特許異議申立
2019-700641
遊技機
- 審判番号
- 2019-700641
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-017413外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年08月13日
- 審決日
- 2020年03月25日
- 公報発行日
- 2020年06月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】木村 満
- 【権利者代理人】桜田 圭
- 【権利者代理人】鈴木 洋雅
- 【権利者代理人】佐伯 義文
- 【権利者代理人】松沼 泰史
- 【権利者代理人】平野 昌邦
- 【権利者代理人】田▲崎▼ 聡
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6468547号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6468547号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。
特許第6468547号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6468547号の請求項1及び2に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成27年1月30日に出願され、平成31年1月25日にその特許権の設定登録がされ、同年2月13日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許について、令和1年8月13日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は、同年10月28日付けで取消理由を通知し、特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である同年12月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、特許異議申立人は、令和2年2月26日に意見書を提出した。
第2 本件訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2について、請求項ごとに、以下のとおり訂正することを求めるとともに、本件特許の明細書について、以下のとおり訂正することを求めるものである。
(1)請求項1に係る訂正
ア 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1(以下「訂正前の請求項1」という。)に「遊技を行うことが可能な遊技機であって、」と記載されているのを、
「遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、」に訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同じ)。
イ 訂正事項2
訂正前の請求項1に
「 前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」を加える。
ウ 訂正事項3
訂正前の請求項1に「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段、」と記載されているのを、
「遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、」に訂正する。
エ 訂正事項4
訂正前の請求項1に「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行する」と記載されているのを、
「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、」に訂正する。
オ 訂正事項5
訂正前の請求項1に
「 前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであり、」を加える。
カ 訂正事項6
訂正前の請求項1に
「 今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタと、」を加える。
キ 訂正事項7
訂正前の請求項1に
「 連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、
をさらに備え、」を加える。
ク 訂正事項8
訂正前の請求項1に
「 前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、」を加える。
ケ 訂正事項9
訂正前の請求項1に
「 前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、」を加える。
コ 訂正事項10
訂正前の請求項1に
「 前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され、」を加える。
サ 訂正事項11
訂正前の請求項1に
「 前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、」を加える。
シ 訂正事項12
訂正前の請求項1に
「 前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、」を加える。
ス 訂正事項13
訂正前の請求項1に
「 前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であり、」を加える。
セ 訂正事項14
訂正前の請求項1に
「 前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である、」を加える。
(2)請求項2に係る訂正
ソ 訂正事項16
本件特許の特許請求の範囲の請求項2(以下「訂正前の請求項2」という。)に「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段、」と記載されているのを、
「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、」に訂正する。
タ 訂正事項17
訂正前の請求項2に
「 特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」を加える。
チ 訂正事項18
訂正前の請求項2に「前記報知演出には、第1条件が成立したときに特定期間において獲得した価値の大きさを第1報知期間において報知する第1報知と、第2条件が成立したときに特別期間において獲得した価値の大きさを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ、」と記載されているのを、
「前記報知演出には、前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知と、前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ、」に訂正する。
ツ 訂正事項19
訂正前の請求項2に
「 前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知と、」を加える。
テ 訂正事項20
訂正前の請求項2に
「 前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知と、」を加える。
ト 訂正事項21
訂正前の請求項2に
「 前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知と、
を実行可能であり、」を加える。
ナ 訂正事項22
訂正前の請求項2に「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示する」と記載されているのを、
「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示せず、」に訂正する。
ニ 訂正事項23
訂正前の請求項2に
「 前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、」を加える。
ヌ 訂正事項24
訂正前の請求項2に
「 前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、」を加える。
ネ 訂正事項25
訂正前の請求項2に
「 前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、」を加える。
ノ 訂正事項26
訂正前の請求項2に
「 前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い、」を加える。
(3)明細書に係る訂正
ハ 訂正事項15及び27
本件特許の明細書の段落【0007】に
「 (1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行うことが可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1、パチスロ機等)であって、獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、獲得枚数報知演出、累積賞球数報知演出、累積獲得枚数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、右打ち報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)、を備え、前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、が含まれ、前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行する(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。また、本願発明に係る遊技機は、遊技を行うことが可能な遊技機であって、獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段、を備え、前記報知演出には、第1条件が成立したときに特定期間において獲得した価値の大きさを第1報知期間において報知する第1報知と、第2条件が成立したときに特別期間において獲得した価値の大きさを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ、前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示し、前記第2報知では、前記所定の表示レイヤーに第2画像を表示し、前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示する。」と記載されているのを、
「 (1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1等)であって、前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出を実行する演出制御用CPU120等)と、を備え、前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する累積賞球数報知演出等)と、が含まれ、前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)、前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであり、今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタと、連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、をさらに備え、前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され、前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であり、前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である。また、本願発明に係る遊技機は、遊技を行うことが可能な遊技機であって、獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、を備え、前記報知演出には、前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知と、前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ、前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示し、前記第2報知では、前記所定の表示レイヤーに第2画像を表示し、前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知と、前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知と、前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知と、を実行可能であり、前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示せず、前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い。」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)請求項1に係る訂正について
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「遊技を行うことが可能な遊技機であって、」と記載されているのを、「遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、」に訂正することで、「遊技機」について、「遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な」ものである点を限定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、「遊技機」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0019】の「(7)上記(1)から(6)のうちいずれかの遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であると共に、前記有利状態に制御された後に、遊技者にとって有利な特別状態(例えば確変状態や時短状態等)に制御可能であり、前記有利状態に制御されてから通常状態に制御されるまでの期間(例えば連チャン中等)であってもよい。」との記載、同【0074】の「特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者によって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。」との記載、同【0077】の「大当り遊技状態が終了した後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて、可変表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることがある。確変状態は、所定回数の可変表示が実行されること、あるいは次回の大当り遊技状態が開始されることといった、所定の確変終了条件が成立するまで、継続するように制御される。また、大当り遊技状態が終了した後には、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある。時短状態は、所定回数の可変表示が実行されたことと、次回の大当り遊技状態が開始されたことのうち、いずれか一方の時短終了条件が先に成立するまで、継続するように制御される。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
なお、特許異議申立人は、令和2年2月26日提出の意見書において、訂正事項1について、
「要するに、訂正事項1は、本件明細書に記載された「大当り遊技状態が終了した後に確変状態又は時短状態に制御される」とする実施形態以外のものを含んでいるもの、すなわち本件明細書及び図面に記載されていない構成の発明を含んだ(新規事項を追加する)、上位概念化する訂正となっている。
よって、本件訂正発明1は、本件明細書等に記載した事項の範囲を明らかに超える上位概念化した訂正を行っており、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。」と主張する。
しかし、上記のとおり、願書に添付した明細書の【0019】には「遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であると共に、前記有利状態に制御された後に、遊技者にとって有利な特別状態(例えば確変状態や時短状態等)に制御可能であり、」と記載されており、「遊技者にとって有利な有利状態」「に制御された後に、遊技者にとって有利な特別状態」「に制御可能であ」ることが明示的に記載されている。
また、同【0019】の「遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)」及び「遊技者にとって有利な特別状態(例えば確変状態や時短状態等)」という記載から、「大当り遊技状態」及び「確変状態や時短状態」は、「遊技者にとって有利な有利状態」及び「遊技者にとって有利な特別状態」の例示にすぎないことは明らかである。
よって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に「前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0038】の「特別可変入賞球装置7Aは、図2に示す上大入賞口扉用のソレノイド82Aによって開閉駆動される上大入賞口扉を備え、その上大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する上大入賞口を形成する。」との記載、同【0039】の「特別可変入賞球装置7Bは、図2に示す下大入賞口扉用のソレノイド82Bによって開閉駆動される下大入賞口扉を備え、その下大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する下大入賞口を形成する。」との記載、同【0076】の「大当り遊技状態では、上大入賞口又は下大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7A又は特別可変入賞球装置7Bが遊技者によって有利な第1状態となる。そして、所定期間、あるいは所定個数の遊技球が上大入賞口又は下大入賞口に進入して入賞球が発生するまでの期間にて、上大入賞口又は下大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行される。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、上大入賞口や下大入賞口が閉鎖状態となり、入賞球が発生困難又は発生不可能となる。」との記載、同【0309】の「上記実施の形態では、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口と特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口とを設け、開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入することにより、大当り遊技状態の終了後に確変制御が行われる確変状態となるための確変制御条件が成立するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、遊技領域2に設けられた1つの大入賞口に遊技球が進入したことに基づいて、確変制御条件が成立し得るものであってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
なお、特許異議申立人は、令和2年2月26日提出の意見書において、訂正事項2について、
「要するに、本件明細書では、いわゆるダブルアタッカー(特別可変入賞球装置7A、7B)により、1つのパチンコ遊技機を構成(一体不可分な関係の構成)としており、そのダブルアタッカーの1つのみを都合よく取り出して成立するパチンコ遊技機についてまで開示されていない。
本件訂正発明1においては、特別可変入賞球装置7A、7Bのいずれか一方の構成を備えないパチンコ遊技機が含まれている上位概念化した発明となっている。
よって、本訂正事項2は、本件明細書に記載の実施形態においてそれぞれが必須の構成とされている特別可変入賞球装置7A、7Bのうちのいずれか一方のみを備えた発明を含んだ(新規事項を追加する)、上位概念化する訂正となっているため、本件明細書等に記載した事項の範囲を明らかに超える訂正となっており、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。」と主張する。
しかし、上記のとおり、願書に添付した明細書の【0309】には「遊技領域2に設けられた1つの大入賞口に遊技球が進入したことに基づいて、確変制御条件が成立し得るものであってもよい。」と記載されており、本件明細書において、特別可変入賞球装置7Aと特別可変入賞球装置7Bの両者を備えることが、必須の構成とされているとはいえない。
よって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的について
訂正事項3のうち、訂正前の請求項1の「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段」との記載を、「遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段」とする訂正は、「報知演出実行手段」が「報知演出を実行する」ことに関して、「遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて」実行する点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正事項3のうち、訂正前の請求項1の「報知演出実行手段、」との記載を、「報知演出実行手段と、」とする訂正は、訂正事項2に係る訂正により「前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」という発明特定事項が付加されたことに伴って、後の「を備え、」に係るものが「可変入賞手段」及び「報知演出実行手段」の両者であることを明瞭にしようとするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、「報知演出実行手段」について限定を加えるとともに、記載を明瞭にするものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3に関して、願書に添付した明細書の【0178】には「このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」と記載され、同【0214】には「図19(A)のステップS184にて、このような確変確定報知演出動作制御処理を実行した後には、大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS185)。」と記載され、同【0217】には「ステップS212にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS213;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「2000」以上であるか否かを判定する(ステップS213)。」と記載され、同【0220】には「ステップS214にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS214;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「2400」以上であるか否かを判定する(ステップS215)。」と記載され、同【0221】には「ステップS213にて賞球数カウント値が「2000」以上である場合や(ステップS213;YES)、ステップS215にて賞球数カウント値が「2400」以上である場合や(ステップS215;YES)、ステップS211にて賞球数報知演出期間である場合には(ステップS211;YES)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS216)。」と記載され、同【0222】には「ステップS216にて確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS216;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS217;NO)、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS218)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS218の処理では、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出、あるいは「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(C)に示すような賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出が実行される。」と記載されており、これらの記載を総合すると、本件特許明細書等には、大当り中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、賞球数カウント値が15加算され、賞球数カウント値が「2000」以上または「2400」以上となった場合に、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」または「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められる。
また、訂正事項3に関して、願書に添付した明細書の【0180】には「このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」と記載され、同【0227】には「図19(A)のステップS185にて、このような賞球数報知演出動作制御処理を実行した後には、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する累積賞球数報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS186)。」と記載され、同【0232】には「ステップS393にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS393;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている累積賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「5000」以上であるか否かを判定する(ステップS394)。」と記載され、同【0235】には「ステップS395にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS395;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている累積賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「10000」以上であるか否かを判定する(ステップS396)。」と記載され、同【0236】には「ステップS394にて累積賞球数カウント値が「5000」以上である場合や(ステップS394;YES)、ステップS396にて累積賞球数カウント値が「10000」以上である場合や(ステップS396;YES)、ステップS392にて累積賞球数報知演出期間である場合には(ステップS392;YES)、賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS397)。」と記載され、同【0238】には「ステップS397にて賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS397;NO)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS398)。このとき、確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS398;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS399)。」と記載され、同【0239】には「ステップS399にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS399;NO)、最上位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS400)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS400の処理では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出、あるいは「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による累積賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(D)に示すような累積賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出が実行される。」と記載されており、これらの記載を総合すると、本件特許明細書等には、連チャン中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、累積賞球数カウント値が15加算され、累積賞球数カウント値が「5000」以上または「10000」以上となった場合に、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」または「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められる。
してみると、訂正事項3は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
エ 訂正事項4
(ア)訂正の目的について
訂正事項4のうち、訂正前の請求項1の「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行」との記載を、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行」とする訂正は、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合」に「前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行」することが、「前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することによ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正事項4のうち、訂正前の請求項1の「実行する」との記載を、「実行し、」とする訂正は、訂正事項5~14に係る訂正により、当該記載の後に発明特定事項が追加されたことに伴って、後に発明特定事項が続くことを明瞭にしようとするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、「前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行」することについて限定を加えるとともに、記載を明瞭にするものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0237】の「ステップS397にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS397;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。そこで、この実施の形態では、累積賞球数報知演出よりも賞球数報知演出を優先的に実行するようにしている。」との記載、同【0266】の「図27は、賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。例えば、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したときには、連チャン回数報知や大当り中楽曲名報知、累積賞球数報知演出の実行期間であるか否かにかかわらず、図21の賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS218の処理にて、図27(A)に示すように、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われる。」との記載、同【0267】の「一方、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したときには、図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397以降の処理が実行される。この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図22に示すステップS397にて、賞球数報知演出の実行中であることを理由として、図27(A)に示すように、累積賞球数報知演出は実行されない。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
オ 訂正事項5
(ア)訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項1に「前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであり、」という記載を加えるものであって、訂正前の請求項1における「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあ」ることに関して、当該「一の契機」が、「一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、「一の契機」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、大当り中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、賞球数カウント値が15加算され、賞球数カウント値が「2000」以上または「2400」以上となった場合に、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」または「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するという事項、及び、連チャン中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、累積賞球数カウント値が15加算され、累積賞球数カウント値が「5000」以上または「10000」以上となった場合に、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」または「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められる。
そして、上記事項により特定される構成によれば、連チャン中における大当り中に上大入賞口又は下大入賞口に一の遊技球が進入し、賞球数カウント値及び累積賞球数カウント値がそれぞれ15加算されることにより、賞球数カウント値が「2000」未満かつ累積賞球数カウント値が「5000」未満である状態から、賞球数カウント値が「2000」以上かつ累積賞球数カウント値が「5000」以上となるときや、賞球数カウント値が「2000」未満かつ累積賞球数カウント値が「10000」未満である状態から、賞球数カウント値が「2000」以上かつ累積賞球数カウント値が「10000」以上となるときや、賞球数カウント値が「2400」未満かつ累積賞球数カウント値が「5000」未満である状態から、賞球数カウント値が「2400」以上かつ累積賞球数カウント値が「5000」以上となるときや、賞球数カウント値が「2400」未満かつ累積賞球数カウント値が「10000」未満である状態から、賞球数カウント値が「2400」以上かつ累積賞球数カウント値が「10000」以上となるときがあることは明らかである。
してみると、訂正事項5は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
カ 訂正事項6
(ア)訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項1に「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタと、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、願書に添付した明細書の【0175】の「ステップS502にて受信コマンドが大当り開始指定コマンドではない場合には(ステップS502;NO)、その受信コマンドは大入賞口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、大入賞口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;YES)、賞球数カウント値を15加算するように更新する(ステップS505)。賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた賞球数カウンタの格納値であり、賞球数を示すものであればよい。ここで、賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
キ 訂正事項7
(ア)訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項1に「連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、
をさらに備え、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、願書に添付した明細書の【0176】の「ステップS505の処理を実行した後には、累積賞球数カウント値を15加算するように更新してから(ステップS506)、ステップS501の処理に戻る。累積賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた累積賞球数カウンタの格納値であり、累積賞球数を示すものであればよい。ここで、累積賞球数とは、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ク 訂正事項8
(ア)訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項1に「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項8は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、願書に添付した明細書の【0178】の「このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」との記載、同【0180】の「このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ケ 訂正事項9
(ア)訂正の目的について
訂正事項9は、訂正前の請求項1に「前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項9は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項9は、願書に添付した明細書の【0177】の「ステップS504にて受信コマンドが大入賞口入賞指定コマンドではない場合には(ステップS504;NO)、その受信コマンドは大当り終了指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS507)。そして、大当り終了指定コマンドであるときには(ステップS507;YES)、賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化して(ステップS508)、ステップS501の処理に戻る。」との記載、同【0178】の「このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
コ 訂正事項10
(ア)訂正の目的について
訂正事項10は、訂正前の請求項1に「前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項10は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10は、願書に添付した明細書の【0179】の「ステップS507にて受信コマンドが大当り終了指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その受信コマンドは遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS509)。そして、遊技状態指定コマンドであるときには(ステップS509;YES)、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて時短制御が終了するか否かを判定する(ステップS510)。そして、時短制御が終了するときには(ステップS510;YES)、累積賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS511)。」との記載、同【0180】の「このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
サ 訂正事項11
(ア)訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の請求項1に「前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、」という記載を加えるものであって、訂正前の請求項1における「第1条件」が、「前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、「第1条件」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、大当り中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、賞球数カウント値が15加算され、賞球数カウント値が「2000」以上または「2400」以上となった場合に、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」または「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められるから、訂正事項11は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項11は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
シ 訂正事項12
(ア)訂正の目的について
訂正事項12は、訂正前の請求項1に「前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、」という記載を加えるものであって、訂正前の請求項1における「第2条件」が、「前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は、「第2条件」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、連チャン中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、累積賞球数カウント値が15加算され、累積賞球数カウント値が「5000」以上または「10000」以上となった場合に、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」または「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められるから、訂正事項12は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項12は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ス 訂正事項13
(ア)訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の請求項1に「前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であり、」という記載を加えるものであって、訂正前の請求項1における「第1報知」が、「前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項13は、「第1報知」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、大当り中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、賞球数カウント値が15加算され、賞球数カウント値が「2000」以上または「2400」以上となった場合に、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」または「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められるから、訂正事項13は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
セ 訂正事項14
(ア)訂正の目的について
訂正事項14は、訂正前の請求項1に「前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である、」という記載を加えるものであって、訂正前の請求項1における「第2報知」が、「前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知であ」る点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項14は、「第2報知」について限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、連チャン中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、累積賞球数カウント値が15加算され、累積賞球数カウント値が「5000」以上または「10000」以上となった場合に、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」または「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められるから、訂正事項14は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項14は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)請求項2に係る訂正について
ソ 訂正事項16
(ア)訂正の目的について
訂正事項16は、訂正前の請求項2における「報知演出実行手段、」との記載を、「報知演出実行手段と、」に訂正するものであって、訂正事項17に係る訂正により、当該記載の後に「特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」という発明特定事項が追加されたことに伴って、後の「を備え、」に係るものが「報知演出実行手段」及び「可変入賞手段」の両者であることを明瞭にしようとするものである。
したがって、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項16は、記載を明瞭にするものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項16は、記載を明瞭にするものであって、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項16は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
タ 訂正事項17
(ア)訂正の目的について
訂正事項17は、訂正前の請求項2に「特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項17は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項17は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項17は、願書に添付した明細書の【0017】の「(6)上記(1)から(5)のうちいずれかの遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能であり、前記特定期間は、前記有利状態に制御される期間(例えば大当り中等)であってもよい。」との記載、同【0038】の「特別可変入賞球装置7Aは、図2に示す上大入賞口扉用のソレノイド82Aによって開閉駆動される上大入賞口扉を備え、その上大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する上大入賞口を形成する。」との記載、同【0039】の「特別可変入賞球装置7Bは、図2に示す下大入賞口扉用のソレノイド82Bによって開閉駆動される下大入賞口扉を備え、その下大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する下大入賞口を形成する。」との記載、同【0076】の「大当り遊技状態では、上大入賞口又は下大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7A又は特別可変入賞球装置7Bが遊技者によって有利な第1状態となる。そして、所定期間、あるいは所定個数の遊技球が上大入賞口又は下大入賞口に進入して入賞球が発生するまでの期間にて、上大入賞口又は下大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行される。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、上大入賞口や下大入賞口が閉鎖状態となり、入賞球が発生困難又は発生不可能となる。」との記載、同【0309】の「上記実施の形態では、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口と特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口とを設け、開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入することにより、大当り遊技状態の終了後に確変制御が行われる確変状態となるための確変制御条件が成立するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、遊技領域2に設けられた1つの大入賞口に遊技球が進入したことに基づいて、確変制御条件が成立し得るものであってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項17は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
なお、特許異議申立人は、令和2年2月26日提出の意見書において、訂正事項17について、
「しかし、訂正事項17中の「可変入賞手段」は、本件訂正発明2の訂正事項19中の「・・・前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである・・・」等の構成からして、本件明細書の段落0037~0040、0082等を参照すると、「特別可変入賞球装置7B」に相当する構成と想定される。
したがって、本件訂正発明2においては、「特別可変入賞球装置7A」を備えないパチンコ遊技機が含まれている上位概念化した発明となっている。
よって、本訂正事項17についても、本件明細書に記載の実施形態において必須の構成とされている「特別可変入賞球装置7A」を備えない発明を含んだ(新規事項を追加する)、上位概念化する訂正となっているため、本件明細書等に記載した事項の範囲を明らかに超える訂正となっており、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合しないものである。」と主張する。
しかし、上記のとおり、願書に添付した明細書の【0309】には「遊技領域2に設けられた1つの大入賞口に遊技球が進入したことに基づいて、確変制御条件が成立し得るものであってもよい。」と記載されており、本件明細書において、特別可変入賞球装置7Bに加えて特別可変入賞球装置7Aを備えることが、必須の構成とされているとはいえない。
よって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。
チ 訂正事項18
(ア)訂正の目的について
訂正事項18のうち、訂正前の請求項2における「第1条件が成立したときに特定期間において獲得した価値の大きさを第1報知期間において報知する第1報知」との記載を、「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知」とする訂正は、「第1条件」が、「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである」点を限定するとともに、「第1報知」により「報知する」「特定期間において獲得した価値の大きさ」が、「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したこと」である点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正事項18のうち、訂正前の請求項2における「第2条件が成立したときに特別期間において獲得した価値の大きさを第2報知期間において報知する第2報知」との記載を、「前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知」とする訂正は、「第2条件」が、「前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである」点を限定するとともに、「第2報知」により「報知する」「特別期間において獲得した価値の大きさ」が、「前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したこと」である点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項18は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項18は、「第1条件」、「第1報知」、「第2条件」及び「第2報知」について、それぞれ限定を加えるものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記「ウ 訂正事項3」の(ウ)で説示したとおり、本件特許明細書等には、大当り中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、賞球数カウント値が15加算され、賞球数カウント値が「2000」以上または「2400」以上となった場合に、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」または「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するという事項、及び、連チャン中に上大入賞口または下大入賞口に遊技球が進入し、上大入賞口スイッチ23Aまたは下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出される毎に、累積賞球数カウント値が15加算され、累積賞球数カウント値が「5000」以上または「10000」以上となった場合に、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」または「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するという事項が記載されていると認められる。
また、訂正事項18のうち、「前記特定期間よりも長い期間である特別期間」に関して、願書に添付した明細書の【0174】には「ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。」と記載されていることから、「連チャン中」が「大当り中」よりも長い期間であることは明らかである。
してみると、訂正事項18は、本件特許明細書等の記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項18は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ツ 訂正事項19
(ア)訂正の目的について
訂正事項19は、訂正前の請求項2に「前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知と、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項19は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項19は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項19は、願書に添付した明細書の【0082】の「そして、下大入賞口に進入した遊技球が図2に示す特定領域スイッチ24によって検出されることで、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立する。即ち、特定領域スイッチ24の設置個所を特定領域とし、この特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、所定の確変制御条件を成立させることができる。」との記載、同【0145】の「その後、確変確定通知コマンドを主基板11から演出制御基板12に対して送信するための設定を行う(ステップS319)。確変確定通知コマンドは、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立したことを通知するコマンドである。」との記載、同【0211】の「ステップS162にて確変確定通知コマンドの受信があった場合や(ステップS162;YES)、ステップS161にて確変確定報知演出期間である場合には(ステップS161;YES)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS163)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS163;NO)、最上位のレイヤーで確変確定報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS164)、確変確定報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS164の処理では、確変確定報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による確変確定報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(B)に示すような確変確定報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、確変確定報知演出が実行される。」との記載、同【0212】の「図25(B)に示す確変確定報知演出画像は、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことに対応して、「確変!」というメッセージを報知する文字画像MM2を、含んでいる。なお、確変確定報知演出画像の表示時間(確変確定報知演出の実行期間)は、例えば、20秒であってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項19は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
テ 訂正事項20
(ア)訂正の目的について
訂正事項20は、訂正前の請求項2に「前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知と、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項20は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項20は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項20は、願書に添付した明細書の【0174】の「ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。また、連チャン回数とは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが連続して発生した回数をいう。」との記載、同【0246】の「例えば、ステップS465の処理では、連チャン回数を報知する連チャン回数報知を実行するために予め用意された報知制御パターン等から読み出した報知制御実行データに応じて、所定の報知態様による連チャン回数報知を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(E)に示すような連チャン回数報知画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知が実行される。」との記載、同【0247】の「図25(E)に示す連チャン回数報知は、連チャン回数に対応して、「大当り×N(Nは連チャン回数)」というメッセージを報知する文字画像MM5を、含んでいる。なお、連チャン回数の報知(表示)時間は、例えば、5秒であってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項20は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ト 訂正事項21
(ア)訂正の目的について
訂正事項21は、訂正前の請求項2に「前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知と、
を実行可能であり、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項21は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項21は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項21は、願書に添付した明細書の【0255】の「ステップS474にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS474;NO)、最上位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS475)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。例えば、ステップS475の処理では、大当り中に再生されている楽曲名を報知する大当り中楽曲名報知を実行するために予め用意された報知制御パターン等から読み出した報知制御実行データに応じて、所定の報知態様による大当り中楽曲名報知を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(F)に示すような大当り中楽曲名報知画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知が実行される。」との記載、同【0256】の「図25(F)に示す大当り中楽曲名報知は、大当り中に再生されている楽曲名に対応して、「MUSIC:xxxxxxx(xxxxxxxは楽曲名)」というメッセージを報知する文字画像MM6を、含んでいる。なお、楽曲名の報知(表示)時間(大当り中楽曲名報知の実行時間)は、例えば、30秒であってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項21は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ナ 訂正事項22
(ア)訂正の目的について
訂正事項22のうち、訂正前の請求項2における「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合」との記載を、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合」とする訂正は、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合」について、「さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、」「前記第4報知期間及び前記第5報知期間」も「重なった場合」である点を限定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正事項22のうち、「前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示せず、」を追加する訂正は、新たな発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
さらに、訂正事項22のうち、訂正前の請求項2における「前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示する」との記載を、「前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、」とする訂正は、当該記載の後に新たな発明特定事項が追加されたことに伴って、後に発明特定事項が続くことを明瞭にしようとするものである。
したがって、訂正事項22は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項22は、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合」について限定を加え、新たな発明特定事項を付加するとともに、記載を明瞭にするものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項22は、願書に添付した明細書の【0189】の「図26(B)に示すように、小さいZ値を有する画像が手前側、大きいZ値を有する画像が奥側に描画される。つまり、Z値が大きい値である画像上に、Z値が小さい値である画像が重なるように描画され、Z値が小さい値である画像が優先的に表示される。つまりZ値が小さい値である画像が遊技者にとって手前側にあるように視認できる。」との記載、同【0190】の「また、本実施の形態では、図26(A)に示すように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、後述する大当り中演出処理を実行するときに、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも賞球数報知演出画像を優先的に表示し、賞球数報知演出画像よりも確変確定報知演出画像を優先的に表示し、確変確定報知演出画像よりもエラー報知画像を優先的に表示する制御を行う。」との記載、同【0237】の「このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。」との記載、同【0266】の「図27は、賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。」との記載、同【0270】の「このように、賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合には、図27(B)に示すように、最上位のレイヤーで賞球数報知演出が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される一方で、累積賞球数報知演出は実行されない。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項22は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ニ 訂正事項23
(ア)訂正の目的について
訂正事項23は、訂正前の請求項2に「前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項23は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項23は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項23は、上記「ナ 訂正事項22」の(ウ)で示した願書に添付した明細書の【0189】及び【0190】の各記載、同【0271】の「図28は、確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。」との記載、同【0275】の「このように、確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合には、図28(B)に示すように、最上位のレイヤーで確変確定報知演出が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出が実行され、それよりも更に下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項23は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ヌ 訂正事項24
(ア)訂正の目的について
訂正事項24は、訂正前の請求項2に「前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項24は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項24は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項24は、上記「ナ 訂正事項22」の(ウ)で示した願書に添付した明細書の【0189】及び【0190】の各記載、同【0223】の「図25(C)に示す賞球数報知演出画像は、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことに対応して、「2000GET」というメッセージを報知する文字画像MM3や、その「2000GET」というメッセージを台詞として発している態様のキャラクタ画像CA1を、含んでいる。」との記載、同【0271】の「図28は、確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。」との記載、同【0272】の「一方、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したときには、図21の賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS216以降の処理が実行される。この例の場合には、確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われることから、ステップS220の処理にて、図28(A)に示すように、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われる。」との記載、及び、願書に添付した図面の図28(B)の記載
に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項24は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ネ 訂正事項25
(ア)訂正の目的について
訂正事項25は、訂正前の請求項2に「前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項25は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項25は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項25は、願書に添付した明細書の【0212】の「なお、確変確定報知演出画像の表示時間(確変確定報知演出の実行期間)は、例えば、20秒であってもよい。」との記載、同【0223】の「なお、賞球数報知演出画像の表示時間(累積賞球数報知演出の実行期間)は、例えば、10秒であってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項25は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
ノ 訂正事項26
(ア)訂正の目的について
訂正事項26は、訂正前の請求項2に「前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い、」という発明特定事項を付加することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項26は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項26は、新たな発明特定事項を付加するものであって、構成要件の削除、請求項の追加にはあたらず、発明のカテゴリーや対象を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項26は、上記「ネ 訂正事項25」の(ウ)で示した願書に添付した明細書の【0212】及び【0223】の各記載、同【0256】の「なお、楽曲名の報知(表示)時間(大当り中楽曲名報知の実行時間)は、例えば、30秒であってもよい。」との記載に基づくものであり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項26は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)明細書に係る訂正について
ハ 訂正事項15及び27
(ア)訂正の目的について
訂正事項15及び27は、訂正事項1~14及び訂正事項16~26に係る訂正により、請求項1及び2が訂正されたことに伴い、本件特許の明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項1及び2の記載と整合させるための訂正である。
したがって、訂正事項15及び27は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項15及び27は、記載を明瞭にするものであって、実施例を追加するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。
(ウ)本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項15及び27は、本件特許の明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項1及び2の記載と整合させるためのものであるから、訂正事項1~14及び訂正事項16~26について検討したとおり、本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項15及び27は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件訂正請求によりなされた訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
また、本件訂正請求は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2について、請求項ごとに訂正の請求をするものであるから、特許法第120条の5第3項の規定に適合するものである。
よって、訂正後の請求項1及び2について訂正を認める。
第3 本件特許発明
本件訂正後の本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号1A~1P、2A~2Pは、令和1年12月26日提出の意見書における特許権者による分説に従い、請求項1及び2を分説するために当審にて付した)。
1 本件特許発明1
「【請求項1】
1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1B 前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、
1C 遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
を備え、
1D 前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知と、第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知と、が含まれ、
1E 前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、
1F 前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、
1G 前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであり、
1H 今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタと、
1I 連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、
をさらに備え、
1J 前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、
1K 前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、
1L 前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され、
1M 前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、
1N 前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、
1O 前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であり、
1P 前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である、
ことを特徴とする遊技機。」
2 本件特許発明2
「【請求項2】
2A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
2B 獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
2C 特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、を備え、
2D 前記報知演出には、前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知と、前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ、
2E 前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示し、
2F 前記第2報知では、前記所定の表示レイヤーに第2画像を表示し、
2G 前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知と、
2H 前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知と、
2I 前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知と、
2J を実行可能であり、
2K 前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、
2L 前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示せず、
2M 前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、
2N 前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、
2O 前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、
2P 前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い、
ことを特徴とする遊技機。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和1年10月28日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(取消理由1)請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(取消理由2)請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
2 甲第1号証の記載及び甲1発明
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ)。
ア 「【0047】
スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。・・・
【0052】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0~65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。」
イ 「【0064】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行なうサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行なう表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55、AT報知器60、および純増数報知器64の駆動制御を行なうLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行なう音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路など、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行なうための各種の制御を行なうとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。」
ウ 「【0092】
本実施の形態におけるスロットマシンは、図7に示すように、メイン制御部41により、RT1(通常遊技状態)、RT0(チャンスゾーン)、RT2(高RT)、RT3(低チャンスゾーン)、RT4(内部中RT)、ボーナス状態のうち、何れかに制御される。なお、遊技状態がボーナス状態以外の遊技状態を一般遊技あるいは一般遊技状態と称する。
【0093】
RT1とは、後述する再遊技役に当選する確率が最も低く、遊技者が遊技全体を通して最も長く遊技する可能性が高い遊技状態である。RT0とは、RT1よりも再遊技役に当選する確率が高い遊技状態である。RT2とは、RT0のみから移行可能であり、RT0~4の遊技状態の中で最も再遊技役に当選する確率が高い遊技状態である。RT3とは、ボーナス状態が終了すると移行する遊技状態である。RT4とは、RT1、RT0、RT2の遊技状態においてBBもしくはRBに当選したときに移行し、BBもしくはRBに入賞したときにはボーナス状態に移行する遊技状態である。ボーナス状態とは、BBに入賞した場合は所定の終了条件が成立するまでBBが行なわれ、RBが入賞した場合は所定の終了条件が成立するまでRBが行なわれる遊技状態である。・・・
【0097】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1は、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能となっている。本実施の形態においては、RT0およびRT2の遊技状態のみATへの制御が可能となっている。・・・
【0099】
RT4においては、BBもしくはRBに入賞した場合に、遊技状態がボーナス状態へ移行する。」
エ 「【0295】
[ATゲーム数上乗せ抽選処理]
サブ制御部91は、AT制御処理に含まれるATゲーム数上乗せ抽選処理を実行することにより、実行中のATに対して、ATゲームを上乗せするか否かのATゲーム数上乗せ抽選を行なう。本実施の形態においては、前述したナビストック数抽選によって当選した場合に、ナビストック数を上乗せされるが、それとは別にこのATゲーム数上乗せ抽選処理によって現在制御中のATゲームに対して、さらなるATゲームが追加される。ATゲーム数上乗せ抽選処理では、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、所定のATゲーム数上乗せ抽選条件が成立したか否かを判定し、成立したときにATゲーム数上乗せ抽選が実行される。ここで、本実施の形態において、ATゲーム数上乗せ抽選は、ATに制御中である場合において不問ベルに当選したことを契機として実行される。・・・
【0296】
また、サブ制御部91は、ATゲーム数上乗せ抽選処理を実行することにより、制御中のATに対してATゲーム数が上乗せ決定された場合に、当該ATゲーム数が上乗せ決定されたことを報知するATゲーム数上乗せ演出を行なうタイミングを決定する。ATゲーム数上乗せ演出においては、後述する図20(b)に示すように、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知される。
【0297】
本実施の形態において、ATゲーム数上乗せ演出が行なわれるタイミングは、先報知と後報知の2種類設けられている。そして、ATゲーム数上乗せ抽選処理によって、そのいずれかに決定される。「先報知」は、ATゲーム数が上乗せ決定されたときに上乗せ演出が行なわれる報知タイミングである。より具体的には、1ゲームが開始されて不問ベルに当選したときにATゲーム数抽選処理が実行され、その結果ATゲーム数の上乗せが決定される。そして、ATゲーム数が上乗せ決定されたゲームにおける入賞判定が終了した後に上乗せ演出が行なわれる。また、「後報知」は、AT報知器60に表示された残りATゲーム数が5ゲームであるときにATゲーム数上乗せ演出が行なわれる報知タイミングである。より具体的には、ATの終了から数えて6ゲーム目のATゲームにおける入賞判定が終了した後にATゲーム数上乗せ演出が行なわれる。
【0298】
ここで、本実施の形態においては、AT中の純増数が1000枚に達した場合に、液晶表示器51において純増数到達演出が行なわれる。純増数到達演出においては、後述する図20(a)に示すように、液晶表示器51の画面上に「1000枚GET!!」といった、純増数が1000枚に達したことが数値で報知される。
【0299】
純増数到達演出が行なわれるタイミングは、AT中の純増数が1000枚に達したゲームにおける入賞判定が終了した後に設定されている。そのため、ATゲーム数が上乗せ決定されたときの先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出が行なわれるタイミングとは、いずれもATゲームにおける入賞判定された後で同じタイミングであり、両者の報知タイミングが重なる場合がある。さらに、いずれの報知においても、液晶表示器51の画面上に数値を用いて報知される。そのため、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが同じタイミングで行なわれた場合、同じ装置において同一の態様で複数の報知が行なわれることになり、遊技者に対して混同を生じさせる虞がある。・・・
【0301】
そこで、サブ制御部91は、ATゲーム数上乗せ抽選処理において、先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、ATゲーム数上乗せ演出の報知タイミングを強制的に後報知に決定する。これにより、後述する図20(c)に示すように、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、液晶表示器51においては、純増数到達演出のみ行なわれるようにすることができる。」
オ 「【0321】
[純増数到達演出処理]
サブ制御部91は、純増数到達演出処理を実行することにより、AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達したことを液晶表示器51を用いて報知する純増数到達演出を行なう。・・・
【0325】
たとえば、図20(a)は、純増数到達演出時の液晶表示器51における画面状態を説明する図である。図20(a)に示すように、AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合、液晶表示器51においては、「1000枚GET!!」といった表示態様で純増数が1000枚に到達したことが報知される。これにより、メダルの純増数が1000枚に到達したことを、遊技者に通知させることができる。」
上記ア~オの記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。
「遊技制御基板40、演出制御基板90が設けられ(【0047】)、遊技制御基板40には、遊技の制御を行なうメイン制御部41が搭載され(【0052】)、演出制御基板90には、演出の制御を行なうサブ制御部91、液晶表示器51の表示制御を行なう表示制御回路92が搭載され(【0064】)、
メイン制御部41により、RT1(通常遊技状態)、RT0(チャンスゾーン)、RT2(高RT)、RT3(低チャンスゾーン)、RT4(内部中RT)、ボーナス状態のうち、何れかに制御され(【0092】)、RT4は、RT1、RT0、RT2の遊技状態においてBBもしくはRBに当選したときに移行する遊技状態であり(【0093】)、RT4においては、BBもしくはRBに入賞した場合に、遊技状態がボーナス状態へ移行し(【0099】)、
サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能となっており、RT0およびRT2の遊技状態のみATへの制御が可能となっているスロットマシン1であって(【0097】)、
サブ制御部91は、AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合、液晶表示器51において「1000枚GET!!」といった表示態様で純増数が1000枚に到達したことが報知される純増数到達演出を行ない(【0321】、【0325】)、
純増数到達演出が行なわれるタイミングは、AT中の純増数が1000枚に達したゲームにおける入賞判定が終了した後に設定され(【0299】)、
サブ制御部91は、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、所定のATゲーム数上乗せ抽選条件が成立したか否かを判定し、成立したときにATゲーム数上乗せ抽選を実行し(【0295】)、ATゲーム数が上乗せ決定された場合に、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるATゲーム数上乗せ演出を行ない(【0296】)、
ATゲーム数上乗せ演出が行なわれるタイミングは、先報知と後報知のいずれかに決定され、「先報知」は、ATゲーム数が上乗せ決定されたゲームにおける入賞判定が終了した後に上乗せ演出が行なわれ、「後報知」は、残りATゲーム数が5ゲームであるときにATゲーム数上乗せ演出が行なわれる報知タイミングであり(【0297】)、
ATゲーム数が上乗せ決定されたときの先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出が行なわれるタイミングとは、いずれもATゲームにおける入賞判定された後で同じタイミングであり、両者の報知タイミングが重なる場合があり(【0299】)、サブ制御部91は、先報知のATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出とが重なるときには、ATゲーム数上乗せ演出の報知タイミングを強制的に後報知に決定し、液晶表示器51においては、純増数到達演出のみ行なわれるようにする(【0301】)、
スロットマシン1(【0097】)。」
3 当審の判断
(1)取消理由1(請求項1に係る特許に対する特許法第29条第1項)について
本件特許発明1と甲1発明とを、本件特許発明1の分説に従い対比する。
(1A)甲1発明の「内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(AT)」及び「ボーナス状態」が、遊技者にとって有利な状態であることは明らかであるから、これらはそれぞれ、本件特許発明1の「遊技者にとって有利な有利状態」及び「遊技者にとって有利な特別状態」に相当する。
そして、甲1発明は、「RT0およびRT2の遊技状態のみATへの制御が可能」であり、「RT4は、RT1、RT0、RT2の遊技状態においてBBもしくはRBに当選したときに移行する遊技状態であり」、「RT4においては、BBもしくはRBに入賞した場合に、遊技状態がボーナス状態へ移行」するものであるから、「RT0およびRT2の遊技状態」で「AT」に「制御」され、その状態で「BBもしくはRBに当選」して「RT4」に「移行」し、さらに「RT4において」「BBもしくはRBに入賞」して「ボーナス状態へ移行」する場合があると認められ、かかる構成は、本件特許発明1の「遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な」ことに相当する。
また、甲1発明の「スロットマシン1」は、本件特許発明1の「遊技を行うことが可能であ」る「遊技機」に相当する。
よって、甲1発明の「遊技制御基板40、演出制御基板90が設けられ、遊技制御基板40には、遊技の制御を行なうメイン制御部41が搭載され、演出制御基板90には、演出の制御を行なうサブ制御部91」「が搭載され、メイン制御部41により、RT1(通常遊技状態)、RT0(チャンスゾーン)、RT2(高RT)、RT3(低チャンスゾーン)、RT4(内部中RT)、ボーナス状態のうち、何れかに制御され、RT4は、RT1、RT0、RT2の遊技状態においてBBもしくはRBに当選したときに移行する遊技状態であり、RT4においては、BBもしくはRBに入賞した場合に、遊技状態がボーナス状態へ移行し、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能となっており、RT0およびRT2の遊技状態のみATへの制御が可能となっているスロットマシン1」は、本件特許発明1の構成1Aに相当する。
(1C)甲1発明の「液晶表示器51において」「AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した」「ことが報知される純増数到達演出」、及び、「液晶表示器51の画面上に」「ATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるATゲーム数上乗せ演出」は、いずれも、本件特許発明1の「獲得した価値の大きさを報知する報知演出」に相当する。
また、甲1発明において、「純増数到達演出」及び「ATゲーム数上乗せ演出」「を行な」う「サブ制御部91」は、本件特許発明1の「報知演出実行手段」に相当する機能を有している。
よって、甲1発明の「サブ制御部91は、AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合、液晶表示器51において「1000枚GET!!」といった表示態様で純増数が1000枚に到達したことが報知される純増数到達演出を行ない、」「サブ制御部91は、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、所定のATゲーム数上乗せ抽選条件が成立したか否かを判定し、成立したときにATゲーム数上乗せ抽選を実行し、ATゲーム数が上乗せ決定された場合に、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるATゲーム数上乗せ演出を行な」うことと、本件特許発明1の構成1Cとは、「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段」「を備え」る点で共通する。
(1P)甲1発明の「スロットマシン1」は、本件特許発明1の構成1Pの「遊技機」に相当する。
してみると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1C’ 獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段を備える、
1P’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1-1](構成1B)
本件特許発明1が、「前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段」を備えるのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点1-2](構成1H~1L)
本件特許発明1が、「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタと、連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、をさらに備え、前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され」るのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点1-3](構成1C、1D、1M~1P)
報知演出実行手段が実行する報知演出について、本件特許発明1は、「遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて」報知演出を実行するものであり、「前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知と、第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知と、が含まれ、」「前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であり、前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である」のに対して、甲1発明は、そもそも遊技媒体が入賞する可変入賞手段を備えておらず、甲1発明の「純増数到達演出」は、「AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合」に「純増数が1000枚に到達したこと」を報知するものであり、甲1発明の「ATゲーム数上乗せ演出」は、「ATゲーム数が上乗せ決定された場合」に「ATゲーム数が上乗せ決定されたこと」を報知するものであって、本件特許発明1の「第1報知」及び「第2報知」とは、報知演出の実行条件も報知内容も異なる点。
[相違点1-4](構成1E~1G)
本件特許発明1が、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」るのに対して、甲1発明は、ATゲーム数上乗せ演出と純増数到達演出の報知タイミングが重なるときに、純増数到達演出のみ行なわれるようにしているものの、上記[相違点1-3]としても示したとおり、甲1発明の「純増数到達演出」及び「ATゲーム数上乗せ演出」は、遊技媒体が可変入賞手段に入賞したことに基づいて実行されるものではなく、一の遊技媒体が可変入賞手段に入賞したことである一の契機により、演出の実行条件が共に成立するものでもない点。
以上のとおり、本件特許発明1と甲1発明とは、上記相違点1-1~4において相違するから、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
したがって、取消理由通知に記載した取消理由1によって、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
(2)取消理由2(請求項2に係る特許に対する特許法第29条第2項)について
ア 対比
本件特許発明2と甲1発明とを、本件特許発明2の分説に従い対比する。
(2A)甲1発明の「スロットマシン1」は、本件特許発明2の構成2Aの「遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。
(2B)甲1発明の「液晶表示器51において」「AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した」「ことが報知される純増数到達演出」、及び、「液晶表示器51の画面上に」「ATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるATゲーム数上乗せ演出」は、いずれも、本件特許発明2の「獲得した価値の大きさを報知する報知演出」に相当する。
また、甲1発明において、「純増数到達演出」及び「ATゲーム数上乗せ演出」「を行な」う「サブ制御部91」は、本件特許発明2の「報知演出実行手段」に相当する機能を有している。
よって、甲1発明の「サブ制御部91は、AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合、液晶表示器51において「1000枚GET!!」といった表示態様で純増数が1000枚に到達したことが報知される純増数到達演出を行ない、」「サブ制御部91は、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、所定のATゲーム数上乗せ抽選条件が成立したか否かを判定し、成立したときにATゲーム数上乗せ抽選を実行し、ATゲーム数が上乗せ決定された場合に、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるATゲーム数上乗せ演出を行な」うことは、本件特許発明2の構成2Bに相当する。
(2P)甲1発明の「スロットマシン1」は、本件特許発明2の構成2Pの「遊技機」に相当する。
してみると、本件特許発明2と甲1発明とは、
「2A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
2B 獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段を備える、
2P’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点2-1](構成2C)
本件特許発明2が、「特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段」を備えるのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-2](構成2D)
報知演出実行手段が実行する報知演出について、本件特許発明2では、可変入賞手段が開放状態に変化可能な「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知と、前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知と、が含まれ」るのに対して、甲1発明は、そもそも、特定期間において開放状態に変化可能な可変入賞手段を備えておらず、甲1発明の「純増数到達演出」は、「AT中におけるメダルの純増数が1000枚に到達した場合」に「純増数が1000枚に到達したこと」を報知するものであり、甲1発明の「ATゲーム数上乗せ演出」は、「ATゲーム数が上乗せ決定された場合」に「ATゲーム数が上乗せ決定されたこと」を報知するものであって、本件特許発明2の「第1報知」及び「第2報知」とは、報知演出の実行条件も報知内容も異なる点。
[相違点2-3](構成2E、2F)
本件特許発明2が、「前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示し、」「前記第2報知では、前記所定の表示レイヤーに第2画像を表示」するのに対して、甲1発明は、「純増数到達演出」では、液晶表示器51において「1000枚GET!!」といった表示態様で純増数が1000枚に到達したことが報知され、「ATゲーム数上乗せ演出」では、液晶表示器51の画面上に「50ゲームGET!!」といったATゲーム数が上乗せ決定されたことが数値で報知されるものの、これらの演出画像がいずれも所定の表示レイヤーに表示されるものであるのかは不明である点。
[相違点2-4](構成2G、2J)
本件特許発明2が、「前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-5](構成2H、2J)
本件特許発明2が、「前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-6](構成2I、2J)
本件特許発明2が、「前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-7](構成2K)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあ」るのに対して、甲1発明では、上記[相違点2-2]としても示したとおり、そもそも、「第1報知」及び「第2報知」の実行条件としての「第1条件」及び「第2条件」が本件特許発明2とは異なる点。
[相違点2-8](構成2L)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示」しないのに対して、甲1発明では、そもそも、「第1条件」、「第2条件」が本件特許発明2とは異なり、「第4報知」及び「第5報知」は存在しない点。
[相違点2-9](構成2M)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示」するのに対して、甲1発明では、そもそも、「第1条件」が本件特許発明2とは異なり、「第3条件」、「第4報知」及び「第5報知」は存在しない点。
[相違点2-10](構成2N)
本件特許発明2では、「前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示」するのに対して、甲1発明では、そもそも、「第1条件」及び「第1画像」が本件特許発明2とは異なり、「第3条件」及び「第3画像」は存在しない点。
[相違点2-11](構成2O、2P)
本件特許発明2では、「前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い」のに対して、甲1発明では、そもそも、「第3報知期間」及び「第5報知期間」が存在しない点。
イ 相違点についての検討
(ア)相違点2-1について
上記相違点2-1について検討する。
甲1発明が属するスロットマシンの技術分野において、特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段を設けることはないことが、当業者の技術常識である。
したがって、甲1発明において、上記相違点2-1に係る本件特許発明2の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
(イ)相違点2-2~11について
上記相違点2-2~11に係る本件特許発明2の発明特定事項は、「特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段」「を備え」た「遊技機」を前提とするものである。
したがって、取消理由通知で摘示した周知の技術事項を考慮しても、甲1発明において、上記相違点2-2~11に係る本件特許発明2の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
(ウ)効果について
本件特許発明2は、上記相違点2-1~3、7~8に係る構成を備えることにより、いずれも獲得した遊技媒体の数についての報知であり、互いに類似する演出である第1報知及び第2報知について、両者の実行タイミングが重なった場合には、第2報知よりも第1報知を優先的に実行することで、両者が同時に実行され、いずれの演出への注目度も低下させてしまうことを防止することができるという格別の効果を奏するものである。
また、本件特許発明2は、上記相違点2-4~6、8~10に係る構成を備えることにより、第1報知及び第2報知に加えて、第3報知、第4報知及び第5報知を実行可能であるとともに、第1報知期間、第2報知期間、第4報知期間及び第5報知期間が重なった場合や、第1報知期間、第3報知期間、第4報知期間及び第5報知期間が重なった場合でも、各報知の優先度に応じて予め定められた表示レイヤーに各報知に対応した画像が表示されることで、適切な報知を実行することができるという格別の効果を奏するものである。
さらに、本件特許発明2は、上記相違点2-11に係る構成を備えることにより、第3報知期間と第1報知期間とが重なったとしても、第3報知期間の少なくとも一部は第1報知期間と重ならないことから、当該重ならない期間において確実に第3報知を行うことができるとともに、第5報知期間と第1報知期間または第3報知期間が重なったとしても、第5報知期間の少なくとも一部は第1報知期間または第3報知期間と重ならないことから、当該重ならない期間において確実に第5報知を行うことができるという格別の効果を奏するものである。
ウ まとめ
以上のとおり、本件特許発明2は、甲1発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、取消理由通知に記載した取消理由2によって、本件請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 本件特許発明1について
(1)特許法第29条第1項第3号(証拠:甲第1号証)
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
ここで、特許異議申立人は、上記第4において甲1発明を認定するために引用した甲第1号証における「第1実施形態」(スロットマシンの実施形態)の記載ではなく、甲第1号証における「第2実施形態」(パチンコ遊技機の実施形態)の記載を引用して、上記の主張を行っている。
そこで、甲第1号証において「第2実施形態」(パチンコ遊技機の実施形態)として記載された発明により、本件特許発明1が、特許法第29条第1項第3号に該当するものとなるか否かについて、以下検討する。
ア 甲第1号証の記載及び甲1発明(1)
甲第1号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0007】
(1)遊技者にとって有利な有利状態(たとえば、スロットマシン1におけるAT、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態)に制御可能な遊技機(たとえば、スロットマシン1、パチンコ遊技機700)であって、
所定の情報を報知する報知手段(たとえば、スロットマシン1における液晶表示器51、パチンコ遊技機700における画像表示装置500)と、
前記報知手段を制御する報知制御手段(たとえば、スロットマシン1におけるサブ制御部91のATゲーム数上乗せ演出処理と純増数到達演出処理、パチンコ遊技機700における演出制御用マイクロコンピュータのラウンド数報知処理と賞球払出数報知処理)とを備え、
前記報知制御手段は、
前記有利状態において獲得された遊技価値(たとえば、スロットマシン1におけるメダル、パチンコ遊技機700における遊技球)に関する獲得達成条件(たとえば、スロットマシン1におけるAT中のメダルの純増数の1000枚到達、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達)が成立したときに、当該獲得達成条件の成立を所定の態様で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(a)のように「1000枚GET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1000個到達!!」と数値で報知する制御)と、
前記有利状態において前記有利状態の期間(たとえば、スロットマシン1における上乗せATゲーム数、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンド数)に関する期間関連条件(たとえば、スロットマシン1におけるATゲーム数の上乗せ決定、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンドの終了)が成立したときに、当該期間関連条件の成立を前記獲得達成条件の成立における報知態様と同一または類似する態様(たとえば、数値画像を表示)で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(b)のように「50ゲームGET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1ラウンド終了!!」と数値で報知する制御)とが実行可能であり、
前記獲得達成条件の成立を報知する制御と、前記期間関連条件の成立を報知する制御とが併せて(たとえば、同一タイミング)実行されることを規制する規制手段(たとえば、スロットマシン1における図16のステップS150、図19のステップS240のようにATゲーム数上乗せ決定の報知タイミングをずらす処理、パチンコ遊技機700における図26のように賞球払出数の1000個到達の報知タイミングをずらす処理、変形例における図27(b)のようにATゲーム数の上乗せ決定を宝箱の画像で報知する演出態様を変更する処理)をさらに備える。」
(イ)「【0401】
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置750が設けられている。特別可変入賞球装置750は、図示しない大入賞口扉用となるソレノイドによって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
【0402】
一例として、特別可変入賞球装置750では、大入賞口扉用のソレノイドがオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置750では、大入賞口扉用のソレノイドがオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。大入賞口を通過(進入)した遊技球は、図示しないカウントスイッチによって検出される。
【0403】
カウントスイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(たとえば15個)の遊技球が賞球として払い出される。」
(ウ)「【0418】
特別図柄ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の大入賞口扉が、所定の上限時間(たとえば29秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(たとえば7個)の入賞球が発生するまでの期間で、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって有利な第1状態(開状態)とするラウンドが実行される。
【0419】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤200の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(たとえば「15」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。・・・
【0420】
本実施の形態においては、大当り遊技中におけるラウンドの実行回数(以下、「ラウンド数」とも称する)がカウントされ、そのカウント結果が画像表示装置500に表示される。たとえば、画像表示装置500において、各ラウンドが消化するごとに「1ラウンド終了!!」や「2ラウンド終了!!」などといった旨のメッセージが表示される。このように、本実施の形態においては、画像表示装置500により、大当り遊技状態のラウンドに関して、各ラウンドが終了したときに、その旨が数値を用いて報知される。
【0421】
また、本実施の形態においては、大当り遊技状態における賞球の払出数がカウントされる。そして、大当り遊技中において、そのカウントされた賞球の払出数が1000個に到達したときに、その旨が画像表示装置500に表示される。たとえば、画像表示装置500において、賞球の払出数が1000個に到達したときに「1000個到達!!」といった旨のメッセージが表示される。このように、本実施の形態においては、画像表示装置500により、大当り遊技状態において獲得された賞球の払出数が1000個に到達したときに、その旨が数値を用いて報知される。」
(エ)「【0427】
確変大当りが発生すると、大当り遊技状態に移行して、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって有利な第1状態(開状態)とするラウンドが実行される。そして、ラウンドの実行回数が所定の上限回数(たとえば「15」など)に達した後(大当り遊技状態の終了後)、最大で100回分の特別図柄ゲームが行なわれるまで確変状態に継続制御される。そして、大当り遊技状態の終了後から100回分の特別図柄ゲームが行なわれた後は、非確変状態に制御されて通常状態に移行される。」
(オ)「【0449】
そこで、本実施の形態において、演出制御用マイクロコンピュータは、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう。」
上記(ア)~(オ)の記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明(1)」という。)が開示されていると認められる。
「遊技者にとって有利な有利状態(大当り遊技状態)に制御可能であり(【0007】)、確変大当りが発生すると、大当り遊技状態の終了後、確変状態に継続制御される(【0427】)、パチンコ遊技機700であって(【0007】)、
特別可変入賞球装置750は、大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成し、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化し、大入賞口を通過した遊技球は、カウントスイッチによって検出され、カウントスイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され(【0401】~【0403】)、
大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の大入賞口扉が大入賞口を開放状態とするラウンドが所定の上限回数に達するまで繰り返し実行され、大当り遊技状態における賞球の払出数がカウントされ(【0418】~【0421】)、
所定の情報を報知する報知手段(画像表示装置500)と、前記報知手段を制御する報知制御手段とを備え、前記報知制御手段は、前記有利状態において獲得された遊技価値に関する獲得達成条件(大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達)が成立したときに、当該獲得達成条件の成立を「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する制御と、前記有利状態の期間に関する期間関連条件(大当り遊技の各ラウンドの終了)が成立したときに、当該期間関連条件の成立を「1ラウンド終了!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する制御とが実行可能であり(【0007】、【0420】、【0421】)、
前記獲得達成条件の成立を報知する制御と、前記期間関連条件の成立を報知する制御とが同一タイミングで実行されることを規制する規制手段を備え(【0007】)、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう(【0449】)、
パチンコ遊技機700(【0007】)。」
イ 対比
本件特許発明1と甲1発明(1)とを、本件特許発明1の分説に従い対比する。
(1A)甲1発明(1)の「遊技者にとって有利な有利状態(大当り遊技状態)に制御可能であり、確変大当りが発生すると、大当り遊技状態の終了後、確変状態に継続制御される、パチンコ遊技機700」は、本件特許発明1の構成1Aに相当する。
(1B)甲1発明(1)の「大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成し、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化」する「特別可変入賞球装置750」は、本件特許発明1の構成1Bに相当する。
(1C)甲1発明(1)において、「特別可変入賞球装置750」の「大入賞口」は、「大当り遊技状態において」、「遊技球が通過しやす」い「開放状態」「に変化」すること、及び、「大入賞口を通過した遊技球」が「カウントスイッチによって検出され」「たことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され」ることを考慮すると、甲1発明(1)の「前記有利状態において獲得された遊技価値に関する獲得達成条件(大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達)が成立したときに、当該獲得達成条件の成立を「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する制御」を「実行可能であ」る「報知制御手段」は、本件特許発明1の構成1Cに相当する。
(1D)甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したとき」、「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、それぞれ、本件特許発明1の「第1条件が成立したとき」、「第1報知」に相当し、甲1発明(1)における「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示」する期間は、本件特許発明1の「第1報知期間」に相当する。
してみると、甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したときに、」「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、本件特許発明1の構成1Dのうちの「前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知」「が含まれ」ることに相当する。
(1H)甲1発明(1)において、「大当り遊技状態における賞球の払出数がカウントされ」ることからすると、甲1発明(1)が、本件特許発明1の「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタ」に相当する構成を備えていることは明らかである。
よって、甲1発明(1)は、本件特許発明1の構成1Hを備えている。
(1J)甲1発明(1)において、「大入賞口を通過した遊技球」が「カウントスイッチによって検出され」「たことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され」ること、及び、「大当り遊技状態における賞球の払出数がカウントされ」ることを考慮すると、甲1発明(1)は、本件特許発明1の「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算する」ことに相当する構成を備えていると認められる。
してみると、甲1発明(1)の「大入賞口を通過した遊技球」が「カウントスイッチによって検出され」「たことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され、」「大当り遊技状態における賞球の払出数がカウントされ」ることは、本件特許発明1の構成1Jのうちの「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算する」ことに相当する。
(1K)甲1発明(1)は、「大当り遊技状態における賞球の払出数」を「カウント」するものであるから、「大当り遊技状態」が終了する際に上記「カウント」が初期化されることは明らかであり、かかる構成は、本件特許発明1の「前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され」ることに相当する。
よって、甲1発明(1)は、本件特許発明1の構成1Kを備えている。
(1M)甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達」は、本件特許発明1の「前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであ」る「前記第1条件」に相当する。
よって、甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したときに、」「報知する」ことは、本件特許発明1の構成1Mに相当する。
(1O)甲1発明(1)の「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、本件特許発明1の「前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であ」る「前記第1報知」に相当する。
よって、甲1発明(1)の「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、本件特許発明1の構成1Oに相当する。
(1P)甲1発明(1)の「パチンコ遊技機700」は、本件特許発明1の構成1Pの「遊技機」に相当する。
してみると、本件特許発明1と甲1発明(1)とは、
「1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1B 前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、
1C 遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
を備え、
1D’ 前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知が含まれ、
1H 今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタを備え、
1J’ 前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算し、
1K 前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、
1M 前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、
1O 前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知である、
1P’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1-(1)](構成1I、1J、1L)
本件特許発明1が、「連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタと、をさらに備え、前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算するとともに、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、」「前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され」るのに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点1-(2)](構成1D、1N、1P)
本件特許発明1の報知演出には、「第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知」「が含まれ、」「前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、」「前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である」のに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点1-(3)](構成1E~1G)
本件特許発明1では、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」るのに対して、甲1発明(1)では、上記[相違点1-(2)]としても示したとおり、そもそも、「前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであ」る「第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知」に相当する構成が存在しないため、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、」「一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」る「一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立する」ことに相当する構成もない点。
ウ まとめ
以上のとおり、本件特許発明1と甲1発明(1)とは、上記相違点1-(1)~(3)において相違するから、本件特許発明1は、甲1発明(1)ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
(2)特許法第29条第2項(証拠:甲第1号証、甲第2号証)
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された発明(上記(1)と同様の甲1発明(1))と甲第2号証(ミリオンゴッド 神々の系譜で万枚獲得、YouTube、2012年3月19日、URL、https://www.youtube.com/watch?v=1xtpeN01b2Y)に開示された事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
上記主張について、以下検討する。
ア 甲第2号証について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第2号証には、次の事項が開示されていると主張する。
「15枚役が入賞した時には、液晶表示器に「$15GET」を表示し、また、累積したメダルの獲得枚数が10000枚を突破した時には、液晶表示器に「$10000 OVER」を表示するスロットマシンにおいて、15枚役の入賞と獲得枚数が10000枚を突破した時とが共に成立し、液晶表示器へ「$15GET」を表示するタイミングと、液晶表示器へ「$10000 OVER」を表示するタイミングが重なった場合に、液晶表示器に「$15GET」を表示せずに「$10000 OVER」のみを表示させるスロットマシン。」
イ 当審の判断
上記(1)イにて説示したとおり、本件特許発明1と甲1発明(1)とは、上記相違点1-(1)~(3)において相違する。
これに対して、上記のとおり、甲第2号証には、スロットマシンに関する技術事項が開示されているのみであるから、上記相違点1-(1)~(3)に係る本件特許発明1の構成が開示されていないことは明らかである。
そして、本件特許発明1は、上記相違点1-(1)~(3)に係る構成を備えることにより、いずれも遊技媒体が可変入賞手段に入賞したことに基づいて獲得した価値の大きさを報知するものであり、互いに類似する報知である第1報知及び第2報知が同時に実行されることにより、いずれの報知への注目度も低下させてしまうことを防止でき、第2報知を実行することなく第1報知を実行するので、同時でなくとも第1報知及び第2報知の両方が実行されて、報知が紛らわしくなり、遊技者が誤解することを確実に防止でき、今回の有利状態において獲得した遊技媒体の数を報知する第1報知を連チャン中の有利状態において獲得した遊技媒体の数を報知する第2報知よりも優先的に実行するので、直近の遊技媒体の獲得数を好適に報知できるといった格別の効果を奏するものである。
よって、本件特許発明1は、甲1発明(1)及び甲第2号証に開示された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)特許法第29条第2項(証拠:甲第4号証、甲第1号証)
特許異議申立人は、令和2年2月26日提出の意見書において、本件特許発明1は、甲第4号証(特開2015-12965号公報)に記載された発明と甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
上記主張について、以下検討する。
ア 甲第4号証の記載及び甲4発明
甲第4号証には、図面と共に次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
図1および図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容される遊技盤3と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、を具備している。・・・
【0019】
遊技盤3は、図2に示すように、その盤面に遊技領域31を有しており、遊技領域31は、本体枠2に装着した後、ガラス板10を介して観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33とによって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、電動チューリップ49と、ステージ36と、第1始動入賞口(始動口)37aおよび第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、大入賞口42と、アタッカー装置41等が設けられている。」
(イ)「【0031】
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数だけ開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。」
(ウ)「【0060】
さて、本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技状態として、「低確モード」、「潜確モード」、「時短モード」、「確変モード」の4つの状態が予め用意されている。「低確モード」は、特図低確および普図低確の遊技状態から成り、「潜確モード」は、特図高確および普図低確の遊技状態から成り、「時短モード」は、特図低確および普図高確の遊技状態から成り、「確変モード」は、特図高確および普図高確の遊技状態から成るものである。潜確モードおよび確変モードは、大当たりに当選する確率が低確モードおよび時短モードよりも高い。また、時短モードおよび確変モードは、低確モードおよび潜確モードより普図当たりに当選する確率が高く、電動チューリップ49が頻繁に開くため、第2始動入賞口37bに入賞し易い。」
(エ)「【0086】
以上から、本実施形態では、大当たりに当選しても、その当選時に決定される特図の種類に応じて大当たり遊技が連荘するか否か異なる結果となる。この点について説明を補足すると、まず遊技者は低確モードで遊技を行い、当該低確モードで初回大当たりに当選すると、その初回大当たりに基づいて初回大当たり遊技が提供される。初回大当たり遊技では遊技者は800個または1600個の賞球を獲得できる。初回大当たり遊技後に、大当たり時の特図の種類に応じて、遊技状態が、低確モード、潜確モード、または確変モードに移行される(なお、初回大当たり遊技後に時短モードに移行することはない)。
【0087】
確変モードでは次回の大当たりに当選するまで大当たりの当選確率が大幅にアップしているから、確変モード中は比較的早く次の大当たりに当選する(大当たりが連荘する)。一方、潜確モードでは特図高確になっているが普図低確なので、次の大当たりに当選するまで大当たりの当選確率が大幅にアップしているものの、電動チューリップ49があまり開放されないため、次の大当たりまで遊技球の消費が嵩んでしまうことになる。そして、潜確モード中または確変モード中に大当たりに当選し、その当選時の特図の種類が確変当たりに対応するものである限り、大当たり遊技後の遊技状態は確変モードとなるから、大当たり遊技が連続的に提供されることになる。つまり、確変当たりとなった回数だけ大当たり遊技が連荘する。
【0088】
これに対して、確変モード中に大当たりに当選し、そのとき決定された特図の種類が普図当たりに対応するものであった場合には、大当たり遊技後の遊技状態が時短モードに移行するため、大当たりの連荘は終了する。この時短モード中は普図高確ではあるものの特図低確の状態であるため大当たりに当選する確率は低いが、時短モードで大当たりに当選した場合(所謂時短モード中の引き戻し)も、初回大当たり遊技から数えると大当たり遊技は連続しているとみなせるため、本実施形態において時短モード中の大当たりも連荘数にカウントするようにしている。
【0089】
そして、最終的に大当たり遊技後の遊技状態が時短モードを経て低確モードに戻る(転落する)と、初回大当たり遊技から一連の大当たり遊技の連荘が終了となる。」
(オ)「【0112】
演出制御処理部201は、図16に示すように、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部210と、演出態様決定部210が決定した演出態様および大当たり遊技中の演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部220と、保留球表示領域34a,34bに保留球を表示する制御を行う保留球表示制御部230と、大当たり遊技中に遊技者が獲得した賞球数(利益)を演出表示装置34に表示する制御を行う賞球数表示制御部(利益情報表示制御手段)240と、大当たり遊技中に遊技球が大入賞口42に入賞したことに基づいて賞球数(利益)をカウントする賞球数カウント部(利益算出手段)245と、を備えている。
【0113】
さらに、演出制御処理部201は、記憶部を備えている。この記憶部には、複数種類の演出態様(演出画像データ)を記憶した演出テーブル261,262,263、および大当たり遊技中の演出画像データを記憶した大当たり遊技演出テーブル270が記憶されていると共に、賞球数カウント部245がカウントした賞球数を一時的に記憶する賞球数記憶部(利益記憶部)250が設けられている。」
(カ)「【0117】
「ケース1」
図17(a)に示すように、賞球数表示制御部240は、初回大当たり遊技中に賞球数の表示を行わない。そして、本ケースは初回大当たり当選時の特図の種類が16R特定時短有図柄の場合であるため、初回大当たり遊技後の1ゲーム目の遊技開始時において、賞球数表示制御部240は、初回大当たり遊技中に獲得した賞球数の合計値(例えば1600個)を演出表示装置34の右隅に表示する。つまり、本ケースでは、初回大当たり遊技後に遊技状態が確変モードに移行して大当たりの連荘が確定するので、初回大当たり遊技後の1ゲーム目から遊技者が獲得した賞球数を表示するようにして、遊技者に優越感を与えるようにしている。なお、この表示は、初回大当たり遊技後の1ゲーム目の遊技から2回目の大当たり遊技が開始する迄の間(特定期間)に亘って行われる。
【0118】
そして、賞球数表示制御部240は、2回目の大当たり遊技中は、大入賞口42に遊技球が1個入賞する毎に、初回大当たり遊技で獲得した賞球数に累積加算した値を演出表示装置34に表示する。」
(キ)「【0152】
次に、賞球数カウント部245が賞球数記憶部250に記憶されている賞球数のデータをクリアする処理について図21を用いて説明し、賞球数カウント部245が賞球数記憶部250に記憶されている賞球数のデータを更新する処理について図22を用いて説明する。図21に示すように、賞球数クリア処理が開始されると、ステップS81において賞球数カウント部245は、遊技状態設定部140から送信された遊技状態コマンドが低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドであるか(クリア条件)を判断する。
【0153】
ステップS81でYesの場合、賞球数カウント部245は、ステップS82にて賞球数記憶部(RAM)250に記憶された賞球数のデータをクリアする処理を行う。よって、大当たり遊技中に賞球を獲得したとしても、大当たり遊技後の遊技状態が低確モードまたは潜確モードに移行する場合、大当たり遊技後に低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドが演出制御処理部201に送信されるため、大当たり遊技中に獲得した賞球数のデータはクリアされる。そのため、賞球数表示制御部240は大当たり遊技後の各遊技において賞球数を演出表示装置34に表示しない。一方、ステップS81でNoの場合、即ち、遊技状態が確変モードまたは時短モードの場合、賞球数カウント部245は賞球数記憶部250に記憶されている賞球数のデータをクリアしない。
【0154】
次に、図22に示す賞球数加算処理について説明する。大当たり遊技が提供され賞球数加算処理が開始すると、まずステップS91において、賞球数カウント部245は、主制御処理部100から大入賞口入賞指定コマンドを受信する。次いで、ステップS92において、賞球数カウント部245は賞球数記憶部250に賞球数を加算する処理を行う(新たな賞球数のデータをRAMに書き込む)。・・・
【0155】
・・・なお、賞球数加算処理は、大入賞口42に遊技球が1個入賞する毎に実行される。」
(ク)「【0157】
また、本実施形態では、図17の(a)ケース1および(b)ケース2における2回目の大当たり遊技の欄に示すように、大当たり遊技が連荘している場合には、連荘中の大当たり遊技中に獲得した賞球数を加算して表示するようにしているから、賞球数が増えていく様子を遊技者に見せて楽しませることができる。そして、その後の遊技では過去分の賞球数の合計値が表示されるため、遊技者は、これまで獲得した賞球数を知ることができ、優越感をより一層高めることができる。」
上記(ア)~(ク)の記載事項から、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が開示されていると認められる。
「遊技盤3を具備し、遊技盤3の遊技領域31内には、演出表示装置34、大入賞口42、アタッカー装置41等が設けられたパチンコ機Pであって(【0018】~【0019】)、
アタッカー装置41は、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数だけ開放されて大入賞口42が露呈され、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となり、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出され(【0031】)、
遊技状態として、「低確モード」、「潜確モード」、「時短モード」、「確変モード」の4つの状態が用意されており(【0060】)、
低確モードで初回大当たりに当選すると、初回大当たり遊技後に、大当たり時の特図の種類に応じて、遊技状態が、低確モード、潜確モード、または確変モードに移行され(【0086】)、確変モードでは大当たりの当選確率が大幅にアップし、確変モード中に大当たりに当選し、その当選時の特図の種類が確変当たりに対応するものである限り、大当たり遊技後の遊技状態は確変モードとなるから、大当たり遊技が連続的に提供され、確変当たりとなった回数だけ大当たり遊技が連荘し(【0087】)、時短モード中の大当たりも連荘数にカウントするようにし(【0088】)、最終的に大当たり遊技後の遊技状態が時短モードを経て低確モードに戻ると、初回大当たり遊技から一連の大当たり遊技の連荘が終了となり(【0089】)、
演出制御処理部201は、大当たり遊技中に遊技者が獲得した賞球数を演出表示装置34に表示する制御を行う賞球数表示制御部240と、大当たり遊技中に遊技球が大入賞口42に入賞したことに基づいて賞球数をカウントする賞球数カウント部245とを備え(【0112】)、賞球数カウント部245による賞球数加算処理は、大入賞口42に遊技球が1個入賞する毎に実行され(【0154】~【0155】)、演出制御処理部201の記憶部には、賞球数カウント部245がカウントした賞球数を一時的に記憶する賞球数記憶部250が設けられ(【0113】)、
賞球数カウント部245は、遊技状態設定部140から送信された遊技状態コマンドが低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドである場合、賞球数記憶部250に記憶された賞球数のデータをクリアする処理を行う一方、遊技状態が確変モードまたは時短モードの場合、賞球数記憶部250に記憶されている賞球数のデータをクリアしないものであり(【0152】~【0153】)、
初回大当たり当選時の特図の種類が16R特定時短有図柄の場合、初回大当たり遊技後に遊技状態が確変モードに移行して大当たりの連荘が確定するので、初回大当たり遊技後の1ゲーム目の遊技開始時において、賞球数表示制御部240は、初回大当たり遊技中に獲得した賞球数の合計値を演出表示装置34に表示し(【0117】)、賞球数表示制御部240は、2回目の大当たり遊技中は、大入賞口42に遊技球が1個入賞する毎に、初回大当たり遊技で獲得した賞球数に累積加算した値を演出表示装置34に表示し(【0118】)、大当たり遊技が連荘している場合には、連荘中の大当たり遊技中に獲得した賞球数を加算して表示する(【0157】)、
パチンコ機P(【0018】)。」
イ 対比
本件特許発明1と甲4発明とを、本件特許発明1の分説に従い対比する。
(1A)甲4発明の「大当たり遊技中」、「確変モード」、「パチンコ機P」は、それぞれ、本件特許発明1の「遊技者にとって有利な有利状態」、「遊技者にとって有利な特別状態」、「遊技を行うことが可能であ」る「遊技機」に相当する。
よって、甲4発明の「低確モードで初回大当たりに当選すると、初回大当たり遊技後に、大当たり時の特図の種類に応じて、遊技状態が」「確変モードに移行され」る「パチンコ機P」は、本件特許発明1の構成1Aに相当する。
(1B)甲4発明の「大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数だけ開放されて大入賞口42が露呈され、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能とな」る「アタッカー装置41」は、本件特許発明1の構成1Bに相当する。
(1C)甲4発明において、「アタッカー装置41は、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数だけ開放されて大入賞口42が露呈され、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となり、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出され」ることを考慮すると、甲4発明の「大当たり遊技中に遊技者が獲得した賞球数を演出表示装置34に表示する制御を行う賞球数表示制御部240」は、本件特許発明1の構成1Cに相当する。
(1H、1I)甲4発明では、「確変モード中に大当たりに当選し、その当選時の特図の種類が確変当たりに対応するものである限り、」「確変当たりとなった回数だけ大当たり遊技が連荘し」、「時短モード中の大当たりも連荘数にカウントするようにし」、「最終的に大当たり遊技後の遊技状態が時短モードを経て低確モードに戻ると、初回大当たり遊技から一連の大当たり遊技の連荘が終了」すること、「賞球数カウント部245は、遊技状態設定部140から送信された遊技状態コマンドが低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドである場合、賞球数記憶部250に記憶された賞球数のデータをクリアする処理を行う一方、遊技状態が確変モードまたは時短モードの場合、賞球数記憶部250に記憶されている賞球数のデータをクリアしない」こと、及び、「賞球数表示制御部240は」、「大当たり遊技が連荘している場合には、連荘中の大当たり遊技中に獲得した賞球数を加算して表示する」ことを考慮すると、甲4発明の「大当たり遊技中に遊技球が大入賞口42に入賞したことに基づいて賞球数をカウントする賞球数カウント部245」は、本件特許発明1の構成1Iの「連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタ」に相当する。
ここで、甲4発明の「賞球数カウント部245は、遊技状態設定部140から送信された遊技状態コマンドが低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドである場合、賞球数記憶部250に記憶された賞球数のデータをクリアする」ものであり、「初回大当たり遊技後に」「遊技状態が、低確モード、潜確モード」「に移行され」る場合には、「初回大当たり遊技後に」「賞球数カウント部245は」「賞球数のデータをクリアする」ことから、「賞球数カウント部245」は、「初回大当たり遊技」に限れば、今回の「大当たり遊技中に遊技者が獲得した賞球数を」「カウントする」ものといえるが、「初回大当たり遊技後に」「遊技状態が」「確変モードに移行され」る場合には、「賞球数カウント部245は」「賞球数のデータをクリアしない」で、「2回目の大当たり遊技中は」「初回大当たり遊技で獲得した賞球数に累積加算」していくものであるから、甲4発明の「賞球数カウント部245」は、本件特許発明1の構成1Hの「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタ」に相当するものとはいえない。
(1J)上記(1H、1I)にて説示したとおり、甲4発明の「賞球数カウント部245」は、本件特許発明1の「累積賞球数カウンタ」に相当し、甲4発明の「賞球数カウント部245による賞球数加算処理は、大入賞口42に遊技球が1個入賞する毎に実行され」ることは、本件特許発明1の構成1Jのうちの「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、」「前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算」することに相当する。
(1L)上記(1H、1I)にて説示したとおり、甲4発明の「賞球数カウント部245」は、本件特許発明1の「累積賞球数カウンタ」に相当する。
そして、甲4発明では、「確変モード中に大当たりに当選し、その当選時の特図の種類が確変当たりに対応するものである限り、」「確変当たりとなった回数だけ大当たり遊技が連荘し」、「時短モード中の大当たりも連荘数にカウントするようにし」、「最終的に大当たり遊技後の遊技状態が時短モードを経て低確モードに戻ると、初回大当たり遊技から一連の大当たり遊技の連荘が終了」することを考慮すると、甲4発明の「賞球数カウント部245は、遊技状態設定部140から送信された遊技状態コマンドが低確モードコマンドまたは潜確モードコマンドである場合、賞球数記憶部250に記憶された賞球数のデータをクリアする処理を行う」ことは、本件特許発明1の構成1Lの「前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化され」ることに相当する。
(1P)甲4発明の「パチンコ機P」は、本件特許発明1の構成1Pの「遊技機」に相当する。
してみると、本件特許発明1と甲4発明とは、
「1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1B 前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、
1C 遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
を備え、
1I 連チャン中の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする累積賞球数カウンタをさらに備え、
1J’ 前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記累積賞球数カウンタに累積賞球数カウント値として加算し、
1L 前記累積賞球数カウント値は、連チャンが終了する際に初期化される、
1P’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点4-1](構成1H、1J、1K)
本件特許発明1が、「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタ」を備え、「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算」し、「前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され」るのに対して、甲4発明は、そのような構成を具備していない点。
[相違点4-2](構成1D、1M、1O)
本件特許発明1の報知演出には、「第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知」「が含まれ、」「前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、」「前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であ」るのに対して、甲4発明は、上記[相違点4-1]としても示したとおり、そもそも、「可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を」「賞球数カウント値として加算」することで「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタ」に相当する構成を具備しておらず、「賞球数カウンタ」の「賞球数カウント値」に基づく報知を実行することもない点。
[相違点4-3](構成1D、1N、1P)
本件特許発明1の報知演出には、「第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知」「が含まれ、」「前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、」「前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である」のに対して、甲4発明の賞球数表示制御部240は、連荘中の大当たり遊技中に獲得した賞球数を累積加算して表示するものの、該賞球数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに、該賞球数が第2の値に到達したことを報知するものではない点。
[相違点4-4](構成1E~1G)
本件特許発明1では、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」るのに対して、甲4発明では、上記[相違点4-2]及び[相違点4-3]としても示したとおり、そもそも、賞球数カウント値が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知、及び、累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知が存在しないため、第1条件と第2条件とが成立していない状態において、一の遊技媒体が可変入賞手段に入賞したことである一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立することもない点。
ウ 相違点についての検討
上記相違点4-1は、有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウント値として加算することに関し、上記相違点4-2は、有利状態において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことの報知である第1報知に関し、上記相違点4-3は、連チャン中の有利状態において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことの報知である第2報知に関し、上記相違点4-4は、第1報知と第2報知との報知期間が重なった場合の報知態様に関するものであり、上記相違点4-1~4は相互に関連するものであるから、まとめて検討する。
(ア)甲第1号証に記載された事項
上記「第4」の「2」及び「3(1)」で説示したとおり、甲第1号証には、甲1発明として、本件特許発明1の
「1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1C’ 獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段を備える、
1P’ 遊技機。」
に相当する構成が記載されている。
また、上記「(1)ア、イ」で説示したとおり、甲第1号証には、甲1発明(1)として、本件特許発明1の
「1A 遊技を行うことが可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御した後に遊技者にとって有利な特別状態に制御可能な遊技機であって、
1B 前記有利状態において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、
1C 遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したこと基づいて獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
を備え、
1D’ 前記報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知が含まれ、
1H 今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタを備え、
1J’ 前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算し、
1K 前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され、
1M 前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、
1O 前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知である、
1P’ 遊技機。」に相当する構成が記載されている。
(イ)検討
上記(ア)にて説示したとおり、上記相違点4-1に係る本件特許発明1の「今回の前記有利状態において獲得した遊技媒体の数をカウントする賞球数カウンタ」を備え、「前記可変入賞手段に遊技媒体が入賞する毎に、当該入賞によって獲得した遊技媒体の数に対応した特定値を、前記賞球数カウンタに賞球数カウント値として加算」し、「前記賞球数カウント値は、今回の前記有利状態が終了する際に初期化され」るという構成、及び、上記相違点4-2に係る本件特許発明1の「報知演出には、第1条件が成立したときに第1報知期間において実行される第1報知」「が含まれ、」「前記第1条件は、前記賞球数カウント値が第1の値に到達したことであり、」「前記第1報知は、前記賞球数カウント値が前記第1の値に到達したことの報知であ」るという構成は、甲第1号証に記載されている(甲1発明(1)参照)。
他方、上記相違点4-3に係る本件特許発明1の「報知演出には、」「第2条件が成立したときに第2報知期間において実行される第2報知」「が含まれ、」「前記第2条件は、前記累積賞球数カウント値が第2の値に到達したことであり、」「前記第2報知は、前記累積賞球数カウント値が前記第2の値に到達したことの報知である」という構成、及び、上記相違点4-4に係る本件特許発明1の「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあり、前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、前記第1報知期間と前記第2報知期間とが重なった場合、前記第2報知を実行することなく前記第1報知を実行することにより、前記第2報知よりも前記第1報知を優先的に実行し、前記一の契機は、一の遊技媒体が前記可変入賞手段に入賞したことであ」るという構成については、甲第1号証には記載も示唆もされていない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点4-1~4に係る構成を一体的に備えることにより、いずれも遊技媒体が可変入賞手段に入賞したことに基づいて獲得した価値の大きさを報知するものであり、互いに類似する報知である第1報知及び第2報知が同時に実行されることにより、いずれの報知への注目度も低下させてしまうことを防止でき、第2報知を実行することなく第1報知を実行するので、同時でなくとも第1報知及び第2報知の両方が実行されて、報知が紛らわしくなり、遊技者が誤解することを確実に防止でき、今回の有利状態において獲得した遊技媒体の数を報知する第1報知を連チャン中の有利状態において獲得した遊技媒体の数を報知する第2報知よりも優先的に実行するので、直近の遊技媒体の獲得数を好適に報知できるといった格別の効果を奏するものである。
よって、甲4発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、上記相違点4-1~4に係る本件特許発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
エ まとめ
以上のとおり、本件特許発明1は、甲4発明及び甲第1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本件特許発明2について
(1)特許法第29条第1項第3号(証拠:甲第1号証)
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項2に係る発明は、甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
ここで、特許異議申立人は、上記第4において甲1発明を認定するために引用した甲第1号証における「第1実施形態」(スロットマシンの実施形態)の記載ではなく、甲第1号証における「第2実施形態」(パチンコ遊技機の実施形態)の記載を引用して、上記の主張を行っている。
そこで、甲第1号証において「第2実施形態」(パチンコ遊技機の実施形態)として記載された上記甲1発明(1)により、本件特許発明2が、特許法第29条第1項第3号に該当するものとなるか否かについて、以下検討する。
本件特許発明2と甲1発明(1)とを、本件特許発明2の分説に従い対比する。
(2A)甲1発明(1)の「パチンコ遊技機700」は、本件特許発明2の構成2Aの「遊技を行うことが可能な遊技機」に相当する。
(2B)甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したときに、」「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する制御」を「実行可能であ」る「報知制御手段」は、本件特許発明2の構成2Bの「獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段」に相当する。
(2C)甲1発明(1)の「大当り遊技状態中」は、本件特許発明2の「特定期間」に相当し、甲1発明(1)の「大当り遊技状態において」、「大入賞口」が「遊技球が通過しやすく遊技者にとって有利な開放状態」「に変化」する「特別可変入賞球装置750」は、本件特許発明2の構成2Cの「特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段」に相当する。
(2D)甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したとき」は、本件特許発明2の「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したとき」に相当し、同様に、「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、「前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを」「報知する第1報知」に相当する。
また、甲1発明(1)における「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示」する期間は、本件特許発明2の「第1報知期間」に相当する。
してみると、甲1発明(1)の「大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達が成立したときに、」「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示して数値で報知する」ことは、本件特許発明2の構成2Dのうちの「前記報知演出には、前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知」「が含まれ」ることに相当する。
(2E)甲1発明(1)の「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示」することは、本件特許発明2の構成2Eの「前記第1報知では、」「第1画像を表示」することに相当する。
また、甲1発明(1)の「「1000個到達!!」といった旨のメッセージ」が、「画像表示装置500」のいずれかの表示レイヤーに表示されることは自明であり、該表示レイヤーは、本件特許発明2の構成2Eの「所定の表示レイヤー」に相当する。
してみると、甲1発明(1)の「「1000個到達!!」といった旨のメッセージを表示」することは、本件特許発明2の構成2Eの「前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示」することに相当する。
(2P)甲1発明(1)の「パチンコ遊技機700」は、本件特許発明2の構成2Pの「遊技機」に相当する。
してみると、本件特許発明2と甲1発明(1)とは、
「2A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
2B 獲得した価値の大きさを報知する報知演出を実行する報知演出実行手段と、
2C 特定期間において遊技媒体が入賞容易な開放状態に変化可能な可変入賞手段と、を備え、
2D’ 前記報知演出には、前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことである第1条件が成立したときに前記特定期間において獲得した遊技媒体の数が第1の値に到達したことを第1報知期間において報知する第1報知が含まれ、
2E 前記第1報知では、所定の表示レイヤーに第1画像を表示する、
2P’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点2-(1)](構成2D)
本件特許発明2の報知演出には、「前記特定期間よりも長い期間である特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことである第2条件が成立したときに前記特別期間において獲得した遊技媒体の数が第2の値に到達したことを第2報知期間において報知する第2報知」「が含まれ」るのに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-(2)](構成2F)
本件特許発明2が、「前記第2報知では、前記所定の表示レイヤーに第2画像を表示」するのに対して、甲1発明(1)は、上記[相違点2-(1)]として示したとおり、そもそも「第2報知」を実行するものではない点。
[相違点2-(3)](構成2G、2J)
本件特許発明2が、「前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことである第3条件が成立したときに前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が前記特定領域を通過したことを第3報知期間において第3画像を表示することにより報知する第3報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-(4)](構成2H、2J)
本件特許発明2が、「前記特別期間において前記特定期間に制御された回数を第4報知期間において第4画像を表示することにより報知する第4報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-(5)](構成2I、2J)
本件特許発明2が、「前記特定期間において出力される楽曲の楽曲名を第5報知期間において第5画像を表示することにより報知する第5報知」「を実行可能であ」るのに対して、甲1発明(1)は、そのような構成を具備していない点。
[相違点2-(6)](構成2K)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第2条件とが成立していない状態において、一の契機により前記第1条件と前記第2条件とが共に成立するときがあ」るのに対して、甲1発明(1)は、上記[相違点2-(1)]として示したとおり、そもそも「第2報知」を実行するものではなく、「第2報知」の実行条件としての「第2条件」が存在しない点。
[相違点2-(7)](構成2L)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第2条件とが共に成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第2報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示し、前記第2画像はいずれの表示レイヤーにも表示」しないのに対して、甲1発明(1)では、そもそも、「第2条件」、「第2報知」、「第4報知」、「第5報知」が存在しない点。
[相違点2-(8)](構成2M)
本件特許発明2では、「前記第1条件と前記第3条件とが成立し、さらに前記第4報知と前記第5報知とを実行することで、前記第1報知期間、前記第3報知期間、前記第4報知期間及び前記第5報知期間が重なった場合、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示し、前記所定の表示レイヤーよりも下位の表示レイヤーに前記第4画像及び前記第5画像を表示」するのに対して、甲1発明(1)では、そもそも、「第3条件」、「第3報知」、「第4報知」及び「第5報知」が存在しない点。
[相違点2-(9)](構成2N)
本件特許発明2では、「前記第1条件が成立し、さらに前記第3条件が成立したことで、前記第1報知期間と前記第3報知期間とが重なったとしても前記第1画像における前記第1の値を示す数値表示を認識可能なように、前記所定の表示レイヤーに前記第1画像を表示するとともに前記所定の表示レイヤーよりも上位の表示レイヤーに前記第3画像を表示」するのに対して、甲1発明(1)では、そもそも、「第3条件」、「第3報知期間」及び「第3画像」が存在しない点。
[相違点2-(10)](構成2O、2P)
本件特許発明2では、「前記第3報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第5報知期間は、前記第1報知期間よりも長く、前記第3報知期間よりも長い」のに対して、甲1発明(1)では、そもそも、「第3報知期間」及び「第5報知期間」が存在しない点。
以上のとおり、本件特許発明2と甲1発明(1)とは、上記相違点2-(1)~(10)において相違するから、本件特許発明2は、甲1発明(1)ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
(2)特許法第29条第2項(証拠:甲第1号証、甲第3号証)
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件訂正前の請求項2に係る発明は、甲第1号証(特開2014-303号公報)に記載された発明(上記(1)と同様の甲1発明(1))と甲第3号証(特開2013-106805号公報)に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
上記主張について、以下検討する。
ア 甲第3号証について
甲第3号証には、次のとおり記載されている。
「【0251】
以上の処理が終了すると、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内の上方右寄りに設けられた賞球獲得数表示領域800に累積賞球獲得数を示す文字画像が表示される。図20(a)に示す時点では、パチンコ機100の例えば初当りであり累積賞球獲得数は0なので、賞球獲得数表示領域800には累積賞球獲得数が0個であることを示す「0GET」という文字画像が表示される。また、第1副制御部400は、主制御部300から送信された大当り開始コマンドを受信したら、遊技者に大当り遊技が開始されたことを報知するために装飾図柄表示装置208を制御する。この結果、図20(b)に示すように装飾図柄表示装置208の中央部下方であって演出表示領域208dに「大当り開始!」という文字画像が表示される。・・・
【0253】
以上の処理が終了すると、第1副制御部400は当該ラウンドが何ラウンドであるかを遊技者に報知するために装飾図柄表示装置208を制御する。この結果、図20(b)に示すように装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内であって賞球獲得数表示領域800の下方に設けられたラウンド表示領域810に当該ラウンドが第1ラウンドであることを示す「1R」という文字画像が表示される。」
上記の記載事項から、甲第3号証には、次の事項が記載されていると認められる。
「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内に設けられた賞球獲得数表示領域800に累積賞球獲得数を示す文字画像が表示され、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208d内に設けられたラウンド表示領域810にラウンドを示す文字画像が表示される、パチンコ機100。」
イ 当審の判断
上記(1)にて説示したとおり、本件特許発明2と甲1発明(1)とは、上記相違点2-(1)~(10)において相違しており、上記相違点2-(1)~(10)に係る本件特許発明2の構成のいずれについても、甲第3号証には記載も示唆もされていない。
そして、本件特許発明2は、上記相違点2-(1)~(10)に係る構成を備えることにより、
(ア)いずれも獲得した遊技媒体の数についての報知であり、互いに類似する演出である第1報知及び第2報知について、両者の実行タイミングが重なった場合には、第2報知よりも第1報知を優先的に実行することで、両者が同時に実行され、いずれの演出への注目度も低下させてしまうことを防止することができ、
(イ)第1報知及び第2報知に加えて、第3報知、第4報知及び第5報知を実行可能であるとともに、第1報知期間、第2報知期間、第4報知期間及び第5報知期間が重なった場合や、第1報知期間、第3報知期間、第4報知期間及び第5報知期間が重なった場合でも、各報知の優先度に応じて予め定められた表示レイヤーに各報知に対応した画像が表示されることで、適切な報知を実行することができ、
(ウ)第3報知期間と第1報知期間とが重なったとしても、第3報知期間の少なくとも一部は第1報知期間と重ならないことから、当該重ならない期間において確実に第3報知を行うことができるとともに、第5報知期間と第1報知期間または第3報知期間が重なったとしても、第5報知期間の少なくとも一部は第1報知期間または第3報知期間と重ならないことから、当該重ならない期間において確実に第5報知を行うことができる
という格別の効果を奏するものである。
よって、本件特許発明2は、甲1発明(1)及び甲第3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2019-700641