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特許拒絶査定不服審判

2019-000604

空気調和機

審判番号
2019-000604
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-095681外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年01月17日
審決日
2020年02月12日
公報発行日
2020年05月29日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016- 95681「空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日出願公開、特開2017-203588〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 本願は、平成28年5月11日の出願であって、平成30年7月27日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年10月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年11月16日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成31年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和1年11月7日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年12月24日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 2 本願発明 この出願の請求項1~7に係る発明は、令和1年12月24日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 空気吸込口及び空気吹出口を備える筐体と、 前記筐体の内部に配置された熱交換器と、 前記空気吸込口と前記熱交換器との間に配置されたフィルタと、 空気調和運転時に順方向に回転し、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記フィルタ及び前記熱交換器を通して前記空気吹出口に送る送風ファンと、 前記送風ファンの動作を制御する制御部と、を有し、 前記熱交換器は、前記送風ファンの上流側に配置され、前記送風ファンの上流側を覆うように略逆V字状に形成され、 前記制御部は、前記空気調和運転時とは逆方向に前記送風ファンを回転させ、その後に、冷房運転を行って、前記熱交換器に結露を発生させることで、前記送風ファンの掃除運転を行う ことを特徴とする空気調和機。」 3 拒絶の理由 令和1年11月7日付けで当審が通知した拒絶の理由における理由1(進歩性)は次のとおりである。 この出願の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1~5に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用例等一覧> 1.特開2007-333371号公報 2.特開2008-138913号公報 3.特開平2-204698号公報 4.特開2008-51430号公報 5.特開2010-127515号公報 4 引用例 (1)引用例1 当審の拒絶の理由に引用例1として引用された特開2007-333371号公報には、次の事項が図面とともに記載されている(「・・・」は記載の省略を意味し、下線は当審にて付した。以下同様。)。 (1-a)「【0006】 一般的な室内機では、熱交換器の側部に電気部品箱が並置されていて、送風機等の電動部品やリモコンから送られる信号を制御する電気部品が収容されている。これら電気部品のうちの一部は発熱量が著しく大であるので、箱内に冷却用空気を取入れて電気部品を冷却し、温度上昇した空気を取出す構成となっているため、密閉化されていない。 【0007】 したがって、浮遊する霧状水滴の一部は電気部品箱内に侵入し、電気部品を濡らして漏電事故が発生する虞れがある。また、粉末状塵埃は熱交換器を通過して送風機に至り、ファンの回転にともなって発生する静電気の影響で、ファンに付着し易い。そのため、ファンに対する掃除が必要であり、洗浄液を使用しない有効な掃除機構の開発が望まれている。 【0008】 本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、送風機ファンに接触して、これに付着する塵埃を自動で除去し、ファンに対する掃除手間の軽減化をなし、本体内部の清潔度の向上化を図れる空気調和機の室内機を提供しようとするものである。」 (1-b)「【0011】 以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。 図1は空気調和機の室内機における概略の縦断面図、図2は室内機本体1の前面パネル2を外して内部を見せた正面斜視図である。(なお、説明中に符号を付していない部品は図示していない。以下同じ) 室内機本体1は、前面パネル2と後板筐体3とから構成されていて、正面視で横長状をなす。前面パネル2の前面側一部に前部吸込み口4が開口され、開閉駆動機構に支持された可動パネルPが嵌め込まれている。運転停止時および後述するエアフィルタ清掃機構Aとファン清掃機構Bの作動時には、可動パネルPは前面パネル2と同一面となり前部吸込み口4を閉成する。また、空調運転時には可動パネルPは手前側に突出変位し、本体1との間に隙間を形成して前部吸込み口4を開放するよう制御される。 【0012】 前面パネル2および後板筐体3の上部に亘って上部吸込み口5が設けられる。上部吸込み口5には枠状の桟6が嵌め込まれていて、この桟6によって複数の空間部に仕切られている。上記可動パネルP下部には吹出し口7が開口されていて、この吹出し口7には吹出しルーバー8が設けられる。上記吹出しルーバー8は、運転停止時およびエアフィルタ清掃機構Aとファン清掃機構Bの作動時には上記吹出し口7を開閉し、かつ空調運転条件に応じて熱交換空気の吹出し方向を設定できる。 【0013】 室内機本体1内には、前側熱交換器部10Aと後側熱交換器部10Bとで略逆V字状に形成される熱交換器10が配置される。前側熱交換器部10Aは、前面パネル2と間隙を存してほぼ平行な湾曲状に形成されて前部吸込み口4および上部吸込み口5の一部と対向し、後側熱交換器部10Bは直状に形成されて上部吸込み口5と傾斜して対向する。 【0014】 上記前側熱交換器部10Aの下端部は前ドレンパン9a上に載り、後側熱交換器部10Bの下端部は後ドレンパン9b上に載って、それぞれの熱交換器部10A,10Bから滴下するドレン水を受け、図示しない排水ホースを介して外部に排水できるようになっている。 【0015】 一方、前部吸込み口4と前側熱交換器部10Aとの間には、前部エアフィルタ11Aが取付けられる。上部吸込み口5と前側熱交換器部10A一部および上側熱交換器部10Bとの間には、上部エアフィルタ11Bが取付けられる。これら前部エアフィルタ11Aと上部エアフィルタ11Bはともに、従来の室内機のようにユーザーが容易に着脱できる構成としなくてもよい。」 (1-c)「【0028】 上記室内送風機20の横流ファン21を回転駆動することにより、前部吸込み口4および上部吸込み口5と、上記吹出し口7とを連通する送風路28が形成され、その一部が上記吹出し送風路27となる。上記前部エアフィルタ11Aおよび上部エアフィルタ11Bと、熱交換器10と、室内送風機20は、上記送風路28の上流側から下流側に沿って、順に配置されることになる。 【0029】 上記前ドレンパン9aのノーズ構成部の近傍に、上記室内送風機20の横流ファン21を掃除する上記ファン清掃機構Bが設けられる。このファン清掃機構Bは、横流ファン21の軸方向全長に亘って対向配置されるブラシ等の清掃具30と、この清掃具30を進退移動させる進退駆動機構とから構成される。清掃具30を進出移動した状態で、ブラシの毛先が横流ファン21に接触し、後退移動することでブラシの毛先が横流ファン21から離間するよう設定されている。 【0030】 上記熱交換器10の一側部に電気部品箱29が並置される。この電気部品箱29内には、リモコンから送られる信号や各種のセンサ類から送られてくる信号にもとづいて、室内送風機20他の電動部品を制御する半導体部品および電気部品の集合体である制御部Sが収容されている。一部の電気部品は発熱量が著しく大であるので、冷却用空気を取入れてその電気部品を冷却し、温度上昇した空気を取出す冷却用開口部を備えていて、密閉化されていない。」 (1-d)「【0063】 エアフィルタ清掃機構Aが収集した塵埃を屋外へ排出したあと、制御部Sはファン清掃機構Bへ作業開始信号を送るとともに、吸排気機構Dへは「2次側空気換気モード」への切換え信号を送る。ファン清掃機構Bを構成する進退駆動機構は、清掃具30を進出移動させてブラシの毛先を横流ファン31に接触させる。 【0064】 そのうえで、制御部Sは横流ファン31を低速運転させる。すなわち、空調運転中は横流ファン31を正回転駆動し、ファン清掃機構Bの作動中は横流ファン31を逆回転駆動する、もしくは正回転駆動と逆回転駆動を繰り返すよう制御する。 図8に示すように、横流ファン31の回転にともなってブラシ清掃具30の毛先が摺接し、横流ファン31に付着していた塵埃が除去される。同時に、吸排気機構Dにおけるダンパ駆動機構55が作動して換気ダンパ35を回動させ、換気ダンパ35の案内用換気口62とユニットベース45の2次用換気口48が対向する。 【0065】 すなわち、吸排気機構Dの塵埃導入口37が開放され、かつ塵埃導入口37と横流ファン31の塵埃回収用開口部25とが、ユニットベース45と横流ファン31の端板22との間隙であるファン用案内路33を介して対向することになる。 上記横流ファン31の低速回転により常時開放している上部吸込み口5から室内空気が室内機本体1内に吸込まれ、熱交換器10を流通する。そして、熱交換器10から流出した2次側空気は換気ファン38の作動により、2次用換気口48と案内用換気口62および吸気口63を介して吸排気機構D内に吸込まれる。 【0066】 同時に、塵埃導入口37からファン用案内路33を介して横流ファン31の塵埃回収用開口部25に負圧がかかる。横流ファン31から掻き落された塵埃は塵埃回収用開口部25からファン用案内路33に導かれ、塵埃導入口37において2次側空気と合流して吸排気機構D内に導入される。そして、2次側空気とともに塵埃は排気ダクト39を介して屋外へ排出される。」 よって、以上の記載事項(1-a)~(1-d)を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「引用発明」という。)。 「前部吸込み口4、上部吸込み口5、及び吹出し口7を備える室内機本体1と、 前記室内機本体1内に配置された前側熱交換器部10Aと後側熱交換器部10Bとで略逆V字状に形成される熱交換器10と、 前部吸込み口4と前側熱交換器部10Aとの間に取付けられたエアフィルタ11Aと、上部吸込み口5と前側熱交換器部10Aの一部および後側熱交換器部10Bとの間に取付けられた上部エアフィルタ11Bと、 回転駆動することで、前部吸込み口4および上部吸込み口5と、吹出し口7とを連通する送風路28が形成される室内送風機20の横流ファン21と、 室内送風機20他の電動部品を制御する制御部Sと、を有し、 前部エアフィルタ11Aおよび上部エアフィルタ11Bと、熱交換器10と、室内送風機20は、上記送風路28の上流側から下流側に沿って、順に配置され、 前記制御部Sは、横流ファン31を低速運転させ、ファン清掃機構Bの作動中は横流ファン31を逆回転駆動し、横流ファン31の回転にともなってブラシ清掃具30の毛先が摺接し、横流ファン31に付着していた塵埃が除去される空気調和機。」 (2)引用例2 当審の拒絶の理由に引用例2として引用された特開2008-138913号公報には、次の事項が図面とともに記載されている (2-a)「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、暖房運転モード時にも、室内側熱交換器を常に清潔な状態に維持可能な空気調和機を提供することを目的とする。」 【課題を解決するための手段】 【0009】 上述した目的を達成するため、本発明に係る空気調和機は、室内空気を吸い込む吸込口および熱交換空気の吹出口を備えた室内機本体と、この室内機本体内に形成され、前記吸込口と前記吹出口を連通する送風路と、この送風路に配置されたエアフィルタと、このエアフィルタの風下側に配置され、フィン表面に防汚性の処理を施した室内側熱交換器と、この熱交換器に送風する送風機と、暖房運転後に、前記フィン表面に水を付着させる水分付与手段を備えたことを特徴とする。 【0010】 また、本発明に係る空気調和機は、室内空気の吸込口および熱交換空気の吹出口を備えた室内機本体と、この室内機本体内に形成され、前記吸込口と前記吹出口を連通する送風路と、この送風路に配置されたエアフィルタと、このエアフィルタの風下側に配置され、フィン表面に密な凹凸面が形成された樹脂コーティングを施した熱交換器と、この熱交換器に送風する送風機と、前記送風機のファンに付着する塵埃を除去するファン清掃機構あるいは前記エアフィルタを清掃するフィルタ清掃装置と、清掃運転入力手段と、この清掃運転入力手段から清掃指令により、フィルタ清掃あるいはファン清掃を行うと同時に、エアコン冷房運転あるいは除湿運転を行い、前記室内熱交換器に付着した汚れを凝縮水で流し落とし除去するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。」 (2-b) 「【0030】 この熱交換器クリーン運転は、室内制御回路13のROMに記憶されている制御プログラムを実行することで行われ、例えば、所定時間の暖房運転後、四方切換弁6を冷房運転位置に切り換えて、例えば冷房運転を行い、室内側熱交換器4を蒸発器として作用させる。 【0031】 室内側熱交換器4が蒸発器として作用することで、室内側熱交換器4には水分が凝縮して、フィン4bに付着する。 【0032】 フィン4b表面に付着した水分は、フィン4b表面が密な凹凸面が形成されているので、図4に示すように、油面と樹脂コーティング表面の凹凸面の隙間に浸み込み、油分を浮かせて油分を下方向に押し流す。押し流された油分は、水分とともにドレンパン21で受けられ、ドレンホースを介して室外へ排出される。」 (2-c)「【0047】 また、本発明の第3実施形態に係る空気調和機について説明する。 【0048】 本第3実施形態は第1実施形態にファン清掃装置を付加する。 【0049】 例えば、本第3実施形態の空気調和機は、図3に示す室内機と同様の室内機を備え、この室内機内には、図6に示すように、横流型の室内ファン3の下方に対向してファン清掃装置41が配される。このファン清掃装置41は、アーム42と、このアーム42の先端に取付けたブラシ43と、このブラシ43を室内ファン3に沿って水平移動させるブラシ移動機構44からなり、このブラシ移動機構44はアーム42が取り付けられるねじ部材45と、このねじ部材45が螺合し、ねじ回転モータ46によって回転されるボールねじ47からなる。 【0050】 ねじ回転モータ46の制御は、図2に示すような室内制御回路13により、他の室内機制御対象要素と同様に制御され、ROMに予め記憶されたプログラムに基づく制御回路からの指令に基づき行う。 【0051】 本第3実施形態の空気調和機は、暖房運転モードによる運転時、所定時間の暖房運転後、四方切換弁を冷房運転位置に切り換えて、例えば冷房運転を行い、室内側熱交換器4を蒸発器として作用させて、図4に示すようにフィン4b表面に水を付与する冷房運転を行ない、熱交換器を清掃するとともに、ファン清掃装置41を運転して、ファン清掃を開始する。ファン清掃が開始されると、室内ファン3は低速回転になる。室内ファン(ファンブレード)4aにブラシ43を当接させ、ブラシ43を室内ファン3の表面を螺旋状に沿わせて室内ファン3の埃を除去する。除去された埃は、排気装置を介して、機外に排出される。ファン清掃装置41の運転と同時に排気装置を運転する。 【0052】 本第3実施形態の空気調和機によれば、室内機2の本体内で発生した冷気は、排気装置で機外に排出されるため、暖房運転を行なう季節においても、室内に冷気が流出して冷やされることがなくて、使用者に不快感を与えることがなく、室内の快適性が保もたれ、また、ファン清掃と同時に排気するので、熱交換器、ファン及び室内空気の清浄が保たれる。」 よって、以上の記載事項(2-a)~(2-c)を総合すると、引用例2には、次の事項が記載されていると認められる(以下、この記載を「引用例2記載の事項」という。)。 「冷房運転を行い、室内側熱交換器4を蒸発器として作用させて、付着した汚れを凝縮水で流し落として室内側熱交換器4を清掃するとともに、室内ファン3の清掃を開始し、室内ファン3を低速回転させ、ブラシ43を室内ファン3の表面を螺旋状に沿わせて埃を除去する空気調和機。」 5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「前部吸込み口4、上部吸込み口5」、「吹出し口7」は、それぞれ、本願発明の「空気吸込口」、「空気吹出口」に相当する。 よって、引用発明の「前部吸込み口4、上部吸込み口5、及び吹出し口7を備える室内機本体1」は、本願発明の「空気吸込口及び空気吹出口を備える筐体」に相当する。 イ 引用発明の「前記室内機本体1内に配置された前側熱交換器部10Aと後側熱交換器部10Bとで略逆V字状に形成される熱交換器10」は、本願発明の「筐体の内部に配置された熱交換器」に相当する。 ウ 引用発明の「前部吸込み口4と前側熱交換器部10Aとの間に取付けられたエアフィルタ11Aと、上部吸込み口5と前側熱交換器部10Aの一部および後側熱交換器部10Bとの間に取付けられた上部エアフィルタ11B」は、本願発明の「空気吸込口と熱交換器との間に配置されたフィルタ」に相当する。 エ 引用発明においては、「前部エアフィルタ11Aおよび上部エアフィルタ11Bと、熱交換器10と、室内送風機20は、上記送風路28の上流側から下流側に沿って、順に配置され」るから、 「前部吸込み口4および上部吸込み口5」から吸い込まれた空気は、「前部エアフィルタ11Aおよび上部エアフィルタ11B」及び「熱交換器10」を通して「吹出し口7」に送られるといえる。 よって、引用発明の「回転駆動することで、前部吸込み口4および上部吸込み口5と、吹出し口7とを連通する送風路28が形成される室内送風機20の横流ファン21」は、本願発明の「空気調和運転時に順方向に回転し、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記フィルタ及び前記熱交換器を通して前記空気吹出口に送る送風ファン」に相当する。 オ 引用発明の「室内送風機20他の電動部品を制御する制御部S」は、本願発明の「送風ファンの動作を制御する制御部」に相当する。 カ 引用発明においては「熱交換器10と、室内送風機20は、上記送風路28の上流側から下流側に沿って、順に配置され」るから、「熱交換器10」は「室内送風機20」の上流側に配置されることは明らかである。 よって、引用発明の「前部エアフィルタ11Aおよび上部エアフィルタ11Bと、熱交換器10と、室内送風機20は、上記送風路28の上流側から下流側に沿って、順に配置され」る点、及び「略逆V字状に形成される熱交換器10」は、本願発明の「前記熱交換器は、前記送風ファンの上流側に配置され、前記送風ファンの上流側を覆うように略逆V字状に形成され」る点に相当する。 キ 引用発明の「制御部Sは、横流ファン31を低速運転させ、ファン清掃機構Bの作動中は横流ファン31を逆回転駆動し、横流ファン31の回転にともなってブラシ清掃具30の毛先が摺接し、横流ファン31に付着していた塵埃が除去される」点と、本願発明の「制御部は、空気調和運転時とは逆方向に送風ファンを回転させ、その後に、冷房運転を行って、熱交換器に結露を発生させることで、送風ファンの掃除運転を行う」点とは、「制御部は、空気調和運転時とは逆方向に送風ファンを回転させ、送風ファンの掃除運転を行う」点で共通する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「空気吸込口及び空気吹出口を備える筐体と、 前記筐体の内部に配置された熱交換器と、 前記空気吸込口と前記熱交換器との間に配置されたフィルタと、 空気調和運転時に順方向に回転し、前記空気吸込口から吸い込まれた空気を前記フィルタ及び前記熱交換器を通して前記空気吹出口に送る送風ファンと、 前記送風ファンの動作を制御する制御部と、を有し、 前記熱交換器は、前記送風ファンの上流側に配置され、前記送風ファンの上流側を覆うように略逆V字状に形成され、 前記制御部は、前記空気調和運転時とは逆方向に前記送風ファンを回転させ、前記送風ファンの掃除運転を行う空気調和機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 送風ファンの掃除運転に関して、本願発明では、「逆方向に送風ファンを回転させ、その後に、冷房運転を行って、前記熱交換器に結露を発生させる」のに対し、引用発明では、逆方向に送付ファンを回転させるものの、その後の冷房運転については特定されていない点。 6 判断 ア 上記相違点について検討する。 引用例2記載の事項は、冷房運転を行い、室内側熱交換器4に凝縮水(結露)を発生させる室内側熱交換器4の清掃と、室内ファン3を低速回転させ、ブラシ43を用いて室内ファン3の埃を除去する室内ファン3の清掃とをともに行うものである。 ここで、引用発明と引用例2記載の事項とは、送風ファンを回転させ、ブラシにより送風ファンの清掃を行う空気調和機である点で共通するものである。また、引用発明に示すような空気調和機において、送風ファンや熱交換器に塵埃が付着することは技術常識であるから、送風ファンだけでなく、熱交換器も清掃を行う必要があることは明らかである。 よって、引用発明に引用例2記載の事項を適用して、熱交換器の清掃を付加する動機付けが認められる。そして、当該適用にあたり、上記引用例2記載の事項の室内側熱交換器4の清掃は、室内ファン3の清掃とは独立した手段であるから、両者を同時に行うか、一方の後に他方を行うかは、当業者が適宜選択できる事項にすぎない。 したがって、引用発明において、横流ファン31を逆回転駆動させた後に、引用例2記載の事項の冷房運転を行って熱交換器に結露を発生させる動作を付加し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 本願発明が奏する効果について 上記相違点によって本願発明が奏する効果は、当業者が引用発明及び引用例2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 ウ 請求人の主張 請求人は、令和1年12月24日の意見書の「(ロ)本願発明と引用例に記載された発明との対比」において、次のとおり主張する。 「(d)本願発明は、送風ファンの清掃(逆方向に送風ファンを回転させる動作)を先に行うことにより、以下の作用効果aと作用効果bを得ています。 (作用効果a)「送風ファン14の羽根74の先端部75に付着した繊維状の塵埃を剥離させて良好に除去することができる。…塵埃の付着による送風ファン14の送風性能の低下や冷暖房性能の低下を抑制することができる。」(段落0056参照)という作用効果。 (作用効果b)「塵埃が付着していない初期状態と同程度の状態に送風ファン14を維持することができる」(段落0049参照)という作用効果。 このような本願発明は、送風ファンの清掃を先に行うことにより、送風ファンの送風性能の低下や冷暖房性能の低下が抑制された状態になっています。そのため、本願発明は、送風ファンの清掃の後に、熱交換機の清掃(冷房運転を行って、熱交換器に結露を発生させる動作)を行うことにより、熱交換器に結露を発生させ易くすることができ、熱交換器の清掃効率を向上させることができます。しかも、本願発明は、熱交換器の清掃効率の向上により、熱交換機の清掃時間を短縮することができるため、消費電力を低減することもできます。このように、送風ファンの清掃の後に、熱交換器の清掃を行うことには、特有の作用効果が存在します。そのため、熱交換器の清掃と送風ファンの清掃とを同時に行うか、一方の後に他方を行うかは、選択事項ではないと確信致します。」 しかしながら、請求人の主張する(作用効果a)及び(作用効果b)は、いずれも、ファンを清掃することによる効果であって、引用発明の効果と格別相違するものではない。 また、請求人は、送風ファンの清掃の後に、熱交換器の清掃を行うことにより熱交換器に結露を発生させ易くすることができる旨主張するが、一般に結露の発生しやすさは、熱交換器自体の温度や、湿度等の環境条件により影響を受けるものであるが、送風ファンの清掃により格別結露を発生させ易くすることができるとはいえない。 したがって、送風ファンの清掃の後に熱交換器の清掃を行うことに、格別の作用効果が存在するとは認められない。 なお、本願の実施例においては、ファンを逆回転させて遠心力で熱交換器に塵埃を飛散、付着させてから結露を発生させて塵埃を落下させる点で、送風ファンの逆回転と結露発生の順序に技術的意義が認められるが、本願発明においては、遠心力で塵埃を飛散させることまでは特定されておらず、低速で回転させてブラシにより清掃すること等も含むものであり、上記実施例のものに限定して解釈することはできないから、上記技術的意義も認められない。 よって、請求人の主張は採用できない。 7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-000604

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