像B~画像Eよりも表示時間が長く(フレーム数が多く)なっており、これにより、群予告演出におけるアニメーションを映えさせることができ、好適な群予告演出を提供することができる。」
以上によれば、本件発明は、「群演出に用いられる」「所定アニメーションの1周期」が「一のキャラクタの第1画像と」「第2画像と」「第3画像と」「第4画像とを含む複数の該一のキャラクタの画像によって構成され」(構成E1)、「第1画像は」「キャラクタの一方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ」「群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となり、」「他方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ」「群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となる画像であり」(構成F1)、「第4画像は」「キャラクタの前記一方の手の先端部分の位置が進行方向と逆方向側でありかつ」「群演出に用いられる複数の画像のうち最も後方の位置となり、」「他方の手の先端部分の位置が進行方向側でありかつ」「群演出に用いられる複数の画像のうち該一のキャラクタの顔に最も近い位置となる画像であり」(構成F2)、「一方の手の先端部分の位置及び前記他方の手の先端部分の位置が」「第2画像における」「位置と」「第3画像における」「位置との間となる中間画像を含まない」(構成H)、という構成を採用することにより、「画像A(第1画像)や画像F(第4画像)のような特徴的な画像が用いられるため、それらの間の画像を多少省略して画像を間引いたとしても、滑らかなアニメーションとして遊技者に見せることができ」、「特徴的な画像を用いる一方で、間の画像を一部省略したとしても、好適な群予告演出を提供することができる」(【0784】)ことから、「群予告演出において」「設計者が多くの画像を用意する必要がない」(【0785】)という技術的意義を有する。
また、本件発明は、「所定アニメーションの1周期における」「第1画像の表示時間が」「第2画像の表示時間よりも長」い(構成G)という構成を採用することにより、「群予告演出におけるアニメーションを映えさせることができ、好適な群予告演出を提供することができる」(【0786】)という技術的意義も有している。
ウ 本件発明の発明該当性について
上記ア、イで検討したとおり、本件発明は、複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する遊技機において生じていた、より改良された好適な群演出を実行することでさらに面白みを享受できる遊技機を提供するという技術的課題を解決するために、群演出に用いられる所定アニメーションの1周期を、少なくとも一のキャラクタの第1画像~第4画像を含むものとし(構成E1)、第1画像と第4画像を特徴的な画像とする(構成F1、F2)とともにその表示時間を長く(構成G)し、さらに第2画像と第3画像の間となる中間画像を含まない(構成H)ものとしたことにより、群予告演出における中間画像を間引いても滑らかなアニメーションとして遊技者に見せることができ、設計者が多くの画像を用意しなくともよく(【0784】、【0785】)、群予告演出におけるアニメーションを映えさせることができ好適な群予告演出を提供することができる(【0786】)という、一定の技術的意義を有するものであるから、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であり、「発明」に該当すると認められる。
したがって、本件発明は、特許法第2条第1項でいう「発明」に該当し、本件特許は同法第29条第1項柱書に違反してなされたものとはいえない。
エ コンピュータソフトウェア関連発明に係る観点からの申立人の主張について
申立人は、本件発明に対して、コンピュータソフトウェア関連発明に係る観点から、「本件特許発明は、技術的課題を解決するために単に群演出におけるキャラクタの種類や態様を工夫しただけに過ぎないものであって、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、課題解決に向けた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されているといえる事項が記載されているとは言えないから、本件特許発明は、「自然法則を利用した技術定思想の創作」とは言えないので、特許法第2条第1項に規定する「発明」に該当しない」と主張している。(上記「1(1)」参照。)
しかしながら、上記(1)ア~ウでの検討を踏まえると、本件発明は、コンピュータソフトウェア関連発明の観点、すなわち、特許・実用新案審査ハンドブック「付属書B」「「特許・実用新案審査基準」の特定技術分野への適用例」「第1章 コンピュータソフトウエア関連発明」に照らすまでもなく、自然法則を利用した発明であり、かつ技術的思想の創作となる発明である。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
(2)明確性要件(「画像を表示する手段」)について
遊技機の技術分野において、各種の動画像を何らかの表示手段に表示させる演出を遊技中に行って遊技者の興趣を高めることは、例示するまでもなく慣用の技術であるところ、本件発明は「複数のキャラクタが群となって進行する画像を表示する群演出を実行する」のであるから、上記慣用技術及び技術常識に照らせば、本件発明の「群演出実行手段」が、上記表示手段に「複数のキャラクタが群となって進行する画像」を表示することを前提としていることは、当業者にとって明らかであるといえる。
したがって、「画像を表示する手段が一切特定されていない」ことをもって、本件発明が不明確であるということはできない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700151