特許拒絶査定不服審判
2022-014706
モジュラーキャンプ分類及び動的積み込みレイアウト生成のためのシステムおよび方法
- 審判番号
- 2022-014706
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-537745
- 請求日
- 2022年09月16日
- 審決日
- 2023年08月22日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クーパン コーポレイション
- 【請求人代理人】大野 聖二
- 【請求人代理人】津田 理
- 【請求人代理人】松野 知紘
- 【請求人代理人】酒谷 誠一
- 【請求人代理人】野本 裕史
- 【請求人代理人】榊間 城作
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 後藤 亮治
- 審判官 伏本 正典
- 分類
- P18 .561-Z (G06Q) / P18 .55 -Z (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-537745「モジュラーキャンプ分類及び動的積み込みレイアウト生成のためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月20日国際公開、WO2020/165836、令和 3年 4月30日国内公表、特表2021-510868〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)2月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年2月15日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 8月 7日 国際出願翻訳文(以下、「翻訳文」という。)の提出
令和 3年 4月 7日 拒絶理由通知書(起案日)
令和 3年 7月12日 意見書、手続補正書(以下、「1次補正」という。)の提出
令和 3年 9月29日 拒絶理由通知書(起案日)
令和 4年 3月 3日 意見書、手続補正書(以下、「2次補正」という。)の提出
令和 4年 5月13日 拒絶査定(以下、「原査定」という。)(起案日)
令和 4年 9月16日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年9月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年9月16日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。また、「a」、「b」等は、発明特定事項(構成)を区別するために、当審において付した。以下同様。)
「 a:荷物の分類および積み込みを最適化するためのコンピュータ実装システムであって、
b:命令を記憶するメモリと、
c:前記命令を実行して動作を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
d:当該動作は、複数の荷物に関連付けられた複数の荷物識別子を含むデータを受信すること、
e:前記データに基づいて、複数の荷物の配送位置に関連する複数のブロックエリアを決定すること、
f:ルートの第1のセットを決定すること、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること、各変換ルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定することによって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること、
g:配送車の構成パラメータを受け取ることであって、当該構成パラメータは利用可能な位置を含むこと、
h:配送ルートに基づいて複数の荷物を利用可能な位置に積載する積載順序を決定すること、
i:当該決定された積載順序の視覚的表現をディスプレイするデバイスのための命令を生成すること
j:を含むコンピュータ実装システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、2次補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 a:荷物の分類および積み込みを最適化するためのコンピュータ実装システムであって、
b:命令を記憶するメモリと、
c:前記命令を実行して動作を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
d:当該動作は、複数の荷物に関連付けられた複数の荷物識別子を含むデータを受信すること、
e:前記データに基づいて、複数の荷物の配送位置に関連する複数のブロックエリアを決定すること、
f’:ルートの第1のセットを決定すること、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって変換されたルートの最小数を決定するために当該入力は一度使用されること、各変換されたルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定することによって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること、
g:配送車の構成パラメータを受け取ることであって、当該構成パラメータは利用可能な位置を含むこと、
h:配送ルートに基づいて複数の荷物を利用可能な位置に積載する積載順序を決定すること、
i:当該決定された積載順序の視覚的表現をディスプレイするデバイスのための命令を生成すること
j:を含むコンピュータ実装システム。」
(3)補正事項
本件補正は、請求項1について次の補正事項を含むものである。(下線部は補正箇所を示す。)
補正事項1
本件補正前の「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって変換されたルートの最小数を決定するために当該入力は一度使用されること」との記載を、「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること」とする補正
補正事項2
本件補正前の「各変換されたルートに関連するブロックエリアの順序を交換すること」との記載を、「各変換ルートに関連するブロックエリアの順序を交換すること」とする補正
2 本件補正の適否(翻訳文新規事項の追加の有無)について
本件補正が、令和2年8月7日に提出された翻訳文に記載された事項の範囲内においてしたものであるかについて、以下検討する。
(1)本件補正後の請求項1に記載された発明が特定する事項について
本件補正後の請求項1の構成fの記載は以下のとおりである。
「ルートの第1のセットを決定すること、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること、各変換ルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定することによって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること」
以上の記載をそのまま日本語として解釈すると、構成fは、以下の構成からなることは明らかである。
「f1:ルートの第1のセットを決定すること」
「f2:ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること」
「f3:各変換ルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定すること」
「f4:f1~f3の処理によって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること」
そして、構成f2は、「ルートの当該第1のセットを変換することであって最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること」と特定しているのであるから、「最小変換ルート数を決定するために当該入力は一度使用されること」との記載は、「ルートの当該第1のセットを変換すること」を特定する記載と解するのが自然である。
(2)翻訳文の記載
翻訳文には、以下の記載がある。なお、下線は、当審において付した。
「 【0094】
ルート生成器611は複数の荷物を配送するためのシーケンスを含む配送ルート612を決定するために、インプットデータをプロセッシングするための1つ以上のアルゴリズムを含み得る。ルート生成器611は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、またはそれらの組合せとして実施することができる。ルート生成器611は配送を完了し、リソースをグループ化し、それらを、例えば、配送される荷物にマッチングさせるために、どのリソースが必要であるかを決定するように構成されたマッチングアルゴリズムを含むことができる。例えば、マッチングアルゴリズムは、配送データ601をリソースデータ603と比較して、リソースデータ603において識別された配送車の両方が配送データ601において識別された9つのモジュール式コンテナを移送するために必要とされることを決定し得る。この判定は配送車(第1の配送車用の6つのモジュール式コンテナ及び第2の配送車用の4つのモジュール式コンテナ)のいずれの容量も、配送データ601で特定された9つのモジュール式コンテナを収容するのに十分ではないが、2つの配送車の総容量が9つのモジュール式コンテナを収容するのに十分であるという判定に基づくことができる。マッチングアルゴリズムはまた、例えば、どの作業員が配送車の各々とマッチングされるべきか、FC 200のどの領域(例えば、キャンプゾーン215、出荷ゾーン217など)が各配送車とマッチングされるべきか、および他のロジスティックインフォメーションを決定し得る。マッチングアルゴリズムはまた、配送データ601内の特定の要件を認識し、特定の要件を有するそれらの荷物を、リソースデータ603内で識別された適切なリソースとマッチングさせるように構成されてもよい。例えば、荷物の第1の群が冷凍を必要とする場合、マッチングアルゴリズムは、これらの荷物を、冷凍能力を有する配送車とマッチングさせる。」
「 【0097】
たとえば、ルート生成器611は、1つまたは複数の考えられるルートを決定するための機能を実装することができる。いくつかの実施形態では、ルート生成器611が基本ルート生成器611A、ルート最適化器611B、およびシーケンス最適化器611Cを含んでもよい。基本ルート生成器611Aは、複数の荷物を配送するためのルートの第1のセットを決定してもよい。基本ルート生成器へのインプットは上述したように、資源データと配送データとの混合を含むことができる。例えば、入力は利用可能な多数の配送車、各配送車の容量、各車両に対する好み、各ブロックエリアに対して意図される荷物の容積、ブロックエリア間の距離等を含んでもよい。基本ルート生成器611Aは、荷物を配送するための考えられるすべてのルートを識別するための発見的アルゴリズムを含んでもよい。ヒューリスティックアルゴリズムはそれぞれのインプットが決定において一度だけ使用され、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することができるように、制限されることができる。ルートはランダムに決定されてもよいし、複数の所定の設定に従って決定されてもよい。例えば、入力が図6Aのものに対応する場合、基本ルート生成器611Aはそれぞれの配送車に対応する2つの配送ルートを決定することができ、各ブロックエリアおよび各配送ドライバを2つのルートのうちの1つにランダムに割り当てることができる。
【0098】
ルート・オプティマイザ611Bは基本ルート生成器によって決定されたルートを受け取り、一連の変換を実行してもよい。変換は、各ルートに対する入力の最適な組み合わせを決定するように構成されてもよい。例えば、上記の例を続けると、ルートオプティマイザ611Bは第1の配送ルートから第2の配送ルートに、およびその逆に、ブロックエリアのうちの1つまたは複数を交換することができる。ブロックエリア、作業員、および他の要因を再配置することによって、ルート最適化器は、第1のルートについての複数の可能な組み合わせ、および第2のルートについての複数の可能な組み合わせを生成することができる。ルートオプティマイザ611Bは可能な第1のルートのそれぞれを可能な第2のルートのそれぞれと比較し、比較に基づいて第1のルートおよび第2のルートを選択することができる。例えば、ルートオプティマイザ611Bは、1つまたは複数の要因において第2のルートとの差が最小化された第1のルートを選択することができる。比較は例えば、1/0プログラミングモデルを使用して実行されてもよい。例えば、ファクタは荷物のボリュームであってもよく、ルートオプティマイザはルートごとの荷物のボリューム間の差異が最小である第1および第2のルートに基づいて、第1および第2のルートを選択してもよい。言い換えれば、選択された第1のルートは選択された第2のルートとほぼ同じ荷物量を有し、第1のルートまたは第2のルートの他の選択は、第1のルートと第2のルートとの間の体積の間の差異をより小さくしない。ルートオプティマイザ611Bのアウトプットはルートごとの組合せの一覧、例えば、使用されるべき配送車の指標、サービスされるべき区域、配送される荷物などを含むことができる。
【0099】
シーケンスオプティマイザ611Cは、ルートオプティマイザからの出力を使用して、各ルートのシーケンスを決定することができる。シーケンスは、ブロックエリアのそれぞれにサービスする順序を含むことができる。シーケンスオプティマイザ611Cは例えば、各ブロックエリアをノードとして表し、各ノードとそれに隣接するノードとの間の距離を決定し、各ノードに移動するための最短距離を決定することができる。各ノード(すなわち、ブロックエリア)に移動するための最短距離の決定は、巡回セールスマン問題(TSP)を解決するのと実質的に同じ方法で達成することができる。例えば、シーケンスオプティマイザ611Cは各ノードを2つの最も近い隣接ノードに接続することによってベースライン距離を決定し、このモデルによって必要とされる合計距離を計算することができる。その後、シーケンス・オプティマイザーは1つ以上のノードをスワップできる。スワップの結果、移動した総距離が短くなる場合、シーケンスオプティマイザはその結果を保存することができ、スワップの結果、移動した総距離が長くなる場合、シーケンスオプティマイザは異なるスワップを実行し、このプロセスを繰り返すことができる。スワップはランダム化されてもよく、あるいは、シーケンスオプティマイザ611Cがどのノードをスワップすべきかを推定するために、ヒューリスティックモデルまたはニューラルネットワークモデルを使用してもよい。スワッピングプロセスの数回の反復の後、各ブロックエリアへの移動のための可能な最短ルートが決定される。」
図6
[図:0001406290000001.jpg]
すなわち、翻訳文には、概略、
ルート生成器611は、複数の荷物を配送するためのシーケンスを含む配送ルート612を決定するために、インプットデータをプロセッシングするための1つ以上のアルゴリズムを含み(【0094】)、ルート生成器611は基本ルート生成器611A、ルート最適化器611B、およびシーケンス最適化器611Cを含むこと(【0097】、図6A)、
基本ルート生成器611Aは、複数の荷物を配送するためのルートの第1のセットを決定するものであって、基本ルート生成器611Aへの入力(インプット)は、利用可能な多数の配送車、各配送車の容量、各車両に対する好み、各ブロックエリアに対して意図される荷物の容積、ブロックエリア間の距離等を含み、基本ルート生成器611Aが含む発見的アルゴリズム(ヒューリスティックアルゴリズム)は、それぞれの入力(インプット)が決定において一度だけ使用され、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することができるように、制限されること(【0097】)、
ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bは、基本ルート生成器611Aによって決定されたルートを受け取り、一連の変換を実行するものであって、変換は、各ルートに対する入力の最適な組み合わせを決定するように構成され、例えば、第1の配送ルート(ルート)から第2の配送ルート(ルート)に、およびその逆に、ブロックエリアのうちの1つまたは複数を交換することであって、第1の配送ルート(ルート)についての複数の可能な組み合わせ、及び、第2の配送ルート(ルート)についての複数の可能な組み合わせを生成し、可能な第1の配送ルート(ルート)のそれぞれと可能な第2の配送ルート(ルート)のそれぞれとを比較し、比較に基づいて、荷物のボリューム等の、1つまたは複数の要因(ファクタ)において、第1の配送ルート(ルート)と第2の配送ルート(ルート)との差が最小化された、第1の配送ルート(ルート)と第2の配送ルート(ルート)とを選択すること(【0098】)、
シーケンス最適化器(シーケンスオプティマイザ)611Cは、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bからの出力を使用して、各配送ルート(ルート)の、ブロックエリアのそれぞれにサービスする順序を含む、シーケンスを決定するものであって、各ブロックエリアをノードとして表し、各ノードとそれに隣接するノードとの間の距離を決定し、各ノードに移動するための最短距離を決定することができ、1つ以上のノードをスワップでき、スワップの結果、移動した総距離が短くなる場合、シーケンスオプティマイザはその結果を保存すること(【0099】)
が記載されている。
(3)翻訳文新規事項の判断
補正事項1について検討する。
上記(1)によれば、翻訳文には、構成f1の「ルートの第1のセットを決定すること」に関し、「ルートの第1のセット」の「決定」は、基本ルート生成器611Aが行うものであり、かかる「決定」に使用される発見的アルゴリズム(ヒューリスティックアルゴリズム)により、利用可能な多数の配送車、各配送車の容量、各車両に対する好み、各ブロックエリアに対して意図される荷物の容積等の、それぞれの入力(インプット)が決定において一度だけ使用され、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することができることは記載されているものの、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することが、基本ルート生成器611A以外の部位により行われることは記載されていない。
次に、構成f2の「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換すること」に関し、「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するため」の「ルートの第1のセット」の「変換」は、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bが行うことは記載されているものの、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bが行う処理として、最小変換ルート数を決定することは記載されていない。
そして、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bが行う、「決定」された「ルートの第1のセット」の「変換」が、例えば、第1の配送ルート(ルート)から第2の配送ルート(ルート)に、およびその逆に、ブロックエリアのうちの1つまたは複数を交換することであって、(入力に対する)第1の配送ルート(ルート)についての複数の可能な組み合わせ、及び、第2の配送ルート(ルート)についての複数の可能な組み合わせを生成することであることに鑑みると、基本ルート生成器611Aが行う「ルートの第1のセット」の「決定」と、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bが行う「決定」された「ルートの第1のセット」の「変換」とは、異なる処理であるから、ルート最適化器(ルート・オプティマイザ、ルートオプティマイザ)611Bが「最小変換ルート数を決定する」こと、すなわち、「最小変換ルート数を決定するため」に「ルートの当該第1のセットを変換すること」が、出願時の技術常識に照らして、自明な事項であったともいえない。
よって、補正事項2について検討するまでもなく、補正事項1を含む本件補正は、翻訳文のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。
(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由において、概略以下の主張をしている。
「本願の段落0097には、「基本ルート生成器611Aは、荷物を配送するための考えられるすべてのルートを識別するための発見的アルゴリズムを含んでもよい。ヒューリスティックアルゴリズムはそれぞれのインプットが決定において一度だけ使用され、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することができるように、制限されることができる。」と記載されております。
よって、本願請求項1の「ルートの第1のセットを決定すること」、「変換されたルートの最小数を決定する(当審注:「最小変換ルート数を決定する」の誤記と認める。)ために当該入力は一度使用されること」は本願明細書によって記載されていると思料致します。
また本願の段落0098には、「ルート・オプティマイザ611Bは基本ルート生成器によって決定されたルートを受け取り、一連の変換を実行してもよい。変換は、各ルートに対する入力の最適な組み合わせを決定するように構成されてもよい。」と記載されております。よって、本願請求項1の「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換すること」は本願明細書によって記載されていると思料致します。
よって、本願請求項1の「ルートの第1のセットを決定すること、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって変換されたルートの最小数を決定する(当審注:「最小変換ルート数を決定する」の誤記と認める。)ために当該入力は一度使用されること、」は、本願明細書によって記載されており、新規事項に該当しないと思料致します。
・・・(中略)・・・
請求項1の「最小変換ルート数を決定する」とは、段落0097に記載のように、「荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定する」ことを意味します。」
しかしながら、上記(2)、(3)で述べたとおり、段落【0097】の記載は、主として、基本ルート生成器611Aについての記載であって、請求人の摘記した記載は、基本ルート生成器611Aが、ルートの第1のセットを決定する処理に関する記載であって、基本ルート生成器611Aが含む発見的アルゴリズム(ヒューリスティックアルゴリズム)が、「それぞれのインプットが決定において一度だけ使用され、荷物を配送するために必要とされる最小限のルートを決定することができるように、制限されることができる」ものであったとしても、「ルートの当該第1のセットを変換する」処理が「最小変換ルート数を決定するため」であったとはいえない。
よって、請求人の上記主張は採用の限りでない。
3 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 翻訳文新規事項の追加についての当審の判断
1 原査定前補正の補正内容
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、2次補正は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、この補正により、次の(1)に示す、1次補正により補正された特許請求の範囲の請求項1が、次の(2)に示す、2次補正後の特許請求の範囲の請求項1に補正された。(下線は、当審において付した。)
(1)1次補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 荷物の分類および積み込みを最適化するためのコンピュータ実装システムであって、
命令を記憶するメモリと、
前記命令を実行して動作を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
当該動作は、複数の荷物に関連付けられた複数の荷物識別子を含むデータを受信すること、
前記データに基づいて、複数の荷物の配送位置に関連する複数のブロックエリアを決定すること、
ルートの第1のセットを決定し、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換し、変換されたルートの最小数を決定するために入力のそれぞれはルートの当該第1のセットのそれぞれに割り当てられており、各変換されたルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定することによって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること、
配送ルートに基づいて複数の荷物の各々を配送車に積載する積載順序を決定すること、
当該決定された積載順序の視覚的表現をディスプレイするデバイスのための命令を生成すること
を含むコンピュータ実装システム。」
(2)2次補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 荷物の分類および積み込みを最適化するためのコンピュータ実装システムであって、
命令を記憶するメモリと、
前記命令を実行して動作を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
当該動作は、複数の荷物に関連付けられた複数の荷物識別子を含むデータを受信すること、
前記データに基づいて、複数の荷物の配送位置に関連する複数のブロックエリアを決定すること、
ルートの第1のセットを決定すること、ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって変換されたルートの最小数を決定するために当該入力は一度使用されること、各変換されたルートに関連するブロックエリアの順序を交換することによって最短ルートを決定することによって、複数の荷物を配送するための順序を含む配送ルートを決定すること、
配送車の構成パラメータを受け取ることであって、当該構成パラメータは利用可能な位置を含むこと、
配送ルートに基づいて複数の荷物を利用可能な位置に積載する積載順序を決定すること、
当該決定された積載順序の視覚的表現をディスプレイするデバイスのための命令を生成すること
を含むコンピュータ実装システム。」
2 原査定の拒絶理由の概要
原査定の拒絶理由の概要は以下のとおりである。
(新規事項)1次補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請)求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、翻訳文等という。)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。
記
請求項1の「変換されたルートの最小数を決定するために入力のそれぞれはルートの当該第1のセットのそれぞれに割り当てられており」との事項は翻訳文等には記載も示唆もされていない。
なお、出願人が補正の根拠として主張する段落0097のヒューリスティックアルゴリズムに関する記載は「ルート生成器611」に関する文脈で記載されているが、請求項1の記載では、変換されたルートの最小数を決定するために当該入力は一度使用されることは、「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって」に続いて記載されており、当該記載は明細書におけるルート・オプティマイザに関する記載である。
3 当審の判断
1次補正により、請求項1に追加された「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換し、変換されたルートの最小数を決定するために入力のそれぞれはルートの当該第1のセットのそれぞれに割り当てられており」との事項、すなわち、「変換されたルートの最小数を決定するため」に「ルートの当該第1のセットを変換」するという事項は、2次補正後も、請求項1において「ルートの第1のセットのそれぞれに対する入力の最適な組み合わせを決定するためにルートの当該第1のセットを変換することであって変換されたルートの最小数を決定するために当該入力は一度使用されること」との事項、すなわち、「変換されたルートの最小数を決定するため」に「ルートの当該第1のセットを変換」するという事項として含まれている。そして、1次補正と2次補正の「変換されたルートの最小数を決定するため」に「ルートの当該第1のセットを変換」するという事項は、実質的に、上記第2の1(3)で示した、本件補正後の請求項1に含まれる「最小変換ルート数を決定するため」に「ルートの当該第1のセットを変換」するという事項を含んでいる。
そうすると、上記第2の2(3)において示した理由と同様の理由により、1次補正及び2次補正は、いずれも翻訳文に記載された事項の範囲内においてしたものであるとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
第4 むすび
以上のとおり、2次補正は、翻訳文に記載された事項の範囲内においてしたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-014706