審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2019-005115

装飾品の止め具

審判番号
2019-005115
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-147192外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年04月01日
審決日
2020年07月08日
公報発行日
2020年10月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A44C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-147192「装飾品の止め具」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月23日出願公開、特開2020- 11010〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、平成30年7月19日の出願であって、平成30年8月17日に手続補正書が提出(受付日:平成30年8月20日)され、平成30年10月15日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年11月1日に意見書が提出(受付日:平成30年11月2日)され、平成31年1月7日付けの拒絶理由の通知に対し、平成31年1月21日に意見書が提出(受付日:平成31年1月22日)されたが、平成31年3月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成31年4月1日に審判請求書が提出(受付日:平成31年4月2日)されて拒絶査定不服審判の請求がされたものである。その後、当審において令和2年3月23日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年4月6日に意見書が提出(受付日:令和2年4月7日)されたものである。 第2 本願発明 この出願の請求項に係る発明は、願書に添付して提出した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「装飾品の片方の鎖状の端部に設けた凹部と、他方の鎖状の端部に設けた凸部とを噛合わせて係止する方式の止め具にあって、前記凹部と前記凸部には、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状の端部の止め具において、前記凹部が、一対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、かつ、前記凸部が一対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における一対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、かつ、前記係止部材の前方に他方の吸着部材を設け、かつ、前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が、前記一対の顎部材のいずれか一方に設けられていて、かつ、前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材の前方には、前記係止部材の吸着部材が、挿入できるホルダーを備えた装飾品鎖状の端部の止め具。」 第3 拒絶の理由 令和2年3月23日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3,4に記載されたような周知の事項に基いて、又は引用文献5に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献3,4に記載されたような周知の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2013-81524号公報 引用文献2:特開2012-192157号公報 引用文献3:特開2006-26003号公報 引用文献4:実願昭52-82784号(実開昭54-9790号)のマイクロフィルム 引用文献5:特許第4044598号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1.引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された、この出願前に頒布された刊行物である、引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与した。以下、同様である。)。 ア.「【0010】 (1) プラグに設けられた突片を、本体に設けられた挿入孔に挿入して、前記プラグと前記本体とを接続する装身具の留め金において、 前記プラグには、前記突片の根元に段差が設けられ、 前記本体には、前記挿入孔に挿入された前記突片の根元の段差に引っ掛かって、前記突片の前記挿入孔からの脱落を防止する脱落防止機構が設けられ、 さらに前記プラグには、前記突片の先端に磁石が設けられ、 前記本体には、前記挿入孔の奥に、前記突片の磁石を引き寄せる磁石が設けられる。 【0011】 (1)によれば、プラグには、突片の根元に段差が設けられ、本体には、挿入孔に挿入された突片の根元の段差に引っ掛かって、突片の挿入孔からの脱落を防止する脱落防止機構が設けられていることにより、突片を挿入孔に挿入して装着することができる。この構成において、さらにプラグには、突片の先端に磁石が設けられ、本体には、挿入孔の奥に、突片の磁石を引き寄せる磁石が設けられることにより、挿入孔の近傍に突片を持ち来たして相対位置を可変するだけで、磁石による磁力のガイドにより突片をスムーズに挿入孔に差し込むことができ、これにより磁石の力を有効に利用して簡易に装着することができる。従ってプラグの差し込みに係る作業を簡略化し、従来に比して一段と使い勝手を向上することができる。」 イ.「【0019】 〔第1実施形態〕 図1は、図3との対比により、本発明の第1実施形態に係る装身具であるネックレスを示す図である。このネックレス21は、チェーン2の一端が留め金23のプラグ24に接続され、チェーン2の他端が留め金23の本体25に接続される。 【0020】 ここでプラグ24は、根元部分に段差24Cが設けられた円柱形状による棒状の突片24Aを有し、この突片24Aの根元側端にチェーン2の一端が接続される。本体25は、全体が丸みを帯びた長方体形状により作成され、その短辺側の端面にチェーン2の他端が接続され、この端面に対向する端面にプラグ24の突片24Aを挿入する挿入孔25Aが設けられる。 【0021】 プラグ24は、突片24Aの先端に磁石24Bが設けられ、本体25は、この磁石24Bを吸着するように、挿入孔25Aの奥に磁石が設けられる。これにより留め金23は、簡易に突片24Aを挿入孔25Aに差し込むことができ、プラグ24の差し込みに係る作業を簡略化し、従来に比して一段と使い勝手を向上することができる。 【0022】 すなわちネックレスは、チェーンを首に巻きつけて背中側で留め金を操作して装着する。これによりネックレスは、何ら目視により留め金を確認することなく、経験と勘によりプラグの突片を本体の挿入孔に挿入することになる。これにより図3について上述した従来構成の留め金では、挿入孔が設けられている本体の端面に突片の先端を押し付けながら、突片の位置を可変して挿入孔に差し込むことになる。しかしながらこの実施形態の留め金23では、突片24Aの先端に設けた磁石24Bを、挿入孔25Aの奥に設けた磁石が引き寄せることにより、突片24Aを、挿入孔25Aの近傍に持ち来たしさえすれば、磁石の磁力によるガイドにより突片24Aをスムーズに挿入孔25Aに差し込むことができ、これにより磁石の力を有効に利用して簡易に装着することができる。 ウ.「【0024】 すなわち本体25は、図示しないバネにより付勢されて、回動軸26により回動可能に外ケース28に内ケース27が配置される。本体25は、矢印Aにより示すように、このバネによる付勢に抗するように、外ケース28及び内ケース27を押圧することにより、挿入孔25Aに突片24Aを差し込む開口が挿入孔25Aに作成され、またこのように挿入孔25Aに突片24Aを差し込んだ状態で、外ケース28及び内ケース27の押圧を中止することにより、突片24Aに設けられた段差24Cに内ケース27が部分的に噛み合ってプラグ24の脱落を防止する。 【0025】 図2(a)は、外ケース8を上端面で切り取って示す留め金23の断面図であり、図2(b)は、この図2(a)をC-C線により切り取って示す断面図である。なおこの図2では各部の丸みを省略して示す。留め金23は、回動軸26にコイルバネ30が配置され、このコイルバネ30により付勢されて外ケース28に内ケース27が配置されて一体化される。なおこの実施形態において、この回動軸26は、金属によるパイプ材が適用され、このパイプ材の両端にカシメによりつばを作成して脱落しないように内ケース27、コイルバネ30と一体に外ケース28に取り付けられる。これによりこの留め金3は、簡易な作業により組み立てられる。留め金23は、このコイルバネ30による付勢により、内ケース27の挿入孔25A側端が突片24Aの段差24Cに噛み合い、これによりプラグ24の脱落を防止する。またこのコイルバネ30による付勢に抗するように押圧して、外ケース28に対して内ケース27を回動させることにより、突片24Aの段差24Cに噛み合う部位を退避させて、プラグ24を抜き差しすることができる。なおこの図2において、本体25側の磁石31は、外ケース28に保持される。なおこれらによりこの実施形態では、段差24C、回動軸26、外ケース28、内ケース27、コイルバネ30によりプラグ24の脱落防止機構が構成される。」 エ.「【0026】 以上の構成によれば、プラグには、突片の根元に段差が設けられ、本体には、挿入孔に挿入された突片の根元の段差に引っ掛かって、突片の挿入孔からの脱落を防止する脱落防止機構が設けられていることにより、突片を挿入孔に挿入して装着することができる。これによりプラグが本体より外れ難くして、種々のアクセサリーを楽しむことができる。さらにこの構成において、突片の先端に磁石を設け、挿入孔の奥に、突片の磁石を引き寄せる磁石を設けることにより、挿入孔の近傍に突片を持ち来たして相対位置を可変するだけで、磁石による磁力のガイドにより突片をスムーズに挿入孔に差し込むことができ、これにより磁石の力を有効に利用して簡易に装着することができる。従ってプラグの差し込みに係る作業を簡略化し、従来に比して一段と使い勝手を向上することができる。 【0027】 すなわち従来に比して装着作業を簡略化できることにより、高齢者でも容易に着脱してアクセサリーを楽しむことができる。またプラグを本体に取り付けた後には、段差を利用して脱落を防止することができ、これにより外れ難い構成としてアクセサリーを安心して楽しむことができる。」 オ.記載事項ア.によると、装身具の留め金は、プラグと本体とを接続しているといえ、また、記載事項イ.によると、装身具は、ネックレス21であり、留め金23は、ネックレス21のチェーン2の一端に接続されたプラグ24と、チェーン2の他端に接続された本体25を備えているといえる。すると、ネックレス21の留め金23は、ネックレス21のチェーン2の他端に接続された本体25と、チェーン2の一端に接続されたプラグ24とを接続しているといえる。 カ.記載事項イ.及びウ.によると、プラグ24の突片24Aの先端に設けた磁石24Bを、本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31が引き寄せているといえる。また、本体25の挿入孔25Aの奥に磁石31を設け、プラグ24の突片24Aの先端に磁石24Bを設け、本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31が、外ケース28に保持されているといえる。 キ.記載事項ウ.によると、本体25は、コイルバネ30により付勢されて、回動軸26により回動可能に外ケース28内に内ケース27が配置されているといえる。また、記載事項ア.及びエ.によると、本体25には、プラグ24に設けられた突片24Aの根元の段差24Cに引っ掛かる脱落防止機構が設けられており、本体25は、プラグ24に設けられた突片24Aの根元の段差24Cに引っ掛かるものであるといえる。 ク.記載事項ウ.によると、留め金23は、コイルバネ30による付勢に抗するように、本体25の外ケース28及び内ケース27を押圧して、挿入孔25Aにプラグ24の突片24Aを差し込み、外ケース28及び内ケース27の押圧を中止すると、コイルバネ30による付勢により、内ケース27の挿入孔25A側端が突片24Aの段差24Cに噛み合い、また、外ケース28及び内ケース27を押圧して、外ケース28に対して内ケース27を回動させることにより、突片24Aの段差24Cに噛み合う部位を退避させて、プラグ24を抜き差しするものである。すると、プラグ24は、コイルバネ30による付勢に抗するように外ケース28及び内ケース27が押圧された本体25の挿入孔25Aに突片24Aが差し込まれ、コイルバネ30による付勢により、突片24Aの段差24Cに内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合うものであるといえる。 (2)引用発明 前記引用文献1の記載事項ア.~ク.及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ネックレス21のチェーン2の他端に接続された本体25と、前記チェーン2の一端に接続されたプラグ24とを接続しているネックレス21の留め金23であって、前記プラグ24の突片24Aの先端に設けた磁石24Bを、前記本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31が引き寄せるネックレス21の留め金23において、前記本体25は、コイルバネ30により付勢されて、回動軸26により回動可能に外ケース28内に内ケース27が配置され、前記プラグ24に設けられた前記突片24Aの根元の段差24Cに引っ掛かるものであり、かつ、前記プラグ24は、前記コイルバネ30による付勢に抗するように前記外ケース28及び前記内ケース27が押圧された前記本体25の前記挿入孔25Aに前記突片24Aが差し込まれ、前記コイルバネ30による付勢により、前記突片24Aの前記段差24Cに前記内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合うものであり、かつ、前記本体25の前記挿入孔25Aの奥に前記磁石31を設け、かつ、前記プラグ24の前記突片24Aの先端に前記磁石24Bを設け、かつ、前記本体25の前記挿入孔25Aの奥に設けた前記磁石31が、前記外ケース28に保持されているネックレス21の留め金23。」 2.引用文献2の記載 令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された、この出願前に頒布された刊行物である、引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「【0006】 上記課題を解決するために創案された本発明のクラスプは、装飾用鎖状部材の端部に設けられる第1の磁気誘導部材と、筐体の内部に設けられる第2の磁気誘導部材とが磁力で互いに吸着されて係止するクラスプにおいて、(1)第1のフレームと第2のフレームとを備え、第1のフレームと第2のフレームとにより中空と一端に開口が形成される筐体と、(2)第1の磁気誘導部材を保持し、筐体の開口の大きさより横断面が大きい第1の磁気誘導部材ホルダと、(3)筐体の中空に設けられ、第2の磁気誘導部材を保持し、第1の磁気誘導部材と第2の磁気誘導部材とが吸着するときに、第1の磁気誘導部材ホルダが挿入される挿入空間を有する第2の磁気誘導部材ホルダとを備える。」 (2)「【0020】 図1に示すようにクラスプ1は、アクセサリの珠玉4の一端に取り付けられる筐体2と、珠玉4の他端に取り付けられる挿入部3を備えている。図2に示すように、挿入部3は、内部にマグネット32を保持する円柱形状のマグネットホルダ31と、このホルダ31の端に形成され、孔を有する連結部33と、この連結部の孔を貫通し、アクセサリの珠玉4に連結する環部34とを備える。 【0021】 筐体2は中空の箱形状に形成されており、略同一の外形を有する第1のフレーム20および第2のフレーム21と、第1および第2のフレームの一端に形成され、略真円の空間領域を画定する開口部23と、その他端側に形成されたスリット部24と、そのスリット部24の内部から外部へと伸長した連結部28と、その連結部28の孔に接続した環部29と、当該第1および第2のフレーム20、21を相互に連結する支軸22とを備え、第1のフレーム20と第2のフレーム21が支軸22を中心に相互にピボット運動できるような構造になっている。ここで、開口部23の径は、マグネットホルダ31の径よりも小さく形成されている。 【0022】 図2を参照して、クラスプ1の内部構造について説明する。挿入部3のマグネットホルダ31の内部にはマグネット32が埋め込まれている。また、筐体2の内部には、支軸22に連結されたマグネットホルダ26が配置されている。このマグネットホルダ26は、内部にマグネット27が埋め込まれ、所定の長さを有する円柱形状の空間であるマグネット挿入部26aを有している。このマグネット27は開口部23を介して外部を臨むように位置している。マグネットホルダ26のマグネット27および挿入部3のマグネット32の対向する面の極性は相互に逆、すなわち相互に引き付け合う状態になっている。 【0023】 マグネットホルダ26のマグネット挿入部26aは、マグネットホルダ31が挿入してマグネット27とマグネット32が磁力により引き付け合うように形成されており、所定の径の大きさと長さを有する。 【0024】 筐体2の内部にはバネ25が配置されている。このバネ25により、図2(a)において第1のフレーム20は支軸22を基準に右回りに、そして第2のフレーム21は支軸22を基準に左回りに付勢されている。従って、外部より力を作用させなければ、筐体2のスリット部24および開口部23のそれぞれが画定する空間領域が保持される。」 (3)「【0026】 図2(a)に示すように、最初に、ユーザが挿入部3と筐体2とを所定の距離だけ相互に近接させる。次に、図2(b)に示すように、筐体2のスリット部24の上下部分(図2(b)の矢印の箇所と方向)に力を加えると、筐体2の第1のフレーム20と第2のフレーム21とがバネ25の付勢力に逆らう方向に支軸22を中心にピボット回転する。そして、スリット部24が画定する空間が閉じられ、開口部23が上下に分離し、その間に画定される空間領域が拡大する。 【0027】 開口部23の空間領域が拡大すると、筐体2の内部に設けられたマグネット27と、挿入部3のマグネット32との間の磁力作用により、図2(c)に示すように、挿入部3が筐体2の内部に設けられたマグネットホルダ26のマグネット挿入部26aに挿入され、マグネット27とマグネット32が吸着して係止される。 【0028】 そして、図2(d)に示すように、筐体2に加えていた力を解放すると、開口部23が元の大きさに戻り、マグネットホルダ31が筐体2の内部に収容され、クラスプ1の接続が完了する。 【0029】 図2(d)に示すように、クラスプ1の接続が完了した状態のマグネットホルダ31と筐体2の開口部23の間にはギャップG(間隙)が形成されている。これは、挿入部3が外部より引っ張られ、マグネット27との係止が解除されても開口部23からマグネットホルダ31が脱落することを防止するためである。もしギャップがない場合、マグネット27、32同士が吸着した状態で外部から挿入部3が引っ張られると、開口部23が拡大して脱落する可能性がある。 【0030】 従って、本発明の第1の実施形態によれば、マグネット27にマグネット32が係止する状態が筐体2の内部に収容されることになり、挿入部3が外部から引っ張られても、筐体2からマグネットホルダ31が脱落することなく、クラスプの係止状態が維持される。そして、外部からの引っ張りが解除されると、マグネット32の磁力によりマグネット27と再び吸着し、係止される。すなわち、本実施形態のクラスプ1によれば、クラスプを接続する場合、筐体内部でのマグネット同士の係止と、筐体による係止の二重の係止により、クラスプが不意に外れることがなく、安定した係止状態を保つことができる。」 (4)「【0032】 クラスプ1の接続を解除する場合、筐体2のスリット部24の上下部分(図2(c)の矢印の箇所と方向)に力を加え(図2(C)の状態)、挿入部3を引き抜けばよい。 引き抜く際、挿入部3が第2のマグネットホルダ26のマグネット挿入部26aの内壁部分によってガイドされ、その結果、挿入部3は筐体2の中心軸上に保持された状態で移動する。従って、挿入部3は筐体2の開口部23の周辺に引っ掛かるなどの不都合を生じること無く、安定して筐体2から引き抜かれる。」 3.引用文献3の記載 令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された、この出願前に頒布された刊行物である、引用文献3には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「【0003】 そのため磁石を使用する接続金具として、例えば特開2003-61717号が提案されている。しかし、同号の発明のように磁気ペアを突き合わせた構造では、図4上に示すように磁気吸着方向の逆方向に引き離す力F1に対しては有効であるが、図4下に示すように傾斜方向へ引き離す力F2に対しては点Oを中心に回転するため有効性が低く、簡単に外れてしまうという性質がある。なお、図4中磁石は符号M、M’、ケースは符号C、C’、連結端は符号D、D’で示している。これに対して特開2000-325117号のものは、磁気吸着する磁気ペアに係止突片とそれが嵌合する穴を設け、吸着面からの横ずれを防止しているが、これでは図4下に示す傾斜方向の力F2による問題を防ぐことはできない。」 (2)「【0012】 以下、図示の実施形態を参照して本発明に係る装身具類の磁気クラスプについてより詳細に説明する。装身具類10は、図3に例示したようなネックレス状のもので、装身部材11の端部を接続して環状にするために、本発明の磁気クラスプ12が適用される。 【0013】 図1は、本発明に係る磁気クラスプ12の1実施例を示すもので、磁気吸着可能な磁気ペアは磁石から成る1対の磁気片13、14から成る例である。磁気片13、14は、1対の接続ケース15、16に嵌め合わせ、開口部の縁をかしめ加工17、18することにより、抜け出さず、また奥へも移動しないように固定した構成を有している。」 (3)「【0015】 ヨーク19が接続ケース15、16の外側に設けられている。ヨーク19は、接続ケース15、16の分離端である一端がその中に収まるように、円筒形に形成された部品から成り、実施例の場合、一方の接続ケース(例示の場合右側ケース16)の外側に嵌め合わせてろう付けにより一体化し、他方の接続ケース15を端部開口21に受け入れるようになっている。一方の接続ケース16に取り付けたヨーク19に、他方の接続ケース15を差し込む方法は、間に隙間(すきま)のあるすきまばめの嵌合形態を取るが、その隙間の度合いは差し込みが容易であることと、左右へ引き離したときにヨークに対して他方の接続ケースが傾斜することがないので、常に設定されている磁気吸着力で保持されており、偶然には外れ難くなる嵌合とされている。」 4.引用文献4の記載 令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された、この出願前に頒布された刊行物である、引用文献4には、図面とともに、次の記載がある。 (1)「2.実用新案登録請求の範囲 鎖状体の両端には一方の外周面と他方の内周面とを嵌合させる一対の結合具を備えたネツクレスにおいて、前記一方の結合具には希土類コバルト磁石の一端面が結合具の一端とほぼ一致する如く内装され、前記他方の結合具には前記一方の結合具が吸引嵌合される如く希土類コバルト磁石が内装されていることを特徴とする着脱自在なネツクレス。」(明細書第1ページ第4行~第12行) (2)「本考案は係脱自在なネツクレスに関するもので、その両端結合部に希土類コバルト磁石を内装することにより係脱特に係止を極めて容易にしたものである。」(明細書第1ページ第14行~第17行) (3)「従来ネツクレスの両端の係止は、ネジ止方式やリングかけ方式が用いられているが、かかる方式はその係脱が煩わしいものであつた。そこで永久磁石の吸引力を利用した結合具も種々提案されているが、装着の煩わしさはないが装着中にはずれる等必ずしも完全な結合具とは云えなかった。」(明細書第1ページ第18行~第2ページ第4行) (4)「第1図は本考案のネツクレスの要部を示す断面図である。鎖状体4,4’の両端に設けられた断面円形又は四角形の結合具1,1’は希土類コバルト磁石2,2’、および希土類コバルト磁石を保持かつ保護するプラスチツク、金属又は貴金属からなる保護カバー3,3’からなつている。そして結合具1の保護カバー3の外周面は結合具1’の保護カバー3’の内周面に嵌合する様に各々テーパが設けられており、嵌合後には結合具1に内装された希土類コバルト磁石2の端面と結合具1’に内装された希土類コバルト磁石2’は端面がほぼ一致するごとくに配置されている。なお内装されている磁石の極は一方がN極、他方がS極になるように対向させて配置させることは当然である。 本考案は以上の様な構成とすることにより希土類コバルト磁石の強い吸引力によつてネツクレスの係止時には容易に各々の端面を一致させることができ、かっ係止後は各々の希土類コバルト磁石の吸引力と各々の保護カバーの接触力により十分強固に係止し得るものである。」(明細書第2ページ第12行~第3ページ第11行) 第5 対比 以下、本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「ネックレス21」、「チェーン2」及び「留め金23」は、それぞれ本願発明の「装飾品」、「鎖状」及び「止め具」に相当するとともに、引用発明の「ネックレス21の留め金23」は、「装飾品鎖状の端部の止め具」に相当する。引用発明の「本体25」は、プラグ24の突片24Aが差し込まれる挿入孔25Aを備えるから、本願発明の「凹部」に相当し、引用発明の「プラグ24」は、突片24Aを本体25の挿入孔25Aに差し込むものであるから、本願発明の「凸部」に相当する。また、引用発明の「チェーン2の他端に接続された本体25」及び「前記チェーン2の一端に接続されたプラグ24」において、チェーン2の他端又は一端に、それぞれ本体25又はプラグ24が接続されているから、チェーン2の他端又は一端には、それぞれ本体25又はプラグ24が設けられているということができ、引用発明の「チェーン2の他端に接続された本体25」及び「前記チェーン2の一端に接続されたプラグ24」における「接続された」は、本願発明の「片方の鎖状の端部に設けた凹部」及び「他方の鎖状の端部に設けた凸部」における「設けた」に相当する。そして、引用発明の「チェーン2の他端」及び「チェーン2の一端」は、それぞれ本体25及びプラグ24に接続されるから、それぞれ本願発明の「片方の鎖状の端部」及び「他方の鎖状の端部」に相当する。さらに、引用発明は、本体25がプラグ24に設けられた突片24Aの根元の段差24Cに引っ掛かるものであり、かつ、プラグ24がその突片24Aの段差24Cに、本体25における内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合うものであるから、本体25とプラグ24との接続は、噛み合うとともに、引っ掛かるものといえる。すると、引用発明の「ネックレス21のチェーン2の他端に接続された本体25と、前記チェーン2の一端に接続されたプラグ24とを接続しているネックレス21の留め金23」は、本願発明の「装飾品の片方の鎖状の端部に設けた凹部と、他方の鎖状の端部に設けた凸部とを噛合わせて係止する方式の止め具」に相当する。 引用発明の「磁石24B」及び「磁石31」は、互いに吸着するものであるから、両者ともに本願発明の「磁石」に相当し、「吸着部材」にも相当する。また、本願発明の「正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設け」るという事項は、この出願の明細書の段落【006】の記載によると、「凹部(5)と凸部(1)が、確実に係止できる位置に双方の吸着部材を配置する」ことを意味していると解されるが、引用発明の「前記プラグ24の突片24Aの先端に設けた磁石24Bを、前記本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31が引き寄せる」という事項において、磁石24Bを、磁石31が引き寄せ、磁石31と磁石24Bとが吸着した状態の本体25及びプラグ24の位置は、引用文献1の図2の図示内容を考慮すると、本体25における内ケース27の挿入孔25A側端が、プラグ24における突片24Aの段差24Cに確実に噛み合い、確実に引っ掛かる位置であるといえるから、本願発明の「正しい噛合い位置」に相当する。そして、引用発明の磁石31及び磁石24Bが設けられる部位は、本体25及びプラグ24を、これらが確実に噛み合い、確実に引っ掛かる位置まで引き寄せることができる、つまり誘導できる部位ということができるから、本願発明の「これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位」に相当する。すると、引用発明の「前記プラグ24の突片24Aの先端に設けた磁石24Bを、前記本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31が引き寄せるネックレス21の留め金23」は、本願発明の「前記凹部と前記凸部には、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状の端部の止め具」に相当する。 引用発明の「外ケース28」及び「内ケース27」は、両者ともに本願発明の「顎部材」に相当し、両者を合わせたものが「一対の顎部材」に相当する。また、引用発明において、「前記コイルバネ30による付勢に抗するように、前記外ケース28及び前記内ケース27が押圧された前記本体25の前記挿入孔25Aに前記突片24Aが差し込まれ、前記コイルバネ30による付勢により、前記突片24Aの前記段差24Cに前記内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合う」ことを考慮すると、引用発明の「前記本体25は、コイルバネ30により付勢されて、回動軸26により回動可能に外ケース28内に内ケース27が配置され」るという事項は、外ケース28及び内ケース27が、回動軸26により、挿入孔25Aを開く方向及び閉じる方向に回動可能に軸支されるものといえ、かつ、コイルバネ30により、挿入孔25Aを閉じる方向に外ケース28及び内ケース27が付勢され、コイルバネ30の付勢に抗して、挿入孔25Aを開く方向に外ケース28及び内ケース27が押圧されるものといえるから、本体25がコイルバネ30により挿入孔25Aを閉じる方向に付勢された鰐口状のクリップから構成されているということができ、本願発明の「前記凹部が、一対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであ」るという事項に相当する。 引用発明において、「前記本体25は、コイルバネ30により付勢されて、回動軸26により回動可能に外ケース28内に内ケース27が配置され、前記プラグ24に設けられた前記突片24Aの根元の段差24Cに引っ掛かるものであ」ることを考慮すると、引用発明の「プラグ24」は、その突片24Aの根元の段差24Cが、本体25に引っ掛かるものであるから、本願発明の「係止部材」にも相当する。そして、引用発明の「前記プラグ24は、前記コイルバネ30による付勢に抗するように、前記外ケース28及び前記内ケース27が押圧された前記本体25の前記挿入孔25Aに前記突片24Aが差し込まれ、前記コイルバネ30による付勢により、前記突片24Aの前記段差24Cに前記内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合うものであ」るという事項において、外ケース28及び内ケース27が押圧されて開かれた挿入孔25Aに、プラグ24の突片24Aが差し込まれ、この時、プラグ24の突片24Aの先端に設けた磁石24Bが、本体25の挿入孔25Aの奥に設けた磁石31に引き寄せられ、磁石24Bと磁石31が吸着されるといえるから、プラグ24は、開かれた外ケース28と内ケース27との間に吸着され、嵌まり込んでいるといえる。すると、引用発明の「前記プラグ24は、前記コイルバネ30による付勢に抗するように、前記外ケース28及び前記内ケース27が押圧された前記本体25の前記挿入孔25Aに前記突片24Aが差し込まれ、前記コイルバネ30による付勢により、前記突片24Aの前記段差24Cに前記内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合うものであ」るという事項は、本願発明の「前記凸部が一対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であ」るという事項に相当する。 引用発明の「前記本体25の前記挿入孔25Aの奥に前記磁石31を設け」るという事項は、引用文献1の図2の図示内容を考慮すると、本体25の外ケース28と内ケース27との間に磁石31を設けるものであるから、本願発明の「前記鰐口クリップの内部における一対の顎部材間に一方の吸着部材を設け」るという事項に相当する。 引用発明の「前記プラグ24の前記突片24Aの先端」は、プラグ24の突片24Aを、本体25の挿入孔25Aに差し込む際、プラグ24の前方に位置するといえるから、本願発明の「前記係止部材の前方」に相当する。すると、引用発明の「前記プラグ24の前記突片24Aの先端に前記磁石24Bを設け」るという事項は、本願発明の「前記係止部材の前方に他方の吸着部材を設け」るという事項に相当する。 引用発明の「前記本体25の前記挿入孔25Aの奥に設けた前記磁石31が、前記外ケース28に保持されている」という事項は、本願発明の「前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が、前記一対の顎部材のいずれか一方に設けられてい」るという事項に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「装飾品の片方の鎖状の端部に設けた凹部と、他方の鎖状の端部に設けた凸部とを噛合わせて係止する方式の止め具にあって、前記凹部と前記凸部には、これらを正しい噛合い位置に誘導できる部位に、互いに吸着する磁石の各一方を、あるいは磁石とこれに吸着される金属材を、それぞれ吸着部材として設けた装飾品鎖状の端部の止め具において、前記凹部が、一対の顎部材を開口/閉口可能に軸支したバネ閉じ式の鰐口クリップであり、かつ、前記凸部が一対の開口状態の顎部材間に嵌入して係止される係止部材であり、かつ、前記鰐口クリップの内部における一対の顎部材間に一方の吸着部材を設け、かつ、前記係止部材の前方に他方の吸着部材を設け、かつ、前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材が、前記一対の顎部材のいずれか一方に設けられている装飾品鎖状の端部の止め具。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 本願発明は、「前記鰐口クリップの内部に設けた吸着部材の前方には、前記係止部材の吸着部材が、挿入できるホルダーを備え」ているのに対し、引用発明は、本体25の挿入孔25Aの奥に設けられた磁石31の前方に、このようなホルダーを備えていない点。 第6 判断 (1)相違点について 以下、前記[相違点]について検討する。 引用文献2には、前記「第4 2.」の記載事項(1)~(3)及び図1,図2の図示内容によると、アクセサリの珠玉4の一端に取り付けられ、第1のフレーム20及び第2のフレーム21が支軸22を中心に相互にピボット運動できるような構造になっている筐体2と、珠玉4の他端に取り付けられる挿入部3とを備えるクラスプにおいて、前記筐体2の内部に配置され、マグネット27が埋め込まれたマグネットホルダ26が、所定の長さを有する円柱形状の空間であるマグネット挿入部26aを有し、マグネット挿入部26aに、マグネット32が埋め込まれた挿入部3のマグネットホルダ31が挿入される点が記載されている。そして、前記「第4 2.」の記載事項(4)には、クラスプの接続を解除するために、挿入部3を引き抜く際、挿入部3がマグネット挿入部26aの内壁部分によってガイドされ、挿入部3が筐体2の開口部23の周辺に引っ掛かるなどの不都合を生じることなく、安定して筐体2から引き抜かれるという作用効果が記載されている。 そして、引用発明と、引用文献2に記載された事項とは、装飾用鎖状部材の止め具に関するものである点で技術分野が共通する上、引用文献1の前記「第4 1.(1)」の記載事項エ.に、「高齢者でも容易に着脱してアクセサリーを楽しむことができる。」と記載されているように、引用発明において、留め金23の接続の解除を容易に行うという課題は、当然、内在しているものである。そして、引用文献2に記載されたマグネット挿入部26aを設けることにより、挿入部3がマグネット挿入部26aの内壁部分によってガイドされて、挿入部3が筐体2の開口部23の周辺に引っ掛かることなく、安定して筐体2から引き抜かれるという事項は、引用発明の前記した内在する課題と関連するものであり、引用発明においても、プラグ24を本体25から引き抜く際、プラグ24の突片24Aが、内ケース27の挿入孔25A側端等に引っ掛かかることはあり得るのだから、本体25に設けた磁石31の挿入孔25A側に、前記内在する課題を改善すべく、引用文献2に記載された事項に基づき、プラグ24に設けた突片24A及び磁石24Bを挿入できる磁石挿入部を設けることは当業者が容易に想到し得たものである。 また、装飾用鎖状部材の止め具の技術分野において、鎖状部材の一端及び他端に設けた磁石同士の吸着が外れにくいものとなるように、一方の磁石の前方に、他方の磁石を挿入できるホルダーを設けることは、引用文献3(前記「第4 3.」の記載事項(1)~(3)及び図1、図2参照。)や、引用文献4(前記「第4 4.」の記載事項(1)~(4)及び第1図参照。)に記載されているように、この出願の前から周知の事項である。 そして、引用発明と、前記周知の事項とは、装飾用鎖状部材の止め具に関するものである点で技術分野が共通する上、引用文献1の前記「第4 1.(1)」の記載事項エ.に「またプラグを本体に取り付けた後には、段差を利用して脱落を防止することができ、これにより外れ難い構成としてアクセサリーを安心して楽しむことができる。」と記載されているように、引用発明は、留め金の脱落を防止するためのものといえるから、引用発明と前記周知の事項とは、鎖状部材の一端及び他端に設けた留め金を外れにくくするためのものである点で共通している。そして、引用発明は、プラグ24に設けた磁石24Bと、本体25設けた磁石31との吸着の他、「前記コイルバネ30による付勢により、前記突片24Aの前記段差24Cに前記内ケース27の挿入孔25A側端が噛み合う」ことにより、プラグ24と本体25とが接続されるものであるが、外部から大きな力が加わった場合、プラグ24に設けた磁石24Bと、本体25設けた磁石31との吸着が外れ、プラグ24と本体25との接続も外れてしまうことはあり得るのだから、引用発明において、本体25とプラグ24とが、より外れにくいものとなるように、本体25に設けた磁石31の挿入孔25A側に、前記周知の事項に基づき、プラグ24に設けた突片24A及び磁石24Bを挿入できる磁石挿入部を設けることは当業者が容易に想到し得たものである。 そうすると、引用発明に、引用文献2に記載された事項及び前記周知の事項を適用し、本願発明の前記相違点に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 (2)請求人の主張について ア.本願発明の作用効果について 請求人は、審判請求書、平成31年4月10日提出(平成31年4月11日受付)の上申書及び令和2年4月6日提出(令和2年4月7日受付)の意見書において、本願発明が「ホルダ受けの直径の長さより大きく開口すれば、完全な開口状態でなくても、引っかかることはなく、スムーズに挿入又は離脱できる」という作用効果を奏する旨、主張している。 しかしながら、引用発明は、「前記本体25の前記挿入孔25Aの奥に設けた前記磁石31が、前記外ケース28に保持されている」ことからみて、本体25の外ケース28及び内ケース27を、コイルバネ30による付勢に抗するように押圧し、挿入孔25Aの大きさをプラグ24の突片24Aの直径より大きくすれば、完全な開口状態でなくても、突片24Aが、内ケース27の挿入孔25A側端等に引っ掛かかる可能性はあるにしても、その構造上、挿入又は離脱ができるようになることは明らかである。すると、当業者であれば、引用発明から、「ホルダ受けの直径の長さより大きく開口すれば、完全な開口状態でなくても、挿入又は離脱できる」という作用効果を予測できるといえる。 一方、引用文献2には、前記したように、マグネット挿入部26aを設けることにより、挿入部3がマグネット挿入部26aの内壁部分によってガイドされて、挿入部3が筐体2の開口部23の周辺に引っ掛かることなく、安定して筐体2から引き抜かれるという事項が記載されており、また、マグネット挿入部26aは、挿入部3の挿入時にもガイドとして機能することは明らかである。すると、当業者であれば、引用文献2に記載された事項から、「引っかかることはなく、スムーズに挿入又は離脱できる」という作用効果を予測できるといえる。 そして、請求人の主張する作用効果は、引用発明から予測できる「ホルダ受けの直径の長さより大きく開口すれば、完全な開口状態でなくても、挿入又は離脱できる」という作用効果と、引用文献2に記載された事項から予測できる「引っかかることはなく、スムーズに挿入又は離脱できる」という作用効果とを、単に組み合わせたものにすぎず、引用発明及び引用文献2に記載された事項から予測できる作用効果と異質のものとはいえないし、同質であっても際だって優れたものともいえない。すると、請求人の主張する作用効果は、引用発明と引用文献2に記載された事項とを組み合わせることにより、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。 イ.引用文献に係る出願の出願人が本願発明を出願していないことについて 請求人は、審判請求書において、「引用文献1(当審注:本審決の引用文献2。以下、同様。)の人は、特許出願以前にホルダー受けを収納する筒状のホルダーを磁石の前に備えている構造の特開平10-262715と合体させる候補として、支持部材の先端に磁石を備えている構造の図面7.8(当審注:令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された引用文献5の図7,8。以下、同様。)を採用するか、又は、顎部材間の内側の一方に磁石を備えている構造の図面9.10(当審注:令和2年3月23日付け拒絶理由通知で引用された引用文献5の図9,10。以下、同様。)を採用するかの選択をする機会があった。当然、係合離脱の効果に差がある事に気がついていれば、開口してもスムーズに抜けない事もある発明より、必ずスムーズに係合離脱できる発明を出願したはずである。その後、特許審査を受けた時も、拒絶理由で、特願2006-528955の文献の存在を指摘されて、図面7.8.9.10をもう一度見る機会があった。世界で誰よりもスムーズに係合離脱できる留め具を追及し関心を持っていた引用文献1の人が、図面9.10を見ても気がつかなかったのに、その他の当業者が気づくはずもない。他の当業者の一例としてあげれば、当業者である引用文献2(当審注:本審決の引用文献1。)の人も気づかなかった。故に、当業者であっても本発明を容易に発見はできない。」旨、主張している。 しかしながら、他の特定の出願の出願人が、本願発明と同じ発明について、特許出願していないとしても、そのことをもって、当該他の特定の出願の出願人が、本願発明を容易に想到することができなかったとはいえないし、その他の者を含めた当業者が、本願発明を容易に想到することができなかったとは、なおさらいうことができない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (3)本願発明の作用効果について 本願発明の作用効果について、請求人が審判請求書等で主張する作用効果については、前記「(2)ア.」で検討したとおりである。 また、この出願の明細書に記載されている「鰐口クリップ内のバネ材の力を弱くした状態で、凸部の係止部材をどんな方向に引いても抜けなくなった。更に、鰐口クリップの後方を軽い力で閉じる動作をしても、容易に係合離脱出来るようになった。」(段落【005】)という作用効果についても、前記したように、装飾用鎖状部材の止め具の技術分野において、鎖状部材の一端及び他端に設けた磁石同士の吸着が外れにくいものとなるように、一方の磁石の前方に、他方の磁石を挿入できるホルダーを設けることが周知の事項であることを考慮すると、引用発明及び前記周知の事項から、当業者が予測できる範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。 すると、本願発明の作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び前記周知の事項から当業者が予測できる範囲のものである。 第7 むすび したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び前記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、この出願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2019-005115

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決5件(有限会社宝石のエンジェル)
  • 2020-390092訂正審判 / 2021-01-06 / 訂正認容装飾品鎖状端部の留め具
    同じ当事者: 有限会社宝石のエンジェル
  • 2019-390025訂正審判 / 2019-05-08 / 訂正認容装飾品鎖状端部の留め具
    同じ当事者: 有限会社宝石のエンジェル
  • 2018-390028訂正審判 / 2018-03-19 / 訂正認容装飾品鎖状端部の留め具
    同じ当事者: 有限会社宝石のエンジェル
  • 2017-390038訂正審判 / 2017-08-04 / 訂正認容装飾品鎖状端部の留め具
    同じ当事者: 有限会社宝石のエンジェル
  • 2016-390150訂正審判 / 2017-05-15 / 請求不成立装飾品鎖状端部の留め具
    同じ当事者: 有限会社宝石のエンジェル
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2023-020522拒絶査定不服審判 / 2026-02-06 / 請求不成立放射状ペンダント
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-012031拒絶査定不服審判 / 2025-06-27 / 請求不成立肌照明デバイス
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2020-012383拒絶査定不服審判 / 2021-01-20 / 請求不成立イヤリング
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2017-017982拒絶査定不服審判 / 2019-11-25 / 請求不成立栓、封止部材、封止具、留置、止める
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2018-011976拒絶査定不服審判 / 2019-09-10 / 請求不成立多様な形態を採用可能な装身具
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)59件(121・A44C)
  • 2024-014890拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)物体をアニメーション化するための機構を含む宝石類の部品
    共通の審決分類: 121・A44C
  • 2024-017944拒絶査定不服審判 / 2026-07-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)携帯用宝飾品
    共通の審決分類: 121・A44C
  • 2024-015236拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)缶製品及び缶製品作成方法
    共通の審決分類: 121・A44C
  • 2025-000879拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 請求不成立連結体および時計
    共通の審決分類: 121・A44C
  • 2024-017734拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)刺繍アクセサリ
    共通の審決分類: 121・A44C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存