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特許拒絶査定不服審判

2024-007979

換気システム

審判番号
2024-007979
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-015263外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年05月14日
審決日
2025年12月08日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2023-15263「換気システム」拒絶査定不服審判事件〔令和5年3月24日出願公開、特開2023-41908〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本件に係る特許出願(以下、「本願」という。)は、平成31年4月4日に出願した特願2019-72148号の一部を、令和5年2月3日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和5年2月3日 :上申書の提出 令和5年10月16日付け:拒絶理由通知 令和5年12月4日 :意見書及び手続補正書の提出 令和6年3月12日付け :拒絶査定 令和6年5月14日 :審判請求書の提出 2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、令和5年12月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 外気を室内に取り入れ可能な換気手段と、 前記換気手段の動作モードとして、前記室内の気温である室温よりも外気温度が高いときに前記室内で使用者が就寝するときに用いられる就寝モードを有する制御手段と、 を備え、 前記制御手段は、前記室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出手段から前記二酸化炭素濃度に関する情報を取得可能であり、 前記就寝モードにおいて、前記二酸化炭素濃度が濃度閾値に達すると前記換気手段により換気動作を行う換気システム。」 3 原査定における拒絶の理由 原査定(拒絶査定)における拒絶の理由1のうち、本願発明に対する拒絶の理由は、概ね次のとおりのものである。 本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2016-70521号公報 引用文献2:特開2000-186840号公報 4 引用文献に記載された事項及び引用発明 (1)引用文献1について ア 引用文献1の記載事項及び図示事項 引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 (ア)「【0004】 従来技術では、空調機器と換気装置との一方のみを稼働させるので、就寝時に利用した場合に、起床時に空調機器が稼働し換気が行われていない状態となるおそれがあった。このような場合、就寝時に発生した二酸化炭素によって起床時における二酸化炭素濃度が高くなり、ユーザが不快と感じるおそれがあった。 【0005】 本発明は、上記事由に鑑みてなされており、その目的は、起床時における二酸化炭素濃度を低減することができる通風制御装置、通風制御システム、プログラムを提供することにある。」 (イ)「【0011】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 (実施形態) 本実施形態の概略構成を図1に示す。本実施形態は、戸建住宅5に設けられ、窓21、通風口22、換気扇23などの通気部材2、および空調機器3を制御することで、屋内環境が快適となるように制御する通風制御装置1である。本実施形態の通風制御装置1は、気温が比較的高い夏季の就寝時に使用されることを想定しており、起床前に換気を行うことで起床時における二酸化炭素濃度の低減を図る。なお、以下の説明では、通風制御装置1が戸建住宅5に設けられる場合を例として説明するが、通風制御装置1の設置場所は戸建住宅5に限定せず、例えば集合住宅、店舗、事務所、工場などに設けられていてもよい。」 (ウ)「【0014】 本実施形態の通風制御装置1は、温度情報取得部11、温度調整部12、時刻情報取得部13、記憶部14、時間演算部15、季節判断部16、および目標温度設定部17を備える。また、本実施形態では、通風制御装置1、通気部材2、空調機器3、第1計測部41、および第2計測部42で、通風制御システム10を構成している。 【0015】 温度情報取得部11は、例えばサーミスタを用いて温度を計測する温度センサで構成された第1計測部41、および第2計測部42と通信可能に構成されている。そして、温度情報取得部11は、第1計測部41、および第2計測部42それぞれから温度計測結果を取得する。 【0016】 第1計測部41は、屋内51(例えば居室内)に設けられており、屋内温度として屋内51の気温(以降、屋内気温C1という)を計測する。そして、第1計測部41は、温度計測結果(屋内気温C1)を所定の時間間隔で温度情報取得部11に送信する。 【0017】 第2計測部42は、屋外52に設けられており、屋外温度として屋外52の気温(以降、外気温C2という)を計測する。そして、第2計測部42は、温度計測結果(外気温C2)を所定の時間間隔で温度情報取得部11に送信する。 【0018】 温度調整部12は、屋内51と屋外52との間を通気状態と通気停止状態とに切り替える通気部材2と、屋内51の温熱環境を調整する空調機器3とを制御することで、屋内気温C1をユーザが快適と感じる予め設定された目標温度範囲C10内に調整する。以降、目標温度範囲C10の上限値を目標上限温度C11、目標温度範囲C10の下限値を目標下限温度C12という。 【0019】 通気部材2は、窓21、開閉可能な通風口22、換気扇23などで構成されており、温度調整部12に制御されることで、屋内51と屋外52との間を通気状態と通気停止状態とに切り替える。窓21には、窓21を開閉駆動する駆動部211が設けられており、駆動部211は、温度調整部12からの制御信号に基づいて窓21を開閉する。また、通風口22には、通風口22を開閉駆動する駆動部221が設けられており、駆動部211は、温度調整部12からの制御信号に基づいて通風口22を開閉する。そして、窓21および通風口22は、開状態となることで通気状態となり、閉状態となることで通気停止状態となる。また、換気扇23は、温度調整部12からの制御信号に基づいて稼働することで通気状態となり、停止することで通気停止状態となる。なお、本実施形態では、通気部材2として窓21、通風口22、換気扇23が設けられているが、少なくともいずれか1つを備えた構成であればよい。また、窓21、通風口22、換気扇23を区別しない場合、通気部材2という。」 (エ)「【0021】 また、温度調整部12は、通気部材2、空調機器3を制御する動作モードとして通気モード、停止モード、空調モードを備えている。温度調整部12は、動作モードが通気モードである場合、通気部材2を通気状態とし、空調機器3を停止させる。温度調整部12は、動作モードが停止モードである場合、通気部材2を通気停止状態とし、空調機器3を停止させる。温度調整部12は、動作モードが空調モードである場合、通気部材2を通気停止状態とし、空調機器3を稼働させる。温度調整部12は、動作モードを通気モード、停止モード、空調モードの中からいずれか1つを選択して実行することで、屋内気温C1を目標温度範囲C10内に調整する。 【0022】 時刻情報取得部13は、屋内51で起床するユーザの起床予定時刻の情報を取得する。具体的には、時刻情報取得部13は、ユーザが通風制御装置1に設けられた入力部(図示なし)、またはリモコン、スマートフォン、タブレットなどを用いて予め入力した起床予定時刻の情報を取得する。また、時刻情報取得部13は、目覚まし時計、またはスマートフォンなどの目覚まし機能に設定されたアラーム時刻を起床予定時刻として取得するように構成されていてもよい。 【0023】 記憶部14は、屋内気温C1と外気温C2との温度差(以降、内外温度差C3という)に対応付けて設定された通気時における屋内気温C1の時間変化の情報である温度変化情報を記憶している。すなわち、温度変化情報は、温度調整部12の動作モードが通気モードである場合における屋内気温C1の時間変化を予測したデータであり、内外温度差C3(屋内気温C1-外気温C2)の値に対応付けられている。この温度変化情報は、屋内51における人・電気機器などの構成、戸建住宅5の断熱・気密性能、季節などの温熱環境に基づいて予め設定されている。 【0024】 季節判断部16は、内外温度差C3に基づいて、現在の季節を判断する。具体的には、季節判断部16は、記憶部14を参照して、温度情報取得部11が取得した屋内気温C1と外気温C2とのデータから求められる内外温度差C3に対応する温度変化情報を取得する。そして、季節判断部16は、記憶部14から取得した温度変化情報が示す屋内気温C1の時間変化の傾きに基づいて、現在の季節を判断する。季節判断部16は、温度変化情報が示す屋内気温C1の時間変化が正(屋内気温C1が時間経過とともに上昇)である場合、通気時に屋内気温C1が上昇する第1季節(例えば盛夏(真夏)などの比較的暑い季節)であると判断する。また、季節判断部16は、温度変化情報が示す屋内気温C1の時間変化が負(屋内気温C1が時間経過とともに低下)である場合、通気時に屋内気温C1が低下する第2季節(例えば初夏、晩夏などの比較的涼しい季節)であると判断する。 【0025】 目標温度設定部17は、目標温度範囲C10内において互いに異なる2つの目標温度(第1目標温度、第2目標温度)を設定する。第1目標温度は、起床直前に行われる通気モードの開始時における屋内気温C1の目標温度に相当する。第2目標温度は、起床時における屋内気温C1の目標温度に相当する。目標温度設定部17は、季節判断部16が判断した季節が第1季節である場合、目標温度範囲C10内において第1目標温度を第2目標温度よりも低い値に設定する。また、目標温度設定部17は、季節判断部16が判断した季節が第2季節である場合、目標温度範囲C10内において第1目標温度を第2目標温度よりも高い値に設定する。 【0026】 時間演算部15は、屋内気温C1が第1目標温度から第2目標温度まで変化するのに要する時間(以降、通気時間という)、および起床予定時刻から通気時間を減算した通気開始時刻を求める。具体的には、時間演算部15は、外気温C2の過去の変化履歴、外部から取得する気象予測データなどに基づいて予測される外気温C2の変化情報を取得する。また、通気時間には、設定可能な上限値および下限値、すなわち設定可能な時間範囲が予め決められている。そして、時間演算部15は、通気時間の設定可能な時間範囲(起床予定時刻から通気時間の上限値を減算した時刻から、起床予定時刻から通気時間の下限値を減算した時刻までの時間範囲)における、外気温C2の予測値の平均を求める。次に、時間演算部15は、第1目標温度の値と等しい屋内気温C1と、求めた外気温C2の平均予測値とから求められる内外温度差C3に対応する温度変化情報を記憶部14から取得する。そして、時間演算部15は、取得した温度変化情報に基づいて、目標温度設定部17が設定した第1目標温度から第2目標温度まで屋内気温C1が変化するのに要する時間(通気時間)を求める。さらに、時間演算部15は、求めた通気時間を、時刻情報取得部13が取得した起床予定時刻から減算することで、起床直前に行う通気モードの実行開始時刻である通気開始時刻(起床予定時刻-通気時間)を求める。なお、時間演算部15は、通気時間、通気開始時刻を求める上記演算を、通風制御の開始時に行う。」 (オ)「【0029】 そして、温度調整部12は、通気開始時刻における屋内気温C1が第1目標温度となるように屋内気温C1を調整し、通気開始時刻になると通気モードの実行を開始する。 【0030】 より具体的には、温度調整部12は、季節判断部16が第1季節と判断した場合、通気開始時刻までは通気モードと空調モードとを交互に切り替えて屋内温度を目標温度範囲C10内に調整する。さらに、温度調整部12は、通気開始時刻における屋内気温C1が第1目標温度となるように、通気開始時刻までに空調機器3の設定温度を第1目標温度に設定し、空調モードを実行した状態で通気開始時刻を迎える。そして、温度調整部12は、通気開始時刻になると、動作モードを空調モードから通気モードに切り替える。」 (カ)「【0033】 まず、図2を用いて、季節が第1季節である場合における通風制御装置1の動作について説明する。ここでは、目標温度設定部17は、第1目標温度を目標下限温度C12よりも高い値Cx1、第2目標温度を目標上限温度C11よりも低い値Cx2(>値Cx1)に設定しているとする。また、時刻情報取得部13が取得した起床予定時刻が時間t6であるとする。 【0034】 時間t1において、時間演算部15は、通気時間、通気開始時刻を求める。なお、時間演算部15が求めた通気時間がT1、通気開始時刻が時間t5(=時間t6-通気時間T1)であるとする。また、屋内気温C1は、目標上限温度C11未満、目標下限温度C12以上であり、温度調整部12が通気モードを実行中であるため、屋内気温C1が時間経過とともに上昇する。 【0035】 時間t2において、屋内気温C1が目標上限温度C11となり、温度調整部12は、動作モードを通気モードから空調モードに切り替える。これにより、空調機器3が冷房運転で稼働し、屋内気温C1が低下し始める。ここで、本実施形態では、温度調整部12は、空調機器3の設定温度を第1目標温度Cx1よりも高い値Cx3に設定しており、時間t3において屋内気温C1が値Cx3となる。この値Cx3は、ユーザが快適と感じる目標温度範囲C10における中心温度であり、屋内気温C1が値Cx3に維持されることによって、ユーザがより快適に就寝することができる。 【0036】 時間t4において、温度調整部12は、通気開始時刻である時間t5(>時間t4)に屋内気温C1が第1目標温度Cx1となるように、空調機器3の設定温度を値Cx3から第1目標温度Cx1に変更する。これにより、屋内気温C1が第1目標温度Cx1まで低下する。 【0037】 通気開始時刻である時間t5において、温度調整部12は、動作モードを空調モードから通気モードに切り替える。これにより、屋内51と屋外52との間で換気が行われ、屋内気温C1が上昇し始める。 【0038】 そして、通気開始時刻(時間t5)から通気時間T1が経過した起床予定時刻である時間t6において、屋内気温C1が第2目標温度Cx2となる。すなわち、通気時間T1中に、屋内気温C1が第1目標温度Cx1から第2目標温度Cx2まで変化する。」 (キ)「【0046】 このように、本実施形態の通風制御装置1は、起床直前に行う通気モードの実行開始時刻(通気開始時刻)において、屋内気温C1が第1目標温度となるように温度調整する。そして、通気開始時刻に実行する通気モードによって、起床予定時刻までに屋内51と屋外52との間で換気が行われ、屋内気温C1が目標温度範囲C10内の第1目標温度から第2目標温度まで変化する。すなわち、本実施形態では、屋内気温C1を目標温度範囲C10内に調整し、且つ通気モードを実行した状態で起床予定時刻を迎える。したがって、起床前に屋内51の空気が換気され、就寝時に排出された二酸化炭素が屋外52に排出される。これにより、起床時において、屋内気温C1が目標温度範囲C10内に調整されており、さらに換気によって二酸化炭素濃度が低減されているので、起床時におけるユーザの快適性を向上させることができる。」 (ク)「【0048】 上述したように、本実施形態の通風制御装置1は、温度情報取得部11、温度調整部12、時刻情報取得部13、記憶部14、時間演算部15を備える。 【0049】 温度情報取得部11は、屋内温度(屋内気温C1)の情報、および屋外温度(外気温C2)の情報を取得する。温度調整部12は、屋内51と屋外52との間において通気状態と通気停止状態とを切り替える通気部材2、および屋内51の温熱環境を調整する空調機器3を制御することで、屋内気温C1を目標温度範囲C10内に調整する。時刻情報取得部13は、屋内51で起床する人の起床予定時刻の情報を取得する。記憶部14は、屋内気温C1と外気温C2との温度差(内外温度差C3)に対応付けて設定された通気時における屋内気温C1の時間変化の情報である温度変化情報を記憶する。時間演算部15は、記憶部14に記憶された温度変化情報に基づき、屋内気温C1が、目標温度範囲C10内に設定された第1目標温度から、目標温度範囲C10内に設定された第2目標温度まで変化するのに要する通気時間を求める。そして、時間演算部15は、起床予定時刻から通気時間を減算した通気開始時刻を求める。 【0050】 そして、温度調整部12は、通気開始時刻における屋内温度が第1目標温度となるように、通気開始時刻までは通気部材2および空調機器3を制御し、通気開始時刻になると、空調機器3を停止し通気部材2を通気状態に制御する。 【0051】 また、本実施形態の通風制御システム10は、上記通風制御装置1と、通気部材2と、空調機器3と、屋内温度(屋内気温C1)を計測する第1計測部41と、屋外温度(外気温C2)を計測する第2計測部42とを備える。 【0052】 また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを上記通風制御装置1として機能させる。 【0053】 このように、本実施形態の通風制御装置1、通風制御システム10、およびプログラムは、屋内気温C1を目標温度範囲C10内に調整し、且つ通気モードを実行した状態で起床予定時刻を迎える。したがって、起床前に屋内51の空気が換気され、就寝時に排出された二酸化炭素が屋外52に排出される。これにより、起床時において、屋内気温C1が目標温度範囲C10内に調整されており、さらに換気によって二酸化炭素濃度が低減されているので、起床時におけるユーザの快適性を向上させることができる。 【0054】 また、本実施形態の通風制御装置1は、季節判断部16を備える。季節判断部16は、温度情報取得部11が取得した屋内気温C1と外気温C2との温度差(内外温度差C3)に対応する温度変化情報が示す屋内気温C1の時間変化が、正である場合に第1季節、負である場合に第2季節と判断する。そして、温度調整部12は、季節判断部16が第1季節と判断した場合、空調機器3を制御して通気開始時刻における屋内気温C1を第1目標温度に調整する。また、温度調整部12は、季節判断部16が第2季節と判断した場合、空調機器3を停止し、通気部材2の通気状態と通気停止状態とを交互に切り替えることで、通気開始時刻における屋内気温C1を第1目標温度に調整する。」 (ケ)「【図1】 [図:0001431682000001.jpg] 【図2】 [図:0001431682000002.jpg] 」 イ 上記アから認められること 上記アから、引用文献1には、次の事項が認められる。 (ア)段落【0004】、【0005】、【0014】の記載事項及び図1の図示事項から、通風制御システム10は、通気部材2と起床時における二酸化炭素濃度を低減することができる就寝時のプログラムが実行される通風制御装置1とを備えるものと認められる。 (イ)段落【0011】、【0018】及び【0019】の記載事項並びに図1の図示事項から、通気部材2は、屋内51と屋外52との間を通気状態と通気停止状態とに切り替える窓21 、通風口22 、換気扇23などで構成されることが認められる。 (ウ)段落【0014】~【0017】、【0023】、【0024】、【0049】及び【0054】の記載事項並びに図1の図示事項から、通風制御装置1が備える季節判断部16は、屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1と屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2との温度差である内外温度差C3に基づいて、通気時に屋内気温C1が上昇する第1季節であると判断することが認められる。 (エ)段落【0021】、【0026】、【0029】、【0030】、【0036】~【0038】、【0046】、【0049】、【0050】及び【0053】の記載事項並びに図2の図示事項と、上記(ア)とを合わせてみると、通風制御装置1は、就寝時のプログラムを実行することにより、温度調整部12において、屋内気温C1が第1目標温度に調整された通気開始時刻から第2目標温度まで前記屋内気温C1が変化するのに要する通気時間T1が経過した起床予定時刻の間で実行され、前記通気部材2を通気状態とする起床直前に行う就寝時の通気モードを有することが認められる。 (オ)段落【0014】、【0021】、【0046】及び【0053】の記載事項と、上記(ウ)及び(エ)とを合わせてみると、通風制御装置1は、通気部材2の動作モードとして、季節判断部16が、屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1と屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2との温度差である内外温度差C3に基づいて、通気時に前記屋内気温C1が上昇する第1季節であると判断した場合に、温度調整部12において、前記屋内気温C1が第1目標温度に調整された通気開始時刻から第2目標温度まで前記屋内気温C1が変化するのに要する通気時間T1が経過した起床予定時刻の間で実行され、前記通気部材2を通気状態とする起床直前に行う就寝時の通気モードを有することが認められる。 ウ 引用発明 上記ア及びイによると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「屋内51と屋外52との間を通気状態と通気停止状態とに切り替える窓21 、通風口22 、換気扇23などの通気部材2と、 前記通気部材2の動作モードとして、季節判断部16が、前記屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1と前記屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2との温度差である内外温度差C3に基づいて、通気時に前記屋内気温C1が上昇する第1季節であると判断した場合に、温度調整部12において、前記屋内気温C1が第1目標温度に調整された通気開始時刻から第2目標温度まで前記屋内気温C1が変化するのに要する通気時間T1が経過した起床予定時刻の間で実行され、前記通気部材2を通気状態とする起床直前に行う就寝時の通気モードを有する通風制御装置1と、 を備えた通風制御システム10。」 (2)引用文献2について ア 引用文献2の記載事項及び図示事項 引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置、殊に寝室での使用を考慮して、快適睡眠や爽快な目覚めを得るための空気質の最適制御を行う空気調和装置に関するものである。」 (イ)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで上記のような空気調和装置においては、室内CO2濃度を一定値以下に維持することができ、また必要以上の換気をしないことから省エネルギーとなっているが、単に一定レベルの空気質を確保するだけであり、生活シーンに合わせた制御とはなっていない。 【0004】すなわち、図3は換気装置のない6畳寝室に2人在室時の室内CO2濃度の日内変動を示しており、明け方には3000ppmに達している。また、就寝時以外にも在室していることが室内CO2濃度の増加によりわかる。一般に室内CO2濃度は空気汚染の指標と言われていて、ビル環境基準においても1000ppmに設定されている。一方、CO2濃度の人体への影響は高濃度では呼吸器障害等が起こるが、低濃度に置いても作業能率の低下や眠くなる等の影響がある。 【0005】本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは省エネ効果が得られるとともに、生活シーンに合わせた制御を行い、特に快適睡眠や爽快な目覚めが得られるような室内空気質の最適制御が行える空気調和装置を提供するにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】しかして本発明に係る空気調和装置は、少なくとも就寝時刻・起床時刻を入力できる入力装置と、室内CO2濃度を検出するCO2センサと、室内外の空気を入れ換える換気装置と、入力装置で入力された時刻とCO2センサ出力に応じて上記換気装置を作動させる制御装置とからなり、上記制御装置は起床時刻より第1の所定時間が経過するまでは前記換気装置を強制動作させ、前記第1の所定時間経過後は前記CO2センサ出力により第1のCO2濃度以上で前記換気装置を動作させ、就寝時刻から起床時刻までの間は第1のCO2濃度より高い第2のCO2濃度以上で前記換気装置を動作させるものであることに特徴を有している。 【0007】起床時刻や就寝時刻から得られる生活シーンに応じた換気動作が得られるようにしたものである。 【0008】制御装置による起床時の換気装置の強制動作は、起床時刻より第2の所定時間前の時点から行わせるようにしてもよい。また、CO2センサから得られるCO2濃度が第1のCO2濃度を越える時のみ行わせるものであってもよい。」 (ウ)「【0013】 【発明の実施の形態】以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1に示すように、本発明に係る空気調和装置は、換気装置4とこの換気装置4の動作を制御する制御装置3のほかに、通常の入力とともに、就寝時刻・起床時刻を入力することができるようにした入力装置1を備えており、該入力装置1は例えばリモコン式で本体から離れた位置から操作できるようになっている。また、制御装置3には、CO2センサ2や記憶装置7、フィットンチッド発生装置5、マイナスイオン発生装置6が接続されている。上記CO2センサ2は室内のCO2濃度を検出するものである。 【0014】制御装置3は、入力装置1及びCO2センサ2からの情報により、換気装置4、フィットンチッド発生装置5,マイナスイオン発生装置6を最適に制御するとともに、入力装置1から入力された就寝時刻・起床時刻を週間、月間、年間のパターンデータとして加工し、記憶装置7に記憶する。 【0015】換気装置4は室内の汚れた空気を屋外に排出するとともに、新鮮な外気を導入するものであり、この時、外気中に含まれる粉塵やNOx等の汚染物質はフィルターによる吸着浄化等により浄化された外気を導入する。また、室内の暖房時や冷房時の換気による熱ロスを防ぐために熱交換タイプを用いている。」 (エ)「【0018】次に制御動作について説明すると、制御装置3は、入力装置1から入力された起床時刻Mや就寝時刻Sに応じて1日を3つの時刻帯A,B,Cに分けて、各時刻帯A,B,Cに応じて、換気装置4とフィットンチッド発生装置5とマイナスイオン発生装置6を作動させる。 【0019】すなわち、起床時刻Mから第1の所定時間t1が経過してから就寝時刻Sまでの間の時刻帯Aについては、CO2センサから得られる室内のCO2濃度に応じて換気装置4を動作させる。第1のCO2濃度(例えば1000ppm)以上になれば、換気装置4を動作させて外気を導入することで室内CO2濃度を第1のCO2濃度以下に保つ。 【0020】次に就寝時刻Sから起床時刻Mの第2の所定時間前t2までの時刻帯Bは、CO2センサで得られる室内のCO2濃度が第1のCO2濃度より高い第2のCO2濃度(例えば3000ppm)以上になった時に、換気装置4を作動させる。 【0021】そして、時刻帯Bと時刻帯Aの間の時刻帯C、つまり起床時刻Mより第2の所定時間t2前の時点から第1の所定時間t1が経過するまでの間は、強制的に換気装置4を動作させる。 【0022】人間の活動時間帯である時刻帯Aの領域では、CO2濃度が第1のCO2濃度以下に保たれるものであり、作業や勉強などの活動に適した状態が確保される。 【0023】また、就寝時間である時刻帯Bでは、換気装置4の動作が抑えられ、騒音の低下を図ることができるとともに、CO2濃度がある程度高くなるために、かえって寝付きやすくなる効果が得られる。」 (オ)「【図1】 [図:0001431682000003.jpg] 」 イ 引用文献2の技術事項 上記アから、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「換気装置4と制御装置3とを備えた空気調和装置において、前記制御装置3は、室内のCO2濃度を検出するCO2センサ2から前記CO2濃度に関する情報を取得可能であり、 就寝時刻Sから起床時刻Mの第2の所定時間t2前までの時刻帯Bの前記換気装置4の動作において、前記CO2濃度が例えば3000ppmの第2のCO2濃度に達すると前記換気装置4により換気動作を行うこと。」 5 対比 本願発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (1)後者の「屋内51と屋外52との間を通気状態と通気停止状態とに切り替える窓21 、通風口22 、換気扇23などの通気部材2」は、屋内51と屋外52との間を通気状態に切り替えたときに、屋外52の外気が屋内51に取り入れ可能な状態となるから、前者の「外気を室内に取り入れ可能な換気手段」に相当する。 (2)後者の「前記屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1」は、前者の「前記室内の気温である室温」に相当し、同様に、「前記屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2」は「外気温度」に、「通風制御装置1」は「制御手段」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「季節判断部16が、前記屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1と前記屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2との温度差である内外温度差C3に基づいて、通気時に前記屋内気温C1が上昇する第1季節であると判断した場合」は、通気時に屋内気温C1が上昇することより、屋内51の気温である屋内気温C1よりも外気温C2が高いといえるから、前者の「前記室内の気温である室温よりも外気温度が高いとき」に相当する。 また、後者の「温度調整部12において、前記屋内気温C1が第1目標温度に調整された通気開始時刻から第2目標温度まで前記屋内気温C1が変化するのに要する通気時間T1が経過した起床予定時刻の間で実行され、前記通気部材2を通気状態とする起床直前に行う就寝時の通気モード」は、上記4(1)イ(ア)及び(エ)のとおり、起床時における二酸化炭素濃度を低減することができる就寝時のプログラムが実行されることにより、温度調整部12において実行される動作モードであって、ユーザーの就寝時において起床直前に行うモードといえるから、前者の「前記室内で使用者が就寝するときに用いられる就寝モード」に相当する。 そうすると、後者の「前記通気部材2の動作モードとして、季節判断部16が、前記屋内51に設けられた第1計測部41で計測した屋内気温C1と前記屋外52に設けられた第2計測部42で計測した外気温C2との温度差である内外温度差C3に基づいて、通気時に前記屋内気温C1が上昇する第1季節であると判断したときに、温度調整部12において、前記屋内気温C1が第1目標温度に調整された通気開始時刻から第2目標温度まで前記屋内気温C1が変化するのに要する通気時間T1が経過した起床予定時刻の間で実行され、前記通気部材2を通気状態とする起床直前に行う就寝時の通気モードを有する通風制御装置1」は、前者の「前記換気手段の動作モードとして、前記室内の気温である室温よりも外気温度が高いときに前記室内で使用者が就寝するときに用いられる就寝モードを有する制御手段」に相当する。 (3)後者の「通風制御システム10」は、前者の「換気システム」に相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「外気を室内に取り入れ可能な換気手段と、 前記換気手段の動作モードとして、前記室内の気温である室温よりも外気温度が高いときに前記室内で使用者が就寝するときに用いられる就寝モードを有する制御手段と、 を備えた換気システム。」 [相違点] 「制御手段」について、本願発明は、「前記制御手段は、前記室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出手段から前記二酸化炭素濃度に関する情報を取得可能であり、 前記就寝モードにおいて、前記二酸化炭素濃度が濃度閾値に達すると前記換気手段により換気動作を行う」のに対し、引用発明は、かかる事項は備えていない点。 6 判断 (1)相違点の検討 引用文献2の技術事項は、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項に相当する構成を備えるものであり、換気システムに関するものといえる。 そして、引用発明と引用文献2の技術事項とは、換気システムという技術分野において共通する。 また、引用文献1の段落【0004】、【0005】、【0011】、【0046】及び【0053】の記載事項と引用文献2の段落【0003】~【0006】の記載事項からみて、引用発明と引用文献2の技術事項は、室内CO2濃度を低減することで、睡眠の質を上げることを課題とするものであるから、解決しようとする課題も共通する。 そうすると、引用発明と引用文献2の技術事項とは、技術分野及び解決しようとする課題が共通するから、引用発明に引用文献2の技術事項を付加する動機付けがあるものと認められる。 また、引用文献2の段落【0008】には、「制御装置による起床時の換気装置の強制動作は、起床時刻より第2の所定時間前の時点から行わせるようにしてもよい。」と記載されており、すなわち、起床時における他の換気制御を行うことと合わせて、引用文献2の技術事項に係る制御を行うことが可能であることが記載されているといえるから、引用発明に引用文献2の技術事項を付加する阻害要因は認められない。 したがって、引用発明において、引用文献2の技術事項を付加して、通風制御装置1(制御手段)が、室内のCO2濃度(二酸化炭素濃度)を検出するCO2センサ(二酸化炭素濃度検出手段)から前記CO2濃度に関する情報を取得可能であり、就寝時刻から起床時刻の所定時間前までの時刻帯の通気部材2の動作(就寝モード)において、前記CO2濃度が所定のCO2濃度(濃度閾値)に達すると前記通気部材2(換気手段)により換気動作を行うようにし、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)効果について 本願発明の奏する効果は、全体をみても、引用発明及び引用文献2の技術事項から、当業者が予測できた範囲内のものであり、格別に顕著な効果ではない。 (3)請求人の主張について 請求人の主張について以下に検討する。 ア 主張の内容 請求人は、審判請求書の【請求の理由】3.において、次の主張をする。 「引用文献1の段落[0025]には、通気モードが起床直前に行われることが記載されています。しかしながら、引用文献1には、換気手段の動作を二酸化炭素濃度に応じて制御することが一切開示されていません。このため、引用文献2を引用文献1に組み合わせる動機付けは存在せず、本願発明1に想到することは当業者にとって容易ではないと考えます。」(2頁14~18行) イ 検討 しかし、上記(1)で述べたとおり、引用発明に引用文献2の技術事項を付加する動機付けがあるものと認められる。 したがって、アに係る主張は採用することができない。 (4)まとめ したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007979

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