2019-700423
電力変換装置、及びこれを備える空気調和機、並びに電力変換方法
- 審判番号
- 2019-700423
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-050170外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年05月27日
- 審決日
- 2020年01月29日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
- 【異議申立人】井澤 幹
- 分類
- P1651.121-YAA(H02M) / P1651.537-YAA(H02M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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特許第6431413号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成27年3月13日に特許出願され、平成30年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年11月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対して、令和1年5月27日に特許異議申立人 井澤 幹により特許異議の申立てがされた。そして、同年8月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年10月11日付けで特許権者により訂正の請求がされ、特許異議申立人に対して同年11月1日付けで訂正請求があった旨の通知をしたが、特許異議申立人から何ら応答がなされなかったものである。
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
令和1年10月11日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許第6431413号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし10について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は、以下の訂正事項のとおりである(なお、下線は訂正部分を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」
と記載されているのを、
「前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」に訂正する(請求項1を引用する請求項2ないし7、9についても同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8に
「前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」
と記載されているのを、
「前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」に訂正する(請求項8を引用する請求項9についても同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
明細書の段落【0007】に
「前記課題を解決するために、本発明は、交流電源の電圧の極性に同期してスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、・・・を特徴とする。また、本発明は、交流電源の電圧の極性に同期してスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、・・・を特徴とする。なお、詳細については、発明を実施するための形態において説明する。」
と記載されているのを、
「前記課題を解決するために、本発明は、交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングでスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、・・・を特徴とする。また、本発明は、交流電源の電圧の極性にが切り替わるゼロクロスのタイミングでスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、・・・を特徴とする。なお、詳細については、発明を実施するための形態において説明する。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に
「前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」
と記載されているのを、
「前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、」に訂正する。
2.訂正要件についての判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし9について、請求項2ないし7、9は、請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して請求項2ないし7、9も訂正されるものである。また、請求項9は、独立項である請求項8も引用しているものであって、訂正事項2によって訂正される請求項8に連動して請求項9は訂正される。したがって、訂正前の請求項1ないし9に対応する訂正後の請求項1ないし9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1、2、4について
訂正前の請求項1、8、10には「前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、・・・」と記載されているところ、ここでいう電圧の「極性に同期して」の意味するところが不明確であり、訂正前の請求項1、8、10の記載には明瞭でない記載が存在する。
これに対して、訂正後の請求項1、8、10では「前記交流電源の電圧の極性の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、・・・」と訂正したものである。そして、
発明の詳細な説明には、例えば段落【0038】に「・・・。電源電圧が正の半サイクルの期間において(図6(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3をオフ状態にし(図6(c)参照)、スイッチング素子Q4をオン状態にする(図6(d)参照)。電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q3,Q4のオン/オフが入れ替わる。このように、電源電圧のゼロクロス点に同期してスイッチング素子Q3,Q4が交互にオン/オフされる。」と記載され、スイッチング素子のオン/オフを、電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで行うことを意味しているとものと理解することができる。
そうすると、訂正事項1、2、4は、訂正前の不明瞭さを正してその記載の本来の意味内容を発明の詳細な説明の記載に基づいて明確なものとするものであるといえ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるということができる。
したがって、訂正事項1、2、4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、訂正事項1、2、4は上述のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的として訂正前の不明瞭さを発明の詳細な説明の記載に基づいて正すものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
イ.訂正事項3について
訂正事項3は、上記訂正事項1、2、4による訂正に伴い、特許請求の範囲(請求項1、8、10)の記載と明細書の記載との整合を図るためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであって、訂正事項3は、上記訂正事項1、2、4と同様、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正事項3は、訂正事項1、2(請求項1ないし9)、請求項4(請求項10)に関係するものであって、全ての請求項と関係するものである。そして、本件訂正請求では全ての請求項の訂正を請求している。したがって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項〔1-9〕、10について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立について
1.本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、下線は訂正された箇所を示す。)。
「【請求項1】ブリッジ形に接続される複数のダイオードを有し、交流電源からの電流を整流する整流回路と、前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、続きを表示(全68行)複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続されるスイッチング素子と、前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であることを特徴とする電力変換装置。【請求項2】前記制御部は、前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値未満である場合、前記同期整流制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値以上である場合、前記スイッチング制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。【請求項3】前記制御部は、前記負荷検出部の検出値が、前記第2閾値よりも大きい第3閾値以上である場合、前記平滑コンデンサの出力側のモータを減速又は停止させる保護制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。【請求項4】前記スイッチング素子の温度を直接又は間接に検出する温度検出部と、少なくとも前記第2閾値及び前記第3閾値が、前記スイッチング素子の温度に対応付けて記憶されている記憶部と、を備え、前記制御部は、前記温度検出部によって検出される温度に対応する前記第2閾値及び前記第3閾値を前記記憶部から読み出して、前記負荷検出部の検出値と各閾値との大小を比較することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。【請求項5】前記スイッチング素子は、MOSFETであり、ソースが前記ダイオードのアノードに接続され、ドレインが当該ダイオードのカソードに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。【請求項6】前記ダイオードの順方向電圧は、当該ダイオードに並列接続される前記スイッチング素子が有する寄生ダイオードの順方向電圧よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。【請求項7】前記MOSFETは、スーパー・ジャンクション・MOSFET、又はSiC‐MOSFETであることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。【請求項8】直列接続される一対のダイオードと、直列接続される一対のスイッチング素子と、が並列接続されることで構成され、前記一対のダイオードの接続点と、前記一対のスイッチング素子の接続点と、がそれぞれ交流電源に接続されるブリッジ回路と、前記交流電源と前記ブリッジ回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、前記ブリッジ回路の出力側に接続され、前記ブリッジ回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記交流電源の電圧の正・負の半サイクルそれぞれにおいて、前記一対のスイッチング素子を交互に複数回オン/オフするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびに前記ブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定し、前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記ブリッジ回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であることを特徴とする電力変換装置。【請求項9】請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力変換装置と、前記電力変換装置から印加される直流電圧を交流電圧に変換する前記インバータと、前記インバータから印加される交流電圧で駆動する前記モータと、を備えるとともに、前記モータの回転によって駆動する圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が配管を介して環状に順次接続されてなる空調回路を備えることを特徴とする空気調和機。【請求項10】ブリッジ形に接続される複数のダイオードを有し、交流電源からの電流を整流する整流回路と、前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続されるスイッチング素子と、前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、を備える電力変換装置が実行する電力変換方法であって、前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であることを特徴とする電力変換方法。」
2.取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし10に係る発明についての特許に対して令和1年8月20日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
請求項1ないし10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
記
請求項1、8、10において、「前記交流電源の電圧の極性に同期して前記のスイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御」とあるが、ここでいう電圧の「極性に同期して」の意味するところが不明確である。
よって、請求項1、8、10に係る発明及び請求項1に従属する請求項2ないし7、9に係る発明は明確なものでない。
(2)取消理由についての当審の判断
本件訂正請求による訂正により、請求項1、8、10において、「前記交流電源の電圧の極性に同期して・・」との記載が、「前記交流電源の電圧の極性が切り替わるゼロクロスのタイミングで・・」と訂正され、スイッチング素子のオン/オフのタイミングが明確となったから訂正前の不明瞭さは正された。
したがって、取消理由通知に記載した取消理由は解消された。よって、請求項1ないし10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものではない。
3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)申立理由の概要(特許法第29条第2項)
訂正前の請求項1に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明、及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、及び甲第2及び3号証に記載された技術事項を基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項2に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び4号証に記載された技術事項に基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項3に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第5ないし9号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第5ないし9号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項4に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第10ないし14号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第10ないし14号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項5に係る特許は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項6に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第15ないし18号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第15ないし18号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項7に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項に基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明に、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項8に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項を基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項9に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項に基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明に、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
訂正前の請求項10に係る発明は、下記の甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項を基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2)甲第1号証の記載事項
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甲第1号証には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。)
(ア)「【請求項2】前記メインスイッチング素子は、スーパージャンクション構造を有するMOSFETであることを特徴とする、請求項1に記載の電力変換装置。」
(イ)「【技術分野】【0001】本発明は、電力変換装置に関する。」
(ウ)「【0011】以下、本発明を具体化した一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、変形例は、当該実施形態の説明中に挿入されると首尾一貫した一実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。【0012】<構成>続きを表示(全25行)図1を参照すると、本発明の一実施形態としての電力変換装置10は、インバータ回路であって、交流電源11から入力された交流電力を直流電力に変換して、変換後の電力を直流負荷12に出力するように構成されている。この電力変換装置10は、電力変換回路13と制御部14とを備えている。【0013】電力変換回路13には、一対の交流入力端子30a,30b(本発明の「一対の交流入出力端子」に相当する)と、一対の直流出力端子30c,30d(本発明の「一対の直流入出力端子」に相当する)と、が設けられている。そして、電力変換回路13は、一対の交流入力端子30a,30bを介して交流電源11に接続されるとともに、一対の直流出力端子30c,30dを介して直流負荷12に接続されている。【0014】電力変換回路13における入力側、すなわち一対の交流入力端子30a,30b側には、フィルタ回路31が設けられている。フィルタ回路31は、リアクトル31a,31bと、コンデンサ31cと、によって構成されている。リアクトル31aは、交流入力端子30aに接続されている。リアクトル31bは、交流入力端子30bに接続されている。【0015】コンデンサ31cは、一対の交流入力端子30a,30bの間に設けられている。すなわち、コンデンサ31cは、交流入力端子30aとリアクトル31aとの間の位置と、交流入力端子30bとリアクトル31bとの間の位置と、を接続(短絡)するように設けられた電力ラインに介装されている。【0016】電力変換回路13における出力側、すなわち一対の直流出力端子30c,30d側には、平滑コンデンサ32、及びスイッチング素子33~36が設けられている。平滑コンデンサ32は、一対の直流出力端子30c,30dの間に設けられている。すなわち、平滑コンデンサ32は、直流出力端子30cに接続された電力ラインと、直流出力端子30dに接続された電力ラインと、を接続(短絡)するように設けられた電力ラインに介装されている。【0017】スイッチング素子33~36は、MOSゲート構造を有する半導体スイッチング素子であって、フィルタ回路31と平滑コンデンサ32との間に設けられている。本実施形態においては、スイッチング素子33~36は、いわゆる「パワーMOSFET」であって、その内部に寄生ダイオード成分を有している。以下、スイッチング素子33,34,35及び36における、トランジスタ動作部分をそれぞれスイッチング部分Q1,Q2,Q3及びQ4と称し、寄生ダイオード成分をそれぞれダイオード部分D1,D2,D3及びD4と称することがある。【0018】本発明の「第一スイッチング素子」に相当するスイッチング素子33は、Nチャンネル型のMOSFETであって、ドレインが直流出力端子30cに接続されている。本発明の「第二スイッチング素子」に相当するスイッチング素子34は、Nチャンネル型のMOSFETであって、ソースが直流出力端子30dに接続されている。スイッチング素子33のソースは、スイッチング素子34のドレインに接続されている。このようにして、スイッチング素子33及び34は、一対の直流出力端子30c,30d間にて直列接続されている。【0019】本発明の「第三スイッチング素子」に相当するスイッチング素子35は、Nチャンネル型のMOSFETであって、ドレインが直流出力端子30cに接続されている。本発明の「第四スイッチング素子」に相当するスイッチング素子36は、Nチャンネル型のMOSFETであって、ソースが直流出力端子30dに接続されている。スイッチング素子35のソースは、スイッチング素子36のドレインに接続されている。このようにして、スイッチング素子35及び36は、一対の直流出力端子30c,30d間にて直列接続されている。また、スイッチング素子33及び34の直列接続体と、スイッチング素子35及び36の直列接続体とが、並列に設けられている。【0020】スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部は、フィルタ回路31におけるリアクトル31aを介して、交流入力端子30aに接続されている。同様に、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部は、フィルタ回路31におけるリアクトル31bを介して、交流入力端子30bに接続されている。【0021】本実施形態においては、「メインスイッチング素子」に相当する、下アーム側のスイッチング素子34及び36は、スーパージャンクション構造を有するMOSFETである。これらスイッチング素子34及び36は、一対の直流出力端子30c,30d間の出力電圧である直流電圧が所望値となるようなオンデューティ比でPWM制御されるように設けられている。一方、「サブスイッチング素子」に相当する、上アーム側のスイッチング素子33及び35は、スーパージャンクション構造を有さない通常型(シリコン型あるいはシリコンカーバイド型)のMOSFETである。これらスイッチング素子33及び35は、スイッチング素子34及び36と相補的にオンオフされることで、電力変換回路13にて同期整流動作を実現可能に設けられている。【0022】制御部14は、スイッチング素子33~36のオンオフ動作を制御するように設けられている。具体的には、制御部14は、メインコントローラ40と、交流入力電圧センサ47と、直流出力電圧センサ48と、リアクトル電流センサ49と、を備えている。リアクトル電流センサはスイッチング素子Q2の電流センサとスイッチング素子Q4の電流センサで代用されることもある。」
(エ)「【0025】本発明の「電流検出部」を構成するリアクトル電流センサ49は、リアクトル電流(リアクトル31bを通流する電流)iLに対応する出力を生じるように設けられている。なお、以下、リアクトル電流について、その振幅をILと表記し、位相θを加味した正味の電流をiLと表記する。すなわち、iL、IL及びθについて、以下の式が成立するものとする。なお,スイッチングに伴うリプル電流は加味していない。」
(オ)「【0030】第二制御器413は、いわゆる周知のPI制御器であって、リアクトル電流センサ49によるリアクトル電流の検出値iLと、上述の電流基準値IL*と、に基づいて、後述するPWM信号の生成のための制御量を出力するように設けられている。具体的には、第一制御器411と第二制御器413との間には、上述の乗算器418bとともに、減算器418cが設けられている。減算器418cは、電流基準値IL*の絶対値ABS(iL*)と、リアクトル電流の検出値iLの絶対値ABS(iL)と、の偏差diLを算出して、かかる偏差diLを第二制御器413に入力するようになっている。【0031】絶対値処理部414は、入力電圧Vacの絶対値であるABS(Vac)を算出し出力するように設けられている。PWM信号生成部415は、PWM信号を生成し出力するように設けられている。ここで、「PWM信号」とは、スイッチング素子34及び36をPWM制御して出力電圧Voを目標値(指令値Vo*)に一致させるべく制御するために、これらスイッチング素子34及び36のゲートに向けて出力される信号である。【0032】具体的には、第二制御器413とPWM信号生成部415との間には、減算器418d及び乗算器418eが設けられている。減算器418dは、第二制御器413の出力である上述の制御量と、絶対値処理部414の出力であるABS(Vac)と、の偏差を算出し出力するようになっている。乗算器418eは、減算器418dの出力に出力電圧Vo(直流出力電圧センサ48による検出値)の逆数を乗算して規格化し、得られた値(1-Dに相当する:Dはオンデューティ比である)をPWM信号生成部415に入力するようになっている。そして、PWM信号生成部415は、オンデューティ比Dに対応するPWM信号を生成し出力するようになっている。」
(カ)「【0045】このため、図3における「Q2」のタイムチャートに示されているように、オアゲート421における他方の入力端子に「0」が入力されると、かかるオアゲート421の出力、すなわち、スイッチング素子34(スイッチング部分Q2)のゲート信号は、一方の入力端子への入力である上述のPWM信号に対応したものとなる。これに対し、オアゲート421における他方の入力端子に「1」が入力されると、かかるオアゲート421の出力、すなわち、スイッチング素子34(スイッチング部分Q2)のゲート信号は、一方の入力端子への入力である上述のPWM信号にかかわらず、「1」に張り付いたものとなる。【0046】オアゲート422の出力及びスイッチング素子36(スイッチング部分Q4)のゲート信号についても、上述と同様であるが、オアゲート421の出力及びスイッチング素子34(スイッチング部分Q2)のゲート信号と半周期ずれたものとなる(図3における「Q4」のタイムチャート参照)。このようにして、下アーム側のスイッチング素子34とスイッチング素子36とが、上述の極性信号に応じて、交互にPWM駆動される。続きを表示(全22行)【0047】次に、スイッチング素子33(スイッチング部分Q1)及びスイッチング素子35(スイッチング部分Q3)のゲート信号について説明する。入力電圧Vac(交流入力電圧センサ47による検出値)の絶対値が所定値Vrefを超える場合には、同期整流停止判定部417から、同期整流動作を許可する信号「1」(同期整流許可信号)が出力される。一方、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合には、同期整流停止判定部417から、同期整流動作を停止する信号「0」(同期整流停止信号)が出力される。【0048】アンドゲート426の一方の入力端子には、オアゲート421の出力がノットゲート424によって反転されたものが入力される。同様に、アンドゲート427の一方の入力端子には、オアゲート422の出力がノットゲート425によって反転されたものが入力される。さらに、アンドゲート426,427の他方の入力端子には、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下であるか否かに応じて、同期整流停止判定部417から出力された同期整流許可信号又は同期整流停止信号が入力される。【0049】同期整流許可信号すなわち「1」が入力された場合、アンドゲート426は、オアゲート421の出力がノットゲート424によって反転されたものに対応する信号を、スイッチング素子33(スイッチング部分Q1)のゲート信号として出力する。この場合、上アーム側のスイッチング素子33は、これと直列に接続された下アーム側のスイッチング素子34と相補的にオンオフされる。これにより、同期整流動作が実現される。【0050】一方、同期整流停止信号すなわち「0」が入力された場合、アンドゲート426の出力は、ノットゲート424からの出力値によらず、「0」に保持される。よって、上アーム側のスイッチング素子33は、オフに保持される。すなわち、この場合、同期整流動作は停止する。【0051】このように、本実施形態においては、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合に、上アーム側のスイッチング素子33(スイッチング部分Q1)及びスイッチング素子35(スイッチング部分Q3)をオフに保持することで、同期整流動作が停止される(図3における1点鎖線の領域参照)。これに対し、比較例としての従来の制御動作においては、入力電圧Vacの大きさにかかわらず常時、同期整流動作が行われる。【0052】図5は、図4における最も左側の1点鎖線の領域でのスイッチング状態及びリアクトル電流の様子を示す。同様に、図6は、図3における最も左側の1点鎖線の領域でのスイッチング状態及びリアクトル電流の様子を示す。【0053】図5に示されているように、比較例としての従来の制御動作においては、入力電圧Vacのゼロクロス近傍領域にて、リアクトル電流iLの極性が反転する期間が生じる。すると、上アーム側のスイッチング素子33(スイッチング部分Q1)がオンからオフに転じた図中「mode5」の領域にて、下アーム側のスイッチング素子34におけるダイオード部分D2に電流が通流する。この結果、かかるダイオード部分D2の電流の通流終了時に、リカバリ電流が発生する。かかるリカバリ電流に起因して、スイッチング損失等の不具合が発生してしまう。【0054】この点、本実施形態においては、図6に示されているように、入力電圧Vacのゼロクロス近傍領域にて、上アーム側のスイッチング素子33(スイッチング部分Q1)がオフに保持される。すると、リアクトル電流iLの通流状態は、極性反転のない不連続モード(断続モード)となる。これにより、下アーム側のスイッチング素子34のダイオード部分D2における電流の通流が、良好に防止される。したがって、上述のようなリカバリ電流、及びこれに起因するスイッチング損失等の不具合の発生が、良好に防止される。【0055】特に、上述の通り、本実施形態の構成によれば、ダイオード部分D2,D4におけるリカバリ電流が大きくなりやすい、スーパージャンクション構造を有するMOSFETである、下アーム側のスイッチング素子34,36において、リカバリ電流の発生が良好に防止される。したがって、本実施形態の構成によれば、「ハイブリッド構成」の電力変換回路13を有する電力変換装置10を、従来よりも高効率、且つ可及的に簡略な構成で、良好に動作させることが可能になる。」
(キ)「【0067】一方、スイッチング素子33~36は、上述の実施形態と同様に、入力電圧Vac(交流入力電圧センサ47による検出値)の絶対値が所定値Vrefを超える場合には、スイッチング素子37,38と相補的にオンオフ動作するように制御される。このとき、スイッチング素子33(スイッチング部分Q1)及びスイッチング素子36(スイッチング部分Q4)と、スイッチング素子34(スイッチング部分Q2)及びスイッチング素子35(スイッチング部分Q3)とが、入力電圧Vacの極性に応じて択一的に駆動される。これに対し、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合には、スイッチング素子33~36がオフに保持される。これにより、同期整流動作が停止される。」
(ク)「」
(ケ)「」
(コ)「」
(サ)「【図5】」
(シ)「【図9】」
(ス)「」
・上記(ウ)の段落【0012】によれば、電力変換回路13と制御部14とを備えている電力変換装置10が記載されている。
・上記(ウ)の段落【0013】によれば、電力変換回路13には、交流電源11に接続される一対の交流入力端子30a,30bと、直流負荷12に接続されている一対の直流出力端子30c,30dとが設けられることが記載されている。
・上記(ウ)の段落【0014】、【0016】によれば、電力変換回路13における一対の交流入力端子30a,30b側には、フィルタ回路31が、また、一対の直流出力端子30c,30d側には、平滑コンデンサ32、及びスイッチング素子33~36が設けられることが記載されている。
・上記(ウ)の段落【0014】、【0015】によれば、前記フィルタ回路31は、交流入力端子30aに接続されているリアクトル31aと、交流入力端子30bに接続されているリアクトル31bと、一対の交流入力端子30a,30bの間に設けられているコンデンサ31cから構成されることが記載されている。
・上記(ウ)の段落【0016】によれば、前記平滑コンデンサ32は、一対の直流出力端子30c,30d間に設けられることが記載されている。
・上記(ウ)の段落【0017】によれば、スイッチング素子33~36は、フィルタ回路31と平滑コンデンサ32との間に設けられること、また、スイッチング素子33~36は、いわゆるパワーMOSFETであって、トランジスタ動作部分のスイッチング部分Q1,Q2,Q3及びQ4と、寄生ダイオード成分のダイオード部分D1,D2,D3及びD4からなることが記載されている。
また、図1(上記(ク))によれば、スイッチング素子33~36は、スイッチング素子33、35を上アームとし、スイッチング素子34、36を下アームとしてブリッジ形に接続されていることが看取できる。
さらに、段落【0020】には、スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部にリアクトル31aを介して交流入力端子30aが、同様に、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部にリアクトル31bを介して交流入力端子30bが接続されることが記載されている。
してみると、甲第1号証には、スイッチング素子33~36は、フィルタ回路31と平滑コンデンサ32との間にスイッチング素子33、35を上アームとし、スイッチング素子34、36を下アームとしてブリッジ形に接続され、スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部にリアクトル31aを介して交流入力端子30aが、同様に、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部にリアクトル31bを介して交流入力端子30bが接続され、また、スイッチング素子33~36は、いわゆるパワーMOSFETであって、トランジスタ動作部分のスイッチング部分Q1,Q2,Q3及びQ4と、寄生ダイオード成分のダイオード部分D1,D2,D3及びD4からなることが記載されているといえる。
・上記(ウ)の段落【0022】によれば、制御部14は、スイッチング素子33~36のオンオフ動作を制御することが記載されている。
・上記(ウ)の段落【0021】によれば、スイッチング素子33及び35は、スイッチング素子34及び36と相補的にオンオフされることで、電力変換回路13にて同期整流動作することが、さらに、上記(カ)の段落【0047】ないし【0050】及び図3(上記(ケ))には、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vrefを超える場合には、同期整流動作が行われ、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合には、同期整流動作が停止されることが記載されている。
また、図3によれば、交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われることが看取できる。
したがって、甲第1号証には、スイッチング素子33及び35は、スイッチング素子34及び36と相補的にオンオフされることで、電力変換回路13にて同期整流動作する際に、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vrefを超える場合には、同期整流動作が行われ、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合には、同期整流動作が停止され、さらに、交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われることが記載されているといえる。
したがって、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。
「電力変換回路13と制御部14とを備えている電力変換装置10において、前記電力変換回路13には、交流電源11に接続される一対の交流入力端子30a,30bと、直流負荷12に接続されている一対の直流出力端子30c,30dとが設けられ、前記電力変換回路13における一対の交流入力端子30a,30b側には、フィルタ回路31が、また、一対の直流出力端子30c,30d側には、平滑コンデンサ32、及びスイッチング素子33~36が設けられ、前記フィルタ回路31は、交流入力端子30aに接続されているリアクトル31aと、交流入力端子30bに接続されているリアクトル31bと、一対の交流入力端子30a,30bの間に設けられているコンデンサ31cから構成されており、前記平滑コンデンサ32は、一対の直流出力端子30c,30d間に設けられ、前記スイッチング素子33~36は、フィルタ回路31と平滑コンデンサ32との間にスイッチング素子33、35を上アームとし、スイッチング素子34、36を下アームとしてブリッジ形に接続され、スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部にリアクトル31aを介して交流入力端子30aが、同様に、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部にリアクトル31bを介して交流入力端子30bが接続され、また、スイッチング素子33~36は、いわゆるパワーMOSFETであって、トランジスタ動作部分のスイッチング部分Q1,Q2,Q3及びQ4と、寄生ダイオード成分のダイオード部分D1,D2,D3及びD4からなり、前記制御部14は、スイッチング素子33~36のオンオフ動作を制御するものであって、スイッチング素子33及び35は、スイッチング素子34及び36と相補的にオンオフされることで、電力変換回路13にて同期整流動作する際に、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vrefを超える場合には、同期整流動作が行われ、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以下である場合には、同期整流動作が停止され、さらに、交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われる、電力変換装置10。」
(3)当審の判断
ア.本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。
a.甲1発明の「スイッチング素子33~36」は、ブリッジ形に接続され交流電源を同期整流するものである。また、「スイッチング素子33~36」は寄生ダイオード成分のダイオード部分D1,D2,D3及びD4を有するものではあるが、同期整流動作は「スイッチング素子33~36」におけるトランジスタ動作部分のスイッチング部分Q1,Q2,Q3及びQ4が行うものである。
してみると、甲1発明の「スイッチング素子33~36」は、本件発明1の「ブリッジ形に接続される複数のダイオードを有し、交流電源からの電流を整流する整流回路」と、「ブリッジ形に接続される複数の素子を有し、交流電源からの電流を整流する整流回路」の点では共通する。
但し、前記素子が、本件発明1ではダイオードであるのに対して、甲1発明ではスイッチング素子である点で相違する。
b.甲1発明の「リアクトル31a」は、交流入力端子30aと、スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部の間に接続され、また、「リアクトル31b」は、交流入力端子30bと、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部の間に接続されるものである。
したがって、甲1発明の「リアクトル31a」及び「リアクトル31b」は、本件発明1の「前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトル」に相当する。
c.甲1発明は、一対の直流出力端子30c,30d側には、平滑コンデンサ32、及びスイッチング素子33~36が設けられるものであるから、スイッチ素子33~36が直流出力端子30c,30d側に接続され、平滑コンデンサ32がスイッチング素子33~36の出力電圧を平滑化しているのは明らかである。
したがって、甲1発明の「平滑コンデンサ32」は、本件発明1の「前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサ」に相当する。
d.甲1発明の「スイッチング素子33~36」は、上記aに記した整流素子としての機能以外にも、オン・オフのスイッチングの制御が行われるものであり、整流素子としての機能とスイッチング素子としての機能を兼用した素子である。
したがって、甲1発明の「スイッチング素子33~36」は、本件発明1の「スイッチング素子」に相当する。
但し、スイッチング素子が、本件発明1では、「複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続される」ものであるのに対して、甲1発明では整流素子としの機能を兼用するものであって整流素子に並列接続されない点で相違する。
e.甲1発明の「制御部14」は、スイッチング素子33~36のオンオフ動作を制御するものであるから、本件発明1の「前記スイッチング素子を制御する制御部」に相当する。
f.甲1発明の「同期整流動作」は、スイッチング素子33及び35と、スイッチング素子34及び36とを相補的にオンオフするものであって、また、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以上となる際に行われるものである。さらに、「同期整流動作」時に、平滑コンデンサを介して電流が流れることは明らかである。
してみると、甲1発明の「同期整流動作」は、本件発明1の「前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御」に相当する。
但し、同期整流制御におけるスイッチング素子をオン/オフするタイミングが、本件発明1では、「前記交流電源の電圧が切り替わるゼロクロスのタイミング」で行われるのに対して、甲1発明では、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以上となるタイミングで行われる点で相違する。
g.甲1発明の「交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われる」ことにおいて、スイッチング素子34及びスイッチング素子36が共にオンとなった際には、リアクトル31a、スイッチング素子34、スイッチング素子36、リアクトル31bの経路で短絡電流が流れるものと認められる。
したがって、甲1発明の「交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われる」ことは、本件発明1の「前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御」、及び「前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御」に相当する。
h.また、甲1発明においては、スイッチング素子33~36の制御は「制御部14」が行うものであって、また、上記fの制御を行うタイミングで、上記gのスイッチングの制御を行うことはできないことから、「制御部14」は上記fとgの制御の切り換えを行っていることは明らかである。
i.甲1発明の「電流変換装置10」は、「スイッチング素子33~36」、「リアクトル31a」及び「リアクトル31b」、「平滑コンデンサ32」、「制御部14」を備えるものであるから、本件発明1の「電力変換装置」に相当する。
j.但し、本件発明1では、「前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部」を備え、「前記制御部は、・・・同期整流制御と、・・・スイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、・・・同期整流・回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し」、さらに、「前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率である」のに対して、甲1発明では、そのような「負荷検出部」を備えておらず、制御部は、そのような検出値に基づく切り換えは行っておらず、さらに、検出値である負荷に関する特定もされていない点で相違する。
そうすると、本件発明1と甲1発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「ブリッジ形に接続される複数の素子を有し、交流電源からの電流を整流する整流回路と、前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、スイッチング素子と、前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を切り換える、電力変換装置。」
(相違点1)
前記素子が、本件発明1では、「ダイオード」であって、スイッチング素子が、「複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続される」ものであるのに対して、甲1発明では、スイッチング素子であって、整流素子としの機能を兼用しており並列接続されない点。
(相違点2)
同期整流制御におけるスイッチング素子をオン/オフするタイミングが、本件発明1では、「前記交流電源の電圧が切り替わるゼロクロスのタイミング」で行われるのに対して、甲1発明では、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vrefとなるタイミングで行われる点。
(相違点3)
本件発明1では、「前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部」を備え、「前記制御部は、・・・同期整流制御と、・・・スイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、・・・同期整流・回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し」、さらに、「前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率である」のに対して、甲1発明では、そのような「負荷検出部」を備えておらず、制御部は、そのような検出値に基づく切り換えは行っておらず、さらに、検出値である負荷に関する特定もされていない点。
まず、相違点3について検討する。
甲第2号証(段落【0025】-【0035】、【0044】-【0053】等参照)には、半導体スイッチン(本件発明1の「スイッチング素子」に相当)に流れる電流の値に基づいて、同期整流と全波整流を切り換えることは記載されている。また、甲第3号証(【請求項1】-【請求項15】、段落【0056】、【0066】-【0077】等参照)には、負荷に応じて、短絡素子を動作させるか否かの切り換えを行ったものが記載されている。
しかしながら、甲第2号証及び甲第3号証は、いずれも「前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行」するものではなく、また、このような制御を実行することが周知の技術であるとも認められない。
また、甲第4号証(【請求項16】-【請求項18】、段落【0027】、【0053】-【0056】、【0119】等参照)には、同期・短絡制御を行うことが、また、、甲第5号証(段落【0021】-【0031】等参照)、甲第6号証(段落【0017】-【0022】等参照)、甲第7号証(段落【0022】、【0023】等参照)、甲第8号証(段落【0030】等参照)、甲第9号証(段落【0021】、【0037】-【0040】等参照)には、検出した電流値が所定の閾値以上になった場合にモータを保護制御することが、また、甲第10号証(段落【0015】-【0020】等参照)、甲第11号証(段落【0018】-【0019】等参照)、甲第12号証(段落【0020】-【0022】等参照)、甲第13号証(段落【0030】-【0032】、【0050】等参照)、甲第14号証(明細書7-9頁)には、電力変換装置内のスイッチング素子の温度に応じて保護制御を実行することが、また、甲第15号証(段落【0010】等参照)、甲第16号証(段落【0027】-【0028】等参照)、甲第17号証(段落【0005】、【0013】-【0015】等参照)、甲第18号証(段落【0050】、【0072】等参照)には、スイッチング素子の寄生ダイオードより小さい順方向電あるダイオードをスイッチング素子に並列接続することが記載されている。しかしながら、甲第4号証ないし甲第18号証にも「前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行」することは記載されていない。また、このような制御を実行することが周知の技術であるとも認められない。
したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載の技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
イ.本件発明2について
本件発明2は本件発明1に対して「前記制御部は、前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値未満である場合、前記同期整流制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値以上である場合、前記スイッチング制御を実行する」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び4号証に記載された技術事項に基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.本件発明3について
本件発明3は本件発明1に対して「前記制御部は、前記負荷検出部の検出値が、前記第2閾値よりも大きい第3閾値以上である場合、前記平滑コンデンサの出力側のモータを減速又は停止させる保護制御を実行する」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第5ないし9号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第5ないし9号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ.本件発明4について
本件発明4は本件発明1を引用する本件発明3に対して「前記スイッチング素子の温度を直接又は間接に検出する温度検出部と、少なくとも前記第2閾値及び前記第3閾値が、前記スイッチング素子の温度に対応付けて記憶されている記憶部と、を備え、前記制御部は、前記温度検出部によって検出される温度に対応する前記第2閾値及び前記第3閾値を前記記憶部から読み出して、前記負荷検出部の検出値と各閾値との大小を比較する」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第10ないし14号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第10ないし14号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ.本件発明5について
本件発明5は本件発明1に対して「前記スイッチング素子は、MOSFETであり、ソースが前記ダイオードのアノードに接続され、ドレインが当該ダイオードのカソードに接続される」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
カ.本件発明6について
本件発明6は本件発明1を引用する本件発明5に対して「前記ダイオードの順方向電圧は、当該ダイオードに並列接続される前記スイッチング素子が有する寄生ダイオードの順方向電圧よりも小さい」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項及び甲第15ないし18号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項、並びに甲第15ないし18号証の何れかに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
キ.本件発明7について
本件発明7は本件発明1を引用する本件発明5に対して「前記MOSFETは、スーパー・ジャンクション・MOSFET、又はSiC‐MOSFETである」という技術事項を追加したものであり、本件発明1の構成に加えてさらに限定した構成を付加したものであるから、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項に基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明に、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ク.本件発明8について
本件発明8と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。
a.甲1発明の「スイッチング素子33~36」は、「スイッチング素子33、35を上アームとし、スイッチング素子34、36を下アームとしてブリッジ形に接続され、、スイッチング素子33とスイッチング素子34との接続部にリアクトル31aに介して交流入力端子30aが、同様に、スイッチング素子35とスイッチング素子36との接続部にリアクトル31bを介して交流入力端子30bが接続され」るものであるから、甲1発明においては、直列接続されたスイッチング素子33、34と、直列接続されたスイッチング素子35、36が、並列接続されているものであって、スイッチング素子33、34の接続点と、スイッチング素子35、36の接続点とが交流電源に接続されているといえる。
したがって、甲1発明の「スイッチング素子33、34」、又は「スイッチング素子35、36」の一方は、本件発明8の「一対のスイッチング素子」に相当し、他方は、本件発明8の「一対のダイオード」と「一対の素子」である点で共通する。
そして、甲1発明の「スイッチング素子33~36」と、本件発明8の「直列接続される一対のダイオードと、直列接続される一対のスイッチング素子と、が並列接続されることで構成され、前記一対のダイオードの接続点と、前記一対のスイッチング素子の接続点と、がそれぞれ交流電源に接続されるブリッジ回路」とは、「直列接続される一対の素子と、直列接続される一対のスイッチング素子と、が並列接続されることで構成され、前記一対のダイオードの接続点と、前記一対のスイッチング素子の接続点と、がそれぞれ交流電源に接続されるブリッジ回路」の点では共通する。
但し、前記素子が、本件発明8ではダイオードであるのに対して、甲1発明ではスイッチング素子である点で相違する。
b.また、甲1発明の「リアクトル31a」及び「リアクトル31b」は、本件発明8の「前記交流電源と前記ブッリジ回路とを接続する配線に設けられるリアクトル」に相当する。
c.甲1発明は、一対の直流出力端子30c,30d側には、平滑コンデンサ32、及びスイッチング素子33~36が設けられるものであるから、スイッチ素子33~36が直流出力端子30c,30d側に接続され、平滑コンデンサ32がスイッチング素子33~36の出力電圧を平滑化しているのは明らかである。
したがって、甲1発明の「平滑コンデンサ32」は、本件発明8の「前記ブッリジ回路の出力側に接続され、前記ブリッジ回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサ」に相当する。
d.甲1発明の「制御部14」は、スイッチング素子33~36のオンオフ動作を制御するものであるから、本件発明8の「前記スイッチング素子を制御する制御部」に相当する。
e.甲1発明の「同期整流動作」は、スイッチング素子33及び35と、スイッチング素子34及び36とを相補的にオンオフするものであって、また、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以上の場合に行われるものである。さらに、「同期整流動作」時に、平滑コンデンサを介して電流が流れることは明らかである。
してみると、甲1発明の「同期整流動作」は、本件発明8の「前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御」に相当する。
但し、同期整流制御におけるスイッチング素子をオン/オフするタイミングが、本件発明8では、「前記交流電源の電圧が切り替わるゼロクロスのタイミング」で行われるのに対して、甲1発明では、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vref以上となるタイミングで行われる点で相違する。
f.甲1発明の「交流である入力電圧Vacの正の半周期の同期整流中においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子36がオン状態となり、スイッチング素子34がオン・オフのスイッチングを行われ、また、負の半周期においては、スイッチング素子34、36のうち、スイッチング素子34がオン状態となり、スイッチング素子36をオン・オフのスイッチングを行われる」ことは、本件発明8の「前記交流電源の電圧の正・負の半サイクルそれぞれにおいて、前記一対のスイッチング素子を交互に複数回オン/オフするスイッチング制御」に相当する。
g.また、甲1発明においては、スイッチング素子33~36の制御は「制御部14」が行うものであって、また、上記eの制御を行うタイミングで、上記fのスイッチングの制御を行うことはできないことから、「制御部14」は上記eとfの制御の切り換えを行っていることは明らかである。
h.甲1発明の「電流変換装置10」は、「スイッチング素子33~36」、「リアクトル31a」及び「リアクトル31b」、「平滑コンデンサ32」、「制御部14」を備えるものであるから、本件発明8の「電力変換装置」に相当する。
i.但し、本件発明8では、「前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部」を備え、「前記制御部は、・・・同期整流制御と、・・・スイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびに前記ブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定し、前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記ブリッジ回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率である」のに対して、甲1発明では、そのような負荷検出部を備えておらず、制御部は、そのような検出値に基づく切り換えや、タイミングの設定は行っておらず、さらに、検出値である負荷に関する特定もされていない点で相違する。
そうすると、本件発明8と甲1発明は、以下の点で一致ないし相違する。
(一致点)
「直列接続される一対の素子と、直列接続される一対のスイッチング素子と、が並列接続されることで構成され、前記一対のダイオードの接続点と、前記一対のスイッチング素子の接続点と、がそれぞれ交流電源に接続されるブリッジ回路と、前記交流電源と前記ブリッジ回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、前記ブリッジ回路の出力側に接続され、前記ブリッジ回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記交流電源の電圧の正・負の半サイクルそれぞれにおいて、前記一対のスイッチング素子を交互に複数回オン/オフするスイッチング制御と、を切り換える、電力変換装置。」
(相違点4)
前記素子が、本件発明8ではダイオードであるのに対して、甲1発明ではスイッチング素子である点
(相違点5)
同期整流制御におけるスイッチング素子をオン/オフするタイミングが、本件発明8では、「前記交流電源の電圧が切り替わるゼロクロスのタイミング」で行われるのに対して、甲1発明では、入力電圧Vacの絶対値が所定値Vrefとなる以上となるタイミングで行われる点。
(相違点6)
本件発明8では、「前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部」を備え、「前記制御部は、・・・同期整流制御と、・・・スイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびに前記ブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定し、前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記ブリッジ回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率である」のに対して、甲1発明では、そのような負荷検出部を備えておらず、制御部は、そのような検出値に基づく切り換えや、タイミングの設定は行っておらず、さらに、検出値である負荷に関する特定もされていない点。
まず、上記相違点6について検討する。
甲第2号証及び甲第3号には、「前記制御部は、・・・、前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびに前記ブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定」することは記載されておらず、また、このことが周知の技術であるとも認められない。
したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載の技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
ケ.本件発明9について
本件発明1または8を引用する本件発明9は、本件発明1または8の「電力変換装置」を「空気調和機」としてさらに限定した構成を付加したものであるから、本件発明1または8と同じ理由により、甲第1号証に記載の発明に、甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載の発明に、甲第2及び3号証に記載された技術事項を基づいて、あるいは、甲第1号証に記載の発明に、甲第2ないし4号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
コ.本件発明10について
本件発明10は、本件発明1の電力変換装置を方法の観点から表現したものに過ぎないことから、本件発明1と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載の技術事項に基づいて、または、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立ての理由によっては、本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-700423