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特許拒絶査定不服審判

2020-000844

偏光板

審判番号
2020-000844
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-173713外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年01月22日
審決日
2020年09月25日
公報発行日
2020年12月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-173713「偏光板」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 9日出願公開、特開2016- 71347〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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特願2015-173713号(以下「本件出願」という。)は、平成27年9月3日(先の出願に基づく優先権主張 平成26年9月29日)の出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 元年 5月20日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月18日提出:意見書
令和 元年 7月18日提出:手続補正書
令和 元年10月21日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 1月22日提出:審判請求書
令和 2年 1月22日提出:手続補正書

第2 令和2年1月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[結論]

令和2年1月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

(1)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の令和元年7月18日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「 第1保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂で構成される偏光子と、粘着剤層とをこの順に含む偏光板であって、
前記粘着剤層は、80℃における損失弾性率が0.06MPa未満であり、
長辺が前記偏光子の吸収軸方向と平行な長辺200mm×短辺150mmの試験片とし 、前記粘着剤層を介してガラス基板に貼合し、前記第1保護フィルム側が露出した状態で85℃で500時間加熱したときの吸収軸方向における寸法収縮量が、500μm以下である、偏光板。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲

本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は当合議体が付与したものであり、補正箇所を示す。

「 第1保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂で構成される偏光子と、粘着剤層とをこの順に含む偏光板であって、
前記粘着剤層は、80℃における損失弾性率が0.03MPa以上0.057MPa以下であり、
長辺が前記偏光子の吸収軸方向と平行な長辺200mm×短辺150mmの試験片とし 、前記粘着剤層を介してガラス基板に貼合し、前記第1保護フィルム側が露出した状態で85℃で500時間加熱したときの吸収軸方向における寸法収縮量が、500μm以下である、偏光板。」

2 補正の適否について

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するための必要な事項である「粘着剤層」の「80℃における損失弾性率」について、本件出願の出願当初の明細書の【0058】、【0080】等の記載に基づき、「0.06MPa未満」を「0.03MPa以上0.057MPa以下」に限定するものである。また、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野(【0001】)及び解決しようとする課題(【0005】及び【0006】)が同一である。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしているとともに、同条第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正後発明

本件補正後発明は、上記「1」「(2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものである。

(2)引用文献及び引用発明

ア 引用文献2の記載事項

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原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2010-85802号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、「実施の形態1」等項目を示すもの以外は、当合議体が付与したものである。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差フィルムを偏光フィルムに積層した位相差フィルム・偏光板積層体、及びその積層体を用いる液晶表示装置に関するものである。
・・・(省略)・・・
続きを表示(全47行)
【0003】
図5は、従来の偏光板と位相差フィルムとの積層構造の例を示す断面図である。この積層構造100では、液晶セル13から遠い側から順に、ベースフィルム101、接着剤層102、偏光フィルム103、接着剤層104、ベースフィルム105、接着剤または粘着剤層107、位相差フィルム108、および粘着剤層109が積層されている。積層構造100は、液晶表示装置の液晶セル13を構成する透明基板12の表面に、粘着剤層109によって貼り付けられる。
【0004】
101~105は偏向板106を構成しており、ヨウ素I2が吸着されたポリビニルアルコール(PVA)などからなる偏光フィルム103の両面を、トリアセチルセルロース(TAC)などからなるベースフィルム101および105で挟持する構造を有している。偏光フィルム103は延伸されているので寸法安定性が乏しい。ベースフィルム101および105は偏光フィルム103を保護するとともに、偏光フィルム103を支持し、その変形を防止する働きをする。
・・・(省略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さて、本発明者は、光学性能の向上、および偏光板の簡素化による生産性の向上と低コスト化を目指して、図5に示した積層構造100から液晶セル13側のベースフィルム105および接着剤層104を省略した、図1に示す位相差フィルム・偏光板積層体10の可能性を検討した。この際、好ましい構成材料の組合せとして、トリアセチルセルロース(TAC)からなるベースフィルム1と、フルオレン骨格を有するビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、例えばピュアエース(PA)からなる位相差フィルム6を選択した。
【0011】
上記の構成で位相差フィルム・偏光板積層体、およびそれを用いた液晶表示装置を作製し、高温に対する耐久性を試験したところ、従来、図5に示した積層構造100で好適に用いられている粘着剤を用いて粘着剤層7を形成した場合にも、高温条件下で粘着剤層7の密着不良および液晶表示装置の光漏れを生じる場合があることが明らかになった。これには、液晶セル13側のベースフィルムを省略したことによって偏光フィルム3の収縮やベースフィルム1の反りが生じ、これらが悪影響を及ぼしていると考えられる。
【0012】
本発明の目的は、上記のような実情に鑑み、偏光フィルムを挟持するベースフィルムのうち、液晶セル側のベースフィルムが省略された位相差フィルム・偏光板積層体であって、高温に対する耐久性の良好な位相差フィルム・偏光板積層体、及びその積層体を用いる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明は、
偏光フィルムがその片側の面でベースフィルムに接着されてなる偏光板と、
前記偏光フィルムの、前記ベースフィルムに接着されている面とは反対側の面に配置された接着剤層と、
位相差フィルムと、
80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδが0.148以下である粘着剤からなる粘着剤層と
が、この順で、各層間が互いに直接接触し合う状態で積層され、
前記粘着剤層によって、液晶セルを構成する基板に貼り付けられる
、第1の位相差フィルム・偏光板積層体に係わる。
・・・(省略)・・・
【発明の効果】
【0016】
偏光フィルムを挟持するベースフィルムのうち、液晶セル側のベースフィルムが省略された位相差フィルム・偏光板積層体、すなわち
偏光フィルムがその片側の面でベースフィルムに接着されてなる偏光板と、
前記偏光フィルムの、前記ベースフィルムに接着されている面とは反対側の面に配置された接着剤層と、
位相差フィルムと、
粘着剤からなる粘着剤層と
が、この順で、各層間が互いに直接接触し合う状態で積層されている積層体であって、且つ、高温に対する耐久性の良好な積層体を実現するために、本発明者は鋭意研究を重ねた。その結果、後述の実施例で示すように、前記粘着剤層を構成する前記粘着剤として、
80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδが0.148以下である粘着剤、
又は、
ゲル分率が84.3%以上である粘着剤
を用いることによって、課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0017】
上記の前記粘着剤の特徴は、硬く、凝集力の強い粘着剤であることである。この理由は下記のように考えることができる。
【0018】
本発明の第1又は第2の位相差フィルム・偏光板積層体では、偏光フィルムを挟持するベースフィルムのうち、液晶セル側のベースフィルムが省略されているため、前記ベースフィルムに、前記偏光フィルムの変形を抑える性能を期待することはほとんどできない。例えば、前記偏光フィルムが収縮すれば、それに応じて前記ベースフィルムは反ってしまい、前記偏光フィルムの収縮を抑えることができない。
【0019】
一方、液晶セル側のベースフィルムが省略された結果、前記偏光フィルムと前記基板との間には、前記位相差フィルム以外には、前記接着剤層と前記粘着剤層とがあるだけであり、前記偏光フィルムと前記基板とはより近接した配置になっている。しかも、支持体としての強靱さでは、前記基板は、前記ベースフィルムに比べてはるかに優っている。従って、前記偏光フィルム及び前記位相差フィルムの形状を安定に保持するためには、前記位相差フィルムと前記偏光フィルムとを、これらが変形する余地を残さないほど強力に、前記基板に貼り付けてしまうのが得策である。このためには、前記粘着剤は、粘着剤でありながら、剛性が強く、硬く、凝集力の強い粘着剤であるのがよい。
【0020】
なお、位相差フィルム・偏光板積層体の最高使用温度が80℃近辺に達することを考慮して、後述の実施例では高温耐久性試験を80℃で行った。また、位相差フィルム・偏光板積層体に加わる応力は、振動数が1Hz以下の緩やかな成分が主であり、JIS K7244-1(プラスチック-動的機械特性の試験方法-第1部:通則、ISO 6721-1:1994)、JIS K7141-1(ISO 11403-1:2001)では、周波数1Hz、一定速度で変形させたときに損失係数(損失正接)tanδが最大になる温度をガラス転移温度Tgとしていることから、動的粘弾性の損失正接tanδなどの物性値は80℃、1Hzにおける値に基づいて検討した。」
(イ)「【0026】
実施の形態1
実施の形態1では、請求項1~5に記載した位相差フィルム・偏光板積層体の例について説明する。
【0027】
続きを表示(全27行)
図1は、本発明の実施の形態に基づく位相差フィルム・偏光板積層体10の構造を模式的に示す断面図である。積層体10では、液晶セル13から遠い側から順に、ベースフィルム1、接着剤層2、偏光フィルム3、接着剤層5、位相差フィルム6、および粘着剤層7が、各層間が互いに直接接触し合う状態で積層されている。積層体10は、液晶表示装置(LCD)の液晶セル13を構成する透明基板12の表面に、粘着剤層7によって貼り付けられている。
【0028】
1~3は偏向板4を構成しており、ヨウ素I2を吸着したポリビニルアルコール(PVA)などからなる偏光フィルム3がその片側の面で、トリアセチルセルロース(TAC)などからなるベースフィルム1に接着剤層2によって接着されている。位相差フィルム6は、フルオレン骨格を有するビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、例えばピュアエース(PA)などからなり、光弾性係数の絶対値が1.0×10-11Pa-1以上である。
【0029】
一般に、位相差フィルムは、液晶セルを挟むように配置された2つの偏光板によって挟まれる領域の微小な三次元屈折率異方性の調整を行うことによって、液晶セルと偏光板の視野角依存性を補償する。一方、一般的にベースフィルムとして用いられるトリアセチルセルロース(TAC)フィルムも微小な三次元屈折率異方性をもっている。
【0030】
このため、従来の、偏光フィルム103の両面をトリアセチルセルロース(TAC)からなるベースフィルム101および105で挟持する偏光板(図5参照。)と、位相差フィルムとの積層体では、液晶セル13側に配置されたベースフィルム105と位相差フィルム108との両方の三次元屈折率を制御することが必要であった。
【0031】
これに対し、本実施の形態の位相差フィルム・偏光板積層体10では、液晶セル13側に配置されるベースフィルム105が省略されているので、ベースフィルム105の三次元屈折率の制御を必要とせず、位相差フィルム6の微少な三次元屈折率の制御のみで、視野角依存性の補償を実現する。この位相差フィルム・偏光板積層体10では、例えば、VA(vertical alignment)モードで動作する液晶セルの視野角依存性の補償に必要な、三次元屈折率の制御(Nx>Nz、Ny>Nz、Nx≧Ny)の効果が得られやすい。
【0032】
接着剤層5は前記接着剤層であり、偏光フィルム3の、ベースフィルム1に接着されている面とは反対側の面に配置され、偏向板4を位相差フィルム6に貼り付ける役割をする。接着剤層5を構成する接着剤は、後述の実施例に示されているように、ガラス転移点が80℃以上であり、且つ、80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδが0.64以下である接着剤であるのがよい。
【0033】
粘着剤層7は前記粘着剤層であり、位相差フィルム6を透明基板12の表面に貼り付ける役割をする。粘着剤層7を構成する粘着剤は、後述の実施例に示されているように、80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδが0.148以下である粘着剤、または、ゲル分率が84.3%以上である粘着剤であるのがよい。これらの物性値は、いずれも、粘着剤が、硬く、凝集力の強い粘着剤であることを示している。
【0034】
位相差フィルム・偏光板積層体10では、偏光フィルム3を挟持するベースフィルムのうち、液晶セル13側のベースフィルムが省略されているため、TACからなるベースフィルム1に、偏光フィルム3の変形を抑える性能を期待することはほとんどできない。例えば、偏光フィルム3が収縮すれば、それに応じてTACからなるベースフィルム1は反ってしまい、偏光フィルム3の収縮を抑えることができない。
【0035】
一方、液晶セル13側のベースフィルムが省略された結果、偏光フィルム3と透明基板12の間には、位相差フィルム6以外には、接着剤層5と粘着剤層7とがあるだけであり、偏光フィルム3と透明基板12とはより近接した配置になっている。しかも、支持体としての強靱さでは、透明基板12は、TACからなるベースフィルム1に比べてはるかに優っている。従って、偏光フィルム3および位相差フィルム6の形状を安定に保持するためには、位相差フィルム6と偏光フィルム3とを、これらが変形する余地を残さないほど強力に、透明基板12に貼り付けてしまうのが得策である。このためには、粘着剤は、粘着剤でありながら、剛性が強く、硬く、凝集力の強い粘着剤であるのがよい。
【0036】
上記のように、位相差フィルム・偏光板積層体10では、偏光フィルム3および位相差フィルム6は接着剤層5および粘着剤層7によって強力に透明基板12に貼り付けられ、形状が安定に保持される。この結果、位相差フィルム・偏光板積層体10は、高温環境下でも剥離などが起こらない高温耐久性を有する。また、位相差フィルム6が光弾性係数の絶対値が大きいピュアエース(PA)などであっても、変形による光漏れを防止することができ、その優れた光学性能を活用することができる。
・・・(省略)・・・
【0055】
<接着剤の動的粘弾性の測定>
粘着剤aの動的粘弾性の測定には、動的粘弾性測定装置としてレオメーターARES(商品名;TAインスツルメンツ社製)を用いた。試料として、接着剤aのフィルムを作製してこれを用い、測定冶具として直径8mmのパラレルプレートを用いた。測定温度は0~100℃で、低温側から高温側へ昇温速度10℃/minで変化させた。接着剤aは、ガラス転移点が80℃以上であり、80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδが0.64であった。」
(ウ)「【0067】
2-1.粘着剤が満たすべき物性の検討・・・粘着剤の動的粘弾性
実施例11~13および比較例11~13では、前記粘着剤層である粘着剤層7を構成する粘着剤として種々の粘着剤を用いて、実施の形態1で図1を用いて説明した位相差フィルム・偏光板積層体10と同じ、ベースフィルム1/接着剤層2/偏光フィルム3/接着剤層5/位相差フィルム6/粘着剤層7/透明基板(ガラス基板)12の層構成をもつ試験片を作製した。その後、試験片を80℃に24時間加熱する高温耐久性試験を行い、その前後における密着性を評価した。また、粘着剤の動的粘弾性を測定し、これと高温耐久性試験の結果との関係を調べた。
・・・(省略)・・・
続きを表示(全66行)
【0070】
実施例11
<試験片の作製>
まず、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムをヨウ素水溶液中にて延伸処理して、偏光フィルム(PVA)3を作製した。次に、偏光フィルム(PVA)3の片側の面を、ポリビニルアルコール系の接着剤層2を介して、トリアセチルセルロース(TAC)からなるベースフィルム1に接着した。
【0071】
次に、片側の面にベースフィルム(TAC)1が貼り合わされた偏光フィルム(PVA)3と、位相差フィルム(PA)6との、それぞれの貼り合わせ面をコロナ放電処理した。コロナ放電処理は、コロナ処理装置AGI-021S(商品名;春日電機社製)を用いて行い、400W、テーブルスピード30の処理条件で処理を2回行った。続いて、位相差フィルム(PA)6の貼り合わせ面に、#7のワイヤーバーを用いてバーコータブレード法によって接着剤aを塗布した後、60℃に120秒間加熱して、接着剤aからなる接着剤層5を形成した。
【0072】
次に、接着剤層5が形成された、位相差フィルム(PA)6の貼り合わせ面と、偏光フィルム(PVA)3の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせた。この後、硬化のために40℃にて3日間エージングを行い、ベースフィルム(TAC)1/接着剤層2/偏光フィルム(PVA)3/接着剤層(接着剤a)5/位相差フィルム(PA)6が積層された積層体を作製した。
【0073】
次に、偏光板4が貼り合わされた位相差フィルム(PA)6とガラス基板12との、それぞれの貼り合わせ面を上記と同様にコロナ放電処理した。次に、粘着剤Aからなる粘着剤層が2枚の保護フィルムで挟持されている粘着シートを用意し、粘着シートの一方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面と位相差フィルム(PA)6の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせた。粘着剤Aは、東洋インキ社製のアクリル系粘着剤で、主剤100重量部に対して硬化剤を1.45重量部配合したものである。続いて、粘着シートから他方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面とガラス基板12の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせ、試験片を作製した。
【0074】
<粘着剤の動的粘弾性の測定>
粘着剤の動的粘弾性の測定には、動的粘弾性測定装置としてDVA-220(商品名;アイティー計測制御株式会社製)を用いた。試料は、シート状の粘着剤単体(縦5mm×横25mm×厚さ25μm)を用い、測定温度は-80~100℃である。測定温度は、低温側から高温側へ昇温速度5℃/minで変化させた。
【0075】
<高温耐久性試験と評価>
作製した試験片に対し、貼り合わせ直後にオーブン内で80℃の高温状態に24時間保つ高温耐久性試験を行った。試験後の密着性を目視による観察および倍率75倍の顕微鏡による観察で調べた。
【0076】
実施例12
粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Bを用いた。粘着剤Bは綜研化学社製のノンサポートアクリル系粘着シートSK2057である。これ以外は実施例11と同様にして試験片を作製し、高温耐久性試験を行った。
【0077】
実施例13
粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Cを用いた。粘着剤Cは東洋インキ社製の、粘着剤Aとは異なるアクリル系粘着剤で、主剤100重量部に対して硬化剤を0.37重量部配合したものである。これ以外は実施例11と同様にして試験片を作製し、高温耐久性試験を行った。
【0078】
比較例11
粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Fを用いた。粘着剤Fは綜研化学社製のノンサポートアクリル系粘着シートSK1478である。これ以外は実施例11と同様にして試験片を作製し、高温耐久性試験を行った。
【0079】
比較例12
粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Gを用いた。粘着剤Gは東洋インキ社製の、粘着剤AおよびCとは異なるアクリル系粘着剤で、主剤100重量部に対して硬化剤を2.0重量部配合したものである。これ以外は実施例11と同様にして試験片を作製し、高温耐久性試験を行った。
【0080】
比較例13
粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Hを用いた。粘着剤Hは東洋インキ社製のアクリル系粘着剤EG300である。これ以外は実施例11と同様にして試験片を作製し、高温耐久性試験を行った。
【0081】
2-2.粘着剤が満たすべき物性の検討・・・粘着剤のゲル分率
実施例14、15および比較例12、14では、実施例11と同様にして、位相差フィルム・偏光板積層体10と同じ、ベースフィルム1/接着剤層2/偏光フィルム3/接着剤層5/位相差フィルム6/粘着剤層7/透明基板(ガラス基板)12の層構成をもつ試験片を作製し、試験片を80℃に24時間加熱する高温耐久性試験を行い、その前後における密着性を評価した。この際、粘着剤層7を構成する粘着剤としてゲル分率が異なる種々の粘着剤を用い、ゲル分率と高温耐久性試験の結果との関係を調べた。
・・・(省略)・・・
【0086】
表2は、実施例11~13および比較例11~13で用いた各粘着剤の、80℃、1Hzにおける動的粘弾性の貯蔵弾性率および損失正接tanδの値および評価結果をまとめた表である。
【0087】
【表2】
・・・(省略)・・・
【0090】
表2および表3に記載した評価結果は、目視による観察および顕微鏡を用いた観察に基づき下記のように分類した。
◎…顕微鏡を用いた観察でも、ほとんど気泡が観察されない。
○…目視による観察では見えないが、顕微鏡を用いた観察では見える気泡(大きさ数十μm以下)が存在する。
×…目視による観察でもはっきり見える気泡(大きさ数十μm~数百μm)が存在する。
・・・(省略)・・・
【0092】
表2に示されているように、気泡(剥離)の発生が抑えられた実施例11や、ある程度抑えられた実施例12や実施例13では、損失正接tanδ値が0.148以下と小さい。一方、気泡(剥離)の発生が著しかった比較例11~13では、tanδ値が0.226以上と大きい。これらの結果から、損失正接tanδ値が小さいほど、気泡(剥離)の発生が抑えられる傾向があると考えられる。これから、剛性が強く、流動性が乏しく、歪みを吸収しにくい粘着剤ほど、隣接層の変形を抑え、気泡(剥離)の発生が抑えられると考えられる。
【0093】
また、表3に示されているように、粘着剤を構成する主剤および硬化剤が同じであるが、硬化剤の量が異なっている実施例15と比較例14とを比べると、硬化剤が多く含まれる粘着剤Eを用いた実施例15の方が、気泡(剥離)の発生が少なかった。そして、気泡(剥離)の発生がなかった実施例15の粘着剤Eではゲル分率が84.3%であるのに対し、気泡(剥離)が発生した比較例14の粘着剤Iではゲル分率が69.3%である。また、粘着剤を構成する主剤が同じ実施例14と比較例12とを比べると、硬化剤の種類は異なっているものの、ゲル分率が84.9%である実施例14の粘着剤Dを用いた場合には気泡(剥離)の発生がなく、ゲル分率が65.3%である比較例12の粘着剤を用いた場合には気泡(剥離)が発生した。
【0094】
これらの結果から、ゲル分率が大きいほど、気泡(剥離)の発生が抑えられる傾向があると考えられる。ゲル分率が大きいことは、架橋密度が大きく、ゲル-ゾル体において凝集力が強いことを意味する(接着,50巻,2号,p.14,2006年 参照。)。これから、架橋密度が大きく、粘着剤がより強い凝集力で固まりながら、隣接層に密着しているほど(粘着剤でありながら、隣接層をがっちりと固めているほど)、剥離を抑える力が強いと考えられる。
【0095】
以上の結果から、本発明で用いる粘着剤は、剛性が強く、流動性が乏しく、凝集力が強いものがよく、具体的には、80℃、1Hzにおける動的粘弾性の損失正接tanδがより小さい粘着剤、または、ゲル分率の大きい粘着剤がよいことがわかる。
【0096】
一般に、気泡(剥離)を発生させない粘着剤の選定/設計方針として下記の2つの方針がある(接着,50巻,2号,p. 10-15,2006年)。これらの方針は、概念的には対極にある設計方針である。
【0097】
1つは、粘着剤や接着剤の凝集力を強くし、偏光フィルムや位相差フィルムの周囲に存在する粘着剤や接着剤が変形しないことによって、収縮や反りを起こそうとする偏光フィルムや位相差フィルムに対抗し、変形を起こさせない方法である。このような粘着剤は、粘性が小さく、弾性が大きく、動的粘弾性の損失正接tanδが小さい粘着剤である。このような粘着剤を得るには、粘着剤を構成する高分子の高分子量化/高ガラス転移温度化、低分子量成分の除去、架橋剤の増量や架橋効率の向上による架橋密度の増加(ゲル分率の増加)等の方法がある。本発明は、この設計方針と一致する。
【0098】
他の1つは、粘着剤や接着剤の凝集力を弱くし、偏光フィルムや位相差フィルムの収縮やそりに追従して、これらの周囲に存在する粘着剤や接着剤が変形することによって、応力を緩和する方法である。このような粘着剤は、粘性が大きく、弾性が小さく、動的粘弾性の損失正接tanδが大きい粘着剤である。このような粘着剤を得るには、粘着剤を構成する高分子の低分子量化/低ガラス転移温度化、架橋剤の減量による架橋密度の低減(ゲル分率の低減)等の方法がある。特許文献1および2に示されている粘着剤の選択は、偏光フィルムなどの変形をゆるすことから、この設計方針に沿ったものである。
【0099】
本発明が後者の方針をとらないのは、偏光フィルム3を挟持するベースフィルムのうち、液晶セル13側のベースフィルムを省略した結果である。液晶セル13側のベースフィルムを省略したため、偏光フィルム3および位相差フィルム6の形態を保持する支持体は透明基板12しかない。このため、偏光フィルム3および位相差フィルム6と透明基板12との間に存在する接着剤層5や粘着剤層7が変形しやすいものであると、偏光フィルム3などの変形を抑えることができなくなる。このため、後者の設計方針をとることはできない。一方、液晶セル13側のベースフィルムを省略した結果、偏光フィルム3と透明基板12とはより近接した配置になっている。このため、本発明では前者の設計方針をとることが容易になっている。」

(エ)図1

「
」

(オ)図5

「
」

イ 引用文献2の【0076】に記載された「試験片」は、「粘着剤層7を構成する粘着剤として粘着剤Bを用いた。・・・これ以外は実施例11と同様にして試験片を作成し」たものである。また、引用文献2の【0067】及び【図1】等の記載からみて、【0070】に記載された工程で作成されてなるものは、「偏光板4」である。そして、引用文献2の【0087】【表2】からみて、【0076】に記載の「粘着剤B」は、「貯蔵弾性率(80℃、1Hz)1.5×105Paであり、損失正接(tanδ(80℃、1Hz))0.148である」。

そうしてみると、引用文献2には、粘着剤Bを用いた実施例12についての「試験片」として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中にて延伸処理して、偏光フィルム3を作製し、次に、偏光フィルム3の片側の面を、ポリビニルアルコール系の接着剤層2を介して、トリアセチルセルロースからなるベースフィルム1に接着して偏光板4を作製し、
次に、片側の面にベースフィルム1が貼り合わされた偏光フィルム3と、位相差フィルム6との、それぞれの貼り合わせ面をコロナ放電処理し、続いて、位相差フィルム6の貼り合わせ面に、#7のワイヤーバーを用いてバーコータブレード法によって接着剤aを塗布した後、60℃に120秒間加熱して、接着剤aからなる接着剤層5を形成し、
次に、接着剤層5が形成された、位相差フィルム6の貼り合わせ面と、偏光フィルム3の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせ、この後、硬化のために40℃にて3日間エージングを行い、ベースフィルム1/接着剤層2/偏光フィルム3/接着剤層5/位相差フィルム6が積層された積層体を作製し、
次に、粘着剤Bからなる粘着剤層が2枚の保護フィルムで挟持されている粘着シートを用意し、粘着シートの一方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面と偏光板4が貼り合わされた位相差フィルム6の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせ、続いて、粘着シートから他方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面とガラス基板12の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせて作製した、試験片であって、
ここで、粘着剤Bは、貯蔵弾性率(80℃、1Hz)1.5×105Paであり、損失正接(tanδ(80℃、1Hz))0.148である、
試験片。」

ウ 引用文献1の記載事項

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原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2013-72951号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当合議体が付与したものである。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板およびその製造方法に関する。
・・・(中略)・・・
続きを表示(全18行)
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、偏光フィルムや位相差フィルム等の他の光学フィルムのクラックや剥がれ、光抜けが抑制され、寸法変化の小さい偏光板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも偏光フィルムと保護フィルムを備える偏光板であって、
前記偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが積層されており、
前記保護フィルムとは反対側の最表面に粘着剤層が設けられており、
前記偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の幅2mmあたりの収縮力が、80℃の温度で240分間保持したときに1.0N以下であり、
前記粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が0.20MPa以上であることを特徴とする、偏光板である。
・・・(省略)・・・
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、収縮力が小さい偏光フィルムと弾性率の高い粘着剤を組み合わせることにより、偏光フィルムや位相差フィルム等の他の光学フィルムのクラックや剥がれ、光抜けが抑制され、寸法変化の小さい偏光板を得ることができる。」
(イ)「【実施例】
【0140】
以下に、実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0141】
続きを表示(全54行)
[貯蔵弾性率の測定法]
以下の例において、粘着剤(感圧接着剤)の貯蔵弾性率は、直径8mm、厚さ1mmの円柱を試験片とし、REOMETRIC社製の測定器“DYNAMIC ANARYZER RDA II”を用いて、周波数1Hzの捻り剪断法で23℃および80℃における貯蔵弾性率(G’)を測定した。
【0142】
[粘着剤] 以下の例においては、粘着剤として次のものを用いた。
【0143】
(粘着剤A)
アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーを配合し、さらにイソシアネート系架橋剤を添加した有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレートフィルム)の離型処理面に、ダイコーターにて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工したシート状粘着剤。なお、この粘着剤Aの貯蔵弾性率を前述の方法により測定したところ、粘着剤Aの貯蔵弾性率は、23℃において0.41MPa、80℃において0.19MPaであった。
・・・(省略)・・・
【0150】
<実施例1>
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを約5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計厚みは90μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
【0151】
(2)プライマー層の形成
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z-200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液を、25cm×35cmにカットした上記基材フィルムの片側にコロナ処理を施し、その処理面上に、卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
【0152】
(3)ポリビニルアルコール系樹脂層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均ケン化度98.0~99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記プライマー層上に卓上バーコーターを用いて塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、「基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層」からなる3層構造の積層フィルムを作製した。このときのポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは11μmであった。
【0153】
(4)偏光フィルム化処理工程
(延伸工程)
上記の積層フィルムから、端部を切り落とし、幅18cm×長さ30cmの積層フィルムを得た。この積層フィルムをテンター延伸装置にて160℃の延伸温度で、幅方向に5.8倍に自由端一軸延伸した。このときのポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは5.1μmであった。
【0154】
(染色工程・架橋工程)
次に、延伸された上記積層フィルムの中央部から、10cm×15cmのフィルムを切り出して、次の手順でポリビニルアルコール系樹脂層の染色および架橋を行った。まず、切り出された積層フィルムを、30℃のヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液である30℃の染色溶液に150秒間程度浸漬して、ポリビニルアルコール系樹脂層の染色を行ない、ついで10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次に、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液である76℃の架橋溶液に600秒間浸漬させた。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光フィルム化し、10cm×15cmの「基材フィルム/プライマー層/偏光フィルム」からなる3層構造の偏光性積層フィルムを得た。このときの偏光フィルム(ポリビニルアルコール系樹脂層)の厚みは5.1μmであった。
【0155】
得られた偏光性積層フィルムの偏光フィルムのみについて、下記の測定方法により吸収軸と直交する方向の収縮力と、吸収軸方向の収縮力とを測定した。その結果、偏光フィルムの吸収軸と直交する方向の収縮力は0.28Nであり、吸収軸方向の収縮力は1.2Nであった。
【0156】
(収縮力の測定方法)
偏光性積層フィルムの、収縮力を測定したい方向が長軸となるように幅2mm、長さ50mmにスーパーカッター(株式会社荻野精機製作所製)でカットした。得られた短冊状のチップ(偏光性積層フィルム)から基材フィルムを剥離して偏光フィルムのみとし、試験片とした。
【0157】
試験片の収縮力を熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型式TMA/6100)を用いて測定した。この測定は、寸法一定モードにおいて実施し(チャック間距離を10mmとした)、試験片を20℃の室内に十分な時間放置した後サンプルの室内の温度設定を20℃から80℃まで1分間で昇温させ、昇温後はサンプルの室内の温度を80℃で維持するように設定した。昇温後さらに4時間放置した後、80℃の環境下で試験片の長辺方向の収縮力を測定した。この測定において静荷重は0mNとし、治具にはSUS製のプローブを使用した。
【0158】
(5)保護フィルム貼合工程
まず、ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL-318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液に、ポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部の架橋剤(住化ケムテックス(株)製「スミレーズレジン650」)を混合し、接着剤溶液を調製した。
【0159】
次に、得られた偏光性積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層上に、上記接着剤溶液を塗布した後、トリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルム(コニカミノルタオプト(株)製「KC4UY」)を貼合し、「基材フィルム/プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」の5層からなる基材フィルム付偏光板を得た。
【0160】
(6)基材フィルム剥離工程
得られた10cm×15cmの基材フィルム付偏光板から基材フィルムを剥離し、「プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」の4層からなる偏光板αを作製した。
【0161】
(7)粘着剤層積層工程
得られた偏光板αのプライマー層側の表面にコロナ処理を施し、その表面に粘着剤Aを貼着して、「セパレートフィルム/粘着剤A/プライマー層/偏光フィルム/接着剤層/保護フィルム」からなる粘着剤付偏光板を作成した。
【0162】
(8)評価用サンプルの作製
得られた粘着剤付偏光板を表1に示すとおりの寸法、軸角度でカットし評価用サンプルを作製した。なお、表1中の「偏光フィルムの軸角度」とは、保護フィルム10側からみたときの、偏光板1の長辺方向Cに対する偏光フィルム11の吸収軸11Aの反時計回りの角度αである(図3参照)。また、「位相差フィルムの軸角度」とは、保護フィルム10側からみたときの、偏光板1の長辺方向Cに対する位相差フィルム12の遅相軸12Bの反時計回りの角度βである(図3参照)。
・・・(省略)・・・
【0172】
[偏光板の耐久性評価]
実施例1、2および比較例1~4で作製した評価用サンプルのセパレートフィルムを剥離し、各評価用サンプルの粘着剤層を厚さ0.7mmのガラス板に貼り付け、温度50℃、圧力0.5MPaの条件で20分間オートクレーブ処理を行った。自然冷却後、それぞれのサンプルを、温度が85℃に保たれたオーブンに投入し、500時間保持する加熱試験を行った。この加熱試験後のサンプルについて、初期の寸法からの寸法変化量([試験後の値]-[初期値])をNEXIV VMR-12072(ニコン(株)製)にて測定した。結果を表2に示す。」

【0173】

【表1】

【0174】

【表2】

」

(ウ)図3

「
」

エ 引用文献1に記載された事項

引用文献1において、実施例1(【0150】~【0161】)の粘着剤付偏光板の評価用サンプルは、長辺75mm、短辺55mmの寸法(【0173】の表1)である。また、実施例1の粘着剤付偏光板の評価用サンプルは、偏光フィルムの軸角度が90°(【0173】の表1)であることと、図3とその説明(【0162】)により、短辺は偏光板の吸収軸方向と平行である。さらに、引用文献1の【0172】には、偏光板の耐久性評価として、「温度が85℃に保たれたオーブンに投入し、500時間保持する加熱試験を行った」と記載され、実施例1の短辺の寸法変化量は、-109.45μmである(【0174】の表2)。

そうしてみると、上記ウと上記事項により、引用文献1には、「短辺が粘着剤付偏光板の吸収軸方向と平行な長辺75mm、短辺55mmの評価用サンプルとして、偏光板の粘着層をガラス板に貼り付け、温度85℃、500時間保持する加熱試験を行い、粘着剤付偏光板の加熱後の吸収軸方向の寸法変化量は、-109.45μmであること」(以下「引用文献1に記載された事項」という。)が記載されている。

(3)対比

本件補正後発明と引用発明とを対比する。

ア 第1保護フィルム、偏光子

引用発明の「偏光板4」は、「ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中にて延伸処理して、偏光フィルム3を作製し、次に、偏光フィルム3の片側の面を、ポリビニルアルコール系の接着剤層2を介して、トリアセチルセルロースからなるベースフィルム1に接着して」「作製し」たものである。

ここで、上記製造工程からみて、引用発明の「ベースフィルム1」は、「偏光フィルム3」の「保護フィルム」として機能するものである(当合議体注:引用文献2の【0004】の記載からも理解される事項である。)。また、本件において、序数詞「第1」を付しても、物としての構成は変わらない。

そうしてみると、引用発明の「ベースフィルム1」及び「偏光フィルム3」は、それぞれ、本件補正後発明の「第1保護フィルム」及び「偏光子」に相当する。

また、引用発明の「偏光フィルム3」は、「ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中にて延伸処理して」、「作製し」たものであり、ポリビニルアルコールが樹脂であることは技術常識であるから、引用発明の「偏光フィルム3」は、本件補正後発明の「偏光子」の「ポリビニルアルコール系樹脂で構成される」との要件を満たす。

イ 粘着剤層、偏光板

引用発明の「試験片」は、「ベースフィルム1/接着剤層2/偏光フィルム3/接着剤層5/位相差フィルム6が積層された積層体を作製し」、「次に、粘着剤Bからなる粘着剤層が2枚の保護フィルムで挟持されている粘着シートを用意し、粘着シートの一方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面と偏光板4が貼り合わされた位相差フィルム6の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせ、続いて、粘着シートから他方の保護フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の面とガラス基板12の貼り合わせ面とを、ポータブルローラーを用いて貼り合わせて作製した」ものである。

上記組成及び製法からみて、引用発明の「粘着剤層2」は、その文言どおり、本件補正後発明の「粘着剤層」に相当する。また、上記アの組成及び製法並びに上記組成及び製法からみて、引用発明の「試験片」から「ガラス基板12」を除いたもの(以下「位相差フィルム・偏光積層体」という。)は、本件補正後発明の「偏光板」に相当する。

また、上記の積層構造からみて、引用発明の「位相差フィルム・偏光積層体」は、「ベースフィルム1」、「偏光フィルム3」、「粘着剤層」をこの順に含むものである。そうしてみると、引用発明の「位相差フィルム・偏光積層体」は、本件補正後発明の「偏光板」の「第1保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂で構成される偏光子と、粘着剤層とをこの順に含む」との要件を満たす。

(4)一致点及び相違点

ア 一致点

以上の対比結果を踏まえると、本件補正後発明と引用発明(の「位相差フィルム・偏光積層体」)は、以下の点で一致する。

「 第1保護フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂で構成される偏光子と、粘着剤層とをこの順に含む偏光板。」

イ 相違点

本件補正後発明と引用発明は、以下の点で相違する。

(相違点1)

「粘着剤層」が、本件補正後発明は、「80℃における損失弾性率が0.03MPa以上0.057MPa以下であ」るのに対して、引用発明は、80℃における損失弾性率が0.0222MPa(「貯蔵弾性率(80℃、1Hz)1.5×105Pa」と「損失正接(tanδ(80℃、1Hz))0.148」をかけたもの)である点。

(相違点2)

本件補正後発明は、「長辺が前記偏光子の吸収軸方向と平行な長辺200mm×短辺150mmの試験片とし 、前記粘着剤層を介してガラス基板に貼合し、前記第1保護フィルム側が露出した状態で85℃で500時間加熱したときの吸収軸方向における寸法収縮量が、500μm以下である」のに対して、引用発明は、このような特定がなされていない点。

(5)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用文献2の【0097】には、「粘着剤や接着剤の凝集力を強くし、偏光フィルムや位相差フィルムの周囲に存在する粘着剤や接着剤が変形しないことによって、収縮や反りを起こそうとする偏光フィルムや位相差フィルムに対抗し、変形を起こさせない方法である。このような粘着剤は、粘性が小さく、弾性が大きく、動的粘弾性の損失正接tanδが小さい粘着剤である。このような粘着剤を得るには、粘着剤を構成する高分子の高分子量化/高ガラス転移温度化、低分子量成分の除去、架橋剤の増量や架橋効率の向上による架橋密度の増加(ゲル分率の増加)等の方法がある。本発明は、この設計方針と一致する。」と記載されている。また、このような傾向は、引用文献2の【0087】の【表2】に記載された実施例11~実施例13及び比較例11~比較例13を対比しても確認される事項であり、端的には、実施例12、すなわち引用発明の「粘着剤B」の「評価結果」(気泡の発生)を改善するためには、実施例11の値を参考にすると、損失正接が0.148を超えない範囲内で、貯蔵弾性率が実施例11の値に近づくような粘着剤に替えれば良く、また、このような材料の選択は、引用文献2の記載に接したその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)における設計事項にすぎない。また、このようにしてなる損失弾性率の値(貯蔵弾性率×損失正接)は、「0.03MPa以上0.057MPa以下」の範囲内に入るといえる。

そうしてみると、引用発明の「粘着剤層」を上記相違点1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について

引用文献2の【0097】には、「粘着剤や接着剤の凝集力を強くし、偏光フィルムや位相差フィルムの周囲に存在する粘着剤や接着剤が変形しないことによって、収縮や反りを起こそうとする偏光フィルムや位相差フィルムに対抗し、変形を起こさせない」と記載されている。また、引用文献2の【0019】には、「前記位相差フィルムと前記偏光フィルムとを、これらが変形する余地を残さないほど強力に、前記基板に貼り付けてしまう」という技術思想が開示されている。

そこで、このように収縮や反りに配慮された偏光板の寸法変化率がどの程度のものかについて、先の出願前の技術水準を確認してみると、引用文献1には、「短辺が粘着剤付偏光板の吸収軸方向と平行な長辺75mm、短辺55mmの評価用サンプルとして、偏光板の粘着層をガラス板に貼り付け、温度85℃、500時間保持する加熱試験を行い、粘着剤付偏光板の加熱後の吸収軸方向の寸法変化量は、-109.45μmであること」が記載されている。ここで、本件補正後発明の偏光板の寸法収縮量と引用文献1の粘着剤付偏光板の寸法変化量とは、測定方法が異なるものの、引用文献1の粘着剤付偏光板の寸法変化量は、本件補正後発明の偏光板の寸法収縮量の上限である500μmよりも十分小さい-109.45μmにとどまっている。

このような技術水準を考慮すると、「粘着剤や接着剤の凝集力を強くし、偏光フィルムや位相差フィルムの周囲に存在する粘着剤や接着剤が変形しないことによって、収縮や反りを起こそうとする偏光フィルムや位相差フィルムに対抗し、変形を起こさせない」ものである引用発明(の「位相差フィルム・偏光積層体」)は、「偏光フィルム」及び「位相差フィルム」を具備するとしても、相違点2に係る本件補正後発明の要件を満たす蓋然性が十分に高いものといえる。

仮にそうでないとしても、先の出願前の当業者ならば、偏光フィルムとして、引用文献1の【0010】の記載等からも理解されるような、より収縮力が小さく、薄い偏光フィルムを入手可能である。

引用発明において、このような偏光フィルムを採用してなるものは、相違点2に係る本件補正後発明の要件を満たすものである。

(6)効果について

本件補正後発明に関して、本件明細書の【0012】には、「本発明によれば、耐熱試験を実施しても、反り及び気泡の混入が生じにくい粘着剤付の偏光板を提供することができる。」と記載されている。

しかしながら、このような効果は、引用発明及び引用文献1に記載された事項から予測できる範囲内のものである。

(7)審判請求人の主張について

審判請求人は、令和2年1月22日提出の審判請求書において、「本願発明によって奏される粘着剤付の偏光板の反り及び気泡の混入を抑制するという作用効果は、引用文献1及び2には開示されておらず、引用文献1および2からは予期し得ないものです。」、「引用文献2及び引用文献1のいずれにも、本願発明のように、粘着剤層の損失弾性率を0.03MPa以上0.057MPa以下とすることについては開示も示唆もありません。」と主張している。

しかしながら、上記(5)、(6)で述べたとおりであり、審判請求人の上記主張は、採用することができない。

(8)小括

したがって、本件補正後発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正却下の決定のむすび

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記「第2 令和2年1月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定」[結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である下記の引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

記

引用文献1:特開2013-72951号公報
引用文献2:特開2010-85802号公報

(当合議体注:引用文献1は副引用例であり、引用文献2は主引用例である。)

3 引用文献及び引用発明

引用文献2の記載及び引用発明並びに引用文献1の記載及び引用文献1に記載された事項は、上記第2[理由]2(2)アないしエに記載したとおりである。

4 対比及び判断

本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正後発明から、上記第2[理由]1の補正事項に係る数値範囲を拡張したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定した本件補正後発明も、上記第2[理由]2に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-000844

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同じ当事者の審決480件(住友化学株式会社)
  • 2025-013284拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)光学積層体および画像表示装置
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2025-001215拒絶査定不服審判 / 2026-08-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)着色樹脂組成物
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2024-019148拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)プロピレン系重合体組成物、二軸延伸フィルム、および包装袋
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2024-016376拒絶査定不服審判 / 2026-07-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)塩、酸発生剤、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法
    同じ当事者: 住友化学株式会社
  • 2025-004957拒絶査定不服審判 / 2026-06-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)偏光フィルムおよび楕円偏光板
    同じ当事者: 住友化学株式会社
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同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-013045拒絶査定不服審判 / 2025-12-05 / 請求不成立ヘッドアップディスプレイ装置およびその製造方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-001238拒絶査定不服審判 / 2025-06-02 / 請求不成立光ファイバ
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-021342拒絶査定不服審判 / 2025-01-31 / 請求不成立プラスチック波長シフトファイバおよびその作製方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-012098拒絶査定不服審判 / 2024-07-01 / 請求不成立レンズのためのレンズ本体、レンズのための外部筐体、レンズ系及びレンズ組立体
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-005961拒絶査定不服審判 / 2024-05-20 / 請求不成立光学フィルタ装置を備える内視鏡およびその使用
    共通の条文: 特許法29条2項
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同じ論点・分野の審決(審決分類)1,821件(121・G02B、575・G02B)
  • 2025-018214拒絶査定不服審判 / 2026-07-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポリエステルフィルム、および該ポリエステルフィルムを含む偏光板
    共通の審決分類: 121・G02B、575・G02B
  • 2024-018722拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 請求不成立ウェアラブル視覚化デバイスシステムおよび方法
    共通の審決分類: 121・G02B、575・G02B
  • 2024-013494拒絶査定不服審判 / 2026-02-06 / 請求不成立画像表示用導光板
    共通の審決分類: 121・G02B、575・G02B
  • 2024-014184拒絶査定不服審判 / 2026-01-26 / 請求不成立光電気モジュール
    共通の審決分類: 121・G02B、575・G02B
  • 2024-008662拒絶査定不服審判 / 2026-01-09 / 請求不成立検出器システムのための機能化された導波路
    共通の審決分類: 121・G02B、575・G02B

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