2019-001773
無線ネットワーク支援システム、無線ネットワーク支援装置、無線通信装置、無線ネットワーク支援方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2019-001773
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-158891外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月07日
- 審決日
- 2020年03月02日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】盛岡セイコー工業株式会社
- 【請求人代理人】内野 則彰
- 【請求人代理人】谷川 徹
- 【請求人代理人】篠田 拓也
- 分類
- P18 .113-Z (H04W) / P18 .121-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は,平成26年8月4日の出願であって,その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
出
第2 平成31年2月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年2月7日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は,平成30年9月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項15に記載された
「 コンピュータに,親機と複数の子機との間を複数の中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する前記子機及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップと,前記テスト要求に応じて,前記各ノードから前記親機に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含む前記テストメッセージを取得する取得ステップと,前記取得ステップにより取得した前記テストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと前記親機との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップとを実行させるためのプログラム。」
との発明(以下,「本願発明」という。)を,本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項9に記載された
「 コンピュータに,親機と複数の子機との間を複数の中継機であって,前記テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する前記子機及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップと,前記テスト要求に応じて,前記各ノードから前記親機に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含む前記テストメッセージを取得する取得ステップと,前記取得ステップにより取得した前記テストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと前記親機との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップとを実行させるためのプログラム。」(下線は補正箇所を示す。)
との発明に補正することを含むものである。
2 補正の適否
(1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件
請求項9についての上記補正は,本件補正前の請求項15の「中継機」について,「前記テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない」との限定を付して,特許請求の範囲を減縮するものである。したがって,上記補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであり,同条第3項,同第4項の規定に違反するところはない。
(2)独立特許要件
上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。
ア 補正後の発明
本件補正により補正された請求項9の「前記テストメッセージ」より以前に「テストメッセージ」について記載されていないから,「前記テストメッセージ」は「テストメッセージ」の誤記と認められる。したがって,本件補正により補正された請求項9に係る発明は,次のとおりのものと認める(以下,「補正後の発明」という。)。
「 コンピュータに,親機と複数の子機との間を複数の中継機であって,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する前記子機及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップと,前記テスト要求に応じて,前記各ノードから前記親機に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含む前記テストメッセージを取得する取得ステップと,前記取得ステップにより取得した前記テストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと前記親機との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップとを実行させるためのプログラム。」(下線は補正箇所を示す。)
イ 引用発明,周知技術
[引用発明]
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2013/111182号(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「[0015] 図1は実施例1の無線通信システムのブロック図を示す。無線通信システムは,制御盤101,制御装置102,中継端末103,無線端末104,計算装置105を備える。これらの装置は有線もしくは無線で相互に接続される。[0016] 具体的には,制御盤101,中継端末103,計算装置105は有線で制御装置102に接続し,無線端末104は中継端末103と無線で接続する。中継端末103は直接制御装置102と接続する方法に加え,他の中継端末103を介し接続してもよい。図1では,制御装置102に対して中継端末Aが直接接続され,中継端末B,Cは中継端末Aを介して制御装置102に接続される例を示している。(中略)[0019] 制御盤101は無線通信システム内の各端末と通信をして情報の収集及び各端末(中継端末103,無線端末104)の制御を行う。各端末の制御は,端末の起動や停止,位置や移動の制御等が挙げられる。そのため,制御盤101は無線端末104の起動,停止,移動中などを示す状態や位置,速度等の環境情報を管理する。制御盤101は,各端末の環境情報を定期的に,あるいは端末を制御するための制御情報とともに制御装置102へと送信する。続きを表示(全37行)(中略)[0023] 図13は制御装置102,中継端末103,無線端末104のハードウェア構成図である。各端末はCPU(Central Proessing Unit)1302,ワークメモリ1303,プログラムメモリ1304,論理回路1305,通信インタフェースI/F1306,無線回路RF1307,入出力装置1310から構成され,バス1308を介して相互に接続される。[0024] ワークメモリ1303は各プログラムの処理中に一時的に用いられる記憶領域であり,プログラムメモリ1304では入出力プログラム1311や,パケット送受信プログラム1312等各種プログラムが記録される。CPU1302は,プログラムメモリに記録されているプログラムを読み出して実行することにより,各種機能を実現する。論理回路1305は論理演算処理を行う電子回路であり,ASICやFPGA,DSP,DRP等が用いられる。後述する図2~4に示す各機能ブロックは,CPU1302やワークメモリ1303,プログラムメモリ1304,論理回路1305が協調動作することで実行される。なお,各機能を論理回路で実行するか,あるいはCPUで処理するかを適宜変更可能であることはいうまでもない。(中略)[0026] 図2は本発明の第一の実施の形態の制御装置102の機能ブロック図である。制御装置102は受信処理部201,送信処理部202と通信処理部203を備える。[0027] 通信処理部203は,パケット処理部211,検索処理部212,パケット解析部213,環境情報管理部214,送信パケット管理部215,制御部216,制御管理テーブルを保持する記録部221から構成される。[0028] 制御盤101宛の上り方向では,通信処理部203は複数の通信経路から受信する複数のパケットから通信品質情報を抽出し,複数のパケットを集約する処理を行う。また,無線端末104宛の下り方向では,パケットヘッダを基にした検索処理から制御情報を取得し,制御情報に基づいてパケット処理を行う。[0029] 受信処理部201は,受信したパケットをパケット処理部211に送信し,送信処理部202は,パケット処理部211からパケットを受信するとパケットを出力ポートに送信する。[0030] パケット処理部211は,受信したパケットをバッファに蓄積し,パケットの複製をパケット解析部213に,パケットのヘッダ情報を検索処理部212に送信する。パケット処理部211は,検索処理部212から検索結果を受信すると,検索結果に含まれる制御情報に基づきパケット処理を行い,送信処理部202へパケットを送信する。パケットの送信にあたり,送信パケット管理部215から受信したパケット識別子をパケットに付加する。また,無線端末宛の下り方向の通信において,検索結果に通信品質の計測指示が含まれている場合,通信品質計測フラグを立てて送信処理部202へ送信する。[0031] 無線端末104宛の下り方向において,検索処理部212は,パケット処理部211からヘッダ情報を受信すると,制御管理テーブルを検索し,検索処理の結果をパケット処理部211に送信する。検索結果には,パケットの処理方法を記述した制御情報が含まれる。また,検索処理は,パケットヘッダに含まれる宛先に加え,環境情報管理部214から受信した環境情報も用いる。制御管理テーブルの一例を図8に示す。図8(a)は,計算装置によって,各端末の各環境情報について適切な制御情報が対応づけられている制御管理テーブルの例を示す。また,図8(b)は,計算装置による計算開始時の制御管理テーブルの例を示す。(中略)[0047] 図3は実施例1の中継端末103の機能ブロック図である。中継端末103は制御装置又は他の中継端末と有線においてデータを送受信する有線送信処理部304,有線受信処理部303と,無線において無線端末とデータを送受信する無線送信処理部302,無線受信処理部301と,受信データの転送処理を実施する通信処理部305から構成される。[0048] 通信処理部305は,無線受信処理部301から通信品質情報を受け取るインタフェース機能をもち,無線受信処理部301から通信品質計測フラグをもつパケットを受信すると,通信品質情報を受信パケットに付加し転送処理を行う。通信品質情報は,受信電解強度([当審注]:「受信電解強度」は,「受信電界強度」の誤記と考えられる。),ビットエラーレートやそれら情報から算出した値である。[0049] 図4は実施例1の無線端末104の機能ブロック図を示す。無線端末104は無線において中継端末とデータを送受信する無線送信処理部402,無線受信処理部401と,受信データの処理を行う通信処理部403から構成される。通信処理部403は,無線受信処理部401から通信品質情報を受け取るインタフェース機能をもつ。また,無線受信処理部401から通信品質計測フラグをもつパケットを受信すると,受信したパケット識別子と無線受信処理部401からの通信品質情報とをセットで保持し,返信パケットにこれら情報を付加する。返信パケットは,通信品質計測フラグが付加され,全中継端末103に宛てて送信される。[0050] 図5は実施例1の計算装置105の機能ブロック図である。計算装置105はCPU(Central Proessing Unit)502,ワークメモリ503,プログラムメモリ504,ストレージ装置505,通信I/F506,入出力装置507から構成され,バス508を介して相互に接続される。[0051] ワークメモリ503は各プログラムの処理中に一時的に用いられる記憶領域である。プログラムメモリ504は,入出力プログラム511,パケット送受信プログラム512,データベース管理プログラム513,通信品質情報解析プログラム514,通信品質計測ログ解析プログラム515,ネットワーク分析プログラム516,ネットワーク情報表示プログラム517,及び制御装置設定変更プログラム518を行う各種プログラムが記録される。CPU502は,プログラムメモリ504に記録されている各種プログラムを読み出して実行することにより,各種機能を実行する。(中略)[0059] ネットワーク情報表示プログラム517を実行することにより,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する。[0060] 制御装置設定変更プログラム518を実行することによりネットワーク分析プログラム516で分析し得られた制御管理テーブルを制御装置102の制御部216を介し制御装置102に設定する。[0061] 図6は,通信品質情報の収集処理,及び通信品質計測ログの作成方法を示すシーケンス図である。図6では,無線端末A104が特定の位置にいて,中継端末AとBとの間の通信品質を計測する場合の例を示す。例えば,図8(b)に示す初期状態の制御管理テーブルから学習が進み,特定の位置に対して経路(1)(2)が対応づけられている場合である。[0062] 通信品質情報の収集は,通常の制御盤101から無線端末104への通信を利用し行われる。制御盤101からの通信601を制御装置制御装置102([当審注]:「制御装置制御装置102」は,「制御装置102」の誤記と考えられる。)が転送処理する際,通信品質計測フラグとパケット識別子を付加し転送を行う(ステップ621)。[0063] 制御装置102における転送処理は制御管理テーブルから経路(1)及び経路(2)を選択し,各経路に送信する(602,603)。経路(1)では,中継端末A103を経由し無線端末A104に到達する。無線通信路を経由しパケットを受信した無線端末A104は,通信品質計測フラグが付与されているため,パケット受信時の通信品質を算出し,受信したパケットに含まれるパケット識別子と共に保持する(ステップ622)。経路(2)では,中継端末B103を経由し無線端末A104に到達する。[0064] 無線端末A104は,経路(1)と同様,通信品質計測フラグが付与されているため,パケット受信時の通信品質を算出し,受信したパケットに含まれるパケット識別子と共に保持する(ステップ623)。続いて,無線端末A104は,制御盤101への返信パケットを作成する(ステップ624)。返信パケットは,制御盤101から受信したパケットのパケット識別子を用い,経路(1)で受信した通信品質情報と経路(2)で受信した通信品質情報を加え,通信環境計測フラグを立てて送信する(604)。[0065] 返信パケットは,全中継端末103が受信可能なマルチキャストを用い,制御盤101宛に送信される。この返信パケットを受信した中継端末A103及びBは,計測した通信品質をパケットに付加し(ステップ625,626),制御装置102へそれぞれ転送する(605,606)。中継端末C103も返信パケットを受信できた場合,通信品質をパケットに付加し制御装置102へと転送する。中継端末での通信品質計測結果を追加することにより,計測点数を増やして,通信品質計測精度を向上することができる。[0066] 制御装置102では,複数中継端末103から受信した返信パケットから各通信路のパケット識別子と通信品質情報を抽出する(ステップ627)。返信パケットはパケット識別子を基に複数の返信パケットを一つに集約し制御盤101へ転送する(607)。また,抽出したパケット識別子と通信品質情報は,その都度,もしくは一定数蓄積し計算装置105へと送信する(608)。通信品質計測ログは定期的に計算装置105へと送信する(609)。なお,通信品質計測ログは計測装置で分析する際に必要となるため,分析の頻度に応じて送信すればよい。上述したように計算装置を常時動作させて,統計情報を常時収集する場合には,定期的に送信する必要がある。(中略)[0068] 制御装置102が制御盤101からの通信を転送する際のパケットの構成例を図12(a)に示す。パケット1201はヘッダ1211とデータ1212からなり,ヘッダ1211には宛先アドレス1221や送信元アドレス1222,中継端末アドレス1223,通信品質計測フラグ1224,パケット識別子1225等のネットワークの転送等で必要となる制御情報が含まれる。データ1212には制御盤101から無線端末104へ送信される制御情報が格納される。[0069] 無線端末からの返信パケットの構成例を図12(b)に示す。返信パケット1202には,各経路の通信品質情報1213を付加した構成となる。通信品質情報1213には,通信リンクと受信端末を識別する情報とその通信品質情報が含まれる。[0070] 図7は,計算装置105が,通信品質情報と通信品質計測ログを分析して,通信品質に基づいて端末の各環境情報に応じて最適な中継装置を決定する方法の例を示すものである。通信品質計測ログと通信品質情報をパケット識別子で関連付け,無線端末A104の端末位置を軸にとり通信品質をプロットした図である。[0071] ネットワーク分析プログラム516を実行することにより,位置を一定区間,もしくは通信品質値を基に可変長の区間で分割し,各区間で通信品質の良い経路の選択を行う。例えば,端末位置X2のとき,通信品質が閾値を超える経路(1)と(2)が,経路として設定される例を示している。なお,端末位置X1,X3,X5の場合のように予備経路を設定することも可能である。(中略)[0074] なお,本実施例では,制御装置102と計算装置105と分けて記述したが,装置点数を減らすため,制御装置102と計算装置105を一つの装置に統合してもよい。その際の構成は,計算装置105のプログラムメモリ504に制御装置102の通信処理部203に相当する処理プログラムが追加動作する形態となる。」
上記の記載,並びに当業者の技術常識を考慮すると,
(ア)[0015]-[0016],[0019],図1によれば,無線通信システムは,各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置を含む無線通信システムといえる。
また,[0062]-[0063]によれば,制御装置は,無線通信システム内の無線端末及び中継端末に,通信品質計測フラグが付与されたパケットを送信する処理を行っているといえる。
また,[0031]の「無線端末104宛の下り方向において,検索処理部212は,パケット処理部211からヘッダ情報を受信すると,制御管理テーブルを検索し,検索処理の結果をパケット処理部211に送信する。検索結果には,パケットの処理方法を記述した制御情報が含まれる。」との記載と,[0030]の「パケット処理部211は,(中略)パケットのヘッダ情報を検索処理部212に送信する。パケット処理部211は,検索処理部212から検索結果を受信すると,(中略)検索結果に通信品質の計測指示が含まれている場合,通信品質計測フラグを立てて送信処理部202へ送信する。」との記載によれば,通信品質計測フラグは,検索処理部での検索結果に含まれる制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられるものであるといえる。
更に,[0061]の「図6は,通信品質情報の収集処理」との記載,及び図6によれば,通信品質計測フラグが付与されたパケットを送信する処理は,通信品質情報を収集する際に行う処理であるといえる。
したがって,引用例1には,制御装置が「通信品質情報を収集する際に行う処理であって,各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置を含む無線通信システム内の無線端末及び中継端末に,制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケットを送信する処理」が記載されていると認める。
(イ)[0048]-[0049],[0064]-[0066],図6によれば,通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに返信パケットを送信するといえる。更に,当該返信パケットは,無線端末及び中継端末が通信品質情報を付加したパケットであるといえる。
また,[0069],図12(b)には,通信品質計測フラグが含まれる無線端末からの返信パケットには,各経路の通信品質情報が付加されており,当該通信品質情報には,通信リンクと受信端末を識別する情報とその通信品質情報が含まれることが記載されている。
また,[0048],[0065],図6には,無線端末から受信した返信パケットに通信品質計測フラグが付与されている場合,中継端末が,無線端末から受信した返信パケットに通信品質情報を付加し,当該返信パケットを制御装置に転送すること,中継端末が付加する通信品質情報は中継端末が計測した受信電界強度を含むことが記載されている。
よって,引用例1には,「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケット」が記載されていると認める。
更に,[0066],図6には,制御装置が,中継端末から転送された返信パケットを受信することが記載されている。ここで,[0061]-[0066],図6の記載から,制御装置が,中継端末から受信する返信パケットは,上述した「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケット」と同一のパケットであることは明らかである。
したがって,引用例1には,制御装置が「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケットを受信する処理」が記載されていると認める。
(ウ)[0070]の「通信品質情報と通信品質計測ログを分析して」との記載,及び[0071]の「ネットワーク分析プログラム516を実行することにより,(中略)各区間で通信品質の良い経路の選択を行う。例えば,端末位置X2のとき,通信品質が閾値を超える経路(1)と(2)が,経路として設定される例を示している。なお,端末位置X1,X3,X5の場合のように予備経路を設定することも可能である。」との記載によれば,ネットワーク分析プログラムを実行することにより,通信品質情報を分析して各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定することが記載されているといえる。
そして,(イ)で上述したとおり,通信品質情報は通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含むといえる。
また,[0059]によれば,ネットワーク情報表示プログラムを実行することにより,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する処理が記載されているといえる。
更に,[0050],[0051]によれば,計算装置がプログラムメモリに記録されている,上述したプログラム(ネットワーク情報表示プログラム,ネットワーク分析プログラム)を実行することにより各種機能を実行するといえる。
したがって,引用例1には,計算装置に「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析して,各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定し,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する処理を実行させるためのプログラム」が記載されていると認める。
(エ)[0023],[0024]には,制御装置に各種機能を実行させるためのプログラムが記載されている。してみれば,引用例1には,(ア)(イ)で上述した制御装置が実行する処理を,制御装置に実行させるためのプログラムが記載されていると認める。
(オ)[0074]には,装置点数を減らすため,制御装置と計算装置を一つの装置に統合することが記載されている。
そうすると,制御装置と計算装置を一つの装置に統合した場合,(ア)で上述した「各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置を含む無線通信システム」は,「各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置と計算装置を統合した装置を含む無線通信システム」として実装されることは,当業者にとって明らかである。
また,制御装置と計算装置を一つの装置に統合した場合,(ウ)(エ)で上述したプログラムは,制御装置と計算装置を統合した装置に処理を実行させるためのプログラムとして実装されることは,当業者にとって明らかである。よって,引用例1には「制御装置と計算装置を統合した装置に処理を実行させるプログラム」が記載されていると認める。
以上を総合すると,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「 制御装置と計算装置を統合した装置に,通信品質情報を収集する際に行う処理であって,各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置と計算装置を統合した装置を含む無線通信システム内の無線端末及び中継端末に,制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケットを送信する処理と,通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケットを受信する処理と,通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析して,各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定し,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する処理とを実行させるためのプログラム。」
[周知技術]
(ア)周知例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-244977号公報(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「【0012】【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は,・複数のデータ転送装置(以下,転送装置)の間で転送経路構成情報を交換することにより,転送装置間での転送関係(以下,ピアという)の確立時に転送経路にループが生じることを回避する。【0013】・複数の転送装置間でデータの転送を行う場合,複数のピアから同じデータを受信した時は,データ破棄アルゴリズムに従いそのデータを破棄することにより転送の重複を回避する。」
(イ)周知例2
原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-124128号公報(以下,「周知例2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「【0033】まず,移動端末装置Aから,通信パケットP1が送信される。ここで,移動端末装置Aの電波到達エリア110内には,移動端末装置B,D,Eが位置している(図1,図4参照)。したがって,通信パケットP1は,これらの移動端末装置B,D,Eに到達する(図5参照)。一方,移動端末装置Cは,移動端末装置Aの電波到達エリア外に位置しているので,通信パケットP1は到達しない。【0034】移動端末装置Bは,通信パケットP1を受信すると,上述のようにして,待機時間Tbを設定する(図3のステップS301~S304参照)。同様にして,移動端末装置D,Eは,通信パケットP1を受信すると,待機時間Td,Teを設定する。続きを表示(全12行)【0035】上述のように,待機時間は,受信電界強度が小さい場合ほど,短い時間に設定される。また,受信電界強度は,概ね,通信パケットP1を送信した移動端末装置Aからの距離が長い移動端末装置ほど,小さくなる。このため,待機時間は,移動端末装置Aから離れた移動端末装置ほど,短くなる。これにより,移動端末装置Aから離れた移動端末装置が中継を行う確率が高くなるので,中継点を減らして通信トラフィックを低減することが可能になる。この実施形態では,移動端末装置B,D,Eのうち,移動端末装置Aから最も離れているのは移動端末装置Eであり,二番目に離れているのは移動端末装置Bであり,最も近いのは移動端末装置Dである(図1参照)。この場合,設定された各待機時間の関係は,Td>Tb>Teとなる。したがって,移動端末装置Eが,最も早く待機時間を終了する。【0036】移動端末装置Eは,待機時間Teが終了すると,受信した通信パケットP1を,中継パケットP2として送信する。ここで,移動端末装置Eと通信することができるのは,移動端末装置Aのみである(図4参照)。したがって,中継パケットP2は,移動端末装置Aのみに到達し,移動端末装置B,C,Dには到達しない。移動端末装置Aは,受信した中継パケットP2は通信パケットP1と同一であると判断して,そのまま廃棄する。【0037】続いて,移動端末装置Bが,待機時間Tbの終了後に,受信通信パケットP1を,中継パケットP3として送信する。ここで,移動端末装置Bと通信することができるのは,移動端末装置A,C,Dである(図4参照)。したがって,中継パケットP3は,移動端末装置A,C,Dに到達する。【0038】移動端末装置Aは,受信した中継パケットP3が通信パケットP1と同一であると判断して,そのまま廃棄する。また,移動端末装置Dは,中継パケットP3が待機中の通信パケットP1と同一であると判断して,通信パケットP1および中継パケットP3を廃棄するとともに,転送処理を中止する。一方,移動端末装置Cでは,受信制御部202(図2参照)が,中継パケットP3を自分宛であると判断して,この中継パケットP3を制御部204に送る。」
(ウ)周知例3
原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-206613号公報(以下,「周知例3」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)
「【0002】無線アドホックネットワークにおいて,ブロードキャストは例えばルーティングプロトコルで使用されるような制御パケットや管理パケットなどを特定のエリア内に配置された全てのノードに対して配送するのに有効な技術である。さらに,直接配送できないノードに対してはマルチホップ通信を組み合わせることは,効果的な配信方法として応用されている。【0003】ブロードキャスト技術として,従来より,フラッディング(Flooding)技術が知られている。図7にその動作例を示す(なお,図7は,関連技術のフラッディングの動作説明のため,本発明者により作成されたものである)。【0004】図7を参照すると,フラッディング技術は,送信元ノード300がブロードキャストしたパケットを受信した各ノード(301,302,303及び304)は,ブロードキャストで転送を行う。さらに,該パケットを受信した各ノードは,ブロードキャストによる再転送を行うが,その際,一度転送したものと同一データのパケットを受信した場合には,当該受信パケットを破棄するとともに,同一データの再転送を中止する。この処理を繰り返すことにより,エリア内の全ノードにパケットを配送する。全ノードは必ず1回ブロードキャストで転送を実行することになる。」
上記(ア)(イ)(ウ)の記載によれば,「転送処理において,中継装置が同一のデータを受信した場合は,後で受信した同一データを破棄するとともに,当該同一のデータを転送しないこと。」は周知技術(以下,「周知技術1」という。)であると認める。
ウ 対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比すると,
(ア)引用発明の「制御装置と計算装置を統合した装置」を,コンピュータと称することは任意である。
(イ)補正後の発明の「親機」と引用発明の「各端末の制御を行う制御盤」は,通信を中継する装置を介して,自装置の配下にある下位の装置と通信する「上位の装置」である点で共通する。
また,補正後の発明の「中継機」と引用発明の「中継端末」は,上位の装置とその配下の下位の装置との間の通信を中継する「中継機」である点で共通する。
また,補正後の発明の「子機」と引用発明の「無線端末」は,通信を中継する装置を介して,上位の装置と通信する「下位の装置」である点で共通する。
また,引用発明の「無線通信システム」が,制御盤と無線端末と中継端末を含む通信ネットワークを有するシステムであることは明らかである。よって,引用発明の「無線通信システム」は,補正後の発明の「無線ネットワークシステム」に相当する。
また,引用発明の「無線通信システム内の無線端末及び中継端末」のことをノードと称することは任意である。
また,引用発明の「通信品質計測フラグ」は,「制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる」ものである。そして,引用発明の「制御装置と計算装置を統合した装置」は,「通信品質情報を収集する」ために,「通信品質計測フラグ」が付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末から,通信品質情報を付加したパケットを受信していることは明らかである。
してみると,引用発明の「制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケット」は,無線端末及び中継端末に対して,通信品質の計測を指示することに加えて,通信品質情報を付加したパケットを送信するように指示するために用いられているといえる。
そして,通信品質の計測を通信テストの際に実行することは常套的に用いられている手法であるから,通信品質情報を付加したパケットのことを「テストメッセージ」と称し,通信品質の計測を指示することに加えて,通信品質情報を付加したパケット(テストメッセージ)を送信するように指示するために送信する信号のことを「テスト要求」と称することは任意である。
してみると,引用発明の「制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケット」は,補正後の発明の「各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求」に一致する。
したがって,補正後の発明の「親機と複数の子機との間を複数の中継機であって,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する前記子機及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップ」と,引用発明の「通信品質情報を収集する際に行う処理であって,各端末の制御を行う制御盤と複数の無線端末との間を複数の中継端末を介して通信する無線通信システムであって,制御装置と計算装置を統合した装置を含む無線通信システム内の無線端末及び中継端末に,制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケットを送信する処理」は,「上位の装置と複数の下位の装置との間を複数の中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する下位の装置及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップ」である点で共通する。
(ウ)(イ)で上述したとおり,引用発明の「制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケット」は,無線端末及び中継端末に対して,通信品質の計測を指示することに加えて,通信品質情報を付加したパケットを送信するように指示するために用いられていることは明らかである。
してみると,引用発明の「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケット」は,「制御情報に通信品質の計測指示が含まれている場合に立てられる通信品質計測フラグが付与されたパケット通信品質計測フラグが付与されたパケット」に応じて,無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであるといえる。
また,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報」に関する情報が,引用発明の通信経路に関する情報を含むものであって,当該通信経路に関する情報として,通信において経由した中継端末を識別する情報が含まれることは明らかである。よって,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報」は,補正後の発明の「少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報」に相当する。
また,受信電界強度は,受信した電波の強度を示す情報であることは明らかであるから,引用発明の「中継端末が計測した受信電界強度」は,本願発明の「当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報」に相当する。
また,引用発明において,「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケットを受信する処理」によって,パケットに付加された「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報」を取得できることは明らかである。
したがって,補正後の発明の「前記テスト要求に応じて,前記各ノードから前記親機に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含む前記テストメッセージを取得する取得ステップ」と,引用発明の「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケットを受信する処理」は,「前記テスト要求に応じて,各ノードから上位の装置に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含むテストメッセージを取得する取得ステップ」の点で共通する。
(エ)引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報」は,「通信品質計測フラグが付与されたパケットを受信した無線端末及び中継端末が制御盤宛てに送信するパケットであって通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を付加したパケット」に含まれる「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報」であることは明らかである。
また,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報」は,引用発明の通信経路に関する情報であることは明らかであるから,「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報」を分析することは,「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報」に基づいて,通信経路を分析することを含むことといえる。そして,引用発明における通信経路は,無線端末及び中継端末と,制御盤との間の通信経路を含むことは明らかである。
更に,「分析」という用語と「解析」という用語は,いずれも事物の要素を調べることにより,その内容・性質を明らかにすることを示す用語であり同一の意味の用語といえる。
してみると,補正後の発明の「前記取得ステップにより取得した前記テストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと前記親機との間の通信経路を解析」することと,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析」することは,「前記取得ステップにより取得したテストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと上位の装置との間の通信経路を解析」する点で共通する。
また,引用発明の「無線通信ネットワークに含まれる端末」には,「中継端末」も含まれることは自明である。また,引用発明の「その端末への通信経路」とは,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を分析」することにより設定した通信経路を含むものであることは明らかである。また,引用発明の「各通信リンクの通信品質」に,中継端末で計測された受信電界強度の情報が含まれることは明らかである。そして,(ウ)で上述したとおり,受信電界強度は,受信した電波の強度を示す情報であることは明らかである。更に,引用発明の「無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質」とは,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析」することによって得られた分析結果(解析結果)を含むものであることは自明である。
よって,引用発明の「無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質」は,補正後の発明の「解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果」に相当する。
また,引用発明の「出力装置」は,補正後の発明の「出力部」に相当する。そして,補正後の発明の「出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップ」と,引用発明の「出力装置に表示する処理」はいずれも所定の情報を出力する処理である点で共通する。更に,引用発明の「表示する処理」によって表示する情報は,「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析」することにより設定した通信経路を含む情報といえるので,引用発明の「表示する処理」を「経路解析ステップ」と称するのは任意である。
よって,補正後の発明の「出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップ」と,引用発明の「出力装置に表示する処理」は,「出力部に出力させる経路解析ステップ」である点で共通する。
したがって,補正後の発明の「前記取得ステップにより取得した前記テストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと前記親機との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる経路解析ステップ」と,引用発明の「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析して,各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定し,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する処理」は,「前記取得ステップにより取得したテストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと上位の装置との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させる経路解析ステップ」である点で共通する。
以上を総合すると,補正後の発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「 コンピュータに,上位の装置と複数の下位の装置との間を複数の中継機を介して無線通信により通信する無線ネットワークシステムが有する下位の装置及び前記中継機をノードとして,各ノードに対してテストメッセージの送信を要求するテスト要求を,前記各ノード宛に送信するテスト要求処理ステップと,前記テスト要求に応じて,各ノードから上位の装置に向けて送信される前記テストメッセージであって,少なくとも経由した前記中継機を示す中継機情報と,当該経由した中継機における電波強度を示す電波強度情報とを含むテストメッセージを取得する取得ステップと,前記取得ステップにより取得したテストメッセージに含まれる前記中継機情報と,前記電波強度情報とに基づいて,前記各ノードと上位の装置との間の通信経路を解析し,解析した前記通信経路を示す経路情報と,前記中継機情報と,前記電波強度情報とを少なくとも含む解析結果を出力部に出力させる経路解析ステップとを実行させるためのプログラム。」
(相違点1)
「上位の装置」及び「下位の装置」に関し,補正後の発明は「親機」及び「子機」であるのに対し,引用発明は「各端末の制御を行う制御盤」及び「無線端末」である点。また,補正後の発明の「親機」は,補正後の発明の「中継機」及び「子機」と無線通信を行うものといえるのに対し,引用発明の「各端末の制御を行う制御盤」と「無線端末」との通信方法,及び「各端末の制御を行う制御盤」と「中継端末」との通信方法は,無線通信に特定されていない点。
(相違点2)
「中継機」に関し,補正後の発明は「中継機であって,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機」であるのに対して,引用発明の「中継端末」はそのような特定がされていない点。
(相違点3)
「出力部に出力させる経路解析ステップ」に関し,補正後の発明は「さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる」ことであるのに対して,引用発明の「出力装置に表示する処理」はそのような特定がされていない点。
以下,上記各相違点について検討する。
(相違点1)
引用発明の「各端末の制御を行う制御盤」の機能を,配下の装置及び中継端末と無線通信することが可能な端末装置に実装することは,格別困難なことではない。
一方,無線通信システム内の各端末が無線通信によって通信するシステムにおいて,配下の端末を制御する端末を親機と称し,配下の端末のことを子機と称することは任意である。
してみると,引用発明の「各端末の制御を行う制御盤」の機能を有する装置を「親機」として実装すること,及び「各端末の制御を行う制御盤」の機能によって制御される「無線端末」を「子機」と称することは,いずれも当業者が適宜なし得る事項に過ぎない。
したがって,引用発明において,「各端末の制御を行う制御盤」を「親機」とし,「無線端末」を「子機」とすることは,当業者が容易に想到できたことである。
(相違点2)
補正後の発明は,「コンピュータ」に「テスト要求処理ステップ」と「取得ステップ」と「経路解析ステップ」とを「実行させるプログラム」である。一方,補正後の発明の「中継機」は,「テスト要求処理ステップ」と「取得ステップ」と「経路解析ステップ」を実行するものではないから,補正後の発明の「コンピュータ」が「中継機」とは異なるものであることは明らかである。
他方,補正後の発明には「中継機であって,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機」と記載されており,「中継機」に関して特定されている。してみると,補正後の発明の「中継機であって,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせない前記中継機」は,「コンピュータ」に「テスト要求処理ステップ」と「取得ステップ」と「経路解析ステップ」とを「実行させるプログラム」ではない「中継機」に係る事項であって,「コンピュータ」に「テスト要求処理ステップ」と「取得ステップ」と「経路解析ステップ」とを「実行させるプログラム」の発明特定事項を限定するものではない。
したがって,相違点2は,補正後の発明の「プログラム」と引用発明の「プログラム」の相違点では無い。
ここで,相違点2は上記のとおり補正後の発明の「プログラム」と引用発明の「プログラム」の相違点では無いが,更に進めて,仮に上記相違点2が,補正後の発明の「プログラム」と引用発明の「プログラム」の相違点であると仮定して,以下検討する。
「イ 引用発明,周知技術」の[周知技術]において上述したとおり,「転送処理において,中継装置が同一のデータを受信した場合は,後で受信した同一データを破棄するとともに,当該同一のデータを転送しないこと」は周知技術(周知技術1)である。そして,周知技術1の「中継装置が同一のデータを受信した場合」とは,転送対象となるデータの転送の前に,転送対象となるデータと同一のデータを受信した場合も含まれることは明らかである。
また,補正後の発明の「テストメッセージ以外の受信したメッセージ」とは,通常の通信に用いる信号を含むものと解することができる。そして,引用発明において,通常の通信に用いる信号に対して,周知技術1を適用することは,格別困難なことではない。
したがって,引用発明の「中継端末」において,周知技術1を適用することで,相違点2の構成を採用することは当業者が容易に想到しうることに過ぎない。
(相違点3)
引用発明は「通信リンクと受信端末を識別する情報と中継端末が計測した受信電界強度を含む通信品質情報を分析して,各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定」するものである。また,予備経路のことを「代替ルート」と称することは任意である。
そして,複数の通信経路が存在する通信ネットワークについて通信経路の分析を行い,分析の結果得られた通信経路を表示する際に,予備経路も含めて表示を行うことは,当業者の常套手段である。
したがって,引用発明の「出力装置に表示する処理」において,「さらに,代替ルートを含めた通信経路」を出力するようにすることは,当業者が容易に想到しうることに過ぎない。
そして,補正後の発明のその余の作用効果も,引用発明に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,補正後の発明は,引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
ここで,請求人は平成31年2月7日に提出された審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「5)本願発明と引用文献に記載された発明との比較」,「6)作用効果の比較」,「7)総合的な判断」において,「5)本願発明と引用文献に記載された発明との比較
(a)本願の請求項1に係る発明と引用文献1~4に記載された発明との比較
ア.構成上の相違点
本願の請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明とは,少なくとも以下の点において相違する。
すなわち,本願の請求項1に係る発明では,「中継機は,テストメッセージ以外の受信したメッセージを転送する前に,当該メッセージと同じメッセージを他の中継機から受信した場合には,後から受信したメッセージの転送を行わせず,経路解析部は,解析した通信経路と,通信経路上の中継機における電波強度とに基づいて,通信経路が通信可能であるか否かを判定し,判定結果を含む解析結果を出力部に出力させ,通信可能な前記通信経路が複数あるか否かを判定し,判定結果を含む解析結果を前記出力部に出力させ,さらに,代替ルートを含めた通信経路を出力させる」ものである。
一方,引用文献1から4に記載の発明では,これらをともに満たす構成がない。
(中略)
6)作用効果の比較
本願の請求項1に係る発明と引用文献1~4に記載された発明とは以下の点において,異なる作用効果が存在する。
すなわち,本願の請求項1に係る発明では,本来必要のないメッセージがネットワーク内に流通することを抑制することが出来るとともに,中継機の余計な動作を抑制することが出来るため省電力化に寄与するとともに,各ノードと親機との間の通信可能な経路情報及び電波強度情報をより容易に取得することができるとともに,通信の脆弱性についても把握するといった優れた効果を奏する。
(中略)
7)総合的な判断
以上説明したように,本願発明は,引用発明には開示も示唆もされていない新規な構成を有し,その新規な構成に基づいて格別なる効果を奏するものであるため,上記引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものでない。したがって,本願発明は,引用発明に対して十分に進歩性を具備する。
また,請求項2~9に係る発明は,少なくとも補正後の本願の請求項1の特徴と同様の特徴を含むことから,引用文献1~4に基づいて容易に想到することはできない。」と主張している。
しかしながら,上記の請求人の主張のうち「中継機」に関する主張について,(相違点2)において上述したとおり,相違点2は,補正後の発明の「プログラム」と引用発明の「プログラム」の相違点では無い。更に,仮に上記相違点2が,補正後の発明の「プログラム」と引用発明の「プログラム」の相違点であると仮定したとしても,引用発明の「中継端末」において,周知技術1を適用することで,相違点2の構成を採用することは当業者が容易に想到しうることに過ぎない。
そして,周知技術1は「転送処理において,中継装置が同一のデータを受信した場合は破棄するとともに,当該同一のデータを転送しないこと」であるから,引用発明において,周知技術1を適用することで,必要のないデータがネットワーク内に流通することを抑制出来ることや,同一のデータを転送するという余計な動作を抑制することにより中継端末の省電力化に寄与することは,当業者が予測できる範囲のものである。
更に,上記の請求人の主張のうち「経路解析部」に関する主張について,引用発明は「各区間で通信品質が閾値を超える経路を通信品質の良い経路として設定するとともに予備経路を設定し,無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質を出力装置に表示する」ものであるから,引用発明によって,無線端末及び中継端末と,制御盤との間の通信経路,並びに各通信リンクの通信品質を容易に取得できることや,表示された「無線通信ネットワークに含まれる端末,その端末への通信経路,及び各通信リンクの通信品質」を確認することにより,通信の脆弱性についても把握出来ることは,当業者が予測できる範囲のものである。
したがって,上記の請求人の主張は採用できない。
3 結語
したがって,平成31年2月7日にされた手続補正(本件補正)は,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年2月7日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項15に係る発明は,上記「第2」の項の「1 本件補正の概要」の項の「本願発明」のとおりのものと認める。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶理由の概要は,「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項15に対して主引用例として引用例1が引用されている。
3 引用発明等
引用発明は,上記「第2 平成31年2月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ 引用発明,周知技術」の項で認定したとおりである。
4 対比・判断
そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,本願発明は補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 平成31年2月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定」の項中の「2 補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ 対比・判断」の項で検討したとおり,引用発明に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。
そして,本願発明の作用効果も,引用発明に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
5 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2019-001773