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特許異議申立

2018-700730

空気調和機

審判番号
2018-700730
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-089774外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年09月07日
審決日
2019年03月05日
公報発行日
2019年06月28日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1652.113-YAA(F24F) / P1652.121-YAA(F24F) / P1652.832-YAA(F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6290492号発明「空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6290492号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9ないし12について訂正することを認める。 特許第6290492号の請求項1ないし3、5ないし8、13ないし16に係る特許を維持する。 特許第6290492号の請求項9ないし12についての特許異議申立を却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6290492号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、平成29年4月28日に出願され、平成30年2月16日にその特許権の設定登録がされ、平成30年3月7日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年9月7日に特許異議申立人熊谷秀雄(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。平成30年12月18日付けで取消理由が通知され、特許権者は、その指定期間内である平成31年2月20日に訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行った。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)ないし(4)のとおりである。 (1)請求項9を削除する。(以下、「訂正事項1」という。) (2)請求項10を削除する。(以下、「訂正事項2」という。) (3)請求項11を削除する。(以下、「訂正事項3」という。) (4)請求項12を削除する。(以下、「訂正事項4」という。) 本件訂正請求のうち訂正事項1ないし3は、一群の請求項〔9ないし11〕に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1ないし4は、訂正前の請求項9ないし12を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 さらに、訂正前の請求項9ないし12に対して異議申立人から特許異議の申立てがされているので、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正事項1ないし4について特許独立要件は課されない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9ないし12について訂正することを認める。 第3 取消理由の概要 訂正前の請求項9ないし12に係る特許に対して、当審が平成30年12月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 請求項9ないし12に係る発明は、甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到することができたものである。よって、請求項9ないし12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし16に係る発明(以下「本件発明1ないし16」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (1)本件発明1 「室内熱交換器を洗浄する洗浄手段と、 前記洗浄手段を制御する制御手段と、を備え、 前記制御手段は、 暖房運転終了後に、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、暖房運転終了後、当該暖房運転の停止時から所定の第1の遅延時間が経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行し、 冷房、除湿、又は送風運転終了後に、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、前記第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行すること を特徴とする空気調和機。」 (2)本件発明2 「空気調和機の運転状況を記憶する記憶手段を備え、 前記制御手段は、 前記記憶手段に記憶されている前回洗浄からの運転積算時間、前記記憶手段に記憶されている前回洗浄からの運転回数、又は、前記記憶手段に記憶されている前記空気調和機の据付時からの経過時間が所定の閾値に達した場合に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行すること を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (3)本件発明3 「室内機に設置され、前記室内熱交換器に空気を送り込む送風ファンと、 前記室内機から吹き出される空気の風向きを調整する上下風向板と、を備え、 前記制御手段は、 暖房運転の停止時から前記第1の遅延時間が経過するまでの間、前記送風ファンを駆動するか、又は、前記上下風向板を開くこと を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (4)本件発明4 「室内熱交換器を洗浄する洗浄手段と、 前記洗浄手段を制御する制御手段と、 前記室内熱交換器の空気吸込側に設置されたフィルタの清掃を行うフィルタ清掃手段を備え、 前記制御手段は、 前記洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合において、暖房運転終了後、当該暖房運転の停止時から所定の第1の遅延時間が経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行し、 暖房運転の停止時から前記第1の遅延時間が経過するまでの間、前記フィルタ清掃手段によるフィルタの清掃を実行すること を特徴とする空気調和機。」 (5)本件発明5 「前記制御手段は、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器が洗浄されているときの冷媒の蒸発温度を、除湿運転における前記冷媒の蒸発温度よりも低く設定すること を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (6)本件発明6 「前記制御手段は、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器が洗浄されているときの冷媒の蒸発温度を氷点下に設定すること を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (7)本件発明7 「前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行することを、前記暖房運転の停止時から前記第1の遅延時間が経過するまでの間、又は、冷房、除湿もしくは送風運転の停止時から前記第2の遅延時間が経過するまでの間に報知する報知手段を備えること を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (8)本件発明8 「通信ネットワークに接続された情報端末、又はリモコンから前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄の実行指示を入力する入力手段を備え、 前記入力手段によって、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄の実行指示が入力された場合、当該入力直後に前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行すること を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」 (9)本件発明9 (削除) (10)本件発明10 (削除) (11)本件発明11 (削除) (12)本件発明12 (削除) (13)本件発明13 「前記室内熱交換器の汚れを検知する汚れ検知手段を備え、 前記汚れ検知手段の検知した汚れが所定の量を超えた場合は、前記制御手段は、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行すること を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。」 (14)本件発明14 「前記汚れ検知手段は、 光源に可視光線又は近赤外線を用いる撮像手段と、 特定波長の光を遮断又は減衰させる光学フィルタと、を備え、 前記撮像手段から入力される画像情報に基づいて前記室内熱交換器の汚れを検知すること を特徴とする請求項13に記載の空気調和機。」 (15)本件発明15 「前回洗浄からの運転積算時間、前回洗浄からの運転回数、又は、前記空気調和機の据付時からの経過時間の前記閾値は、暖房運転、冷房運転、除湿運転等の運転モード毎に設定されること を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。」 (16)本件発明16 「通信ネットワークに接続された情報端末、又はリモコンから前記室内熱交換器の洗浄開始時刻を入力する入力手段を備えること を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。」 2 甲号証の記載 甲第1号証(中国特許出願公開第106545975号明細書)の【0028】には「本発明が提供する空調機の熱交換器清掃制御方法および装置は、・・・(中略)・・・本発明が提供する清掃方法および装置によれば、空調機を分解する必要がなく、運転モードに対して制御を加えるだけで室内熱交換器の自動清掃を実現でき、空調機の清掃を大変手早く簡単に行うことができる。」と記載されていることから、甲第1号証に記載の技術は、室内熱交換器を洗浄する自動清掃手段を備えるものであることは明らかである。 また、【0079】には、「空調機の運転時間を累計し、空調機の累計運転時間が所定の時間に達した時、空調機を洗浄モードで運転するよう制御する。」及び「1回の洗浄が完了したら、累計運転時間を0とする。上述の閾値は、空調機の性能と実際の使用環境に基づいて、ユーザーにより予め設定してよい。」と記載されていることから、甲第1号証に記載の技術は、「空調機の運転時間を累計」する以上、その累計した運転時間を記憶する記憶手段を備えることは明らかであり、そして、前回洗浄からの累計運転時間の閾値をユーザーが入力設定する点、及び、当該記憶手段に記憶されている前回洗浄からの累計運転時間が当該閾値に達した場合に、空調機を洗浄モードで運転するよう制御する点を、それぞれ備えることも明らかである。 【0080】には、「空調機が洗浄モードに入る際に、圧縮機の保護を3分間優先する。洗浄モードに入る前の空調機の運転モードが暖房モードであった場合、圧縮機を3分間停止させた後、暖房モードに切り替える。洗浄モードに入る前の空調機の運転モードが暖房モード以外であった場合、圧縮機が起動していれば、その前の状態(例えば冷房モード)を維持し、もし圧縮機が停止していれば、圧縮機を3分間停止させた後に起動する。」と記載されている。ここで、「暖房モードに切り替える」は「洗浄モードに切り替える」の誤記であることは、文脈及び文意からみて明らかである。また、圧縮機の停止は、冷凍サイクルを停止することであるから、甲第1号証に記載の技術では、空調機の熱交換器清掃制御装置において、暖房モード運転の終了後には、暖房モード運転の停止時から3分間経過した後に、洗浄モード運転を実行するという制御が行われ、そして、暖房モード以外の運転モードの終了後には、運転モード(例えば、冷房モード)を維持するか、又は、運転の停止時から3分間経過した後に、洗浄モード運転を実行するという制御が行われているといえる。 してみると、甲第1号証には、次の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明」という)。 「室内熱交換器を洗浄する自動清掃手段と、 前記自動清掃手段を制御する熱交換器清掃制御装置と、を備え、 前記熱交換器清掃制御装置は、 暖房モード運転の終了後に、前記自動清掃手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、暖房モード運転の終了後、当該暖房モード運転の停止時から3分間経過した後に、前記自動清掃手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行し、 暖房モード以外の運転モード終了後に、前記自動洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、運転モード(例えば、冷房モード)を維持するか、又は、運転モードの停止時から3分間経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行する 空調機。」 3 対比・判断 (1)本件発明1 本件発明1と引用発明とを対比するに、引用発明の「室内熱交換器」は、その作用及び機能からみて、本件発明1の「室内熱交換器」に、以下同様に、「自動清掃手段」は「洗浄手段」に、「熱交換器清掃制御装置」は「制御手段」に、「暖房モード運転の終了後」は「暖房運転終了後」に、「3分間経過した後」は「所定の第1の遅延時間が経過した後」に、「暖房モード運転以外の運転モード終了後」は「冷房、除湿、又は送風運転終了後」に、「空調機」は「空気調和機」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「運転モード(例えば、冷房モード)を維持するか、又は、運転モードの停止時から3分間経過した後に」と本件発明1の「前記第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後に」とは、ある時間が経過した後である点で共通する。 してみると、本件発明1と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりとなる。 (一致点) 「室内熱交換器を洗浄する洗浄手段と、 前記洗浄手段を制御する制御手段と、を備え、 前記制御手段は、 暖房運転終了後に、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、暖房運転終了後、当該暖房運転の停止時から所定の第1の遅延時間が経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行し、 冷房、除湿、又は送風運転終了後に、前記洗浄手段によって前記室内熱交換器を洗浄する場合には、ある時間が経過した後に、前記洗浄手段による前記室内熱交換器の洗浄を実行すること を特徴とする空気調和機。」 (相違点) ある時間が経過した後が、本件発明1においては、第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後であるのに対して、引用発明においては、運転モード(例えば、冷房モード)を維持するか、又は、運転モードの停止時から3分間経過した後である点。 (2)判断 相違点について検討する。 まず、本件発明1では冷房、除湿、又は送風運転を終了していることから、引用発明の「運転モード(例えば、冷房モード)を維持する」場合には、本件発明1と引用発明とは構成が異なることになる。 次に、引用発明の「運転モードの停止時から3分間経過した後」とは、暖房モード運転の終了後に洗浄を実行する場合と同じタイミングであることから、本件発明1の「所定の第1の遅延時間が経過した後」に相当するといえる。してみると、本件発明1と引用発明とは、冷房、除湿、又は送風運転の終了後、洗浄を実行するタイミングが異なることになる。 よって、相違点に係る本件発明1の構成を引用発明が備えているとはいえない。 また、相違点に係る本件発明1の構成は、甲第2号証ないし甲第14号証のいずれにも記載されていない。 よって、本件発明1は、引用発明及び甲第2号証ないし甲第14号証の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 異議申立人は、申立書(19ページないし20ページ参照。)において、本件発明1は遅延時間が0分間である場合を含むとしたうえで、上記相違点は実質的な相違点ではないと主張する。 しかしながら、本件特許明細書の【0039】には、「冷房、除湿、又は送風運転から、自動洗浄運転を実行する場合は、当該運転の停止直後に、又は、前記第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後に、自動洗浄運転を実行する。」と記載されており、「当該運転の停止直後に」(すなわち、遅延時間が0分間であること)と「前記第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後」とは異なる技術概念であることは明らかである。 してみれば、本件発明1の「前記第1の遅延時間よりも短い第2の遅延時間が経過した後」には、遅延時間が0分間であることは含まないことは明らかである。 よって、異議申立人の主張は採用することができない。 異議申立人は、申立書(33ページないし34ページ参照。)において、本件発明1は遅延時間が0分間である場合を含まないとしても、上記相違点に係る本件発明1の構成は甲1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであると主張する。 しかしながら、甲第1号証の【0080】には、「洗浄モードに入る前の空調機の運転モードが暖房モード以外であった場合、圧縮機が起動していれば、その前の状態(例えば冷房モード)を維持し、もし圧縮機が停止していれば、圧縮機を3分間停止させた後に起動する。」とは記載されているものの、この3分間をより短い時間とすることについては、甲1号証には記載も示唆もない。また、3分間をより短い時間とすることが、本件発明の出願当時の技術常識であった又は当業者であれば必要に応じて設定できる設計事項の範囲内であったとする証拠もない。 よって、異議申立人の主張は採用することができない。 (3)本件発明2、3、5ないし8、13ないし16について 本件発明2、3、5ないし8、13ないし16は、本件発明1を引用する発明である。上記(2)のとおり、本件発明1が引用発明及び甲第2号証ないし甲第14号証の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないので、本件発明2、3、5ないし8、13ないし16も、引用発明及び甲第2号証ないし甲第14号証の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし3、5ないし8、13ないし16に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし3、5ないし8、13ないし16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件発明9ないし12に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てのうち、本件発明9ないし12に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700730

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