特許訂正審判
2020-390092
装飾品鎖状端部の留め具
- 審判番号
- 2020-390092
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2006-528955外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月08日
- 審決日
- 2021年01月06日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】有限会社 宝石のエンジェル
- 分類
- P141 .841-Y (A44C) / P141 .856-Y (A44C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4044598号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4044598号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3-4〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
平成17年 6月30日 本件国際出願(優先権主張平成16年7月14日)
平成19年11月22日 設定登録(特許第4044598号)
平成27年 3月28日 訂正審判請求(訂正2015-390027)
平成27年 4月23日 訂正認容審決(平成27年5月12日確定)
平成28年11月16日 訂正審判請求(訂正2016-390150)
平成29年 5月15日 不成立審決(平成29年6月26日確定)
平成29年 5月29日 訂正審判請求(訂正2017-390038)
平成29年 8月 4日 訂正認容審決(平成29年8月16日確定)
平成30年 2月 7日 訂正審判請求(訂正2018-390028)
平成30年 3月19日 訂正認容審決(平成30年3月29日確定)
平成31年 2月14日 訂正審判請求(訂正2019-390025)
令和 元年 5月 8日 訂正認容審決(令和元年5月19日確定)
令和 2年10月 8日 本件訂正審判請求(訂正2020-390092)
なお、以下では、訂正2015-390027号確定審決により認容された訂正を「一次訂正」、訂正2017-390038号確定審決により認容された訂正を「二次訂正」、訂正2018-390028号確定審決により認容された訂正を「三次訂正」、訂正2019-390025号確定審決により認容された訂正を「四次訂正」という。また、四次訂正による訂正後の特許請求の範囲を「本件訂正前特許請求の範囲」という。
第2 請求の趣旨及び内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、3及び4について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、本件訂正の内容は、次のとおりである。下線は訂正箇所を示す。
1.訂正事項1
本件訂正前特許請求の範囲の請求項1に
「【請求項1】装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具において、前記ホルダーが、ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、前記ホルダー受けが1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、係止部材は、円柱形状叉は円筒形状を持っていて、かつ、係止部材は、吸着部材とネック部で構成されていて、かつ、係止部材の先端側には、細径である段差のない円柱形状叉は円筒形状のネック部を介して吸着部材を固定していて、かつ、ネック部の直径は、係止状態にある鰐口クリップの一対の止め部と止め部の間以下であり、かつ、係止部材の吸着部材の直径は、係止状態にある鰐口クリップの止め部より後部の一対の顎部材間以下であり、かつ、係止部材の吸着部材の直径は、係止状態にある鰐口クリップの一対の止め部と止め部の間より大きく、かつ、係止部材の吸着部材の先端から後部までの長さは、係止状態にある鰐口クリップの中の吸着部材と止め部の間以下であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における1対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、前記係止部材の先端に他方の吸着部材を設けた装飾品鎖状端部の留め具。」
とあるのを、
「【請求項1】装飾品の片方の鎖状部の端部に設けたホルダーと他方の鎖状部の端部に設けたホルダー受けとを噛合わせて係止する方式の留め具であって、前記ホルダーとホルダー受けには、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状端部の留め具において、前記ホルダーが、ホルダー受け嵌入用の開口部を構成すると共に先端部に噛合い形状を形成した1対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、前記ホルダー受けが1対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、係止部材は、円柱形状叉は円筒形状を持っていて、かつ、係止部材は、吸着部材とネック部で構成されていて、かつ、係止部材の先端側には、細径である段差のない円柱形状叉は円筒形状のネック部を介して吸着部材を固定していて、かつ、ネック部の直径は、係止状態にある鰐口クリップの一対の止め部と止め部の間以下であり、かつ、係止部材の吸着部材の直径は、係止状態にある鰐口クリップの止め部より後部の一対の顎部材間以下であり、かつ、係止部材の吸着部材の直径は、係止状態にある鰐口クリップの一対の止め部と止め部の間より大きく、かつ、係止部材の吸着部材の先端から後部までの長さは、係止状態にある鰐口クリップの中の吸着部材と止め部の間以下であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け、前記係止部材の先端に他方の吸着部材を設けた装飾品鎖状端部の留め具。」
と訂正する。
第3 当審の判断
1.訂正の目的
訂正事項1は、一方の吸着部材を設ける箇所について、本件訂正前の「1対の顎部材間」に設けるという事項に、「1対の顎部材間の中心線上」に設けるという限定を付加するものである。
そうすると、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された発明特定事項に限定を付加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
2.新規事項
願書に添付した明細書(1次訂正に係る訂正明細書)、特許請求の範囲(4次訂正に係る訂正特許請求の範囲)又は図面(以下、「特許明細書等」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。
(1)「1対の顎部材6により構成された略円筒形の鰐口クリップ3の中心部には、支持部材8を設けている。支持部材8は、第4図に詳しく示すように中央に切欠部9を設けた細長い板状の部材であり、その後端部には前記装飾品の鎖状部2の端部を連結すると共に、先端部には円板状のN極磁石10を固定している。」(1次訂正に係る特許審決公報第9ページ第26行~第28行)
(2)「支持部材8は、上記のように、支軸5と、アーム軸12及びリンクアーム13とによって、鰐口クリップ3に対して2点支持の状態で取り付けられている。そのため、後述のように鰐口クリップ3の開口/閉口動作を行わせる際にも、支持部材8と鰐口クリップ3との相対的な空間位置関係は、先端-後端方向沿いの予定されたスライド動作を除き、不規則に変動又は揺動しない。」(1次訂正に係る特許審決公報第9ページ第37行~第40行)
記載事項(1)及び(2)によると、1対の顎部材6により構成された略円筒形の鰐口クリップ3の中心部に支持部材8が設けられ、この支持部材8の先端部にN極磁石10(一方の吸着部材)が固定されていることが把握できるとともに、支持部材8が、鰐口クリップ3に対して2点支持の状態で取り付けられているため、鰐口クリップ3が開口/閉口動作される際、支持部材8は、鰐口クリップ3に対して、先端-後端方向沿いの予定されたスライド動作を行い、不規則に変動又は揺動しないものと把握できる。そして、これらの把握できる事項、及び図1~図5の図示内容を考慮すると、支持部材8の先端部に固定されたN極磁石10(一方の吸着部材)は、鰐口クリップ3が開口状態又は閉口状態にあるとき、1対の顎部材6間の中心部に設けられており、また、鰐口クリップ3が開口/閉口動作される際には、1対の顎部材6間の中心部を通る、先端-後端方向沿いの線上をスライド動作するものと解される。すると、N極磁石10(一方の吸着部材)は、鰐口クリップ3が開口状態又は閉口状態にあるとき、若しくは鰐口クリップ3が開口/閉口動作される際のいずれの状態にあるときにも、1対の顎部材6間の中心部を通る線上に設けられているといえるから、訂正事項1に係る「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」たという事項は、特許明細書等に開示されているといえる。
よって、訂正事項1は、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3.特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1は、前記1.のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4.独立特許要件
訂正後の請求項1、請求項3及び請求項4に係る発明(以下、これらの発明をまとめて「本件訂正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下に検討する。
(1)特許法第36条第6項第2号(明確性)について
本件特許の明細書及び図面には、本件訂正発明の実施例として、実施例1~実施例4が記載されている。そのうちの実施例3に関し、「本実施例においては、実施例1のようなアーム軸12とリンクアーム13が存在しない。その代わりに、支持部材8のハンドル部分(後端部)が、より長く形成されている。その結果、実施例1との対比において、第8図に示すように、以下の2点の作用上の相違がある。・・・(中略)・・・第2に、支持部材8は鰐口クリップ3に対して、構造上は支軸5による1点支持となる。しかし、鰐口クリップ3の開口状態においては、相対的に長く形成された支持部材8の後端部が1対の顎部材6のハンドル部分(後端部)間に挟着され、実質的に2点支持となる。従って、N極磁石10とS極磁石16とのガイド作用が必要な時点においては、支持部材8が不規則に変動又は揺動してガイド作用を障害する恐れがない。」(1次訂正に係る特許審決公報第10ページ第46行~第11ページ第5行)と記載されており、この記載によると、「N極磁石10とS極磁石16とのガイド作用が必要な時点」以外の時点においては、支持部材8が不規則に変動又は揺動するものと解されるから、実施例3において、N極磁石10(一方の吸着部材)は、1対の顎部材6間の中心線上に、常に設けられているとは必ずしもいえない。
さらに、実施例4に関し、「一方の顎部材6の内側部には円板状のN極磁石10が固定されている。」(1次訂正に係る特許審決公報第11ページ第21行)と記載されており、図10の図示内容も考慮すると、N極磁石10(一方の吸着部材)は、一方の顎部材6とともに揺動しているから、1対の顎部材6間の中心線上に、常に設けられているとは必ずしもいえない。
すると、本件訂正発明の「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」るという事項について、実施例との関係でみると、一方の吸着部材が1対の顎部材間の中心線上に、常に設けられていることを意味しているのか、実施例3又は実施例4として記載されているような、一方の吸着部材が1対の顎部材間の中心線上に、常に設けられているとは必ずしもいえないものを含むのかが明確ではないと解される余地があるため、本件訂正発明が特許法第36条第6項第2号の要件を満たすか否かを検討する。
まず、本件訂正発明の「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」るという事項は、文言上、一方の吸着部材が1対の顎部材間の中心線上に設けられるのが、鰐口クリップがどのような状態にあるときであるのかを何ら特定していないから、鰐口クリップが開口状態又は閉口状態にあるとき、若しくは鰐口クリップが開口/閉口動作される際のいずれの状態にあるときにも、一方の吸着部材が常に1対の顎部材間の中心線上に設けられていることを意味しているといえる。実際に、本件訂正発明の実施例1は、前記2.(1)及び(2)に示した明細書の記載並びに図1~5の図示内容によると、支持部材8が、鰐口クリップ3に対して2点支持の状態で取り付けられており、支持部材8の先端部に固定されたN極磁石10(一方の吸着部材)は、鰐口クリップ3が開口状態又は閉口状態にあるとき、1対の顎部材6間の中心部に設けられており、また、鰐口クリップ3が開口/閉口動作される際には、1対の顎部材6間の中心部を通る、先端-後端方向沿いの線上をスライド動作するものと解されるから、N極磁石10(一方の吸着部材)は常に1対の顎部材6間の中心線上に設けられているといえる。実施例2についても、図6の図示内容等によると、実施例1と同様に、支持部材8が、鰐口クリップ3に対して2点支持の状態で取り付けられており、N極磁石10(一方の吸着部材)は常に1対の顎部材6間の中心線上に設けられているといえる。これら実施例1及び実施例2についての記載は、本件訂正発明の「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」るという事項が、一方の吸着部材が常に1対の顎部材間の中心線上に設けられていることを意味しているという前記の解釈を裏付けるものである。
これらを総合すると、「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」るという事項を備えることとなる本件訂正により、実施例3及び実施例4は、実質的に本件訂正発明の「実施例」から除外され、実施例1及び実施例2のみが本件訂正発明の「実施例」とされているといえ、このことは、本件審判請求書の第3ページ第7行~第10行において、訂正事項1が特許法第126条第5項の規定に適合することの根拠として、実施例1についての図5及び実施例2についての図6のみが記載されていることからも裏付けられている。
すると、本件訂正発明の「鰐口クリップの内部における1対の顎部材間の中心線上に一方の吸着部材を設け」るという事項は、一方の吸着部材が常に1対の顎部材間の中心線上に設けられていることを意味しているといえ、その意味は明確である。
そうすると、本件訂正発明は明確である。
(2)まとめ
前記したように本件訂正発明は明確であり、また、他に本件訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5.一群の請求項ごとに訂正を請求することについて
訂正前の請求項3及び請求項4は、訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用したものであるから、訂正前の請求項1、請求項3及び請求項4は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。そして、本件訂正審判の請求は、訂正事項1により、訂正前の請求項1、請求項3及び請求項4の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項1、請求項3及び請求項4に対して請求されている。
したがって、本件訂正審判の請求は特許法第126条第3項の規定に適合する。
第4 むすび
本件訂正審判で請求された訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項、第5項、第6項及び第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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