2024-004489
冷凍サイクル装置
- 審判番号
- 2024-004489
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-058407外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年03月14日
- 審決日
- 2025年11月19日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
1 手続の経緯
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本件に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、令和5年3月31日(優先権主張 令和4年3月31日)の出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
2 本願発明
本願の請求項1~16に係る発明は、令和7年5月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】圧縮機(30)と、前記圧縮機(30)が接続された冷媒回路(2)と、を備えた冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機(30)を支持する防振部材(40)と、前記防振部材(40)を支持する支持部材(50)と、前記圧縮機(30)に接続された吐出側の配管(26)における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けられた剛性部材(35)と、を備え、前記剛性部材(35)は、負荷おもり(85)としての部材であり、前記剛性部材(35)は、前記支持部材(50)に支持される冷凍サイクル装置。」
3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知で当審が通知した拒絶理由の理由(進歩性)のうち、本願発明に対して通知した拒絶の理由は、概ね次のとおりのものである。
本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1~4に記載された発明ないし技術事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
4 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1について
ア 引用文献1の記載事項及び図示事項
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引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
(ア)「[0014] 図1に示すように、本実施の形態1に係る空気調和装置1は、冷媒を介して外気と室内の空気との間で熱を移動させることにより、冷房または暖房して室内の空気調和を行うものであり、室内機2と室外機3とを有している。[0015] 空気調和装置1においては、室内機2と室外機3とが、それらの内部に配置される冷媒配管4およびそれらの外部に配置される冷媒配管4aおよび冷媒配管4bを介して接続され、冷媒を循環させる冷媒回路5が構成されている。冷媒回路5には、圧縮機10、流路切替装置11、室外熱交換器12、膨張弁13および室内熱交換器14が設けられ、これらが冷媒配管4、4aおよび4bを介して接続されている。」
(イ)「[0027] 機械室34には、室外熱交換器12と冷媒配管4における吸入配管41および吐出配管42を介して接続され、当該室外熱交換器12へと冷媒を供給する圧縮機10が設置されている。また、機械室34には、室外機3の運転有無を検知する電流センサーをはじめ、パワーモジュールおよびインバータ基板等の電気部品35が設置されている。さらに、機械室34には、圧縮機10と電気部品35とを仕切る板金部品としての側面板36が設置されている。側面板36は、筐体30の構造の一部を構成する。吸入配管41は、一端が圧縮機10に接続され、経路途中で側面板36に固定される(図5参照)。[0028](防振装置7)次に、図5~図7を参照しながら、本実施の形態1の室外機3に設置される防振装置7について説明する。図5は、図2の室外機3における防振装置7の設置例を示す概要図である。図6は、図5の防振装置7を示す正面図である。図7は、図5の防振装置7を示す平面図である。[0029] 本実施の形態1の場合、図5に示すように、圧縮機10に接続された吸入配管41には、圧縮機10と、吸入配管41が固定される側面板36と、の間に、圧縮機10から吸入配管41へと伝達される振動を低減する防振装置7が設けられている。[0030] 防振装置7は、図6および図7に示すように、吸入配管41と接続され、吸入配管41の一部を構成する接続配管71と、筐体30(図2参照)の底板31(図5参照)などに取り付けられる取付部72と、接続配管71および取付部72が配置された本体部70と、を有している。つまり、防振装置7は、吸入配管41との接続が開状態に固定された二方弁である。よって、吸入配管41の途中に防振装置7を配置しても、冷媒の流れ自体に変化を与えることはない。また、本実施の形態1の場合、防振装置7は、平面矩形状であり、正面から見て本体部70が上方に突出した形状をなしているが、形状としてはこの限りではない。[0031] 接続配管71は、本体部70を貫通して配置されており、フランジなどの接続部73を介して吸入配管41とロウ付けなどにより接続される。取付部72は、本体部70に対して接続配管71の配置方向と交わる方向、より好ましくは直交する方向に形成されている。また、取付部72には、筐体30に固定するための固定具の一つであるボルト8(図5参照)を貫通させる取付穴74が、接続配管71の配置方向と交わる方向、より好ましくは直交する方向に形成されている。さらに、取付部72と筐体30との間、および、ボルト8に取り付けられる固定具の一つであるナット9(図5参照)と取付部72との間には、弾性部材である防振ゴム75が介在される。防振ゴム75にも、取付部72と同様に、ボルト8を貫通させる穴75aが形成されている。[0032] 図5に示すように、ボルト8は、一端側が底板31に溶接などで取り付けられている。底板31に固定されたボルト8の他端側は、取付部72の底板31側に配置された防振ゴム75の穴75a、取付部72の取付穴74、および、取付部72の底板31側とは反対側に配置された防振ゴム75の穴75aを貫通してナット9と接合される。これにより、防振装置7は、筐体30の底板31に固定される。つまり、防振装置7は、取付部72と底板31との間、および、取付部72とナット9との間に、それぞれ防振ゴム75が介在された状態で底板31に対して接続配管71の配置方向と直交する方向に固定される。[0033] このように構成された室外機3においては、圧縮機10の振動が吸入配管41に伝わり、その振動が吸入配管41を介して防振装置7へと伝達される。そして、防振装置7は、防振ゴム75を介在して、ボルト8とナット9とにより、底板31に対して接続配管71の配置方向と直交する方向に固定されているため、吸入配管41から伝達された振動を底板31の方向に吸収することが可能となっている。このとき、防振ゴム75が取付部72における取付穴74の底板31側とナット9側との両端に配置されることで、防振ゴム75が取付部72における取付穴74の一方側のみに配置される場合と比較して、振動抑制効果をより高めることができる。したがって、本実施の形態1の室外機3では、圧縮機10から吸入配管41を介して、当該吸入配管41が固定される側面板36へと直接伝達されていた振動を、吸入配管41の途中に設置した防振装置7によって低減できる。」
(ウ)「[図1][図:0001431629000001.jpg]」
(エ)「[図5][図:0001431629000002.jpg]」
(オ)「[図6][図:0001431629000003.jpg]」
(カ)「[図7][図:0001431629000004.jpg]」
イ 上記アから認められること
(ア)段落[0015]及び[0027]の記載事項、並びに、[図1]及び[図5]の図示事項から、圧縮機10と、冷媒配管4における吸入配管41及び吐出配管42が接続された前記圧縮機10が設けられた冷媒回路5と、を備えた空気調和装置1が認められる。
(イ)段落[0029]~[0031]の記載事項及び[図5]の図示事項から、接続配管71は、圧縮機10に接続された吸入配管41における下方に延びた部分に一方の接続部73が接続され、他方の接続部73が吸入配管41における折り返されて上方に延びた部分に接続されることで、吸入配管41の一部を構成することが認められる。
(ウ)段落[0030]及び[0031]の記載事項、並びに、[図5]~[図7]の図示事項から、防振装置の本体部70は、上記(イ)の接続配管71に設けられていることが認められる。
(エ)段落[0030]及び[0032]の記載事項、並びに、[図5]~[図6]の図示事項から、防振装置7の本体部70は、筐体30の底板31に固定されることがいえる。また、[図5]の図示事項から、本体部70は、底板31の上に固定されることが看て取れる。
そうすると、防振装置7の本体部70は、筐体30の底板31の上に固定されることが認められる。
ウ 引用発明
上記ア及びイを踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
[引用発明]
「圧縮機10と、冷媒配管4における吸入配管41及び吐出配管42が接続された前記圧縮機10が設けられた冷媒回路5と、を備えた空気調和装置1であって、前記圧縮機10に接続された前記吸入配管41における下方に延びた部分に一方の接続部73が接続され、他方の接続部73が前記吸入配管41における折り返されて上方に延びた部分に接続されて、前記吸入配管41の一部を構成する接続配管71に設けられた、防振装置7の本体部70を備え、前記防振装置7の本体部70は、筐体30の底板31の上に固定される空気調和装置1。」
(2)引用文献2について
ア 引用文献2の記載事項及び図示事項
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引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「[0080] 〔冷凍サイクル装置内の各機器の配置〕図2及び図3に示すように、冷凍サイクル装置(1)は、筐体(2)を備える。筐体(2)は、底部材(3)と、カバー部材(4)とを有する。[0081] 筐体(2)の内部は、仕切板(5)によって、熱交換室(S1)と、機械室(S2)とに区画される。カバー部材(4)は、熱交換室(S1)及び機械室(S2)を覆っている。熱交換室(S1)には、熱源側熱交換器(34)と、ファン(39)とが配置される。ファン(39)を駆動させることで、熱源側熱交換器(34)を流れる冷媒と室外空気とが熱交換される。[0082] 機械室(S2)には、図1に仮想枠線で囲まれた複数の機器が配置される。具体的に、機械室(S2)には、第1圧縮機(10)と、第2圧縮機(20)と、冷媒回路(30)を構成する冷媒回路構成部品(31)とが配置される。なお、図示しないが、機械室(S2)には、制御部(100)が配置される。続きを表示(全11行)[0083] 第1圧縮機(10)は、複数の第1弾性部材(11)を介して中間板(5)に支持される。具体的に、第1圧縮機(10)は、第1支持脚(16)を有する。第1支持脚(16)と中間板(5)との間には、3つの第1弾性部材(11)が配置される。[0084] 第2圧縮機(20)は、複数の第1弾性部材(11)を介して同一の中間板(5)に支持される。具体的に、第2圧縮機(20)は、第2支持脚(26)を有する。第2支持脚(26)と中間板(5)との間には、3つの第1弾性部材(11)が配置される。[0085] なお、第1弾性部材(11)は、第1圧縮機(10)及び第2圧縮機(20)を支持できれば、大きな一片から構成されていてもよいし、2つ以上に分割されていてもよい。第1弾性部材(11)は、ゴム又はウレタンで構成される。[0086] 中間板(5)は、複数の第2弾性部材(12)を介して筐体(2)の底部材(3)に支持される。中間板(5)と底部材(3)との間には、4つの第2弾性部材(12)が配置される。第2弾性部材(12)は、中間板(5)の四隅にそれぞれ配置される。[0087] なお、第2弾性部材(12)は、大きな一片から構成されていてもよいし、2つ以上に分割されていてもよい。第2弾性部材(12)は、ゴム又はウレタンで構成される。第1弾性部材(11)の材料及びバネ定数と、第2弾性部材(12)の材料及びバネ定数とは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。[0088] 第1圧縮機(10)及び第2圧縮機(20)は、第1弾性部材(11)、中間板(5)、及び第2弾性部材(12)を介した二重防振構造の上に配置される。そのため、冷凍サイクル装置(1)の運転中に第1圧縮機(10)及び第2圧縮機(20)が振動しても、その振動の伝達や騒音の発生が抑制される。[0089] 第1圧縮機(10)及び第2圧縮機(20)は、複数の第1弾性部材(11)を介して同一の中間板(5)に支持される。これにより、第1圧縮機(10)及び第2圧縮機(20)を別々に離間して設置する場合に比べて、設置面積のコンパクト化を図ることができる。また、第2弾性部材(12)で支持する構造物の全体重量が増加するので、防振効果が向上する。」
(イ)「[図2][図:0001431629000005.jpg]」
イ 引用文献2に記載された技術的事項
上記アを踏まえると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[引用文献2に記載された技術的事項]
「冷凍サイクル装置(1)において、第1圧縮機(10)、第2圧縮機(20)を支持する第1弾性部材(11)、第2弾性部材(12)と、第1弾性部材(11)を支持する中間板(5)と、第2弾性部材(12)を支持する筐体(2)の底部材(3)とを備え、第1圧縮機(10)、第2圧縮機(20)は、第1弾性部材(11)に支持され、第1弾性部材(11)は、中間板(5)に支持され、中間板(5)は、第2弾性部材(12)に支持され、第2弾性部材(12)は、筐体(2)の底部材(3)に支持されること。」
(3)引用文献3について
ア 引用文献3の記載事項及び図示事項
引用文献3には、次の記載事項及び図事項がある。
(ア)「【0013】第3図は冷蔵庫の冷却装置を収納している機械室9である。8は冷却装置の圧縮機で、低温低圧の吸い込み配管10と高温高圧の吐出配管11を有している。それぞれの冷却装置配管には、配管の振動、騒音を抑制する防振錘7を取り付けている。」
(イ)「【図3】[図:0001431629000006.jpg]」
イ 引用文献3に記載された技術的事項
上記アを踏まえると、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[引用文献3に記載された技術的事項]
「冷却装置において、圧縮機8の吸い込み配管10と吐出配管11に防振錘7を取り付けて、配管の振動、騒音を抑制すること。」
(4)引用文献4について
ア 引用文献4の記載事項及び図示事項
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引用文献4には、次の記載事項及び図事項がある。
(ア)「3 考案の詳細な説明この考案は、圧縮機の吐出配管の共振を防止するようにした冷凍装置に関するものである。」(明細書第1ページ第13~15行)
(イ)「この考案はこのような点に鑑みてなされたもので、吐出配管上に集中質量となる重錘を付加することにより吐出配管の固有振動数を低下せしめ共振を防止するようにしたものである。以下、この考案の一実施例について説明する。第1図において、(1)は半密閉形冷媒圧縮機、(2)はこの圧縮機(1)を支持している防振バネ、(3)は圧縮機(1)を搭載する水冷式凝縮器、(4)は上記圧縮機(1)と凝縮器(3)とを連絡する吐出配管、(5)は吐出配管(4)の外周に後述するバンドで固定された重錘である。」(明細書第2ページ第7~17行)
(ウ)「[図:0001431629000007.jpg]」(第1図)
イ 引用文献4に記載された技術的事項
上記アを踏まえると、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[引用文献4に記載された技術的事項]
「冷凍装置において、圧縮機(1)の吐出配管(4)に重錘(5)を付加することにより、吐出配管(4)の共振を防止すること。」
(5)特開2014-119149号公報(以下、「文献A」という。)について
ア 文献Aの記載事項及び図示事項
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文献Aには、次の記載事項及び図事項がある。
(ア)「【0019】まず、圧縮機11の吐出配管111及び吸入配管112などについて説明する。圧縮機11の吐出配管111は、「圧縮機11内に連通するように圧縮機11の上部に接続され、圧縮機11の上側に延出する立ち上がり部111A」と、「立ち上がり部111Aから水平方向に延出する水平部111B」と、「水平部111Bから圧縮機11の側方である所定の高さ位置まで下側に延出する下降部111C」と、「下降部111Cから折り返されるように延出するターン部111D」とを有している。また、圧縮機11の吐出配管111の冷媒流れ下流側には、「冷媒音を抑制するマフラー111E」と、「マフラー111Eと四方弁113とを接続する接続配管111F」とが設けられている。」
(イ)「【図4】[図:0001431629000008.jpg]【図5】[図:0001431629000009.jpg]【図6】[図:0001431629000010.jpg]」
イ 文献Aに記載された技術的事項
上記アを踏まえると、文献Aには、次の事項(以下、「文献Aに記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[文献Aに記載された技術的事項]
「圧縮機11の吐出配管111において、圧縮機11の上部に接続され、圧縮機11の上側に延出する立ち上がり部111Aと、立ち上がり部111Aから水平方向に延出する水平部111Bと、水平部111Bから圧縮機11の側方である所定の高さ位置まで下側に延出する下降部111Cと、下降部111Cから折り返されるように延出するターン部111Dとを有していること。」
(6)特開2011-232017号公報(以下、「文献B」という。)について
ア 文献Bの記載事項及び図示事項
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文献Bには、次の記載事項及び図事項がある。
(ア)「【0019】圧縮機40には、低圧ガス管である吸入管43と、高圧ガス管である吐出管44とがそれぞれ接続されている。吸入管43は、圧縮機40へ吸入される冷媒が流通する。吐出管44は、圧縮機40から吐出される冷媒が流通する。吸入管43は、その入口端がアキュームレータ23を介して四路切換弁21のポートP4に接続され、その出口端が圧縮機40の吸入側に接続されている。吐出管44は、その入口端が圧縮機40の吐出側に接続され、その出口端が油分離器を介してのポートP1に接続されている。」
(イ)「【0041】図2は圧縮機40の吐出管44に高圧圧力センサ77が配設されている状態の第1実施形態を示す斜視図である。図3は、吐出管44における高圧圧力センサ77の配設箇所を示す拡大図である。図4は、吐出管44に固定された第1固定具783が、第1支持部781に取り付けられた状態を示す断面図である。【0042】吐出管44は、圧縮機40から延び、圧縮機40で圧縮された高圧冷媒が吐出されている。上述したように、高圧圧力センサ77は、圧縮機40の吐出管44に配設されている。圧縮機40から延びる吐出管44は、圧縮機40側に折り返した形状とされている。高圧圧力センサ77は、吐出管44における当該折り返し後の部分から分岐されている。」
(ウ)「【図1】[図:0001431629000011.jpg]【図2】[図:0001431629000012.jpg]」
イ 文献Bに記載された技術的事項
上記アを踏まえると、文献Bには、次の事項(以下、「文献Bに記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[文献Bに記載された技術的事項]
「圧縮機40から延びる吐出管44において、下方に延びた後で圧縮機40側に折り返した形状とされていること。」
(7)特開2009-109122号公報(以下、「文献C」という。)について
ア 文献Cの記載事項及び図示事項
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文献Cには、次の記載事項及び図事項がある。
(ア)「【0076】上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出管(53a)が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入管(53b)が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。」
(イ)「【0078】また、冷媒回路(50)には、少なくとも4つのフレア継手(64,65,66,67)と2つのサービスポート(68,69)とが設けられている。具体的に、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)の吐出管(53a)に第1フレア継手(64)が設けられ、圧縮機(53)の吸入管(53b)におけるアキュムレータ(56)の流入側に第2フレア継手(65)が設けられている。」
(ウ)「【0102】同図に示すように、圧縮機(53)には、その頂部に上記吐出管(53a)が接続されている。吐出管(53a)の途中には、上述した第1フレア継手(64)が設けられている。」
(エ)「【図6】[図:0001431629000013.jpg]」
(オ)「【図9】[図:0001431629000014.jpg]」
(カ)上記(オ)の図示事項から、吐出管(53a)は、途中に第1フレア継手(64)が設けられて下方に延びた後で上方に延びるように折り返されていることが看て取れる。
イ 文献Cに記載された技術的事項
上記アを踏まえると、文献Cには、次の事項(以下、「文献Cに記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[文献Cに記載された技術的事項]
「圧縮機(53)の頂部に接続された吐出管(53a)において、途中に第1フレア継手(64)が設けられて下方に延びた後で上方に延びるように折り返されていること。」
5 対比
(1)対比の検討
本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「圧縮機10」は、前者の「圧縮機」に相当する。
そして、後者の「冷媒配管4における吸入配管41及び吐出配管42が接続された前記圧縮機10が設けられた冷媒回路5」は、前者の「前記圧縮機が接続された冷媒回路」に相当する。
また、後者の「空気調和装置1」は、前者の「冷凍サイクル装置」に相当する。
イ 後者の「吸入配管41」は、前者の「吐出側の配管」と、「配管」である限りにおいて一致する。
また、後者の「防振装置7の本体部70」は、取付部72が形成されて、筐体30の底板31に固定されるものであり、必要な剛性を備えていることは自明であるから、前者の「剛性部材」に相当する。
そして、後者の「前記圧縮機10に接続された前記吸入配管41における下方に延びた部分に一方の接続部73が接続され、他方の接続部73が前記吸入配管41における折り返されて上方に延びた部分に接続されて、前記吸入配管41の一部を構成する接続配管71に設けられた、防振装置7の本体部70」は、接続配管71が、圧縮機10に接続された吸入配管41において、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分の一部を構成するものといえるから、前者の「前記圧縮機に接続された吐出側の配管における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けられた剛性部材」とは、「前記圧縮機に接続された配管における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けられた剛性部材」である限りにおいて一致する。
ウ 後者の「筐体30の底板31」は、前者の「支持部材」に相当する。
また、後者の「防振装置7の本体部70は、筐体30の底板31の上に固定される」ことは、本体部70が底板31の上で支持されることがいえるから、前者の「前記剛性部材」は、「支持部材に支持される」ことに相当する。
(2)一致点・相違点
上記(1)から、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1~3で相違する。
ア 一致点
「圧縮機と、前記圧縮機が接続された冷媒回路と、を備えた冷凍サイクル装置であって、前記圧縮機に接続された配管における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けられた剛性部材を備え、前記剛性部材は、支持部材に支持される冷凍サイクル装置。」
イ 相違点1
本願発明は、「圧縮機を支持する防振部材と、前記防振部材を支持する支持部材と、」を備えるのに対して、引用発明は、かかる構成を備えているか不明な点。
ウ 相違点2
前記圧縮機に接続された配管における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けられた剛性部材における「配管」に関して、本願発明は、「吐出側の配管」であるのに対して、引用発明は、「吸入配管41」である点。
エ 相違点3
剛性部材に関して、本願発明は、「負荷おもりとしての部材」であるのに対して、引用発明の「防振装置7の本体部70」は、かかる特定がされていない点。
6 判断
(1)相違点1の検討
引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とは、いずれも冷凍サイクル装置に関するものであり、技術分野が共通している。さらに、両者は防振という課題も共通しているから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用する十分な動機付けがある。
そうすると、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用して、圧縮機10を支持する弾性部材(防振部材)と、前記弾性部材を支持する筐体30の底板31(支持部材)とを備えたものとし、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易になし得たことである。
(2)相違点2の検討
引用文献3に記載された技術的事項及び引用文献4に記載された技術的事項に例示されるように、冷凍サイクル装置において、圧縮機の吐出配管に防振のための部材を設けることは、本願優先日前の周知技術(以下、「周知技術」という。)である。
そして、引用発明と周知技術とは、いずれも冷凍サイクル装置に関するものであり、技術分野が共通している。さらに、両者は防振という課題も共通しているから、引用発明に周知技術を適用する十分な動機付けがある。
また、圧縮機の吐出側の配管において、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分を設けることは、上記4(5)~(7)の文献Aに記載された技術的事項~文献Cに記載された技術的事項から理解できるように、本願の優先日前にごく普通に行われていることであるから、引用発明に周知技術を適用できないとする格別な事情も認められない。
そうすると、引用発明において、周知技術を適用し、「吸入配管における下方に延びた部分に一方の接続部が接続され、他方の接続部が前記吸入配管における折り返されて上方に延びた部分に接続されて、前記吸入配管の一部を構成する接続配管に設けられた、防振装置の本体部(剛性部材)」における吸入配管を、圧縮機の吐出配管とし、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(3)相違点3の検討
本願の明細書の段落【0209】には、「負荷おもり」が振動低減効果を備えていることが記載されている。そうすると、相違点3にかかる本願発明の発明特定事項における「負荷おもり」は、振動低減効果を奏するための部材であると解される。
そして、引用発明の「防振装置7の本体部70」も、防振のための部材であり、本願発明の「負荷おもり」と同じ効果を奏する部材といえることから、相違点3は実質的な相違点ではない。
(4)効果について
本願発明の奏する効果は、全体としてみても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、周知技術から、当業者が予測できた範囲内のものであり、格別に顕著な効果ではない。
(5)請求人の主張について
請求人の主張について以下に検討する。
ア 主張の内容
請求人は、令和7年5月27日に提出された意見書の3.の「理由(進歩性)について」において、次の主張をする。
「引用文献3の図3を見ると、「吐出配管11」に取り付けられた「防振錘7」は、「吐出配管11」にぶらさがった状態となっています。また、引用文献4の第1図を見ると、「吐出配管(4)」に取り付けられた「重錘(5)」は、「吐出配管(4)」にぶらさがった状態となっています。つまり、審判官殿が認定された周知技術とは、吐出配管にぶらさがった状態のおもりを設置すること、と思料いたします。そのような引用文献3、4の周知技術では、「配管(26)に負荷おもり(85)をぶらさげた状態にすると、配管(26)自身に負荷がかかってしまうため、好ましくない(本願の段落[0209]参照)」という本願の課題を解決することができません。また、引用文献3、4には、上述した本願発明の課題について、何ら開示も示唆もされていないため、引用文献3、4の発明を知り得た当業者が、「配管(26)に負荷おもり(85)を設けて振動低減効果を得るための構成と、配管(26)自身に負荷がかかるのを抑えるための構成と、を両立させるために、負荷おもり(85)としての剛性部材(35)を、本体ケーシング(27)の底板である支持部材(50)に支持するようにした(本願の段落[0210]参照)」という、本願発明の構成を採用しようとする動機付けが無いものと思料します。つまり、引用文献3の「防振錘7」を、引用文献1の「防振装置7の本体部70」と置き換えて、「防振錘7」を底板に支持した構成や、引用文献4の「重錘(5)」を、引用文献1の「防振装置7の本体部70」と置き換えて、「重錘(5)」を支持部材(第1図では「水冷式凝縮器(3)」)に支持した構成を採用しようとする動機付けが無いものと思料します。」(2頁1行~25行)
「引用文献3の「防振錘7」又は引用文献4の「重錘(5)」は、吐出配管にぶらさがった状態で取り付けられるものであるため、引用発明に周知技術を適用した場合には、以下の参考図面のような構成になるものと思料します。さらに、引用文献1の図5を見ると、吐出配管42は、圧縮機10の上面から上方に延びた後は、どのように配索されているのかについて、具体的に記載されておりません。ここで、例えば、引用文献1の吐出配管42が、圧縮機10から上方に延びた後、底板31に近づくように屈曲して配索されていないと、引用文献1の吸入配管41に取り付けられた「防振装置7の本体部70」を、吐出配管42に取り付けて底板31に支持することができないものと思料しますが、引用文献1には、そのような構成が何ら開示も示唆もされていません。そのため、引用文献1-4の発明を知り得た当業者が、以下の参考図面のような構成ではなく、審判官殿の言われるような、『引用発明の「防振装置7の本体部70」を、「圧縮機10」の「吐出配管42」に設け、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とする』ことは、容易になし得たことではないと思料します。」(2頁30行~43行)
イ 検討
しかしながら、剛性部材を、圧縮機に接続された配管における、下方に延びた後で上方に延びるように折り返された部分に設けることは、上記5(1)の対比の検討で述べたとおり、引用発明も備えている。
そうすると、本願発明と引用発明との相違点として、上記5(2)ウで述べたとおりの相違点2が認められる。
そして、相違点2の判断は上記(2)で述べたとおりであって、「吸入配管における下方に延びた部分に一方の接続部が接続され、他方の接続部が前記吸入配管における折り返されて上方に延びた部分に接続されて、前記吸入配管の一部を構成する接続配管に設けられた、防振装置の本体部」における吸入配管を、吐出配管42とすることは、当業者が容易になし得たことといわざるを得ない。
したがって、請求人の上記アにおける主張は採用できない。
(6)まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである
7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-004489