特許拒絶査定不服審判
2024-003775
空調システム
- 審判番号
- 2024-003775
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-235794外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年03月04日
- 審決日
- 2025年10月20日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (F24F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-235794「空調システム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月26日出願公開、特開2021-105460〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年12月26日の出願であって、その手続は以下のとおりである。
令和5年 7月27日付け :拒絶理由通知
令和5年 9月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年12月 5日付け :拒絶査定
令和6年 3月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年12月13日付け :拒絶理由通知
令和7年 2月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年 5月26日付け :拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)
令和7年 7月14日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項6に係る発明は、令和7年7月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
1. 本願発明1
「 1つの室外ユニットに対して複数の室内ユニットが接続された冷媒回路が備えられ、
前記室内ユニットは、複数の運転状態に切替自在であり、且つ、運転状態において、前記冷媒回路にて供給される冷媒を用いた空調処理を実行自在に構成されている空調システムであって、
空調空気を空調対象空間に給気する給気部と、
複数の前記室内ユニットの運転状態を制御する運転制御部とが備えられ、
複数の前記室内ユニットは、前記給気部の途中部位に備えられ、
前記給気部は、前記複数の室内ユニットにて空調処理された空気を空調空気とし、その空調空気を空調対象空間に供給するように構成され、
複数の前記室内ユニットは、空調対象空間に隣接する空間に並べて設置され、
前記空調対象空間に隣接する空間は、空調対象空間に隣接する室であり、
前記給気部は、前記給気部の途中部位に相当する空調対象空間に隣接する室に並べて設置された複数の前記室内ユニットに対して空気を供給する第1供給路と、複数の前記室内ユニットの夫々にて空調処理された空調処理後の空気から生成された空調空気を、空調対象空間に隣接する室から空調対象空間に供給する第2供給路とが備えられ、
前記室外ユニットは、圧縮機と室外三方弁と室外熱交換器と室外ファンと室外膨張弁とが備えられ、
前記室内ユニットは、前記冷媒回路に接続されて空調処理を行う室内熱交換器と、室内ファンと、前記室内熱交換器への冷媒の通流状態を調整する室内膨張弁とが備えられ、
前記運転制御部は、運転状態が異なる室内ユニットを混在させる形態で、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードを実行可能に構成されている空調システム。」
第3 当審拒絶理由通知における拒絶の理由
当審拒絶理由通知における拒絶の理由は、大略、次のとおりのものである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献一覧
1.特開2018-25337号公報
2.国際公開第2017/199289号(周知技術を示す文献)
3.特開2018-9772号公報(周知技術を示す文献)
4.国際公開第2019/198134号(周知技術を示す文献)
5.特開2015-10793号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2017-156011号公報(周知技術を示す文献)
7.国際公開第2018/220810号(周知技術を示す文献)
8.特開2013-53836号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1.引用文献1
引用文献1には、「空調機」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1)「【0007】
本発明に係る空調機は、上述した課題を解決するために、圧縮機と、冷媒の流路を切り替える複数の四方弁と、外部の熱源と前記冷媒との間で熱交換する複数の外部熱源熱交換器と、前記冷媒を膨張させる複数の膨張弁と、前記冷媒と空調対象の空気との間で熱交換する複数の空調用熱交換器と、前記圧縮機後段および前記圧縮機前段に接続された冷媒配管と、前記圧縮機後段で前記冷媒配管から複数に分岐し、前記圧縮機前段で前記冷媒配管に合流した複数の分岐配管と、を備え、各前記分岐配管は、一の前記四方弁と、一の前記外部熱源熱交換器と、少なくとも一の前記空調用熱交換器と、少なくとも一の前記膨張弁とを接続した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空調機においては、温度または湿度を好適に調整することができる。」
(2)「【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る空調機の第1実施形態を示す概略構成図である。
【0012】
空調機1は、外部熱源としての熱源水の供給を受けて冷媒の温度調節を行う、水熱源ヒートポンプ式の空調機である。熱源水は、例えば、ビルの屋上などに設置された冷却塔(クーリングタワー)の冷却水温度調節装置や、ボイラーなどで温度制御された水である。
【0013】
空調機1は、圧縮機2と、複数の四方弁3a、3bと、複数の水熱交換器4a、4bと、複数の膨張弁5a、5bと、複数の空調用熱交換器7a、7bと、を有する。
【0014】
圧縮機2は、冷媒を圧縮する。圧縮機2は、インバータ制御可能な能力可変の圧縮機2である。なお、圧縮機2は、インバータ制御などの能力可変でない、定速の圧縮機を用いてもよい。四方弁3a、3b(以下、区別しない場合は単に四方弁3という。)は、冷媒の流路を切り替えることで冷房運転と暖房運転とを切り替える。水熱交換器4a、4b(水熱交換器4)は、外部熱源交換器として設けられ、外部の熱源として供給された熱源水と冷媒との間で熱交換する。膨張弁5a、5b(膨張弁5)は、電子膨張弁であり、冷媒を膨張させる。また、膨張弁5は、開閉し(開度を調整し)、冷媒が流れないようにすることもできる。空調用熱交換器7a、7b(空調用熱交換器7)は、空調対象熱交換器として設けられ、冷媒と空調対象の空気との間で熱交換する。
【0015】
圧縮機2は、1台設けられる。これに対して、四方弁3、水熱交換器4、膨張弁5、空調用熱交換器7は、複数設けられる。本実施形態においては、これらは、それぞれ2つずつ設けられる。また、四方弁3a、3b、水熱交換器4a、4b、膨張弁5a、5bおよび空調用熱交換器7a、7bは、同一のものである。例えば、水熱交換器4a、4bおよび空調用熱交換器7a、7bは、容量が同一である。
【0016】
空調機1は、冷媒配管10および分岐配管11を有する。冷媒配管10は、圧縮機2後段および圧縮機2前段に接続されている。分岐配管11は、圧縮機2後段で冷媒配管10から複数に分岐し、圧縮機2前段で冷媒配管10に合流している。
【0017】
各分岐配管11は、四方弁3、水熱交換器4、膨張弁5、および空調用熱交換器7を順次環状に接続する。これにより、空調機1は、一つの圧縮機2で、2つのヒートポンプサイクル15a、15b(ヒートポンプサイクル15)を有する。
【0018】
空調機1は、四方弁3の切換により、空調用熱交換器7において冷房時には冷媒を蒸発させ、暖房時には冷媒を凝縮させる。冷媒は、冷房運転時には、圧縮機2、水熱交換器4、膨張弁5、空調用熱交換器7の順に循環する。冷媒は、暖房運転時には、圧縮機2、空調用熱交換器7、膨張弁5、水熱交換器4の順に循環する。
【0019】
また、空調機1は、送風機17を有している。送風機17は、空調対象空気をフィルタを介して室内から空調機1に吸い込む。また、送風機17は、空調された空気を室内に吹き出す。送風機17は、空気熱交換器7a、7bに対して1機設けられている。なお、送風機17は、空気熱交換器7a、7bに対して1機ずつ、すなわち2機設けられていてもよい。
【0020】
空調機1は、吸込側センサ18と、吹出側センサ19と、制御装置20と、を有する。吸込側センサ18は、室内から吸い込まれた空調対象空気の温度および湿度を計測する。吹出側センサ19は、室内に吹き出される空調された空気の温度および湿度を計測する。制御装置20は、空調機1の各部を電気的に制御する。
【0021】
空調機1は、室内側筐体21を有する。室内側筐体21は、圧縮機2、四方弁3、水熱交換器4、膨張弁5、空調用熱交換器7および送風機17を主に収納している。これにより、空調機1は、すべての構成要素が一つの筐体に収納された、一体型の装置(ユニット)として構成されている。すなわち、空調機1は、熱源機(室外機)および室内機に分割されていない。
【0022】
室内側筐体21は、空調対象空気を室内から吸い込む吸込口25と、空調された空気を室内に吹き出す吹出口26と、吸込口から吹出口への通風路27と、を有する。通風路27は、吸込口25から取り込まれた空気が空調用熱交換器7を並列に通過し、空調用熱交換器7を通過した空気が混合されて吹出口26から吹き出されるように形成されている。
【0023】
すなわち、取り込まれた空気27a、27bが空調用熱交換器7a、7bにほぼ均等(1/2ずつ)に導かれて熱交換し、熱交換した空気27c、27dが混合されて空気27eとして送られるように、空調用熱交換器7および送風機17は配置されている。
【0024】
ここで、制御装置20は、四方弁3を切り替えることにより後述する運転モードを切り替える。具体的には、制御装置20は、吸込側センサ18および吹出側センサ19により計測された温度および湿度と、ユーザにより設定された温度および湿度との比較結果を取得する。制御装置20は、比較結果に基づいて、予め登録されたプログラムに従って各四方弁3を切り替えることにより冷房、暖房、または送風して温度および湿度を調整する。これにより、制御装置20は、ユーザにより設定された温度および湿度になるように空調機1の運転モードを自動的に制御する。なお、制御装置20は、冷房、暖房および送風の切替をユーザの操作に基づいて実行してもよい。
【0025】
以下、制御装置20により制御される運転モードについて、具体的に説明する。一例として第1から第6の運転モードについて、説明する。」
(3)「【0027】
第1の運転モードは、ヒートポンプサイクル15a、15bがともに冷房運転をする高顕熱冷房運転モードである。」
(4)「【0031】
第2の運転モードは、ヒートポンプサイクル15aが暖房運転をし、ヒートポンプサイクル15bが冷房運転をする除湿再熱冷房運転モードである。」
(5)「【0037】
第3の運転モードは、ヒートポンプサイクル15aが送風運転をし、ヒートポンプサイクル15bが圧縮機2を定格の1/3の運転周波数で稼働させた状態で冷房運転をする低負荷(部分負荷)冷房運転モードである。」
(6)「【0041】
第4の運転モードは、ヒートポンプサイクル15aが送風運転をし、ヒートポンプサイクル15bが圧縮機2を定格の1/4の運転周波数で稼働させた状態で冷房運転をする低負荷(部分負荷)冷房運転モードである。」
(7)「【0046】
第5の運転モードは、ヒートポンプサイクル15a、15bがともに暖房運転をする暖房運転モードである。」
(8)「【0049】
第6の運転モードは、送風機の風量を2/3に減じ、ヒートポンプサイクル15a、15bがともに圧縮機2を定格の2/3の運転周波数で稼働させた状態で暖房運転をする低負荷暖房運転モードである。」
(9)「【0063】
[第2実施形態]
図9は、本発明に係る空調機の第2実施形態を示す概略構成図である。
【0064】
第2実施形態に係る空調機41が第1実施形態における空調機1と異なる点は、外部熱源熱交換器が空気熱交換器44a、44b(空気熱交換器44)である点と、空調用熱交換器7a、7bの配置である。その他、第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、説明に必要な構成のみ図示し、第1実施形態と共通するその他の構成(送風機、制御装置、吸込側センサ、吹出側センサなど)については、図示を省略する。
【0065】
図9においては、空調機41は、ヒートポンプサイクル45aが冷房運転をし、ヒートポンプサイクル45bが暖房運転をする除湿再熱冷房運転モードで運転している例を代表例として示す。なお、第2実施形態における空調機41も、第1実施形態と同様に、第1~第7の運転モードで運転し、ほぼ同様の作用効果を奏するが、ここでは説明および図示を省略する。
【0066】
空調機41は、外部熱源としての空気の供給を受けて冷媒の温度調節を行う、空気熱源ヒートポンプ式の空調機である。空気は、空調機41が設置された部屋の外壁面に設けられた給排気口より外気を取り込む。このため、空調機41は、空調用熱交換器7用の送風機17(図1参照)に加えて、さらに空気熱交換器44用の送風機47を有している。送風機47は、空気熱交換器44に外気を取り込み、取り込まれた外気は、空気熱交換器44を通過する冷媒を凝縮または蒸発させる。
【0067】
室内側筐体21は、空調対象空気を室内から吸い込む吸込口55と空調された空気を室内に吹き出す吹出口56と、吸込口55から吹出口56への通風路57と、を有している。通風路57は、吸込口55から吸い込まれた空気57aが空調用熱交換器7a、7bを順次通過し、空気57bとして吹出口56から吹き出されるように形成されている。
【0068】
第2実施形態における空調機41は、空気熱交換器44a、44bを流れる冷媒が互いに熱交換するように流路が形成されている。これにより、空調機41は、外気を熱源とする空気熱交換器44のためのデフロスト運転を不要とすることができるという効果を有する。
【0069】
すなわち、例えば、空気熱交換器44の熱源温度である外気温が0℃以下である場合、暖房運転をする空気熱交換器44aに霜がつき、デフロスト運転が必要になる場合がある。ここで、暖房運転をするヒートポンプサイクル45aの空気熱交換器44aは、蒸発器として機能し、低圧ガスの冷媒と熱交換する。冷房運転をするヒートポンプサイクル45bの空気熱交換器44bは、凝縮器として機能し、高圧ガスの冷媒と熱交換する。これら低圧ガスと高圧ガスとは、熱源が共通する空気熱交換器44a、44bを通過するため互いに熱交換するようになっている。高圧ガスの熱は低圧ガスに移動し、低圧ガスの蒸発温度は上昇するため、空気熱交換器44に霜がつきにくくすることができる。これにより、空調機41は、空気熱交換器44のためのデフロスト運転を不要とすることができる。また、熱交換により、低圧ガスの冷媒の蒸発温度および圧力を上昇させることができるため、圧縮機2の運転効率も向上することができる。
【0070】
このような第2実施形態における空調機41は、第1実施形態と同様、冷房運転、暖房運転および送風運転の組み合わせにより、温度のみならず湿度も調節することができる。また、空調機41は、部分負荷状態においても、きめ細やかに対応することができる。このため、空調機41は、自在に顕熱処理、潜熱処理および部分負荷に対応した運転ができる。」
(10)「【図1】
[図:0001430556000001.jpg]
」
(11)「【図9】
[図:0001430556000002.jpg]
」
(12) (2)の記載事項及び(10)の図示事項から、2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、いずれも、膨張弁5及び空調用熱交換器7が分岐配管11により順次環状に接続されるものといえる。
(13) (2)の段落【0024】の記載事項、及び(3)ないし(8)の記載事項から、制御装置20は、運転状態が異なるヒートポンプサイクル15a及びヒートポンプサイクル15bを混在させ、冷房、暖房、又は送風に切り替える第1から第6運転モードを制御しているといえる。
そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 外部熱源と、膨張弁5及び空調用熱交換器7が分岐配管11により順次環状に接続される2つのヒートポンプサイクル15a、15bを備え、
前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、冷房、暖房、又は送風に切り替え可能であり、冷媒と空調対象の空気との間で熱交換する空調機1であって、
通風路27は、吸込口25から取り込まれた空気が2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7a、7bを並列に通過し、混合されて吹出口26から吹き出されるように形成され、
前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bの運転モードを切り替える制御装置20を有し、
前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、取り込まれた空気27a、27bが空調用熱交換器7a、7bにほぼ均等に導かれて熱交換し、熱交換した空気27c、27dが混合されて空気27eとして送られるように、空調用熱交換器7a、7bおよび送風機17が配置され、
前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、膨張弁5a、5b、及び空調用熱交換器7a、7bを順次環状に接続し、送風機17を有し、
前記制御装置20は、予め登録されたプログラムに従って、ユーザにより設定された温度及び湿度になるように空調機1の運転モードを自動的に制御する空調機1。」
2.引用文献2
引用文献2には、「空気調和装置」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「[0016] 実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置100の冷媒回路構成を示す冷媒回路図である。
空気調和装置100は、室外機(熱源機、熱源側ユニット)Aと、互いに並列に接続された複数の室内機(負荷側ユニット)B、Cと、中継機Dを備えている。室外機Aと中継機Dとは、高圧配管である第1の延長配管31、低圧配管である第2の延長配管32で接続されている。中継機Dと室内機B、Cとは第3の延長配管33b、33c、第4の延長配管34b、34cで接続されている。
[0017] 空気調和装置100には更に、制御装置90が設けられている。制御装置90は、室内機B、Cの冷房、暖房の切り替え、設定温度の変更、後述の各開閉装置、流量制御装置、絞り装置などを制御する。制御装置90は、各開閉装置、流量制御装置、絞り装置等を制御することにより、運転モードを切り替える機能を有している。制御装置90は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコンやCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。空気調和装置100の運転モードには、冷房運転及び暖房運転がある。冷房運転には、全冷房運転及び冷房主体運転があり、暖房運転には、全暖房運転及び暖房主体運転がある。これらの各運転モードの詳細については後述する。
[0018] 冷媒としては、フロン冷媒又はHFO冷媒が用いられる。フロン冷媒としては、例えば、HFC系冷媒のR32冷媒、R125、R134aなど、又は、これらの混合冷媒のR410A、R407c、R404Aなどがある。また、HFO冷媒としては、例えば、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1234ze(Z)などがある。また、その他、冷媒としては、CO2冷媒、HC冷媒(例えばプロパン、イソブタン冷媒)、アンモニア冷媒、R32とHFO-1234yfとの混合冷媒のように前記の冷媒の混合冷媒など、蒸気圧縮式のヒートポンプに用いられる冷媒が用いられる。
[0019] なお、本実施の形態1では、1台の室外機Aに、2台の室内機B、Cを接続した例について説明するが、室内機は3台以上でもよく、また、2台以上の室外機を並列に接続してもよい。」
(2)「[0053] 空気調和装置100の運転動作には、室外熱交換器3が凝縮器として機能する全冷房運転と、冷房主体運転と、室外熱交換器3が蒸発器として機能する全暖房運転と、暖房主体運転との4種類の運転モードがある。全暖房運転は、運転中の全ての室内機が暖房のみを行う運転である。全冷房運転は、運転中の全ての室内機が冷房のみを行っている運転である。冷房主体運転もしくは暖房主体運転は、暖房を行っている室内機と冷房を行っている室内機とが混在する冷暖同時運転であり、冷房主体運転は、冷房負荷が暖房負荷よりも多い場合に行われ、暖房主体運転は暖房負荷が冷房負荷よりも多い場合に行われる。」
(3)「[図1]及び[図2]
[図:0001430556000003.jpg]
」
そうすると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2の技術事項」という。)が記載されている。
「1台の室外機(熱源機、熱源側ユニット)Aと、複数の室内機(負荷側ユニット)B、Cを備えた空気調和装置100であって、制御装置90は、各開閉装置、流量制御装置、絞り装置等を制御することにより、運転モードを切り替える機能を有し、運転中の全ての室内機が暖房のみを行う全暖房運転、運転中の全ての室内機が冷房のみを行う全冷房運転、暖房を行っている室内機と冷房を行っている室内機とが混在する冷暖同時運転である冷房主体運転もしくは暖房主体運転を行うこと。」
3.引用文献3
引用文献3には、「冷暖切替ユニット及びそれを備える空気調和機」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「【0014】
図1は、本実施形態の空気調和機100の系統図である。この空気調和機は、それぞれの室内機40ごとに、独立して冷暖同時運転可能なものである。図1では、弁の開閉状態を把握しやすくするため、高低圧ガス管用膨張弁31a~31d及び低圧ガス管用膨張弁32a~32dについて、弁の開放、閉止又は開度制御の別を、弁を示す記号を分けて示している。空気調和機100は、室外機10と、室内機40(室内機40a,40b,40c,40dの総称)と、室内機40と室外機10との間に存在する冷暖切替ユニット30(冷暖切替ユニット30a,30b,30c,30dの総称)を備えている。即ち、本実施形態の空気調和機100には、本実施形態の冷暖切替ユニット30が備えられている。そして、室外機10と室内機40との間で冷凍サイクルが形成され、冷暖切替ユニット30は、室外機10と室内機40との間に配置されている。
【0015】
なお、図1では、室内機40が4台の構成を示しているが、この台数に限らず、複数台構成であってもよい。また、室外機10が1台の構成を示しているが、この台数に限らず、複数台構成であってもよい。
【0016】
室内機40は、暖房運転、冷房運転、暖房高圧停止、停止(低圧停止)の四つの状態のうちのいずれかの状態になっている。そして、複数の室内機40は、それぞれ独立して、暖房運転と冷房運転との混在運転を行うことができる。また、暖房又は冷房運転と、暖房高圧停止や停止の状態との混在状態にすることもできる。ちなみに、図1は、室内機40aが暖房運転、室内機40bが暖房高圧停止、室内機40cが低圧停止、室内機40dが冷房運転の混在運転の場合を示している。」
(2)「【0019】
また、冷暖切替ユニット30は、高低圧ガス管用膨張弁31及び低圧ガス管用膨張弁32の開閉により、室内機40を通流する冷媒の通流方向を変えるものである。即ち、これらの弁の開閉が制御されることで、冷暖切替ユニット30を構成する冷媒配管を通流する冷媒の流れが制御され、これにより、室内機40における冷媒の通流方向が制御されることになる。具体的には、これらの弁の開閉によって、接続部37と接続部39と、又は、接続部38と接続部39とが、冷媒配管を介して選択的に接続される。そして、これにより、冷媒の通流方向が制御されることになる。さらに、この開閉動作による冷媒の通流方向の制御とともに、室内機膨張弁42(室内機膨張弁42a,42b,42c,42dの総称)の減圧絞りと連係することで、室内機熱交換器41(室内機熱交換器41a,41b,41c,41dの総称)の蒸発器の作用と凝縮器の作用とが切替えられる。」
(3)「【図1】
[図:0001430556000004.jpg]
」
そうすると、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3の技術事項」という。)が記載されている。
「1台の室外機10と、4台の室内機40を備えた空気調和機100は、それぞれの室内機40ごとに、独立して冷暖同時運転可能なものであって、冷暖切替ユニット30が高低圧ガス管用膨張弁31及び低圧ガス管用膨張弁32の開閉により、室内機40を通流する冷媒の通流方向を変えるものであり、これにより、室内機40をそれぞれ独立して、暖房運転と冷房運転との混在運転、また、暖房又は冷房運転と、暖房高圧停止や停止の状態との混在状態にすることができること。」
4.引用文献4
引用文献4には、「空気調和機」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「[0064] 実施の形態2.
図6から図8は、この発明の実施の形態2に係るものである。図6は空気調和機が備える冷媒回路の全体構成を示す図である。図7は空気調和機が備える中継器の各弁の開閉状態を示す図である。そして、図8は空気調和機の動作の一例を示すフロー図である。
[0065] 前述した実施の形態1は、複数の室内機は同時に同じ種類の運転しかできなかった。すなわち、例えば、第1の室内機10aが冷房運転している時には、第2の室内機10bも冷房運転しかできない。また、第1の室内機10aが暖房運転している時には、第2の室内機10bも暖房運転しかできない。第2の室内機の運転時における第1の室内機の運転についても同様の関係である。これに対し、ここで説明する実施の形態2は、複数の室内機で同時に異なる種類の運転も可能である構成、すなわち、いわゆる冷暖同時運転が可能な構成としたものである。以下、この実施の形態2に係る空気調和機について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
[0066] この実施の形態に係る空気調和機は、図6に示すように、第1の室内機10a、第2の室内機10b及び室外機20に加えて、中継器40を備えている。なお、ここで説明する構成例は、室内機の台数が2台であるが、実施の形態1と同じく室内機は3台以上であっても構わない。」
(2)「[0079] 次に、図6及び図7を参照しながら、以上のように構成された空気調和機の通常運転時における動作について説明する。なお、図7の表における「O」はその弁を開放し、「X」はその弁を閉止することを表している。
[0080] この実施の形態に係る空気調和機は、全冷房運転、全暖房運転及び冷暖同時運転が可能である。全冷房運転は、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの両方が冷房を行う運転である。全暖房運転は、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの両方が暖房を行う運転である。冷暖同時運転は、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの一方が冷房を行い、他方が暖房を行う運転である。したがって、第1の室内機10a及び第2の室内機10bのそれぞれにおいて、冷房を行うか暖房を行うかを任意に選択できる。」
(3)「[図6]及び[図7]
[図:0001430556000005.jpg]
」
そうすると、引用文献4には、以下の事項(以下、「引用文献4の技術事項」という。)が記載されている。
「空気調和機は、第1の室内機10a、第2の室内機10b及び室外機20を備えた空気調和機において、中継器40の第1~第4の中継器遮断弁45a、45b、46a、46bを開閉することにより、第1の室内機10a及び第2の室内機10bのそれぞれにおいて、冷房を行うか暖房を行うかを任意に選択し、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの両方が冷房を行う全冷房運転、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの両方が暖房を行う全暖房運転、第1の室内機10a及び第2の室内機10bの一方が冷房を行い、他方が暖房を行う冷暖同時運転を可能とすること。」
5.引用文献5
引用文献5には、「熱量表示装置および方法」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「【0002】
従来より、セントラル空調システムなどの空調制御システムでは、空調制御の対象空間へ調和された空気を供給する空調設備として空調機を備え、この空調機への冷温水の供給量や空調機からの調和空気の送風量を空調制御の対象空間の負荷状態応じて制御するようにしている。以下、本明細書では、空調制御の対象空間を単に対象空間と呼ぶこともあるが、本明細書中の「対象空間」とは全て空調制御の対象区間のことを指す。
【0003】
図17に従来の空調制御システムの要部を示す(例えば、特許文献1参照)。同図において、1は空調機、2は空調機1に付設された制御装置、3は空調機1からの調和空気(給気)が供給される空調制御の対象空間である。【0004】
空調機1には、冷水コイル1A、温水コイル1B、送風機(給気ファン)1Cが設けられている。また、冷水コイル1Aへの冷水CWの供給通路には冷水バルブ4が、温水コイル1Bへの温水の供給通路には温水バルブ5が設けられている。空調制御の対象空間3には温度センサ6が設けられている。」
(2)「【図17】
[図:0001430556000006.jpg]
」
(3) (1)の記載事項及び(2)の図示事項から、空調機1は、空調制御の対象空間の天井と隣接する空間に備えられているといえる。
そうすると、引用文献5には、以下の事項(以下、「引用文献5の技術事項」という。)が記載されている。
「冷水コイル1A、温水コイル1B、送風機1Cが設けられた空調機1を、空調制御の対象空間と隣接する空間に備えること。」
6.引用文献6
引用文献6には、「空調システム」に関し、以下の記載事項及び図示事項がある。
(1)「【0021】
≪実施形態≫
-空調システムの概要-
本実施形態に係る空調システム(1)は、複数台の室内ユニット(10)が1台の室外ユニット(80)に接続された状態において、各室内ユニット(10)の風向調節羽根(51)を制御するシステムである。図1及び図6に示すように、空調システム(1)は、複数台の室内ユニット(10)と、1台の室外ユニット(80)と、制御部(70)とを備える。各室内ユニット(10)は、室外ユニット(80)と連絡配管(L1)を介して接続されており、これによって冷媒が循環して冷凍サイクルを行う冷媒回路が形成されている。
【0022】
複数台の室内ユニット(10)それぞれは、室内空間(500)内の天井に埋め込まれるようにして設置されるとともに、水平方向において互いに所定距離α隔てて設置されており、室内空間(500)に向けて空気を吹き出す。本実施形態では、各室内ユニット(10)は同じ構成を有しているが、その構成については後述する。」
(2)「【図1】
[図:0001430556000007.jpg]
」
そうすると、引用文献6には、以下の事項(以下、「引用文献6の技術事項」という。)が記載されている。
「空調システム(1)の複数台の室内ユニット(10)それぞれは、室内空間(500)内の天井に埋め込まれるようにして設置されること。」
7.引用文献7
引用文献7には、「空気調和装置」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「[0013] 室内機10aは、室内熱交換器1aと、ファン6aと、制御装置7aと、冷媒センサ3aとを備えている。室内熱交換器1aには、室外機接続配管2を介して室外機30から流入した冷媒が流通し、室内熱交換器1aを流通した冷媒は、室外機接続配管2を介して室外機30に戻る。ファン6aは、吸込グリル9を介して室内の空気を室内機10aの内部に吸い込み、室内熱交換器1a及び吹出ダクト4aを介して部屋5aに送風する。これにより、室内機10aに吸い込まれた空気が室内熱交換器1aを流通する冷媒と熱交換され、室内機10aによる部屋5aの空調が行われる。」
(2)「[図1]及び[図2]
[図:0001430556000008.jpg]
」
(3) (1)の記載事項及び(2)の図示事項から、室内機10aは部屋5aの天井に隣接する空間に配置され、吹出ダクト4aを介して送風を行うものといえる。
そうすると、引用文献7には、以下の事項(以下、「引用文献7の技術事項」という。)が記載されている。
「室内機10aは部屋5aの天井に隣接する空間に配置され、吹出ダクト4aを介して送風を行うこと。」
8.引用文献8
引用文献8には、「空調機能付外調機」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「【0013】
図1と図2は、本発明の空調機能付外調機の一実施例を示しており、この空調機能付外調機は、ケーシング1と、蒸気式加湿器2と、風量調整機構Dと、水量調整機構Vと、制御装置3と、を備えている。建物の天井裏の一部に設けられた閉空間には、空調用空気として屋外からの外気と室内からの還気との混合比率を調整自在な風量調整機構Dを、設け、閉空間を簡易の機械室として使用しその内部に横長のケーシング1を設置する。閉空間を成す壁部と天井板には、風量調整自在な比例式の外気ダンパ4及び還気ダンパ5を設けて、風量調整機構Dを構成する。図例では、閉空間は、壁部、床部、天井板、仕切部にて構成しているが、その構成変更は自由である。」
(2)「【0030】
図6は他の実施例で、簡易の機械室として天井裏以外の室内の一部に設けた閉空間に縦長のケーシング1を設置した場合を示している。閉空間を成す壁部には、風量調整自在な外気ダンパ4及び還気ダンパ5を設ける。図例では、閉空間は、壁部、床部、仕切部にて構成しているが、その構成変更は自由である。仕切部はパーティションなどを利用することができる。」
(3)「【図1】
[図:0001430556000009.jpg]
」
(4)「【図6】
[図:0001430556000010.jpg]
」
そうすると、引用文献8には、以下の事項(以下、「引用文献8の技術事項」という。)が記載されている。
「簡易の機械室として天井裏の一部又は天井裏以外の室内の一部に設けた閉空間に空調機能付外調機のケーシング1を設置すること。」
9.国際公開第2019/171463号(以下「文献9」という。)
本願の出願前に頒布された、周知技術を示す文献である文献9には、「空気調和装置」に関し、以下の記載事項、図示事項及び認定事項がある。
(1)「[0011] 以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の空気調和装置1000の構成を表わす図である。
[0012] 空気調和装置1000は、室外ユニットと、室内ユニットとを備える。
室外ユニットは、圧縮機1と、切替弁2と、カスケード熱交換器3と、膨張弁4と、室外側熱交換器5と、が第1接続配管21で接続され、圧縮機1及び室外側熱交換器5と並列接続された第2接続配管22がバイパスされた冷媒回路100と、室外側熱交換器5に風を送る送風機6とを備える。」
(2)「[0019] 切替弁2は、冷媒の流路を切り替える。切替弁2は、暖房運転時およびプレヒート運転時には、圧縮機1の吐出側をカスケード熱交換器3の入口側に接続することによって、圧縮機1から吐出された冷媒をカスケード熱交換器3に流す第1流路を形成する。切替弁2は、除霜運転時には、圧縮機1の吐出側をバイパス配管である第2接続配管22を経由して、室外側熱交換器5の入口に接続することによって、圧縮機1から吐出された冷媒を室外側熱交換器5に流す第2流路を形成する。切替弁2は、制御装置31からの指示信号に従って、流路を切り替える。」
(3)「[0021] 膨張弁4は、カスケード熱交換器3から吐出された冷媒を減圧して膨張させる。
室外側熱交換器5は、暖房運転時およびプレヒート運転時には膨張弁4で減圧された冷媒、除霜運転時には、圧縮機1から吐出されて直接送られてくる冷媒を室外の空気と熱交換させる。送風機6からの空気によって室外側熱交換器5における熱交換が促進される。送風機6は、ファンと、ファンを回転させるモータとを含む。」
(4)「[図1]
[図:0001430556000011.jpg]
」
(5) (2)の記載事項及び(4)の図示事項から、切替弁2は三方弁といえる。
そうすると、文献9には、以下の事項(以下、「文献9の技術事項」という。)が記載されている。
「室外ユニットは、圧縮機1と、三方弁である切替弁2と、膨張弁4と、室外側熱交換器5と、が第1接続配管21で接続され、圧縮機1及び室外側熱交換器5と並列接続された第2接続配管22がバイパスされた冷媒回路100と、室外側熱交換器5に風を送るファンである送風機6とを備えること」
10.特開2013-148331号公報(以下「文献10」という。)
本願の出願前に頒布された刊行物であって、周知技術を示す文献である文献10には、「ヒートポンプシステム」に関し、以下の記載事項、図示事項がある。
(1)「【0039】
このヒートポンプシステムは、図1に示すように、熱源側ユニット(120)と第1高温側ユニット(110a)と複数の第2高温側ユニット(110b)と複数の低温側ユニット(150)とコントローラ(100)とを備えている。また、熱源側ユニット(120)には熱源側回路(20)が設けられ、第1高温側ユニット(110a)には第1高温側回路(高温側回路)(10a)が設けられ、第2高温側ユニット(110b)には第2高温側回路(高温側回路)(10b)が設けられ、低温側ユニット(150)には低温側回路(50)が設けられている。」
(2)「【0043】
上記熱源側ユニット(120)の熱源側回路(20)は、熱源側圧縮機(熱源側圧縮機構)(21)と熱源側熱交換器(補助熱交換器)(25)と高温側カスケード熱交換器(14)と熱源側膨張弁(22)と低温側カスケード熱交換器(54)と三方弁(26)と高温側流路調整弁(62)と低温側減圧弁(63)とが冷媒配管で接続されてなる。尚、後述するが、上記三方弁(26)の切換動作により、上記熱源側熱交換器(25)が蒸発器として機能したり、凝縮器として機能したりする。」
(3)「【0065】
上記熱源側回路(20)の熱源側熱交換器(25)は、例えばクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成され、冷媒通路(図示なし)及び空気通路(図示なし)を有している。この熱源側熱交換器(25)の近傍には送風ファン(図示なし)が設けられている。この熱源側熱交換器(25)では、上記冷媒通路を通過する冷媒と上記空気通路を通過する送風ファンの空気とが熱交換するように構成されている。」
(4)「【図1】
[図:0001430556000012.jpg]
」
そうすると、文献10には、以下の事項(以下、「文献10の技術事項」という。)が記載されている。
「ヒートポンプシステムにおける熱源側ユニット(120)の熱源側回路(20)は、熱源側圧縮機(熱源側圧縮機構)(21)と送風ファンが設けられた熱源側熱交換器(補助熱交換器)(25)と熱源側膨張弁(22)と三方弁(26)とが冷媒配管で接続されてなること。」
第5 本願発明1との対比・判断
1. 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
後者の「膨張弁5及び空調用熱交換器7が分岐配管11により順次環状に接続される2つのヒートポンプサイクル15a、15b」は、室内側筐体21収納された、膨張弁5空調用熱交換器7が分岐配管11により順次環状に接続される2つのヒートポンプサイクル15a、15bであるから、前者の「複数の室内ユニットが接続された冷媒回路」に相当する。
また、後者の「外部熱源」と前者の「1つの室外ユニット」とは、「室外ユニット」という限りで一致する。
そうすると、後者の「外部熱源と、膨張弁5及び空調用熱交換器7が分岐配管11により順次環状に接続される2つのヒートポンプサイクル15a、15bを備え」ることと前者の「1つの室外ユニットに対して複数の室内ユニットが接続された冷媒回路が備えられ」ることとは、「室外ユニットと、複数の室内ユニットが接続された冷媒回路が備えられ」という限りで一致する。
後者の「空調機1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、前者の「空調システム」に相当する。また、後者の「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、冷房、暖房、又は送風に切り替え可能であ」ることは、前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bが冷房、暖房、又は送風という複数の運転状態に切替自在であることであるから、前者の「前記室内ユニットは、複数の運転状態に切替自在であ」ることに相当する。そして、後者の「冷媒と空調対象の空気との間で熱交換する」ことは、2つのヒートポンプサイクル15a、15bの運転において、分岐配管11により供給される冷媒を用いた空調処理を実行自在に構成することであるから、前者の「運転状態において、前記冷媒回路にて供給される冷媒を用いた空調処理を実行自在に構成されている」ことに相当する。
そうすると、後者の「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、冷房、暖房、又は送風に切り替え可能であり、冷媒と空調対象の空気との間で熱交換する空調機1であ」ることは、前者の「前記室内ユニットは、複数の運転状態に切替自在であり、且つ、運転状態において、前記冷媒回路にて供給される冷媒を用いた空調処理を実行自在に構成されている空調システムであ」ることに相当する。
後者の「通風路27は、吸込口25から取り込まれた空気が2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7a、7bを並列に通過し、混合されて吹出口26から吹き出されるように形成され」ることは、2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7a、7bで空調した空気を吹出口26から空調対象空間に給気することであるから、前者の「空調空気を空調対象空間に給気する給気部」に相当する。同様に、後者の「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bの運転モードを切り替える運転制御部」は、2つのヒートポンプサイクル15a、15bの運転を制御することであるから、前者の「複数の前記室内ユニットの運転状態を制御する運転制御部」に相当する。
そうすると、後者の「通風路27は、吸込口25から取り込まれた空気が2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7を並列に通過し、混合されて吹出口26から吹き出されるように形成され」、「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bの運転モードを切り替える制御装置20を有」することは、前者の「空調空気を空調対象空間に給気する給気部と」、「複数の前記室内ユニットの運転状態を制御する運転制御部とが備えられ」ることに相当する。
後者の「吸込口25」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「空気を供給する第1供給路」に相当する。同様に、後者の「吹出口26」は、前者の「空調対象空間に供給する第2供給路」に相当する。
そうすると、後者の「通風路27は、吸込口25から取り込まれた空気が2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7を並列に通過し、混合されて吹出口26から吹き出されるように形成され」ることは、吸込口25から取り込まれた空気を通風路の途中部位に並列に設けられた2つのヒートポンプサイクル15a、15bの空調用熱交換器7に供給し、空調用熱交換器7により処理された空気を吹出口26から供給するものであるから、前者の「前記給気部は、前記給気部の途中部位に相当する空調対象空間に隣接する室に並べて設置された複数の前記室内ユニットに対して空気を供給する第1供給路と、複数の前記室内ユニットの夫々にて空調処理された空調処理後の空気から生成された空調空気を、空調対象空間に隣接する室から空調対象空間に供給する第2供給路」と、「前記給気部は、前記給気部の途中部位に並べて設置された複数の前記室内ユニットに対して空気を供給する第1供給路と、複数の前記室内ユニットの夫々にて空調処理された空調処理後の空気から生成された空調空気を、空調対象空間に供給する第2供給路」という限りで一致する。
後者の「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、取り込まれた空気27a、27bが空調用熱交換器7a、7bにほぼ均等に導かれて熱交換し、熱交換した空気27c、27dが混合されて空気27eとして送られるように、空調用熱交換器7a、7b及び送風機17が配置され」ることは、ヒートポンプサイクル15a、15bを構成する空調用熱交換器7a、7b及び送風機17が通風路27の途中部位に並べて配置され、空調用熱交換器7a、7bによって空調処理された空調空気が、空調対象空間に供給されることであるから、前者の「複数の前記室内ユニットは、前記給気部の途中部位に備えられ、
前記給気部は、前記複数の室内ユニットにて空調処理された空気を空調空気とし、その空調空気を空調対象空間に供給するように構成され」ることに相当する。
後者の「空調用熱交換器7a、7b」は、その機能、構成及び技術的意義からみて前者の「冷媒回路に接続されて空調処理を行う室内熱交換器」に相当する。同様に、後者の「送風機17」は前者の「室内ファン」に、後者の「膨張弁5a、5b」は前者の「室内熱交換器への冷媒の通流状態を調整する室内膨張弁」にそれぞれ相当する。
そうすると、後者の「前記2つのヒートポンプサイクル15a、15bは、膨張弁5a、5b、及び前記空調用熱交換器7a、7bを順次環状に接続し、送風機17を有」することは、前者の「前記室内ユニットは、前記冷媒回路に接続されて空調処理を行う室内熱交換器と、室内ファンと、前記室内熱交換器への冷媒の通流状態を調整する室内膨張弁とが備えられ」ることに相当する。
後者の「予め登録されたプログラムに従って、ユーザにより設定された温度及び湿度になるように空調機1の運転モードを自動的に制御する」ことは、第4の1.(2)ないし(7)の記載事項から、ヒートポンプサイクル15a、15bをそれぞれ冷房、暖房及び送風のいずれかに切り替えて互いに異なる運転状態とすることを可能とすることで、運転モードのいずれかを実行可能とするものであるから、前者の「運転状態が異なる室内ユニットを混在させる形態で、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードを実行可能に構成されている」ことに相当する。
そうすると、後者の「前記制御装置20は、予め登録されたプログラムに従って、ユーザにより設定された温度及び湿度になるように空調機1の運転モードを自動的に制御する」ことは、前者の「前記運転制御部は、運転状態が異なる室内ユニットを混在させる形態で、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードを実行可能に構成されている」ことに相当する。
そうすると、両者は、
「室外ユニットと、複数の室内ユニットが接続された冷媒回路が備えられ、
前記室内ユニットは、複数の運転状態に切替自在であり、且つ、運転状態において、前記冷媒回路にて供給される冷媒を用いた空調処理を実行自在に構成されている空調システムであって、
空調空気を空調対象空間に給気する給気部と、
複数の前記室内ユニットの運転状態を制御する運転制御部とが備えられ、
複数の前記室内ユニットは、前記給気部の途中部位に備えられ、
前記給気部は、前記複数の室内ユニットにて空調処理された空気を空調空気とし、その空調空気を空調対象空間に供給するように構成され、
前記給気部は、前記給気部の途中部位に並べて設置された複数の前記室内ユニットに対して空気を供給する第1供給路と、複数の前記室内ユニットの夫々にて空調処理された空調処理後の空気から生成された空調空気を、空調対象空間に供給する第2供給路とが備えられ、
前記室内ユニットは、前記冷媒回路に接続されて空調処理を行う室内熱交換器と、室内ファンと、前記室内熱交換器への冷媒の通流状態を調整する室内膨張弁とが備えられ、
前記運転制御部は、運転状態が異なる室内ユニットを混在させる形態で、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードを実行可能に構成されている空調システム。」である点で一致し、次の3点で相違する。
[相違点1]
「冷媒回路」に関し、前者は、「1つの室外ユニットに対して複数の室内ユニットが接続された」、「冷媒回路」であるのに対し、後者は、「外部熱源」と、「2つのヒートポンプサイクル15a、15b」である点。
[相違点2]
前者は、「複数の前記室内ユニットは、空調対象空間に隣接する空間に並べて設置」され、「前記空調対象空間に隣接する空間は、空調対象空間に隣接する室」であり、さらに、第1供給路は「前記給気部の途中部位に相当する空調対象空間に隣接する室に並べて設置された複数の前記室内ユニットに対して空気を供給」し、空調空気を供給する第2供給路は「空調対象空間に隣接する室から空調対象空間に供給」するのに対し、後者は、かかる事項を備えるか不明な点。
[相違点3]
「室外ユニット」に関し、前者は、「圧縮機と室外三方弁と室外熱交換器と室外ファンと室外膨張弁とが備えられ」た「室外ユニット」であるのに対し、後者の「外部熱源」は、かかる事項を備えるか不明な点。
2. 判断
上記相違点について判断する。
相違点1について検討する。例えば、引用文献2の技術事項、引用文献3の技術事項及び引用文献4の技術事項にみられるように、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードを実行可能に構成されている空調システムにおいて、1つの室外ユニットに対して複数の室内ユニットが接続された冷媒回路が備えるよう構成することは、周知技術(以下、「周知技術1」という。)にすぎない。そして、引用発明と周知技術1とは、空調システムである点で共通し、複数の室内ユニットを複数の運転状態の何れかに切り替える混在運転モードに係る機能についても共通する。
そうすると、引用発明において、外部熱源とヒートポンプサイクルとの熱交換に代替して周知技術1を適用して、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
相違点2について検討する。引用文献5の技術事項、引用文献6の技術事項、引用文献7の技術事項及び引用文献8の技術事項にみられるように、空調システムの室内ユニットを空調対象空間に隣接する、天井裏空間、床下空間、及び機械室等の空間に配置することは周知技術(以下、「周知技術2」という。)といえる。そして、引用発明と周知技術2とは、空調システムである点で共通し、室内ユニットの配置に係る機能についても共通する。
そうすると、引用発明の「空調機1」の設置において、周知技術2を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。そして、引用発明において周知技術2を適用したものは、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を満たすものといえる。
相違点3について検討する。第4の1.(1)イから、引用文献1には、外部熱源として「冷却塔」、「ボイラー」などの様々な構成を採用できることが開示されている。そして、文献9の技術事項及び文献10の技術事項にみられるように、空調装置の室外ユニットとして、「圧縮機と室外三方弁と室外熱交換器と室外ファンと室外膨張弁とが備えられ」た「室外ユニット」が周知の室外ユニット(以下、「周知技術3」という。)といえる。そして、引用発明と周知技術3とは、空調システムである点で共通し、熱交換に係る機能においても共通する。
そうすると、引用発明の「空調機1」の外部熱源として、周知技術3を適用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
また、本願発明1は、全体としてみても、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明1は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.審判請求人の主張について
令和7年7月14日の意見書において、審判請求人は、次のとおり主張する。
「図1に示された空調機1のユニット構成について、「室内側筐体21は、圧縮機2、四方弁3、水熱交換器4、膨張弁5、空調用熱交換器7および送風機17を主に収納している。これにより、空調機1は、すべての構成要素が一つの筐体に収納された、一体型の装置(ユニット)として構成されている。すなわち、空調機1は、熱源機(室外機)および室内機に分割されていない。」(段落0021参照)と記載されています。
よって、図1に示された空調機1は、室外機(室外ユニット)と室内機(室内ユニット)とに分割されず、すべての構成要素が一つの筐体に収納された一体型の装置(ユニット)であるので、本願発明1のように、構成E及びFを有することを前提とする空調システムとは全く異なるものであります。
また、引用文献1には、図9に示すように、2つのヒートポンプサイクル45a、45bにおける空調用熱交換器7a、7bが直列状態で備えられた空調機41が記載されています。この空調機41も、図1に示す空調機1と同様に、室外機と室内機とに分割されず、すべての構成要素が一つの筐体に収納された一体型の装置(ユニット)であるので、本願発明1のように、構成E及びFを有することを前提とする空調システムとは全く異なるものであります。
このように、図1や図9に示す空調機1、41は、すべての構成要素が一つの筐体に収納された一体型の装置(ユニット)であるので、ユニット内にて空調空気を生成するものであり、「複数の室内ユニットの協働により空調空気を生成する」という本願発明1とは全く異なるものであります。
それ故に、図1や図9に示す空調機1、41では、複数の室内ユニットをどのように設置するかを示す室内ユニットの設置構成Cだけでなく、複数の室内ユニットに対してどのように空気を供給してどのように空調空気を生成して空調対象空間に供給するかを示す給気部の具体的構成Dを採用すること自体全く想定できないものであります。
したがいまして、図1や図9に示す空調機1、41では、特に、「ユニットの設置構成C及び給気部の具体的構成Dを採用することで、空調対象空間に隣接する室を、複数の室内ユニットの協働により所望の空調状態の空調空気を生成するための室として利用する」という本願発明1の独特の技術思想については開示も示唆も全くありません。」
しかしながら、引用発明の空調機1は、第4の1.(1)イに記載されるとおり、外部熱源としての熱源水の供給を受ける、水熱源ヒートポンプ式の空調機1であり、室内側筐体21に、圧縮機2、四方弁3、水熱交換器4、膨張弁5、空調用熱交換器7及び送風機17からなるもの、すなわち2つのヒートポンプサイクル15a、15bを収納した、一体型の装置として構成され、空調対象空気を室内から吸い込み、空調された空気を室内に吹き出すものであるから、外部熱源(「室外ユニット」に相当)との関係において、「室外ユニット」に相当する機能を備えるものであることは明らかである。 そして、相違点3の判断において述べたとおり、室外ユニットとして周知技術3を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、審判請求人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-003775