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特許異議申立

2022-700502

熱交換形換気装置

審判番号
2022-700502
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-198181
登録番号
6982724
請求日
2022年06月13日
審決日
2023年02月27日
公報発行日
2023年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
  • 【権利者代理人】鎌田 健司
  • 【権利者代理人】前田 健児
  • 【異議申立人】田中 貞嗣
  • 【異議申立人】小山 卓志
審判長/審判官
  • 審判長 松下 聡
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 菅家 裕輔
分類
P1651.113-YAA(F24F) / P1651.121-YAA(F24F) / P1651.537-YAA(F24F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6982724号発明「熱交換形換気装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6982724号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6982724号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6982724号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成29年10月12日の出願であって、令和3年11月25日にその特許権の設定登録がされ、令和3年12月17日に特許掲載公報が発行された。 これに対して令和4年6月13日に特許異議申立人である田中 貞嗣、小山 卓志(以下、「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~4に係る特許について特許異議の申立てがされた。 そして、その後の手続は以下のとおりである。 ・令和4年9月7日付けで取消理由通知 ・令和4年11月2日に特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 ・令和4年12月21日に申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和4年11月2日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~4について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものであって、その内容は以下の訂正事項1~4のとおりである。なお、下線は、特許権者が訂正箇所を示すために付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、を備えた熱交換形換気装置」とあるのを、「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置」に訂正するとともに、「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、前記流入口は、前記給気口と連通し、前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」の記載を追加する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記給気口に接続される加湿ユニットを備え、前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、前記加湿ユニットは、前記本体ケースに着脱可能である」とあるのを、「前記加湿ユニットは、前記本体ケースに着脱可能であり」に訂正するとともに、「前記排気口、前記室内吸込口、および前記外気吸込口は、1つの列に並んで配置され、前記給気口は、前記列と隣接する位置に配置され、前記加湿ユニットは、前記列と隣接し且つ前記給気口と隣接する位置に配置される」の記載を追加する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「前記加湿ユニットは、前記加湿部の上流側に加熱部を備え」とあるのを、「前記加湿ユニットは、前記加湿部の上流側の加熱部と、前記加熱部の上流側、かつ前記流入口の下流側の傾斜部材とを備え」に訂正するとともに、「前記傾斜部材は、前記流入口側が高く、前記加湿部側が低く、」の記載を追加する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「前記本体ケースの下方に、前記加湿ユニットからの排水を受けるドレンパンを備えた」とあるのを、「前記本体ケースの外部の下方に、前記加湿ユニットから加湿部排水路を通って出される排水と、前記熱交換素子からの結露水とを受けるドレンパンを備えた」に訂正する。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項1~4について、請求項2~4はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である請求項〔1-4〕に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1において、「熱交換形換気装置」が、新たに「加湿ユニット」を備えることを特定するとともに、「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、前記流入口は、前記給気口と連通し、前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」という加湿ユニットの構成を特定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、特許明細書等における明細書の段落【0037】の「また、給気口6に接続される加湿ユニット15を備える、という構成であってもよい。」との記載、段落【0039】の「加湿ユニット15は、流入口16と、流出口17と、加湿部30と、を有する。」との記載、段落【0040】の「流入口16は、例えば加湿部ケース37側部に設けられ、給気口6と連通する。」との記載、段落【0044】の「加湿部30は、流入口16から吸い込まれた空気を加湿する。」との記載、段落【0041】の「流出口17は、例えば加湿部ケース37上部に設けられ、加湿部30により加湿された空気を室内に供給する。」との記載、請求項2の「前記給気口に接続される加湿ユニットを備え、前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、前記流入口は、前記給気口と連通し、前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し」との記載、並びに、図4、5及び8の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記ア、イのとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項2において、訂正前の請求項2に記載された「前記給気口に接続される加湿ユニットを備え、前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、前記流入口は、前記給気口と連通し、前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、」との記載を、訂正後の引用する請求項1において新たに記載されたことに伴い、重複する記載とならないように削除するものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項2は、請求項2において、引用する訂正前の請求項1に記載された「排気口」、「室内吸込口」、「外気吸込口」及び「給気口」について相互の配置関係を特定すると共に、訂正前の請求項2に記載された「加湿ユニット」と、これら「排気口」、「室内吸込口」、「外気吸込口」及び「給気口」との配置関係を特定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2の「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正は、特許明細書等における図9の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、上記ア、イのとおり明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、請求項3において、訂正前の「加湿ユニット」について、「前記加熱部の上流側、かつ前記流入口の下流側の傾斜部材」を備えることを限定するとともに、当該「傾斜部材」について、「前記流入口側が高く、前記加湿部側が低く」という構成を限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、特許明細書等における明細書の段落【0063】の「図6に示すように、加熱部40は、加熱部材41と、傾斜部材42と、を有している。」との記載、段落【0067】の「傾斜部材42は、流入口16の下流側、かつ、加熱部材41の上流側に設けられる。また、傾斜部材42は、流入口16から加湿部30側に向かって下方向に傾斜している。すなわち、流入口16側が高く、加湿部30側が低くなっている。この時に加熱部材41で発生した結露水43は、傾斜部材42によって加湿部30、特に底部35に向かって案内されるので、熱交換形換気装置1へ逆流して熱交換素子7へ水がかかりにくいという効果を得ることができる。」との記載、及び図6の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、上記ア、イのとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的について 訂正事項4は、請求項4において、訂正前の「ドレンパン」について、「前記本体ケースの下方に、前記加湿ユニットからの排水を受ける」としたものを「前記本体ケースの外部の下方に、前記加湿ユニットから加湿部排水路を通って出される排水と、前記熱交換素子からの結露水とを受ける」とすることにより、「加湿ユニットからの排水」の流路を限定するとともに、「熱交換素子からの結露水とを受ける」という機能の限定をするものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、特許明細書等における明細書の段落【0072】の「ドレンパン70は、排水部71と、保持部72と、傾斜部73と、周壁74と、底壁75と、を備えている。」との記載、段落【0073】の「底壁75は、本体ケース2の下面(第2側面9)と対向する位置に設けられる。」との記載、及び段落【0071】の「図7に示すように、ドレンパン70は、例えば樹脂製で、本体ケース2の下側に配置された平たい皿状の容器であり、熱交換素子からの結露水45や、加湿部排水路38から出る加湿部からの排水44等を受ける。」との記載、並びに、図7及び8の記載に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、上記ア、イのとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、結論のとおり本件訂正を認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明1」~「本件訂正発明4」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置であって、 前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し、 前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し、 前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し、 前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され、 前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され、 前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され、 前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ、 前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される、ことを特徴とする熱交換形換気装置。 【請求項2】 前記加湿ユニットは、前記本体ケースに着脱可能であり、 前記排気口、前記室内吸込口、および前記外気吸込口は、1つの列に並んで配置され、 前記給気口は、前記列と隣接する位置に配置され、 前記加湿ユニットは、前記列と隣接し且つ前記給気口と隣接する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の熱交換形換気装置。 【請求項3】 前記加湿ユニットは、前記加湿部の上流側の加熱部と、前記加熱部の上流側、かつ前記流入口の下流側の傾斜部材とを備え、 前記傾斜部材は、前記流入口側が高く、前記加湿部側が低く、 前記加熱部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加熱し、 前記加湿部は、前記加熱部により加熱された空気を加湿することを特徴とする請求項2に記載の熱交換形換気装置。 【請求項4】 前記本体ケースの外部の下方に、前記加湿ユニットから加湿部排水路を通って出される排水と、前記熱交換素子からの結露水とを受けるドレンパンを備えたことを特徴とする請求項2に記載の熱交換形換気装置。」 第4 特許異議申立理由の概要及び証拠方法 特許異議申立書における特許異議申立理由の概要及び証拠方法は以下のとおりである。 1 特許異議申立理由の概要 (1)申立理由1(新規性):特許法第29条第1項第3号(請求項1)について 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証~甲第3号証のいずれかに記載された発明と同一である。 よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(進歩性):特許法第29条第2項(請求項1~4)について ア 本件特許の請求項2~4に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明及び甲第8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 仮に、本件特許の請求項1に係る発明が特許法第29条第1項第3号に該当しないとした場合、 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、甲第5号証~甲第7号証に例証される周知技術(以下、「第1周知技術」という。)及び甲第5号証に例証される周知技術(以下、「第2周知技術」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、 また、本件特許の請求項2~4に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、甲第8号証に記載された事項、第1周知技術及び第2周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ よって、本件特許の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に該当し、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。 (3)申立理由3(明確性):特許法第36条第6項第2号(請求項1~4)について 本件特許の請求項1~4の記載は、同請求項1~4に係る発明が明確でない。 よって、本件特許の請求項1~4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしておらず、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特開平6-294526号公報(以下、「甲1」という。) 甲第2号証:特開平7-63371号公報(以下、「甲2」という。) 甲第3号証:「三菱設備用ロスナイ<床置ビルトイン形機械室設置タイプ加湿付> 三相 200V 50Hz・60Hz 取扱説明書」,三菱電機株式会社,p.3~5(以下、「甲3」という。) 甲第4号証:「業務用ロスナイ [本体]設備用 床置ビルトイン形ロスナイ LPB-350KX4-60」,ウェブサイトのページ,三菱電機(URL:https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/ssl/displayProduct.do?pid=179368)(甲3が頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった日を示すものである。以下、「甲4」という。) 甲第5号証:実願昭52-149645号(実開昭54-75562号)のマイクロフィルム(以下、「甲5」という。) 甲第6号証:特開2003-185213号公報(以下、「甲6」という。) 甲第7号証:実願昭56-119296号(実開昭58-24633号)のマイクロフィルム(以下、「甲7」という。) 甲第8号証:特開2013-164198号公報(以下、「甲8」という。) 甲第9号証:欧州特許第2642215号明細書(令和4年12月21日に意見書と共に提出されたもの。以下、「甲9」という。) 甲第10号証:国際公開第2015/033215号(令和4年12月21日に意見書と共に提出されたもの。以下、「甲10」という。) 第5 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~4に係る特許に対して、当審が令和4年9月7日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)理由1(新規性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1~甲3のいずれかに記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)理由2(進歩性) 本件特許の請求項2~4に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1又は甲2に記載された発明及び甲8に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 甲号証について 申立人が提出した甲第1号証~甲第10号証について、その記載及び当該記載から認められる発明ないし技術事項は以下のとおりである。 (1)甲1について ア 甲1の記載 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の記載がある。 なお、下線は当審で付したものである(以下同様。)。 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は室内の換気と新鮮な外気の導入はもとより加湿機能をも一台のユニットにて確実且つ経済的に行わしめ室内に常時最適な空調環境を求め得ようとするもので特に外気冷房をも可能とした空調用床置形換気ユニットに関する。」 「【0003】 【発明が解決しようとする課題】この発明は上記の欠点を根本的に解決しようとするものであって、一台の機器にて室内空気の吸、排気の作業を同時に行わしめ、新鮮な外気を室内に取入すると同時に該室内に適宜の加湿をも同時に送給行わしめんとするものであって、特に従来困難と謂われていた外気による外気冷房をも可能である。しかもこの発明においては全熱交換器を機内の中央に設置したことにより安定性もすこぶる頗ぶる良好であり、冷暖房時における使用熱量も大巾に節減出来得ると共に全体形状がきわめてコンパクト小型となりメンテナンス作業も容易である等単機にて種々多機能を有した至便な床置形換気ユニットを提供しようとするをその主な目的としている。」 「【0005】 【作用】かかる構造を有してなる換気ユニットを室内または室外等所定の場所に外気取入口9,排気口11を屋外に、給気口8,還気口10,を室内側にダクト連結または直接に開口して設置し用いるものであって、機内に設置せる還,排気用送風機14、15の運転により新鮮な外気を直接に室内に導入するか、あるいは室内の汚染空気を還気口10より排気室7を経て排気口11より屋外に放出するか、等任意温度の冷暖気を加湿空気と共に室内に送給することが出来得るのである。即ち、この発明において通路切換用ダンパーD1 ,D2 の操作により、例えば5月から7月期の如く冷暖房を必要とすることなく外気による自然冷房を必要とする場合にはダンパーD1 ,D2 を開路とすることによって、図示点線の空気流れの如く、外気取入口9より導入せる外気が外気取入室5の裏側を流れバイバス通路Cより給気室4を経て給気口8より室内側に直接に送風が行われ爽快な室内空調を呈することとなる。また上記、冷房の不足分としては熱交換コイル16に冷水を流すことによって充分な外気冷房を期待求めることも出来得るのである。更に一方、室内側の汚染空気は還気口10より上記と同様に還気室6の裏側を通り、バイバス通路Cを経て排気室7に流れ排気口11より屋外に放出される。また通常の冷暖空調時においては通路切換用ダンパーD1 ,D2 を閉じることによって上記の空気流れが実線にて示す如く、外気取入口9よりの空気が各全熱交換器3.3,3を通り全熱交換器室2の背面表側の通路内に流れ、これが分岐チヤンバー12の作用にて該流れ方向を表裏変換してバイバス通路C内に送流し給気室4内に設置せる熱交換コイル16にて冷暖適当温度に付与され加湿器17による加湿空気と共に給気口8より室内に適当な冷暖気を送給することが出来得るは勿論、上記による室内への冷暖房送給と同時に室内側よりの汚染空気は還気室6の裏面を通り全熱交換器3の反対側の表面通路内に流れ、該通過中において還気中の熱温の一部を吸収しながら分岐チヤンバー12の作用にて該流れ方向を表裏変換してバイバス通路C内に送流し、排気室7を経て排気口11より汚染空気を屋外に確実に放出行わしめることが出来得るのである。 【0006】 【実施例】以下、実施例を図面について説明すると、1は上部に給気口8,外気取入口9還気口10,排気口11等の各吸、吹出口を開設してなる機体にて内部を仕切板a,bを逆ハの字形に傾斜配設して機内中央に全熱交換器室2及び外気取入室5、還気室6の各室を形成設けると共に該機内の左右両側に給気室4、排気室7を形成し、上記各吸、吹出口と夫々に各連通してなる略U形状の送風通路A、Bを形成する。また上記、全熱交換器室2内を数枚の熱交換器仕切板c,cを稍傾斜状に架設し該板間の夫々の室内毎に数台の方型形の全熱交換器3.3,3を能力に応じて水平状に脱着自在に差込み配置し、これを縦列に設置してなるものである。該全熱交換器2の下方送風通路内に上記、左右U形状送風通路A,Bと連通せるバイバス通路Cを形成設け、該バイバス通路C内に全熱交換器室2における上記送風通路A,Bの表裏変更用としての表裏分岐チヤンバー12を配設する。上記の如く略U形状の送風通路A,Bにて形成された各室内に、例えば全熱交換器3の左右両側にフィルター13、13を、また該送風通路A,Bの下底部左右に還気用送風機14,排気用送風機15を、給気室4内に冷、温水用熱交換コイル16、気化式加湿器17,ドレンパン18を、また一方の排気室7の室内空間を利用して制御機器20,等の機構装置部材を適宜に配置行わしめる。なお上記、加湿器17としては気化式以外に電気式、噴霧式等如何なる形式のものを用いることは可能であるが、特にこの発明においては仕切板a,bにて形成された排気室7等の空間を利用して該加湿器への供給水機構、電極式加湿器、純水器21等の種々の機構を配管にて連結して設置行わしめることによって夫々の機構を機外等にわざわざ設置することもなく非常に至便にコンパクトに収容設置することも出来得るのである。また上記、全熱交換器室2の左右に仕切板a,bを該全熱交換器室2を軸として逆ハの字形に区画形成行わしめることによって夫々の室形状が恰かも三角形状を呈し、これが吸込口径を拡大し、還気、吸気の受気を容易とすると共に下方部が狭まり受入空気の全量を全熱交換器2面に平等に送流する作用を有している。・・・」 「 [図:0001397195000001.jpg] [図:0001397195000002.jpg] [図:0001397195000003.jpg] 」 イ 上記アの記載から認められること (ア)上記アの段落【0006】及び図1~3の記載によれば、空調用床置形換気ユニットの機体1は、上部の面と上部の面に対向する下部の面とを有しており、上部の面を上、下部の面を下とした状態で床に設置されていることが認められる。 (イ)上記アの段落【0005】及び【0006】並びに図2の記載によれば、図2の破線で示された、外気取入口9から導入された外気が、全熱交換器3、還気用送風機14を介して、給気口8へと流れる経路が示されているから、還気用送風機14により外気取入口9から給気口8へ外気が流れる経路が形成されていることが認められる。 同じく、同記載によれば、図2の実線で示された、還気口10から吸い込まれた室内の汚染空気が、全熱交換器3、排気用送風機15を介して、排気口11へと流れる経路が示されているから、排気用送風機15により還気口10から排気口11へ室内の汚染空気が流れる経路が形成されていることが認められる。 そして、図2において、破線で示された外気が流れる経路と実線で示された室内の汚染空気が流れる経路とが全熱交換器3で交差することが示されており、全熱交換器3は、機体1内において、外気が流れる経路と室内の汚染空気が流れる経路とが交差する位置に設けられることが認められる。 (ウ)上記アの段落【0006】及び図2の記載によれば、還気用送風機14及び排気用送風機15は、機体1内において、全熱交換器3の下部に設けられることが認められる。 (エ)上記アの段落【0006】並びに図2の記載によれば、給気口8に連通する給気室4内に、冷、温水用熱交換コイル16、気化式加湿器17、ドレンパン18が配置されることが認められる。 そして、上記(ウ)を合わせてみると、空調用床置形換気ユニットは、機体1と、還気用送風機14及び排気用送風機15と、全熱交換器3と、冷、温水用熱交換コイル16、気化式加湿器17と、ドレンパン18と、を備えたものであることが認められる。 ウ 甲1発明 上記ア及びイを総合して整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 「機体1と、還気用送風機14及び排気用送風機15と、全熱交換器3と、冷、温水用熱交換コイル16、気化式加湿器17と、ドレンパン18と、を備えた空調用床置形換気ユニットであって、 前記機体1は、室内の汚染空気を吸い込む還気口10と、吸い込んだ室内の汚染空気を屋外に放出する排気口11と、外気を導入する外気取入口9と、導入した外気を室内に送給する給気口8と、を有し、 前記排気口11、前記外気取入口9、前記還気口10、および前記給気口8は、前記機体1の上部の面に設けられ、 前記機体1は、前記上部の面に対向する下部の面を有し、 前記還気用送風機14により前記外気取入口9から前記給気口8へ外気が流れる経路が形成され、 前記排気用送風機15により前記還気口10から前記排気口11へ室内の汚染空気が流れる経路が形成され、 前記全熱交換器3は、前記機体1内において、前記外気が流れる経路と前記室内の汚染空気が流れる経路とが交差する位置に設けられ、 前記機体1は、前記上部の面を上、前記下部の面を下とした状態で床に設置され、 前記還気用送風機14および前記排気用送風機15は、前記機体1内において、前記全熱交換器3の下部に設けられ、 前記給気口8に連通する給気室4内に、前記冷、温水用熱交換コイル16、前記気化式加湿器17、前記ドレンパン18が配置される、空調用床置形換気ユニット。」 (2)甲2について ア 甲2の記載 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2には、次の記載がある。 「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は研究所、病院等の如く特にクリーンな環境を必要とする室内に該室内の環境に応じて種々のフィルターの収納メンテ等作業を容易とする目的にてフイルターチャンバーを機体中央に形成設け、該チャンバー内に各種フィルターを集約して収容可能としたフィルター重視形のターミナル型空気調和機に関する。」 「【0003】 【発明が解決しょうとする課題】この発明は上記、各問題点に鑑みてフィルターのメンテナンス作業を容易確実に行わしめると共に該室内環境に応じてその都度、最適な空調展開を室内に送配求め得ようとするものであって、同時に静粛な送風をも可能とした多目的用としてのターミナル型空気調和機を広く提供しようとするものである。」 「【0006】 【作用】次にその作用を説明すると、先ず上部に開設せる各吸排口をタクト連設し、送気口2及び送気口2を室内側に、外気取入口4及び排気口5を室外に夫々を開口すべくフアンコイルユニット機器等を介して室内または室外に設置する。かかる状体にて機内のSA、EA送風機14,15の各送風機を駆動運転するにおいて新鮮な空気の取入れと同時に室内の汚染空気が上部の還気口3より各送風通路A,B,C,D,Eに流れるが該機内に取り入れられた空気は各ダンパの切換え操作によって、図3にて示す如く例えば全ダンパd1、d2、d3、の開によりRA空気の一部は送風通路Aを通り、その間にフイルター室7内に設置せるメイン、プレフィルターa,bにて漉過され、冷、温水コイル16にて適当温度の熱交換が行われながら冷暖空気として室内に送給する回路(RA→SA)を流れ、また上記作用と同時に、新鮮な外気は外気取入口4より送風通路Eを経て上記のRA空気と合流し混合空気として室内に送給する。更に上記と同時に一方室内側の、汚染空気の一部は送風通路Bを通り、排気口5を経て室外に放出する排気回路(RA→EA)を流れるが該排気と同時にその一部の室内側の空気は、送風通路Dに流れ、その間、該送風通路内に設置せる全熱交換器13の作用にて流通空気中の熱量の一部を吸収しながら上記の排気回路(RA→EA)と合流し室外に放出する。また外気の一部は全熱交換器室6に流れ、全熱交換器13にて上記室内空気の熱量の一部を回収しながら送風通路C内に流れ上記と同様にフイルター室7内のメイン、プレフィルターa,bにて漉過され、還気空気と合流し室内よりの還気空気と共に新鮮な外気を室内に導入する回路(OA→SA)を流れる。なお室内の環境により、例えば室内空気の全量を屋外に放出する場合にはダンパd1、d3を閉に、バイバス通路切換ダンパd2を開とすることによって還気口3よりの還気がRA→EAに流れその全量が放出する、また外気の導入のみを必要とする場合はダンパd1、ダンパd2を閉とし外気導入切換ダンパd3を開とすることによって外気の導入はもとより冷気を必要と中間期、冬季等外気による直接冷房等、各ダンパd1,d2,d3, の切換操作にて所定の空調展開を求めることが出来得る。 【0007】 【実施例】以下、実施例を図面について説明すると、1は機体にて該上部または側部等適宜箇所に送気口2、還気口3、外気取入口4、排気口5の各吸排口を夫々開口設ける共に該機内を数枚の仕切板にて区切りし、機体中央の上部に全熱交換器室6を、該下方にフイルター室7を、また該左右両側に熱交換器室8、SA送風機室9、外気導入室10、EA送風機室11、排気室12の各室を夫々形成設ける。また、上記機内には還気口3と送気口2を連通する送風通路Aを、還気口3と排気口5を連通する送風通路B,外気取入口4と送気口2を連通する送風通路Eの各U形状送風通路、及び中央フイルター室7を軸として外気取入口4と送気口2を連通する送風通路C,還気口3と排気口5を連通する送風通路D等複数のU形状送風通路を各形成設けると共に上記、全熱交換器室6内には静止型全熱交換器13を縦状設置し、該両側面にサブフィルターとして熱交換器保護用フィルタc、dの各フィルタを装設する、また送風通路A,B下方両側に形成せるSA送風機室9にはSA送風機14を、EA送風機室11内にはEA送風機15を、熱交換器室8内には冷、温水コイル16、ドレンパン17、加湿器18等の必要とする機構装置が夫々に各設置されている。また上記、各室を連通する送風通路A内に風流切換ダンパd1を、送風通路B内にバイバス通路切換ダンパd2を、送風通路Eに外気導入切換ダンパd3の各ダンパ装置を開閉自在に取付け設け、該ダンパによる切換え操作によって上記各送風通路内を流通する外気、還気、排気、夫々の空気流れを遮断または相互に互換、変更流通を行わしめることが出来得る。・・・」 「【0010】 【発明の効果】この発明は上記の如く,機体1の中央下方に軽量のフイルター類を収容するフイルター室7を形成設け、且つ該室両側下部に重量であるSA、EA送風機14,15の送風機を夫々設置してなるものであるから、安定性に秀ぐれ、しかも中央フイルター室7内にはフイルターのみならず種々の関連機構をも同時に収容出来得るので全体形状を極めてコンパクトに形成出来得る」 「 [図:0001397195000004.jpg] [図:0001397195000005.jpg] [図:0001397195000006.jpg] 」 イ 上記アの記載から認められること (ア)上記アの段落【0007】及び図1~3の記載によれば、ターミナル型空気調和機の機体1は、上部の面と上部の面に対向する下部の面とを有しており、上部の面を上、下部の面を下とした状態で設置されていることが認められる。 (イ)上記アの段落【0006】及び【0007】並びに図1~3の記載によれば、図3の実線で示された、外気取入口4から導入された外気が、送風通路C内の全熱交換器13、SA送風機14を介して、送気口2へと流れる回路が示されているから、SA送風機14により外気取入口4から送気口2へ外気が流れる回路が形成されていることが認められる。 同じく、同記載によれば、図3の破線で示された、還気口3から吸い込まれた室内の汚染空気が、送風通路D内の全熱交換器13、EA送風機15を介して、排気口5へと流れる回路が示されているから、EA送風機15により還気口3から排気口5へ室内の汚染空気が流れる経路が形成されていることが認められる。 そして、図3において、実線で示された外気が流れる回路と破線で示された室内の汚染空気が流れる回路とが全熱交換器13で交差することが示されており、全熱交換器13は、機体1内において、外気が流れる回路と室内の汚染空気が流れる回路とが交差する位置に設けられることが認められる。 (ウ)上記アの段落【0007】並びに図2及び3の記載によれば、SA送風機14及びEA送風機15は、機体1内において、全熱交換器13の下部に設けられることが認められる。 (エ)上記アの段落【0007】並びに図2及び図3の記載によれば、送気口2に連通する熱交換器室8内に、冷、温水コイル16、ドレンパン17、加湿器18が設置されることが認められる。 そして、上記(ウ)を合わせてみると、ターミナル型空気調和機は、機体1と、還気用送風機14及び排気用送風機15と、全熱交換器3と、冷、温水用熱交換コイル16、気化式加湿器17と、ドレンパン18と、を備えたものであることが認められる。 ウ 甲2発明 上記ア及びイを総合して整理すると、甲2には、次の事項からなる発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「機体1と、SA送風機14及びEA送風機15と、全熱交換器13と、冷、温水コイル16と、ドレンパン17と、加湿器18と、を備えたターミナル型空気調和機であって、 前記機体1は、室内の汚染空気を吸い込む還気口3と、吸い込んだ室内の汚染空気を室外に放出する排気口5と、外気を導入する外気取入口4と、導入した外気を室内に送給する送気口2と、を有し、 前記排気口5、前記外気取入口4、前記還気口3、および前記送気口2は、前記機体1の上部の面に設けられ、 前記機体1は、前記上部の面に対向する下部の面を有し、 前記SA送風機14により前記外気取入口4から前記送気口2へ外気が流れる回路が形成され、 前記EA送風機15により前記還気口3から前記排気口5へ室内の汚染空気が流れる回路が形成され、 前記全熱交換器13は、前記機体1内において、前記外気が流れる回路と前記室内の汚染空気が流れる回路とが交差する位置に設けられ、 前記機体1は、前記上部の面を上、前記下部の面を下とした状態で設置され、 前記SA送風機14および前記EA送風機15は、前記機体1内において、前記全熱交換器13の下部に設けられ、 前記送気口2に連通する熱交換器室8内に、冷、温水コイル16、ドレンパン17、加湿器18が設置される、ターミナル型空気調和機。」 (3)甲3について ア 甲3の記載 甲3には、次の記載がある。 なお、下記(4)の甲4の記載によると、甲3は、発売日が2010年2月1日である型番がLPB350KX4-60を含む床置きビルトイン形ロスナイ(なお、「ロスナイ」は登録商標である。以下同様。)についての取扱説明書であり、発売された製品に付属されるものであるから、甲4の取扱説明書についての日付の記載から、本件特許の出願前の2015年(平成27年)2月18日に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったことが認められる。 (ア)「 [図:0001397195000007.jpg] 」(1ページ) (イ)「 [図:0001397195000008.jpg] 」(3ページ) (ウ)「 [図:0001397195000009.jpg] 」(4ページ) (エ)「 [図:0001397195000010.jpg] 」(5ページ) (オ)「 [図:0001397195000011.jpg] 」(5ページ) (カ)「 [図:0001397195000012.jpg] 」(15ページ) イ 上記アの記載から分かること (ア)上記ア(ア)及び(カ)の記載によれば、甲3には、床置ビルトイン形ロスナイが記載されている。 そして、上記ア(エ)及び(オ)の記載によれば、床置ビルトイン形ロスナイは、給気用送風機及び排気用送風機と、ロスナイエレメントと、熱交換後の給気空気に加湿を行う加湿エレメントと、を備えている。 (イ)上記ア(エ)の記載によれば、床置ビルトイン形ロスナイは、室内空気を吸い込むRA(還気)口と、吸い込んだ室内空気を屋外に排出するEA(排気)口と、外気を吸い込むOA(外気)口と、吸い込んだ外気を室内に供給するSA(給気)口と、を有している。 そして、上記ア(イ)~(エ)の記載によれば、ロスナイ換気を行うために、外気は、OA(外気)口から吸い込まれ、ロスナイエレメントを通して、SA(給気)口から室内に給気され、他方、室内空気は、RA(還気)口から吸い込まれ、ロスナイエレメントを通して、EA(排気)口に排出されるから、床置ビルトイン形ロスナイは、本体ケースを備えているものと認められる。 また、上記ア(エ)の記載から、本体ケースの上面に、EA(排気)口、OA(外気)口、RA(還気)口及びSA(給気)口が設けられているものと認められる。 (ウ)上記ア(エ)の記載及び上記(イ)を合わせてみると、床置ビルトイン形ロスナイの本体ケースは、上面と上面に対向する下面とを有しており、上面を上、下面を下とした状態で床に設置されていることが認められる。 (エ)上記ア(ウ)及び(エ)の記載によれば、上記ア(ウ)の左図の線で示された、RA(還気)口から吸い込まれた室内空気が、ロスナイエレメント、排気用送風機を介して、EA(排気)口へと流れる経路が示されているから、排気用送風機によりRA(還気)口からEA(排気)口へ室内空気が流れる経路が形成されていることが認められる。 また、同様に、OA(外気)口から吸い込まれた外気が、ロスナイエレメント、給気用送風機を介して、SA(給気)口へと流れる経路が示されているから、給気用送風機によりOA(外気)口からSA(給気)口へ外気が流れる経路が形成されているものと認められる。 そして、上記ア(ウ)の右図によれば、ロスナイエレメントにおいて、白線の外気が流れる経路と黒線の室内空気が流れる経路とが交差していることが示されており、ロスナイエレメント、本体ケース内において、外気が流れる経路と室内空気が流れる経路とが交差する位置に設けられることが認められる。 (オ)上記ア(エ)の記載によれば、給気用送風機及び排気用送風機は、本体ケース内において、ロスナイエレメントの下部に設けられることが認められる。 (カ)上記ア(オ)の記載によれば、加湿エレメントは、本体ケースの側方のケース内に配置されることが認められる。 ウ 甲3発明 上記ア及びイを総合して整理すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 「本体ケースと、給気用送風機及び排気用送風機と、ロスナイエレメントと、熱交換後の給気空気に加湿を行う加湿エレメントと、を備えた床置ビルトイン形ロスナイであって、 前記本体ケースは、室内空気を吸い込むRA(還気)口と、吸い込んだ室内空気を屋外に排出するEA(排気)口と、外気を吸い込むOA(外気)口と、吸い込んだ外気を室内に供給するSA(給気)口と、を有し、 前記EA(排気)口、前記OA(外気)口、前記RA(還気)口、および前記SA(給気)口は、前記本体ケースの上面に設けられ、 前記本体ケースは、前記上面に対向する下面を有し、 前記給気用送風機により前記OA(外気)口から前記SA(給気)口へ外気が流れる経路が形成され、 前記排気用送風機により前記RA(還気)口から前記EA(排気)口へ室内空気が流れる経路が形成され、 前記ロスナイエレメントは、前記本体ケース内において、前記外気が流れる経路と前記室内空気が流れる経路とが交差する位置に設けられ、 前記本体ケースは、前記上面を上、前記下面を下とした状態で床に設置され、 前記給気用送風機および前記排気用送風機は、前記本体ケース内において、前記ロスナイエレメントの下部に設けられ、 前記加湿エレメントは、前記本体ケースの側方のケース内に配置される、床置ビルトイン形ロスナイ。」 (4)甲4について 電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4には、次の記載がある。 「業務用ロスナイ[本体]設備用 床置ビルトイン形ロスナイ LPB-350KX4-60」 「旧型品 LPB-350KX4-60」 「発売日:2010年02月01日」 「取扱説明書 【60Hz専用】 (2MB) (注;赤色の□で囲まれたPDFの文字あり) [2015/02/18]」 (5)甲5について 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲5には、次の記載がある。 「すなわち、第2図及び第3図において、(1)及び(3)はシロッコ形の給気用及び排気用の送風機で、全熱形の熱交換器を上部に、給気用、排気用送風機(1)(3)をその下部に並列に配置した構造である。」(第4頁第11~15行) 「なお、第2図及び第3図において、(8)は仕切壁(9)、送風機側通風路(10)、給気用、排気用送風機(1)(3)等からなる送風装置、(11)は仕切壁(12)、熱交換器側通風路(13)、熱交換器(2)等からなる熱交換装置、(14)は送風装置(8)及び熱交換装置(11)の双方を収容した外箱」(第5頁第3~8行) 「なお、外箱(14)は熱交換装置(11)と送風装置(8)とに共通のものでなくとも、夫々別個の外箱とし、これら熱交換装置の外箱と、送風装置の外箱とを第2図、第3図と同様の配置になるように組み合わせても同等の効果を奏する。」(第5頁第17行~第6頁第1行) 「この考案は以上のように、熱交換装置と送風装置との配置、給気用送風機と排気用の送風機との配置、熱交換器の種類、送風機の種類等に工夫こらしたので奥行きが浅くなり、床置形換気装置等に利用した場合、奥行か浅く高さの低い換気装置となり、室内空間の利用効率が向上する効果がある。」(第6頁第2~8行) 「 [図:0001397195000013.jpg] 」 (6)甲6について 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲6には、次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、外気の取入れと室内の空気の排気を熱交換しながら行なう換気装置に関するものである。」 「【0012】給気通風路3には室外吸込口1から室内吹出口2へ向う気流を形成する送風機15が、排気通風路6には室内吸込口4から室外吹出口5へ向う気流を形成する送風機16が組込まれている(図3参照)。給気通風路3と排気通風路6との一部は、それぞれ独立して交差する流体通路を持つ積層型の熱交換器17の各流体通路によって構成され、熱交換器17の各流体通路を流れる給排気流間で連続的な熱交換が行なわれる。」 「【0014】・・・本体ケーシング7の室外吸込口1と室外吹出口5が設けられた一側の四隅部には、図3に示すようにネジ式の脚19が着脱可能に設けられ、この脚19を使って壁際の床面上に設置することもできる。」 「 [図:0001397195000014.jpg] 」 (7)甲7について 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲7には、次の記載がある。 「以下、本考案の一実施例について説明する。図において、(1)は、空気調和機機体、(2)は室内空気吸込口、(3)は室内空気吸込用ファン、(4)は上記ファン(3)用の電動機、(5)は冷温水入口(5a)及び出口(5b)を有する熱交換器、(6)は熱交換器(5)の結露水を受けるドレンパンで、ドレン配管(6a)を有する。 (7)は機体(1)の通風路(A)の両側面に設けられた熱交換器(5)の配管スペース、(8)は配管スベース(7)内に配設された全熱交換器ユニット、(9) は室外空気吸込口(10a)及び吹出口(10b) 間に形成された吸気路(10)と室内空気吸込口(11a) 及び吹出口 (11b) 間に形成された排気路(11)間に熱交換関係に配設してなる全熱交換器で、全熱交換器ユニット(8)の機体内上部に配設されると共に室外空気吹出口(10b)は熱交換器(5)の上流側通風路(A)に連通されている。(12)は吸気路(10)内に設けられた吸気用ファン、(13)は排気路(11)内に設けられた排気用ファンで、吸気用ファン(12)と共に全熱交換器ユニット(8)の機体内下部に設けられている。(14)は吸込口(2)より入いつた室内循環空気と室外空気吹出口 (10b)より入いつた室外空気を熱交換器(5)で熱交換して得た冷気又は暖気の吹出口である。」(第2頁第13行~第3頁第14行) 「 [図:0001397195000015.jpg] 」 (8)甲8について ア 甲8の記載 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲8には、次の記載がある。 「【0001】 本発明は、熱交換ユニットおよび加湿ユニットを備えた換気装置に関するものである。」 「【0006】 特許文献1記載の天井設置型空調機は、1つのケーシング内部に熱交換を行う部分(凝縮器および蒸発器)と、加湿を行う部分(加湿器)とを両方備えているので、熱交換部分または加湿部分のいずれか一方を改良する場合には、空調機全体を設計し直す必要があり、熱交換部分または加湿部分を他の機種の空調機と共用することが困難であり、汎用性の向上が難しいという問題がある。 【0007】 そこで、汎用性を向上させるために、熱交換ユニットに外付けで加湿ユニットを連結して一体型の換気装置を構築することが考えられる。このような換気装置では、既存の熱交換ユニットを利用できるので、必要に応じて加湿ユニットを熱交換ユニットに連結すればよいので、汎用性の向上が可能である。」 「【0027】 以下、本発明の一実施形態にかかる換気装置1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1~2に示すように、本実施形態にかかる換気装置1は、天井に設置される全熱交換形の換気装置であり、全熱交換用の熱交換ユニット2と、加湿ユニット3と、連結部50とを備えている。全熱交換用の熱交換ユニット2と加湿ユニット3とは、連結部50によって一体に連結されている。この換気装置1は、室外空気OAを装置内部へ取り入れる室外空気吸入口4と、室外空気OAを熱交換ユニット2および加湿ユニット3を通して空気調和された給気SAを装置外部へ吹き出す給気吹出口5と、室内空気RAを吸入する室内空気吸入口6と、吸入された室内空気RAと室外空気OAとの間で全熱交換された後の排気EAを装置外部へ排出する排気口7を有している。 【0028】 これら室外空気吸入口4、給気吹出口5、室内空気吸入口6および排気口7は、ダクト継手8を介して図示しない天井ダクトに接続されている。」 「【0031】 (熱交換ユニット2) 熱交換ユニット2は、図1~2に示されるように、室内空気RAと室外空気OAとの間で熱交換を行うユニットであり、主な構成として、本体ケース21と、全熱交換用の熱交換エレメント22と、給気用送風機23と、排気用送風機24とを備えている。 【0032】 本体ケース21は、偏平な直方体形状の中空のケースからなる。本体ケース21の前端面21aには、給気用接続口21fおよび室内空気用接続口21gが形成され、後端面21dには、上記の室外空気吸入口4および排気口7が形成されている。本体ケース21の内部空間25は、図示されていない仕切り板によって、室外空気吸入口4から給気用接続口21fへ流れる空気流路と、室内空気用接続口21gから排気口7へ流れる空気流路とに仕切られている。熱交換ユニット2と加湿ユニット3とを突き合わせたときに、本体ケース21の前端面21aは、加湿ユニット3の本体ケース31の後端面31dに対面する。」 「【0042】 熱交換エレメント22は、本体ケース21の内部空間25における中央の位置に、前端面21aおよび後端面21dと平行になるように、配置されている。熱交換エレメント22は、本体ケース21内部に導入された室外空気OAと室内空気RAとの間で全熱交換をすることが可能である。 【0043】 給気用送風機23は、本体ケース21の内部空間25における前端面21aと熱交換エレメント22との間であって、前端面21aに形成された給気用接続口21fの直近の位置に配置されている。給気用送風機23は、本体ケース21の内部における室外空気吸入口4から給気用接続口21fへ向かう空気の流れを生成する。すなわち、給気用送風機23によって、室外空気吸入口4を通して室外空気OAが本体ケース21の内部へ引き込まれ、その室外空気OAは熱交換エレメント22によって後述の室内空気RAと全熱交換され、その熱交換された空気が給気用接続口21fから本体ケース21の外部へ吹き出し、後述する加湿ユニット3側の給気用接続口31fを通って、加湿ユニット3の内部へ導入される。 【0044】 排気用送風機24は、本体ケース21の内部空間25における後端面21dと熱交換エレメント22との間であって、後端面21dに形成された排気口7の直近の位置に配置されている。排気用送風機24は、本体ケース21の内部における室内空気用接続口21gから排気口7へ向かう空気の流れを生成する。すなわち、排気用送風機24によって、加湿ユニット3および室内空気用接続口21gを通して室内空気RAが本体ケース21の内部へ引き込まれ、その室内空気RAは熱交換エレメント22によって室外空気OAとの間で全熱交換され、その熱交換された空気が排気口7から本体ケース21の外部へ吹き出される。 【0045】 (加湿ユニット3) 加湿ユニット3は、熱交換ユニット2によって熱交換された後に室内に導入される給気SAを加湿するユニットであり、図1、2および5に示されるように、主な構成として、本体ケース31と、加湿エレメント9と、ドレンパン10と、ダクト継手11と、仕切板12とを備えている。 【0046】 本体ケース31は、熱交換ユニット2の本体ケース21と同様に偏平な直方体形状を有する中空のケースからなる。また、本体ケース31の前端面31aには、上記の給気吹出口5および室内空気吸入口6が形成されている。後端面31dには、給気用接続口31fおよび室内空気用接続口31gが形成されている。後端面31dは、前述のように熱交換ユニット2に対面する。給気用接続口31fおよび室内空気用接続口31gは、熱交換ユニット2の本体ケース21の前端面21aに形成された給気用接続口21fおよび室内空気用接続口21gと連通することが可能である。」 「【0054】 加湿エレメント9は、本体ケース31の内部空間32の中央の位置に、当該本体ケース31の前端面31aおよび後端面31dと平行になるように、配置されている。加湿エレメント29は、熱交換ユニット2から本体ケース31内部に導入された熱交換後の給気を加湿することが可能である。 【0055】 ドレンパン10は、本体ケース31の内部空間32において加湿エレメント9の下側に配置された平たい容器であり、加湿エレメント9から出るドレン水を受ける。 【0056】 ダクト継手11は、本体ケース31の後端面31dの内面側における給気用接続口31fに設置されている。」 「【0073】 その状態で、第1のフランジ部13b、113bに形成された貫通孔13d、113d(図3、9および10参照)と第2のフランジ部14bに形成された貫通孔14d(図5および図11参照)とを連通させ、これらの貫通孔13d、113d、14dに図4および図7に示されるボルトBを挿入し、当該ボルトBの先端にナット(図示せず)を締結することにより、第1のL字型部材13、113と第2のL字型部材14とが連結され、その結果、熱交換ユニット2および加湿ユニット3は水平状態を保ちながら連結される。」 「 [図:0001397195000016.jpg] [図:0001397195000017.jpg] [図:0001397195000018.jpg] [図:0001397195000019.jpg] [図:0001397195000020.jpg] 」 そして、段落【0032】及び【0073】並びに及び図1~4の記載によれば、加湿ユニット3は、熱交換ユニット2の本体ケース21の前端面21aに本体ケース31の後端面31dが対面するように水平方向に着脱可能に連結されることが認められる。 イ 甲8の技術事項 上記アを整理すると、甲8には、次の技術的事項(以下「甲8の技術事項」という。)が記載されていると認める。 「全熱交換用の熱交換ユニット2と加湿ユニット3とが一体に連結された換気装置1において、 熱交換ユニット2の本体ケース21に形成された給気用接続口21fに接続される加湿ユニット3を備え、 前記加湿ユニット3は、給気用接続口31fと、給気吹出口5と、加湿エレメント9と、を有し、 前記加湿ユニット3側の前記給気用接続口31fは、前記熱交換ユニット2側の前記給気用接続口21fと連通し、 前記加湿エレメント9は、前記加湿ユニット3側の前記給気用接続口31fから導入された室外空気OAを加湿し、 前記給気吹出口5は、前記加湿エレメント9により加湿された室外空気OAが空気調和された給気SAを装置外部に吹き出し、 前記加湿ユニット3は、前記熱交換ユニット2の本体ケース21の前端面21aに本体ケース31の後端面31dが対面するように水平方向に着脱可能に連結され、 前記加湿エレメント9の下方にドレンパン10を備えること。」 (9)甲9について 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲9には、次の記載がある。なお、翻訳文は、申立人により令和4年12月21日に提出された意見書の6頁における3(3)(ア)に記載されたものを採用した。 「[0020]Referring to Figure 1, a Mechanical Ventilation with Heat Recovery unit (MVHR) 1 comprises a housing 2 having a plurality of ports 4.」 <翻訳文> ([0020]図1を参照すると、機械的熱交換形換気装置ユニット(MVHR)1は、複数のポート4を有するハウジング2を備える。) 「[0021]An acoustic attenuator 22 is provided, as shown in Figure 2, to dampen acoustic emissions from the MVHR unit 1.」 <翻訳文> ([0021]音減衰器22が、図2に示されるように、機械的熱交換形換気装置ユニット1からの音の放出を減衰させるために、備えられる。) 「 [図:0001397195000021.jpg] [図:0001397195000022.jpg] 」 (10)甲10について 本件特許の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲10には、次の記載がある。なお、翻訳文は、申立人により令和4年12月21日に提出された意見書の6頁における3(3)(ア)に記載されたものを採用した。 「In a further preferred embodiment, the air inlets and air outlets of the HRV unit are located on one side, preferably the upper side, of the HRV unit・・・the silencer ducts of the silencer unit have duct ends arranged in a substantially planar arrangement corresponding to the planar arrangement of the air inlets and air outlets of the HRV unit. Again, there is only one position of the silencer unit with respect to the HRV unit that allows the silencer unit to be connected to the HRV unit.」(第3頁第13~14行、同頁第18~20行) <翻訳文> (さらに好ましい実施形態において、熱交換形換気装置ユニットの複数の空気吸込口と複数の空気排出口は、熱交換形換気装置ユニットの1つの側面、好ましくは上側の側面、に配置され・・・消音器ユニットの複数の消音器ダクトは、熱交換形換気装置ユニットの複数の空気吸込口と複数の空気排出口の平面配置と実質的に対応する平面配置に配置された複数のダクト端部を備える。) 3 当審の判断 (1)本件訂正発明1について(甲1発明を主とした場合) ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「機体1」は、前者の「本体ケース」に相当し、同様に、「全熱交換器3」は「熱交換素子」に、「空調用床置形換気ユニット」は「熱交換形換気装置」に、相当する。 また、後者の「還気用送風機14及び排気用送風機15」は、前者の「ファンユニット」に相当する。 また、後者の「気化式加湿器17」は、前者の「加湿ユニット」に相当する。 そうすると、後者の「機体1と、還気用送風機14及び排気用送風機15と、全熱交換器3と、冷、温水用熱交換コイル16と、気化式加湿器17と、ドレンパン18と、を備えた空調用床置形換気ユニット」は、前者の「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置」に相当する。 (イ)後者の「室内の汚染空気」は、前者の「室内空気」に相当し、同様に、「還気口10」は「室内吸込口」に、「屋外」は「外部」に、「放出する」は「排出する」に、「排気口11」は「排気口」に、「外気」は「外気」に、「導入する」は「吸い込む」に、「外気取入口9」は「外気吸込口」に、「導入した」は「吸い込んだ」に、「送給する」は「供給する」に、「給気口8」は「給気口」に、相当する。 そして、後者の「前記機体1は、室内の汚染空気を吸い込む還気口10と、吸い込んだ室内の汚染空気を屋外に放出する排気口11と、外気を導入する外気取入口9と、導入した外気を室内に送給する給気口8と、を有し」は、前者の「前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し」に相当する。 (ウ)後者の「還気用送風機14」は、前者の「給気ファン」に相当し、同様に、「排気用送風機15」は、「排気ファン」に相当する。 そして、後者の「空調用床置形換気ユニット」が「還気用送風機14及び排気用送風機15」を備えることによって、前者の「前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し」に相当する事項を備えたものとなる。 (エ)後者の「上部の面」は、前者の「第1側面」に相当する。 そして、後者の「前記排気口11、前記外気取入口9、前記還気口10、および前記給気口8は、前記機体1の上部の面に設けられ」は、前者の「前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ」に相当する。 (オ)後者の「下部の面」は、前者の「第2側面」に相当する。 そして、後者の「前記機体1は、前記上部の面に対向する下部の面を有し」は、前者の「前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し」に相当する。 (カ)後者の「前記還気用送風機14により前記外気取入口9から前記給気口8へ外気が流れる経路が形成され」は、前者の「前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され」に相当する。 (キ)後者の「前記排気用送風機15により前記還気口10から前記排気口11へ室内の汚染空気が流れる経路が形成され」は、前者の「前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され」に相当する。 (ク)後者の「前記全熱交換器3は、前記機体1内において、前記外気が流れる経路と前記室内の汚染空気が流れる経路とが交差する位置に設けられ」は、前者の「前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ」に相当する。 (ケ)後者の「前記機体1は、前記上部の面を上、前記下部の面を下とした状態で床に設置され」は、前者の「前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され」に相当する。 (コ)後者の「前記還気用送風機14および前記排気用送風機15は、前記機体1内において、前記全熱交換器3の下部に設けられ」は、前者の「前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ」に相当する。 (サ)後者の「前記給気口8に連通する給気室4内に、前記冷、温水用熱交換コイル16、前記気化式加湿器17、前記ドレンパン18が配置された」ことと、 前者の「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」こととは、 「前記加湿ユニットは、所定の位置に配置され」るという限りにおいて一致する。 以上によると、本件訂正発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置であって、 前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し、 前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し、 前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し、 前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され、 前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され、 前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され、 前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ、 前記加湿ユニットは、所定の位置に配置される、熱交換形換気装置。」 [相違点1-1] 「加湿ユニット」に関し、 本件訂正発明1では、 「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」のに対して、 甲1発明では、 「前記給気口8に連通する給気室4内に、前記冷、温水用熱交換コイル16、前記気化式加湿器17、前記ドレンパン18が配置される」点。 イ 判断 本件訂正発明1と甲1発明とは、相違点1-1で相違するから、本件訂正発明1は、甲1発明ではない。 そこで、相違点1-1について検討する。 甲8の技術事項は、天井に設置される全熱交換形の換気装置を対象としたものであって、「加湿ユニット3は、熱交換ユニット2の本体ケース21の前端面21aに本体ケース31の後端面31dが対面するように水平方向に連結される」ものであり、床置きで設置態様が異なる甲1発明に甲8の記載事項を適用する動機付けは認められず、仮に甲1発明に甲8の記載事項を適用できたとしても、本体ケースの水平方向の側面に加湿ユニットが設けられたものとなり、加湿ユニット3(加湿ユニット)が、本体ケース2の上面(第1側面)の上方に配置されたもの、すなわち、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1の発明特定事項に含まれる「前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」との構成(以下、「構成A」という。)とすることは困難である。 また、申立人により、令和4年12月21日に提出された意見書に添付された、甲9及び甲10の記載によると、熱交換形換気装置ユニットにおいて、本体ケースの上側に消音器を配置することは周知の技術(以下、「周知技術1」という。)といえるが、周知技術1は、加湿ユニットに関するものではないから、甲1発明に甲8の記載事項を適用するに際して、合わせて考慮されるものとはいえず、構成Aとすることは困難である。 また、甲5~甲7は、熱交換器、給気ファン及び排気ファンを備えた熱交換形換気装置において、機体内で、熱交換器の真下に給気ファン及び排気ファンを設けることが周知の技術(以下、「周知技術2」という。)であることを示すために引用されたものであり、また、甲5は、熱交換器、給気ファン及び排気ファンを備えた熱交換形換気装置において、給気ファンと排気ファンとを両ファンが一体となった1つのファンユニットとすることが周知の技術(以下、「周知技術3」という。)であることを示すために引用されたものであり、周知技術2及び周知技術3は、構成Aとは何ら関係がなく、甲5~甲7には、構成Aは記載も示唆もされていない。 さらに、甲2には甲2発明が記載され、甲3には甲3発明が記載され、また、甲4には甲3の日付に関する記載がされているものの、甲2~甲4には、構成Aは記載も示唆もされていない。 してみると、甲1発明において、甲8の記載事項並びに甲9及び甲10に例示された周知技術1に、甲2~甲7に記載された事項を合わせて考慮しても、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、令和4年12月21日に提出された意見書の6頁における3(3)(ア)において、甲1発明に甲8の技術事項を適用する場合に、加湿ユニットを機体1の上部に設けることは、例えば、甲9及び甲10に例示された周知技術を考慮して当業者が適宜なし得た設計的事項である旨主張する。 しかし、上記イで検討したとおり、甲1発明において、甲8の記載事項並びに甲9及び甲10に例示された周知技術1を考慮しても、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえないから、申立人の上記主張は採用できない。 エ 効果について そして、本件訂正発明1は、「製品設置の際における施工性を改善することができる。」(本件特許明細書の段落【0009】)という所期の効果を奏するものである。 オ まとめ したがって、本件訂正発明1は、甲1発明ではなく、また、甲1発明、甲8の記載事項、甲9及び甲10に例示された周知技術1、並びに甲2~甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明1について(甲2発明を主とした場合) ア 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「機体1」は、前者の「本体ケース」に相当し、同様に、「全熱交換器13」は「熱交換素子」に、「ターミナル型空気調和機」は「熱交換形換気装置」に、相当する。 また、後者の「SA送風機14及びEA送風機15」は、前者の「ファンユニット」に相当する。 また、後者の「加湿器18」は、前者の「加湿ユニット」に相当する。 そうすると、後者の「機体1と、SA送風機14及びEA送風機15と、全熱交換器13と、冷、温水コイル16と、ドレンパン17と、加湿器18と、を備えたターミナル型空気調和機」は、前者の「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置」に相当する。 (イ)後者の「室内の汚染空気」は、前者の「室内空気」に相当し、同様に、「還気口3」は「室内吸込口」に、「室外」は「外部」に、「放出する」は「排出する」に、「排気口5」は「排気口」に、「外気」は「外気」に、「導入する」は「吸い込む」に、「外気取入口4」は「外気吸込口」に、「導入した」は「吸い込んだ」に、「送給する」は「供給する」に、「送気口2」は「給気口」に、相当する。 そして、後者の「前記機体1は、室内の汚染空気を吸い込む還気口3と、吸い込んだ室内の汚染空気を室外に放出する排気口5と、外気を導入する外気取入口4と、導入した外気を室内に送給する送気口2と、を有し」は、前者の「前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し」に相当する。 (ウ)後者の「SA送風機14」は、前者の「給気ファン」に相当し、同様に、「EA送風機15」は、「排気ファン」に相当する。 そして、後者の「ターミナル型空気調和機」が「SA送風機14及びEA送風機15」を備えることによって、前者の「前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し」に相当する事項を備えたものとなる。 (エ)後者の「上部の面」は、前者の「第1側面」に相当する。 そして、後者の「前記排気口5、前記外気取入口4、前記還気口3、および前記送気口2は、前記機体1の上部の面に設けられ」は、前者の「前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ」に相当する。 (オ)後者の「下部の面」は、前者の「第2側面」に相当する。 そして、後者の「前記機体1は、前記上部の面に対向する下部の面を有し」は、前者の「前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し」に相当する。 (カ)後者の「前記SA送風機14により前記外気取入口4から前記送気口2へ外気が流れる回路が形成され」は、前者の「前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され」に相当する。 (キ)後者の「前記EA送風機15により前記還気口3から前記排気口5へ室内の汚染空気が流れる回路が形成され」は,前者の「前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され」に相当する。 (ク)後者の「前記全熱交換器13は、前記機体1内において、前記外気が流れる回路と前記室内の汚染空気が流れる回路とが交差する位置に設けられ」は,前者の「前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ」に相当する。 (ケ)後者の「前記機体1は、前記上部の面を上、前記下部の面を下とした状態で設置され」は、甲2の段落0010における「室両側下部に重量であるSA、EA送風機14,15の送風機を夫々設置してなるものであるから、安定性に秀ぐれ」との記載を考慮すると、ターミナル型空気調和機の機体1は、上部の面を上、下部の面を下とした状態で床に設置されていることが分かるから、前者の「前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され」に相当する。 (コ)後者の「前記SA送風機14および前記EA送風機15は、前記機体1内において、前記全熱交換器13の下部に設けられる」は、前者の「前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられる」に相当する。 (サ)後者の「前記送気口2に連通する熱交換器室8内に、冷、温水コイル16、ドレンパン17、加湿器18が設置される」ことと、 前者の「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」こととは、 「前記加湿ユニットは、所定の位置に配置される」という限りにおいて一致する。 以上によると、本件訂正発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置であって、 前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し、 前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し、 前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し、 前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され、 前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され、 前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され、 前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ、 前記加湿ユニットは、所定の位置に配置される、熱交換形換気装置。」 [相違点1-2] 「加湿ユニット」に関し、 本件訂正発明1では、 「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」のに対して、 甲2発明では、 「前記送気口2に連通する熱交換器室8内に、冷、温水コイル16、ドレンパン17、加湿器18が設置される」点。 イ 判断 本件訂正発明1と甲2発明とは、相違点1-2で相違するから、本件訂正発明1は、甲2発明ではない。 そこで、相違点1-2について検討すると、相違点1-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項は、相違点1-1に係る本件訂正発明1の発明特定事項と同じであり、上記(1)イの判断を踏まえると、同様の理由により、甲2発明において、甲8の記載事項並びに甲9及び甲10に例示された周知技術1に、甲2~甲7に記載された事項を合わせて考慮しても、上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は、令和4年12月21日に提出された意見書の6頁における3(3)(ア)において、甲2発明に甲8の技術事項を適用する場合に、加湿ユニットを機体1の上部に設けることは、例えば、甲9及び甲10に例示された周知技術を考慮して当業者が適宜なし得た設計的事項である旨主張する。 しかし、上記(1)イで検討の検討を踏まえると、甲2発明において、甲8の記載事項並びに甲9及び甲10に例示された周知技術1を考慮しても、上記相違点1-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものとはいえないから、申立人の上記主張は採用できない。 エ 効果について そして、本件訂正発明1は、「製品設置の際における施工性を改善することができる。」(本件特許明細書の段落【0009】)という所期の効果を奏するものである。 オ まとめ したがって、本件訂正発明1は、甲2発明ではなく、また、甲2発明、甲8の記載事項、甲9及び甲10に例示された周知技術1、並びに甲2~甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件訂正発明1について(甲3発明を主とした場合) ア 対比 本件訂正発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「本体ケース」は、前者の「本体ケース」に相当し、同様に、「ロスナイエレメント」は「熱交換素子」に、「床置ビルトイン形ロスナイ」は「熱交換形換気装置」に、相当する。 また、後者の「給気用送風機及び排気用送風機」は、前者の「ファンユニット」に相当する。 また、後者の「熱交換後の給気空気に加湿を行う加湿エレメント」は、前者の「加湿ユニット」に相当する。 そうすると、後者の「本体ケースと、給気用送風機及び排気用送風機と、ロスナイエレメントと、熱交換後の給気空気に加湿を行う加湿エレメントと、を備えた床置ビルトイン形ロスナイ」は、前者の「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置」に相当する。 (イ)後者の「室内空気」は、前者の「室内空気」に相当し、同様に、「RA(還気)口」は「室内吸込口」に、「屋外」は「外部」に、「EA(排気)口」は「排気口」に、「外気」は「外気」に、「OA(外気)口」は「外気吸込口」に、「SA(給気)口」は「給気口」に、相当する。 そして、後者の「前記本体ケースは、室内空気を吸い込むRA(還気)口と、吸い込んだ室内空気を屋外に排出するEA(排気)口と、外気を吸い込むOA(外気)口と、吸い込んだ外気を室内に供給するSA(給気)口と、を有し」は、前者の「前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し」に相当する。 (ウ)後者の「給気用送風機」は、前者の「給気ファン」に相当し、同様に、「排気用送風機」は、「排気ファン」に相当する。 そして、後者の「床置ビルトイン形ロスナイ」が「給気用送風機及び排気用送風機」を備えることは、前者の「前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有」することに相当する。 (エ)後者の「上面」は、前者の「第1側面」に相当する。 そして、後者の「前記EA(排気)口、前記OA(外気)口、前記RA(還気)口、および前記SA(給気)口は、前記本体ケースの上面に設けられ」は、前者の「前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ」に相当する。 (オ)後者の「下面」は、前者の「第2側面」に相当する。 そして、後者の「前記本体ケースは、前記上面に対向する下面を有し」は、前者の「前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し」に相当する。 (カ)後者の「前記給気用送風機により前記OA(外気)口から前記SA(給気)口へ外気が流れる経路」は、前者の「前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路」に相当する。 (キ)後者の「前記排気用送風機により前記RA(還気)口から前記EA(排気)口へ室内空気が流れる経路が形成され」は、前者の「前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され」に相当する。 (ク)後者の「前記ロスナイエレメントは、前記本体ケース内において、前記外気が流れる経路と前記室内空気が流れる経路とが交差する位置に設けられ」は、前者の「前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ」に相当する。 (ケ)後者の「前記本体ケースは、前記上面を上、前記下面を下とした状態で床に設置され」は,前者の「前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され」に相当する。 (コ)後者の「前記給気用送風機および前記排気用送風機は、前記本体ケース内において、前記ロスナイエレメントの下部に設けられ」は,前者の「前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ」に相当する。 (サ)後者の「前記加湿エレメントは、前記本体ケースの側方のケース内に配置される」ことと、 前者の「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」こととは、 「前記加湿ユニットは、所定の位置に配置される」という限りにおいて一致する。 以上によると、本件訂正発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「本体ケースと、ファンユニットと、熱交換素子と、加湿ユニットと、を備えた熱交換形換気装置であって、 前記本体ケースは、室内空気を吸い込む室内吸込口と、吸い込んだ室内空気を外部に排出する排気口と、外気を吸い込む外気吸込口と、吸い込んだ外気を室内に供給する給気口と、を有し、 前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し、 前記排気口、前記外気吸込口、前記室内吸込口、および前記給気口は、前記本体ケースの第1側面に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面に対向する第2側面を有し、 前記給気ファンにより前記外気吸込口から前記給気口へ屋外の空気が送風される給気経路が形成され、 前記排気ファンにより前記室内吸込口から前記排気口へ室内の空気が送風される排気経路が形成され、 前記熱交換素子は、前記本体ケース内において、前記給気経路と前記排気経路とが交差する位置に設けられ、 前記本体ケースは、前記第1側面を上、前記第2側面を下とした状態で床に設置され、 前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられ、 前記加湿ユニットは、所定の位置に配置される、熱交換形換気装置。」 [相違点1-3] 「加湿ユニット」に関し、 本件訂正発明1では、 「前記加湿ユニットは、前記給気口に接続され、 前記加湿ユニットは、流入口と、流出口と、加湿部と、を有し、 前記流入口は、前記給気口と連通し、 前記加湿部は、前記流入口から吸い込まれた空気を加湿し、 前記流出口は、前記加湿部により加湿された空気を室内に供給し、 前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」のに対して、 甲3発明では、 「前記加湿エレメントは、前記本体ケースの側方に配置される」点。 イ 判断 本件訂正発明1と甲3発明とは、相違点1-3で相違するから、本件訂正発明1は、甲3発明ではない。 (4)本件訂正発明2~4について(甲1発明を主とした場合) 本件特許の請求項2~4の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲1発明との対比において上記相違点1-1を含むものである。 したがって、本件訂正発明2~4は、甲1発明、甲8の記載事項、甲9及び甲10に例示された周知技術1、並びに甲2~甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件訂正発明2~4について(甲2発明を主とした場合) 本件特許の請求項2~4の記載は、請求項の記載を他の記載に置き換えることなく本件特許の請求項1を直接あるいは間接的に引用してされたものであるから、本件訂正発明2~4は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て含むものであって、甲2発明との対比において上記相違点1-2を含むものである。 したがって、本件訂正発明2~4は、甲2発明、甲8の記載事項、甲9及び甲10に例示された周知技術1、並びに甲2~甲7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、また、本件訂正発明1~本件訂正発明4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書の45頁~46頁(3(4)エのア)及びイ))において、上記第4の1(3)の申立理由3(明確性)について、概ね次の主張をする。 (1)請求項1に記載の「ファンユニット」については、「前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し」と記載されているが、給気ファンと排気ファンとがどのような形態にある場合までを含むのかが、本件特許明細書及び図面又は技術常識を参酌しても明確ではない。 請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~4についても同様である。 (2)請求項1の「前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられる」との事項については、給気ファンと排気ファンとがどのような形態にある場合までを「熱交換素子の下部に設けられる」として含むのかが、本件特許明細書及び図面又は技術常識を参酌しても明確ではない。 請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~4についても同様である。 2 当審の判断 (1)本件訂正後の請求項1に記載された、「前記ファンユニットは、給気ファンと、排気ファンと、を有し」との事項については、構造や配置等を含めて、給気ファン及び排気ファンを何ら具体的に特定するものではないが、文言上、単に給気ファンと排気ファンを合わせて有するものを総称してファンユニットとしていると認められることから、「ファンユニット」は明確である。よって、申立人の上記1(1)の主張は採用することができない。 (2)また、本件訂正後の請求項1に記載された、「前記給気ファンおよび前記排気ファンは、前記本体ケース内において、前記熱交換素子の下部に設けられる」との事項については、本件特許の明細書の段落【0030】及び図2の記載を参酌すると、本体ケース内において、給気ファン及び排気ファンが、それぞれ熱交換素子よりも下側(第2側面9側)にあるような関係となるように設けられるものと認められる(なお、給気ファン及び排気ファンが、図2に示すように、熱交換素子より部分的に上方に位置し、仮に、両者が重なる部分が存在するとしても、上記の上下関係に変わりがあるものではない。)。 そうすると、上記事項は、意味する内容が明確である。よって、申立人の上記1(2)の主張は採用することができない。 (3)したがって、上記第4の1(3)の申立理由3(明確性)によっては、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~4の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。 なお、取消理由において、特許異議申立理由のうち上記第4の1(2)イの申立理由2(進歩性)における、本件特許の請求項1に係る発明についての申立理由は採用していないが、上記第5の取消理由についての検討において合わせて検討済みである。 第7 令和4年12月21日に申立人より提出された意見書の主張について 1 申立人による意見書の主張の概要 申立人は、令和4年12月21日に提出された意見書の2頁~5頁(特に、3(1)(ク)及び3(2)(ク)[当審注;3頁の(1)は(2)の誤記である。])において、訂正事項1及び訂正事項2の明確性について、概ね次の主張をする。 (1)訂正後の請求項1に記載された「前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」とは、加湿ユニットが第1側面に対しどのような配置関係になっている状態までが「第1側面の上方に配置」という状態に含まれるのか、明細書の記載を参酌しても明確ではなく、その結果、訂正後の請求項1に係る発明は、明確ではない。訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する訂正後の請求項2~4に係る発明についても同様に明確ではない。 (2)訂正後の請求項2に記載された「前記排気口、前記室内吸込口、および前記外気吸込口は、1つの列に並んで配置され、前記給気口は、前記列と隣接する位置に配置され、前記加湿ユニットは、前記列と隣接し且つ前記給気口と隣接する位置に配置される」との事項には、各構成がどのような配置関係になっている状態までが含まれるのか、明細書の記載を参酌しても明確ではなく、その結果、訂正後の請求項2に係る発明は、明確ではない。 訂正後の請求項2を引用する訂正後の請求項3~4に係る発明についても同様に明確ではない。 2 当審の判断 (1)訂正後の請求項1に記載された「前記加湿ユニットは、前記第1側面の上方に配置される」との事項(以下、「事項B」という。)について、特許明細書等には、特別な意味に解釈すべきことを説明する記載はなく、上記事項Bは文言どおり解釈するのが合理的であり、加湿ユニットの一部が第1側面からはみ出ている状態であったとしても、加湿ユニットが第1側面の上方に配置される形態に変わりがないものは上記事項Bに含まれる。 そうすると、上記事項Bが不明確であるとはいえず、申立人の上記1(1)の主張は採用することができない。 (2)また、訂正後の請求項2に記載された「前記排気口、前記室内吸込口、および前記外気吸込口は、1つの列に並んで配置され、前記給気口は、前記列と隣接する位置に配置され、前記加湿ユニットは、前記列と隣接し且つ前記給気口と隣接する位置に配置される」との事項(以下、「事項C」という。)について、特許明細書等には、特別な意味に解釈すべきことを説明する記載はなく、上記事項Cは文言どおり解釈するのが合理的である。 そして、「前記排気口、前記室内吸込口、および前記外気吸込口は、1つの列に並んで配置され」との事項については、排気口、室内吸込口及び外気吸込口が、ある1つの直線と少しでも重なる程度であっても、1つの列に並んで配置される形態に変わりはない。 また、「前記給気口は、前記列と隣接する位置に配置され、前記加湿ユニットは、前記列と隣接し且つ前記給気口と隣接する位置に配置される」との事項については、室内吸込口、排気口、外気吸込口、給気口及び加湿ユニットの相互の位置関係を第1側面上でみたときに、給気口と、排気口、室内吸込口及び外気吸込口の列との関係、加湿ユニットと前記列との関係、並びに、加湿ユニットと給気口との関係が、離れる距離の大きさに関わらず、「隣接」の関係にある形態に変わりはない。 そうすると、上記事項Cは不明確であるとはいえず、申立人の上記1(2)の主張は採用することができない。 (3)よって、令和4年12月21日に提出された意見書における申立人の主張によっては、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~4の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。 第8 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものともいえないから、特許法第113条第2号及び第4号には該当せず、また、本件特許の請求項2~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものともいえないから、特許法第113条第2号及び第4号には該当せず、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700502

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