特許異議申立
2020-700695
洗浄水供給装置および水洗大便器
- 審判番号
- 2020-700695
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-066660
- 登録番号
- 6668877
- 請求日
- 2020年09月14日
- 審決日
- 2021年11月25日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】TOTO株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】渡辺 陽子
- 【異議申立人】梅村 祐介
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 奈良田 新一
- 審判官 森次 顕
- 分類
- P1651.121-YAA(E03D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6668877号発明「洗浄水供給装置および水洗大便器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6668877号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第6668877号の請求項2ないし6に係る特許を維持する。
特許第6668877号の請求項1に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6668877号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成28年3月29日に出願され、令和2年3月2日にその特許権の設定登録がされ、令和2年3月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和2年 9月14日 : 特許異議申立人 渡辺 陽子(以下「申立人A」という。)による請求項1~6に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年 9月18日 : 特許異議申立人 梅村 祐介(以下「申立人B」という。)による請求項1、2、4に係る特許に対する特許異議の申立て
令和2年11月26日付け: 取消理由通知書(上記2事件を併合)
令和3年 1月28日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 2月22日付け: 申立人A、Bへの訂正請求があった旨の通知
令和3年 3月29日 : 申立人Aによる意見書の提出
令和3年 5月27日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和3年 7月21日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、令和3年7月21日付けの訂正請求書が提出されたことにより、令和3年1月28日付けの訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、特許権者提出の令和3年7月21日付け訂正請求書による訂正により、令和3年5月27日付け取消理由通知(決定の予告)で指摘した請求項に係る特許は、実質的に削除されることとなった。よって、当該訂正の内容が実質的な判断に影響を与えるものではないから、申立人に意見書を提出する機会を与えないこととする。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年7月21日になされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄水供給装置。」と記載されているものを、「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、洗浄水が導入される入水部と、前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部とを備え、前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成され、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成されることを特徴とする洗浄水供給装置。」に訂正する(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~6も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記第1ユニットは、前記第2ユニットの下部に配置され、前記給水弁部は、ネジが上方から挿入される複数の上側ネジ穴が形成された上側ハウジングと、前記複数の上側ネジ穴に対応する複数の下側ネジ穴が形成された下側ハウジングとを備え、前記複数の上側ネジ穴の少なくとも一つは、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを上方から見たときに、前記第2ユニットによって隠れる位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄水供給装置。」とあるうち、請求項2を引用するものについて「前記第1ユニットは、前記第2ユニットの下部に配置され、前記給水弁部は、ネジが上方から挿入される複数の上側ネジ穴が形成された上側ハウジングと、前記複数の上側ネジ穴に対応する複数の下側ネジ穴が形成された下側ハウジングとを備え、前記複数の上側ネジ穴の少なくとも一つは、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを上方から見たときに、前記第2ユニットによって隠れる位置に設けられることを特徴とする請求項2に記載の洗浄水供給装置。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記第2ユニットは、前記給水弁部の下流側に設けられ、前記洗浄水の流出先を切り替える切替弁部をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の洗浄水供給装置。」とあるうち、請求項2または3を引用するものについて「前記第2ユニットは、前記給水弁部の下流側に設けられ、前記洗浄水の流出先を切り替える切替弁部をさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の洗浄水供給装置。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか一つに記載の洗浄水供給装置を備えることを特徴とする水洗大便器。」とあるうち、請求項2~5のいずれか一つを引用するものについて「請求項2~5のいずれか一つに記載の洗浄水供給装置を備えることを特徴とする水洗大便器。」に訂正する。
(6)一群の請求項
本件訂正前の請求項2~6は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(2)訂正事項2
訂正事項2に係る請求項2~6についての訂正は、特許請求の範囲の請求項2について、請求項1との引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから、引用関係の解消を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1または2の記載を引用するものであったところ、引用先から請求項1を削除して請求項2の記載を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれかの記載を引用するものであったところ、引用先から請求項1を削除して請求項2または3の記載を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項1~5のいずれかの記載を引用するものであったところ、引用先から請求項1を削除して請求項2~5のいずれかの記載を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
3 小括
上記のとおり、訂正事項1ないし5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし6に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、本件訂正発明1ないし6をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、
洗浄水が導入される入水部と、
前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、
前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部と
を備え、
前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成され、
前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、
前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成されること
を特徴とする洗浄水供給装置。
【請求項3】
前記第1ユニットは、
前記第2ユニットの下部に配置され、
前記給水弁部は、
ネジが上方から挿入される複数の上側ネジ穴が形成された上側ハウジングと、
前記複数の上側ネジ穴に対応する複数の下側ネジ穴が形成された下側ハウジングと
を備え、
前記複数の上側ネジ穴の少なくとも一つは、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを上方から見たときに、前記第2ユニットによって隠れる位置に設けられること
を特徴とする請求項2に記載の洗浄水供給装置。
【請求項4】
前記第2ユニットは、
前記給水弁部の下流側に設けられ、前記洗浄水の流出先を切り替える切替弁部
をさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の洗浄水供給装置。
【請求項5】
前記バキュームブレーカ部は、
上流側に入水口、下流側に出水口を有する通水路と、前記通水路と外部とを連通する大気導入口と、前記通水路内に設けられ、前記洗浄水の水圧によって動作することにより通水時には前記入水口と前記出水口とを連通させ、非通水時には前記入水口と前記大気導入口とを連通させる弁体と、前記大気導入口から溢れ出た洗浄水を受ける水受け部とを有し、
前記切替弁部は、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられること
を特徴とする請求項4に記載の洗浄水供給装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一つに記載の洗浄水供給装置を備えることを特徴とする水洗大便器。」
第4 取消理由(決定の予告)について
1 取消理由(決定の予告)の概要
令和3年1月28日付け訂正請求により訂正された請求項1、4、6に係る特許に対して、当審が令和3年5月27日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
請求項1、4、6に係る発明は、引用文献2又は5に記載された発明、及び周知技術(引用文献3、4、6ないし9に記載)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用文献2: 特開2008-255660号公報
(申立人Aが提出した甲第2号証)
引用文献3: 実公平7-30786号公報
(申立人Aが提出した甲第4号証)
引用文献4: 特開平3-156040号公報
(申立人Bが提出した甲第3号証)
引用文献5: 特開2014-25251号公報
(申立人Aが提出した甲第3号証)
引用文献6: 特開2004-44619号公報
(申立人Aが令和3年3月29日の意見書とともに提出した参考資料2)
引用文献7: 特開平3-277892号公報
(申立人Aが令和3年3月29日の意見書とともに提出した参考資料3)
引用文献8: 国際公開第2012/077654号
(申立人Aが令和3年3月29日の意見書とともに提出した参考資料4)
引用文献9: 実公昭48-35006号公報
(申立人Aが令和3年3月29日の意見書とともに提出した参考資料1)
2 取消理由についての当審の判断
本件訂正前の請求項1~6において、請求項1、2は、それぞれ独立した記載の請求項であって、請求項4、6は少なくとも請求項1、2のいずれかの記載を引用する請求項であったところ、請求項1に係る特許には取消理由が通知され、請求項2に係る特許には取消理由が通知されていないことから明らかなとおり、請求項4、6に係る特許に対する取消理由は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、6に係る特許に対して通知されたものである。
そして、上記第2のとおり、本件訂正請求により、請求項1は削除され、当審から通知した取消理由の対象である特許は存在しないものとなった。
また、請求項4、6において、引用先から請求項1が削除されたので、訂正後の請求項4、6に係る特許は、通知した取消理由によっては取り消すことができない。
第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張
(1)申立人Aの主張
申立人Aは、特許異議申立書において、以下の理由を申し立てている。
ア 新規性について
請求項1、3、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である。また、請求項1、6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明である。また、請求項1、6に係る発明は、甲第3号証に記載された発明である。また、請求項1、4、6に係る発明は、甲第4号証に記載された発明である。
イ 進歩性について
請求項2、4、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2、4~8号証に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、請求項2、4、5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術(甲第4~8号証に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、請求項2、4に係る発明は、甲第3号証に記載された発明及び周知技術(甲第4~8号証に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、請求項2、5に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び周知技術(甲第2、5~7号証に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、申立人Aは、令和3年3月29日付け意見書において、参考資料1ないし8を提出するとともに以下のように主張している。
ウ 進歩性について
令和3年1月28日付け訂正請求により訂正された請求項1ないし3、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(参考資料1ないし8に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、令和3年1月28日付け訂正請求により訂正された請求項1、4ないし6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術(参考資料1ないし4、甲第4号証、及び申立人Bが提出した甲第3号証に記載)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)申立人Bの主張
申立人Bは、特許異議申立書において、以下の理由を申し立てている。
請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。また、請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2、3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、令和3年1月28日付けの訂正請求に対して、申立人Bからは指定期間内に意見書は提出されなかった。
なお、上記第3のとおり、本件訂正請求により請求項1は削除されたので、請求項1に係る特許についての特許異議申立ては、対象が存在しないものとなった。
〔証拠〕
申立人Aが提出した甲第1号証(以下「甲第1号証A」とする。申立人Aが提出した甲第2号証、申立人Aが提出した甲第3号証についても同様。):特許第5409048号公報
甲第2号証A:特開2008-255660号公報
甲第3号証A:特開2014-25251号公報
甲第4号証 :実公平7-30786号公報
甲第5号証 :特開平9-324871号公報
甲第6号証 :特開平7-310839号公報
甲第7号証 :特開2003-82738号公報
甲第8号証 :特開2001-295352号公報
参考資料1 :実公昭48-35006号公報
参考資料2 :特開2004-44619号公報
参考資料3 :特開平3-277892号公報
参考資料4 :国際公開第2012/077654号
参考資料5 :特開平10-259625号公報
参考資料6 :特開2012-172689号公報
参考資料7 :特開平10-2441号公報
参考資料8 :特開2011-12537号公報
申立人Bが提出した甲第1号証(以下「甲第1号証B」とする。申立人Bが提出した甲第2号証、申立人Bが提出した甲第3号証についても同様。):特開2010-203061号公報
甲第2号証B:特開平4-327078号公報
甲第3号証B:特開平3-156040号公報
2 証拠の記載
(1)甲第1号証A(特許第5409048号公報)
甲第1号証Aには、以下の事項が記載されている(下線は、異議の決定で付した。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、流量制御弁を備えた便器用バルブ装置に関するものである。」
イ 「【0018】
給水用バルブ装置8は、便器装置の後方に配索された給水路9の下流端に接続され、ジェットノズル4とリム3と局部洗浄装置に洗浄水を供給するものであり、第1バルブ装置Aと第2バルブ装置B(本発明の便器用バルブ装置)と分岐路ユニットCとを備えて構成されている。」
ウ 「【0029】
<第2バルブ装置B>
第2バルブ装置Bも、第1バルブ装置Aと同様に、給水路9の下流端と、ジェット用分岐路61及びリム用分岐路75の上流端との間に配置されている。第2バルブ装置Bは、第1バルブ装置Aと共有する部品である連通部材10と、連通部材10内に収容される第2バルブユニット40とを備えて構成されている。
【0030】
図6に示すように、第2バルブユニット40は、ユニットケース41と、リム用流量制御弁47と、ジェット用流量制御弁51と、第2逆止弁53とを備えている。ユニットケース41は、第1ケース構成体41aと第2ケース構成体41bと第3ケース構成体41cとを組み付けて構成され、全体として左右方向に細長い形態、即ち軸線を左右方向に向けた形態である。
【0031】
第1ケース構成体41aは、ポリフェニレンスルファイド樹脂製であって、全体として筒状をなし、左端が開口しているとともに、右端部が蓋部42によって閉塞されている。また、第1ケース構成体41aの周壁には、リム用流出口15に連通する連通孔43が形成されている。第2ケース構成体41bは、ポリアセタール樹脂製であって、全体として左右対称な筒状をなす。第2ケース構成体41bには、その左右両端部を除いた領域を上下方向に貫通させた形態の逃がし孔44が形成されている。この逃がし孔44は、流入口13と対応する大きさであり、第1弁体23の外径よりも大きい。第3ケース構成体41cは、ポリフェニレンスルファイド樹脂製であって、左右方向に貫通した筒状をなす。」
エ 「【0034】
組み付けられたユニットケース41の内部には、第1ケース構成体41aと第2ケース構成体41bの右端部とにより、逃がし孔44を介して流入口13に連通するとともに、連通孔43を介してリム用流出口15に連通するリム用ケース内流路45が形成されている。また、第2ケース構成体41bの左端部と第3ケース構成体41cとにより、逃がし孔44を介して流入口13に連通するとともに、後述する第2逆止弁53を介してジェット用流出口14に連通するジェット用ケース内流路46が形成されている。リム用ケース内流路45とジェット用ケース内流路46は、同軸状に配置されている。」
オ 「【0045】
<分岐路ユニットC>
分岐路ユニットCは、第1バルブ装置Aよりも下流側に配置され、連通部材10、第2バルブユニット40、蓄圧器52、第3の分岐路16、ジェット用分岐路61、リム用分岐路75、ジェット用電動開閉弁装置66及びリム用電動開閉弁装置77とを備えて構成されている。連通部材10、第2バルブユニット40、蓄圧器52、第3の分岐路16については、上記第1バルブ装置A又は第2バルブ装置Bと供給する部品であるため、説明は省略する。
【0046】
図4に示すように、ジェット用分岐路61は、全体として軸線を上下方向(即ち、連通部材10の軸線と直角であり、第1バルブユニット20の軸線と平行な方向)に向けた筒状をなす。ジェット用分岐路61は、その下端部(上流端部)をジェット用流出口14に対して上から嵌合させるようにして連通部材10に取り付けられている。ジェット用分岐路61の下流端部(上端部)には、大気開放弁80を介してジェット用配管62の上流端が接続され、ジェット用配管62の下流端がジェットノズル4に接続されている。また、ジェット用分岐路61は、連通部材10から離脱することが可能となっている。ジェット用分岐路61の下端部には、その外周面に開口する弁口63が形成され、ジェット用分岐路61の内部のうち弁口63よりも上流側が一次側流路64となっているとともに、弁口63よりも下流側が二次側流路65となっている。
【0047】
ジェット用電動開閉弁装置66は、ジェット用分岐路61の外周に取り付けられて弁口63を覆うケーシング67と、ケーシング67内に設けられて弁口63を開閉するダイヤフラム板68と、ケーシング67内におけるダイヤフラム板68の上方に設けられたソレノイド69とを備えて構成されている。ケーシング67内には、ダイヤフラム板68を挟んで弁口63とは反対側に位置し、ダイヤフラム板68内に形成したオリフィスを介して一次側流路64に連通する圧力室70が形成されている。
【0048】
ダイヤフラム板68には、弁口63が開弁した状態においてダイヤフラム板68を閉弁方向へ付勢する復動バネ71が取り付けられている。また、ケーシング67には、圧力室70と二次側流路65を連通させるパイロット流路72が形成されている。パイロット流路72の途中には、常には閉弁状態に保たれ、ソレノイド69への通電により開弁するパイロット弁73が設けられている。以上により、ジェット用開閉弁74が構成されている。
【0049】
ダイヤフラム板68において圧力室70に臨む受圧面積は、弁口63において二次側流路65に臨む受圧面積よりも大きく、圧力室70は、オリフィスを介して一次側流路64と同じ高圧状態となっているので、パイロット弁73が閉弁されているときには、弁口63がダイヤフラム板68で閉塞されて、ジェット用開閉弁74は閉弁状態に保たれる。閉弁状態において、ソレノイド69に通電してパイロット弁73を開弁させると、圧力室70内の水がパイロット流路72を通って二次側流路65内に流出して、圧力室70内の圧力が一次側流路64よりも低くなり、ダイヤフラム板68の外周縁に作用する一次流路側からの圧力により、ダイヤフラム板68が弁口63から離間してジェット用開閉弁74が開弁する。
【0050】
開弁状態において、パイロット弁73を閉弁すると、圧力室70内の圧力が上昇するので、ダイヤフラム板68が復動バネ71の付勢により弁口63側へ移動する。すると、弁口63の開度が小さくなって二次側流路65内の圧力が低下するので、ダイヤフラム板68に作用する一次側と二次側の圧力差が拡大し、ダイヤフラム板68が弁口63を閉じて閉弁状態となる。」
カ 「【0063】
また、流量制御弁47,51は移動可能な摺動体48を備えているという点に鑑み、摺動体48が摺接する第2ケース構成体41bをポリアセタール樹脂製とした。ポリアセタール樹脂は剛性が高く自己潤滑性を有しているので、摺動体48を安定して摺接させるためのケース構成体の材料として好適である。
一方、着脱口12に嵌合される第1ケース構成体41aをポリフェニレンスルファイド樹脂製としたが、ポリフェニレンスルファイド樹脂は機械的強度と剛性に優れるため、着脱口12に嵌合したときに第2バルブユニット40の姿勢と位置を安定させるさせる(当審注:「安定させる」の誤記と認める。)第1ケース構成体41aの材料として好適である。」
キ 図1は次のものである。
[図:0001382354000001.jpg]
図1からは、便器装置が「大便器である」点が看て取れる。
ク 図2は次のものである。
[図:0001382354000002.jpg]
ケ 図4は次のものである。
[図:0001382354000003.jpg]
上記オ(特に段落【0046】)の記載を踏まえると、図4からは、下端部の外周面に開口する弁口63が形成され、図番号61が付された配管(以下「ジェット用分岐路第1配管61A」という)に右下がりのハッチングが描かれている一方、当該ジェット用分岐路第1配管61Aの上端側には左下がりのハッチングが描かれた別の配管(以下「ジェット用分岐路第2配管61B」という)が接続されており、上記ジェット用分岐路第1配管61Aと上記ジェット用分岐路第2配管61Bとの接続箇所にはパッキンが介されており、上記ジェット用分岐路第2配管61Bの内部に大気開放弁80が配置されている点が看て取れる。
したがって、上記オの記載と図4の記載とを総合すると、「ジェット用分岐路61は、下端部の外周面に弁口63が形成されたジェット用分岐路第1配管61Aと、内部に大気開放弁80が配置されたジェット用分岐路第1配管61Bとを備え、前記ジェット用分岐路第1配管61Aと前記ジェット用分岐路第2配管61Bとがパッキンを介して接続されている」点が看て取れる。
コ 図7は次のものである。
[図:0001382354000004.jpg]
上記オ、図2、図4及び図7からは、「ジェット用分岐路第1配管61Aの下端部に設けられたフランジが上方からネジ止めされている」点が看てとれる。
また、図7からは、「フランジは上方から見たときに四隅のうち3箇所がネジ止めされており、四隅のうち残る1箇所はジェット用配管62によって隠れる位置にある」点が看て取れる。
サ 上記アないしコより、甲第1号証Aには、次の発明(以下「引用発明1-1」及び「引用発明1-2」という。)が記載されている。
(引用発明1-1)
「便器装置の後方に配索された給水路9の下流端に接続され、ジェットノズル4に洗浄水を供給する給水用バルブ装置8であって、
第1バルブ装置Aと第2バルブ装置Bと分岐路ユニットCとを備えて構成されており、
第2バルブ装置Bは、給水路9の下流端と、ジェット用分岐路61の上流端との間に配置され、第2バルブユニット40を備えて構成されており、
第2バルブユニット40は、ユニットケース41を備えており、
ユニットケース41は、第1ケース構成体41aと第2ケース構成体41bと第3ケース構成体41cとを組み付けて構成されており、
第2ケース構成体41bは、ポリアセタール樹脂製であって、
第3ケース構成体41cは、ポリフェニレンスルファイド樹脂製であって、
第2ケース構成体41bの左端部と第3ケース構成体41cとにより、ジェット用流出口14に連通するジェット用ケース内流路46が形成され、
分岐路ユニットCは、第1バルブ装置Aよりも下流側に配置され、第2バルブユニット40、ジェット用分岐路61及びジェット用電動開閉弁装置66を備えて構成されており、
ジェット用分岐路61は、その下端部(上流端部)をジェット用流出口14に対して上から嵌合させるようにして取り付けられ、ジェット用分岐路61の下流端部(上端部)には、大気開放弁80を介してジェット用配管62の上流端が接続され、ジェット用分岐路61の下端部には、その外周面に開口する弁口63が形成され、
ジェット用電動開閉弁装置66は、ジェット用分岐路61の外周に取り付けられて弁口63を覆うケーシング67と、ケーシング67内に設けられて弁口63を開閉するダイヤフラム板68とを備えて構成されており、ダイヤフラム板68が弁口63から離間してジェット用開閉弁74が開弁し、ダイヤフラム板68が弁口63を閉じて閉弁状態となるものであり、
ジェット用分岐路61は、下端部の外周面に弁口63が形成されたジェット用分岐路第1配管61Aと、内部に大気開放弁80が配置されたジェット用分岐路第1配管61Bとを備え、前記ジェット用分岐路第1配管61Aと前記ジェット用分岐路第2配管61Bとがパッキンを介して接続されており、
ジェット用分岐路第1配管61Aの下端部に設けられたフランジが上方からネジ止めされており、前記フランジは上方から見たときに四隅のうち3箇所がネジ止めされており、四隅のうち残る1箇所はジェット用配管62によって隠れる位置にある、
給水用バルブ装置。」
(引用発明1-2)
「引用発明1-1の給水用バルブ装置を備えた、大便器である便器装置。」
(2)甲第2号証A(特開2008-255660号公報)
甲第2号証Aには、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は便器洗浄装置に関する。」
イ 「【実施例】
【0023】
図1に示すように、実施例の便器洗浄装置1は、洋風水洗式便器において、便器本体2の便鉢2aの上流側に取り付けられ、便鉢2aに洗浄水を供給するものである。この便器洗浄装置1は、図2及び図3に示すように、第1給水管20と接続管30と第2給水管40とを有する給水管10を備えている。また、便器洗浄装置1には、詳細を後述する水受け部材101が設けられている。」
ウ 「【0025】
図3に示すように、第1給水管20は、流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、第1給水管本体21及び蓋部22が組み付けられてなる構成であり、流入口11から直線S1方向に延在する直線状の筒体である。」
エ 「【0027】
上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成されている。そして、止水弁機構50は、便器の不使用時に止水するため、流路10aを上流側である流入口11付近で遮断することが可能となっている。」
オ 「【0032】
図2及び図3に示すように、第2給水管40は、流出口12側から上流側に向かって流出口筒体44、接続管43、バキュームブレーカ筒体71、第2給水管本体41及び開閉弁機構マウント部材66等が組み付けられてなる構成であり、直線S1方向と平行に延在し、流出口12が流入口11と同方向に開口する直線状の筒体である。」
カ 「【0050】
ここで、実施例の便器洗浄装置1においては、給水管10は、設置時に流入口11が下方を向き、止水弁機構50が設けられた直線状の第1給水管20と、第1給水管20と直交する直線状の接続管30と、設置時に流出口12が下方を向くように接続管30と直交し、上流側に開閉弁機構60が設けられ、下流側にバキュームブレーカ機構70が設けられた直線状の第2給水管40とを有している。
【0051】
そして、バキュームブレーカ機構70は、流路10aの一部をなす流水路71aと、流水路71aと外部とを連通する吸気通路71bとが形成されたバキュームブレーカ筒体71と、上流側が流水路71a内でバキュームブレーカ筒体71に設けられ、下流側が流水路71a内で弾性力によって閉塞して吸気通路71bを開放可能であるととともに弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なパッキン72とを有している。
【0052】
さらに、少なくとも第2給水管40の外周には、吸気通路71bに水を導く水受け部材101が設けられている。このため、この便器洗浄装置1では、バキュームブレーカ機構70の吸気通路71bを逆流する溢れ水ばかりでなく、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40の表面に結露する結露水も漏らすことなくまずは下部材101aで貯留することができる。このため、下部材101aに貯留された溢れ水及び結露水は、床面に滴下することなく、開閉弁機構60が閉じている間に吸気通路71bを介して流水路71aに導かれる。」
キ 「【0057】
また、この便器洗浄装置1において、第1給水管20は接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し、第2給水管40は接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し、第1接続部21aと第2接続部40aとは回り止め機構36及び袋ナット35により回転不能に結合されている。このため、この便器洗浄装置1は、部品点数を削減できているとともに、第1給水管20、接続管30及び第2給水管40を一体に組み付ける作業、及び一体に組み付けられた第1給水管20、接続管30及び第2給水管40に水受け部材101を装着する作業を容易に実施できる。特に、回り止め機構36により、流入口11と流出口12とが同一方向を向くようにすることを確実に実現できるので、水受け部材101の開口部100a、100bに第1給水管20及び第2給水管40を挿入する作業がし易くなっている。このため、この便器洗浄装置1は、製品コストの低廉化を図ることが可能となっている。」
ク 図1は次のものである。
[図:0001382354000005.jpg]
図1からは、洋風水洗式便器が、「大便器である」点が看て取れる。
ケ 上記アないしクより、甲第2号証Aには、次の発明(以下「引用発明2-1」及び「引用発明2-2」という。)が記載されている。
(引用発明2-1)
「便器洗浄装置であって、
洋風水洗式便器において、便器本体2の便鉢2aの上流側に取り付けられ、便鉢2aに洗浄水を供給するものであり、第1給水管20と接続管30と第2給水管40とを有する給水管10を備えており、
第1給水管20は、流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51及び第2ボール弁筒体52が組み付けられてなる構成であり、
上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成されており、止水弁機構50は、便器の不使用時に止水するため、流路10aを上流側である流入口11付近で遮断することが可能となっており、
第2給水管40は、流出口12側から上流側に向かって流出口筒体44、接続管43、バキュームブレーカ筒体71、第2給水管本体41及び開閉弁機構マウント部材66等が組み付けられてなる構成であり、
第2給水管40にはバキュームブレーカ機構70が設けられており、
バキュームブレーカ機構70は、流路10aの一部をなす流水路71aと、流水路71aと外部とを連通する吸気通路71bとが形成されたバキュームブレーカ筒体71と、上流側が流水路71a内でバキュームブレーカ筒体71に設けられ、下流側が流水路71a内で弾性力によって閉塞して吸気通路71bを開放可能であるととともに弾性力に抗して内部を流れる流水によって開放可能なパッキン72とを有しており、
第2給水管40の外周には、吸気通路71bに水を導く水受け部材101が設けられ、バキュームブレーカ機構70の吸気通路71bを逆流する溢れ水も漏らすことなくまずは下部材101aで貯留することができ、
第1給水管20は接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し、第2給水管40は接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し、第1接続部21aと第2接続部40aとは回り止め機構36及び袋ナット35により結合されている、
便器洗浄装置。」
(引用発明2-2)
「引用発明2-1の便器洗浄装置を備えた、大便器である洋風水洗式便器。」
(3)甲第3号証A(特開2014-25251号公報)
甲第3号証Aには、以下の事項が記載されている。
ア 「【0025】
図中、1は、水洗トイレの流水機構2に設置した流水監視装置を示す。なお、水洗トイレには、和式の便器(大便器)が設置されている場合を想定する。この場合、流水機構2は、水道水Wを供給する給水管Psの中途に設けたフラッシュバルブ(開閉弁)2vを開閉することにより便器に対する流水又は流水解除を行う機能を有し、フラッシュバルブ2vは操作ハンドル51をマニュアル操作すれば、開位置に変位させることができるとともに、マニュアル操作を解除すれば内蔵するスプリングにより閉位置に復帰させることができる公知の流水機構を構成する。また、図5に示すように、フラッシュバルブ2vの側面に設けた流水入口は、水道管Psi及び不図示の止水栓を介して上流側の水道管に接続するとともに、フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2veは、本実施形態に係る流水監視装置1を介して便器に至る水道管Pseに接続する。したがって、水道管PsiとPseは、水道水Wを供給する給水管Psを構成する。
【0026】
流水監視装置1は、図2に示すように、基本構成として、装置本体Umと回路ボックス20を備え、回路ボックス20は装置本体Umに対して着脱させることができる。装置本体Umは筒状をなすハウジング部16を備え、このハウジング部16は、特に、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニット(逆止弁)とそのまま交換接続可能に形成する。即ち、一般に、フラッシュバルブ2vの流水出口2veは、図2に示すバキュームブレーカユニットVbを介して水道管Pseに接続している。したがって、ハウジング部16をバキュームブレーカユニットVbとそのまま交換可能な形態に形成すれば、流水監視装置1を設置する際に、既設のバキュームブレーカユニットVbを給水管Psから取外し、その代わりに装置本体Umをそのまま取付可能になる。なお、バキュームブレーカユニットの接続義務がある場合には、既設のバキュームブレーカユニットVbに直列接続すればよい。
【0027】
例示のハウジング部16は、図1に示すように、下部(外部)を構成するハウジング下部16dと上部(内部)を構成するハウジング上部16uの組合わせにより構成する。ハウジング上部16uとハウジング下部16dは、いずれも全体を筒状に形成し、ハウジング下部16dの内周面にハウジング上部16uの外周面を螺着できるように形成する。なお、52は、ハウジング上部16uとハウジング下部16d間に介在させたOリングを示す。そして、ハウジング上部16uの上端には、フラッシュバルブ2vの流水出口2veに接続する上流側の接続口16uiを設けるとともに、ハウジング下部16dの下端には、水道管Pseに接続する下流側の接続口16deを設ける。また、図2中、53は、流水出口2veとバキュームブレーカユニットVbの上端口間に介在したシーリング用のゴムパッキンであり、流水出口2veとハウジング部16の接続口16ui間に介在させるゴムパッキンとしてそのまま流用できるとともに、54は、バキュームブレーカユニットVbの下端口と水道管Pse間に介在したシーリング用のゴムパッキンであり、ハウジング部16の接続口16deと水道管Pse間に介在させるゴムパッキンとしてそのまま流用できる。」
イ 「【0037】
最初に、流水監視装置1の設置方法について説明する。流水監視装置1を設置するに際しては、まず、既設の水洗トイレにおけるフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に接続された図2に示すバキュームブレーカユニットVb及びゴムパッキン53,54を取り外す。そして、バキュームブレーカユニットVbの代わりに、流水監視装置1の装置本体Umをフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に取り付ける。この際、取り外したゴムパッキン53,54はそのまま再利用して取付けることができる。」
ウ 「【0046】
次に、本発明の第二実施形態に係る流水監視装置1について、図9及び図10を参照して説明する。
【0047】
図1~図8に示した第一実施形態に係る流水監視装置1は、既設のバキュームブレーカユニットVbの代わりに設置した場合を説明した。この種のバキュームブレーカユニットVbは、逆流防止機能を有するが、必ずしも絶対に必要な部品ではなく、第一実施形態に係る流水監視装置1であっても実用上は問題なく使用することができる。これに対して、図9及び図10に示す第二実施形態に係る流水監視装置1は、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に対して兼用させたものである。したがって、ハウジング部16の内部には当該弁体17が当接可能な弁座部18を設けた。これにより、水車部11はシャフト35に対して軸方向へ変位自在に装填するとともに、水車部11の上端面には所定の厚さを有するゴムシートを貼付して弁体17を構成し、さらに、この弁体17が対向する支持プレート33を弁座部18として形成した。
【0048】
このような第二実施形態に係る流水監視装置1によれば、図9に示すように、水道水Wの逆流が生じた場合、水車部11に逆流方向の水圧が付加されるため、水車部11は上方位置となる閉塞位置Xcに変位し、弁体17が弁座部18に当接する。これにより、支持プレート33に設けた通水孔は弁体17により閉塞されて止水状態となる。即ち、バキュームブレーカユニットとして機能する。これに対して、図10に示すように、水道水Wが正常に流れる場合、水車部11は水圧と自重により下方位置となる開放位置Xoに変位し、弁体17は弁座部18から離間する。これにより、支持プレート33に設けた通水孔は開放され給水可能状態となる。
【0049】
よって、このような第二実施形態に係る流水監視装置1によれば、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に兼用させるとともに、ハウジング部16の内部に当該弁体17が当接可能な弁座部18を設けたため、前述した第一実施形態に係る流水監視装置1により得られる作用効果に加えて、本来のバキュームブレーカ機能を確保しつつ、流量検出機能を容易に付加することができる。なお、図9及び図10において、図1~図8と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、詳細な説明は省略する。」
エ 「【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る流水監視装置は、和式水洗トイレや洋式水洗トイレ等の各種水洗トイレにおける流水の使用状態を監視する際に利用できる。」
オ 上記ウの段落【0047】に記載されているように、甲第3号証Aの図1~図8は、「第一実施形態に係る流水監視装置1」を示すものであり、甲第3号証Aの図9及び図10は、「第二実施形態に係る流水監視装置1」を示すものである。
そして、段落【0049】に「図9及び図10において、図1~図8と同一部分には同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、詳細な説明は省略する。」と記載されているところからみて、甲第3号証Aの「第二実施形態に係る流水監視装置1」は、特に説明が無い部分については、「第一実施形態に係る流水監視装置1」と同じ構成を備えているものと解される。
そうすると、上記アないしエより、甲第3号証Aには、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
(引用発明3)
「水洗トイレの流水機構2に設置した流水監視装置であって、
水洗トイレは、和式の便器(大便器)であり、
流水機構2は、水道水Wを供給する給水管Psの中途に設けたフラッシュバルブ(開閉弁)2vを開閉することにより便器に対する流水又は流水解除を行う機能を有し、
フラッシュバルブ2vの側面に設けた流水入口は、水道管Psi及び止水栓を介して上流側の水道管に接続するとともに、フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2veは、流水監視装置1を介して便器に至る水道管Pseに接続するものであり、
流水監視装置1は、装置本体Umと回路ボックス20を備え、装置本体Umは筒状をなすハウジング部16を備え、
ハウジング部16は、給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニット(逆止弁)とそのまま交換接続可能に形成され、下部(外部)を構成するハウジング下部16dと上部(内部)を構成するハウジング上部16uの組合わせにより構成されており、
ハウジング上部16uの上端には、フラッシュバルブ2vの流水出口2veに接続する上流側の接続口16uiを設けるとともに、ハウジング下部16dの下端には、水道管Pseに接続する下流側の接続口16deを設けており、
流水監視装置1を設置するに際しては、流水監視装置1の装置本体Umをフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に取り付けるものであり、
流水監視装置1は、水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に対して兼用させたものであり、
水道水Wの逆流が生じた場合、水車部11に逆流方向の水圧が付加されるため、水車部11は上方位置となる閉塞位置Xcに変位し、弁体17が弁座部18に当接し、これにより、支持プレート33に設けた通水孔は弁体17により閉塞されて止水状態となることで、バキュームブレーカユニットとして機能する、
流水監視装置。」
(4)甲第4号証(実公平7-30786号公報)
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「(産業上の利用分野)
この考案は便器の洗浄水供給装置に関する。」(第1頁右欄第4~5行)
イ 「(実施例)
次に本考案の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
第1図乃至第3図において、10はワンピース便器で、便鉢12と背の低い洗浄タンク14とが一体に構成されている。
この洗浄タンク14の内部には、洗浄水供給装置16が配設されている。第4図乃至第7図にその洗浄水供給装置の具体的構成が示されている。これらの図において、18は給水栓で、第5図に示しているようにリンク22及びロッド20を介して浮子24と作動的に連結され、かかる浮子24の昇降に伴って、弁体26を図中水平方向に進退させて水路を開閉するようになっている。
給水栓18からの水路上には切換弁28が配設されており、この切換弁28によって給水栓18からの水の流路が、洗浄タンク14への吐水口30に連通する第一給水路32と、便鉢12のリム34への注水路に連通する第二給水路36(第7図)へと択一的に切り換えられるようになっている。」(第3頁左欄第2~18行)
ウ 「前記給水栓18からの水路の途中には、バキュームブレーカー56と分岐路(第三給水路)58とが設けられている。分岐路58にはリリーフ弁60が設けられており、給水栓18に続く水路内の圧力が一定圧力以上となったとき、リリーフ弁60が作動して内部の水を逃がすようになっている。このリリーフ弁60は、弁体62とひれ状の摺動片64とを備え、その摺動片64がスプリング66によって分岐路58を閉じる方向に付勢されている。」(第3頁左欄第32~39行)
エ 第4図は次のものである。
[図:0001382354000006.jpg]
上記イの記載を踏まえると、第4図における給水栓18に向かう矢印や第二給水路36から出て行く矢印が洗浄水の流れを表すことは自明である。すると、第4図からは、「洗浄水供給装置16が、給水栓18の上流側に、洗浄水が導入される入水部を備える」点が看て取れる。
オ 第6図は次のものである。
[図:0001382354000007.jpg]
第6図における各矢印が上記エ同様洗浄水の流れを表すことは自明である。すると、第6図からは、「第一給水路32が、バキュームブレーカー56の下流側に設けられた」点が看て取れる。
カ 上記アないしオより、甲第4号証には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されている。
(引用発明4)
「便器の洗浄水供給装置であって、
弁体26を水平方向に進退させて水路を開閉する給水栓18を有し、
給水栓18からの水路上には切換弁28が配設されており、この切換弁28によって給水栓18からの水の流路が、洗浄タンク14への吐水口30に連通する第一給水路32と、便鉢12のリム34への注水路に連通する第二給水路36へと択一的に切り換えられ、
給水栓18からの水路の途中にバキュームブレーカー56が設けられ、
給水栓18の上流側に、洗浄水が導入される入水部を備え、
第一給水路32が、バキュームブレーカー56の下流側に設けられた、
便器の洗浄水供給装置。」
(5)甲第5号証(特開平9-324871号公報)
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールタップ本体の取付基部と給水一次側部とを金属材料で同一軸上になるように成形し、給水二次側である分配部を合成樹脂材料で成形した分割式のボールタップに関するものである。」
イ 「【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図1は本発明の第1の実施の形態に係るボールタップ27の要部を示す一部縦断面図である。このボールタップ27では、ボールタップ本体の取付基部27aと給水一次側部27bとを真鍮等の筒状の金属材料から切削加工等により同一軸上となるように成形し、給水二次側である分配部27cをポリフェニレンスルフィド(PPS)等の合成樹脂材料で成形している。」
(6)甲第6号証(特開平7-310839号公報)
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大流量及び高い内圧に対しても充分耐えうる構造を有するコンパクトなバルブユニット構造に関する。」
イ 「【0028】特に、底板19を強度の高い鋳物等の金属製とした場合は、底板19に設けた第2流路形成溝49の深さD2を、基台1の底面に設けた第1流路形成溝48の深さD1より相当大きくできるので、基台1の下面の受圧面積を底板19の受圧面積より著しく小さくすることができ、基台1が受ける力を可及的に低減でき、基台1を合成樹脂製としても、連通流路L3内を流れる水の圧力に対して抗し得るようにしている。」
(7)甲第7号証(特開2003-82738号公報)
甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールタップの流水側の水路を分岐して、タンク給水路の他に、手洗い管に接続する連結管の接続口やオーバーフロー管に接続する補助水管の接続口を設けた便器洗浄用ボールタップ装置に関する。」
イ 「【0013】図1~図6に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る便器洗浄用ボールタップ装置10は、タンク11に取付けられる腐食しにくい金属製のボールタップ本体12と、これの下流側に取付けられる合成樹脂製の分配器13とを有している。以下、これらについて詳しく説明する。ボールタップ本体12の上流側には、ボールタップ本体12にタンク11を貫通する雄ねじ14が形成され、螺合する雌ねじナット15によってタンク11に取付けられている。雄ねじ14の先端側にはボールタップ本体12に接続する配管の継手16が設けられている。なお、16aはパッキンを示す。ボールタップ本体12の内部には、水路途中に下方に向けて配置された図示しない弁座と、この弁座を下方から押圧する弁体17と、この弁体17をリンク機構18を介して昇降するフロート19とを有する周知構造のボールタップ20が設けられている。従って、タンク11内に水がない場合にはフロート19が下がってボールタップ20が開き、タンク11内に水が充満されるとフロート19が上がって、弁体17が対向する弁座を押し付け水が止まるようになっている。」
(8)参考資料5(特開平10-259625号公報)
参考資料5には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は上水道に設けられる吐水管固定式の水栓の構造に関するものである。」
イ 「【0007】図において、符号1A,1Bは同一形状の給湯用栓本体と給水用栓本体である。該栓本体1A,1Bは、青銅により略円筒形の器体2が鋳造され、該器体2から下方には夫々給湯管および給水管(図示せず)の接続口3が一体に延設され、該接続口3の外周に螺子溝を形成している。また該器体2の一側には吐出用の接合管部9が一体に形成されている。なお、10は該器体2の下部外周に形成された外周六角状の係合部である。4は器体2の上端開口縁に螺着された金属製のキャップ、5は器体2内に螺合されている金属製の栓棒、6は該器体2内に設けられたコマ型の開閉弁、7は該栓棒5の上方突出端にビス8により固着されたハンドルで、該ハンドル7を回転操作することによって栓棒5が上下し開閉弁6が弁口11を開閉させる。なお12はキャップ内に配設された水封用のゴムパッキンである。
【0008】20は栓本体1A,1Bの二次側、即ち接合管部9に接合される合成樹脂製の混合水吐出管で、該混合水吐出管20は、Y字形の混合管部21と延長管部22とからなり、該混合管部21の左右対称に形成された接合管部21A,21Bにはその外周に水封用の弾性Oリング23が巻止されている。また、24A,24Bは該接合管部21A,21Bの基部外周に一体に形成されたフランジ状の位置決脚、25は混合管部21の基部開口端に形成されたスリット孔である。延長管部22の先端には鉤状の吐出口26が下向折曲状に形成されている。30は該吐出口26中に設けた整水用フィンである。また、該延長管部22の基部27には弾性Oリング29が巻止されていると共に前記スリット孔25と合着するスリット溝28が形成されている。このため該基部27を混合管部21中に挿入しコ形のクリップ31を該スリット孔25からスリット溝28にわたり挿通することで該延長管部22を混合管部21に抜脱不能に接合し得る。」
(9)参考資料6(特開2012-172689号公報)
参考資料6には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車用エアコンなどの車両用空調装置に用いられる、二方弁、三方弁などの切り換え弁、開閉弁、流量制御弁などの制御弁に用いられる制御弁用弁ハウジング、ならびに、制御弁用弁ハウジングの製造方法に関する。」
イ 「【0066】
この場合、弁ケーシングユニット38、すなわち、第1の配管部材18、第2の配管部材26、および弁ケーシング32が、樹脂から構成され、モールド本体部40を構成するモールド材が樹脂であってもよい、
この場合、使用される環境によっては、これらの樹脂の材質を適宜選択することによって、例えば、耐熱性、耐腐食性が求められる使用環境において、第1の配管部材18、第2の配管部材26、および弁ケーシング32からなる弁ケーシングユニット38を構成する樹脂を、耐熱性、耐腐食性に優れた、例えば、PTFE樹脂、PFA樹脂などのフッ素樹脂などから作製することによって、経年変化による劣化がなく、信頼性にも優れた制御弁用弁本体10を提供することができる。
【0067】
しかも、弁ケーシングユニット38が樹脂からなり、モールド本体部40を構成するモールド材も樹脂であるので、軽量化が図れることになる。
【0068】
なお、この場合、第1の配管部材18、第2の配管部材26、および弁ケーシング32を、それぞれ同じ樹脂から構成することも、異なる樹脂から構成することも可能である。
【0069】
また、弁ケーシングユニット38を構成する第1の配管部材18、第2の配管部材26、および弁ケーシング32のすべて、または、少なくとも1つの部材が、金属から構成され、モールド本体部40を構成するモールド材が樹脂であってもよい。
【0070】
この場合、使用される環境によっては、これらの金属の材質を適宜選択することによって、例えば、耐熱性、耐腐食性が求められる使用環境において、第1の配管部材18、第2の配管部材26、および弁ケーシング32からなる弁ケーシングユニット38を構成する金属を、耐腐食性に優れた、例えば、ステンレス鋼などから作製することによって、高い流体圧力でも使用可能で、また経年変化による劣化がなく、信頼性にも優れた制御弁用弁本体10を提供することができる。」
(10)参考資料7(特開平10-2441号公報)
参考資料7には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管体の一端を挿着して接続する接続部を備えたバルブ及びその配管方法に関する。」
イ 「【0013】ここで、バルブ12は、ハンドル22を回動させることにより、弁体部20の弁体24を上下に移動させて弁箱26に対して離隔又は接近させ、弁体24と弁箱26との隙間を流れる水の流量を制御できるように構成されている。ここで、図1は弁体24を最大限下降させて水の流れを閉止させた状態であり、図2は弁体24を最大限まで上昇させて水の流量が最大となっている状態を示している。なお、弁体24及び弁箱26は、青銅鋳物から構成されており、弁体24を弁箱26へ密着させた時に弁体24又は弁箱26が歪んで水が漏れることのないようにされている。ここで、弁体24及び弁箱26の材質は青銅鋳物に限定されず、鋳鉄、ステンレス、鍛鋼、鋳鋼等のその他の金属であっても良い。なお、図1及び図2に示すバルブ12は、2個の接続部14を備え、両方の接続部14を樹脂から構成しているが、一方の接続部14のみを樹脂から構成しても良い。
【0014】また、接続部14はバルブ12の下部全体を覆う樹脂カバー28と一体となり、弁箱26の凸部30と嵌合するようにして固定されている。なお、接続部14の材質は、管体16を圧入できるとともに破損しない程度の強度を有し、管体16を圧入した時に水が漏れないように密閉できるものであれば、特に限定されないが、硬質塩化ビニルが通常使用される。特に、耐衝撃性硬質塩化ビニル又は耐熱性硬質塩化ビニルが好ましい。また、塩化ビニルは熱可塑性樹脂であるが、塩化ビニルと同程度又はそれ以上の強度を有するものであれば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂であっても良い。」
(11)参考資料8(特開2011-12537号公報)
参考資料8には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は水洗式便器に関する。」
イ 「【0031】
シリンダー10は、第1外殻部材11、第2外殻部材12及び第3外殻部材13により形成されている。第1外殻部材11はポリアセタール樹脂により形成され、第2外殻部材12及び第3外殻部材13は、ポリアセタール樹脂よりも機械強度の高いポリフェニレンスルファイド樹脂により形成されている。」
ウ 「【0039】
第1室Aは、流入出室A1と変動室A2とから構成されている。流入出室A1は、内筒部12A及び第3外殻部材13の内側に形成され、容積が一定である。変動室A2は、内筒部12Aより外側であり、かつ第2外殻部材12、ダイアフラム30及びピストン部材20に囲まれて形成され、ピストン20の往復運動に伴い容積が増減する。流入出室A1は、第1外殻部材を形成するポリアセタール樹脂製よりも機械強度の高いポリフェニレンスルファイド樹脂により形成された第2外殻部材12及び第3外殻部材13により形成されている。」
(12)甲第1号証B(特開2010-203061号公報)
甲第1号証Bは、特願2009-46750号の特許掲載公報である甲第1号証Aと同じ出願の公開特許公報であり、上記(1)アないしコに記載されている事項は、甲第1号証Bにも記載されている。よって、甲第1号証Bには、甲第1号証Aと同じ引用発明1-1及び引用発明1-2が記載されている。
(13)甲第2号証B(特開平4-327078号公報)
甲第2号証Bには、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は便器の異なる2つの出力流路に別々に給水するための便器洗浄給水用切替弁に関するものである。」
イ 「【0012】この実施例においては入力流路3とリムに連通する第1の出力流路4間の弁座8下部に小孔17を設ける。ケーシング2内の入力流路3と第2の出力流路5との間には第2の出力流路5と直交する方向に第2の弁孔18が形成され、第2の弁孔18の左端開口周縁には弁座19が形成されている。この弁座19には、第2の弁孔18を開閉する第2のダイヤフラム20が離接自在に配設されている。更に、この実施例においてはジェット給水路に連通する第2の出力流路5にバキュームブレーカ21を設ける。」
3 甲第1号証Aを主引例とした検討
(1)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明1-1とを対比する。
(ア)引用発明1-1が「便器装置の後方に配索された給水路9の下流端に接続され、ジェットノズル4に洗浄水を供給する給水用バルブ装置」である点は、本件訂正発明2が「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置」である点に相当する。
(イ)引用発明1-1の「第1バルブ装置A」は、「分岐路ユニットCは、第1バルブ装置Aよりも下流側に配置され」ることからみて、分岐路ユニットCよりも上流側に配置されるものであるから、本件訂正発明2の「洗浄水が導入される入水部」に相当する。
(ウ)引用発明1-1は、「ジェット用分岐路61の下端部には、その外周面に開口する弁口63が形成され、ジェット用電動開閉弁装置66は、ジェット用分岐路61の外周に取り付けられて弁口63を覆うケーシング67と、ケーシング67内に設けられて弁口63を開閉するダイヤフラム板68とを備えて構成されており、ダイヤフラム板68が弁口63から離間してジェット用開閉弁74が開弁し、ダイヤフラム板68が弁口63を閉じて閉弁状態となるものであ」るから、引用発明1-1の「ダイヤフラム板68」及び「弁口63」等からなる構造は、本件訂正発明2の「給水弁」に相当する。そして、引用発明1-1において「ジェット用分岐路61の下端部」を構成する配管は「ジェット用分岐路第1配管61A」であるから、引用発明1-1の「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体は、本件訂正発明2の「流路を開閉する給水弁を含む給水弁部」に相当する。
そして、引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体が、「分岐路ユニットC」の一部として「第1バルブ装置Aよりも下流側に配置され」ている点は、本件訂正発明2において「給水弁部」が「前記入水部の下流側に設けられ」ている点に相当する。
(エ)引用発明1-1において、「大気開放弁80」がバキュームブレーカとして機能することは、便器装置に関する技術分野における技術常識に鑑み明らかであるから、「ジェット用分岐路第2配管61B」の内部に「大気開放弁80」が配置された点は、本件訂正発明2の「バキュームブレーカ部」が「バキュームブレーカを含む」点に相当する。
そして、引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第2配管61B」が、「ジェット用分岐路第1配管61A」の下流側に設けられている点は、本件訂正発明2において「バキュームブレーカ部」が「前記給水弁部の下流側に設けられ」ている点に相当する。
(オ)引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第2配管61B」に「ジェット用配管62の上流端が接続され」ている点は、本件訂正発明2において「前記バキュームブレーカ部の下流側に」「洗浄水が導出される出水部」が「設けられ」る点に相当する。
(カ)上記(イ)及び(ウ)での検討を踏まえると、引用発明1-1において、「第1バルブ装置A」と、「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体とを含む部分は、本件訂正発明2の「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニット」に相当する。
また、上記(エ)及び(オ)での検討を踏まえると、引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第2配管61B」及び「ジェット用配管62」からなる部分は、本件訂正発明2の「前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニット」に相当する。
してみれば、引用発明1-1において、「前記ジェット用分岐路第1配管61Aと前記ジェット用分岐路第2配管61Bとがパッキンを介して接続されて」いる点と、本件訂正発明2において「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成される」点とは、「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとが別々の部材から構成される」点で共通する。
(キ)以上を総合すると、本件訂正発明2と引用発明1-1とは、
「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、
洗浄水が導入される入水部と、
前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、
前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部と
を備え、
前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとが別々の部材から構成される
洗浄水供給装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)本件訂正発明2は、第1ユニットと第2ユニットとを「分割可能」に構成したものであるのに対し、引用発明1-1は、「第1バルブ装置A」「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体とを含む部分と「ジェット用分岐路第2配管61B」及び「ジェット用配管62」からなる部分とが、分割可能であるとは明示的に特定されていない点。
(相違点2)本件訂正発明2は、「前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成される」のに対し、引用発明1-1は、「第2ケース構成体41bは、ポリアセタール樹脂製であって、第3ケース構成体41cは、ポリフェニレンスルファイド樹脂製であ」る点が特定されてはいるが、「第1バルブ装置A」と、「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体とを含む部分に形成される流路が、「ジェット用分岐路第2配管61B」及び「ジェット用配管62」からなる部分に形成される流路よりも剛性の高い材料により形成されるかどうか特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。
(ア)引用発明1-1において、流路を構成する部材の材料が特定されているのは、「第2ケース構成体41b」「第3ケース構成体41c」のみであり、その他の「ジェット用分岐路第1配管61A」「ジェット用分岐路第2配管61B」「ジェット用配管62」等について、いかなる材料により形成されているのかは特定されておらず、示唆もされていない。
つまり、引用発明1-1においては、令和3年1月28日付け意見書において特許権者が主張するように、流路はその一部分の材料が特定されるのみであり、本件訂正発明2の「第1ユニット」に相当する『「第1バルブ装置A」「ジェット用分岐路第1配管61A」及び「ジェット用電動開閉弁装置66」からなる構造体を含む部分』の流路全体を形成する材料は不明であり、本件訂正発明2の「第2ユニット」に相当する『「ジェット用分岐路第2配管61B」及び「ジェット用配管62」からなる部分』の流路全体を形成する材料も不明であるから、当然前者の流路が後者の流路より剛性の高い材料により形成されているとはいえない。
そして、前者を後者より剛性の高い材料により形成すること、換言すれば、流路の「ジェット用分岐路第1配管61A」より上流を相対的に剛性の高い材料で形成し、流路の「ジェット用分岐路第2配管61B」より下流を相対的に剛性の低い材料で形成するように、本件訂正発明2の「給水弁部」と「バキュームブレーカ部」の間の「分割可能」な位置に相当する位置で流路の材料を変更することが、申立人A又はBが提示した証拠には記載も示唆もされておらず、かつ、本件特許の出願前に周知の事項であったとも認められないから、引用発明1-1及び申立人A又はBが提示した証拠に基いて上記相違点2に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)上記相違点2に関して、申立人Aは特許異議申立書において、甲第5号証ないし甲第7号証を挙げて「流路構造を設計する場合に、各部材の剛性を考慮して材料を選択することは、設計者が通常行う設計的事項である。」と主張し、さらに令和3年3月29日付け意見書において、参考資料5ないし8を挙げて「一般的に、剛性及びコストを考慮して、剛性を要する部分に高い剛性を有する材料を用い、剛性を要さない部分にコスト及び剛性が低い材料を選択することは、製造技術における基本的事項であり、技術者に周知の課題である。」と主張する。
しかしながら、甲第1号証Aにおいて、「ジェット用分岐路第1配管61A」より上流では高い剛性が必要で、「ジェット用分岐路第2配管61B」より下流ではそれほど剛性を要しない、というような各部位に必要な剛性を示唆する記載は無く、また、甲第5号証ないし甲第7号証、参考資料5ないし8のいずれにも、上記(ア)で述べたように、洗浄水供給装置において「給水弁部」と「バキュームブレーカ部」の間の位置で流路の材料を変更することは記載されていない。
したがって、引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第1配管61A」と「ジェット用分岐路第2配管61B」の間において、その上流では相対的に剛性の高い材料で流路を形成し下流では相対的に剛性の低い材料で流路を形成するよう流路を形成する材料を変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、申立人Aの主張は採用できない。
ウ 小括
上記のとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、引用発明1-1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明3ないし6について
本件訂正発明3ないし6は、本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、引用発明1-1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 甲第2号証Aを主引例とした検討
(1)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明2-1とを対比する。
(ア)引用発明2-1が「便器洗浄装置であって、洋風水洗式便器において、便器本体2の便鉢2aの上流側に取り付けられ、便鉢2aに洗浄水を供給するもの」である点は、本件訂正発明2が「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置」である点に相当する。
(イ)引用発明2-1の「流入口11」は、本件訂正発明2の「洗浄水が導入される入水部」に相当する。
(ウ)引用発明2-1は、「上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成されており、止水弁機構50」は「流路10aを」「遮断することが可能」なものであるから、引用発明2-1の「止水弁機構50」は本件訂正発明2の「給水弁部」に相当するものである。
そして、引用発明2-1において、「第1給水管20は、流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、第1給水管本体21が組み付けられてなる構成であ」る点は、本件訂正発明2において「給水弁部」が「前記入水部の下流側に設けられ」ている点に相当する。
(エ)引用発明2-1の「バキュームブレーカ機構70」は、本件訂正発明2の「バキュームブレーカ部」に相当する。
そして、引用発明2-1において、「第1給水管20は、流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51及び第2ボール弁筒体52が組み付けられてなる構成であり、上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成され」、「第2給水管40にはバキュームブレーカ機構70が設けられて」いることからみて、「バキュームブレーカ機構70」が「止水弁機構50」の下流側に設けられていると認められるところ、この点は、本件訂正発明2において「バキュームブレーカ部」が「前記給水弁部の下流側に設けられ」ている点に相当する。
(オ)引用発明2-1において、「第2給水管40は、流出口12側から上流側に向かって流出口筒体44、接続管43、バキュームブレーカ筒体71、第2給水管本体41及び開閉弁機構マウント部材66等が組み付けられてなる構成であ」るから、「流出口12」は「バキュームブレーカ機構70」の下流側に設けられており、以上の点は、本件訂正発明2において「前記バキュームブレーカ部の下流側に」「洗浄水が導出される出水部」が「設けられ」る点に相当する。
(カ)上記(イ)及び(ウ)での検討を踏まえると、引用発明2-1において、「流入口11側から下流側に向かって第1ボール弁筒体51及び第2ボール弁筒体52が組み付けられてなる構成であり、上記第1ボール弁筒体51、第2ボール弁筒体52、弁体53及びシール部材54a、54b等により、止水弁機構50が構成され」、「接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し」た「第1給水管20」は、本件訂正発明2の「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニット」に相当する。
また、上記(エ)及び(オ)での検討を踏まえると、引用発明2-1において、「流出口12側から上流側に向かって流出口筒体44、接続管43、バキュームブレーカ筒体71、第2給水管本体41及び開閉弁機構マウント部材66等が組み付けられてなる構成であ」り、「接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し」た「第2給水管40」は、本件訂正発明2の「前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニット」に相当する。
そして、引用発明2-1において、「第1接続部21aと第2接続部40aとは回り止め機構36及び袋ナット35により結合されて」おり、袋ナット35を用いた結合が分離可能であることは明らかであるから、引用発明2-1の以上の点は、本件訂正発明2において「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成され」る点に相当する。
(キ)以上を総合すると、本件訂正発明2と引用発明2-1とは、
「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、
洗浄水が導入される入水部と、
前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、
前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部と
を備え、
前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成される
洗浄水供給装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点3)本件訂正発明2は、「前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成される」のに対し、引用発明2-1は、「接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し」た「第1給水管20」に形成される流路が、「接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し」た「第2給水管40」に形成される流路よりも剛性の高い材料により形成されるかどうか特定されていない点。
イ 判断
相違点3について検討する。
(ア)引用発明2-1において、「第1給水管20」「第2給水管40」等について、いかなる材料により形成されているのかは特定されておらず、示唆もされていない。
そして、『接続管30の一部としての第1接続部21aを一体に有し」た「第1給水管20」』に形成される流路を、『「接続管30の残部としての第2接続部40a及び内筒40bを一体に有し」た「第2給水管40」』に形成される流路より剛性の高い材料により形成すること、換言すれば、流路の「第1接続部21a」より上流を相対的に剛性の高い材料で形成し、流路の「第2接続部40a及び内筒40b」より下流を相対的に剛性の低い材料で形成するように流路の材料を変更することが、申立人A又はBが提示した証拠には記載も示唆もされておらず、かつ、本件特許の出願前に周知の事項であったとも認められないから、引用発明2-1及び申立人A又はBが提示した証拠に基いて上記相違点3に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)上記相違点3に関して、申立人Aは特許異議申立書において、甲第5号証ないし甲第7号証を挙げて「流路構造を設計する場合に、各部材の剛性を考慮して材料を選択することは、設計者が通常行う設計的事項である。」と主張する。
しかしながら、甲第2号証Aにおいて、「第1接続部21a」より上流では高い剛性が必要で、「第2接続部40a及び内筒40b」より下流ではそれほど剛性を要しない、というような各部位に必要な剛性を示唆する記載は無く、また、甲第5号証ないし甲第7号証のいずれにも、洗浄水供給装置において「給水弁部」と「バキュームブレーカ部」の間の位置で流路の材料を変更することは記載されていない。
したがって、引用発明2-1において、「第1接続部21a」と「第2接続部40a及び内筒40b」の間において、その上流では相対的に剛性の高い材料で流路を形成し下流では相対的に剛性の低い材料で流路を形成するよう流路を形成する材料を変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、申立人Aの主張は採用できない。
ウ 小括
上記のとおりであるから、本件訂正発明2は、引用発明2-1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明3ないし6について
本件訂正発明3ないし6は、本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、引用発明2-1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 甲第3号証Aを主引例とした検討
(1)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明3とを対比する。
(ア)引用発明3の「和式の便器(大便器)」は、本件訂正発明2の「便器本体」に相当する。また、引用発明3の当該「和式の便器(大便器)」は「水洗トイレ」であるから、引用発明3の「便器に対する流水」は、本件訂正発明2の「便器本体に洗浄水を供給する」ことに相当する。
(イ)引用発明3の「流水入口」は、「水道管Psi及び止水栓を介して上流側の水道管に接続」されているから、「水道管Psi」から「流水」が流れ込むものであることは明らかである。したがって、引用発明3の当該「流水入口」は、本件訂正発明2の「洗浄水が導入される入水部」に相当する。
(ウ)引用発明3の「フラッシュバルブ(開閉弁)2v」は、「水道水Wを供給する給水管Psの中途に設け」られ、「開閉することにより便器に対する流水又は流水解除を行う」ものであるから、本件訂正発明2の「流路を開閉する給水弁を含む給水弁部」に相当する。
また、引用発明3の「流水入口」は、「フラッシュバルブ2vの側面に設け」られ、「上流側の水道管に接続」されている。すなわち、引用発明3の「フラッシュバルブ2v」は、「流水入口」を介して「上流側の水道管に接続」されているから、「流水入口」よりも下流側に存在するものである。
したがって、引用発明3の上記「フラッシュバルブ(開閉弁)2v」は、本件訂正発明2の「前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部」に相当する。
(エ)引用発明3の「流水監視装置1」は、「水車部11を、バキュームブレーカユニットVbにおける可動変位する弁体17に対して兼用させ」、「水車部11」、「弁体17」、及び「弁座部18」の動作により、「バキュームブレーカユニットとして機能する」。したがって、引用発明3の当該「水車部11」、「弁体17」、及び「弁座部18」は、本件訂正発明2の「バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部」に相当する。
また、引用発明3の「流水監視装置1」は、「フラッシュバルブ2vの流水出口2veに接続する上流側の接続口16uiを設け」ているから、「フラッシュバルブ2v」の下流側に接続されるものである。したがって、引用発明3の「流水監視装置1」に備えられた上記「水車部11」、「弁体17」、及び「弁座部18」も、「フラッシュバルブ2v」の下流側に接続されている。
以上のとおりであるから、引用発明3の上記「水車部11」、「弁体17」、及び「弁座部18」は、本件訂正発明2の「前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部」に相当する。
(オ)引用発明3の「流水監視装置1」に設けられた「接続口16de」は、「下流側」のものであり、「便器に至る水道管Pse」に「接続する」から、本件訂正発明2の「前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部」に相当する。
(カ)引用発明3の「流水機構2」は、「フラッシュバルブ(開閉弁)2v」を有し、この「フラッシュバルブ2vの側面に」は、「流水入口」が設けられているから、本件訂正発明2の「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニット」に相当する。
(キ)引用発明3の「流水監視装置1」は、「水車部11」、「弁体17」、「弁座部18」、及び「接続口16de」を備えるものであるから、本件訂正発明2の「前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニット」に相当する。
(ク)引用発明3の「流水監視装置1」において、「ハウジング部16」が、「給水管Psに既設されたバキュームブレーカユニット(逆止弁)とそのまま交換接続可能に形成され」、「流水監視装置1を設置するに際しては、流水監視装置1の装置本体Umをフラッシュバルブ2vと水道管Pse間に取り付けるものであ」ることは、本件訂正発明2の「第1ユニット」と「第2ユニット」とが「分割可能に構成されて」いることに相当する。
(ケ)上記(カ)及び(キ)のとおり、引用発明3の「流水機構2」は、「流水入口」と「フラッシュバルブ(開閉弁)2v」とを備え、引用発明3の「流水監視装置1」は、「水車部11」、「弁体17」、「弁座部18」、及び「接続口16de」を備えるものである。したがって、引用発明3の上記「流水機構2」及び「流水監視装置1」は、本件訂正発明2の「入水部」、「給水弁部」、「バキュームブレーカ部」、及び「出水部」を備える「洗浄水供給装置」に相当する。
(コ)以上を総合すると、本件訂正発明2と引用発明3とは、
「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、
洗浄水が導入される入水部と、
前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、
前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部と
を備え、
前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成される
洗浄水供給装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点4)本件訂正発明2は、「前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成される」のに対し、引用発明3は、「流水機構2」に形成される流路が、「流水監視装置1」に形成される流路よりも剛性の高い材料により形成されるかどうか特定されていない点。
イ 判断
相違点4について検討する。
(ア)引用発明3において、「流水機構2」「流水監視装置1」等について、いかなる材料により形成されているのかは特定されておらず、示唆もされていない。
そして、「流水機構2」に形成される流路を、「流水監視装置1」に形成される流路より剛性の高い材料により形成すること、換言すれば、流路の「フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2ve」より上流を相対的に剛性の高い材料で形成し、流路の「ハウジング上部16uの上端の接続口16ui」より下流を相対的に剛性の低い材料で形成するように流路の材料を変更することが、申立人A又はBが提示した証拠には記載も示唆もされておらず、かつ、本件特許の出願前に周知の事項であったとも認められないから、引用発明3及び申立人A又はBが提示した証拠に基いて上記相違点4に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)上記相違点4に関して、申立人Aは特許異議申立書において、甲第5号証ないし甲第7号証を挙げて「流路構造を設計する場合に、各部材の剛性を考慮して材料を選択することは、設計者が通常行う設計的事項である。」と主張する。
しかしながら、甲第3号証Aにおいて、「フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2ve」より上流では高い剛性が必要で、「ハウジング上部16uの上端の接続口16ui」より下流ではそれほど剛性を要しない、というような各部位に必要な剛性を示唆する記載は無く、また、甲第5号証ないし甲第7号証のいずれにも、洗浄水供給装置において「給水弁部」と「バキュームブレーカ部」の間の位置で流路の材料を変更することは記載されていない。
したがって、引用発明3において、「フラッシュバルブ2vの底面に設けた流水出口2ve」と「ハウジング上部16uの上端の接続口16ui」の間において、その上流では相対的に剛性の高い材料で流路を形成し下流では相対的に剛性の低い材料で流路を形成するよう流路を形成する材料を変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、申立人Aの主張は採用できない。
ウ 小括
上記のとおりであるから、本件訂正発明2は、引用発明3及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明3ないし6について
本件訂正発明3ないし6は、本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、引用発明3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 甲第4号証を主引例とした検討
(1)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と引用発明4とを対比する。
(ア)引用発明4の「便器の洗浄水供給装置」は、本件訂正発明2の「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置」に相当する。
(イ)引用発明4の「洗浄水が導入される入水部」は、本件訂正発明2の「洗浄水が導入される入水部」に相当する。
(ウ)引用発明4の「給水栓18」は、「給水栓18の上流側に、洗浄水が導入される入水部」が「備え」られるのであるから、「入水部」の下流側に設けられたものである。また、「給水栓18」の「水路を開閉する」「弁体26」は「流路を開閉する給水弁」に相当するものである。そうすると、引用発明4の当該「給水栓18」は、本件訂正発明2の「前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部」に相当する。
(エ)引用発明4の「バキュームブレーカー56」は、「給水栓18からの水路の途中に」「設けられ」るものであるから、「給水栓18」の下流側に設けられたものである。また、引用発明4の「バキュームブレーカー56」がバキュームブレーカーを含むことは当然である。そうすると、引用発明4の当該「バキュームブレーカー56」は、本件訂正発明2の「前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部」に相当する。
(オ)引用発明4の「第一給水路32」は、「バキュームブレーカー56の下流側に設けられた」ものである。また、当該「第一給水路32」は、「洗浄タンク14への吐水口30に連通する」ものであるから、洗浄水を「洗浄タンク14」に導出するものといえる。そうすると、引用発明4の当該「第一給水路32」は、本件訂正発明2の「前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部」に相当する。
(カ)以上を総合すると、本件訂正発明2と引用発明4とは、
「便器本体に洗浄水を供給する洗浄水供給装置であって、
洗浄水が導入される入水部と、
前記入水部の下流側に設けられ、流路を開閉する給水弁を含む給水弁部と、
前記給水弁部の下流側に設けられ、バキュームブレーカを含むバキュームブレーカ部と、
前記バキュームブレーカ部の下流側に設けられ、洗浄水が導出される出水部と
を備える、
洗浄水供給装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点5)本件訂正発明2は、「前記入水部および前記給水弁部を含む第1ユニットと、前記バキュームブレーカ部および前記出水部を含む第2ユニットとに分割可能に構成され」たものであるのに対し、引用発明4は、「入水部」及び「給水栓18」を含む部分と「バキュームブレーカー56」及び「第一給水路32」を含む部分とが、分割可能であるとは明示的に特定されていない点。
(相違点6)本件訂正発明2は、「前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第1ユニットに形成される第1流路は、前記入水部から前記出水部までの流路のうち、前記第2ユニットに形成される第2流路よりも剛性の高い材料により形成される」のに対し、引用発明4は、「入水部」及び「給水栓18」を含む部分に形成される流路が、「バキュームブレーカー56」及び「第一給水路32」を含む部分に形成される流路よりも剛性の高い材料により形成されるかどうか特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点6について検討する。
(ア)引用発明4において、「給水栓18」「第一給水路32」等について、いかなる材料により形成されているのかは特定されておらず、示唆もされていない。
そして、「入水部」及び「給水栓18」を含む部分に形成される流路を、「バキュームブレーカー56」及び「第一給水路32」を含む部分に形成される流路より剛性の高い材料により形成すること、換言すれば、流路の「弁体26」より上流を相対的に剛性の高い材料で形成し、流路の「バキュームブレーカー56」より下流を相対的に剛性の低い材料で形成するように流路の材料を変更することが、申立人A又はBが提示した証拠には記載も示唆もされておらず、かつ、本件特許の出願前に周知の事項であったとも認められないから、引用発明4及び申立人A又はBが提示した証拠に基いて上記相違点6に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(イ)上記相違点6に関して、申立人Aは特許異議申立書において、甲第5号証ないし甲第7号証を挙げて「流路構造を設計する場合に、各部材の剛性を考慮して材料を選択することは、設計者が通常行う設計的事項である。」と主張する。
しかしながら、甲第4号証において、「弁体26」より上流では高い剛性が必要で、「バキュームブレーカー56」より下流ではそれほど剛性を要しない、というような各部位に必要な剛性を示唆する記載は無く、また、甲第5号証ないし甲第7号証のいずれにも、洗浄水供給装置において「給水弁部」と「バキュームブレーカ部」の間の位置で流路の材料を変更することは記載されていない。
したがって、引用発明4において、「弁体26」と「バキュームブレーカー56」の間において、その上流では相対的に剛性の高い材料で流路を形成し下流では相対的に剛性の低い材料で流路を形成するよう流路を形成する材料を変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、申立人Aの主張は採用できない。
ウ 小括
上記のとおりであるから、相違点5について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、引用発明4及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明3ないし6について
本件訂正発明3ないし6は、本件訂正発明2の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)で検討した理由と同じ理由により、引用発明4及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 甲第1号証Bを主引例とした検討
(1)上記2(12)に記載したとおり、甲第1号証Bには甲第1号証Aと同じ引用発明1-1が記載されている。本件訂正発明2と引用発明1-1との対比、及び引用発明1-1に基づく本件訂正発明2の進歩性の判断は、上記3(1)ア及びイに記載のとおりである。
(2)申立人Bは特許異議申立書において、上記相違点2に関して、「流路の部分に応じて材料や剛性を異ならせることは設計的事項にすぎない」と主張する。
しかしながら、甲第1号証Bにおいて、「ジェット用分岐路第1配管61A」より上流では高い剛性が必要で、「ジェット用分岐路第2配管61B」より下流ではそれほど剛性を要しない、というような各部位に必要な剛性を示唆する記載は無いし、そのような設計が当業者にとって周知であったともいえない。
したがって、引用発明1-1において、「ジェット用分岐路第1配管61A」と「ジェット用分岐路第2配管61B」の間において、その上流では相対的に剛性の高い材料で流路を形成し下流では相対的に剛性の低い材料で流路を形成するよう流路を形成する材料を変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。
よって、申立人Bの主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項2ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に請求項2ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-700695