審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2020-007445

商品供給システム

審判番号
2020-007445
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-091795外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年06月02日
審決日
2022年03月15日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .55 -WZ (G06Q) / P18 .572-WZ (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第1項第3号、特許法第37条、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 91795「商品供給システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月 6日出願公開、特開2018-139142〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成25年10月7日(優先権主張 平成25年8月9日)に出願した特願2013-210046号の一部を平成30年5月11日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 6月 1日 手続補正書の提出

令和 元年 7月 5日 拒絶理由通知書(起案日)

令和 元年11月12日 意見書、手続補正書の提出

令和 2年 2月26日 拒絶査定(起案日)

令和 2年 6月 2日 審判請求書、手続補正書の提出

令和 3年 7月15日 拒絶理由通知書(起案日)

令和 3年 9月 7日 意見書、手続補正書の提出

令和 3年10月 6日 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書(起案日)

令和 3年11月30日 意見書、手続補正書の提出

第2 令和3年11月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和3年11月30日にされた手続補正を却下する。

[理由]

1 令和3年11月30日にされた手続補正(以下、「本件補正2」という。)について

(1)本件補正2後の特許請求の範囲の記載

本件補正2により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「商品供給システムであって、
需要者により選択され、いずれの供給者でもよいという情報を含む供給者選択情報を記憶する管理システムと、
前記供給者から前記需要者への配送内容を決定し配送情報を作成する前記管理システムが備える作成手段と、
複数のストッカ納品庫を有するストッカと、を備え、
前記管理システムは、前記配送内容に係る供給商品の温度管理情報をストッカに送信するものであり、
前記ストッカは前記供給商品の温度管理情報によって、前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定するものであり、
前記商品供給システムはさらに、
前記供給者から前記需要者への配送内容を示す配送情報を前記管理システムから前記ストッカ部記憶手段に送信するストッカ通信手段と、
前記ストッカ納品庫のそれぞれの温度を制御して、列毎の前記ストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理する制御部を備えること、
を特徴とする商品供給システム。」

(2)本件補正2前の特許請求の範囲

本件補正2前の、令和3年9月7日にされた手続補正(以下、「本件補正1」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「需要者により選択され、いずれの供給者でもよいという情報を含む供給者選択情報を記憶する管理システムと、
前記供給者から前記需要者への配送内容を決定し配送情報を作成する前記管理システムが備える作成手段と、
複数のストッカ納品庫を有するストッカと、
前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する前記ストッカが備えるストッカ部記憶手段と、
前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段と、
前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段と、
前記供給者から前記需要者への配送内容を示す配送情報を前記管理システムから前記ストッカ部記憶手段に送信するストッカ通信手段と、を備え、
前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるものであり、前記ストッカはさらに前記垂直方向の縦列ごとに温度を異ならせるように制御する制御部を備えること、
を特徴とする商品供給システム。」

(3)本件補正2により、明細書段落【0006】が、上記(1)と同様に補正された。

2 補正の適否

本件補正2は、特許法第17条の2第1項第3号に掲げる、令和3年10月6日付けの最後の拒絶理由通知に係る第50条の規定により指定された期間内にする補正であるから、同法第17条の2第3項(新規事項の追加)及び同法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件を満たさなければならないほか、特許請求の範囲についてする補正は、同法17条の2第5項第1号~4号に掲げる事項を目的とするものに限られる。

本件補正2の適否について以下に検討する。

(1)特許法第17条の2第3項(新規事項の追加)及び同法第17条の2第4項(シフト補正)について

ア 「前記配送内容に係る供給商品の温度管理情報をストッカに送信する」について

本件の願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「また、供給商品温度管理情報は供給者情報に含まれる。そして、情報記憶手段より前記ストッカ通信手段により前記ストッカ部記憶手段にその情報は送信される。」と記載されているから、本件の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「前記配送内容に係る供給商品の温度管理情報をストッカに送信する」が記載されている。

イ 「前記ストッカは前記供給商品の温度管理情報によって、前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定する」について

当初明細書等の段落【0016】には、「図3に示すストッカは、温度管理機構を設けてもよい。また、温度管理機構の持つ情報からどの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定し、」と記載されているから、当初明細書等には、「前記ストッカは前記供給商品の温度管理情報によって、前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定する」ことが記載されている。

ウ 制御部が、「前記ストッカ納品庫のそれぞれの温度を制御して、列毎の前記ストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理する」について

当初明細書等には、「省電力なブロック温度管理をできるようにしてもよい。」(段落【0016】)、「最も左の列501、502、503は55℃、504、505、506は常温(温度管理必要なし)、507、508、509は20℃、510、511、512は冷蔵(10℃)、最も右の列513、514、515は冷凍(-18℃)というように段階的に温度管理を行うことも消費電力を少なくすることに繋がる。」(段落【0017】)と記載されていることから、当初明細書等には、「前記ストッカ納品庫のそれぞれの温度を制御して、列毎の前記ストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理する」ことが記載され、温度管理制御は、消費電力管理システムが、ストッカ部記憶手段の「供給商品温度管理情報」に基づいて行うから、「ストッカ納品庫」の「制御部」が行うことも当初明細書等の記載事項から明らかである。

エ 以上、ア~ウによると、本件補正2は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであり、本件補正2前の請求項1に係る発明と本件補正2後の請求項1に係る発明とは、特許法37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当することは明らかであるから、本件補正2は、特許法第17条の2第3項及び同条第4項に規定する要件を満たすものである。

(2)特許法第17条の2第5項各号について

ア 特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)について

本件補正2の前後で請求項の数はいずれも一であるから、本件補正2のうち特許請求の範囲についてする補正は、請求項の削除を目的とするものではない。

イ 特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)について

本件補正2のうち特許請求の範囲についてする補正は、請求項1について次の補正事項を含むものである。

補正事項2-1

本件補正2前の「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」を本件補正2後の「前記管理システムは、前記配送内容に係る供給商品の温度管理情報をストッカに送信するものであり、」とする補正

補正事項2-2

本件補正2前の「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」を、本件補正2後の「前記ストッカは前記供給商品の温度管理情報によって、前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定するものであり、」とする補正

補正事項2-3

本件補正2前の「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるものであり、前記ストッカはさらに前記垂直方向の縦列ごとに温度を異ならせるように制御する制御部」を、本件補正2後の「前記ストッカ納品庫のそれぞれの温度を制御して、列毎の前記ストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理する制御部」とする補正

(ア)補正事項2-1について

本件補正2前の「温度別ブロック情報」を本件補正後の「温度管理情報」と変更し、温度の情報を、本件補正前のストッカから管理システムに通信することから、本件補正2後の管理システムからストッカに送信すると変更し、送信される「温度」に関する情報、及び、送信方向を逆方向に変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

(イ)補正事項2-2について

本件補正2前の、管理システムが、ストッカへの配送可否を判断するものを、本件補正2後の、ストッカが、供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定するものと変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

(ウ)補正事項2-3について

本件補正2前の、ブロック別に複数のストッカ納品庫を温度管理するものを、本件補正2後の、それぞれのストッカ納品庫を温度管理するものに変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

(エ)小括

上記(ア)~(ウ)のとおり、本件補正2のうち、特許請求の範囲についてする補正は、構成を変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもない。

ウ 特許法第17条の2第5項第3号(誤記の訂正)について

本件補正2前の特許請求の範囲の請求項1の記載に誤記はないから、本件補正2のうち特許請求の範囲についてする補正は、誤記の訂正を目的とするものではない。

エ 特許法第17条の2第5項第4号(明りようでない記載の釈明)について

本件補正2前の請求項1に記載された「温度別ブロック情報」について、令和3年10月6日付けで通知した拒絶理由において、「『温度別ブロック情報』が、ブロックの温度の情報を有しているのか、有していないのか明確でない。」と、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないと示した。少なくとも、補正事項2-1及び補正事項2-2は、上記拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする「明りようでない記載の釈明」を目的とするものではない。

すなわち、補正事項2-1は、本件補正2前の「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」の記載を、本件補正2後の「前記管理システムは、前記配送内容に係る供給商品の温度管理情報をストッカに送信するものであり、」と補正するものであるが、本件補正2前は、温度に関する情報(温度別ブロック情報)をストッカから管理システムに通信するのに対し、本件補正2後は、温度に関する情報(温度管理情報)を管理システムからストッカに通信するものに変更するものであって、通信の方向を逆方向に変更するものである。

また、補正事項2-2は、本件補正2前の「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」の記載を「前記ストッカは前記供給商品の温度管理情報によって、前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定するものであり」と補正するものであるが、本件補正2前は、「前記ストッカへの配送可否を判断する」「管理システムが備える判断手段」であるのに対し、本件補正2後は「ストッカは・・・前記供給商品をいずれのストッカ納品庫に納品するかを決定する」構成であって、本件補正2の前後で、判断の内容及び判断の主体が異なるものである。

このように、補正事項2-1における通信の方向を逆方向に変更する補正、補正事項2-2における判断の内容及びその主体を変更する補正は、上記令和3年10月6日付け拒絶理由通知書で通知した「『温度別ブロック情報』が、ブロックの温度の情報を有しているのか、有していないのか明確でない」という拒絶の理由に示す事項についてするものということはできないから、補正事項2-1及び補正事項2-2は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり、本件補正2のうち、特許請求の範囲についてする補正事項2-1及び補正事項2-2は、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

本件補正2は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、本件補正1により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記「第2 1 (2)本件補正前の特許請求の範囲」のとおりのものである。

第4 当審において通知した拒絶理由の概要

令和3年10月6日付けで当審において通知した最後の拒絶理由の要旨は、次のとおりのものである。

1 理由1(特許法第36条第6項第2号)

請求項1に「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるものであり」と記載されているが、「温度別ブロック情報」は、「温度別」という記載にもかかわらず、請求項1において、ブロックがストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに分けられたとしか定義されておらず、「温度別ブロック情報」が、ブロックの温度の情報を有しているのか、有していないのか明確でない。

よって、請求項1に係る発明は明確でない。

2 理由2(特許法第36条第6項1号)

請求項1に記載された「前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する前記ストッカが備えるストッカ部記憶手段」、「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」、「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」、「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるもの」について

明細書の発明の詳細な説明によると、

「ストッカ納品庫301乃至303のストッカ占有情報が『空き』を示すことにより、『横並び3つ連続納品庫空き』を示」し、「管理システム1は『3つ連続納品庫空き』が必要な商品26を配送可能と判断する」こと(【0016】)、

「ストッカ納品庫402、413、415について温度管理」を行うこと(【0017】)、

「最も左の列501、502、503は55℃、504、505、506は常温(温度管理必要なし)、507、508、509は20℃、510、511、512は冷蔵(10℃)、最も右の列513、514、515は冷凍(-18℃)というように段階的に温度管理を行う」こと(【0017】)、

管理システムから送信される「供給商品温度管理情報」によって、ストッカが、どの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定し、ストッカの消費電力管理システムが省電力なブロック温度管理を行うこと(【0016】、【0017】)、

「最も左の列501、502、503は55℃、504、505、506は常温(温度管理必要なし)、507、508、509は20℃、510、511、512は冷蔵(10℃)、最も右の列513、514、515は冷凍(-18℃)というように段階的に温度管理を行う」こと(【0017】)、

が記載されている。

そうすると、発明の詳細な説明には、ストッカ納品庫のそれぞれの温度を制御して、列毎のストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理することは記載されているが、ブロックの情報である「温度別ブロック情報」は記載されていない。

また、発明の詳細な説明には、管理システムから「供給商品温度管理情報」をストッカに送信することは記載されているが、ストッカから管理システムに温度の情報を送信することは記載されておらず、ストッカから管理システムに温度別ブロック情報を通信(送信)することは記載されていない。

また、発明の詳細な説明は、管理システムから送信される「供給商品温度管理情報」によって、ストッカが、どの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定することが記載されているが、管理システムが、温度別ブロック情報により、ストッカへの配送可否を判断することも記載されていない。

したがって、請求項1に記載された「前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する前記ストッカが備えるストッカ部記憶手段」、「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」、「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」、「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるもの」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

3 理由3(特許法第17条の2第3項)

上記理由2と同様の理由により、補正後の請求項1、及び、補正後の明細書の段落【0006】における「前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する前記ストッカが備えるストッカ部記憶手段」、「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」、「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」、「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるもの」とする補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、令和3年9月7日提出の手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第5 本件補正1の適否についての判断(特許法第17条の2第3項)

1 本件補正1について

(1)本件補正1後の特許請求の範囲の記載

本件補正1により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「需要者により選択され、いずれの供給者でもよいという情報を含む供給者選択情報を記憶する管理システムと、
前記供給者から前記需要者への配送内容を決定し配送情報を作成する前記管理システムが備える作成手段と、
複数のストッカ納品庫を有するストッカと、
前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する前記ストッカが備えるストッカ部記憶手段と、
前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段と、
前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段と、
前記供給者から前記需要者への配送内容を示す配送情報を前記管理システムから前記ストッカ部記憶手段に送信するストッカ通信手段と、を備え、
前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるものであり、前記ストッカはさらに前記垂直方向の縦列ごとに温度を異ならせるように制御する制御部を備えること、
を特徴とする商品供給システム。」

(2)本件補正1前の特許請求の範囲

本件補正1前の、令和2年6月2日に提出された手続補正書による手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
複数のストッカ納品庫を有するストッカと、
ストッカ部記憶手段と、
供給者から需要者への配送内容を示す配送情報と前記配送情報に含まれる供給商品の温度管理情報を前記ストッカ部記憶手段に送信するストッカ通信手段と、
続きを表示(全21行)
前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫をブロックに分けたときに前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられた場合に、前記垂直方向の縦列ごとに温度を異ならせるように制御する制御部と、を有すること、
を特徴とする商品供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の商品供給システムは、
前記ストッカのストッカ占有情報を含み、
前記配送情報、及び、前記ストッカ占有情報より前記ストッカへの配送可否を判断する判断手段を含み、
前記ストッカ占有情報を記憶する前記ストッカ部記憶手段を含み、
前記ストッカ内に設けられる複数のストッカ納品庫を有する商品供給システム。
【請求項3】
請求項2に記載の商品供給システムは、
前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫の内、少なくとも一つ以上の前記ストッカ納品庫に光学センサを有し、
前記光学センサにより前記ストッカ占有情報を作成し、
前記ストッカ占有情報を含めて、前記ストッカへの配送内容を決定し前記配送情報を作成すること、
を特徴とする商品供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の商品供給システムは、
前記ストッカ納品庫内での納品、又は、受け取りの完了を検知し、納品、又は、受け取りが完了した場合、一定時間経過後に前記ストッカ納品庫に備えられるロックを行うことを特徴とする商品供給システム。」

(3)本件補正1により、明細書段落【0006】が、上記(1)と同様に補正された。

(4)補正事項

本件補正1は、特許請求の範囲の請求項1及び明細書段落【0006】について、次の補正事項を含むものである。

補正事項1

ストッカが備えるストッカ部記憶手段が、「前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する」とする補正

補正事項2

「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」とする補正

補正事項3

「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」とする補正

補正事項4

「前記温度別ブロック情報は前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられるもの」とする補正

2 当初明細書等の記載

当初明細書等には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審が付した。

「【0013】
図3は、商品、数量、ストッカ、ストッカ占有情報、及び、ストッカスペース情報の関係を示す図である。図3では、この関係を示すためストッカ納品庫301乃至303により説明する。図3の上段では、ストッカ301乃至303には商品が納品されており、ストッカ占有情報は「納品」を示す。そして、図3の中段において需要者が受け取りを行うとストッカ占有情報が「空き」を示す。また、ストッカスペース情報はストッカ納品庫301乃至303のストッカ占有情報が「空き」を示すことにより、「横並び3つ連続納品庫空き」を示す。このような情報から、管理システム1は「3つ連続納品庫空き」が必要な商品26を配送可能と判断し、配送情報を作成する。本実施例においてはスペースにより配送可否を判断したが、ストッカやストッカ納品庫の耐荷重情報によって、又は、それらを加味して配送可否を判断してもよい。」
「【0016】
図3に示すストッカは、温度管理機構を設けてもよい。また、温度管理機構の持つ情報からどの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定し、省電力なブロック温度管理をできるようにしてもよい。また、ストッカに例えばプラズマによる清掃機能や、臭いを検知する気体センサなどを設けてもよい。さらに、ストッカ占有情報やストッカスペース情報を作成するために、重量センサ、光学センサ、接触センサ、撮像装置などを設けてもよい。そして、ストッカはストッカ納品庫の利用頻度情報を管理するようにしてもよい。
【実施例2】
【0017】
続きを表示(全12行)
図4、図5により実施例2を説明する。図4はストッカの温度管理を示したものである。ストッカには図示しない温度管理機構が少なくとも一つ以上のストッカ納品庫に備えられている。図4ではストッカ納品庫402、413、415について温度管理が必要なことを示している。また、供給商品温度管理情報は供給者情報に含まれる。そして、情報記憶手段より前記ストッカ通信手段により前記ストッカ部記憶手段にその情報は送信される。さらに、その情報によって消費電力管理システムが温度管理を行う。図5は、ストッカの消費電力を少なくするためにほぼ同一の温度管理が必要なストッカ納品庫を近づけるような配置にするものである。こうすることにより、例えば、ストッカ納品庫514を冷蔵状態にする場合にストッカ納品庫513及びストッカ納品庫515による保冷効果を受けることができる。さらに、同様に考えると、最も左の列501、502、503は55℃、504、505、506は常温(温度管理必要なし)、507、508、509は20℃、510、511、512は冷蔵(10℃)、最も右の列513、514、515は冷凍(-18℃)というように段階的に温度管理を行うことも消費電力を少なくすることに繋がる。
【0018】
また、図4のストッカ納品庫402、413、415以外のストッカ納品庫がストッカ占有情報において「納品」を示す場合には、通常の配送情報によって図5のような状態にすることはできない。このような場合、商品供給システムから配送情報を変更することにより図5の状態にすることもできる。図4から図5への置き換えはロボットによって自動で行われてもよいし、配送員による置き換えが行われてもよい。特に、長期間受け取りができない需要者がいる場合には、置き換えを行うことで消費電力をより少なくすることができる。
【実施例3】
【0020】
図6により実施例3を説明する。図6はストッカ納品庫603内の画像処理システム601とその汚れ602を示すものである。ストッカ納品庫にはさまざまな商品の納品が予定されている。つまり、取り扱う商品によってはストッカ納品庫内を汚すことがある。このようなときに、次の商品を納品するとその汚れが次の商品に付着することがある。これは需要者にとって望ましいことではない。このような事態を避けるために、ストッカ納品庫603に画像処理システム601を設けて、庫内の汚れを管理し所定のしきい値を超えたら異常とする管理を行う。異常情報管理システムにより異常と判断されたら、その異常がなくなるまでストッカ納品庫に対して配送は行われない。また、商品配送システムは、ロボットによる自動清掃か、配送員など人による清掃が必要かを判断し指示を行う。清掃はプラズマ装置を用いてもよい。
【0021】
同様にストッカ納品庫603に異常検知装置付きのロックを設け、不当にロックが解除されていないかなどの異常情報を管理することもできる。また、臭いを検知する気体センサを設けて、所定のしきい値を超えたら異常と判断するような管理をすることもできる。さらに、画像処理システム601により、ストッカ納品庫の破損のような異常を管理することもできる。そして、停電のような異常を電力管理システムにより管理することもできる。これらは、ストッカ納品庫毎に行ってもよいし、ブロック単位で行ってもよいし、ストッカ全体で行うこともできる。それぞれの機能は一つずつだけではなく、複数設けることも可能である。異常情報はストッカの管理者、需要者又は供給者に送信される。」

3 本件補正1の適否

(1)補正事項1、補正事項2について

段落【0016】には、当初明細書等には、「省電力なブロック温度管理をできる」こと、段落【0018】には、管理システムから「供給商品温度管理情報」をストッカに送信すること、段落【0021】には、不当なロック解除、臭い、破損、停電などの異常の管理をブロック単位で行ってもよいことは記載されているが、当初明細書等には、「温度別ブロック情報」は記載されておらず、ストッカから管理システムに温度別ブロック情報を送信(通信)すること、ストッカから管理システムにストッカの温度管理の情報を送信することも記載されていない。

よって、当初明細書等には、ストッカが備えるストッカ部記憶手段が、「前記ストッカの温度別ブロック情報を記憶する」とすること(補正事項1)、「前記温度別ブロック情報を通信する前記ストッカから前記管理システムへの通信手段」(補正事項2)は、記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

(2)補正事項3について

段落【0013】によると、当初明細書等には、「ストッカ納品庫301乃至303のストッカ占有情報が『空き』を示すことにより、『横並び3つ連続納品庫空き』を示」し、「管理システム1は『3つ連続納品庫空き』が必要な商品26を配送可能と判断する」こと、及び、段落【0016】、【0017】によると、当初明細書等には、管理システムから送信される「供給商品温度管理情報」によって、ストッカが、どの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定し、ストッカの消費電力管理システムが省電力なブロック温度管理を行うことが記載されている。

また、段落【0018】によると、当初明細書等には、「ストッカ納品庫がストッカ占有情報において『納品』を示す」場合に、「商品供給システムから配送情報を変更する」ことができること、配置換えは、ロボットや、配送員によって行われることが記載されている。

そうすると、当初明細書等には、管理システムが、配送情報により、ストッカへの配送可否を判断することは記載されているが、管理システムが、温度別ブロック情報により、ストッカへの配送可否を判断することは記載されていない。

よって、当初明細書等には、「前記配送情報、及び、前記温度別ブロック情報より、前記ストッカへの配送可否を判断する前記管理システムが備える判断手段」は記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

(3)補正事項4について

段落【0016】によると、「ストッカは、温度管理機構を設け」、「温度管理機構の持つ情報からどの商品をどのストッカ納品庫に納品するかを決定し、省電力なブロック温度管理をできるようにしてもよい」こと、段落【0017】によると、当初明細書等には、「最も左の列501、502、503は55℃、504、505、506は常温(温度管理必要なし)、507、508、509は20℃、510、511、512は冷蔵(10℃)、最も右の列513、514、515は冷凍(-18℃)というように段階的に温度管理を行う」ことが記載されているが、ストッカ納品庫は、個別に温度の制御をすることが可能であり、列毎のストッカ納品庫をそれぞれ同じ温度に温度管理することが記載されているのであって、ストッカの温度をブロック別に管理する情報、あるいは、温度別に管理されたブロックの情報である「前記ストッカ内に設けられる前記複数のストッカ納品庫を前記ブロックに分け、前記ブロックが前記ストッカ納品庫の垂直方向の縦列ごとに設けられる」「温度別ブロック情報」は記載されていないし、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

(4)小括

上記(1)~(3)のとおり、本件補正1により追加された補正事項1~補正事項4については、当初明細書等には記載がなされていないし、当初明細書等に記載された事項から自明な事項でもない。そして、本件補正1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、「温度別ブロック情報」という新たな技術的事項を導入するものであり、これにより、さらに、ストッカに「温度別ブロック情報」を記憶し、管理システムに「温度別ブロック情報」を通信することにより、管理システムが「温度別ブロック情報」によりストッカへの配送可否を判断するという、新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件補正1は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第6 むすび

以上のとおり、令和3年9月7日に提出された手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2020-007445

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決129件(株式会社FUJI)
  • 2025-001122拒絶査定不服審判 / 2026-04-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)部品実装機
    同じ当事者: 株式会社FUJI
  • 2025-001766拒絶査定不服審判 / 2026-02-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)粘性流体供給装置
    同じ当事者: 株式会社FUJI
  • 2024-010368拒絶査定不服審判 / 2026-01-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)トレイ式部品供給装置
    同じ当事者: 株式会社FUJI
  • 2024-004385拒絶査定不服審判 / 2025-07-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)安全センサ及びその調整方法
    同じ当事者: 株式会社FUJI
  • 2024-011545拒絶査定不服審判 / 2025-07-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)倉庫システム
    同じ当事者: 株式会社FUJI
検索でもっと見る →
同じ根拠条文の審決305件(特許法17条の2第3項)
  • 2025-000076拒絶査定不服審判 / 2025-10-16 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
    共通の条文: 特許法17条の2第3項
  • 2024-015824拒絶査定不服審判 / 2026-03-06 / 請求不成立携帯端末及びプログラム
    共通の条文: 特許法17条の2第3項
  • 2023-020481拒絶査定不服審判 / 2024-05-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)人流データ表示システムおよび人流データ表示方法
    共通の条文: 特許法17条の2第3項
  • 2022-009888拒絶査定不服審判 / 2023-12-25 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
    共通の条文: 特許法17条の2第3項
  • 2022-014706拒絶査定不服審判 / 2023-08-22 / 請求不成立モジュラーキャンプ分類及び動的積み込みレイアウト生成のためのシステムおよび方法
    共通の条文: 特許法17条の2第3項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)111件(55・G06Q、572・G06Q)
  • 2025-000076拒絶査定不服審判 / 2025-10-16 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
    共通の審決分類: 55・G06Q、572・G06Q
  • 2023-012462拒絶査定不服審判 / 2024-06-05 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
    共通の審決分類: 55・G06Q、572・G06Q
  • 2018-015777拒絶査定不服審判 / 2020-02-14 / 請求不成立予測装置、予測方法、及び予測プログラム
    共通の審決分類: 55・G06Q、572・G06Q
  • 2024-007607拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)ツールクリブ管理システムにおいて管理される自動化ツール制御デバイス
    共通の審決分類: 55・G06Q
  • 2025-011716拒絶査定不服審判 / 2026-08-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 55・G06Q

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存