特許異議申立
2018-700424
照明器具
- 審判番号
- 2018-700424
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-061678外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月25日
- 審決日
- 2019年02月27日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東芝ライテック株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 【異議申立人】有江 純子
- 分類
- P1651.121-YAA(F21S) / P1651.536-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6238144号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6238144号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第6238144号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6238144号の請求項1に係る特許についての出願は、平成22年6月17日に出願した特願2010-138769号の一部を、平成26年4月18日に新たな特許出願とした特願2014-86399号の一部を、平成27年2月20日に新たな特許出願とした特願2015-31593号の一部を、平成28年2月26日に新たな特許出願とした特願2016-36057号の一部を平成28年3月25日に新たな特許出願としたものであって、平成29年11月10日にその特許権の設定登録がされ、平成29年11月29日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年5月25日に特許異議申立人有江純子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年8月8日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成30年10月12日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、平成30年11月6日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、その訂正の請求に対して、申立人は平成30年12月11日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年10月12日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、それぞれ「本件明細書」、「本件特許請求の範囲」といい、図面を含めて「本件明細書等」という。)を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示すものとして、当審が付した)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載を、
「長手方向に沿って凹部が形成された本体と;
複数の発光素子と、複数の発光素子を覆う光拡散性の透光性のカバー部材とを備えており、前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部と;
前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部と;
前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部と;
を具備することを特徴とする照明器具。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を
「 実施形態の照明器具は、長手方向に沿って凹部が形成された本体と;複数の発光素子と、複数の発光素子を覆う光拡散性の透光性のカバー部材とを備えており、前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部と;前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部と;前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部と;を具備することを特徴とする。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1は、実質的に、以下の訂正事項(1-A)及び(1-B)であるといえることから、各訂正事項について以下検討する。
(ア)訂正事項(1-A)
訂正前の請求項1の「前記本体の凹部内に配置される係止部」を、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部」と「前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部」に訂正する。
(イ)訂正事項(1-B)
訂正前の請求項1の「前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で、前記本体に前記光源部が係合して取付けられるとともに、前記光源部が前記本体に配設された状態において、」を「前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、」と訂正する。
イ 検討
(ア)訂正事項(1-A)について(下線は当審が付した。以下同様。)
訂正事項(1-A)は、訂正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記本体の凹部内に配置される係止部」について、本件明細書の段落【0014】、段落【0016】、段落【0027】及び段落【0028】並びに図4及び図5等の記載を根拠に、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部」と「前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部」に特定するものである。
本件明細書には、係止部について、以下の記載がある。
a 「収容凹部11の側板部11cにおける長手方向の両端部には、一対の係止爪通過孔11dが形成されている。この係止爪通過孔11dには、後述する係止部材4の係止爪4aが配置されるようになっている。」(段落【0014】)
b 「取付部材21は、器具本体1と同様に、横長であって長尺状に形成されており、長手方向に沿って平坦な取付面21aと、この取付面21aの両側から背面方向へ直角に立ち上がった第1の側壁21bと、この第1の側壁21bから水平方向に延出し、さらに背面方向に向かって内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21cとを有している。」(段落【0016】)
c 「より詳しくは、図4に示すように、係止爪4aが収容凹部11の係止爪通過孔11dを通って配置され、収容凹部11の外側にねじ等の固定手段(図3参照)によって取付けられるようになっている。このように構成された係止部材4には、図5に示すように、光源部2が取付けられる。つまり、収容凹部11の開口部側を覆うように光源部2が配設される。」(段落【0027】)
d 「光源部2を器具本体1に対して図示矢印方向に移動すると、取付部材21の傾斜状の第2の側壁21cが係止部材4の係止爪4aに当接する。この状態からさらに光源部2の移動を進め、係止爪4aの弾性に抗して収容凹部11に押し込むようにすることにより、係止爪4aが第2の側壁21cによって外側に弾性変形し、光源部2が収容凹部11内へ移動する。そして、第2の側壁21cが所定量収容凹部11内へ入ると、係止爪4aの弾性変形が解かれ、取付部材21が係止爪4aによって所定位置に係合保持される(図4参照)。」(段落【0028】)
そして、上記各記載における「係止爪4a」及び「第1の側壁21bから水平方向に延出」した部分が、訂正前の請求項1に係る発明の「係止部」に相当する構成であると認められるところ、訂正事項(1-A)は、訂正前の請求項1に係る発明の「係止部」を、「係止爪4a」を「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部」とし、「第1の側壁21bから水平方向に延出」した部分を「前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部」として減縮したものであるといえる。
また、「第1の係止部」及び「第2の係止部」という記載は、本願明細書等に明記されていないものの、「第1の係止部」及び「第2の係止部」が、本願明細書等に記載された「係止爪4a」及び「第1の側壁21bから水平方向に延出」した部分にそれぞれ相当するといえるし、「係止爪4a」は「収容凹部11の係止爪通過孔11dを通って配置」(段落【0027】)されていることから、「収容凹部11」の開口部側の両端間を結ぶ線、すなわち基準線よりも「収容凹部11」の内側に取付けられているといえる。
さらに、「係止爪4aの弾性に抗して収容凹部11に押し込むようにすることにより、係止爪4aが第2の側壁21cによって外側に弾性変形し、光源部2が収容凹部11内へ移動する。そして、第2の側壁21cが所定量収容凹部11内へ入ると、係止爪4aの弾性変形が解かれ、取付部材21が係止爪4aによって所定位置に係合保持される」(段落【0028】)の記載から、「第2の側壁21c」は、前記基準線よりも「収容凹部の内側」において「係止爪4a」と係合されるように「光源部2」に配置されるものであるといえる。
そうすると、訂正事項(1-A)は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(イ)訂正事項(1-B)について
訂正事項(1-B)は、後述する取消理由1に対応して、請求項1の記載を明瞭なものとするための訂正であると認められるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項(1-B)は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴って特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項2は、上記(1)で判断したところによれば、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3)独立特許要件
本件において、訂正前の請求項1について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1及び2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
3 申立人の主張
平成30年12月11日に提出された意見書の3頁「(2)ア(イ)(a)1)」において、「前記本体のうち」とはどのような構成を意味するのか明らかでない旨主張しているが、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部と」の記載は、「本体」において、その一部分である「凹部の内側に」「第1係止部」が「取り付けられる」構成を示していることは明確であるし、「前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部と;」の記載は、「本体」において、その一部分である「凹部の内側において」「第2係止部」が「第1係止部」と「係合される」構成を示していることも明確であるから、かかる主張を採用することはできない。
また、同意見書の4頁「(2)ア(イ)(a)2)」において、具体的に、どの部材が「第1係止部」、「第2係止部」に相当するのか特定できない旨主張しているが、上記「2(1)イ(ア)」においても述べたとおり、「第1の係止部」及び「第2の係止部」が、本願明細書等に記載された「係止爪4a」及び「第1の側壁21bから水平方向に延出」した部分にそれぞれ相当するといえるから、かかる主張も採用することはできない。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「長手方向に沿って凹部が形成された本体と;
複数の発光素子と、複数の発光素子を覆う光拡散性の透光性のカバー部材とを備えており、前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部と;
前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部と;
前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部と;
を具備することを特徴とする照明器具。」
第4 特許異議の申立てについて
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が平成30年8月8日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1
本件特許は、その特許請求の範囲の請求項1の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しないため、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものである。
(2)取消理由2
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<刊行物>
引用文献1:登録実用新案第3151288号公報
上記引用文献1は、申立人が証拠として提出した甲第1号証である。
2 当審の判断
2-1 本件取消理由について
(1)取消理由1について
取消理由1は、「請求項1には、「前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で、前記本体に前記光源部が係合して取付けられるとともに、前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体の凹部内に配置される係止部」と記載されているが、「係止部」がどこにどのように設けられた構成であるか不明確である。」というものであったが、本件訂正により、「係止部」が 「前記凹部の内側に取付けられる第1係止部」及び「前記光源部に配置される第2係止部」であることが明確となり、その構成が明確になったことから、取消理由1は解消した。
(2)取消理由2について
ア 刊行物の記載事項等
(ア)引用文献1の記載事項等
引用文献1には、以下の事項等が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
(1a)
「【請求項1】
放熱ベースと、それぞれ前記放熱ベースの幅方向における両端から上へ延伸する2つの第1係止構造とを備えるベースユニットと、
前記放熱ベースに着脱可能に設置され、基板と前記基板に電気的に接続される複数の発光素子とを有する発光ユニットと、
レンズと、それぞれ前記レンズの幅方向における両端に形成される2つの第2係止構造とを有し、前記2つの第1係止構造と前記2つの第2係止構造との嵌合により、前記発光ユニットの上方に着脱可能に設置されるレンズユニットと、を含むことを特徴とするカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール。」
(1b)
「【技術分野】
【0001】
本考案は、発光モジュールに関り、特に、ユーザのニーズに応じて放熱ベース、発光素子及びレンズを交換できるカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールに関するものである。」
(1c)
「 【0008】
(実施例1)
図1~図4に示すように、本考案の実施例1によるカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールは、ベースユニット1aと、発光ユニット2aと、複数のねじ素子3aと、レンズユニット4aと、2つのカバー部材5aとを含む。
【0009】
ベースユニット1aは、放熱ベース10aと、それぞれ放熱ベース10aの幅方向における両端から上へ延伸する2つの第1係止構造11aとを備え、かつ、各第1係止構造11aの外側に、凹み係止部110aを有する。また、放熱ベース10aの底部に複数の放熱フィン100aを有するが、これらの放熱フィン100aは、単に例を挙げるためのものに過ぎず、本考案は、異なる設計要求に応じて、異なる形状や配列方式、サイズまたは数量の放熱フィンを用いることができる。そのため、本考案は、ユーザの要する放熱効果に伴い異なる放熱ベースを選ぶことができる。
【0010】
また、発光ユニット2aは、基板20aと、基板20aに電気的に接続された複数の発光素子21aを備える。さらに、基板20aは、これらのねじ素子3aに対応する複数の貫通孔200aを有し、且つ、各ねじ素子3aは、それぞれ対応する貫通孔200aを通して基板20aを放熱ベース10a上に締め付けて固定する。また、発光ユニット2aの熱(これらの発光素子21aからの熱)が放熱ベース10aに伝達される効率を向上させるため、本考案は、さらに、放熱ベース10aと基板20aとの間に成形(例えば、塗布やプリントの方式)された放熱用ゲル状物A、或いは、放熱ベースと基板との間に設置(例えば、貼付方式)された放熱用テープ(図示せず)を含む。
【0011】
また、レンズユニット4aは、レンズ40aと、それぞれレンズ40aの幅方向における両端に形成された2つの第2係止構造41aとを有し、且つ、前記2つの第2係止構造41aは、前記2つの第1係止構造11aに対応する。そのため、レンズユニット4aは、前記2つの第1係止構造11aと前記2つの第2係止構造41aとの嵌合により、発光ユニット2aの上方に着脱可能に設置される。実施例1では、前記2つの第1係止構造11aは、それぞれ内向きに開口する第1スライド溝構造であり、前記2つの第2係止構造41aは、それぞれ外向きに開口する第2スライド溝構造であり、且つ、前記2つの第1スライド溝構造と前記2つの第2スライド溝構造とは、互いに摺動可能に嵌合される。
【0012】
また、2つのカバー部材5aは、それぞれ、ベースユニット1aの長手方向における両端を閉鎖し、且つ、各カバー部材5aは、カバー本体50aと、カバー本体50aから突出しかつ前記2つの第1係止構造11aの間に密接に嵌合される突出部51aとを備える。
【0013】
図3に示すように、発光素子21aからの出射光Sは、レンズ40aを透過して所定の投光角度のある投射光P1が投射される。そのため、本考案は、ユーザが所要する投光角度に応じて異なるレンズを選ぶことができる。
【0014】
図4に示すように、ベースユニット1aは、2つの凹み係止部110aにより逆さにした状態でフックユニット6a内に係止される。例えば、ユーザが天井板(壁やあらゆる物体であっても良い)に本考案によるカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールを設置する場合、前記2つの凹み係止部110aをそれぞれ前記天井板に予め固定されたフックユニット6aの2つのフック構造60aに係止させることで、ベースユニット1aが逆さにした状態で2つのフック構造60aの間に係止され、そのうち、放熱ベース10aはフックユニット6aに内蔵され、レンズ40aはフックユニット6aの外部に露出される。そのため、発光素子21aからの出射光Sは、レンズ40aを透過して下へ投光する方式でユーザが必要とする照明効果(所定の投光角度のある投射光P1を投射)を発生し、且つ、レンズ40aの交換に合わせて異なる投光角度を得られる。」
(1d)
「【0016】
(実施例2)
図6~図9に示すように、本考案の実施例2によるカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールは、ベースユニット1bと、発光ユニット2bと、複数のねじ素子3bと、レンズユニット4bと、2つのカバー部材5bとを含む。
【0017】
ベースユニット1bは、放熱ベース10bと、それぞれ放熱ベース10bの幅方向における両端に形成された2つの第1係止構造11bとを備える。また、放熱ベース10bの底部に複数の放熱フィン及び放熱体100bを有する。
【0018】
また、発光ユニット2bは、基板20bと、基板20bに電気的に接続された複数の発光素子21bを備える。さらに、基板20bは、これらのねじ素子3bに対応する複数の貫通孔200bを有し、且つ、各ねじ素子3bは、対応する貫通孔200bを通して基板20bを放熱ベース10b上に締め付けて固定する。また、発光ユニット2bの熱(これらの発光素子21bからの熱)が放熱ベース10bに伝達される効率を向上させるため、本考案は、さらに、放熱ベース10bと基板20bとの間に成形(例えば、塗布及びプリントの方式)放熱用ゲル状物A、或いは、放熱ベースと基板との間に設置(例えば、貼付方式)された放熱用テープ(図示せず)を含む。
【0019】
また、レンズユニット4bは、レンズ40bと、それぞれレンズ40bの幅方向における両端から下へ延伸する2つの第2係止構造41bとを有し、且つ、前記2つの第2係止構造41bの内側に、凹み係止部410bを有する。また、前記2つの第2係止構造41bは前記2つの第1係止構造11bに対応するので、レンズユニット4bは、前記2つの第1係止構造11bと前記2つの第2係止構造41bとの組み合わせにより、発光ユニット2bの上方に着脱可能に設置される。実施例2では、前記2つの第1係止構造11bは、それぞれ内向きに開口する第1スライド溝構造であり、前記2つの第2係止構造41bは、それぞれ外向きに開口する第2スライド溝構造であり、且つ、前記2つの第1スライド溝構造と前記2つの第2スライド溝構造とは、互いに摺動可能に嵌合される。
【0020】
また、2つのカバー部材5bは、それぞれ、ベースユニット1bの長手方向における両端を閉鎖し、且つ、各カバー部材5bは、カバー本体50bと、カバー本体50bから突出しかつ前記2つの第2係止構造41bの間に密接に嵌合される突出部51bとを備える。
【0021】
図8に示すように、発光素子21bからの出射光Sは、レンズ40bを透過して所定の投光角度のある投射光P3が投射される。そのため、本考案は、ユーザが所要する投光角度に応じて異なるレンズを選ぶことができる。
【0022】
図9に示すように、レンズユニット4bは、2つの凹み係止部410bにより逆さにした状態でフックユニット6bの下端に係止される。例えば、ユーザが天井板(壁やあらゆる物体であっても良い)に本考案によるカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールを設置する場合、前記2つの凹み係止部410bをそれぞれ前記天井板に予め固定されたフックユニット6bの2つのフック構造60bに係止させることで、ベースユニット1bが逆さにした状態で2つのフック構造60bの間に係止され、そのうち、放熱ベース10bはフックユニット6bに内蔵され、レンズ40bはフックユニット6bの外部に露出される。そのため、発光素子21bからの出射光Sは、レンズ40bを透過して下へ投光する方式でユーザが必要とする照明効果(所定の投光角度のある投射光P3を投射)を発生し、且つ、レンズ40bの交換に合わせて異なる投光角度を得られる。」
(1e)
引用文献1には、以下の図が記載されている。
【図1】
【図4】
【図6】
【図9】
(1f)
引用文献1の「発光素子21aからの出射光Sは、レンズ40aを透過して所定の投光角度のある投射光P1が投射される。」(摘示(1c)【0013】)、「発光素子21aからの出射光Sは、レンズ40aを透過して下へ投光する方式でユーザが必要とする照明効果(所定の投光角度のある投射光P1を投射)を発生し、且つ、レンズ40aの交換に合わせて異なる投光角度を得られる。」(摘示(1c)【0014】)の記載及び【図4】(摘示(1e))の投射光が拡がる記載並びに「発光素子21bからの出射光Sは、レンズ40bを透過して所定の投光角度のある投射光P3が投射される。」(摘示(1d)【0021】)、「発光素子21bからの出射光Sは、レンズ40bを透過して下へ投光する方式でユーザが必要とする照明効果(所定の投光角度のある投射光P3を投射)を発生し、且つ、レンズ40bの交換に合わせて異なる投光角度を得られる。」(摘示(1d)【0022】)の記載及び【図9】(摘示(1e))の投射光が拡がる記載から、「レンズ40a,40b」が、光拡散性の透光性であることが看取される。
(1g)
引用文献1の第4図及び第9図(摘示(1e))から、「発光素子21a,21b」が「フックユニット6a,6b」の下部端面から突出していることが看取される。
上記(1a)~(1g)の記載を総合すると、引用文献1には、実施例1として、以下の引用発明1が記載され、実施例2として、以下の引用発明2が記載されている。
<引用発明1>
「 放熱ベース10aと、それぞれ前記放熱ベース10aの幅方向における両端から上へ延伸する2つの第1係止構造11aとを備えるベースユニット1aと、
前記放熱ベース10aに着脱可能に設置され、基板20aと前記基板20aに電気的に接続される複数の発光素子21aとを有する発光ユニット2aと、
光拡散性の透光性のレンズ40aと、それぞれ前記レンズ40aの幅方向における両端に形成される2つの第2係止構造41aとを有し、前記2つの第1係止構造11aと前記2つの第2係止構造41aとの嵌合により、前記発光ユニット2aの上方に着脱可能に設置されるレンズユニット4aと、
を含むカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールとを備え、
ベースユニット1aは、2つの凹み係止部110aを有し、
前記2つの凹み係止部110aをそれぞれ天井板に予め固定されたフックユニット6aの2つのフック構造60aに係止させることで、ベースユニット1aが逆さにした状態で2つのフック構造60aの間に係止され、
発光素子21aがフックユニット6aの下部端面から突出している
前記カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールを天井板に設置する照明装置。」
<引用発明2>
「 放熱ベース10bと、それぞれ前記放熱ベース10bの幅方向における両端から上へ延伸する2つの第1係止構造11bとを備えるベースユニット1bと、
前記放熱ベース10bに着脱可能に設置され、基板20bと前記基板20bに電気的に接続される複数の発光素子21bとを有する発光ユニット2bと、
光拡散性の透光性のレンズ40bと、それぞれ前記レンズ40bの幅方向における両端に形成される2つの第2係止構造41bとを有し、前記2つの第1係止構造11bと前記2つの第2係止構造41bとの嵌合により、前記発光ユニット2bの上方に着脱可能に設置されるレンズユニット4bと、
を含むカスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールとを備え、
レンズユニット4bは、2つの凹み係止部410bを有し、
前記2つの凹み係止部410bをそれぞれ天井板に予め固定されたフックユニット6bの2つのフック構造60bに係止させることで、ベースユニット1bが逆さにした状態で2つのフック構造60bの間に係止され、
発光素子21bがフックユニット6bの下部端面から突出している
前記カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュールを天井板に設置する照明装置。」
イ 対比・判断
(ア)引用発明1について
A 対比
本件発明と引用発明1とを対比する。
(A)引用発明1の「フックユニット6a」は、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」を、その「2つのフック構造60a」により係止していることから、本件発明の「本体」に相当する構成であるといえるとともに、図1(摘示(1e))の記載も踏まえると、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」は「フックユニット6a」が形成する長手方向に沿った下方に開口がある空間内に設置されているといえる。
そうすると、引用発明1の「フックユニット6a」と、本件発明の「長手方向に沿って凹部が形成された本体」とを対比すると、両者は、「長手方向に沿って下方に開口がある空間が形成された本体」を限度として共通する。
(B)引用発明1の「複数の発光素子21a」が、本件発明の「複数の発光素子」に相当する。
(C)引用発明1の「複数の発光素子21a」は、「フックユニット6aの下部端面から突出して」おり、「フックユニット6aの下部端面」は、「下方に開口がある空間の開口部側の両端間を結ぶ基準線」を構成しているといえる。
そして、本件発明の「凹部」も下方に開口がある空間を形成していること、及び、上記(A)を踏まえると、引用発明1の「複数の発光素子21a」が配置されている構成と、本件発明の「前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている」構成とは、「前記複数の発光素子は前記下方に開口がある空間の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている」構成を限度として共通する。
(D)引用発明1の「光拡散性の透光性のレンズ40a」は、「複数の発光素子21a」を覆っている(図4(摘示(1e)参照)ことから、本件発明の「複数の発光素子を覆う光拡散性の透光性のカバー部材」に相当する。
(E)引用発明1の「複数の発光素子21aとを有する発光ユニット2a」を含む「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」が、「フックユニット6a」に着脱可能であること及び上記(B)~(D)を踏まえると、引用発明1の「複数の発光素子21aとを有する発光ユニット2a」を含む「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」と、本件発明の「前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部」とは、「前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記下方に開口がある空間の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部」を限度として共通する。
(F)上記(A)のとおり、引用発明1の「フックユニット6a」は、本件発明の「本体」を構成しており、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」を、その「2つのフック構造60a」により係止している。
そうすると、引用発明1の「2つのフック構造60a」と本件発明の「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられる第1係止部」とを対比すると、両者は、「本体の第1係止部」を限度として共通する。
(G)引用発明1の「凹み係止部110a」は、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」に含まれており、「2つの凹み係止部110aをそれぞれ天井板に予め固定されたフックユニット6aの2つのフック構造60aに係止させる」ことで、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」の「ベースユニット1a」を「2つのフック構造60aの間に係止」している。
そうすると、上記(A)及び(E)を踏まえると、引用発明1の「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」を「フックユニット6a」が形成する長手方向に沿った下方に開口がある空間内に設置した際に、「2つのフック構造60a」に係止される「凹み係止部110a」と、本件発明の「前記光源部を前記凹部内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部」とを対比すると、両者は、「前記光源部を前記下方に開口がある空間内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部」を限度として共通する。
(H)引用発明1の「照明装置」は、図4(摘示(1e))の記載からも理解されるとおり、「カスタマイズ可能な組み立て式発光モジュール」を「天井板に予め固定されたフックユニット6aの2つのフック構造60a」により、「天井板に設置」した装置であり、「照明」に供される「器具」といえるから、本件発明の「照明器具」に相当する。
上記(A)~(H)を総合すると、本件発明と引用発明1との一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「 長手方向に沿って下方に開口のある空間が形成された本体と;
複数の発光素子と、複数の発光素子を覆う光拡散性の透光性のカバー部材とを備えており、前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記下方に開口がある空間の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部と;
前記本体の第1係止部と;
前記光源部を前記下方に開口がある空間内へ移動した状態で前記本体と前記光源部とが係合して取付けられるとともに前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記第1係止部と係合されるように前記光源部に配置される第2係止部と;
を具備する照明器具。」
<相違点>
本件発明は、「本体」が「凹部」を形成しており、「複数の発光素子」が「凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている」とともに、「第1係止部」は、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられ」ており、「第2係止部」は、「前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側において前記第1係止部と係合」している特定がされているのに対し、引用発明1は「フックユニット6a」が「2つのフック構造60a」から構成され、「下方に開口がある空間」を形成しているが、「複数の発光素子」の配置及び「2つのフック構造60aまたは2つの凹み係止部110a」の配置についてかかる特定がされていない点。
B 判断
上記相違点について検討する。
引用発明1の「フック構造60a」(本件発明の「第1係止部」に相当)は、「フックユニット6a」(本件発明の「本体」に相当)と一体のものであって、「フックユニット6a」に取付けられるものとして構成されたものではなく、また、「フックユニット6aの下部端面」よりも「フックユニット6a」が形成する長手方向に沿った下方に開口がある空間の内側に形成されてもいないものであり、さらに、引用文献1には、「フック構造60a」の位置を変更することも記載も示唆もされていない。
また、「長手方向に沿って凹部が形成された本体」と「前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部」とを具備する照明器具において、「第1係止部」が、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられ」ている構成が周知慣用技術あるいは技術常識であるということもできないし、かかる構成を採用することが単なる設計変更ともいうことはできない。
したがって、引用発明1において、上記相違点に係る本件発明の「第1係止部」が、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられ」ている構成を採用すること、さらに、「第1係止部」と「第2係止部」が「前記光源部が前記本体に配設された状態において、前記本体のうち前記基準線よりも前記凹部の内側」において係合する構成を採用することも、当業者が容易に想到しうるものであるということはできない。
よって、本件発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(イ)引用発明2について
本件発明と引用発明2とを対比・判断する。
上記(ア)の検討において、「引用発明1」を「引用発明2」、「図1」を「図6」、「図4」を「図9」、「2つのフック構造60a」を「2つのフック構造60b」、「フックユニット6a」を「フックユニット6b」、「複数の発光素子21a」を「複数の発光素子21b」、「光拡散性の透光性のレンズ40a」を「光拡散性の透光性のレンズ40b」、「2つの凹み係止部110a」を「2つの凹み係止部410b」と読み替えた対比・判断が成り立つことから、上記(ア)と同様の検討に基づき、本件発明は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、以下の旨主張する。
理由1 発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たさない。
理由2 本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないため、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない。
理由3 本件特許の請求項1に係る発明は、明確でないため、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさない。
理由4 本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に示される技術常識から、当業者が容易に想到しうる発明であり、同法第29条第2項の要件を満たさない。
甲第1号証:登録実用新案第3151288号公報
甲第2号証:特開2000-133032号公報
甲第3号証:特開2001-229726号公報
甲第4号証:特開2006-79945号公報
甲第5号証:特開2009-259624号公報
(1)理由1及び2について
申立人は、理由1及び2の根拠として、特許異議申立書4頁「(4)ア(ア)及び(イ)」において、本件明細書等の請求項1及び段落【0007】の「凹部」について、どのような部材を指すのか明らかでない旨主張している。
しかしながら、本件明細書の段落【0012】の「器具本体1は、亜鉛めっき鋼板を折曲して形成され、長手方向に沿って略中央部に収容凹部11が形成されている。」の記載を考慮すれば、「収容凹部11」が、請求項1及び段落【0007】の「凹部」に相当することは明らかである。
したがって、発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないということはできないため、特許法第36条第4項第1号の要件を満たさないとはいえないし、本件特許の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないということもできないため、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさないということもできず、理由1及び2に係る申立人の主張を採用することはできない。
(2)理由3について
申立人は、理由3の根拠として、特許異議申立書4頁「(4)ア(ウ)1)」において、請求項1に記載された「前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線」について、「両端間」とは、長手方向の両端間なのか断面方向の両端間なのか明らかでない旨主張している。
しかしながら、本件明細書の段落【0038】には、「(実施例1)図19に示すように、本実施例では、発光素子22の実装位置を収容凹部11の開口部側端部より突出させるようにしたものである。すなわち、収容凹部11の開口部側端部の間を結ぶ水平線を基準線Aとした場合、この基準線Aより前面側に発光素子22が突出するように配置したものである。これにより、発光素子22から出射された光は、拡散性を有する透光性のカバー部材24を透過して拡散され、下方に放射されるとともに、側板部11cや天井面Cに照射される光の量を増加させることが可能となり、明るさ感を増すことができる。」との記載とともに、図19には断面方向の両端間を結ぶ水平線が基準線Aとして記載されている。
そうすると、「前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線」について、「両端間」とは、断面方向の両端間であることは明らかであり、上記理由3に係る申立人の主張を採用することはできない。
(3)理由4について
申立人は理由4について、本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~5号証に示される技術常識から、当業者が容易に想到しうる発明である旨主張しているので、上記「2 2-1(2)イ(ア)A」に記載した相違点に係る本件発明の構成が、甲第2~5号証に示される技術常識を踏まえれば、当業者が容易に想到しうるか否かについて検討する。
申立人の主張するように「係止部を本体の凹部内に配置する」ことが、甲第2号証の「保持金具17」の取付構成、甲第3号証の「軸30」の取付構成、甲第4号証の「吊持側係止具6」の取付構成及び甲第5号証の「バネ受け25」の取付構成に見られるように技術常識ということができたとしても、当該技術常識は、「長手方向に沿って凹部が形成された本体」と「前記本体に着脱可能であり、前記複数の発光素子は前記凹部の開口部側の両端間を結ぶ基準線よりも前面側に配置されている光源部」とを具備する照明器具において、「第1係止部」が、「前記本体のうち、前記基準線よりも前記凹部の内側に取付けられ」ている構成を示すものでもないし、引用発明1または2に対し、そのような構成を採用することを示唆するものでもない。
そうすると、甲第2~5号証に示される技術常識を考慮しても、本件発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないことから、上記理由4に係る申立人の主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、請求項1に係る特許については、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700424