特許異議申立
2022-700450
LED照明器具
- 審判番号
- 2022-700450
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-056297
- 登録番号
- 6975390
- 請求日
- 2022年05月24日
- 審決日
- 2023年03月30日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東芝ライテック株式会社
- 【権利者代理人】市川 浩
- 【権利者代理人】白井 達哲
- 【権利者代理人】河野 仁志
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 出口 昌哉
- 分類
- P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第126条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6975390号発明「LED照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6975390号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
特許第6975390号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6975390号の請求項1に係る特許についての出願は、平成23年6月10日(以下「原出願日」という。)に出願された特願2011-130479号の一部を平成27年6月5日に新たな出願とした特願2015-114619号の一部を平成29年8月4日に新たな出願とした特願2017-151826号の一部を、さらに平成31年3月25日に新たな特許出願としたものであって、令和3年11月10日にその特許権の設定登録がされ、同年12月1日に特許掲載公報が発行された。
この請求項1に係る特許について、令和4年5月24日付けで特許異議申立人 角田 朗(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、同年7月28日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年10月3日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月11日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年11月8日付けで特許異議申立人により意見書の提出がされ、同年12月20日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である令和5年3月1日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされたものである。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年3月1日付けの訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許第6975390号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「複数の発光素子を実装した基板を有するLEDモジュールと;前記LEDモジュールを前面側に配設する本体と;前記本体の前面側とは反対側の背面側に設けられる複数の放熱フィンと;前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から下方に延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアームと;前記アームの横板部の長手方向と同じ方向であって前記本体の背面側の放熱面の中心を通る直線上に延在するケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと;を備え、前記放熱フィンを本体の背面側から見たとき、複数の放熱フィンの外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記放熱フィンに囲まれた前記本体中心には、放熱フィン上面よりもくぼんだ放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、突出高さの高い複数の放熱フィンよりも上方に電源回路が配設されていることを特徴とするLED照明器具。」
と記載されているのを、
「複数の発光素子を実装した基板を有するLEDモジュールと;前記LEDモジュールを前面側に配設する本体と;前記本体の前面側とは反対側の背面側に設けられる複数の放熱フィンと;前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から下方に延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアームと;前記アームの横板部の長手方向と同じ方向であって前記本体の背面側の放熱面の中心を通る直線上に延在するケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと;を備え、前記複数の放熱フィンは、前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し、前記複数の放熱フィンを前記本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に電源回路が支持されており、前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通していることを特徴とするLED照明器具。」に訂正する。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「前記放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと」を「前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと」と限定し、「複数の放熱フィン」について、「前記複数の放熱フィンは、前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し、」と限定し、訂正前の請求項1に係る発明の「前記放熱フィンを本体の背面側から見たとき、複数の放熱フィンの外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記放熱フィンに囲まれた前記本体中心には、放熱フィン上面よりもくぼんだ放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、突出高さの高い複数の放熱フィンよりも上方に電源回路が配設されていること」を「前記複数の放熱フィンを前記本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に電源回路が支持されており、前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通していること」と限定している。
すなわち、訂正事項1は、訂正前の「電源回路」が「前記放熱フィン上に支持され」ていたものを「前記複数の放熱フィン上に支持され」たものと限定し、訂正前の「突出高さの高い複数の放熱フィンよりも上方に電源回路が配設されていること」のうち「突出高さの高い複数の放熱フィン」という突出高さについての比較の対象が特定されていないことから不明確であったものを「前記複数の放熱フィンは、前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し、」と限定した上で、「前記第2の部分の上に電源回路が支持されていること」として明確にするものであって、特許請求の範囲の減縮、及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正前の「前記放熱フィンを本体の背面側から見たとき、複数の放熱フィンの外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、」を「前記複数の放熱フィンを前記本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、」とした訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。
さらに、訂正前の「前記放熱フィンに囲まれた前記本体中心には、放熱フィン上面よりもくぼんだ放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており」を「前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、」とした訂正のうち「複数の」、「前記複数の」とした訂正及び「前記本体の中心」とした訂正は、他の箇所との記載が統一されていなかったことから、不明瞭であった記載の整合を図るために訂正したもので、明瞭でない記載の釈明を目的としたものであり、「前記第1の部分の上面」とした訂正は、第1の部分と第2の部分のある放熱フィンの内第1の部分に限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そして、「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通していること」と限定した訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
そうすると、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項1の「前記複数の放熱フィンは、前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し、前記複数の放熱フィンを前記本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に電源回路が支持されており、前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通していること」とした事項は、願書に添付した明細書の段落【0078】の「その平面視にて、複数の放熱フィン15の外周側の端部をつなぐ線は円を描く。」という記載と、段落【0080】の「また、貫通孔13aの周辺には放熱フィン15、16が設けられていない。したがって、放熱面12側には、リブ17が延びる直径方向に沿って、周辺の放熱フィン15の上面よりもくぼんだ空間58が形成されている。その空間58の上には、後述する図16に示すように、電源ユニット5が設けられる。」という記載と、段落【0082】の「そこで、空間58のY方向の両側に設けられた放熱フィン15における空間58側の一部分15aを他の部分よりも高くして、空間58周辺の放熱性の向上を図っている。」という記載と、段落【0084】の「また、その突出高さが高い部分15a上に、後述する電源ユニット5を支持させることで、電源ユニット5を、放熱面12の反対側に設けられたLEDモジュール3から、より遠ざけることができる。」という記載と、図1、図4、図6、図16の記載とに基づいて自明である。
そうすると、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アに記載したとおり、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮と、同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
「複数の発光素子を実装した基板を有するLEDモジュールと;
前記LEDモジュールを前面側に配設する本体と;
前記本体の前面側とは反対側の背面側に設けられる複数の放熱フィンと;
前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から下方に延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアームと;
前記アームの横板部の長手方向と同じ方向であって前記本体の背面側の放熱面の中心を通る直線上に延在するケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと;
を備え、
前記複数の放熱フィンは、前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し、
前記複数の放熱フィンを前記本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に電源回路が支持されており、前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通していることを特徴とするLED照明器具。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和4年12月20日付けの取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
「本件発明は、引用発明に、引用文献3に記載された事項、及び周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
・本件発明 1
・引用文献 1~3
1.引用文献等一覧
引用文献1:中国実用新案第201764352号明細書(申立人が提出した甲第5号証)
引用文献2:特開2008-98020号公報(申立人が提出した甲第1号証)(周知技術)
引用文献3:中国実用新案第201575372号明細書(申立人が提出した甲第3号証)」
2 引用文献の記載事項、引用発明
(1)引用文献1
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている({}内は、当審の作成した翻訳文である。以下同様。)
・{[0003]本実用新案の目的は外形の美しい放熱効果のよいLEDの投光灯を提供することにあり、構造合理は、組み立てに便利である。
[0004]このため本実用新案が提供する技術的解決手段は、LEDの投光灯、それはランプボディとランプボディ上を固定する光源とリアカバーを含み、ランプボディは放射状放熱フィン一体接続外側壁によって構成され、放熱フィン上に取付孔が設けられていて、外側壁は取付ブラケットと可動接続し、放熱フィンは放熱基板によって光源を接続する;電源は放熱フィン上に固定する;リアカバー均等分布は多く放熱孔を並べることが設けられている。
[0005]上記の外側壁はそれと一体の放熱フィンのそれぞれの二枚の間を接続して半片状の放熱フィンが設けられていている。
[0006]本実用新案が提供するLEDの投光灯は、ヒートシンクは一体的構造の外側壁を持ち、バック部分の放熱フィンと外側壁は接続し、熱伝導をすることができ、電源は放熱フィン上に固定し、リアカバーは放熱孔を持ち、外側壁は外に露出し、外観に影響しない。主な放熱方式はLED光源→放熱基板の→放熱フィンの→外側壁とし、光源の熱量は先に放熱基板に伝導し、再び放熱フィンと外側壁に伝導し、放熱フィン上の一部分はリアカバー放熱孔によって発散する可能性があり、再び外側壁放出によって、大部分は外側壁に伝導する可能性がある。外形美観は、放熱効果はよい。}
・{[0012]図1、図2及び図3を参照して、LEDの投光灯1、それはランプボディ2とランプボディ上2を固定する光源3とリアカバー4を含み、ランプボディ2は放射状放熱フィン5一体接続外側壁6によって構成され、放熱フィン上に取付孔7が設けられていて、外側壁6は取付ブラケット8と可動接続し、放熱フィンは放熱基板9によって光源3を接続する;電源10は放熱フィン上に固定する;リアカバーは4の均等分布は複数列放熱孔11が設けられている。外側壁6はそれと一体の放熱フィンのそれぞれの二枚の間を接続して半片状の放熱フィン12が設けられていてい
る。このような半片状放熱フィンは放熱空間を有効に残し放熱効果を補強することができる。
[0013]ランプボディ内部の放射状放熱フィンは、1個の内側円環状の固定化放射線条によって構成され、放熱基板固定はかつその上に位置し、有効に光源生成した熱量を伝える。外形美観は、放熱効果はよい。
[0014]本実用新案ランプボディ形状は図面開示した円形実施例に限らなく、当技術分野一般技術人員にとって明らかな変換あるいは代替は全部本実用新案の保護範囲内である。}
・図1~図3には以下の内容が示されている。
図1
[図:0001399348000001.jpg]
図2
[図:0001399348000002.jpg]
図3
[図:0001399348000003.jpg]
・段落[0012]の記載と、図2の図示内容からみて「放熱基板9の前面側に光源3が設けられ」ること、「電源10の外郭がケースで形成され、電源10に2つの固定用の孔が形成され」ていることが理解できる。
・図1、図2の図示内容から、「取付ブラケット8が、放熱基板9の外周側に取り付けられる一対の第1の板部と、この一対の第1の板部が両端から延在する第2の板部とを有し、前記第2の板部に被取付面に取り付けるための穴が形成され」ていることが看て取れる。
・図2の図示内容から、「電源10は、放熱基板9に対向する面が放熱基板9と略平行になるように配置」されていること、「取付ブラケット8の前記第2の板部の長手方向は、放熱基板9と略平行であ」ることが看て取れる。
・段落[0012]の記載と、図2、図3の図示内容からみて、「放熱基板9の前面側とは反対側の裏面側に複数の放熱フィン5が設けられ」ていること、「電源10は放熱フィン5上に設けられた取付孔7に固定され」ていることが理解できる。
・図2、図3の図示内容から、「放熱基板9の裏面側から複数の放熱フィン5を見たとき、複数の放熱フィン5の放熱基板9の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられ」ていることが看て取れる。
・図2、図3の図示内容から、「複数の放熱フィン5に囲まれた放熱基板9の中心には、放熱フィン5の上面よりくぼんだ前記複数の放熱フィン5が設けられていない円形の空間が形成され、前記取付孔7が、円形の空間を囲むように、板状のすべての放熱フィン5よりも放熱基板9から離れた位置に複数配置されている」ことが看て取れる。
・図3の図示内容から、「放熱フィン5、12の電源10側の高さは一定となっており、放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間は、内側円環状の固定化放射線条(円筒状の壁)及び一体接続外側壁6により、中心に設けられた円形空間及び外部と仕切られている」ことが看て取れる。
そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内に、根拠箇所を示した。以下同様。)
「LEDの投光灯1は光源3を含み([0012])、
放熱基板9の前面側に光源3が設けられ([0012]、図2)、
放熱基板9の前面側とは反対側の裏面側に複数の放熱フィン5が設けられ([0012]、図2、図3)、
取付ブラケット8が、放熱基板9の外周側に取り付けられる一対の第1の板部と、この一対の第1の板部が両端から延在する第2の板部とを有し、前記第2の板部に被取付面に取り付けるための穴が形成され(図1、図2)、
電源10の外郭がケースで形成され([0012]、図2)、
電源10に2つの固定用の孔が形成され(図2)、
電源10は放熱フィン5上に設けられた取付孔7に固定され([0012]、図2、図3)、
電源10は、放熱基板9に対向する面が放熱基板9と略平行になるように配置され(図2)、
取付ブラケット8の前記第2の板部の長手方向は、放熱基板9と略平行であり(図2)、
放熱基板9の裏面側から複数の放熱フィン5を見たとき、複数の放熱フィン5の放熱基板9の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられ(図2、図3)、
複数の放熱フィン5に囲まれた放熱基板9の中心には、放熱フィン5の上面よりくぼんだ前記複数の放熱フィン5が設けられていない円形の空間が形成され、
前記取付孔7が、円形の空間を囲むように、板状のすべての放熱フィン5よりも放熱基板9から離れた位置に複数配置されており (図2、図3)、
放熱フィン5、12の電源10側の高さは一定となっており、放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間は、内側円環状の固定化放射線条(円筒状の壁)及び一体接続外側壁6により、中心に設けられた円形空間及び外部と仕切られている(図3)、
LEDの投光灯1。」
(2)引用文献2
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本願発明は、LEDが光源として実装されたLEDユニットと、電源装置と、前記LEDユニットと前記電源装置とが取り付けられた器具本体と、を備えたLED照明装置に関するものである。
・「【0024】
LEDユニット4は、LED5、コンデンサ、トランジスタ等の電子部品が実装された器具本体1内に収納される円状の実装基板(プリント基板)である。そして、図示されていないが、器具本体1に設けられた接続部にコネクタ接続される接続部をLEDユニット4の上面中央に備えている。」
・図1には以下の内容が示されている。
図1
[図:0001399348000004.jpg]
(3)引用文献3
引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
・{技術分野
[0001] 本実用新案はであり投影ランプ構造に関連して、特に発光ダイオードを用いて光源モジュールとする投影ランプ構造改良を指す。}
・{[0014] 本実用新案の投影ランプ構造は一ランプスタンド、一光源モジュール、一電源切替モジュールを含んで、及び1組のフード;そのうち、ランプハウジング座席の底面は1が開口して光源モジュールを受容することを供えることを有して、ランプハウジング座席の上面は若干の放熱フィンを設けて少なくとも一対の凸柱は電源切替モジュールを取り付けることを供えて、各凸柱は突出した放熱フィンの一事前設定の高さに対して、各放熱フィンの相対応位置は少なくと
もこれまでずっと各放熱フィンを着る気流路を設けて、各放熱フィン両端は一円弧の進み角を形成する。}
・{[0033] 図1~図3に示すように、本実用新案の投影ランプ構造は含む:一ランプスタンド10、一光源モジュール20、一電源切替モジュール30、及び1組のフード40;式中:
[0034] このランプハウジング座席10の底面は一開口11が光源モジュール20を受容することを供えることを有して、ランプハウジング座席10の上面は若干の放熱フィン12を設けて少なくとも一対の凸柱13は電源切替モジュールを取り付けることを供えて、各凸柱13は突出した放熱フィン12の一事前設定の高さに対して、各放熱フィン12の相対応位置は少なくともこれまでずっと各放熱フィン12を着る気流路14を設けて、及びランプハウジング座席10の2個に対応するそばはそれぞれ一ねじ穴15を設置して一固定フレーム50を装設することを供える。}
・図1には以下の内容が示されている。
図1
[図:0001399348000005.jpg]
3 当審の判断
(1)発明の対比
ア 本件発明と引用発明とを対比すると、光源3はLEDの投光灯1に備えられた光源であってLEDを有することは明らかであるから、後者の「光源3」は前者の「LEDモジュール」に相当し、以下同様に、放熱基板9の前面側に光源3が設けられるから、「放熱基板9」は「本体」に、「放熱フィン5」は「放熱フィン」に、「第1の板部」は「縦板部」に、「第2の板部」は「横板部」に、「取付ブラケット8」は「アーム」に、「LEDの投光灯1」は「LED照明器具」に、それぞれ相当する。
イ 後者の「電源10」は「ケース」を有しており、内部に「電源回路」を有することは明らかであるから、後者の「電源10」は前者の「電源ユニット」に相当する。
ウ 後者の「LEDの投光灯1は光源3を含」むから、後者の「光源3」と、前者の「複数の発光素子を実装した基板を有するLEDモジュール」とは、上記アの相当関係を踏まえると、「発光素子を有するLEDモジュール」において共通する。
エ 後者では「放熱基板9の前面側に光源3が設けられ」ているから、後者の「放熱基板9」は、上記アの相当関係を踏まえると、前者の「前記LEDモジュールを前面側に配設する本体」に相当する。
オ 後者では「放熱基板9の前面側とは反対側の裏面側に複数の放熱フィン5が設けられ」ているから、後者の「複数の放熱フィン5」は、上記アの相当関係を踏まえると、前者の「前記本体の前面側とは反対側の背面側に設けられる複数の放熱フィン」に相当する。
カ 後者の「放熱基板9の外周側に取り付けられる一対の第1の板部と、この一対の第1の板部が両端から延在する第2の板部とを有し、前記第2の板部に被取付面に取り付けるための穴が形成され」た「取付ブラケット8」と前者の「前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から下方に延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアーム」とは、上記アの相当関係を踏まえると、「前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアーム」において共通する。
キ 後者の「電源10の外郭がケースで形成され、電源10に2つの固定用の孔が形成され、電源10は複数の放熱フィン5上に設けられた取付孔7に固定され、電源10は、放熱基板9に対向する面が放熱基板9と略平行になるように配置され」たものにおける後者の「電源10」は「光源3を点灯させる」ことは明らかであるから、前者の「前記アームの横板部の長手方向と同じ方向であって前記本体の背面側の放熱面の中心を通る直線上に延在するケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニット」とは、上記イの相当関係を踏まえると、「ケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニット」において共通する。
ク 後者の「LEDの投光灯1」は、「光源3」と、「放熱基板9」と、「放熱フィン5」と、「取付ブラケット8」と、「電源10」を備えていることは明らかであるから、上記ア、イの相当関係を踏まえると、前者の「LED照明器具」は、「LEDモジュール」と、「本体」と、「放熱フィン」と、「アーム」と、「電源ユニット」「を備え」ることに相当する。
ケ 後者の「放熱基板9の裏面側から複数の放熱フィン5を見たとき、複数の放熱フィン5の放熱基板9の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられ」ることは、上記アの相当関係を踏まえると、前者の「前記放熱フィンを本体の背面側から見たとき、複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられている」ことに相当する。
コ 後者の「複数の放熱フィン5に囲まれた放熱基板9の中心には、放熱フィン5の上面よりくぼんだ前記複数の放熱フィン5が設けられていない円形の空間が形成され、前記取付孔7が、板状のすべての放熱フィン5よりも放熱基板9から離れた位置に配置されて」おり、「電源10は放熱フィン5上に設けられた取付孔7に固定され」ていることと、前者の「前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記第1の部分の上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に電源回路が支持されて」いることとは、上記ア、イの相当関係を踏まえると、「前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、前記放熱フィン上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、複数の放熱フィンの上に電源回路が支持されて」いることにおいて共通する。
サ そうすると、両者は、
「発光素子を有するLEDモジュールと、
前記LEDモジュールを前面側に配設する本体と、
前記本体の前面側とは反対側の背面側に設けられる複数の放熱フィンと、
前記本体の外周側に取り付けられる一対の縦板部と、この縦板部が両端から延在するとともに被取付面に取り付けられる横板部とを有するアームと、
ケースを有し、このケース空間内に電源回路を有するとともに、前記複数の放熱フィン上に支持され、前記LEDモジュールを点灯させる電源ユニットと、
を備え、
前記複数の放熱フィンを本体の背面側から見たとき、前記複数の放熱フィンの前記本体の外周側の端部をつなぐ線は円を描くように設けられているとともに、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、放熱フィン上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、複数の放熱フィンの上に電源回路が支持されている、
LED照明器具。」
の点で一致し、以下の各点において相違すると認められる。
<相違点1>
LEDモジュールが、本件発明では、「複数の発光素子を実装した基板を有する」のに対して、引用発明では、LED1の光源3を含む投光灯1であるものの、それ以上の特定はなされていない点。
<相違点2>
アームの縦板部と横板部に関して、本件発明では、縦板部が横板部の両端から「下方に」延在するのに対して、引用発明では、第1の板部が第2の板部の両端から延在する方向が下方でない点。
<相違点3>
電源ユニットが有するケースに関して、本件発明では、「前記アームの横板部の長手方向と同じ方向であって前記本体の背面側の放熱面の中心を通る直線上に延在する」ケースであるのに対して、引用発明では、「電源10の外郭がケースで形成され、電源10は、放熱基板9に対向する面が放熱基板9と略平行になるように配置されている」点。
<相違点4>
複数の放熱フィンの構造、及び、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、電源回路が支持されていることに関して、本件発明では、複数の放熱フィンは、「前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し」、前記複数の放熱フィンに囲まれた前記本体の中心には、「前記第1の部分の」上面よりもくぼんだ前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間が形成されており、「この空間の上方でかつ、前記第2の部分の上に」電源回路が支持されており、「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通している」のに対して、引用発明では、複数の放熱フィン5は、第1の部分と第2の部分とを有しておらず、複数の放熱フィン5に囲まれた放熱基板9の中心には、「放熱フィン5」上面よりもくぼんだ複数の放熱フィン5が設けられていない円形の空間が形成されており、「複数の放熱フィン5上に」電源10が固定されており、放熱フィン5、12の電源10側の高さは一定となっており、放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間は、内側円環状の固定化放射線条(円筒状の壁)及び一体接続外側壁6により、中心に設けられた円形空間及び外部と仕切られている点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点4について検討する。
本件発明は、相違点4の、複数の放熱フィンは「前記本体の外周側に位置する第1の部分と、前記第1の部分よりも突出高さが高い第2の部分と、を有し」、「この空間(円形の空間)の上方でかつ、前記第2の部分の上に」電源回路が支持されており、「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通している」構成により、円形の空間の内部の加熱された空気を、「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間」を介して、「前記本体の外部」に排出させることができ、また、「前記本体の外部」の冷気を、「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間」を介して、円形の空間の内部に導入することができ、また、さらに、電源回路の外側にある第1の部分の高さが低ければ、円形の空間と、高さの低い第1の部分の突出端との間の距離(流路長)が短くなるため、高さの低い第1の部分の突出端側においても、加熱された空気の排出と、冷気の導入とが容易となるという作用効果を奏するものである。
そうすると、上記相違点4に係る構成は、設計的事項とはいえない
これに対して、引用発明では、「放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間は、内側円環状の固定化放射線条(円筒状の壁)及び一体接続外側壁6により、中心に設けられた円形空間及び外部と仕切られている」から、放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間からの加熱した空気の排出、および、放熱フィン5と放熱フィン5との間の空間への外部の冷気の流入が抑制されるとともに、円形の空間の内部の加熱された空気が、外部には排出されにくくなるため、ランプボディ2の温度が高くなるので、電源10の温度上昇を抑制するのが困難となるおそれがあるが、こうした課題を解決する手段として、上記相違点4に係る構成を採用することは、上記2(2)及び(3)で示したように、引用文献2や引用文献3には開示されていない。
すなわち、引用文献2に記載のLED照明装置においては、電源装置2の直下に「前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間」が設けられていないし、引用文献2に記載の放熱フィン3の高さの異なる部分の位置関係は、本件発明の放熱フィンの高さの異なる部分の位置関係とは逆となっている。
さらに、引用文献3には、端部に比べて中央側の高さの高い放熱フィン12が記載されているものの、電源切替モジュール30の直下には、「前記複数の放熱フィンが設けられていない円形の空間」が設けられていない。
したがって、引用発明に引用文献2や引用文献3に記載された事項を適用しても、相違点4に係る本件発明の構成のうち「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通している」構成には至らない。
また、申立人の提出したいずれの証拠(甲2、甲4)を検討しても、上記相違点4に係る本件発明の構成のうち「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通している」構成は、開示されていない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明は、引用文献3に記載された事項、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1.特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について
申立人は異議申立書17ページ12~18行において、請求項1の記載の「突出高さの高い複数の放熱フィン」との記載に関して、突出高さの比較の対象が特定されていないため、特許を受けようとする発明が明確でない旨主張している。
しかしながら、本件訂正により、突出高さの比較の対象が特定されたため、特許を受けようとする発明は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。
2.特許法第29条第2項(進歩性)について
(1)申立人の提出した甲第1号証(引用文献2)を主引用発明とする取消理由
本件発明と引用文献2に記載された発明(以下「甲1発明」という。)とを対比すると、少なくとも上記相違点4に係る本件発明の構成と共通の構成(「前記放熱フィンと、前記放熱フィンとの間の空間は、前記円形の空間と、前記本体の外部と、に連通している」構成)が相違点として存在するが、当該相違点を開示する証拠がないことは、上記第4の3(2)で説示したとおりである。
よって、本件発明は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700450