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特許異議申立

2016-700432

バンド取付構造

審判番号
2016-700432
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-025073
登録番号
特許第5817753号(P5817753)
請求日
2016年05月16日
審決日
2017年04月28日
公報発行日
2017年07月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】カシオ計算機株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人光陽国際特許事務所
  • 【異議申立人】土屋 篤志
  • 【異議申立人代理人】廣田 浩一
審判長/審判官
  • 審判長 長屋 陽二郎
  • 審判官 根本 徳子
  • 審判官 内藤 真徳
分類
P1651.113-YAA(A44C) / P1651.121-YAA(A44C) / P1651.536-YAA(A44C) / P1651.832-YAA(A44C) / P1651.841-YAA(A44C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5817753号発明「バンド取付構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5817753号の明細書、特許請求の範囲を、平成28年11月9日付け訂正請求書に添付され平成29年1月5日付けの手続補正書により補正された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5〕について訂正することを認める。 特許第5817753号の請求項1~3、5に係る特許を維持する。 特許第5817753号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第5817753号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成25年2月13日に特許出願され、平成27年10月9日にその特許権の設定登録がされ、同年11月18日にその掲載公報が発行された。 これに対し、平成28年5月16日付けで特許異議申立人土屋篤志(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年9月12日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年11月9日に意見書の提出及び訂正の請求があり、さらに同年12月1日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成29年1月5日に意見書及び手続補正書並びに訂正明細書及び訂正特許請求の範囲が提出されたものである。 なお、特許法第120条の5第5項の規定により、申立人に訂正請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、指定した期間内に申立人から意見書の提出はなかった。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正請求書の補正の適否 ア 上記平成29年1月5日の訂正請求書の補正は、上記平成28年11月9日の訂正請求における以下の(ア)及び(イ)についてするものである。 (ア)補正前の特許請求の範囲の請求項1~3からなる一群の請求項、請求項5及び訂正明細書の段落【0006】に、「本体ケース側の端面」及び「バンド側の端面」 とあったのを、「本体ケース側」及び「バンド側」と補正する。 (イ)補正前の特許請求の範囲の請求項1~3からなる一群の請求項、請求項5及び訂正明細書の段落【0006】に「補強部材」とあったのを、「補強部」と補正する。 イ 上記各補正が、訂正請求書の要旨を変更するものであるか否かにつき検討する。 上記(ア)の補正は、平成28年12月1日付けで通知された、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正でないとの訂正拒絶理由に対応するためのものであって、実質的な内容変更を伴うものではないことが明らかなものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものでない。 上記(イ)の補正は、訂正請求の際に生じた明らかな誤記を解消するものであって、審理を不当に遅延させるおそれがないことが明らかなものであるから、訂正請求書の要旨を変更するものでない。 したがって、上記訂正請求書の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合する。 (2)訂正の内容 以上のとおり、訂正請求書の補正は認められるから、特許権者が求める補正後の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下ア~エのとおりである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「・・・前記本体ケース及び前記バンドに、前記連結部材の前記補強部が嵌め込まれる切り欠き部が形成されていることを特徴とするバンド取付構造。」 とあるのを、 「・・・前記本体ケース及び前記バンドに、前記連結部材の前記補強部が嵌め込まれる切り欠き部が形成されており、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケースから前記バンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケース側における前記断面積よりも前記バンド側における前記断面積が小さくなるように構成されていることを特徴とするバンド取付構造。」 と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 ウ 訂正事項3(請求項5に係る訂正を「訂正事項3」という。) 特許請求の範囲の請求項5に 「腕に装着されるバンドを本体ケースに取り付けるバンド取付構造において、 前記本体ケースと前記バンドとの連結部分に、前記本体ケース及び前記バンドにその裏面側から接触する接触部と、該接触部における前記本体ケース及び前記バンドの裏面側に接触する面から前記本体ケース及び前記バンドの表面側に向かって立設された補強部と、 を備える連結部材が配置されていることを特徴とするバンド取付構造。」 とあるのを、 「腕に装着されるバンドを本体ケースに取り付けるバンド取付構造において、 前記本体ケースと前記バンドとの連結部分に、前記本体ケース及び前記バンドにその裏面側から接触する接触部と、該接触部における前記本体ケース及び前記バンドの裏面側に接触する面から前記本体ケース及び前記バンドの表面側に向かって立設された補強部と、 を備える連結部材が配置され、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケースから前記バンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケース側における前記断面積よりも前記バンド側における前記断面積が小さくなるように構成されていることを特徴とするバンド取付構造。」 と訂正する。 エ 訂正事項4(明細書に係る訂正を「訂正事項4」という。) 明細書の段落[0006]に 「前記課題を解決するために、本発明に係るバンド取付構造は、 腕に装着されるバンドを本体ケースに取り付けるバンド取付構造において、 前記本体ケースと前記バンドとの連結部分に、前記本体ケース及び前記バンドにその裏面側から接触する接触部と、該接触部における前記本体ケース及び前記バンドの裏面側に接触する面から前記本体ケース及び前記バンドの表面側に向かって立設された補強部と、を備える連結部材が配置され、 前記本体ケース及び前記バンドに、前記連結部材の前記補強部が嵌め込まれる切り欠き部が形成されていることを特徴としている。」 とあるのを、 「前記課題を解決するために、本発明に係るバンド取付構造は、 腕に装着されるバンドを本体ケースに取り付けるバンド取付構造において、 前記本体ケースと前記バンドとの連結部分に、前記本体ケース及び前記バンドにその裏面側から接触する接触部と、該接触部における前記本体ケース及び前記バンドの裏面側に接触する面から前記本体ケース及び前記バンドの表面側に向かって立設された補強部と、を備える連結部材が配置され、 前記本体ケース及び前記バンドに、前記連結部材の前記補強部が嵌め込まれる切り欠き部が形成されており、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケースから前記バンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケース側における前記断面積よりも前記バンド側における前記断面積が小さくなるように構成されていることを特徴としている。」 と訂正する。 (3)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び一群の請求項についての判断 ア 訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1の発明特定事項である連結部材の補強部について、「前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケースから前記バンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され、 前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケース側における前記断面積よりも前記バンド側における前記断面積が小さくなるように構成されて」との発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の規定に適合する。また、新規事項を追加するものでなく、特許請求の範囲の拡張・変更するものでもない。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものでなく、特許請求の範囲の拡張・変更するものでもないことは明らかである。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項5の発明特定事項である連結部材の補強部について、「前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケースから前記バンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され、前記連結部材の前記補強部は、前記本体ケース側における前記断面積よりも前記バンド側における前記断面積が小さくなるように構成され」との発明特定事項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、新規事項を追加するものでなく、特許請求の範囲の拡張・変更するものでもない。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、明細書段落[0006]の記載を、上記訂正事項1と整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号の規定に適合する。また、新規事項を追加するものでなく、特許請求の範囲の拡張・変更するものでもないことは明らかである。 オ 一群の請求項についての検討 訂正事項1、2に係る訂正前の請求項1~4について、訂正前の請求項2~4は請求項1を直接的又は間接的に引用するから、請求項1~4は特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 よって、訂正事項1及び2は、一群の請求項である請求項1~4について訂正するものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 なお、訂正事項3に係る訂正前の請求項5は、他の請求項の記載を引用するものでなく、また、訂正事項4は明細書を訂正するものであるから、特許法第120条の5第4項の規定は課されない。 (4)小括 以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第4~6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~4〕、〔5〕について訂正することを認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 上記2.のとおり、本件訂正の請求は認められるから、本件特許の請求項1~3、5の特許に係る発明は、平成28年11月9日付け訂正請求書に添付され平成29年1月5日付けの手続補正書により補正された訂正特許請求の範囲の請求項1~3、5に記載された事項により特定されるとおりのものである。(以下、「本件発明1」等という。) (2)当審の取消理由 ア 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、上記平成28年9月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、以下(ア)、(イ)のとおりである。以下、本件訂正前の請求項に係る発明を、「本件特許発明1」等という。 (ア)取消理由1 本件特許発明5は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1又は2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (イ)取消理由2 本件特許発明1~5は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1、2、4号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 イ 甲号証及びその記載事項 甲第1号証:特開平8-315号公報 甲第2号証:実願昭62-68608号(実開昭63-178505号)のマイクロフィルム 甲第3号証:実願昭61-27418号(実願昭62-139309号)のマイクロフィルム 甲第4号証:実用新案登録第3023849号公報 甲第1~4号証のいずれにも、本件発明1~3、5の連結部材の補強部が、「本体ケースからバンドに向かう方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され」、「本体ケース側における断面積よりもバンド側における前記断面積が小さくなるように構成されている」点は記載されていない。 ウ 判断 (ア)取消理由通知に記載した取消理由について (ア-1)取消理由1について 上記イのとおり、甲第1または2号証には、本件発明1~3、5の連結部材の補強部が、「本体ケースからバンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され」、「本体ケース側における断面積よりもバンド側における前記断面積が小さくなるように構成されている」点は記載されておらず、甲第1または2号証に記載された発明は、本件発明5と同一でない。 よって、本件発明5は、甲第1又は2号証に記載された発明でなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものでないから、その発明に係る特許は取り消すべきものでない。 (ア-2)取消理由2について 上記イのとおり、甲第1、2、4号証には、本件発明1~3、5の連結部材の補強部が、「本体ケースからバンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され」、「本体ケース側における断面積よりもバンド側における前記断面積が小さくなるように構成されている」点は記載されておらず、本願出願前に周知の技術ということもできない。そして、本件発明1~3、5は、「腕時計1を腕に装着した際、バンド3が、腕時計ケース2に対しては強固に連結された状態を保ちながら、腕の動き等に応じて柔軟に撓り、腕にフィットする。」(明細書段落【0022】)との格別の効果を奏するものである。 よって、本件発明1~3、5は、甲第1、2、4号証に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでなく、特許法第29条第2項に該当するものでないから、その発明に係る特許は取り消すことはできない。 (イ)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、以下(イ-1)、(イ-2)の理由を主張しているが、いずれも理由がない。 (イ-1)特許法第29条第2項違反 本件特許発明1~4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきである。 しかしながら、上記イのとおり、本件発明1~3、5の連結部材の補強部が、「本体ケースからバンドに向う方向に対する垂直な面を前記補強部の断面積とした場合に、前記本体ケース側から徐々に前記断面積が小さくなるように構成され」、「本体ケース側における断面積よりもバンド側における前記断面積が小さくなるように構成されている」点は甲第2~4号証に記載されておらず、本願出願前の周知技術ということはできない。 よって、本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~4号証に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでなく、特許法第29条第2項に該当するものでないから、本件特許は取り消すことはできない。 (イ-2)特許法第36条第4項第1号違反 本件特許発明5は明細書の詳細な説明に、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないものであって、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきである。 しかしながら、本件特許発明5は、その内容からみて、バンド取付構造において、連結部材に注目して記載されたものと解することができるとともに、本件明細書の発明の詳細な説明には、当該連結部材を有するバンド取付構造について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されており、「切り欠き部が形成されていない場合のバンド取付構造をどのようにして製造してよいのかが理解できず、本件特許発明に係るバンド取付構造を製造することも、また、当該バンド取付構造の使用も理解し得ない。」ということはできない。 よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明5を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでないから、取り消すことはできない。 エ むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~3、5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~3、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項4に係る特許について、上記2.のとおり、請求項4を削除する本件訂正が認められたので、請求項4に係る特許についての本件特許異議申立ては、その対象が存在しないものとなった。 したがって、請求項4に係る特許についての本件特許異議申立ては、不適法な特許異議申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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