2019-700020
密封パック製品の検査装置及び検査方法
- 審判番号
- 2019-700020
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-540475外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月17日
- 審決日
- 2019年04月02日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】ヤマハファインテック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人プロスペック特許事務所
- 【異議申立人】飯田 進
- 分類
- P1652.121-Y (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 31項目
第1 手続の経緯
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特許第6359545号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)9月26日(優先権主張2013年10月2日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成30年6月29日にその特許権の設定登録がされ、同年7月18日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1、2、4ないし7に係る特許に対し、平成31年1月17日に特許異議申立人 飯田 進 により特許異議の申立てがされ、同年2月25日に同特許異議申立人により上申書が提出されたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1、2、4ないし7に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に応じて「本件発明1」などという。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、4ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
(本件発明1)
【請求項1】
密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査装置であって、
発信探触子と受信探触子とを備え、前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて、相対的に移動する密封パック製品が一定距離移動するごとに前記発信探触子から断続的に発信する超音波を前記受信探触子が受信することにより前記密封パック製品を検出する超音波センサと、
前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率について、設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定することにより、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする密封パック製品の検査装置。
(本件発明2)
【請求項2】
前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて前記超音波センサに対して相対的に移動させる搬送装置を備えた請求項1に記載の密封パック製品の検査装置。
(本件発明4)
【請求項4】
相対的に移動する密封パック製品が一定距離移動するごとに断続的な超音波を発信する発信探触子と超音波を受信する受信探触子とを用いて、前記密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査方法であって、
前記発信探触子と前記受信探触子との間に、前記密封パック製品を配置して前記密封パック製品に超音波を透過する密封パック製品検出ステップと、
前記密封パック製品を透過する超音波の透過率について、設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定することにより、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定ステップと
を備えたことを特徴とする密封パック製品の検査方法。
(本件発明5)
【請求項5】
前記密封パック製品を横切るように前記超音波センサを走査させて前記密封パック製品に超音波を透過させ、前記密封パック製品を横切る線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
(本件発明6)
【請求項6】
間隔を保って前記密封パック製品を横切る複数の線状部分に前記超音波センサを走査させて超音波を透過させ、前記密封パック製品を横切る複数の線状部分に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
(本件発明7)
【請求項7】
前記密封パック製品の全面に対して前記超音波センサを走査させて超音波を透過させ、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定するようにした請求項4に記載の密封パック製品の検査方法。
第3 申立理由の概要
特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第2号証(枝番を含む)を提出し、請求項1、2、4ないし7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1、2、4ないし7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
特許異議申立人が提出した証拠
第4 各証拠の記載事項
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1 甲1について
(1)「甲1」の記載事項
甲1には、以下の記載がある(下線は当審による。以下同様)。
(甲1ア)「2 夢の非接触、超音波検査技術
・・・空気中からは液体や固体中の検査はできないという今までの概念を捨て、空気中からでも僅かにはエネルギーが空中から超音波のエネルギーが伝わるため、最新のエレクトロニクス回路技術を駆使し、超音波エアープローブを改良することで、非接触で空気中から超音波検査が行えるのではないかとの考えに至り、装置を開発し、非破壊評価総合展2009(2009年11月)で発表した。非接触空中超音波検査装置NAUT21(・・・)を写真1に示す(・・・)。
この非接触空中超音波検査「NAUT21」を実現するにあたって、開発した技術のキーポイントを図3に示す。1(当審注:○で囲んだ1)強力なバースト波電気信号を送信する超音波用パルサー、2(当審注:○で囲んだ2)効率的に空気中へ超音波を送受信できる超音波エアプローブ、そして3(当審注:○で囲んだ3)必要な信号だけを効率よく増幅する外部プリアンプである。」(70~71頁)
(甲1イ)「3 測定方法
さて、この「NAUT21」を用いて、図4のように被検体(貼り合わせ接合物、接合部ボイドあり)を送信プローブと受信プローブの間に挟み込むように配置することで、空中から非接触超音波検査が可能となる。原理検証のため、比較的、空中から超音波が透過しやすいアクリル(図2d)で実験を行う。2枚のアクリル板を貼り合わせる際、接着層に空気を泡を巻き込ませて作成した接着不良模擬サンプルの検査画像例を図5に示す。オレンジ色は超音波が良く透過しており、接着が良好な部分、青色は超音波がほとんど透過していない部分であり、作り込んだボイドの部分であり、接着不良部分となる。」(72頁)
(甲1ウ)「4応用例
このような積層体への応用事例として、以下に3例を紹介する。いずれも水などの接触触媒の利用を嫌うサンプルであり、非接触での「NAUT21」による検査は非常に有効となる。
・・・
4.3 電気自動車、PC等に用いられるリチウムイオン電池の検査
・・・市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池サンプルの検査画像例を示す。写真4はX線像であり、図8はNAUT21による検査画像である。X線像では一様に見えるが、NAUTでは明らかに検査画像に濃淡がある。電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる。」(73~74頁)
(甲1エ)図3には、以下の図面が示されている。
図3から、送信超音波エアプローブが、被検査体に対しバーストな超音波を送信し、受信超音波エアプローブが、被検査体を透過した超音波を受信することが見て取れる。
(甲1オ)図4には、以下の図面が示されている。
図4から、送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、「透過法による非接触超音波検査2次元スキャン」することが見て取れる。
(甲1カ)図8には、以下の図面が示されている。
(2)「甲1」に記載された発明
ア 上記(甲1ウ)には、「NAUTでは明らかに検査画像に濃淡がある。」との記載があり、ここでの「濃淡」は、上記(甲1イ)の「オレンジ色は超音波が良く透過しており、接着が良好な部分、青色は超音波がほとんど透過していない部分であり、作り込んだボイドの部分であり、接着不良部分となる。」との記載、及び(甲1カ)図8の「(一様でない超音波透過率、電解液の注入ムラ?などが考えられる)」との記載によれば、超音波透過率に基づく「濃淡」であることが理解できる。
イ 上記アを含め上記(1)の記載事項及び図面を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 被検査体を送信超音波エアプローブと受信超音波エアプローブの間に挟み込むように配置し、送信超音波エアプローブは被検査体に対しバーストな超音波を送信し、受信超音波エアプローブは被検査体を透過した超音波を受信し、送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、透過法による非接触超音波検査2次元スキャンし、被検査体に市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池を含み、市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池の検査画像には、超音波透過率に基づく濃淡が見え、電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる、非接触空中超音波検査装置NAUT21。」
2 甲2について
甲2の1及び甲2の2(以下、あわせて「甲2」と呼ぶことがある。)は、高感度・非接触空中超音波探傷システム NAUT21の機器納入時に付属される一体不可分な分冊形式の取扱説明書であり、この点については、上申書に添付された以下の参考資料2-3からも裏付けられている。
(1)「甲2の1」の記載事項
甲2の1には、以下の記載がある。
(甲2の1ア)「高感度・非接触空中超音波探傷システム
(・・・)
NAUT21
取扱説明書」(表紙)
(甲2の1イ)「1.主要仕様
1.1 非接触空中超音波探傷法
(1)一般透過法(垂直透過及び斜角透過)
・・・
1.2 ウルトラハイパワー超音波パルサ・レシーバ(型式:JPR-300C)
(1)パルサー:矩形バースト&チャープ波 パルス電圧300V Max
・・・
1.3 データ処理装置「デジタイザ+LabVIEW」
(1)画像処理:A、B、Cスコープ
・・・
・・・
(3)その他の機能
・・・
e)不合格部の面積率計算
・・・
1.4 機構部
(1)X-Y軸ストローク:400mm(Xスキャン、Yインデックス)
・・・
*実効ストローク=(400-検査ピッチ×2)mm
(2)スキャン速度 :1~300mm/sec(1mmステップ)
(3)検査ピッチ :0.1~20mmの(0.1mmステップ)。
(4)探傷範囲指定ピッチ:1mm
・・・
3.3 探傷範囲のティーチング
・・・
*これで、原点セットと対角点セットで形成される四角形が検査範囲として指定される。
(5)X,Y方向の探傷ピッチを“測定ピッチ(mm)”で、スキャン速度を“速度(mm/sec)”で指定する。
・・・
3.4 探傷捜査
(1)開始をクリックする。
・探傷開始位置に移動
↓
・ティーチング範囲を探傷開始
・・・
7.注意事項
(1)本装置の基本はエアプローブを上下に配置した透過法です。
プローブの位置決めは以下の手順で行うことを推奨します。
・・・
3(当審注:○で囲んだ3)上側のプローブ保持具のX,Y軸の手動微調整機能で、上側のプローブの超音波ビームの中心を下側プローブのビーム中心に合わせる。」(3/20~9/20頁)
(2)「甲2の2」の記載事項
甲2の2には、以下の記載がある。
(甲2の2ア)「高感度・非接触空中超音波探傷システム
(・・・)
NAUT21
ソフトウェア取扱説明書」(表紙)
(甲2の2イ)「5.基本機能
NAUT21の主な機能は下記の通りです。
No 項目 内容
1 ストローク X軸:max400mm
2 走査速度 1mm/sec~300mm/sec(lmm/
secステップ)
3 走査ピッチ 0.1mm~400.0mm(0.1mmステッ
プ)
・・・
5 画像処理 Cスコープ:平面投影図
・・・
11 不良部の面積率計算 範囲と閾値を設定することで、Cスコープ上の不
良部の面積及び面積率を計算
2箇所の範囲を指定可能」(5/61ページ)
(甲2の2ウ)「7.1.5 測定結果表示
No 項目 内容
・・・
4 領域1判定領域面積[mm2] 判定領域1の面積を表示します。
5 領域1不合格面積[mm2] 判定領域1内の不合格面積を表示しま
す。
※不合格とはピーク閾値以下の値のこ
とを示します。
6 領域1不合格面積率[%] 判定領域1内の不合格面積率を表示し
ます。
※「不合格面積率=判定領域1内の不
合格面積÷判定領域1の面積」より算
出
7 領域1判定[OK/NG] 判定領域1の判定結果を表示します。
※不合格面積率≧判定値=NG
不合格面積率<判定値=OK
8 領域2判定領域面積[mm2] 判定領域1と同等の意
9 領域2不合格面積[mm2]
10 領域2不合格面積率[%]
11 領域2判定[OK/NG]」(20/61頁)
(甲2の2エ)測定結果(20/61頁)は、以下のように画面表示される。
(甲2の2オ)「7.9 判定値設定画面
・・・
No 項目 内容
1 カラーバー連動 ピーク閾値の値をカラーバーのMiddle値に連動さ
せます。
・消灯・・・連動しない(下記No2のピーク閾値を直
接入力)
・転倒・・・連動(下記No2のピーク閾値は入力不可
となり、カラーバーで設定する)
2 ピーク閾値 Cスコープ画像の1測定点毎の値の閾値を設定します。
この閾値以下の部位は不合格と判断します。
3 判定値 判定結果を不合格(NG)とする不合格面積率(%)を
設定します。
尚、不合格面積率は下記より算出します。
不合格面積率=判定領域1(or2)内の不合格面積
÷判定領域1(or2)の面積 」(46/61頁)
・・・
5 領域1-A位置X 領域1-AカーソルのX座標を設定します。[0.1m
m単位]
6 領域1-A位置Y 領域1-AカーソルのY座標を設定します。[0.1m
m単位]
7 領域1-B位置X 領域1-BカーソルのX座標を設定します。[0.1m
m単位]
8 領域1-B位置Y 領域1-BカーソルのY座標を設定します。[0.1m
m単位]
・・・
11 領域2-A位置X 領域2-AカーソルのX座標を設定します。[0.1m
m単位]
12 領域2-A位置Y 領域2-AカーソルのY座標を設定します。[0.1m
m単位]
13 領域2-B位置X 領域2-BカーソルのX座標を設定します。[0.1m
m単位]
14 領域2-B位置Y 領域2-BカーソルのY座標を設定します。[0.1m
m単位]」(46/61頁)
(甲2の2カ)判定値設定画面(20/61頁)では、以下のような画面が表される。
(甲2の2キ)判定値設定画面(46/61頁)では、以下のような画面が表示される。
(3)甲2技術事項
ア (甲2の2オ)の「ピーク閾値」について、(甲2の2キ)の判定値設定画面において、設定可能なピーク閾値の値の範囲が「0.000」~「1.000」であり、(甲2の1イ)にあるように、NAUT21の測定手法が透過法によることから、ピーク閾値は透過率閾値であることが理解できる。
イ (甲2の2ウ)の「判定領域1内の不合格面積」について、(甲2の1イ)のスキャナー設定画面において、「X,Y方向の探傷ピッチを“測定ピッチ(mm)”で指定すること」を踏まえると、「不合格面積=X,Y方向の測定ピッチで定まる1測定点の面積×ピーク閾値以下の値の測定点の数」により算出することが理解できる。
ウ 上記ア及びイを含め上記(1)及び(2)の記載事項及び図面を総合すると、甲2には、次の技術事項(以下、「甲2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「 高感度・非接触空中超音波探傷システムNAUT21であって、本装置はエアプローブを上下に配置した透過法で、不合格部の面積率計算の機能を有するデータ処理装置を備えており、スキャナー設定画面において、X,Y方向の探傷ピッチを“測定ピッチ(mm)”で指定すること、続きを表示(全16行)判定値設定画面において、ピーク閾値には、Cスコープ画像の1測定点毎の値の透過率閾値を設定し、判定値には、判定結果を不合格(NG)とする不合格面積率(%)を設定し、領域1-A位置Xには、領域1-AカーソルのX座標を設定し、領域1-A位置Yには、領域1-AカーソルのY座標を設定し、領域1-B位置Xには、領域1-BカーソルのX座標を設定し、領域1-B位置Yには、領域1-BカーソルのY座標を設定すること、測定結果表示画面において、領域1判定領域面積[mm2]には、判定領域1の面積を表示し、領域1不合格面積[mm2]には、判定領域1内の不合格面積を表示し、不合格とはピーク閾値以下の値のことを示し、「不合格面積=X,Y方向の測定ピッチで定まる1測定点の面積×ピーク閾値以下の値の測定点の数」により算出し、領域1不合格面積率[%]には、判定領域1内の不合格面積率を表示し、「不合格面積率=判定領域1内の不合格面積÷判定領域1の面積」より算出し、領域1判定[OK/NG]には、判定領域1の判定結果を、不合格面積率≧判定値であればNG、不合格面積率<判定値であればOKとして表示すること。」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「被検査体に」含まれる「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池」、及び「非接触空中超音波検査装置NAUT21」は、それぞれ本件発明1の「密封パック製品」、及び「検査装置」に相当する。
また、甲1発明は、「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池の検査画像には、超音波透過率に基づく濃淡が見え、電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる」とあるから、「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池」内部の不良を目視で「検査」するものといえる。
してみると、甲1発明の「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池の検査画像には、超音波透過率に基づく濃淡が見え、電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる」、「被検査体に」含まれる「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池」の「非接触空中超音波検査装置NAUT21」と、本件発明1の「密封パック製品の内部の気体又は異物の有無を検査する密封パック製品の検査装置」とは、「密封パック製品の内部の不良を検査する密封パック製品の検査装置」である点で共通する。
(イ)
a 甲1発明の「送信超音波エアプローブ」及び「受信超音波エアプローブ」は、それぞれ本件発明1の「発信探触子」及び「受信探触子」に相当するところ、甲1発明の「被検査体を送信超音波エアプローブと受信超音波エアプローブの間に挟み込むように配置し、」は、本件発明1の「前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて、」に相当する。
b 甲1発明が「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、透過法による非接触超音波検査2次元スキャン」することは、「被検査体」は「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブ」に対して相対的に移動する「被検査体」であるといえる。また、甲1発明の「送信超音波エアプローブ」から「送信」する「バーストな超音波」は、本件発明1の「前記発信探触子から断続的に発信する超音波」に相当する。
よって、甲1発明の「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、透過法による非接触超音波検査2次元スキャン」し、「送信超音波エアプローブは被検査体に対しバーストな超音波を送信し、受信超音波エアプローブは被検査体を透過した超音波を受信」することは、本件発明1の「相対的に移動する密封パック製品が」「前記発信探触子から断続的に発信する超音波を前記受信探触子が受信すること」に相当する。
c 甲1発明の「被検査体」の「非接触超音波検査」に用いる「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブ」は、本件発明1の「発信探触子と受信探触子とを備え、」「前記密封パック製品を検出する超音波センサ」に相当する。
d 以上a~cをまとめると、甲1発明の「被検査体を送信超音波エアプローブと受信超音波エアプローブの間に挟み込むように配置し、」「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、透過法による非接触超音波検査2次元スキャンし、」「送信超音波エアプローブは被検査体に対しバーストな超音波を送信し、受信超音波エアプローブは被検査体を透過した超音波を受信」する、「被検査体」の「非接触超音波検査」に用いる「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブ」は、本件発明1の「発信探触子と受信探触子とを備え、前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて、相対的に移動する密封パック製品が」「前記発信探触子から断続的に発信する超音波を前記受信探触子が受信することにより前記密封パック製品を検出する超音波センサ」に相当する。
(ウ)甲1発明の「送信超音波エアプローブ及び受信超音波エアプローブを被検査体に対して、透過法による非接触超音波検査」するとき、「検査画像には、超音波透過率に基づく濃淡が見え、電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる」と判断することと、本件発明1の「前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率について、設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定することにより、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段」とは、「前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率により、前記密封パック製品内の不良を判定する」という点で共通する。
イ 一致点・相違点
上記アを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、次の点において一致し、次の各相違点において相違する。
(一致点)
「密封パック製品の内部の不良を検査する密封パック製品の検査装置であって、発信探触子と受信探触子とを備え、前記密封パック製品を前記発信探触子と前記受信探触子の間に位置させて、相対的に移動する密封パック製品が前記発信探触子から断続的に発信する超音波を前記受信探触子が受信することにより前記密封パック製品を検出する超音波センサ、を備え、前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率により、前記密封パック製品内の不良を判定する、密封パック製品の検査装置。」
(相違点1)
密封パック製品の内部の不良が、本件発明1では、密封パック製品の内部の「気体又は異物の有無」であるのに対し、甲1発明では、「市販のラミネートタイプのリチウムイオン電池」における「電解液の注入ムラやリチウムの析出などが考えられる」点。
(相違点2)
発信探触子からの超音波の発信を、本件発明1では、密封パック製品が「一定距離移動するごとに」するのに対し、甲1発明では、このような特定がない点。
(相違点3)
密封パック製品内の不良を判定するのに、本件発明1では、「設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定することにより、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段」を備えるのに対し、甲1発明は、このような判断手段を備えていない点。
ウ 判断
事案に鑑みて、上記相違点3から検討する。
(ア)甲2技術事項には、「不合格部の面積率計算の機能を有するデータ処理装置」に関して、「設定」された「判定領域1の面積」に対する、「設定」された「ピーク閾値(透過率閾値)以下の値の測定点の数」に比例する「判定領域1内の不合格面積」の比率「領域1不合格面積率[%]」が、「設定」された「判定値」以上「であればNG」、「設定」された「判定値」未満「であればOK」と「判定」することが開示されている。
(イ)上記(ア)を踏まえて、上記相違点3に係る本件発明1の構成と甲2技術事項とを対比する。
甲2技術事項の「設定」された「ピーク閾値(透過率閾値)」は、本件発明1の「設定された透過率」に相当するところ、甲2技術事項の「判定領域1内の不合格面積」は、「「設定」された「ピーク閾値(透過率閾値)以下の値の測定点の数」に比例する」ことから、本件発明1の「設定された透過率以下の部分の数」に対応するものといえる。
また、甲2技術事項の「設定」された「判定値」は、本件発明1の「所定の基準値」及び「設定値」に相当するところ、甲2技術事項の「「設定」された「判定値」以上「であればNG」、「設定」された「判定値」未満「であればOK」と「判定」する「データ処理装置」」と、本件発明1の「前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段」とは、「前記密封パック製品内に設定値以上の不良があるか否かを判定する判定手段」である点で一致する。
してみると、本件発明1の用語に倣うと、甲2技術事項における密封パック製品内に設定値以上の不良があるか否かを判定する判断手段は、設定された透過率以下の部分の面積率が所定の基準値以上であるか否かを判定するものであるのに対し、本件発明1の判断手段は、「設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定する」ものあるから、甲2技術事項は、「率」を判定に用いているのに対し、本件発明1は、「数」を判定に用いている点で、両者は、実質的に相違する。
(ウ)そして、甲2技術事項は、Cスコープ画像上で判定領域の設定を前提としたうえで、判定領域内の不合格面積「率」を判定に用いているところ、仮に、甲2技術事項において、不合格面積「率」に替えて、不合格測定点の「数」を判定に用いる場合を考えると、「率」判定の前提となる、Cスコープ画像上での判定領域の設定が不要となることから、このような設計変更は、NAUT21の信号処理の機能の自由度を損なう結果(例えば、Cスコープ画像上での判定領域を、注目局所に設定して、注目局所の合否を判定するといったことができなくなる。)となり、当業者であれば通常行うことはない。
(エ)以上のことから、上記相違点3に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
(オ)特許異議申立人は、「よって、甲2発明の「d-2被検査対象物の判定領域1のCスコープ画像でピーク閾値以下である測定点を不合格とし、判定領域1不合格面積に対する判定領域1面積の割合である判定領域1不合格面積率が判定値以上である場合NGと判断する手段」は、本件発明1の「D前記超音波センサが前記密封パック製品を検出するときの超音波の透過率について、設定された透過率以下の部分の数が所定の基準値以上であるか否かを判定することにより、前記密封パック製品内に設定値以上の気体又は異物があるか否かを判定する判定手段」にほかならない。すなわち、甲2発明は相違点(イ)を備えている。」(特許異議申立書18頁10~17行)と主張するが、上述のとおり、かかる主張には理由がない。
エ 小括
よって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2は、甲1発明及び甲2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1に対応する方法の発明(カテゴリー上の差異がある程度の発明)であるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明4は、甲1発明及び甲2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本願発明5ないし7について
本件発明5ないし7は、いずれも本件発明4を更に減縮したものであるから、上記本件発明4についての判断と同様の理由により、本件発明5ないし7は、甲1発明及び甲2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、2、4ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、4ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-700020