2020-700668
X線発生管、X線発生装置、およびX線撮影システム
- 審判番号
- 2020-700668
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-102863外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6667366
- 請求日
- 2020年09月04日
- 審決日
- 2022年06月06日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.537-YAA(H01J) / P1651.121-YAA(H01J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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特許第6667366号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし22に係る特許についての出願は、平成28年5月23日に出願され、令和2年2月27日にその特許権の設定登録がされ、令和2年3月18日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
直子(以下単に「申立人」という。))
令和3年11月1日になされた訂正請求(令和4年3月31日付け手続補正書による補正後のもの)によって、令和3年2月5日になされた訂正請求(以下「先の訂正請求」という。)は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
なお、令和3年12月13日付けで当審は、申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)をするとともに期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人は意見書を提出しなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容について
(1)訂正事項の内容
後記2のとおり、令和4年3月31日付け手続補正書による令和3年11月1日付け訂正請求書の補正(以下「本件補正」という。)は適法であるところ、本件補正後の当該訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正に係る請求を「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許登録時の願書に添付した特許請求の範囲を、次のとおり訂正するものである(下線は、訂正箇所を示すものとして当審が付した。)。
ところで、以下の訂正事項を特定する名称は、訂正要件の判断を行う便宜上、当審において整理して付したものであり、本件訂正請求書に記載された特許権者によりなされたものとは異なっている。当該名称の名付けの規則は、「A」を訂正後の請求項に付した番号とし、「B」を単に順序を示すものとして、「訂正事項A-B」の形式となっている。
(1-1)訂正前の請求項1に対してされた訂正
ア 訂正事項1-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項1」に対応する。)
訂正前の請求項1において、「電子銃と、電子銃を保持する陰極部材と、を有した陰極と」であった記載を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~13、16~17も同様に訂正する。)
イ 訂正事項1-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項2」に対応する。)
訂正前の請求項1において、「電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲットと」であった記載を、「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~13、16~17も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項1-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項3」及び「訂正事項4」に対応する。)
訂正前の請求項1において、「管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置される磁気偏向部と」であった記載を、「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~13、16~17も同様に訂正する。)
エ 訂正事項1-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項5」に対応する。)
訂正前の請求項1において、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置する部分を有する磁気シールド部と、を備える」であった記載を、「を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備える」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~13、16~17も同様に訂正する。)
(1-2)訂正前の請求項3に対してされた訂正
ア 訂正事項3-1
訂正特許請求の範囲の記載によれば、訂正前の請求項3において、「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」であった記載を、「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」にする訂正がされるものと解される。
(請求項3を直接的又は間接的に引用する請求項4~13、16~17も同様に訂正されるものと解される。)
(1-3)訂正前の請求項4に対してされた訂正
ア 訂正事項4-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項6」に対応する。)
訂正前の請求項4において「前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」であった記載を、「前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」に訂正する。
(請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5~13、16~17も同様に訂正する。)
(1-4)訂正前の請求項14に対してされた訂正
(1-4-1)本件訂正後に請求項14となる訂正
ア 訂正事項14-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項7」に対応する。)
訂正前の請求項14において「前記透過型ターゲットは、」であった記載を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記透過型ターゲットは、」に訂正する。
(請求項14を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正する。)
イ 訂正事項14-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項7」に対応する。)
訂正前の請求項14において、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」であった記載を、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備え、」に訂正する。
(請求項14を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項14-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項8」に対応する。)
訂正前の請求項14において、「と、を備えていることを特徴とする」であった記載を、「と、を備え、前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し、前記磁気シールド部は前記陽極部材の真空側に固定されていることを特徴とする」に訂正する。
(請求項14を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正する。)
(1-4-2)本件訂正後に請求項23となる訂正
ア 訂正事項23-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項22」に対応する。)
訂正前の請求項2を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項2に係る部分の「前記磁気シールド部は、」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項23-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項22」に対応する。)
訂正前の請求項14における、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」との記載の前であって、上記アの記載を加えた後に、「前記磁気シールド部は、管軸方向から見たときに、管径方向において前記磁気偏向部と重なる部分をさらに有し、」との記載を加える。
ウ 訂正事項23-3
訂正特許請求の範囲の記載によれば、訂正前の請求項14において、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」であった記載を、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」にする訂正がされるものと解される。
(1-4-3)本件訂正後に請求項24となる訂正
ア 訂正事項24-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項23」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項3に係る部分の「前記磁気シールド部の」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項24-2
訂正前の請求項3を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項3に係る部分において「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」であった記載を、「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲であり、」にする訂正がされるものと解される。
ウ 訂正事項24-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項23」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項14に係る部分の「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」との記載の前に、「前記磁気偏向部により生じる前記磁力線は、前記絶縁管の管壁を介して前記電子線束に作用し前記第1ローレンツ力により前記電子線束を前記所定の方向に偏向させ、」との記載を加える。
エ 訂正事項24-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項23」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項14に係る部分の「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」であった記載を、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」に訂正する。
(1-4-4)本件訂正後に請求項25となる訂正
ア 訂正事項25-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項24」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項4に係る部分の「前記磁気シールド部の」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項25-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項24」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項4に係る部分の「前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」であった記載を、「前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」に訂正する。
ウ 訂正事項25-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項24」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項14に係る部分において、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」であった記載を、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」に訂正する。
(1-4-5)本件訂正後に請求項26となる訂正
ア 訂正事項26-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項25」に対応する。)
訂正前の請求項8を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項8に係る部分の「前記絶縁管の管外であって」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項26-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項25」に対応する。)
訂正前の請求項8を引用する請求項14における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項14に係る部分において、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」であった記載を、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えている」に訂正する。
(1-5)訂正前請求項15に対してされた訂正
(1-5-1)本件訂正後に請求項15となる訂正
ア 訂正事項15-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項9」に対応する。)
訂正前の請求項15において「前記電子銃は、」であった記載を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記電子銃は、」に訂正する。
(請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正する。)
イ 訂正事項15-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項10」に対応する。)
訂正前の請求項15において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項16~17も同様に訂正する。)
(1-5-2)本件訂正後に請求項27となる訂正
ア 訂正事項27-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項26」に対応する。)
訂正前の請求項2を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項2に係る部分の「前記磁気シールド部は、」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項27-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項26」に対応する。)
訂正前の請求項2を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分の「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」との記載の前に、「前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより外囲器を構成し、前記外囲器は真空に保持され、」との記載を加える。
ウ 訂正事項27-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項26」に対応する。)
訂正前の請求項2を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(1-5-3)本件訂正後に請求項28となる訂正
ア 訂正事項28-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項27」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項3に係る部分の「前記磁気シールド部の」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項28-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項27」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項3に係る部分おいて「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」であった記載を、「積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲であり、」に訂正する。
ウ 訂正事項28-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項27」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分の「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」との記載の前に、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される管状部材と、前記管状部材の内部において、前記陰極部材から前記陽極に向かう管軸方向において、前記電子放出部と前記静電レンズ電極とがこの順に配置され、」との記載を加える。
エ 訂正事項28-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項27」に対応する。)
訂正前の請求項3を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(1-5-4)本件訂正後に請求項29となる訂正
ア 訂正事項29-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項28」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項4に係る部分の「前記磁気シールド部の」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項29-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項28」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項4に係る部分において「前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」であった記載を、「前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上である」に訂正する。
ウ 訂正事項29-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項28」に対応する。)
訂正前の請求項4を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(1-5-5)本件訂正後に請求項30となる訂正
ア 訂正事項30-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項29」に対応する。)
訂正前の請求項8を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項8に係る部分の「前記絶縁管の管外であって、」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項30-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項29」に対応する。)
訂正前の請求項8を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分の「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」との記載の前に、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される管状部材と、前記管状部材の内部において、前記陰極部材から前記陽極に向かう管軸方向において、前記電子放出部と前記静電レンズ電極とがこの順に配置され、」との記載を加える。
ウ 訂正事項30-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項29」に対応する。)
訂正前の請求項8を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(1-5-6)本件訂正後に請求項31となる訂正
ア 訂正事項31-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項30」に対応する。)
訂正前の請求項14を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項14に係る部分の「前記透過型ターゲットは、」との記載の前に、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」との記載を加える。
イ 訂正事項31-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項30」に対応する。)
訂正前の請求項14を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分の「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」の前に、「前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し、前記磁気シールド部は前記陽極の部材の真空側に固定され、前記電子銃と前記陰極部材とが直接接触して同電位であり、」との記載を加える。
ウ 訂正事項31-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項30」に対応する。)
訂正前の請求項14を引用する請求項15における、独立形式とした後に存在する訂正前の請求項15に係る部分において、「前記電子銃は、電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の電子線束に集束する静電レンズ電極と、を有している」であった記載を、「前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有している」に訂正する。
(1-6)訂正前請求項18に対してされた訂正
ア 訂正事項18-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項11」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「電子銃と、電子銃を保持する陰極部材と、有した陰極」であった記載を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
イ 訂正事項18-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項12」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、」であった記載を、「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項18-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項13」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記陰極と前記陽極との間に配置される磁気偏向部と、」であった記載を、「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記陰極が有する前記電子放出部と前記陽極が有する前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
エ 訂正事項18-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項14」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記陽極の側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置する部分を有する磁気シールド部と、」であった記載を、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記陽極の側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部と、」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
オ 訂正事項18-5(本件訂正請求書に記載された「訂正事項15」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「前記X線発生管と前記シールド部とを収納する収納容器」であった記載を、「前記X線発生管と前記磁気シールド部とを収納する収納容器」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
カ 訂正事項18-6(本件訂正請求書に記載された「訂正事項15」に対応する。)
訂正前の請求項18において、「前記磁気シールド部は、前記収納容器に固定されている」であった記載を、「前記磁気シールド部は、前記陽極部材と前記収納容器に固定され、前記陽極は前記収納容器を介してアースに接地されている」に訂正する。
(請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項19~20も同様に訂正する。)
(1-7)訂正前請求項21に対してされた訂正
ア 訂正事項21-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項16」に対応する。)
訂正前の請求項21において、「電子銃と、電子銃を保持する陰極部材と、を有した陰極」であった記載を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極」に訂正する。
(請求項21を引用する請求項22も同様に訂正する。)
イ 訂正事項21-2(本件訂正請求書に記載された「訂正事項17」に対応する。)
訂正前の請求項21において、「電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲット」であった記載を、「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲット」に訂正する。
(請求項21を引用する請求項22も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項21-3(本件訂正請求書に記載された「訂正事項18」に対応する。)
訂正前の請求項21において、「管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置される磁気偏向部と、」であった記載を、「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、」に訂正する。
(請求項21を引用する請求項22も同様に訂正する。)
エ 訂正事項21-4(本件訂正請求書に記載された「訂正事項19」に対応する。)
訂正前の請求項21において、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より前記絶縁管の管軸中心に近い側に位置する部分を有する磁気シールド部と、を備える」であった記載を、「を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より前記絶縁管の管軸中心に近い側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、」に訂正する。
(請求項21を引用する請求項22も同様に訂正する。)
オ 訂正事項21-5(本件訂正請求書に記載された「訂正事項20」に対応する。)
訂正前の請求項21において、「ことを特徴とする」の前に、「前記磁気シールド部の透磁率μ[H/m]と、前記管軸方向における厚さd[m]を与えたとき、積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲である」に訂正する。
(請求項21を引用する請求項22も同様に訂正する。)
(1-8)訂正前請求項22に対してされた訂正
ア 訂正事項22-1(本件訂正請求書に記載された「訂正事項21」に対応する。)
訂正前の請求項22において「X線発生管と、前記X線発生管を収納する収納容器と、を備える」であった記載を、「X線発生管と、前記X線発生管を収納する収納容器と、を備え、前記陽極部材と環状の前記磁気シールド部は平板状である」に訂正する。
(2)本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1-17、23-31〕、〔18-20〕、〔21、22〕について請求されたものである。
そして、訂正後の請求項23、24、25、26、27、28、29、30及び31のそれぞれについては、別の訂正単位とする求めがなされている。
2 本件補正について
(1)本件補正の内容
本件補正は、令和3年11月1日付け訂正請求書の「7.請求の理由」欄及び「訂正特許請求の範囲」を補正するものであるところ、後者の補正は、上記1(1-6)カの訂正事項18-6において、「前記陽極は前記収納容器を介してアースに設置されている」とあったものを、「前記陽極は前記収納容器を介してアースに接地されている」に補正しようとするもの(以下、この補正を「補正事項1」という。)である。
(2)補正事項1の適否の検討
ア 補正事項1は、上記(1)によれば、「前記陽極」が「前記収納容器を介してアースに」対してどうなっているかについて、補正前に「設置されている」であったものを、補正後に「接地されている」に補正するものであるといえるところ、「アース」は電気的に接続することで電位を規定するために用いられる部材であって、電気的な接続を伴うことなく、単に物理的に設置する(取り付ける/配置する)だけでは「アース」としての意味をなさないとの技術常識を踏まえれば、補正前の「前記陽極」が「収納容器を介してアースに」対して「設置されている」との表現は、通常用いられないといえる。そして、本件特許の特許登録時の願書に添付した明細書には、「陽極5は収納容器102を介してアース105に接地されている。」(【0051】)と記載されていたところであり、この記載は、上記技術常識に照らして首肯できるものである。
そうすると、当業者であれば、補正前の「設置されている」が「設置されている」の明らかな誤記であることを認識できるといえるのであり、よって、補正事項1は、明らかな誤記を正すものである。
イ このように、補正事項1は、明らかな誤記を正すものにすぎないから、補正の前後で請求の基礎である「訂正を申し立てている事項」の同一性や範囲を変更するものではなく、請求書の要旨を変更するものではない。
(3)小活
よって、本件補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に違反するものではなく、認められるものである。
3 本件訂正についての当審の判断
(1)本件訂正の内容は、上記1に示したとおりであって、各訂正事項について、訂正要件を判断する。
(1-1)訂正前の請求項1について
ア 訂正事項1-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1において、下記aないしcの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項1の冒頭の「電子銃」を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項1の冒頭の「電子銃と、電子銃」が、前者の「電子銃」と後者の「電子銃」との関係が明瞭でなかったものを、「電子銃と、前記電子銃」に訂正することにより、両者が同じであることを明瞭にする。
c 訂正前の請求項1に「陰極部材」とあったものを、「前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aの訂正について
当該訂正に係る事項は、本件特許の特許登録時の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)の「電子銃2bは、・・・電子放出部2c、静電レンズ電極2dを備えている。」(【0015】)及び「静電レンズ電極2dは、電子放出部2cから放出された電子を所定の電子線束に集束させ」(【0017】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、当該訂正に係る事項は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、上記aに示した本件明細書等の段落【0015】及び【0017】の記載によれば、前者の「電子銃」と後者の「電子銃」は同じであることが本件明細書等に記載してあったといえるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
c 上記(ア)cについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「電子銃2bは、導電性を有し陰極部材2aに接続される管状部材2e・・・を備えている。・・・電子銃2bは、管状部材2eにより陰極部材2aに固定されている。陰極部材2aは、・・・電子銃2bを陰極電位を規定するための導電性・・・を備えた材料が適用される。」(【0015】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-1は、上記(ア)及び(イ)にも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
イ 訂正事項1-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-2は、訂正前の請求項1において、「・・・電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、・・・管軸方向において前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置される磁気偏向部と、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し・・・」とあった「透過型ターゲット」のうちの初出である「透過型ターゲット」に関して、「ターゲット層を有する透過型ターゲット」とすることで、「前記ターゲット層」の「前記」に相当する記載が何かが明瞭でなかったのを明瞭にするとともに、「透過型ターゲット」の構成を限定したものである。
したがって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項1-2は、本件明細書等の「透過型ターゲット5bは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層5cと、・・・を有している。」(【0018】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-2は、上記(ア)及び(イ)にも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項1-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-3は、訂正前の請求項1において、下記aないしcの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項1において、「管径方向において前記絶縁管の外側に位置」する「磁気偏向部」の「管径方向」に関して、「前記絶縁管の管径方向」に訂正して、「管径方向」における「管」を「絶縁管」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項1において、「管軸方向において前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され・・・る磁気偏向部」とあったものを、「管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され・・・る磁気偏向部」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
c 訂正前の請求項1において、「磁気偏向部」とあったものを、「管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「磁気偏向部6は、X線発生管1の管径方向において絶縁管3の管外(外側)・・・に配置されている。」(【0026】)との記載、及び、図1(b)から、磁気偏向部6が絶縁管3の管径方向において絶縁管3の外側に位置していることが見てとれることに基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の図1(a)から、管軸方向において、磁気偏向部6が、電子放出部2cと絶縁管3の一端に接続されている透過型ターゲット5bとの間に配置されていることが見てとれるとともに、磁気偏向部6が管軸方向において、絶縁管3と重なる位置にあることが見て取れることに基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
c 上記(ア)cについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「このように磁気偏向部6を配置することにより、電子ビームEBに対してローレンツ力による軌道偏向作用を効果的に働かせることが可能となる。即ち、磁気偏向部6は、図1(b)に記載の管軸中心tc近傍に形成される電子ビームEBに対してローレンツ力を作用させるように配置される。」(【0026】)の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-3は、上記(ア)及び(イ)にも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
エ 訂正事項1-4
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-4は、訂正前の請求項1において、下記a及びbの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項1において、「X線発生管」が備える「磁気シールド部」であったものを、「X線発生管」が備える「前記陽極は、・・・磁気シールド部を備える」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項1において、「磁気シールド部」の「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置する」「部分」に関して、「前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項1-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aについて
当該事項は、本件明細書等の「本実施形態の磁気シールド部8は、・・・陽極部材5aの真空側に固定された・・・磁性部材である。」(【0035】)及び「なお、磁気シールド部8は、第1~第3の実施形態においては陽極5を構成している・・・」(【0049】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項のうち「前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する」点は、本件明細書等の「ここで、管外の磁界から陽極部材5aに対して斜めに侵入し管軸中心tc近傍の電子ビームEBにローレンツ力を及ぼす磁力線9imを考える。磁気シールド部8の環状部8bが、磁力線9imの電子ビームEBへの侵入を遮る配置をとることにより、・・・被検体9からの磁力線9imは、磁気シールド部8により減衰される。」(【0040】)との記載に基づいて導き出される構成であり、また、当該事項のうち「前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収」する点は、本件明細書等の「磁気偏向部6が発生する磁力線6mの一部は」(【0039】)、「磁気シールド部8の環状部8bが、磁力線9imの電子ビームEBへの侵入を遮る配置をとることにより、磁力線6mが被検体9に及ぼす磁化作用・・・は、磁気シールド部8により減衰される」との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1-4は、上記(ア)及び(イ)にも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-2)訂正前の請求項3について
ア 訂正事項3-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項3-1は、訂正前の請求項3の発明特定事項である「積μ×d[H]」に関して、「1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」であった記載を、「1×10-8以上1×10-4以下の範囲である」に訂正して、上付き数字で表記されるべき指数を上付き数字で表記していなかったという明らかな誤記を正すものであると解されるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項3-1は、本件明細書等の「μ×d[H]は1×10-8以上1×10-4以下が好ましい。」(【0044】)との記載に照らして、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるということができ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3-1は、上記(ア)のとおり、明らかな誤記を正すものにすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-3)訂正前の請求項4について
ア 訂正事項4-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項4-1は、訂正前の請求項4の発明特定事項である「磁気シールド部」に関して、「前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項4-1は、本件明細書等の「本実施形態の磁気シールド部8は、・・・陽極部材5aの真空側に固定された・・・磁性部材である。」(【0035】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4-1は、上記(ア)及び(イ)にも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-4)訂正前の請求項14について
(1-4-1)本件訂正後に請求項14となる訂正
ア 訂正事項14-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項14-1は、訂正前の請求項14において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項14のうち、請求項1を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項14とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項14が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、そのうち訂正前の請求項1を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項14とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、上記訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち請求項1を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項14-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項14-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項14-2は、訂正事項14-1の訂正に伴う訂正後の請求項14の「ターゲット層」(前者)と、訂正前の請求項14の「ターゲット層」(後者)との関係が明瞭でなかったものを、「前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層」に訂正することにより、両者が同じであることを明瞭にするものである。
したがって、訂正事項14-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項14-2は、本件明細書等の「透過型ターゲット5bは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層5cと、ターゲット層5cを支持すとともに、支持した側と反対側に発生したX線を通過させる支持基板5dと、を有している。」(【0018】)との記載によれば、前者の「ターゲット層」と後者の「ターゲット層」は同じであることが本件明細書等に記載してあったといえるから、訂正事項14-2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項14-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項14-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項14-3は、訂正前の請求項14において、下記a及びbの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項14が引用する訂正前の請求項1に係る発明特定事項における「陰極」、「陽極」及び「絶縁管」に関して、「前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し」ているとの限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項14が引用する訂正前の請求項1に係る発明特定事項における「磁気シールド部」に関して、「前記磁気シールド部は前記陽極部材の真空側に固定されている」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項14-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「X腺発生管1は、陰極2、陽極5、絶縁管3により構成される外囲器を備えている。外囲器の内部は、・・・真空に排気され気密に保持されている。」(【0014】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「本実施形態の磁気シールド部8は、図1(a)、(c)に示すように、陽極部材5aの真空側において管軸中心tcを囲むように陽極部材5aの真空側に固定された、平板状であって環状の磁性部材である。」(【0035】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項14-3は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(1-4-2)本件訂正後に請求項23となる訂正
ア 訂正事項23-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項23-1は、訂正前の請求項14において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項14のうち、請求項2を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項23とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項14が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項2を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項23とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち請求項2を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項23-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項23-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項23-2は、上記で検討した訂正事項14-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-4-3)本件訂正後に請求項24となる訂正
ア 訂正事項24-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項24-1は、訂正前の請求項14において、下記aないしcの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項14のうち、請求項3を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項24とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
c 上記a、bの訂正後に存在する訂正前の請求項3に係る部分の記載を、訂正事項3-1と同じ訂正により、訂正後の請求項3と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項14が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、そのうち訂正前の請求項3を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項24とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
上記cの訂正は、訂正事項3-1と同じ訂正であるから、上記(1-2)ア(ア)で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項2を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
c 上記(ア)cについて
当該訂正に係る事項は、上訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるということができ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項24-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項24-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項24-2は、請求項14が引用する訂正前の請求項3の発明特定事項である「積μ×d[H]」について、「1×10-8以上1×10-4以下の範囲であ」ったものを、範囲を「積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲であ」ると訂正することで、上付き数字で表記されるべき指数を上付き数字で表記していなかったという明らかな誤記を正すものであると解されるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 訂正事項24-2は、本件明細書等の「μ×d[H]は1×10-8以上1×10-4以下が好ましい。」(【0044】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項24-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項24-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項24-3は、上記訂正事項24-1により訂正された訂正後の請求項1に係る発明特定事項における「前記磁気偏向部で生じる磁力線」に関して、「前記磁気偏向部により生じる前記磁力線は、前記絶縁管の管壁を介して前記電子線束に作用し前記第1ローレンツ力により前記電子線束を前記所定の方向に偏向させ、」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項24-3は、本件明細書等の「このように磁気偏向部6を配置することにより、電子ビームEBに対してローレンツ力による軌道偏向作用を効果的に働かせることが可能となる。即ち、磁気偏向部6は、図1(b)に記載の管軸中心tc近傍に形成される電子ビームEBに対してローレンツ力を作用させるように配置される。」(【0026】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項24-3は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項24-4
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項24-4は、上記で検討した訂正事項14-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-4-4)本件訂正後に請求項25となる訂正
ア 訂正事項25-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項25-1は、訂正前の請求項14において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項14のうち、請求項4を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項25とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項14が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項4を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項25とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項4を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項25-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項25-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項25-2は、上記で検討した訂正事項4-1と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項25-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項25-3は、上記で検討した訂正事項14-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-4-5)本件訂正後に請求項26となる訂正
ア 訂正事項26-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項26-1は、訂正前の請求項14において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項14のうち、請求項8を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項26とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項14が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項8を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項26とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち請求項8を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項26-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項26-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項26-2は、上記で検討した訂正事項14-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-5)訂正前の請求項15について
(1-5-1)本件訂正後に請求項15となる訂正
ア 訂正事項15-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項15-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項1を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項15とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項1を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項15とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項1を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項15-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項15-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項15-2は、請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項15に係る発明特定事項における「電子銃」が「電子放出部」と「静電レンズ電極」とを有していることに関して、「電子銃」は「前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し」た上で、当該「前記管状部材の内部において」「電子放出部」と「静電レンズ電極」とを有しているとの限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正事項15-1の訂正に伴う訂正後の請求項15の冒頭の「電子線束」及び「静電レンズ電極」(前者)と、訂正前の請求項15の「電子線束」及び「静電レンズ電極」(後者)との関係が明瞭でなかったものを、「前記」の文言を付加することにより、両者が同じであることを明瞭にする。
したがって、訂正事項15-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、本件明細書等の「電子銃2bは、導電性を有し陰極部材2aに接続される管状部材2eと、管状部材2eの内部において、電子放出部2c、静電レンズ電極2dを備えている。」(【0015】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、上記aに示した本件明細書等の「静電レンズ電極2dは、電子放出部2cから放出された電子を所定の電子線束に集束させターゲット層5cに照射するように、ビームプロファイルを規定するために電子放出部2cと透過型ターゲット5bとの間に設けられた中間電極である。」(【0017】)との記載によれば、前者の「電子線束」及び「静電レンズ電極」と後者の「電子線束」及び「静電レンズ電極」は同じであることが本件明細書等に記載してあったといえるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項15-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(1-5-2)本件訂正後に請求項27となる訂正
ア 訂正事項27-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項27-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項2を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項27とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項2を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項27とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項2を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項27-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項27-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項27-2は、上記で検討した訂正事項14-3に係る事項と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項27-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項27-3は、上記で検討した訂正事項15-2に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-5-3)本件訂正後に請求項28となる訂正
ア 訂正事項28-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項28-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項3を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項28とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、そのうち訂正前の請求項3を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項28とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項3を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項28-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項28-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項28-2は、請求項15が引用する訂正前の請求項3の発明特定事項である「積μ×d[H]」について、「1×10-8以上1×10-4以下の範囲であ」ったものを、範囲を「積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲であ」ると限定することで、上付き数字で表記されるべき指数を上付き数字で表記していなかったという明らかな誤記を正すとともに、特許請求の範囲を減縮するものであると解されるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするとともに、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項28-2は、本件明細書等の「μ×d[H]は1×10-8以上1×10-4以下が好ましい。一方、磁気シールド効果を高くすると、電子ビームEBに対する磁力線6mも低減し、電子ビームの偏向量が小さくなるため、より好ましいμ×d[H]の範囲は1×10-7以上1×10-5以下となる。」(【0044】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項28-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項28-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項28-3は、上記訂正事項28-1により訂正された訂正後の請求項1に係る発明特定事項における「電子銃」に関して、「前記陰極部材に接続される管状部材と、前記管状部材の内部において、前記陰極部材から前記陽極に向かう管軸方向において、前記電子放出部と前記静電レンズ電極とがこの順に配置され」ているとの限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項28-3は、本件明細書等の「電子銃2bは、導電性を有し陰極部材2aに接続される管状部材2eと、管状部材2eの内部において、電子放出部2c、静電レンズ電極2dを備えている。電子放出部2c、静電レンズ電極2dは、管状部材2eの内部において、管軸方向に沿って陰極部材2aから陽極5に向かって順に配置されている。」(【0015】)との記載、及び、図1(a)から管状部材2eの内部において、陰極部材2aから陽極5に向かう管軸方向において、電子放出部2cと静電レンズ電極2dとがこの順に配置されていることが見てとれることに基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項28-3は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項28-4
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項28-4は、上記で検討した訂正事項15-2に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-5-4)本件訂正後に請求項29となる訂正
ア 訂正事項29-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項29-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項4を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項29とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項4を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項29とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項4を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項29-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項29-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項29-2は、上記で検討した訂正事項4-1と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項29-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項29-3は、上記で検討した訂正事項15-2に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-5-5)本件訂正後に請求項30となる訂正
ア 訂正事項30-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項30-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項8を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項30とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、そのうち訂正前の請求項8を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項30とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち 請求項8を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項30-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項30-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項30-2は、上記で検討した訂正事項28-3に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項30-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項30-3は、上記で検討した訂正事項15-2に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-5-6)本件訂正後に請求項31となる訂正
ア 訂正事項31-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項31-1は、訂正前の請求項15において、下記a及びbの訂正を行うものであるといえる。
a 訂正前の請求項15のうち、請求項14を引用するものを独立形式に改め、訂正後の請求項31とする。
b 上記aの訂正後に存在する訂正前の請求項1に係る部分の記載を、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正により、訂正後の請求項1と同じ記載に訂正する。
上記aの訂正は、訂正前の請求項15が、直接又は間接的に引用する請求項の組合せを多数含むところ、 そのうち訂正前の請求項14を引用するものについて独立形式に改めて訂正後の請求項31とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることと、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記bの訂正は、訂正事項1-1ないし1-4と同じ訂正であるから、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とするものである。
(イ)新規事項の追加の有無
a 上記(ア)aについて
当該訂正に係る事項は、上記(ア)のとおり、直接又は間接的に引用する請求項の多数の組合せのうち請求項14を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、この訂正により新たな技術的事項が導入されることはなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該訂正に係る事項は、訂正事項1-1ないし1-4で検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項31-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項31-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項31-2は、請求項15において、下記aないしcの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項15が引用する訂正前の請求項1に係る発明特定事項における「陰極」、「陽極」及び「絶縁管」に関して、「前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し」ているとの限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項15が引用する訂正前の請求項1に係る発明特定事項における「磁気シールド部」に関して、「前記磁気シールド部は前記陽極部材の真空側に固定されている」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
c 訂正前の請求項15が引用する訂正前の請求項1に係る発明特定事項における「電子銃」及び「陰極部材」に関して、「直接接触して同電位であり」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項31-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)a及びbに係る事項は、訂正事項14-3と同じ訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)cに係る事項は、本件明細書等の「電子銃2bは、導電性を有し陰極部材2aに接続される管状部材2e・・・を備えている。・・・電子銃2bは、管状部材2eにより陰極部材2aに固定されている。陰極部材2aは、・・・電子銃2bを陰極電位を規定するための導電性・・・を備えた材料が適用される。」(【0015】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項31-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項31-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項31-3は、上記で検討した訂正事項15-2に係る事項と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合し、さらには、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(1-6)訂正前の請求項18について
ア 訂正事項18-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項18-1は、請求項18において、下記aないしcの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項18の冒頭の「電子銃」を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項18の冒頭の「電子銃と、電子銃」が、前者の「電子銃」と後者の「電子銃」との関係が明瞭でなかったものを、「電子銃と、前記電子銃」に訂正することにより、両者が同じであることを明瞭にする。
c 訂正前に「陰極部材」とあったものを、「前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項18-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)aに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)aに係る事項と同じ訂正であり、上記(ア)bに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)bに係る事項と同じ訂正であり、さらには、上記(ア)cに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)cに係る事項と同じ訂正であるから、いずれも、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項27-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項18-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項18-2は、上記で検討した訂正事項1-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項18-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項18-3は、上記で検討した訂正事項1-3と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
エ 訂正事項18-4
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項18-4は、上記で訂正事項1-4と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
オ 訂正事項18-5
(ア)訂正の目的について
訂正事項18-5は、請求項18において、「前記シールド部」の前に「シールド部」がなく、また、「磁気シールド部」との関係が明瞭でなかったものを、「前記磁気シールド部」に訂正することにより、両者が同じであることを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項18-5は、本件明細書等の「X線発生管11は、第4の実施形態のX線発生管1が磁気シールド部8を備えない代わりに、収納容器102の一部に磁気シールド部8が固定されている点が、第4の実施形態と相違する。」(段落【0052】)の記載によれば、X線発生管とともに収納容器に収納されるものが「磁気シールド部」であることが本件明細書等に記載してあったといえるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項18-5は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
カ 訂正事項18-6
(ア)訂正の目的について
訂正事項18-6は、請求項18において、下記a及びbの訂正を行うものである。
a 「磁気シールド部」が「固定されている」場所が、訂正前は「前記収納容器」であればよかったものを、「前記陽極部材」と「前記収納容器」に同時に固定されるものに限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 請求項18の発明特定事項である「陽極」について、「前記収納容器を介してアースに接地されている」と限定する構成を付加することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項18-6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
a 上記(ア)aについて
当該事項は、本件明細書等の「X線発生管11は、第4の実施形態のX線発生管1が磁気シールド部8を備えない代わりに、収納容器102の一部に磁気シールド部8が固定されている点が、第4の実施形態と相違する。」(段落【0052】)の記載、及び、図8から磁気シールド部8は、陽極部材5aと収納容器102に固定され、陽極5は前記収納容器102を介してアース105に接地されていることが見てとれることに基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
b 上記(ア)bについて
当該事項は、本件明細書等の「陽極5は収納容器102を介してアース105に接地されている。」(段落【0051】)の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項18-6は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(1-7)訂正前の請求項21について
ア 訂正事項21-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項21-1は、請求項21において、下記aないしcの訂正を行うものである。
a 訂正前の請求項21の冒頭の「電子銃」を、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
b 訂正前の請求項21の冒頭の「電子銃と、電子銃」が、前者の「電子銃」と後者の「電子銃」との関係が明瞭でなかったものを、「電子銃と、前記電子銃」に訂正することにより、両者が同じであることを明瞭にする。
c 訂正前に「陰極部材」とあったものを、「前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材」に限定することで、特許請求の範囲を減縮する。
したがって、訂正事項21-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記(ア)aに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)aに係る事項と同じ訂正であり、上記(ア)bに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)bに係る事項と同じ訂正であり、さらには、上記(ア)cに係る事項は、訂正事項1-1のうち(ア)cに係る事項と同じ訂正であるから、いずれも、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
イ 訂正事項21-2
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項21-2は、上記で検討した訂正事項1-2と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明と、を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
ウ 訂正事項21-3
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項21-3は、上記で検討した訂正事項1-3と同じ訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
エ 訂正事項21-4
・訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項21-4は、上記で検討した訂正事項1-4と同様の訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとともに、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するとともに、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
オ 訂正事項21-5
(ア)訂正の目的について
訂正事項21-5は、訂正後の請求項21に係る発明特定事項における「積μ×d[H]」について、「1×10-8以上1×10-4以下の範囲であ」ったものを、範囲を「積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲であ」ると限定することで、上付き数字で表記されるべき指数を上付き数字で表記していなかったという明らかな誤記を正すとともに、特許請求の範囲を減縮するものであると解されるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするとともに、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項21-5は、本件明細書等の「μ×d[H]は1×10-8以上1×10-4以下が好ましい。一方、磁気シールド効果を高くすると、電子ビームEBに対する磁力線6mも低減し、電子ビームの偏向量が小さくなるため、より好ましいμ×d[H]の範囲は1×10-7以上1×10-5以下となる。」(【0044】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2-5は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(1-8)訂正前の請求項22について
ア 訂正事項22-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項22-1は、請求項22の発明特定事項である「陽極部材」及び「磁気シールド部」に関して、「陽極部材」は「平板状である」こと、及び、「磁気シールド部」は「環状」であるとともに「平板状である」との限定を付加することで、特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)新規事項の有無
訂正事項22-1は、本件明細書等の「本実施形態の磁気シールド部8は、図1(a)、(c)に示すように、陽極部材5aの真空側において管軸中心tcを囲むように陽極部材5aの真空側に固定された、平板状であって環状の磁性部材である。」(【0035】)との記載に基づいて導き出される構成であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項22-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2)小括
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号、第3項及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、訂正後の請求項1ないし31は、特許異議の申立てがなされた請求項であるといえるから、当該各請求項についての訂正には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。
4 訂正の適否についての判断の小括
以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たすものである。そして、本件訂正は、上記1(2)のとおり、一群の請求項である訂正後の請求項〔1-17、23-31〕、〔18-20〕、〔21、22〕について請求されたものであるが、訂正後の請求項23、24、25、26、27、28、29、30及び31のそれぞれについては、別の訂正単位とする求めがなされている。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕、〔18-20〕、〔21、22〕、23、24、25、26、27、28、29、30、31について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正後の請求項1ないし31に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」ないし「本件発明31」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備えることを特徴とするX線発生管。【請求項2】前記磁気シールド部は、管軸方向から見たときに、管径方向において前記磁気偏向部と重なる部分をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のX線発生管。続きを表示(全103行)【請求項3】前記磁気シールド部の透磁率μ[H/m]と、管軸方向における厚さd[m]を与えたとき、積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のX線発生管。【請求項4】前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項5】前記磁気シールド部は、鉄、コバルト、ニッケルから少なくともいずれか1が選択された磁性金属、磁性金属の珪素鋼、磁性金属の炭素鋼、磁性ステンレス、フェライト、パーマロイのいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項6】前記磁気偏向部は、フェライト磁石、アルニコ磁石(Al・Ni・Co)、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、および、電磁石のいずれかを少なくとも備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項7】前記磁気偏向部は、管周方向に所定のピッチで複数配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項8】前記絶縁管の管外であって、管軸方向において前記陰極と前記陽極との間に、前記磁気偏向部を支持する偏向部支持体をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項9】前記偏向部支持体は、前記磁気偏向部が配置される部分を複数、有していることを特徴とする請求項8に記載のX線発生管。【請求項10】前記偏向部支持体は、前記絶縁管の管軸中心に対して同軸に回転されるように配置されていることを特徴とする請求項8または9に記載のX線発生管。【請求項11】前記偏向部支持体は、0.99以上1.01以下の範囲の比透磁率を有していることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項12】前記偏向部支持体は、常磁性または反磁性を呈する材料であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項13】前記偏向部支持体は、モリブデン、タングステン、非磁性のステンレス、銅、銀の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載のX線発生管。【請求項14】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備え、前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し、前記磁気シールド部は前記陽極部材の真空側に固定されていることを特徴とするX線発生管。【請求項15】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記電子銃は、前記陰極部材に接続される導電性の管状部材を有し、前記管状部材の内部において、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。【請求項16】請求項1乃至15のいずれか1項に記載のX線発生管と、前記陽極と前記陰極に電圧を印加する駆動回路と、前記X線発生管と前記駆動回路とを収納する収納容器と、を備えることを特徴とするX線発生装置。【請求項17】請求項16に記載のX線発生装置と、前記X線発生装置から放出され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線発生装置と前記X線検出器とを、連携して制御する制御ユニットと、を備えることを特徴とするX線撮影システム。【請求項18】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、を備えたX線発生管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記陰極が有する前記電子放出部と前記陽極が有する前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、管軸方向において前記磁気偏向部より前記陽極の側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部と、前記X線発生管と前記磁気シールド部とを収納する収納容器と、を備え、前記磁気シールド部は、前記陽極部材と前記収納容器に固定され、前記陽極は前記収納容器を介してアースに接地されていることを特徴とするX線発生装置。【請求項19】前記磁気偏向部は、前記収納容器に固定されていることを特徴とする請求項18に記載のX線発生装置。【請求項20】請求項18または19に記載のX線発生装置と、前記X線発生装置から放出され、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線発生装置と前記X線検出器とを、連携して制御する制御ユニットと、を備えることを特徴とするX線撮影システム。【請求項21】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より前記絶縁管の管軸中心に近い側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部の透磁率μ[H/m]と、前記管軸方向における厚さd[m]を与えたとき、積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲であることを特徴とするX線発生管。【請求項22】請求項21に記載のX線発生管と、前記X線発生管を収納する収納容器と、を備え、前記陽極部材と環状の前記磁気シールド部は平板状であることを特徴とするX線発生装置。【請求項23】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部は、管軸方向から見たときに、管径方向において前記磁気偏向部と重なる部分をさらに有し、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えていることを特徴とするX線発生管。【請求項24】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部の透磁率μ[H/m]と、管軸方向における厚さd[m]を与えたとき、積μ×d[H]は、1×10-8以上1×10-4以下の範囲であり、前記磁気偏向部により生じる前記磁力線は、前記絶縁管の管壁を介して前記電子線束に作用し前記第1ローレンツ力により前記電子線束を前記所定の方向に偏向させ、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えていることを特徴とするX線発生管。【請求項25】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上であり、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えていることを特徴とするX線発生管。【請求項26】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記絶縁管の管外であって、管軸方向において前記陰極と前記陽極との間に、前記磁気偏向部を支持する偏向部支持体をさらに備え、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生する前記ターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備えていることを特徴とするX線発生管。【請求項27】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部は、管軸方向から見たときに、管径方向において前記磁気偏向部と重なる部分をさらに有し、前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより外囲器を構成し、前記外囲器は真空に保持され、前記電子銃は、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。【請求項28】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部の透磁率μ[H/m]と、管軸方向における厚さd[m]を与えたとき、積μ×d[H]は、1×10-7以上1×10-5以下の範囲であり、前記電子銃は、前記陰極部材に接続される管状部材と、前記管状部材の内部において、前記陰極部材から前記陽極に向かう管軸方向において、前記電子放出部と前記静電レンズ電極とがこの順に配置され、前記電子銃は、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。【請求項29】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記磁気シールド部は前記陽極部材に固定されており、前記磁気シールド部の比透磁率は、10以上であり、管軸方向において、前記電子放出部、前記静電レンズ電極、前記透過型ターゲットは、この順に配置され、前記電子銃は、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。【請求項30】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記絶縁管の管外であって、管軸方向において前記陰極と前記陽極との間に、前記磁気偏向部を支持する偏向部支持体をさらに備える、前記電子銃は、前記陰極部材に接続される管状部材と、前記管状部材の内部において、前記陰極部材から前記陽極に向かう管軸方向において、前記電子放出部と前記静電レンズ電極とがこの順に配置され、前記電子銃は、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。【請求項31】電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極と、電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲットと前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した陽極と、管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管と、前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部と、を備え、前記陽極は、管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部を備え、前記透過型ターゲットは、電子の照射によりX線を発生するターゲット層と、前記ターゲット層を支持し前記ターゲット層で発生したX線を通過させる支持基板と、を備え、前記陰極と、前記陽極と、前記絶縁管とにより、真空に保持される外囲器を構成し、前記磁気シールド部は前記陽極部材の真空側に固定され、前記電子銃と前記陰極部材とが直接接触して同電位であり、前記電子銃は、前記電子放出部と、前記電子放出部から放出された電子を所定の前記電子線束に集束する前記静電レンズ電極と、を有していることを特徴とするX線発生管。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
先の訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に係る特許(以下、それぞれ、「先の訂正後の請求項1」ないし「先の訂正の請求項22」という。)に対して、当審が令和3年8月20日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
1 [理由1](明確性)
先の訂正後の請求項1ないし22に係る発明についての特許は、特許請求の範囲の記載のうち、「前記電子銃の陰極電位を規定する陰極部材」との記載、及び、「磁気偏向部」が「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置」するとの記載が明確ではない点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 [理由2](進歩性)
先の訂正後の請求項1ないし22に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、先の訂正後の請求項1ないし22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第5 甲号証及び甲1号証に記載された発明
1 甲各号証
申立人が提出した甲各号証は次のとおりである。
2 甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明
(1)甲第1号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第1号証には下記各記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(ア)「【請求項1】電子ビームを照射する陰極と、この電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットと、このターゲットに照射される電子ビームの照射位置を移動させる磁石部と続きを表示(全12行)を具備したことを特徴とするX線装置。・・・【請求項4】磁石部は、電子ビームを挟んで対向した複数対の電磁石と、これら電磁石で形成される合成磁界を変化させる制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のX線装置。【請求項5】ターゲットと陰極との間に複数の集束電極を具備し、磁石部は電子ビームの軸方向の位置が最もターゲット側の集束電極と陰極との間に位置することを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のX線装置。」
(イ)「【0005】そこで、たとえばターゲットの寿命を延ばす構造として、真空容器内に電子ビームを照射する陰極およびこの陰極からの電子ビームを照射してX線を発生するターゲットを配設し、このターゲットを電子ビームの軸方向に対して直交する方向に移動可能に配設し、このターゲットを真空容器の外部の磁石により移動させ、電子ビームが照射されるターゲットの位置を異ならせ、ターゲットの電子ビームが照射されるある位置が寿命になった場合に、磁石によりターゲットを移動させて初期の性能を回復するものが知られている(たとえば特許文献1参照)。【0006】【特許文献1】続きを表示(全13行)特開平3-22331号公報(第2頁-第3頁、第1図)【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のように真空容器内のターゲットを移動させる場合、ターゲット自体を移動可能にするとともに、ターゲットを移動させるための磁石を配設するなど構造が複雑になる問題を有している。【0008】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、簡単な構成で長寿命化を図ったX線装置を提供することを目的とする。【0009】【課題を解決するための手段】本発明は、電子ビームを照射する陰極と、この電子ビームが照射されてX線を発生するターゲットと、このターゲットに照射される電子ビームの照射位置を移動させる磁石部とを具備したもので、電子ビームを照射してX線を発生させていた照射位置が寿命になっても、ターゲットの他の位置に磁石部により電子ビームの照射位置を移動させることができるため、照射位置をターゲットの寿命になってない位置に変えることにより初期の性能を得ることができ、長寿命化を図れる。」
(ウ)「【0011】図1に示すように、1はX線装置としての真空管であるマイクロフォーカスX線発生装置の透過型のマイクロフォーカスX線発生管球で、このマイクロフォーカスX線発生管球1は、真空気密を保つ真空容器としての真空外囲器2を有し、この真空外囲器2は円筒状の筒状部3を有し、この筒状部3には真空排気用の排気管を取り付ける排気管取付部4が形成されている。なお、この排気管は真空排気後封止切りされる。・・・【0014】そして、この支持体15の先端には環状板の保持体16が取り付けられ、この保持体16の内部には陰極保持体17が取り付けられ、この陰極保持体17に陰極18が装着されている。この陰極18は図示しないフィラメントを内蔵し、このフィラメントを加熱して熱電子となり電子ビームを放出する。また、陰極18はフィラメント21を有し、このフィラメント21にはガラス容器11の閉塞部13を気密状態で貫通するフィラメント端子22が接続され、このフィラメント端子22からフィラメント21を介して、外部からの電力が陰極18に供給される。【0015】また、保持体16には、一体的に形成された電子レンズとなる静電型の集束電極体23が取り付けられ、この集束電極体23および陰極18により微小焦点電子銃が形成されている。・・・【0016】一方、筒状部3の先端側には、先端に向けて径小となる蓋体31が取り付けられ、この蓋体31の先端には取付部32が形成され、この取付部32には開口33が形成され、取付部32にはターゲット保持体34が保持され、このターゲット保持体34は開口35を有し、このターゲット保持体34に窓となる透過型のターゲット36が真空外囲器2の一部として気密に取り付けられている。」
(エ)図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000001.jpg]
イ 上記アによれば、甲第1号証には下記発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(参考までに、甲1発明の認定に関連する段落番号等を括弧内に付してある。)。
「電子ビームを照射する陰極と、この電子ビームが照射されてX線を発生する透過型のターゲットと、このターゲットに照射される電子ビームの照射位置を移動させる磁石部とを具備し(【請求項1】、【0016】)、前記磁石部は、電子ビームを挟んで対向した複数対の電磁石と、これら電磁石で形成される合成磁界を変化させる制御手段とを備える(【請求項4】)、真空管である(【0011】)X線装置。」
(2)甲第2号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第2号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、X線ターゲットに電子線を集束させて照射することにより発生するX線を試料に照射するX線管の対物レンズや集束レンズ等の磁界型電子レンズによって発生する磁界を遮蔽するためのX線管用磁気シールド板に関する。」
(イ)「【0008】電子レンズによる励磁をかなり強くする必要があるので、図7に示されるように電子レンズによる軸上磁界Bzは、X線ターゲット6を超えて試料7の位置まで0.1~0.3テスラ、或いはこれ以上の強さで食み出すようになる。このような状態でも試料7が非磁性体であれば、試料7がレンズの磁界を乱すことはなく、電子レンズの性能に影響が出ることはないので問題はない。しかし、試料7が磁性体である場合は、試料7によって電子レンズの磁界が乱され電子レンズの性能を悪化させる。更に、試料7が強い磁界によって引っ張られ、試料7が破壊されたり、X線ターゲット6を損傷したりする恐れがある。このため、安定した観察が困難である。・・・【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0012】上述の特許文献1乃至3は、いずれも電子顕微鏡において電子レンズによる磁界を遮蔽して試料を観察するようにしたものであるが、弱い磁界(例えば0.001~0.01テスラ)を高度に遮蔽しようとするものであり、対象とする磁界の強さは電子レンズの性能には全く関係しない小さなレベルである。また、X線ターゲットを備えたX線顕微装置のようなX線管において電子レンズによる磁界を遮蔽して試料を観察するものではない。【0013】本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、X線管において、試料の位置に漏洩するX線管の磁界型電子レンズによる磁界をレンズ性能に殆ど影響することなく遮蔽すると共に、試料が非磁性体である場合には磁界型電子レンズによる磁界を遮蔽せずに、試料を透過するX線を観察したときに最大限の高倍率が得られるようにすることのできるX線管用磁気シールド板を提供することにある。・・・【0019】本発明に係るX線管用磁気シールド板によれば、X線を発生するX線ターゲットと、X線ターゲットからのX線が照射される試料との間に、X線管から発生する磁界を遮蔽するために磁性体から成るX線管用磁気シールド板を設置する。・・・」
(ウ)「【0021】図1は、本発明に係るX線管用磁気シールド板9を設置したX線顕微装置20の構成例を示す断面構成図である。図1に示されるように、X線管用磁気シールド板9は、X線Rxを発生するX線ターゲット6とX線Rxが照射される試料7との間に着脱可能に設置され、X線Rxを通すための孔9Aを有している。また、X線管用磁気シールド板9は円盤であり、X線顕微装置20の磁界型電子レンズである集束レンズ2及び対物レンズ3から発生する磁界を試料7の位置で遮蔽するために、鉄、パーマロイ等の磁性体でできている。X線管用磁気シールド板9が設置されていることを除いてX線顕微装置20の構成は図5に示されるX線顕微装置21と同じであるが、本発明に係るX線管用磁気シールド板9を設けることが可能なX線管の構成は、図1に示されるX線顕微装置20の構成に限定されるものではない。【0022】図1に示されるX線顕微装置20において、試料7の位置に集束レンズ2及び対物レンズ3のX線顕微装置20の磁界型電子レンズによって発生する磁界は、X線管用磁気シールド板9によって遮蔽される。また、X線ターゲット6から発生したX線は、X線管用磁気シールド板9の孔9Aを通って試料7に照射されるため、X線管用磁気シールド板9の孔9Aによって試料7に照射されるX線Rxを制限することもできる。これを利用して、蛍光X線分析を行うときに試料7にX線が照射される分析領域を限定することができる。・・・【0026】図2の実線で示される曲線はX線管用磁気シールド板9を設置した場合の軸上磁界Bzの分布例であり、破線で示される曲線はX線管用磁気シールド板9を設置しなかった場合の軸上磁界Bzの分布例である。図2に示されるように、X線管用磁気シールド板9を設置することによって、X線ターゲット6の下側で磁界が小さくなっている。一方、電子線Reを集束させるためのX線ターゲット6より上側の磁界には殆ど影響がなく、レンズ性能には殆ど影響はない。したがって、X線管用磁気シールド板9を設置しても、X線ターゲット6に電子線Reの電子線プローブを集束させるために作用する磁界にはほとんど影響を与えず、X線ターゲット6より外側に漏洩する磁界を遮蔽するだけである。そのため、X線管用磁気シールド板9は、電子線Reの電子線プローブに対する対物レンズ性能である収差、焦点距離にはほとんど影響しない。また、X線管用磁気シールド板9の位置の調節に関しては高度な機械的精度を必要としない。よって、本発明に係るX線管用磁気シールド板9による漏洩磁界の遮蔽方法は、試料7の透過X線像によって内部構造を高分解能で観察するのに適している。【0027】試料7が磁性体の場合、X線管用磁気シールド板9を設置することによって、試料7による磁界擾乱によってX線顕微装置20の電子レンズの性能の低下、磁力による試料7の移動及び試料7の破壊を防止できる。また、X線ターゲット6は、薄いベリリウム板材にタングステン等の重金属を蒸着させたものであり、真空シールも兼ねている。このX線ターゲット6に、磁力によって試料7が引っ張られて試料7がX線ターゲット6に衝突すると、X線ターゲット6は容易に破壊されてしまう恐れがある。X線管用磁気シールド板9を設置することは、磁性体の試料7がX線ターゲット6に衝突しないようにするための、プロテクタとしての効果もある。【0028】試料7が磁性体の場合に、試料7の透過X線をできる限り高倍率で観察するためには、漏洩磁界の大きさが許容値以下になる位置で、できる限り試料7をX線ターゲット6に近づける必要がある。また、X線管用磁気シールド板9の位置の調節に関しては高度な機械的精度を必要としないので、X線管用磁気シールド板9は着脱可能になっている。そのため、試料7が非磁性体の場合にはX線管用磁気シールド板9を取り外すことによって、試料7をX線ターゲット6にできる限り近づけることが可能となって、試料7の透過X線を最大限の高倍率で観察することができる。」
イ 図1、5は次のものである。
[図:0001388327000002.jpg]
[図:0001388327000003.jpg]
(3)甲第3号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第3号証には下記各記載がある(仮訳は異議申立書に基づいて、当審が付した。)。
(ア)「This invention relates generally to apparatus and a method for generating and directing high intensity x-rays. More particularly, it relates to apparatus for producing and directing such high intensity x-rays to an object of interest from any of a plurality of preselected points spaced from that object.」(1欄8~13行)
(仮訳:本発明は、一般に、高い強度のX線を生成及び方向付けるために装置並びに方法に関する。より詳細には、本発明は、このような高い強度のX線を生成し、対象物から離れた複数の事前選択された点のいずれかから対象物に向けるための装置に関する。)
(イ)「In this embodiment of the invention the basic components comprise an electron gun 2 for producing a high voltage, high current electron beam 3, an electromagnetic preliminary focussing coil 4, a multipole winding assembly 6 for shaping the beam and correcting for aberrations therein, a pair of electromagnetic field dipole assemblies 8 and 10 for deflecting the electron beam off the longitudinal axis, a pair of electromagnetic focussing coils 12 and 14 for focussing the electron beam, target 16 for receiving the electron beam and producing x-rays therefrom, and an evacuated housing 18 containing the foregoing elements with the electron gun adjacent one end and the target adjacent the opposite end.」(5欄46~59行)
(仮訳:本発明のこの実施形態では、基本構成要素は、高電圧、高電流の電子ビーム3を生成するための電子銃2、電子予備収束コイル4、ビームを形成し、その中の収差を補正するための多重極巻線アセンブリ6、電子ビームを縦軸からそらすための一対の電磁界双極子アセンブリ8及び10、電子ビームを集束するための一対の電磁収束コイル12及び14、電子ビームを受け取り、そこからX線を生成するためのターゲット16、並びに、一端に隣接する電子銃及び反対側の端に隣接するターゲットを有する前述の要素を含む真空ハウジング18を備える。)
(ウ)「The electron gun 2 and the drift space between the electron gun and the dipole assemblies 8 and 10 are provided with Helmholtz compensating coils 24 and 26, and the bell-shaped housing 18 is provided with magnetic shielding 28 to avoid undesirable beam steering effects due to local magnetic anomalies and the earth's stray magnetic field.」(7欄44~50行)
(仮訳:電子銃2および電子銃と双極子アセンブリ8および10との間のドリフト空間にはヘルムホルツ補償コイル24および26が設けられ、ベル型ハウジング18には、局所的な磁気異常と地球の漂遊磁場による望ましくないビームステアリング効果を回避するために、磁気シールド28が設けられる。)
イ FIG.1は次のものである。
【FIG.1】
[図:0001388327000004.jpg]
(4)甲第4号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第4号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、垂直方向に走査線を形成するカラー陰極線管及びカラー陰極線管装置に関し、特にカラー陰極線管内に備えられる内部磁気シールドに関する。」
(イ)「【0003】このようなカラー陰極線管装置では、電子ビームが地磁気等の外部磁界の影響を受けると、本来の軌道から外れ正規の位置にランディングしない、いわゆるミスランディングを起こし色ずれを招き易い。そこで、従来では、通常、ファンネル内に、略中空角錐台形をした内部磁気シールドを電子ビームの通過領域を取り囲むように配置して、外部磁界の影響をできるだけ排除しようとしている。しかしながら、内部磁気シールドは、水平方向および垂直方向から進入しようとする外部磁界を効果的に遮蔽できるが、管軸方向から進入する外部磁界(以下、「管軸磁界」という。)については完全に遮蔽することができない。電子銃から蛍光面に至る電子ビームの軌道を確保するため、管軸方向前後を開口せざるをえないからである。」
(ウ)「【0024】偏向ヨーク6は、ファンネル10の外周に配設されており、電子銃20から射出される3本の電子ビーム18を上下・左右に偏向し、ラスタースキャン方式で蛍光体スクリーン22を走査させるものである。ここでは、セルフコンバーゼンス構成とするために、水平偏向磁界をバレル型に、垂直偏向磁界をピンクッション型にするものが用いられる。 そして、支持フレーム24の電子銃20側には、ファンネル内10内において電子ビーム18の通過領域を取り囲み、地磁気等の外部磁界を遮蔽するための磁性体からなる内部磁気シールド28が配置されている。」
イ 図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000005.jpg]
(5)甲第5号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第5号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、例えば医療機器、非破壊検査装置等に適用できる放射線発生管及びそれを備えた放射線発生装置、放射線撮影システムに関する。」
(イ)「【0014】図1(a)は、本発明の放射線発生管の一実施形態の構成を説明する図である。図中、1は放射線発生管、2は陽極、3は絶縁管、4は陰極、5は導電性容器、6は配線引き出し用絶縁部材、7は誘電体、8は電子銃、9はターゲットである。【0015】本発明の放射線発生管1は、基本的に、管状の絶縁管3の一端に陽極2を、他端に陰極4を備えている。また、本例の電子銃8は、電子放出源11を備え、該電子放出源11には配線16によって電圧が供給される。また、本例の電子銃8は電子放出源11から放出される電子線15を引き出すための引き出し電極12と、電子線15を集束させるレンズ電極13を備えている。引き出し電極12とレンズ電極13はそれぞれ、配線17,18によって電位を制御される。配線16,17,18は陰極4の厚さ方向に貫通して配置された絶縁部材6を貫通して放射線発生管1の外に引き出されている。続きを表示(全18行)【0016】電子銃8から放出された電子線15は、不図示の高圧電源より陰極4及び陽極2との間に印加された電圧によって加速され、陽極2に取り付けられたターゲット9に衝突する。ターゲット9は放射線透過材料からなる支持基板9aの内側に電子線の照射によって放射線を放出する材料からなるターゲット層9bを備えており、電子線15は該ターゲット層9bに入射して放射線が放出される。本例では、ターゲット9は遮蔽部材10に取り付けられている。【0017】本発明に用いられる陽極2、陰極4の材料としては、コバール、鉄鋼、合金鋼、SUS材、又はAu、Ag、Cu、Ti、Mn、Mo、Ni等の金属、それらの合金等が挙げられる。絶縁管3の材料としては、Al2O3(アルミナ)、Si3N4、SiC、AlN、ZrO3等の所謂セラミック材料が挙げられるが、絶縁性を有する材料であれば適用される。【0018】ターゲット9の支持基板9aは、放射線の透過性が高く、熱伝導が良く、真空封止に耐える必要がある。例えば、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミ、グラファイト、ベリリウム等を用いることができる。より好ましくは、放射線の透過率がアルミニウムよりも小さく熱伝導率がタングステンよりも大きい、ダイヤモンド、窒化アルミ、窒化ケイ素が望ましい。支持基板9aの厚さは、上記の機能を満足すれば良く、材料によって異なるが、0.3mm以上2mm以下が好ましい。特に、ダイヤモンドは、他の材料に比べて熱伝導性が極めて大きく、放射線の透過性も高く、真空を保持しやすいためより優れている。【0019】ターゲット層9bには、通常、原子番号26以上の金属材料を用いることができる。より好適には、熱伝導率が大きく融点が高いものほど良い。具体的には、タングステン、モリブデン、クロム、銅、コバルト、鉄、ロジウム、レニウム等の金属材料、又はこれらの合金材料を好適に用いることができる。ターゲット層9bの厚さは、加速電圧によってターゲット層9bへの電子線15の浸入深さ、即ち放射線の発生領域が異なるため、最適な値は異なるが、1μm乃至15μmである。支持基板9aへのターゲット層9bの一体化は、スパッタ、蒸着、スクリーン印刷、ジェットプリンティング等の手段により行なうことができる。また、別の方法としては、別途、圧延や研磨により所定の厚さのターゲット層9bを作製し、支持基板9aに高温高圧下で拡散接合することも可能である。【0020】遮蔽部材10は、ターゲット9の支持基板9aの外周を取り囲み、放射線放出側(放射線発生管1の外側)に突出する部材である。即ち、遮蔽部材9は両端が開口した通路を有しており、該通路の電子銃8側の端部もしくは途中にターゲット9を設置する。遮蔽部材10の通路は、ターゲット9よりも電子銃8側においては、電子線15をターゲット層9bの電子線照射領域に導くための通路となり、反対側は放射線を放射線発生管1の外部に導くための通路となる。【0021】遮蔽部材10は、放射線を遮蔽する部材であり、ターゲット層9bから放出される放射線のうち不要な放射線は遮蔽部材10により遮蔽され、必要な放射線のみが先述した通路を通って、放射線発生管1の外部に放出されることになる。遮蔽部材10は、また、放熱体としての機能を有する。電子線15がターゲット9に照射されることで発生した熱は遮蔽部材10を通じて外部へ放熱される。遮蔽部材10を構成する材料は、放射線の遮蔽部材としての観点からは放射線の吸収率が高いものが好ましく、放熱体としての観点からは熱伝導率の高いものが好ましい。例えば、タンタル、モリブデン等の金属材料を用いることができる。また、これらの放射線吸収率の高い材料と更に熱伝導率の高い材料(例えば銅やアルミ)との組み合わせで構成することも可能である。【0022】本発明の特徴は、放射線発生管1の内部に、該放射線発生管1の内部空間に露出する開口5aを少なくとも一つ有する導電性容器5を備え、該導電性容器内に誘電体7を備えていることにある。」
(ウ)「【0032】さらに、別の実施形態を図2に示す。図2(a)は、電子放出源11に電圧を供給する配線16を放射線発生管1の外に引き出すために陰極4を貫通して配置させた配線用絶縁部材6を、異物を捕獲するための誘電体として用いた例である。係る実施形態においては、導電性容器5が電子銃8を囲んで構成されている。また、電子銃8の構成部材であるレンズ電極13が導電性容器5の一部を兼ねている。【0033】尚、図2(a)において、電子銃8を構成する電子放出源11、引き出し電極12、レンズ電極13はそれぞれ不図示の絶縁性支持部材により導電性容器5或いは配線用絶縁部材6等に固定されている。よって、係る絶縁性支持部材を異物を捕獲するための誘電体として用いることも可能である。【0034】また、図2(b)は、電子放出源11と引き出し電極12とが絶縁性の電子放出源支持部材22で互いに接合され、引き出し電極12とレンズ電極13とが電極間支持部材21で互いに接合されている形態である。係る形態においては、電子銃8を囲んで導電性容器5を構成し、レンズ電極13が導電性容器5の一部を兼ねており、電子放出源支持部材22及び電極間支持部材21の少なくとも一方を異物を捕獲するための誘電体として用いることができる。また、図2(b)の構成では、導電性容器5を貫通して配線用絶縁部材23を配置し、該配線用絶縁部材23を貫通して配線16,17,18を導電性容器5外へ引き出しており、係る配線用絶縁部材23を異物を捕獲するための誘電体として用いることもできる。尚、係る構成の場合、開口率を計算するための導電性容器5の外表面積には、係る絶縁部材23の表面も含まれるものとする。【0035】図1、図2に示した本発明の放射線発生管1は、ターゲット9の支持基板9aが放射線を透過する透過型ターゲットを用いた透過型放射線発生管であるが、本発明は、支持基板9aが反射型である反射型放射線発生管にも適用することができる。」
(エ)図2は次のものである。
[図:0001388327000006.jpg]
イ 上記アの記載を踏まえると、甲第5号証には、陰極4と陽極2と管軸方向における一端と他端がそれぞれ前記陰極4と前記陽極2に接続される絶縁管3を備えた放射線発生管1において、陰極4に配線用絶縁部材6を配置し、前記配線用絶縁部材6に電子銃8が固定されていること、及び、陽極2にタンタル、モリブデン等の金属材料を用いた遮蔽部材10が取り付けられ、前記遮蔽部材10に透過型ターゲット9が取り付けられている構成が記載されていると認められる。
(6)甲第6号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第6号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、放射線発生管、および、それを備えた放射線発生装置に関するものである。」
(イ)「【0012】放射線発生管1は、陰極19と、陰極19に接続された電子放出源3と、陽極20と、陽極20に接続されたターゲット8と、誘電性の管状部材21とを備え、陰極19と陽極20とは、互いに離れた位置で管状部材21が備える二つの開口にそれぞれ接続されている。陰極19と陽極20と管状部材21とからなり内部空間12を規定している容器6を、本発明において外囲器6と称する。外囲器6の内部空間12に配置された電子放出源3が備える電子放出部2から放出された電子が、電子線5としてターゲット8に照射可能な程度に、外囲器6の内部空間12は減圧(真空排気)されている。内部空間12の真空度は、使用する電子放出源3の種類や、駆動条件等を考慮して適宜選択する事が可能であるが、例えば、1E-4~1E-8 Paの真空度とすることが可能である。Spindt型、MIM等の冷陰極型電子放出源を使用した場合には、1E-6 Pa以下の真空度とする事が、電子放出特性の安定性の点でより好ましい。真空度の維持の為に、不図示のゲッタを内部空間12、若しくは、内部空間12に連通している不図示の補助スペースに設置する事も可能である。【0013】電子放出源3としては、外囲器6の外部より放出電子量を制御可能な電子放出源であれば良く、前述の冷陰極型電子放出源の他、熱陰極型電子放出源を適宜適用する事が可能である。大電流の電子線5を安定に取り出せる点で、含浸型カソードの熱陰極電子放出源を好適に使用することができる。続きを表示(全18行)【0014】電子放出源3は、陰極19に設けた電流導入端子4を介して、電子放出量および電子放出のオン・オフタイミングを制御可能なように、外囲器6の外部に設置した駆動回路14に電気的に接続される。駆動回路14は、これに限らず、外囲器6の内部に設置することも可能である。【0015】本発明における陰極19は、電子放出源3の周辺の静電場の空間的な非対称性を緩和するとともに局所的な電界集中が生じないように、外囲器6に対する電子放出源3の取り付け部周辺の静電場を規定している。電子放出源3は、電子放出部2を有し、電子放出部2は、放出電子電流を供給する2極の電極をエミッタ電極対として備える(不図示)。電子ビーム収束、非点収差補正等の電子光学的な機能を付加する場合は、さらに数極の補助電極(不図示)を備える。前述のエミッタ電極対と補助電極とからなる電極群は、陰極19側から、放射線発生管1の外部の駆動回路14と、電流導入端子4を介して接続する事が可能である。前述の静電場の非対称性緩和の観点からは、陰極19は、陽極20の電極電位に対して充分低い定電位に規定されることが好まく、電子放出部2に電位を供給するエミッタ電極対のいずれか一方と同電位に規定するか、もしくは、エミッタ電極対のそれぞれの電位の中間電位により電位規定することも可能である。【0016】陽極20は、不図示の電圧源によりターゲット8を電位規定し、ターゲット8に流れる陽極電流を、前記電圧源を介して接地端子16に通電する機能を有する。さらに、陽極20は、陰極19と同様にして、放射線発生管1のターゲット8周辺の静電場を規定する機能を有する電極である。従って、陰極19および陽極20は、電子放出源3およびターゲット8のそれぞれの近傍の静電場において局所的に電界集中が生じないようにするため、及び、陰極19と陽極20間の電界分布を平行電場になるべく近づけるため、前記陰極19および前記陽極20のそれぞれは、所定の面積の範囲を電位規定することが好ましく、誘電性の絶縁管21の開口断面積に一致させることがより好ましい。陽極20は、放射線15の照射範囲を規定可能な不図示の遮蔽体を別途備えることも可能であり、陽極20とターゲット8とは、前記遮蔽体を介して接続することも可能である。【0017】陰極19と陽極20の材料は、導電性、気密性、強度、及び管状部材21との線膨張係数整合によって決めることが可能であり、コバールやタングステン等を適用することが可能である。【0018】ターゲット8は、電子放出部2から放出された電子の照射を受けることが可能なように、放射線発生管1の内部に配置される。陰極19と陽極20間の電場の対称性の観点からは、ターゲット8が電子放出部2と対向して配置される事が好ましい。【0019】ターゲット8には、電子放出部2に対して10kV~200kVの正電位が印加されており、電子放出部2から放出された電子が電子線5として、10keV~200keVの入射エネルギーを有してターゲット8に入射し、ターゲット8で放射線を発生する。従って、陰極19と陽極20間の電界分布の非対称性を抑制する観点から、陽極20には陰極19に対して、電子放出部2に対するターゲット8の電位と同程度の正電位が印加されることが好ましい。ターゲット8は、電子の衝突によって放射線を発生する重元素を含有したターゲット材を備えている。ターゲット8は、ターゲット材のみからなる自立型の形態とすることが可能であり、自立型の形態としては、ダイアフラム状の金属薄膜が陽極20に接続されている形態を含む。またターゲット8は、放射線を透過するま材料中にターゲット材料を分散した状態で含有した分散型形態とすることや、ターゲット材料を含む金属薄膜を放射線を透過する材料からなる基板上に積層させた積層型の形態とすることも可能である。放射線を透過する基板としては、ベリリウムやダイアモンドのような低原子番号材料からなる基板をターゲット8は、ターゲット層と前記ターゲット層を支持する支持基板とからなる積層形態とすることも可能であり、支持された形態として、基板上に数μmの厚さの金属薄膜として支持されている形態が、放射線の減衰を抑制する点、ターゲット8の熱変形によるデフォーカスを抑制する点で好ましい。この金属薄膜は、放射線量/入射電子量の変換効率の観点から、原子番号26以上の重金属材料を用いることが好ましく、具体的には、タングステン、モリブデン、クロム、銅、コバルト、鉄、ロジウム、レニウム等、あるいはこれらの合金材料とすることが可能である。ターゲット8のターゲット材料として金属薄膜を支持基板上に形成する場合は、支持基板との密着性が確保されれば、特定の製法には限定されず、スパッタ、CVD、蒸着等の各種成膜方法が利用可能である。【0020】管状部材21は誘電性を有し、陰極19と陽極20のそれぞれを接続する少なくとも2つの開口を備えている。管状部材21は、2つの開口が外囲器6の内部で、電子放出部2から放出された電子がターゲット8に照射されるように、連通している。すなわち、図1のように陰極19と陽極20が互いに露出して対向している形態だけでなく、図9(D)のように、管状部材21の内部空間が仕切りにより隔てられていて、電子放出源3が仕切を貫通しているような形態も含まれる。また、図9(A)および、図9(A)に示す放射線発生管1のH-H’面における断面図9(B)に示すように、陽極20(陰極19でもよい)が、管状部材21の側面に接続された形態としても良い。さらには、図9(C)に示すように、陰極19と陽極20が互いに対向せずに、非平行な位置関係とすることも可能である。管状部材21は、図1のようにその断面が円管状の形態に限らず、その断面の外周形状や内周形状が多角形であってもよい。管状部材21の材料は、電気絶縁性、気密性、低ガス放出性、耐熱性、および、陰極19や陽極20との線膨張係数整合の観点で選ばれるが、ボロンナイトライド、アルミナ等の絶縁性セラミック、ホウケイ酸ガラス等の絶縁性の無機ガラスが適用可能である。」
(ウ)図2は次のものである。
【図2】
[図:0001388327000007.jpg]
イ 上記アの記載を踏まえると、甲第6号証には、陰極19と陽極20と管軸方向における一端と他端がそれぞれ前記陰極19と前記陽極20に接続される絶縁性の管状部材21を備えた放射線発生管1において、前記陰極19には電流導入端子4が設けられ、前記電流導入端子4は電子銃3に接続されるとともに、前記陽極20がターゲット8を電位規定する構成が記載されていると認められる。
(7)甲第7号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第7号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、X線発生管に用いられる透過型ターゲットを備えた陽極に関し、さらには、前記陽極を備えたX線発生管、前記X線発生管を備えたX線発生装置、前記X線発生装置を備えたX線撮影システムに関する。」
(イ)「【0016】<X線発生管>図1(a)は本発明のX線発生管の一実施形態の構成を模式的に示す図である。図1(a)に示されるように、本発明のX線発生管102は、管状の絶縁管3と、前記絶縁管3の一端に取り付けられた陰極2と、他端に取り付けられた陽極1と、前記絶縁管内に配置され陰極2に接続された電子放出源5とを備えている。【0017】続きを表示(全15行)電子放出源5は電子放出部5aを備えており、陽極1は、前記電子放出部5aに対向する位置にターゲット10を備えている。本発明においてターゲット10は電子線11の入射によりX線を発生するターゲット層9と、前記ターゲット層9で発生したX線を透過する透過基板7とを備えた透過型ターゲットである。陽極1は、さらに、管状で且つ管内周においてターゲット10の透過基板7を支持する管状陽極部材6を備え、本例においては、前記管状陽極部材6は陽極板4を介して絶縁管3の他端に取り付けられている。管状陽極部材6と透過基板7とは接合材8を介して互いに接合されている。【0018】係る構成において、陰極2と陽極1との間に管電圧が印加されると、電子放出部5aから電子線11が放出され、前記電子線11がターゲット層9に入射し、X線12を発生する。【0019】尚、電子線11に含まれる電子は、電子放出源5とターゲット10との間の電界により、X線12を発生させるのに必要な入射エネルギーに加速される。係る加速電界は、後述する駆動回路から出力される管電圧Vaにより、陰極電位を電子放出源5に、陽極電位をターゲット10に、それぞれ電位規定することによりX線発生管102内の密閉空間に形成される。【0020】本発明のX線発生管102は、陰極電位に規定される電子放出源5と、陽極電位に規定されるターゲット10との間の電気的な絶縁を図る目的で設けられる絶縁管3によって胴部が構成されている。絶縁管3は、ガラス材料やセラミクス材料等の絶縁性材料で構成され、電子放出源5とターゲット層9との間隔を規定する機能を持たせることも可能である。【0021】X線発生管102内は、電子放出源5を機能させるために減圧されている。X線発生管102の内部の真空度は、10-8Pa以上10-4Pa以下であることが好ましく、電子放出源5の寿命の観点からは、10-8Pa以上10-6Pa以下であることがより一層好ましい。X線発生管102は、真空容器として、かかる真空度を維持するための気密性と耐大気圧強度とを備えることが好ましい。X線発生管102内部の減圧は、不図示の排気管を介して不図示の真空ポンプで真空排気した後、係る排気管を封止する方法をとることが可能である。また、X線発生管102の内部には、真空度の維持を目的として、不図示のゲッターを配置しても良い。【0022】電子放出源5は、ターゲット10が備えるターゲット層9に対向して設けられている。電子放出源5としては、例えばタングステンフィラメント、含浸型カソードのような熱陰極や、カーボンナノチューブ等の冷陰極を用いることができる。電子放出源5は、電子線11のビーム径及び電子電流密度、オンオフ制御を目的として、不図示のグリッド電極、静電レンズ電極を備えることが可能である。」
(ウ)図1(a)は次のものである。
【図1(a)】
[図:0001388327000008.jpg]
イ 上記アの段落【0016】の記載を踏まえて、上記ア(ウ)の図1(a)を見ると、絶縁管3の管軸方向における一端と他端とがそれぞれ陰極2と陽極1に接続される点が見てとれる。
(8)甲第8号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第8号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、X線発生装置に適用できる、透過型ターゲットを用いたX線管に関するものである。」
(イ)「【0011】図1を参照して、本発明の一実施形態にかかる透過型のX線管の構成を説明する。図1は、X線管の中心軸を通る平面でX線管を切断した場合の軸方向断面図である。X線管1は、陰極2、陽極3、および、中空の絶縁性の管(以下絶縁管)4を有している。陰極2および陽極3が絶縁管4の軸方向の両端縁にそれぞれ接合されることで、真空管が形成されている。真空管の内部には、陰極2から陽極3の側に軸方向に突出するように電子銃構造体5が設けられている。電子銃構造体5は主に電子源6、グリッド電極7、集束電極8からなる。続きを表示(全21行)【0012】電子源6は電子を放出する。電子源6には電子放出素子として冷陰極、熱陰極のいずれも用いることができるが、X線管に適用する電子源としては、大電流を安定に取り出せる含浸型カソード(熱陰極)を好適に使用することができる。含浸型カソードは、電子放出部近傍のヒーターに通電することにより、カソードの温度を上昇させ、電子を放出する。【0013】グリッド電極7は、電子源6から放出された電子を真空中に引き出すために所定の電圧が印加される電極である。グリッド電極7は、電子源6と所定の距離を持って配置される。また、グリッド電極7は、電子の引き出し効率やカソード近傍の排気コンダクタンスを考慮して、形状、孔径、開口率等が決定される。例えば線径50μm程度のタングステンメッシュを好適に使用することができる。【0014】集束電極8は、グリッド電極7によって引き出された電子線の広がり(=ビーム径)を制御するために配置される電極である。通常、集束電極8には数百~数kV程度の電圧が印加されてビーム径の調節を行う。電子源6近傍の構造や印加電圧によっては、集束電極8を省略して、電界によるレンズ効果のみによって電子線を集束することも可能である。【0015】陰極2は絶縁部材9を有する。絶縁部材9には電子源駆動用端子10とグリッド電極用端子11が、陰極2とは電気的に絶縁されるように固定されている。両端子10、11はX線管1内の電子源6やグリッド電極7からX線管1の外部へと引き出されている。一方、集束電極8は直接陰極2に固定され、陰極2と同電位に規定されている。ただし、集束電極8が陰極2と絶縁され、陰極2とは別の電位を与えられるようにしても構わない。電子源6から放出された電子が効率よくターゲット12に照射されるような電圧を適宜選ぶとよい。【0016】陽極3は、所定のエネルギーを有する電子線が衝突することにより、X線を発生させるターゲット12を有する。この陽極3には数十k~百kV程度の電圧が印加される。電子源6により発生し、グリッド電極7により引き出された電子線は、集束電極8により陽極3上のターゲット12へと向けられ、陽極3に印加された電圧により加速されて、ターゲット12との衝突によりX線を発生する。X線は、ターゲット12の電子線衝突面の反対側の面方向にも放出され、X線管1の外部に取り出される。【0017】ターゲット12は、X線を透過する基板の電子線照射面に、電子衝突によってX線を発生する金属膜が付された構造を有する。金属膜には、通常、原子番号26以上の材料を用いることができる。具体的には、タングステン、モリブデン、クロム、銅、コバルト、鉄、ロジウム、レニウム等、あるいはこれらの合金材料を用いた薄膜を好適に用いることができ、スパッタリング等の物理性膜によって緻密な膜構造を取るように形成される。金属膜の膜厚は、加速電圧によって電子線浸入深さすなわちX線発生領域が異なるため、最適な値が異なるが、百kV程度の加速電圧を用いる場合は通常、数μm~十μm程度の厚さである。一方、基板は、放射線の透過性が高く、熱伝導が良く、真空封止に耐える必要があり、ダイヤモンド、窒素ケイ素、炭化ケイ素、炭化アルミ、窒化アルミ、グラファイト、ベリリウム、などを好ましく用いることができる。より好ましくは、放射線の透過率が高く、熱伝導率がタングステンよりも大きい、ダイヤモンド、窒化アルミ、窒化ケイ素が望ましい。基板の厚さは、上記の機能を満足すればよく、材料によって異なるが、0.1mm以上2mm以下が好ましい。特に、ダイヤモンドは、他の材料に比べて、熱伝導性が極めて大きく、放射線の透過性も高く、真空を保持しやすいため、より優れている。ターゲット12と陽極3の接合は、熱的接合の他、真空の維持を考慮し、ろう付や溶接が好適である。【0018】絶縁管4は、ガラスやセラミックなどの絶縁材料で形成される。絶縁管4の両側の端縁(開口端)には、陰極2と陽極3がそれぞれろう付や溶接によって接合される。X線管1内の真空度を良くするために加熱排気を行う場合には、陰極2、陽極3、絶縁管4、および絶縁部材9は熱膨張率が近い材料を用いるのが良い。例えば、陰極2および陽極3にはコバールやタングステン、絶縁管4および絶縁部材9にはホウケイ酸ガラスやアルミナを用いると良い。【0019】絶縁管4は、中空の管状となっており真空管を形成できれば、その形状には制約は多くない。小型化や作り易さの点で円筒が好ましいが、絶縁管4の断面形状は円に限らず、楕円や多角形のような形状でもよいし、絶縁管4の断面積(内部空間の大きさ)や断面形状が軸方向で変化しても構わない。」
(ウ)図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000009.jpg]
イ 上記アの段落【0011】の記載を踏まえて、上記ア(ウ)の図1を見ると、絶縁管4の管軸方向における一端と他端とがそれぞれ陰極2と陽極3に接続される点が見てとれる。
(9)甲第9号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第9号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、医療機器及び産業機器分野における非破壊X線撮影等に適用できる放射線発生装置及びそれを用いた放射線撮影装置に関する。」
(イ)「【0017】放射線管10は、その外枠である筒状の真空容器9と、その内部に配置された電子放出源5、ターゲット部6、窓部材13とを備えている。【0018】真空容器9は、放射線管10の内部を真空に保つためのもので、その筒状の胴部は、ガラスやセラミクスの絶縁性材料が用いられる。また、筒状の胴部の両端にそれぞれ設けられたカソード部11及びアノード部12は、導電性の合金(例えばコバール)からなる。真空容器9内の真空度は10-4~10-8Pa程度であれば良い。真空容器9の内部には真空度を保つために、不図示のゲッターを配置しても良い。また、真空容器9は、アノード部12に円筒形の開口部を有しており、その開口部には、円筒形の窓部材13が接合されている。窓部材13には、ターゲット部6で発生した放射線(本実施形態では、X線)の一部を通過させる円筒形の放射線通過孔(以下、単に通過孔)21が形成されている。通過孔21の内壁に円筒形のターゲット部6が接合されることにより真空容器9が密閉されている。【0019】電子放出源5は、真空容器9の内部に、ターゲット部6に対向して配置されている。電子放出源5にはタングステンフィラメントや、含浸型カソードのような熱陰極、又はカーボンナノチューブ等の冷陰極を用いることができる。電子放出源5には、引出し電極が配置され、引出し電極によって形成される電界によって放出された電子は、レンズ電極で収束され、ターゲット6に入射し放射線が発生する。このとき、電子放出源5と電気的に接続されたカソード部11と、ターゲット14と電気的に接続されたアノード部12との間には、放射線の使用用途によって異なるものの、概ね40kV~120kV程度の加速電圧が印加される。・・・【0021】ターゲット部6は、ターゲット14と基板である第二の窓15とからなる。ターゲット14は、第二の窓15の電子放出源側の面に配置されている。ターゲット14を構成する材料は、融点が高く、放射線発生効率の高いものが好ましい。例えばタングステン、タンタル、モリブデン等を用いることができる。発生した放射線がターゲット14を透過する際に生じる吸収を軽減するため、ターゲット14の厚みは1μm~20μm程度が適当である。【0022】第二の窓15は、ターゲット14を支持し、ターゲット14で発生する放射線の少なくとも一部を透過するものであり、窓部材13(図1参照)の放射線通過孔21内の第一の窓2と対向する位置に配置されている。第二の窓15を構成する材料は、ターゲット14を支持できる強度を有し、ターゲット14で発生した放射線の吸収が少なく、かつターゲット14で発生した熱をすばやく放熱できるよう熱伝導率の高いものが好ましい。例えばダイヤモンド、窒化シリコン、窒化アルミニウム等を用いることができる。第二の窓15についての上記要求事項を満たすため、第二の窓15の厚みは0.1mm~10mm程度が適当である。」
(ウ)図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000010.jpg]
イ 上記アの段落【0018】の記載を踏まえて、上記ア(ウ)の図1を見ると、絶縁性材料が用いられる真空容器9の管軸方向における一端と他端とがそれぞれカソード部11とアノード部12に接続される点が見てとれる。
(10)甲第10号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第10号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、放射線発生ユニット及びこの放射線発生ユニットを備えた放射線撮影システムに関する。」
(イ)「【0019】図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10は、陰極11と、陽極12と、真空容器13と、を有する。【0020】図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する陰極11は、電子放出源14を備えている。電子放出源14としては、タングステンフィラメント、含浸型カソードのような熱陰極又はカーボンナノチューブ等の冷陰極を用いることができる。尚、図1の放射線発生ユニット1において、電子放出源14の近傍には、陰極11側から見て引出し電極15とレンズ電極16とがこの順で設けられている。ここで引出し電極15は、電子放出源14から放出される電子の方向及び速度を制御するために設けられる部材であって、具体的には、一対の電極間から電界を発生させることによって電子放出源14から放出される電子の方向及び速度を制御する。またレンズ電極16は、放出された電子を一定の領域に収束させるために設けられる。レンズ電極16によって収束された電子は、陽極12側に設けられるターゲット17に到達する。尚、ターゲット17の機能については、後述する。【0021】図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する陽極12は、ターゲット17と、ターゲット17を真空容器13内で支持するための支持基板18と、ターゲット17及び支持基板18の周囲を取り囲む放射線遮蔽部材19と、を有する。【0022】ターゲット17は、支持基板18の電子放出源14側の面に設置されている。そして電子放出源14から放出される電子がターゲット17と衝突した際にターゲット17から放射線が発生する。ターゲット17にて発生した放射線は、支持基板18を透過した後、放射線発生管10の外部に放出される。」
(ウ)「【0027】図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する真空容器13は、蓋部材である第一金属部材13a及び第二金属部材13bと、第一金属部材13aと第二金属部材13bとの間に配置される筒状部材13cとから構成される。【0028】ここで第一金属部材13aは、陰極11側に設けられる蓋部材であり、陰極11と電気的に接続しているが、本発明においては、第一金属部材13aそのものを陰極としてもよい。また第二金属部材13bは、陽極12側に設けられる蓋部材であり、陽極12と電気的に接続しているが、本発明においては、第二金属部材13bそのものを陽極としてもよい。【0029】一方、筒状部材13cは絶縁性の部材であるが、陰極11と陽極12との間に印加される高い電圧に対して十分な耐圧性を有し、かつ機械的強度に優れた材料から構成されていることが好ましい。筒状部材13cの構成材料として、好ましくは、酸化アルミニウム等のセラミックスである。【0030】二種類の蓋部材(13a、13b)と筒状部材13cとからなる真空容器13により、放射線発生管10の内部は真空に保たれている。放射線発生管10の内部の真空度は、10-4Pa乃至10-8Pa程度である。ここで放射線発生管10には、上述した真空度を実現し維持するために排気管(不図示)を設けてもよい。つまり排気管を設けると、例えば、この排気管を通じて放射線発生管10の内部を排気した後、この排気管の一部を封止することで、放射線発生管10の内部を真空にすることができる。また放射線発生管10の内部には、上述した真空度を維持するためにゲッター(不図示)を適宜配置してもよい。」
(エ)図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000011.jpg]
イ 上記アの段落【0027】ないし【0029】の記載を踏まえて、上記ア(エ)の図1を見ると、酸化アルミニウム等のセラミックスである真空容器13の管軸方向における一端と他端とがそれぞれ陰極である第1金属部材13aと陽極である第2金属部材13bに接続される点が見てとれる。
(11)甲第11号証
ア 本件特許に係る出願前に公開された甲第11号証には下記各記載がある。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、医療用や工業用のX線発生装置に適用できるX線管に関し、特に透過型ターゲットを用いた透過型X線管に関する。」
(イ)「【0015】X線管1は、筒形の絶縁管4の胴部の一端に陰極2、他端に陽極3を備えて内部が密閉された外囲器と、外囲器内に配置された電子銃と、陽極に配置されたターゲットとからなる真空管である。【0016】陰極2は、陰極2から突出した形状を有する電子銃に接続されている。電子銃は電子源5、グリッド電極6、集束電極7、電子源駆動用端子9、グリッド電極用端子10及び集束電極用端子11からなり、電子銃の外面と絶縁管4の内壁との間には隙間が設けられている。本実施形態における『電子銃の外面』とは、絶縁管4の内壁に最も近い電極及び端子の外面、即ち集束電極7及び集束電極用端子11における絶縁管4の内壁側の面のことである。『絶縁管4の内壁』とは、絶縁管4の胴部の内壁のことである。続きを表示(全18行)【0017】また、陰極2は絶縁部材8を有する。絶縁部材8には電子源駆動用端子9とグリッド電極用端子10が、陰極2とは電気的に絶縁されるように固定されている。電子源駆動用端子9、グリッド電極用端子10はX線管1内の電子源5、グリッド電極6から陰極側に向かって延びておりX線管1の外部へと引き出されている。集束電極7は陰極2に固定された集束電極用端子11に接続され、陰極2と同電位に規定されている。但し、集束電極7も陰極2と絶縁して別の電位を与えられるようにしても良い。【0018】電子源5は、電子を放出する電極であり、陰極2から突出して延びる電子源駆動用端子9の先端に、ターゲット12に対向させて配置されている。電子源5は電子源駆動用端子9と一体として形成しても良い。電子源5には電子放出素子として冷陰極、熱陰極のいずれも用いることができるが、本実施形態のX線管1に適用する電子源5としては、大電流を安定して取り出せる含浸型カソード(熱陰極)を好適に用いることができる。含浸型カソードは、電子放出部(エミッタ)近傍のヒーターに通電することによりカソードの温度を上昇させて電子を放出する。【0019】グリッド電極6は、電子源5から放出された電子を真空中に引き出すために所定の電圧が印加される電極であり、陰極2から突出して延びるグリッド電極用端子10の先端に、電子源5から所定の距離だけ離しターゲット12に対向させて配置されている。グリッド電極6はグリッド電極用端子10と一体として形成しても良い。グリッド電極6の形状、孔径、開口率等は、電子線の引き出し効率やカソード近傍の排気コンダクタンスを考慮して決定される。通常、線径50μm程度のタングステンメッシュを好適に用いることができる。【0020】集束電極7は、グリッド電極6によって引き出された電子線の広がり(ビーム径)を制御するための電極であり、陰極2から突出して延びる集束電極用端子11の先端に、ターゲット12に対向させて配置されている。集束電極7は集束電極用端子11と一体として形成しても良い。通常、集束電極7には数百V~数kV程度の電圧が印加されてビーム径の調節を行う。電子源5近傍の構造や印加電圧によっては集束電極7を省略し、電界によるレンズ効果のみによって電子線を集束することも可能である。【0021】陽極3は、ターゲット12に電気的に接続されている。陽極3とターゲット12の接合は、熱的接合の他、真空の保持を考慮してろう附けや溶接が好適である。通常、陽極3には数十kV~百kV程度の電圧が印加される。電子源5により発生しグリッド電極6により引き出された所定のエネルギーを有する電子線は、集束電極7により陽極3上のターゲット12へと向けられ、陽極3に印加された電圧により加速されてターゲット12に衝突する。電子線の衝突によりターゲット12からX線が発生し全方向に放射される。全方向に放射されたX線のうちターゲット12を透過したX線がX線管1の外部に取り出される。【0022】ターゲット12は、金属膜と金属膜を支持する基板からなる構成、又は金属膜のみからなる構成とすることができる。金属膜と金属膜を支持する基板からなる構成とする場合には、X線を透過する基板の電子線照射面(電子銃側の面)に、電子線の衝突によりX線を発生する金属膜を配置する。金属膜は通常、原子番号26以上の金属材料を用いることができる。具体的にはタングステン、モリブデン、クロム、銅、コバルト、鉄、ロジウム、レニウム等、又はこれらの合金材料からなる薄膜を好適に用いることができ、スパッタリング等の物理成膜によって緻密な膜構造をとるように形成される。金属膜の膜厚は、加速電圧によって電子線浸入深さ即ちX線発生領域が異なるため最適な値が異なるが、百kV程度の加速電圧を印加する場合には通常、数μm~十μm程度の厚さである。一方、基板はX線の透過率が高く、熱伝導率が高く、真空封止に耐える必要があり、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化アルミ、窒化アルミ、グラファイト、ベリリウム等を好適に用いることができる。X線の透過率がアルミニウムよりも低く熱伝導率がタングステンよりも高い、ダイヤモンド、窒化アルミ、窒化ケイ素を用いるのがより好ましい。特にダイヤモンドは、他の材料に比べて熱伝導率が極めて高く、X線の透過率も高く、真空を保持しやすいため、より優れている。基板の厚さは、上記の機能を満足すれば良く、材料によって異なるが、0.1mm以上2mm以下が好ましい。【0023】絶縁管4は、ガラスやセラミック等の絶縁部材で形成された絶縁性を有する管であり、筒形の形状を有する。形状に制約は多くないが、小型化や作り易さの観点からすると円筒形が好ましい。角筒形としても良い。絶縁管4の胴部の両端はそれぞれ陰極2、陽極3とろう附けや溶接によって接合される。X線管1内の真空度を良くするために加熱排気を行う場合には、陰極2、陽極3、絶縁管4及び絶縁部材8は熱膨張率が近い材料を用いるのが良い。例えば陰極2及び陽極3にはコバールやタングステン、絶縁管4及び絶縁部材8にはホウケイ酸ガラスやアルミナを用いると良い。」
(ウ)図1は次のものである。
【図1】
[図:0001388327000012.jpg]
イ 上記アの段落【0015】の記載を踏まえて、上記(ウ)の図1を見ると、絶縁管3の管軸方向における一端と他端とがそれぞれ陰極2と陽極2に接続される点が見てとれる。
第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断
1 理由1(明確性要件違反)について
(1)当審が取消理由(決定の予告)において通知した特許法第36条第6項第2号についての取消理由は、下記のとおりである。
(1-1)「電子銃の陰極電位を規定する陰極部材」について
先の訂正後の請求項1には、「前記電子銃の陰極電位を規定する陰極部材」という記載がある(以下「発明特定事項A」という。)。
しかしながら、先の訂正後の請求項1において「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する」と特定されるとおり、当該「電子銃」は複数の部材からなるが、これらの複数の部材が同電位であることは特定されていない。したがって、「電子銃の陰極電位」が電子銃を構成する複数の部材のうちどの部材の電位なのかが問題となるが、先の訂正後の請求項1の記載では、それがどの部材であるのか不明であり、よって、「電子銃の陰極電位」も不明である。
同様の記載を含む先の訂正後の請求項18及び21に係る発明も明確ではない。
(1-2)「磁気偏向部」が「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置」することについて
先の訂正後の請求項1には、「磁気偏向部」が「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置」するという記載がある(以下「発明特定事項B」という。)。
しかしながら、発明特定事項Bは、管軸方向からみて、磁気偏向部が絶縁管の管径方向において絶縁管(の径)の外側に位置すれば足りると解することができるし、また、管軸方向と垂直の方向からみて、磁気偏向部が、絶縁管の管径方向において絶縁管(の径)の外側に位置し、かつ、磁気偏向部の管軸方向に占める範囲が、絶縁管の管軸方向に占める範囲に含まれるように位置することを要するとも解することができる
このように、発明特定事項Bを含む先の訂正後の請求項1に係る発明は多義的に解釈できるため、記載が明確ではない。
同様の記載を含む先の訂正後の請求項18及び21に係る発明も明確ではない。
というものであった。
(2)しかしながら、上記(1-1)の点については、上記第3のとおり、訂正後の請求項1では「前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材」と訂正されることにより、「前記電子銃の陰極電位を規定する」の記載が削除されたため、解消した。
また、上記(1-2)の点については、上記第3のとおり、訂正後の請求項1において、「磁気偏向部」は「前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置」すると訂正されたことにより、「管軸方向と垂直の方向からみて、磁気偏向部が、絶縁管の管径方向において絶縁管(の径)の外側に位置し、かつ、磁気偏向部の管軸方向に占める範囲が、絶縁管の管軸方向に占める範囲に含まれるように位置するものであることが明確となった。
(3)以上の検討によれば、訂正後の請求項1に係る発明は明確であり、訂正後の請求項18、21も同様である。
2 理由2(甲1に記載された発明に基づく進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「電子ビームを照射する」「陰極」は、本件発明1の「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した陰極」とは、「陰極」の点で一致する。
(イ)甲1発明の「電子ビームが照射されてX線を発生する透過型のターゲット」は、本件発明1の「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲット」とは、「電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲット」の点で一致する。
(ウ)甲1発明は、陽極を備えるとは特定しないが、「電子ビームを照射する陰極と、この電子ビームが照射されてX線を発生する透過型のターゲット」「を備える、X線装置」が陽極を備えることは、技術常識に照らして明らかであるから、甲1発明は、本件発明1でいう「陽極」を備えるといえる。
(エ)甲1発明の「このターゲットに照射される電子ビームの照射位置を移動させる」「磁石部」は、本件発明1の「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる磁気偏向部」とは、「磁気偏向部」の点で一致する。
(オ)甲1発明の「真空管であるX線装置」は、本件発明1の「X線発生管」に相当する。
(カ)上記(ア)ないし(オ)での検討によれば、本件発明1と甲1発明とは、
「陰極と、電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲットと、陽極と、磁気偏向部と、備えるX線発生管。」
である点で一致するとともに、下記各点で相違する。
a 相違点1
本件発明1の陰極は、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃と、前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材と、を有した」ものであるのに対して、甲1発明の陰極は、電子ビームを照射するものであるが、「電子放出部と前記電子放出部からの電子を電子線束に集束する静電レンズ電極とを有する電子銃」及び「前記電子銃を保持し、前記電子銃と電気的に接続される導電性を有する陰極部材」を備えない点。
b 相違点2
本件発明1は、「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲット」を「陽極」が有し、かつ、当該「陽極」が「前記透過型ターゲットを保持する陽極部材と、を有した」と特定されるのに対して、甲1発明は、「電子ビームが照射されてX線を発生する透過型のターゲット」(本件発明1の「電子の照射を受けてX線を発生する」「透過型ターゲット」に相当。)と「陽極」を備えるが、当該「陽極」が当該「電子の照射を受けてX線を発生するターゲット層を有する透過型ターゲット」を有するものではなく、また、「前記透過型ターゲットを保持する陽極部材」をそもそも備えない点。
c 相違点3
本件発明1は、「管軸方向における一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極に接続される絶縁管」を備えるのに対して、甲1発明は、そうではない点。
d 相違点4
本件発明1の磁気偏向部は、「前記絶縁管の管径方向において前記絶縁管の外側に位置し、管軸方向において前記絶縁管と重なる位置であって前記電子放出部と前記ターゲット層との間に配置され、管軸中心に向かう磁力線を前記絶縁管内に侵入させて前記電子線束を所定方向に偏向する第1のローレンツ力を作用させる」のに対して、甲1発明の磁石部は、ターゲットに照射される電子ビームの照射位置を移動させるものである点。
e 相違点5
本件発明1は、「前記陽極」が、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する磁気シールド部」を備えると特定されるのに対して、甲1発明は、そもそも磁気シールド部を備えない点。
イ 判断
(ア)事案に鑑みて相違点5について検討する。
a 甲1発明において相違点5の構成に至るためには、磁気シールド部を採用した上で、この磁気シールド部を、少なくとも、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する」位置に配置した上で、さらに、それを「陽極」(上記ア(ウ)で述べたとおり、甲1発明も「陽極」を備えるといえる。)に備えるようにする必要がある。
そこで検討すると、一般に、磁界から遮蔽することが望ましい対象と磁界が発生する箇所の間に磁気シールドを設ける自体は周知技術(後記b参照)であり、また、透過型のターゲットの外側に配置した被検体が磁界の影響を受けることが好ましくないことも技術常識である(甲第2号証の【0008】等)ことから、甲1発明の磁気偏向部と当該磁気偏向部からの磁界から遮蔽することが望ましい対象である被検体との間に磁気シールドを備えることまでは当業者が容易に想到し得たことであるとしても、上記によれば、相違点5に至るためには、さらに、甲1発明の陽極に当該磁気シールド部を備えるようにする必要がある。しかしながら、磁気シールド部を陽極に設けることは当然のこととは言えないし、それが公知であったとする証拠もない。
このように、相違点5に係る構成に至るためには、甲1発明に対して、それがそもそも備えていない磁気シールド部を、上記周知技術を踏まえて採用した上に、上記技術常識を踏まえて配置し、さらに、陽極に備えさせるという公知とはいえない場所への配置を必要とすることに照らせば、当業者が相違点5に係る構成を容易に想到し得たものとは言い難い。そして、以上の判断は、上記第5、2(3)ないし(11)で認定した甲第3号証~甲第11号証の記載を踏まえても、左右されるものではない。
b 周知技術
「一般に、磁界から遮蔽することが望ましい対象と磁界が発生する箇所の間に磁気シールド部を設けること」は、根拠となる下記(a)ないし(c)の甲第2~4号証の記載に照らせば、周知の技術事項であると認められる。
(a)上記周知技術の「磁界から遮蔽することが望ましい対象」は、甲第2号証の「試料7」(【0008】)、甲第3号証の「ベル型ハウジング18」の内部(上記第5、2(3)ア(ウ))、及び、甲第4号証の「電子ビーム18の通過領域」(【0024】)がそれぞれ相当し、
(b)上記周知技術Bの「磁界が発生する箇所」は、甲第2号証の「電子レンズ」(【0008】)、甲第3号証の「局所的な磁気異常と地球の漂遊磁場」(上記第5、2(3)ア(ウ))、及び、甲第4号証の「地磁気等の外部磁界」(【0024】)がそれぞれ相当し、
(c)上記周知技術Bの「磁気シールド部」は、甲第2号証の「X線管用磁気シールド板9」(【0021】)、甲第3号証の「磁気シールド28」(上記第5、 2(3)ア(ウ))、及び、甲第4号証の「内部磁気シールド28」(【0024】)がそれぞれ相当する。
(イ)したがって、相違点1ないし4について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明及び甲第2号証に記載された事項~甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2ないし31について
本件発明2ないし本件発明31のいずれの発明も、「磁気シールド部」が「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置し、前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収し、前記対象物側から前記陽極部材に向かって管軸方向に対して斜めに侵入し、前記電子線束に作用し第2のローレンツ力を生じさせる磁力線を減衰する部分を有する」ものであり、「陽極」が「磁気シールド部を備える」ことを特定しているから、甲1発明との間に相違点5と同じ相違点を含むものである。
したがって、上記(1)イで検討した理由と同じ理由により、本件発明2ないし31も甲1発明及び甲第2号証に記載された事項~甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立人の意見について
ア 申立人は、異議申立書において、甲第1号証には、下記の発明(以下「申立書甲1発明」という。)が記載されているから、訂正前の請求項1ないし22に記載された発明は、申立書甲1発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に想到することができた発明であると主張する。
・申立書甲1発明は次のものである。
「(1a)電子銃(陰極18、集束電極体23、及び陰極保持体17)と、電子銃を保持する陰極部材(保持体16、支持体15、及び内筒支持体14)と、を有する陰極と、(1b)電子の照射を受けてX線を発生する透過型ターゲット36と、当該透過型ターゲット36を保持する陽極部材(蓋体31、保持体34、及び筒状部3)と、を有する陽極と、(1c)一端と他端とがそれぞれ前記陰極と前記陽極とに接続されるガラス容器11と、(1d)管径方向においてガラス容器11の外側に位置し、管軸方向において電子放出部(陰極18の先端)と透過型ターゲット36との間に配置される磁石42、61と、(1e)を備えるX線装置。」
イ しかしながら、以下のとおり、申立人の主張は採用できない。
本件発明1と申立書甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも相違点5と同様の相違点で相違することとなるから、上記(1)イで述べた理由と同様の理由により、本件発明1ないし31は申立書甲1発明及び甲第2号証に記載された事項~甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立の理由について
(1)特許法第36条第6項第1号
申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1~22に係る発明は、「磁気シールド部」の位置を、「管軸方向において前記磁気偏向部より前記透過型ターゲットの側に位置し、管径方向において前記磁気偏向部より内側に位置する部分を有する」とのみ特定するため、例えば、管径方向において透過型ターゲットが存在する領域の近傍に「磁気シールド部が存在しない領域」がある態様をも含むことになるが、当該態様は、「磁気偏向部が発生する磁力線」が「被検体側へ伸び」るという当該各発明の課題を解決できるとはいえないため、当該各発明の解決すべき課題を解決できると当業者が認識できる範囲を超えているというべきであるから、当該各発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないと主張している。
しかしながら、本件訂正により、本件発明1~17及び23~31は、「磁気シールド部」が「前記磁気偏向部で生じる磁力線のうち曝射の対象物側へ向かう磁力線の一部を吸収」するものと特定され、本件発明18~22も、同様の訂正がされたため、いずれも「磁気偏向部が発生する磁力線」が「被検体側へ伸び」るという課題を解決できるものに限定された。
したがって、特許異議申立書における上記主張は理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1ないし31に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし31に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700668