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特許拒絶査定不服審判

2019-009241

D2D中継ノードの確定方法、使用方法及び装置

審判番号
2019-009241
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-551646外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年07月10日
審決日
2020年10月14日
公報発行日
2021年04月30日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-551646「D2D中継ノードの確定方法、使用方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月13日国際公開、WO2016/161867、平成30年 5月31日国内公表、特表2018-514139〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2016年(平成28年)3月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年4月8日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年10月16日   手続補正書の提出 平成30年11月 1日付け 拒絶理由通知書 平成31年 2月 4日   意見書,手続補正書の提出 平成31年 3月 5日付け 拒絶査定 令和 元年 7月10日   拒絶査定不服審判の請求, 手続補正書の提出 令和 元年10月31日   上申書の提出 令和 2年 3月31日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 2年 6月30日   意見書,手続補正書の提出 第2 本願発明について 令和2年6月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項10は,以下のとおりである。 「 所定範囲内の他UEから,少なくとも前記他UEの権限又は作動環境又は処理能力を表現するための前記他UE自身の作動状態が所定の条件を満たすことを前記他UEによって判定されたときに送信される通知メッセージを受信するための通信ユニットと, 前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定するための確定ユニットと を含み, 前記確定ユニットが,前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定することは,具体的に, 任意の他UEから,UEの中継活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードであると確定することと, 任意の他UEから,UEの中継非活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードではないと確定することと, を含み, 前記確定ユニットが,前記任意の他UEが中継ノードであると確定してから,前記通信ユニットが,前記任意の他UEからの通知メッセージを引き続き受信し,前記任意の他UEからの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記確定ユニットが,前記任意の他UEがもう中継ノードではないと確定し, 前記他UEが,自身の作動状態を測定することにより,自身の作動状態が所定の条件を満たすかを判定し, 前記他UEが自身の作動状態を測定することは, 前記他UEが,現在アクセスするネットワークの負荷量を取得すること, 前記他UEが,自身の現在のサービス処理能力を取得すること, 前記他UEが,自身の地理上位置を取得すること,及び 前記他UEが,現在のリモートUEの中継ニーズ量を取得すること,のうちの少なくとも1つを含み, 前記他UEが,自身の作動状態が所定の条件を満たすかを判定することは, 前記他UEが,現在アクセスするネットワークの負荷量が所定閾値より小さいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること, 前記他UEが,自身の現在のサービス処理能力が所定閾値より大きいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること, 前記他UEが,自身がセルエッジ位置に位置すると確定すると,自身が中継ノードであると確定すること,及び, 前記他UEが,現在のリモートUEの中継ニーズ量が所定閾値より大きいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること,のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするD2D中継ノードの使用端末。」 しかしながら,請求項10は,「D2D中継ノードの使用端末」の発明であるところ,「少なくとも前記他UEの権限又は作動環境又は処理能力を表現するための前記他UE自身の作動状態が所定の条件を満たすことを前記他UEによって判定されたときに送信される」との発明特定事項,及び「前記他UEが,自身の作動状態を測定することにより,自身の作動状態が所定の条件を満たすかを判定し, 前記他UEが自身の作動状態を測定することは, 前記他UEが,現在アクセスするネットワークの負荷量を取得すること, 前記他UEが,自身の現在のサービス処理能力を取得すること, 前記他UEが,自身の地理上位置を取得すること,及び 前記他UEが,現在のリモートUEの中継ニーズ量を取得すること,のうちの少なくとも1つを含み, 前記他UEが,自身の作動状態が所定の条件を満たすかを判定することは, 前記他UEが,現在アクセスするネットワークの負荷量が所定閾値より小さいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること, 前記他UEが,自身の現在のサービス処理能力が所定閾値より大きいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること, 前記他UEが,自身がセルエッジ位置に位置すると確定すると,自身が中継ノードであると確定すること,及び, 前記他UEが,現在のリモートUEの中継ニーズ量が所定閾値より大きいと確定すると,自身が中継ノードであると確定すること,のうちの少なくとも1つを含むこと」との発明特定事項は,「他UE」の動作を特定する一方で,「D2D中継ノードの使用端末」の動作等を何ら特定していないから,上記発明特定事項は,「D2D中継ノードの使用端末」を特定するため構成ではない。 したがって,本願の請求項10に係る発明は,次のとおりのものと認める(以下,「本願発明」という。)。 「 所定範囲内の他UEから,通知メッセージを受信するための通信ユニットと, 前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定するための確定ユニットと を含み, 前記確定ユニットが,前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定することは,具体的に, 任意の他UEから,UEの中継活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードであると確定することと, 任意の他UEから,UEの中継非活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードではないと確定することと, を含み, 前記確定ユニットが,前記任意の他UEが中継ノードであると確定してから,前記通信ユニットが,前記任意の他UEからの通知メッセージを引き続き受信し,前記任意の他UEからの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記確定ユニットが,前記任意の他UEがもう中継ノードではないと確定することを特徴とするD2D中継ノードの使用端末。」 第3 拒絶の理由 令和2年3月31日付けで当審が通知した拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)は, 「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項10に対して引用例5が引用されている。ここで,当審拒絶理由には,「・請求項6-8,10・引用文献等5,6」と記載されているものの,備考欄の記載から明らかなように引用例6は,圏内移動局と圏外移動局とが直接通信を行う際,PC5インタフェースを利用して直接通信を行うこと,D2D通信確立プロセスを起こすという周知技術を示すために引用されたものであり,請求項10に係る本願発明には当該周知技術に対応する事項についての記載はないことから,以下省略する。 5.特開2008-271523号公報 (6.3GPP TR 23.703 V0.4.1 (2013-06)) 第4 引用発明について 1 引用例5 当審拒絶理由で引用された特開2008-271523号公報(以下,「引用例5」という。)には,次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「【0034】 ここで,基地局及び移動局の簡単な構成について図4に示すブロック図を用いて説明する。図4(a)及び(b)に示すように,基地局及び移動局は,送信信号をデジタル変調しかつ受信信号をデジタル復調するデジタル変復調部(11)(17)と,通信処理全般を制御する制御部(12)(18)と,必要な情報を予め記憶させて有しかつ受信した情報を記憶させるための記憶部(13)(19)とをそれぞれ有している。また,図4(a)に示すように,基地局は,信号を送信するための1つの送信部(14)と,信号をダイバーシティ方式で受信するための2つの受信部(15)(16)を有している。図4(b)に示すように,移動局は,信号を送信するための1つの送信部(20)と,信号をダイバーシティ方式で受信するための2つの受信部(21)(22),及び,移動局間の直接通信のための1つの受信部(23)の計3つの受信部を有している。 以下に説明する各々の通信においては,デジタル変復調部(11)(17)において変復調を行いながら処理を行うものであるが,説明の都合上,それぞれのデジタル変復調の処理については説明を省略するものとする。 また,フローチャート及び制御シーケンスに関する説明において,制御部,送信部,受信部等の主体を省略して記載しているが,図4(a)(b)に示す各構成においてそれぞれ処理がされているものであることは言うまでもなく,各々の処理は制御部によって制御されており,信号の送信は送信部を介して,信号の受信は受信部を介して行われている。」 「【0039】 (S505)において「空線」を送信した後は,(S506)において,予め設定したタイマー時間,例えば5秒間のタイマーのカウントを開始し,(S507)において他の移動局からの「中継通信応答」信号を待ち受けて,応答があった場合には,(S508)においてその移動局の基地波レベル(当該圏内移動局と基地局との間の通信レベル),直接波レベル(当該圏内移動局と自局との間の通信レベル),中継可否等の情報を記憶部19に作成されたテーブル(図5参照)に記憶して応答をセットする。以降,(S509)においてタイマー時間が終了するまで,(S507)及び(S508)の処理を繰り返して,タイムアウト後に,(S510)へ移行する。(S510)では,応答セットした「中継通信応答」信号の中に有効な応答が存在するか否かを判別する。ここで,有効な応答と判別する基準は,例えば,基地波レベル及び直接波レベルがそれぞれ15dBμV以上であり,かつ中継可否が「可」であるものとする。受信した応答信号が有効な応答であった場合には(S511)へ移行する。(S510)において,応答信号を受信しなかった,又は有効な応答でなかった場合には,(S518)へ進み,図6の(S401)へ移行する。(S511)では,有効な応答であった「中継通信応答」信号が複数存在した場合に,それらの信号レベルを比較して最も受信レベルの高い移動局を判別する。具体的には,記憶部19に作成された信号レベルに関するテーブル(図5に示す)を参照し,例えば,有効応答と判別された移動局のうち,最も基地波レベルの高い移動局を選択する。図5に示す例では,有効応答と判別される移動局信号がMSa,MSb,MScであり,このうち,基地波レベルが30dBμVであるMScが最も基地波レベルの高い移動局として選択される。ここで判別した最も受信レベルの高い移動局を中継通信の相手として選択して,(S512)へ移行する。」 「【0044】 「中継通信要求」送信終了を認識した圏内移動局a及び圏内移動局bは,自局が中継可能か否かを通知する「中継通信応答」を行うために,中継通信応答,着/発番号,中継可否及び基地波レベルを含む同期バースト信号SB0を一定期間連続して送信し,その後,送信終了を通知する「空線」を一定期間連続して送信する。この圏内移動局a及び圏内移動局bから「中継通信応答」が発信されるタイミングは,図7に示すように,差が生じている。これは,「中継通信応答」を発信するタイミングを,移動局毎に固有に設定された待機時間を経過した後としているためである。これにより,複数の移動局が同時に「中継通信応答」信号を発信することによる混信を防止している。なお,「中継通信応答」を発信するタイミングは,変数によってランダムに決定するような構成であってもよいし,「中継通信要求」信号の受信レベルに反比例させて決定するような方式であってもよい。 この「中継通信応答」信号によって自局が中継可能か否かを通知するのであるが,圏内移動局が中継不可とする場合又は信号を返信しない場合の一例としては,(1)予め「中継不可」と設定されている場合,(2)タイミング的に基地局との通信が先行され,中継通信応答を返せなかった場合,(3)応答を返そうと思った瞬間に圏外に陥った場合,などが考えられる。 圏外移動局cでは,「中継通信要求」に係る「空線」送信後にタイマーをセットして,セットした時間が経過するまで他の移動局からの「中継通信応答」を待ち受ける構成とし,その間に受信した「中継通信応答」はその内容が記憶される。 【0045】 圏外移動局cでは,タイムアウトまでの間に受信したそれぞれの「中継通信応答」のうち中継可能であると通知してきたものについて,その受信レベルが規定値以上であるか否かを判別する。また,規定値以上であった移動局が複数ある場合には,それらの「中継通信応答」の受信レベルを比較するとともに「基地波レベル」を比較して,「中継通信応答」の受信レベル及び「基地波レベル」が最も大きい移動局を選択する。なお,ここでの選択基準は適宜設定可能であり,「中継通信応答」の受信レベルと「基地波レベル」の何れかに優先順位を設けて選択するようにしてもよい。このようにして選択した中継通信相手としての圏内移動局(図9の例では圏内移動局a)に対して,圏外移動局cは,「中継通信確定通知」の信号として,中継通信確定通知及び着/発番号を含んだ同期バースト信号SB0を一定期間連続して送信し,その後,送信終了を通知する「空線」を一定期間連続して送信する。この「中継通信確定通知」信号は中継相手である圏内移動局aのみならず圏内移動局bにも受信されるが,着/発番号によって自局が中継通信を要求されているか否かを即座に判別できる。このようにして,圏内移動局aは中継モードに移行し,圏内移動局bは通常動作を継続する。 【0046】 図10に示すのは,圏内移動局aと圏外移動局cとの間で中継通信が確定した後の実際の中継通信時の制御シーケンスを表したものである。この場合,先ず,基地局と圏内移動局aとの間で「通信路の確立」が行われて,音声信号の送信に備える。なお,この「通信路の確立」については従来から実施されている技術であるため,詳細は省略する。「通信路の確立」完了後に,基地局から音声信号が送信されると,この音声信号は圏内移動局a及び圏内移動局bにおいて受信される。このとき,圏内移動局bにおいては受話するのみであるが,中継を担う圏内移動局aでは,受話するとともに音声信号を録音してこれを記憶部19に一時的に記憶させる。基地局は,音声信号の送信が終了した段階で,送信終了を通知するTCH:アイドル信号を送信する。なお,基地局と圏内移動局a及び圏内移動局bとの間の通信は基地局通信モードによって行われ,圏内移動局aと圏外移動局cの中継通信は直接通信モードで行われる。圏内移動局aは,前記TCH:アイドル信号を受信した後に,圏外移動局cに対して基地局からの音声信号を中継する旨を伝える同期バースト信号SB0を送信して,その後に録音した基地局からの音声信号の送信を開始し,終了後に空線を送信する。このようにして,中継動作を行う。」 「【0049】 図13に示すのは,圏内移動局aが中継通信中に信号レベル劣化又は自局が圏外と判断した時の制御シーケンスを表したものである。このような場合には,図12の場合とは逆に,圏内移動局aが「中継解除通知」信号としての同期バースト信号SB0を送信し,終了とともに「空線」を送信する。これに対して,「中継解除通知」信号を受信した圏外移動局cは,「中継解除応答」信号としての同期バースト信号SB0を送信し,終了とともに「空線」を送信する。このようにして,「中継解除応答」信号を受信した圏内移動局aは通常動作に移行し,圏外移動局cは,中継動作を終了して基地局との通信に備えた基地局モードへ移行する。 なお,図12及び図13において送信される各信号は,中継動作に関与しない他の基地局(圏内移動局bなど)においても受信されているが,各信号に含まれる着/発番号によって自局に対する信号か否かを即座に判別できるため,問題は生じない。」 「【図3】 」 上記記載及び当業者における技術常識から以下のことがいえる。 (1)引用例5の段落[0034]によれば,移動局は,「受信部」と,「制御部」とを有している。 (2)引用例5の段落[0044],[0045],[0049]によれば,「圏外移動局」は,圏内移動局から送信される自局が中継可能か否かを通知する中継通信応答や中継解除通知を受信する。また,引用例5の段落[0034]の「フローチャート及び制御シーケンスに関する説明において,制御部,送信部,受信部等の主体を省略して記載しているが,(中略)信号の受信は受信部を介して行われている。」との記載からして,中継通信応答を受信するのは圏外移動局の受信部であることは明らかである。そうすると,「圏外移動局」が有する「受信部」は,「圏内移動局から,中継可否を通知する中継通信応答や中継解除通知を受信する」ものである。 (3)引用例5の段落[0045]の「圏外移動局cでは,タイムアウトまでの間に受信したそれぞれの「中継通信応答」のうち中継可能であると通知してきたものについて,その受信レベルが規定値以上であるか否かを判別する。」との記載によれば,圏外移動局は,中継通信応答に基づいて,中継可能であると通知してきた圏内移動局が中継可能であると確定していることは明らかである。また,引用例5の段落[0034]の「フローチャート及び制御シーケンスに関する説明において,制御部,送信部,受信部等の主体を省略して記載しているが,(中略)各々の処理は制御部によって制御されており」との記載からして,制御部が当該確定処理を行うことも明らかである。そうすると,引用例5の「圏外移動局」が有する「制御部」は,「中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定する」ものである。 (4)引用例5の段落[0044]の「圏内移動局a及び圏内移動局bは,自局が中継可能か否かを通知する「中継通信応答」を行うために,中継通信応答,着/発番号,中継可否及び基地波レベルを含む同期バースト信号SB0を一定期間連続して送信し」との記載と,図3(b)において,中継可否が,「0=中継不可」,「1=中継可能」で示されていることとを併せて考慮すれば,圏外移動局は,圏内移動局から自局の中継可否の「0=中継不可」又は「1=中継可能」及び着/発番号が付随する中継通信応答を受信するといえる。 してみると,上記(3)の「圏外移動局」が有する「制御部」は,「中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定する」ことが,圏内移動局から自局の中継可否の「0=中継不可」又は「1=中継可能」が付随する中継通信応答に基づくものであることは明らかであって,「圏外移動局」が有する「制御部」が,圏内移動局が中継不可であるか,中継可能であるかを確定するものであることも明らかである。 そうすると,「圏外移動局」が有する「制御部」が,「中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定すること」は,圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「1=中継可能」であると確定すると,圏内移動局が中継可能であると確定すること, 圏内移動局から自局の中継可否の「0=中継不可」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「0=中継不可」であると確定すると,圏内移動局が中継不可であると確定すること」を含むことは明らかである。 (5)引用例5の段落[0049]の「図13に示すのは,圏内移動局aが中継通信中に信号レベル劣化又は自局が圏外と判断した時の制御シーケンスを表したものである。このような場合には,図12の場合とは逆に,圏内移動局aが「中継解除通知」信号としての同期バースト信号SB0を送信し,終了とともに「空線」を送信する。これに対して,「中継解除通知」信号を受信した圏外移動局cは,」との記載によれば,中継通信中に圏外移動局が中継解除通知を受信するから,圏外移動局の「制御部が,圏内移動局が中継可能であると確定してから」のことであり,圏外移動局の受信部は,中継通信応答を受信した後に,中継解除通知を受信しているから,「受信部が,圏内移動局からの中継解除通知を引き続き受信し」ている。 また,引用例5の段落[0049]の「「中継解除通知」信号を受信した圏外移動局cは,「中継解除応答」信号としての同期バースト信号SB0を送信し,終了とともに「空線」を送信する。このようにして,「中継解除応答」信号を受信した圏内移動局aは通常動作に移行し,圏外移動局cは,中継動作を終了して基地局との通信に備えた基地局モードへ移行する。」との記載によれば,「中継解除通知」信号を受信した圏外移動局は,中継動作を終了しているから,圏外移動局の「制御部」は,「圏内移動局からの中継解除通知である確定すると」,「圏内移動局がもう中継可能でないと確定し」ていることは明らかである。 (6)引用例5の段落[0046]によれば,圏内移動局は中継を担うこと,圏内移動局と圏外移動局の中継通信は直接通信モードで行われるのであるから,「圏外移動局」は,「中継通信は圏内移動局との移動局間の直接通信モードで行われる」ものであるといえる。 以上を総合すると,引用例5には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 圏内移動局から,中継可否を通知する中継通信応答や中継解除通知を受信する受信部と, 中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定する制御部と を有し, 制御部は,中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定することは, 圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「1=中継可能」であると確定すると,圏内移動局が中継可能であると確定すること, 圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「0=中継不可」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「0=中継不可」であると確定すると,圏内移動局が中継不可であると確定すること, を含み, 制御部が,圏内移動局が中継可能であると確定してから,受信部が,圏内移動局からの中継解除通知を引き続き受信し,制御部が,圏内移動局からの中継解除通知であると確定すると,圏内移動局がもう中継可能でないと確定する, 中継通信は圏内移動局との移動局間の直接通信モードで行われる圏外移動局。」 第5 対比及び判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1 引用発明の移動局間の直接通信モードが,Device to Deviceの通信,すなわちD2Dの通信であることは明らかであって,当該通信により中継通信を担う引用発明の「圏内移動局」は,本願発明の「D2D中継ノード」に相当し、引用発明では中継の際に圏内移動局を使用しているといえることから,引用発明の「中継通信は圏内移動局との移動局間の直接通信モードで行われる圏外移動局」は,本願発明の「D2D中継ノードの使用端末」に相当する。 2 引用発明の「中継可否を通知する中継通信応答」,「中継解除通知」は,中継可否や中継解除を通知するのであるから,いずれも本願発明の「通知メッセージ」に含まれる。 3 引用発明の「圏内移動局」は,圏外移動局からは他の移動局といえることから、本願発明の「他のUE」に相当する。 4 引用発明の「受信部」は,「圏内移動局から,中継可否を通知する中継通信応答や中継解除通知を受信する」にあたり,通信可能な所定範囲内の圏内移動局から受信するものであることは明らかであるので,引用発明の「圏内移動局から,中継可否を通知する中継通信応答や中継解除通知を受信する受信部」は,本願発明の「所定範囲内の他UEから,通知メッセージを受信するための通信ユニット」に相当する。 5 引用発明の「中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定する制御部」は,本願発明の「前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定するための確定ユニット」に相当する。 6 引用発明の「圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」」は,圏内移動局で中継可能な状態,すなわち圏内移動局の中継が活性化される状態を示しているといえるから,本願発明の「UEの中継活性化指示」に相当する。引用発明の「着/発番号」は,本願発明の「ID」に相当する。また,引用発明において,圏内移動局が特定のものに限られないこと,すなわち任意の圏内移動局であること明らかである。そうすると,引用発明の「圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し」は,本願発明の「任意の他UEから,UEの中継活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し」に含まれる。 また,引用発明の圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否は中継可能か否かを指示しているといえることから,引用発明の「圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「1=中継可能」であると確定すると,圏内移動局が中継可能であると確定すること」は,本願発明の「前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードであると確定すること」に相当する。 7 引用発明の「圏内移動局の中継可否の「0=中継不可」」は,圏内移動局で中継不可な状態,すなわち圏内移動局の中継が非活性化される状態を示しているといえるから,本願発明の「UEの中継非活性化指示」に相当する。そうすると,引用発明の「圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「0=中継不可」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し」は,本願発明の「任意の他UEから,UEの中継非活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し」に含まれる。 また,引用発明の「圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「0=中継不可」であると確定すると,圏内移動局が中継不可であると確定すること」は,本願発明の「前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードではないと確定すること」に相当する。 8 引用発明の「圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「1=中継可能」であると確定すると,圏内移動局が中継可能であると確定すること, 圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「0=中継不可」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「0=中継不可」であると確定すると,圏内移動局が中継不可であると確定すること」は,引用発明の「制御部」は,「中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定すること」の具体的なものといえるから,上記6及び7も併せれば,引用発明の「制御部は,中継通信応答に基づいて,圏内移動局が中継可能であると確定することは, 圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「1=中継可能」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「1=中継可能」であると確定すると,圏内移動局が中継可能であると確定すること, 圏内移動局から,圏内移動局の中継可否の「0=中継不可」及び着/発番号を付随する中継通信応答を受信し,圏内移動局の中継通信応答に付随される中継可否が「0=中継不可」であると確定すると,圏内移動局が中継不可であると確定すること, を含み」は,本願発明の「前記確定ユニットが,前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定することは,具体的に, 任意の他UEから,UEの中継活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードであると確定することと, 任意の他UEから,UEの中継非活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードではないと確定することと, を含み」に含まれる。 9 引用発明の「制御部が,圏内移動局が中継可能であると確定してから,受信部が,圏内移動局からの中継解除通知を引き続き受信し」は,本願発明の「前記確定ユニットが,前記任意の他UEが中継ノードであると確定してから,前記通信ユニットが,前記任意の他UEからの通知メッセージを引き続き受信し」に含まれる。 また、引用発明では圏内移動局からの中継解除通知であると確定すると圏内移動局がもう中継可能でないと確定しており、引用発明の「圏内移動局がもう中継可能でない」とは,圏内移動局が中継不可な状態であるといえる。よって,引用発明において,「圏内移動局がもう中継可能でないと確定する」際に受信する「中継解除通知」は,圏内移動局が中継不可な状態,すなわち中継が非活性化される状態を示しているといえる。そうすると,引用発明の「制御部が,圏内移動局からの中継解除通知であると確定すると,圏内移動局がもう中継可能でないと確定する」ことと,本願発明の「前記任意の他UEからの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記確定ユニットが,前記任意の他UEがもう中継ノードではないと確定すること」とは,「前記任意の他UEからの通知メッセージで中継非活性化状態を示すと確定すると,前記確定ユニットが,前記任意の他UEがもう中継ノードではないと確定すること」という点で一致する。 以上のことから,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。 (一致点) 「 所定範囲内の他UEから,通知メッセージを受信するための通信ユニットと, 前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定するための確定ユニットと を含み, 前記確定ユニットが,前記通知メッセージに基づいて,前記他UEが中継ノードであると確定することは,具体的に, 任意の他UEから,UEの中継活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードであると確定することと, 任意の他UEから,UEの中継非活性化指示及び/又はIDを付随する通知メッセージを取得し,前記任意の他UEの通知メッセージに付随される中継指示として中継非活性化状態を示すと確定すると,前記任意の他UEが中継ノードではないと確定することと, を含み, 前記確定ユニットが,前記任意の他UEが中継ノードであると確定してから,前記通信ユニットが,前記任意の他UEからの通知メッセージを引き続き受信し,前記任意の他UEからの通知メッセージで中継非活性化状態を示すと確定すると,前記確定ユニットが,前記任意の他UEがもう中継ノードではないと確定することを特徴とするD2D中継ノードの使用端末。」 (相違点) 中継非活性化状態に関して,本願発明では,「通知メッセージに付随される中継指示」で示されるのに対し,引用発明では「中継解除通知」においてどのように示されるか記載されていない点。 以下,相違点について検討する。 引用発明において,中継解除通知をどのようなメッセージとするかは,当業者が適宜選択する設計的事項に過ぎず,中継可否の「0=中継不可」を付随する中継通信応答と同様に,中継解除通知を中継可否の「0=中継不可」を付随するものとして,上記相違点のように構成することは,当業者が容易に想到しうる。 したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 [請求人の主張について] 請求人は,令和2年6月30日に提出した意見書において,「他UEは、自身が所定の条件を満たすと判定した後に対応の通知メッセージを送信し、続いて、リモートUEは、対応の通信メッセージを受信すると、当該通知メッセージに基づいて、どの他UEが中継ノードであるか、どの他UEが中継ノードではないか、及びどの他UEが中継ノードでなくなるかを特定します。このため、通知メッセージは、「他UE」と「リモートUE」とを結びつける重要なものであり、その生成及び特定過程は、「リモートUE」、特にどの他UEが中継ノードであるか、どの他UEが中継ノードではないか、及びどの他UEが以前中継ノードであるもののこれから中継ノードでなくなるかを特定することを実現することにとって、必要不可欠なものです。よって、他UEが自身の動作状態を測定して自身が中継ノードであるか否かを確定することは「リモートUE」の限定と関係するものです。他UEは自身の動作状態を測定し自身が中継ノードであるか否かを特定することは「リモートUE」の限定と緊密な関係にあります」と主張している。 しかしながら,通知メッセージが,他UEとリモートUEを結びつけるとしても,リモートUEの動作は,他UEから通知メッセージを受信し,通知メッセージに基づき,他UEが中継ノードであるか,中継ノードでないか,及び他UEが中継ノードでなくなくなるかを特定するものであって,他UEは、自身が所定の条件を満たすと判定したかや,通知メッセージの生成及び特定過程,他UEが自身の動作状態を測定して自身が中継ノードであるか否かを確定するかが,上述したようなリモートUEの動作以上の動作や構成を限定することはない。 そして,請求人の主張も,リモートUEの動作の限定に関して,重要なもの,必要不可欠なもの,緊密な関係にあるといった抽象的なものに過ぎず,上述したようなリモートUEの動作以上に,どのようにリモートUEの動作を限定するのか,具体的に言及するものでない。 したがって,上記請求人の主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおり,本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2019-009241

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