2022-009888
情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
- 審判番号
- 2022-009888
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-189011外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月28日
- 審決日
- 2023年12月25日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】LINEヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .57 -WZ (G06Q) / P18 .56 -WZ (G06Q) / P18 .55 -WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続きの経緯
本願は、令和元年10月15日の特許出願であり、同3年10月29日付けで拒絶理由が通知され、同年12月27日に手続補正書(以下、この手続補正書でした補正を「本件補正1」という。)と意見書が提出されたものの、同4年3月18日付けで拒絶査定がなされた。その後、同年6月28日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書(同「本件補正2」という。)が提出されたが、当審において、同5年6月8日付けの決定で本件補正2は却下され、同日付で拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知(最後の拒絶理由通知)がなされ、同年8月14日に手続補正書(同「本件補正3」という。)と意見書が提出された。
第2 本件補正3の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和5年8月14日提出の手続補正書による補正(本件補正3)を却下する。
[補正却下の決定の理由]
1 本件補正3の概要
(1)本件補正3による補正前及び補正後の請求項1の記載は、下記のとおりである。(下線は当審において付した。)
ア 補正前の請求項1(本件補正1による補正後の請求項1)
「モール型の電子商店街において販売される取引対象に関する情報であって、当該電子商店街において取引対象を販売する複数の出品者がそれぞれ個別に登録した取引対象に関する情報が登録された記憶部と、所定の取引対象に関する情報と他の取引対象に関する情報との比較結果が予め定められた条件を満たすか否かに基づいて、当該他の取引対象が、前記所定の取引対象とあらかじめ定められた所定の関係性を満たす関係取引対象であるかを推定する推定部と、利用者によっていずれかの出品者により出品された取引対象が選択された場合は、当該選択された取引対象である選択取引対象に関する情報を第1情報として前記記憶部から抽出するとともに、当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報を第2情報として前記記憶部から抽出する抽出部と、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記選択取引対象の出品者から当該選択取引対象を購入するためのコンテンツであって、前記選択取引対象に関する情報と、前記関係取引対象に関する情報とを含むコンテンツを生成し、生成したコンテンツを前記利用者に提示する提示部とを有することを特徴とする情報処理装置。」
イ 補正後の請求項1
「モール型の電子商店街において販売される取引対象に関する情報であって、当該電子商店街において取引対象を販売する複数の出品者がそれぞれ個別に登録した取引対象に関する情報が登録された記憶部と、所定の取引対象に関する情報と他の取引対象に関する情報との比較結果が予め定められた条件を満たすか否かに基づいて、当該他の取引対象が、前記所定の取引対象とあらかじめ定められた所定の関係性を満たす関係取引対象であるかを推定する推定部と、利用者によっていずれかの出品者により出品された取引対象が選択された場合は、当該選択された取引対象である選択取引対象に関する情報を第1情報として前記記憶部から抽出するとともに、当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象を出品した出品者および当該出品者とは異なる出品者が出品した関係取引対象に関する情報を第2情報として前記記憶部から抽出する抽出部と、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記選択取引対象の出品者から当該選択取引対象を購入するためのコンテンツであって、前記選択取引対象に関する情報と、前記関係取引対象に関する情報とを含むコンテンツを生成し、生成したコンテンツを前記利用者に提示する提示部とを有することを特徴とする情報処理装置。」
(2)上記(1)の本件補正3による補正は、請求項1の「抽出部」が「第2情報」として「記憶部」から抽出する情報について、補正前には「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象が、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報」であるとされていたものを、補正後には「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象を出品した出品者および当該出品者とは異なる出品者が出品した関係取引対象に関する情報」とすること(以下「本件補正事項」という。)を含むものである。
2 目的要件の判断
(1)本件補正3は、当審拒絶理由の通知(最後の拒絶理由通知)に係る指定期間内になされたものであり、特許法17条の2同条第1項第3号に掲げる場合において特許請求の範囲についてする補正に該当し、同条第5項が規定する要件(目的要件)に適合することを要する。
(2)そこで、本件補正3が目的要件に適合するかを検討すると、下記のとおり、同条同項各号のいずれに掲げる事項を目的とするものとも認められない。
ア 本件補正3による補正前の請求項数及び補正後の請求項数はいずれも12であって、請求項は削除されていないから、本件補正3は、同条同項1号に掲げる事項を目的とするものではない。
イ 本件補正事項による補正後の「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象」の「関係取引対象に関する情報」から「抽出部」が「第2情報」として抽出する条件である、「関係取引対象」が「前記選択取引対象を出品した出品者および当該出品者とは異なる出品者が出品した」ものであることは、モール型の電子商店街に取引対象を出品するいずれの出品者が出品した関係取引対象であっても満たされ、「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象」の「関係取引対象に関する情報」を「第2情報」として絞り込むための抽出条件として機能しない。してみると、本件補正事項は、補正前に「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象」から「抽出部」が「第2情報」として絞り込むための抽出条件を、「前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する」との絞り込みのための抽出条件として機能するものから、「第2情報」の絞り込みのための抽出条件として機能しないものに変更しようとするものであり、「前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する」との記載により示された抽出条件を実質的に削除しようとするものと認められる。
このことを踏まえれば、本件補正事項を含む本件補正3は、発明特定事項である「抽出部」が「第2情報」として抽出する条件である直列的に連接された条件の一部を実質的に削除するものであり、発明特定事項の減縮を目的とする補正に該当しないことから、同条同項2号に掲げる事項を目的とするものではない。
なお、仮に、抽出条件として実質的に機能するものであったとしても、「前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する」との抽出条件から、「前記選択取引対象を出品した出品者および当該出品者とは異なる出品者が出品した」ものであるとの抽出条件に変更するものであるから、発明特定事項の減縮を目的とする補正に該当せず、同条同項2号に掲げる事項を目的とするものではない。
ウ 本件補正3による補正前の請求項1に誤記は見当たらず、上記イに照らして本件補正事項は誤記の訂正を内容とするものでもないことから、本件補正3は、同条同項3号に掲げる事項を目的とするものではない。
エ 本件補正3は、拒絶理由中で特許請求の範囲が明りょうでない旨を指摘した事項についてその記載を明りょうにするものでなく、上記イに照らして本件補正事項が明りょうでない記載の釈明を内容とするものともいえないことから、本件補正3は、同条同項4号に掲げる事項を目的とするものではない。
(3)よって、本件補正3は、特許法17条の2第5項各号のいずれに掲げる事項を目的とするものでもなく、同項が規定する要件に違反するものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件補正3は、特許法17条の2第5項が規定する要件に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用される同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。
第3 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
本件補正1は、補正後の請求項1の記載について、「抽出部」が「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報」を第2情報として記憶部から抽出する旨の記載を含むものである点で、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2 本件補正1の概要
(1)本件補正1は、請求項1の記載を上記「第2」の1(1)アに示したとおりに補正しようとするものである。(下記に再掲。下線は当審において付した。)
「モール型の電子商店街において販売される取引対象に関する情報であって、当該電子商店街において取引対象を販売する複数の出品者がそれぞれ個別に登録した取引対象に関する情報が登録された記憶部と、所定の取引対象に関する情報と他の取引対象に関する情報との比較結果が予め定められた条件を満たすか否かに基づいて、当該他の取引対象が、前記所定の取引対象とあらかじめ定められた所定の関係性を満たす関係取引対象であるかを推定する推定部と、利用者によっていずれかの出品者により出品された取引対象が選択された場合は、当該選択された取引対象である選択取引対象に関する情報を第1情報として前記記憶部から抽出するとともに、当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報を第2情報として前記記憶部から抽出する抽出部と、前記第1情報と前記第2情報とに基づいて、前記選択取引対象の出品者から当該選択取引対象を購入するためのコンテンツであって、前記選択取引対象に関する情報と、前記関係取引対象に関する情報とを含むコンテンツを生成し、生成したコンテンツを前記利用者に提示する提示部とを有することを特徴とする情報処理装置。」
(2)上記(1)の本件補正1による補正後の請求項1の記載は、「抽出部」が「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報」を第2情報として記憶部から抽出する旨の記載(以下「記載1’」という。)を含むものである。
3 新規事項追加禁止要件の判断
(1)記載1’に関連する当初明細書等の記載は、次のとおりである。(下線は当審において付した。)
「【0013】端末装置10は、ユーザ(エンドユーザ)によって利用される情報処理端末である。端末装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。また、例えば、端末装置10は、情報処理装置100にアクセスすることで、情報処理装置100の事業者(「事業者T」とする)により運営される電子商取引サービスに対応する各種コンテンツを表示画面に表示する。本実施形態では、事業者Tにより運営される電子商取引サービス(ショッピングサービス)のサービス名(および、サイト名)を「Bモール」とする。また、「Bモール」では、様々なストアにより出品された商品が一元管理されるとともにユーザに販売されている。したがって、「Bモール」のような販売形態は、電子商店街、あるいは、電子モール等と呼ばれる場合がある。」
「【0036】次に、情報処理装置100は、処理対象の関係性を決定する(ステップS13)。具体的には、情報処理装置100は、処理対象の商品とどのような関係性にある商品を推定するのか、この処理対象の関係性を決定する。図1の例では、情報処理装置100は、商品NMX1とどのような関係性にある商品を推定するのか、この処理対象の関係性を決定する。処理対象の関係性となり得る候補の関係性としては、兄弟関係、親子関係(後述)または類似関係(後述)等があるが、ここでは情報処理装置100は、処理対象の関係性として兄弟関係(属性違い)を決定したものとする。すなわち、情報処理装置100は、商品NMX1と比較して同一商品と規定できる商品である一方で、属性情報「モデル情報」が異なることにより兄弟関係にある商品を推定する処理を行うことを決定したものとする。」
(2)ア 上記(1)の記載によれば、当初明細書等には、「兄弟関係」、「親子関係」及び「類似関係」等の「関係性」を決定(推定)することによって「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象に関する情報」を第2情報として抽出する旨が記載されている。
イ 他方、当初明細書等においては、記載1’に示された、「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象であって、前記選択取引対象とは異なる出品者が販売する関係取引対象に関する情報」を第2情報として抽出する旨は記載されていない。
のみならず、当初明細書等には、「前記選択取引対象とは異なる出品者」が販売する取引対象とこれ以外のものとの区別を前提とした課題や課題解決手段について、明示的な記載はなく、これを示唆する記載も見当たらない。
そして、このような区別や区別を前提とした課題や課題解決手段は、「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象」とともに表示される情報の抽出条件に係るものであり、情報を抽出して表示する発明として別の内容を特定するものであって、当初明細書等に明示的に記載されていなければその記載の範囲内とすることができない事項であり、上記(1)の段落【0013】の記載が、このような区別を前提とした課題や解決手段の記載でないことは、明らかである。
(3)審判請求人の主張について
審判請求人は、当審拒絶理由の通知に対する応答期間内である令和5年8月14日提出の意見書において、本件補正3を前提として、これによる補正後の請求項1が特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす旨を主張している。
しかしながら、上記「第2」に示したとおり、本件補正3は、却下されることから、この意見書における主張は、前提を欠くものであり、採用できない。
(4)以上によれば、本件補正1は、その補正後の請求項1が記載1’を含むことで上記(2)イに示した区別を前提とした課題や課題解決手段を当初明細書等に導入するものであるところ、このような区別や区別を前提とした課題や課題解決手段は、当初明細書等に記載されておらず、また、このような区別や区別を前提とした課題や課題解決手段は、「当該第1情報と前記所定の関係性を満たす関係取引対象」とともに表示される情報の抽出条件に係るものであって、当初明細書等に明示的に記載されていなければその記載の範囲内とすることができない事項である。
よって、本件補正1は、補正後の請求項1の記載が上記記載1’を含むものとなる点において、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
第4 結論
以上のとおり、本件補正1は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
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