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特許異議申立

2022-701229

照明具及び照明装置

審判番号
2022-701229
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-145299
登録番号
7085811
請求日
2022年12月12日
審決日
2024年06月27日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
  • 【異議申立人】伊澤 武登
審判長/審判官
  • 審判長 中村 則夫
  • 審判官 筑波 茂樹
  • 審判官 八木 誠
分類
P1651.113-YAA(F21S) / P1651.121-YAA(F21S) / P1651.561-YAA(F21S) / P1651.536-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条、特許法第36条、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7085811号発明「照明具及び照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7085811号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4〕、5について訂正することを認める。 特許第7085811号の請求項1、3~5に係る特許を維持する。 特許第7085811号の請求項2に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7085811号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成29年7月27日に出願され、令和4年6月9日にその特許権の設定登録がなされ、同年6月17日に特許掲載公報が発行された。その特許についての異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年12月12日 :特許異議申立人 伊澤 武登(以下「申立人 」という。)による請求項1~4に係る特許 に対する特許異議の申立て 令和5年 3月22日付け:取消理由通知 同年 5月25日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出 同年 7月11日 :申立人による意見書の提出 同年 8月31日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年10月23日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出 令和6年 3月22日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 5月16日 :特許権者による訂正請求書、意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年5月16日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりである(当審注:下線は訂正箇所を示す。)。なお、本件訂正請求がされたため、令和5年5月25日及び同年10月23日の訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「 支持部材と、 前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子と 前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」 と記載されているのを、 「 支持部材と、 前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子と 前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていると共に、前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、4も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に 「 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具と を備えた照明装置。」とあるうち、請求項2、3を引用するものを削除して、 「 請求項1に記載の照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具と を備えた照明装置。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具とを備えた照明装置。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、独立形式に改め、 「 支持部材と、 発光素子が実装されており、前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子基板と、 前記一方の面の裏側の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品及び前記発光素子基板が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品、及び、前記支持部材に取り付けられる前記発光素子基板によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具と を備えた照明装置。」 と記載し、新たに請求項5とする。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1に係る訂正のうち、「前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品」とする訂正は、訂正前の請求項1の「前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品」について、「前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で」との事項を付加して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1に係る訂正のうち、「前記取り付け用開口は、/ 前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていると共に、前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」(「/」は改行を示す。以下、同じ。)とする訂正は、訂正前の請求項1の「取り付け用開口」について、「前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていると共に、」との事項を付加して限定するとともに、訂正前の請求項1の「配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」構成について、配置部品「に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分」によって閉塞されていること、「前記係合部が差し込まれる領域」の少なくとも一部が閉塞されていること、「前記他方の面の側から覆われて」閉塞されていることを付加して、限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)には、次の記載がある。 「【0024】 <支持部材23の説明> 支持部材23は、取付部材であり、台座となり、ヒートシンクとなる。 図6に示すように、支持部材23は、長手方向に延びており、断面コ字状を成す。 支持部材23は、取付部となる板状の主部230を有する。 主部230は、第1面部231と第2面部232とを有する。 第1面部231は、発光モジュール30が取り付けられる基板取付面部である。第1面部231は、主部230の一方の面であり、照射側の面である。 第2面部232は、図3に示すように、電源装置40とユニット側電源線材42とユニット側連結具46とその他の配置部品である付属装置の取付面部であり、電源取付面部である。第2面部232は、主部230の他方の面、すなわち一方の面である第1面部231の裏側の面であり、器具側の面である。」 「【0035】 <支持部材23の構成> 図10に示すように、支持部材23にはユニット側連結具46を取り付けるための連結具固定部234と、2か所の係合用開孔238が形成されている。 ・・・ 【0036】 <ユニット側連結具46の取り付け> ・・・ ユニット側連結具46は、以下のようにして支持部材23に取り付けられる。 一対の差込部468をそれぞれの係合用開孔238に差し込むとともに、ネジ孔464とネジ孔237とが連通するように、固定板部463を連結部配置部235に配置する。 ・・・ また、係合用開孔238は配置板部467によって塞がれる。」 「【0050】 ・・・ ここで、配置部品940の取り付けのための取り付け用開口920とは、ネジ孔237、係合用開孔238、切りしぼり孔242及び切りおこし孔245である。 照明具2では、取り付け用開口920は、支持部材23に、配置部品940である電源装置40及びユニット側連結具46が取り付けられることによって、少なくとも一部が閉塞されている。」 「【図10】 [図:0001414142000001.jpg] 【図11】 [図:0001414142000002.jpg] 」 段落【0024】の記載から、支持部材23のうちユニット側連結具46が配置される側が他方の面であり、その反対側が一方の面であると認められる。 段落【0036】には、一対の差込部468が係合用開孔238に差し込まれるとともに、係合用開孔238は配置板部467によって塞がれることが記載されている。ここで、係合用開孔238は、支持部材23に形成され(段落【0035】)、また、その用語から、係合に用いられる開孔であるから、ユニット側連結具46は、差込部468が支持部材23と係合し、差込部468が係合する状態で配置されるものといえる。また、係合用開孔238は、ユニット側連結具46の支持部材の他方の面の側の配置のため差込部468が差し込まれるものである。 係合用開孔238は配置板部467によって塞がれるとの段落【0036】の記載、及び図10の差込部468、配置板部467、係合用開孔238の相互の位置関係から、差込部468が係合用開孔238に差し込まれた後、配置板部467が係合用開孔238を塞ぐ位置に移動するように、差込部468が、支持部材23の一方の面に沿ってスライド可能となっていることは明らかである。 図10、図11から、配置板部467は、ユニット側連結具46に形成された部分であり、支持部材23の他方の面に対向する部分である。そして、係合用開孔238は配置板部467によって塞がれるのであるから、配置板部467は、係合用開孔238へ延びる部分であり、また、係合用開孔238の少なくとも一部を他方の面の側から覆って閉塞するものである。また、段落【0036】の、一対の差込部468をそれぞれの係合用開孔238に差し込むとの記載から、係合用開孔238は差込部468が差し込まれる領域である。 以上を総合すると、特許明細書等には、 ユニット側連結具46が、支持部材23と係合する差込部468を有し、差込部468が支持部材23と係合する状態で配置されること、 係合用開孔238は、ユニット側連結具46の支持部材23の他方の面の側への配置のため差込部468が差し込まれて、一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていると共に、ユニット側連結具46に形成されている部分であって他方の面と対向しつつ係合用開孔238へ伸びる部分によって他方の面の側における係合用開孔238の少なくとも一部が他方の面の側から覆われて閉塞されていることが記載されているといえる。 そして、特許明細書等の「支持部材23」は、その機能及び構造からみて、特許請求の範囲に記載された「支持部材」に対応し、同様に「差込部468」は「係合部」に、「ユニット側連結具46」は「配置部品」に、「係合用開孔238」は「取り付け用開口」に、「ユニット側連結具46が配置される面」は「他方の面」に、その「裏側の面」は「一方の面」に、それぞれ対応する。 そうすると、配置部品が、支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が支持部材と係合する状態で配置されること、取り付け用開口が、前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていること、配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって他方の面の側における係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されていることは、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項を追加するものではない。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、発明特定事項をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、請求項2を削除する訂正事項2が、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないことは明らかである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用していたところ、請求項2、3を引用しないものとするものして、引用する請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項3は、訂正事項2で請求項2を削除することに伴い、請求項2を引用することができなくなったことに伴う明瞭でない記載の釈明、及び、請求項3との引用関係を解消する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項3は、複数項を引用している請求項の引用請求項数を削減するものであるから、新規事項を追加するものではないし、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもないことは明らかである。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用していたところ、請求項3を引用する請求項4について、独立請求項として新たな請求項5とするものであり、他の請求項を引用する請求項を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、他の請求項を引用する請求項を独立形式で記載する訂正事項4が、新規事項を追加するものではないこと、特許請求の範囲の拡張・変更には該当しないことは、明らかである。 (5)申立人の主張について 訂正事項1に関して、申立人は、令和5年7月11日の意見書において、特許明細書等の記載は、あくまでも「差込部468」が上下方向から差し込まれた状態で取り付けられることを説明するにとどまり、この「差込部468」が「スライド可能」に取り付けられることを説明するものではなく、補足するならば、特許明細書には「スライド」や「スライド可能」との記載は一切なく、図10から「スライド」や「スライド可能」の構成を看取することもできない。特許明細書の段落【0036】の記載は、係合用開口238は配置板部467によっても塞がれていることを記載しているのであり、「差込部468」を「支持部材23」に形成された「係合用開口238」に対して上方から差し込むと、「差込部468」とともに、「差込部468」の一端を支持する「配置板部467」の部位も係合用開孔238を塞ぐことを記載したに過ぎず、「スライド可能なように形成」されていることを記載するものではない旨を主張する。 しかしながら、上記(1)イで説示したとおり、段落【0036】の「また、係合用開孔238は配置板部467によって塞がれる。」との記載から、差込部468が差し込まれた係合用開孔238を、差込部468でなく配置板部467によって塞ぐために、差込部468が「スライド可能」であることは明らかであるから、申立人の意見は採用できない。 3 一群の請求項 本件訂正前の請求項2、4は、本件訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているところ、訂正事項1の訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1、2、4に対応する訂正後の請求項1、2、4、5は、一群の請求項であり、本件訂正は、当該一群の請求項1、2、4、5に対して請求されたものである。また、請求項5については、訂正が認められる場合、別の訂正単位とする求めがされている。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4〕、5について、訂正することを認める。 第3 本件発明 上記のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1、3~5に係る発明(以下、請求項の番号に応じて「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、3~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 支持部材と、 前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子と 前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されていると共に、前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている照明具。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 支持部材と、 発光素子が実装されており、前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子基板と、 前記一方の面の裏側の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品及び前記発光素子基板が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品、及び、前記支持部材に取り付けられる前記発光素子基板によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている照明具。 【請求項4】 請求項1に記載の照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具と を備えた照明装置。 【請求項5】 支持部材と、 発光素子が実装されており、前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子基板と、 前記一方の面の裏側の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品及び前記発光素子基板が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品、及び、前記支持部材に取り付けられる前記発光素子基板によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている照明具と、 前記照明具が着脱自在に取り付け可能な照明器具と を備えた照明装置。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由 令和6年3月22日付けの取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである。 理由1.(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 理由2.(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 <理由1、2について> ・請求項 1、4 ・引用文献等 甲第5号証 甲第5号証:特開2017-33708号公報(以下「甲5」という。) 第5 当審の判断 1 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由 (1)甲5の記載及び甲5に記載された発明 ア 甲5の記載事項 甲5には、次の事項が記載されている。 「【0036】 照明装置1は、照明装置用器具本体(以下、器具本体と記載する)10と、発光ユニット20とを備える。器具本体10は、例えば天井又は壁等の被取付面に取り付けられる。発光ユニット20は、器具本体10に取り付けられる。 照明装置1は、直付タイプである。」 「【0051】 図6(B)に示すように、バネ部13は、例えば取付部材11の底板部114に固定される。バネ部13は、後述する発光ユニット20のバネ受部27と係合することにより、発光ユニット20を器具本体10の発光ユニット取付凹部111に入り込んだ状態を維持することに利用される。 具体的には、第1バネ部13aは発光ユニット20の第1バネ受部27aと係合し、第2バネ部13bは発光ユニット20の第2バネ受部27bと係合する。すなわち、第1バネ受部27a及び第2バネ受部27b並びに第1バネ部13a及び第2バネ部13bは、器具本体10(取付部材11)に発光ユニット20を取り付けた状態を維持する取付状態維持部として機能する。 尚、バネ部13が発光ユニット20に設けられ、バネ受部27が取付部材11の底板部114に固定されていてもよい。」 「【0056】 図8並びに図4(A)及び図4(B)に示すように、発光ユニット20は、発光素子21と、透光性カバー22(22a,22b及び22c)と、無線モジュール50を備える。発光ユニット20は、発光素子21及び透光性カバー22以外に、例えば、発光素子基板23と、発光素子支持部材24と、基板固定部材25(25a~25n)と、ネジ26と、バネ受部27(27a及び27b)と、電源部28と、反射部材29とを備えてもよい。 なお、図4(A)及び図4(B)において、基板固定部材25aを固定するネジ26にのみ参照符号を付し、基板固定部材25bから基板固定部材25nを固定するネジについては参照符号を省略している。」 「【0064】 図4(A)及び図4(B)に示すように、発光素子基板23は、一方向に長く延びた板状部材であり、一方の面に複数の発光素子21が実装される。また、図10に示すように、発光素子基板23は、基板が複数接続(例えば基板23a及び基板23bが接続)されて構成されていてもよい。」 「【0067】 図4(A)及び図4(B)に示すように、発光素子支持部材24は、発光素子基板23を支持する基板支持領域24aを備える下面と、電源部28を固定する上面24bとを有している。基板支持領域24aは、発光素子基板23の幅よりも広く形成されている。」 「【0090】 無線モジュール50は、信号を受信するアンテナ60と、アンテナ60で受信した信号に応じて電源部28から発光素子21へ供給される電力を制御する無線制御回路513(無線制御部に相当する)が実装される無線制御基板51と、発光素子支持部材24に取り付けられる筐体本体56と、無線制御基板51を内部に配置するように、筐体本体56に取り付けられる筐体カバー55とを有する。無線制御回路513は、アンテナ60で受信した信号(制御信号、例えば、点灯ON/OFF信号、調光信号、調色信号など)を電気信号に変換し、点灯回路(電源回路)、調光回路、調色回路などへ送る。点灯回路(電源回路)、調光回路、調色回路は、それぞれ受信した制御信号に応じて点灯制御、調光制御、調色制御を行い、適切な電力を発光素子21へ供給する。 【0091】 (筐体本体) 図15、16、19、20に示す筐体本体56は、側面視でL字状であり、発光素子支持部材24の上面24bに取り付けられる取付部563と、この取付部563のいずれかの側面から垂直(実質的に垂直)に延設されており、発光素子支持部材24の開口241および第1反射部29aの開口29a1を貫通するように配置されるガイド収納部565を有する。ガイド収納部565は、後述するアンテナ60およびガイド部553を内部に収納するポケット部565aを有する(図20参照)。 【0092】 また、筐体本体56は、ガイド収納部565が設けられている筐体本体の側面と異なる側面から延設されており、発光素子支持部材24の上面24bに固定ネジ562bで取り付けられるためのネジ穴562aを有する(図15参照)。また、筐体本体56は、ネジ穴562aと対角側の位置のガイド収納部565の側面に、上記開口241の延長開口部241a(図17参照)に配置される位置決め部564を有する。この位置決め部564は、その下端から垂直に延びる当接部564aを有する。 【0093】 図17に示す通り発光素子支持部材24に開口241が設けられ、開口241の位置に対応して図18に示す通り第1反射部29aにも開口29a1が設けられている。筐体本体56のガイド収納部565は、開口241、29a1を貫通し、発光素子支持部材24の基板支持領域24a側へ達する(図16参照)。当接部564aを基板支持領域24aの表面と当接させて、筐体本体56を固定ネジ562bで発光素子支持部材24に取り付ける。当接部564aと固定ネジ562b(ネジ穴562a)の位置が、対角に位置していることで、安定した固定が可能になる。」 図15「 [図:0001414142000003.jpg] 」 図17「 [図:0001414142000004.jpg] 」 図19「 [図:0001414142000005.jpg] 」 イ 甲5の認定事項 (ア) 段落【0067】の「発光素子支持部材24の基板支持領域24aを備える下面」との記載から、基板支持領域24aは、発光素子支持部材24の下面であると認められる。 (イ) 段落【0091】の「発光素子支持部材24の開口241および第1反射部29aの開口29a1を貫通するように配置されるガイド収納部565」との記載によれば、開口241をガイド収納部565が貫通するのであるから、開口241は貫通孔であり、発光素子支持部材24には、開口241が、上面24bと下面とを貫通するように上面24bと下面との間に形成されていると認められる。 (ウ) 段落【0093】の「筐体本体56のガイド収納部565は、開口241、29a1を貫通し、発光素子支持部材24の基板支持領域24a側へ達する(図16参照)。当接部564aを基板支持領域24aの表面と当接させて、筐体本体56を固定ネジ562bで発光素子支持部材24に取り付ける」との記載から、当接部564aを発光素子支持部材24の下面(上記(ア)参照)である基板支持領域24aの表面と当接させるものであるから、開口241を筐体本体56のガイド収納部565が貫通する際に、当接部564aも貫通するものと認められる。 (エ) 段落【0092】の「上記開口241の延長開口部241a(図17参照)に配置される位置決め部564」を踏まえて、図15及び図17を見ると、開口241の延長開口部241aは、位置決め部564によって閉塞されていると認められる。 ウ 甲5に記載された発明 以上を踏まえると、甲5には、発光ユニット20に係る次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。 「発光素子支持部材24と、 発光素子21が実装され、発光素子支持部材24の下面に支持される発光素子基板23と、 発光素子支持部材24の上面24bにその筐体本体56の取付部563が取り付けられる無線モジュール50と を備え、 発光素子支持部材24には、開口241が、上面24bと下面とを貫通するように上面24bと下面との間に形成されており、 無線モジュール50の筐体本体56は、取付部563のいずれかの側面から垂直に延設されており、アンテナ60およびガイド部553を内部に収納するガイド収納部565を有し、 無線モジュール50の筐体本体56は、ガイド収納部565が設けられている筐体本体の側面と異なる側面から延設されており固定ネジ562bで取り付けられるためのネジ穴562aを有し、また、筐体本体56は、ねじ穴562aと対角側の位置のガイド収納部565の側面に、開口241の延長開口部241aに配置される位置決め部564を有し、この位置決め部564は、その下端から垂直に延びる当接部564aを有し、 開口241は、筐体本体56のガイド収納部565が貫通する際に、当接部564aも貫通し、当接部564aを発光素子支持部材24の下面の表面と当接させて、筐体本体56を固定ネジ562bで発光素子支持部材24に取り付けられ、開口241の延長開口部241aは、位置決め部564によって閉塞されている 発光ユニット20。」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲5発明とを対比する。 (ア) 後者の「発光素子支持部材24」、「発光素子21」及び「発光ユニット20」は、前者の「支持部材」、「発光素子」及び「照明具」にそれぞれ相当する。 (イ) 後者の「発光素子支持部材24の下面」は、前者の「支持部材の一方の面」に相当し、後者の「発光素子21が実装され、発光素子支持部材24の下面に支持される発光素子基板23」の構成は、前者の「前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子」の構成に相当する。 (ウ) 後者の「当接部564a」は、前者の「係合部」に相当し、後者の「当接部564aを発光素子支持部材24の下面の表面と当接させて」の構成は、前者の「前記係合部が前記支持部材と係合する状態で」の構成に相当する。 また、後者の「発光素子支持部材24の上面24b」は、前者の「前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面」に相当し、後者の「無線モジュール50」及び「その筐体本体56の取付部563が取り付けられる」構成は、前者の「配置部品」及び「配置される」の構成に相当する。 そうすると、後者の「無線モジュール50」の「発光素子支持部材24の上面24bにその筐体本体56の取付部563が取り付けられ」、「当接部564aを発光素子支持部材24の下面の表面と当接させて、筐体本体56を固定ネジ562bで発光素子支持部材24に取り付け」る構成は、当接部564aは無線モジュール50の一部分であることを踏まえると、前者の「前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品」の構成に相当する。 (エ) 後者の「発光素子支持部材24には、開口241が、上面24bと下面とを貫通するように上面24bと下面との間に形成されており」、「開口241は、筐体本体56のガイド収納部565が貫通する際に、当接部564aも貫通し」、「筐体本体56を固定ネジ562bで発光素子支持部材24に取り付けられ」の構成において、「開口241」は、無線モジュール50の筐体本体56が貫通して取り付けられているから、無線モジュール50の取り付けに用いられるものであり、前者の「配置部品の取り付けのための取り付け用開口」に相当する。 そうすると、後者の「発光素子支持部材24には、開口241が、上面24bと下面とを貫通するように上面24bと下面との間に形成されており」の構成は、前者の「前記支持部材には、前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており」の構成に相当する。 (オ) 後者の「開口241は、筐体本体56のガイド収納部565が貫通する際に、当接部564aも貫通し」の構成は、前者の「前記取り付け用開口は、前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれて前記一方の面に沿ってスライド可能なように形成されている」構成と、「前記取り付け用開口は、前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれるように形成されている」点で共通する。 以上を踏まえると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 支持部材と、 前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子と 前記支持部材と係合する係合部を有し、前記係合部が前記支持部材と係合する状態で前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面の側に配置される配置部品と を備え、 前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品の前記支持部材の他方の面の側への配置のため前記係合部が差し込まれるように形成されている照明具。 [相違点] ・相違点5A(数字は主たる引用例とした甲号証の番号に基づく。以下同様。) 本件発明1は、係合部が「前記一方の面に沿ってスライド可能なように」形成されているのに対し、甲5発明はそのような特定がない点。 ・相違点5B 本件発明1は、「前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」のに対し、甲5発明では、そのような構成を有しない点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、相違点5Bについて検討すると、甲5発明の筐体本体56のガイド収納部565の側面の位置決め部564及びこの位置決め部564の下端から垂直に延びる当接部564aを「前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」ように構成することについては、甲5及び提出された証拠のいずれにも記載も示唆もない。 そうすると、相違点5Bは実質的な相違点であり、また、甲5発明において、相違点5Bに係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではない。 よって、相違点5Aについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲5発明ではない。 また、本件発明1は、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに構成を付加したものであるから、上記(2)で検討したのと同様に、甲5発明ではなく、また、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由 2-1 特許法第17条に関して (1)特許異議申立理由の概要 申立人が、特許法第17条に関して、主張する理由は次のとおりである。 令和3年12月23日付けの手続補正は、特許請求の範囲の請求項1について、 (構成要件1D)「前記支持部材には、前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が、前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように前記一方の面と前記他方の面との間に形成されており」、及び、 (構成要件1E)「前記取り付け用開口は、前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」 との補正事項を含むものである(下線部が補正箇所)。 また、請求項1を引用する請求項2には、 (構成要件2A)「前記取り付け用開口は、前記配置部品を前記他方の面に取り付ける取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」と記載されているところ、構成要件2Aで特定する「前記取り付け用開口」は、構成要件1D、1Eで特定する「取り付け用開口」を指すことが明らかである。 そうすると、「取り付け用開口」は、請求項1で特定された「前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」ことと、請求項2で特定された「取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」ことを両立(成立)させた構成と解されるところ、上記構成要件2Aに関連する上記構成要件1D及び構成要件1Eに係る補正事項、すなわち、「配置部品(電源装置40、ユニット側電源線材42、ユニット側連結具46及びその他の配置部品である付属装置)」と、「取り付け部材(ネジ9、ユニット側連結具46の配置板部467、電源側係合部である筐体係合部407及び台座付きネジ52)」の両者によって、一の「取り付け用開口」の少なくとも一部を閉塞するような構成は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「出願当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものといえない。 (2)判断 異議申立理由は、「取り付け用開口」が、請求項1で特定された「前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」ことと、請求項2で特定された「取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」ことを両立(成立)させた構成が出願当初明細書等に記載された事項の範囲内ではないという主張であるところ、本件訂正により、請求項2は削除され、取り付け用開口は取り付け部材によって少なくとも一部が閉塞されるとの特定はなくなったから、当該異議申立理由は、理由がない。 2-2 特許法第36条に関して (1)特許異議申立理由の概要 申立人が、特許法第36条に関して、主張する理由は次のとおりである。 ア 特許法第36条第4項第1号について(請求項1、2、4) 本件発明1、2及び4は、「電源装置及び照明具を照明器具に取り付けるための取付装置のような配置部品を支持部材に取り付ける場合に、配置部品の取り付けのために支持部材に形成された開孔を閉塞する簡易な構成の提供を目的とする。」(【0005】)という課題を解決するために、少なくとも、構成要件1D及び構成要件1Eを発明特定事項として特定したものと理解することができる。 しかし、本件明細書等の記載(段落【0024】、【0050】~【0052】参照)は、「配置部品(電源装置40、ユニット側電源線材42、ユニット側連結具46及びその他の配置部品である付属装置)」と、「取り付け部材(ネジ9、ユニット側連結具46の配置板部467、電源側係合部である筐体係合部407及び台座付きネジ52)」の両者によって、一の「取り付け用開口」の少なくとも一部を閉塞するような構成は記載も示唆もなされていない。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1、2、4について、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が発明の技術上の意義を理解できる程度に記載されたものとはいえず、当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものということはできない。 イ 特許法第36条第6項第1号について(請求項1、2、4) 本件発明1、2及び4は、上記アで述べた課題を解決するために、少なくとも、構成要件1D及び構成要件1Eを発明特定事項として特定したものと理解することができる。 しかし、上記アで述べたとおり、本件明細書等には、構成要件1D及び構成要件1Eによって、上記課題が解決できるとする合理的な説明はなされていない。 したがって、構成要件1D及び構成要件1Eは、本件発明1、2及び4の課題を解決するために足りると認識できる範囲のものと認めることはできないから、本件発明1、2及び4は、発明の詳細な説明に記載された発明とはいえない。 ウ 特許法第36条第6項第2号について(請求項1、2、4) 上述のとおり、請求項1及び請求項2の記載によれば、構成要件2Aで特定する「前記取り付け用開口」は、請求項1の構成要件1D、1Eで特定する「取り付け用開口」を指すことが明らかであり、そうすると、この構成要件1D、1E及び構成要件2Aで特定する「取り付け用開口」は、構成要件1Eの「前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」ことと、構成要件2Aの「取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」ことを両立(成立)させた構成と解される。 しかし、一の「取り付け用開口」を前提として、「前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞され」かつ「取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」という構成が、どのような構成であるのか特定することができず、発明が不明確である(本件明細書は、一の取り付け用開口を、「配置部品」と「取り付け部材」の両者によって閉塞する構成は記載されていない。)。 また、本件明細書には、「配置部品940である、電源装置40及びユニット側連結具46を備えている」(【0050】)及び「ここで取り付け部材910とは、ネジ9、ユニット側連結具46の配置板部467、電源側係合部である筐体係合部407及び台座付きネジ52である。」(【0051】)と記載され、「ユニット側連結具46」を「配置部品」としつつも、「ユニット側連結具46の配置板部467」を「取り付け部材」として説明しているが、「ユニット側連結具46」を構成する「バネ挿入部460」、「固定板部463」、「側板部465」、「上端部466」、「配置板部467」、「差込部468」、「押さえ部469」、「係合部470」の各構成部分において、どの部分が「取り付け部材」と位置付けられ、また、どの部分が「配置部品」と位置付けられるのか不明であり、請求項1で特定する構成要件1Eの「配置部品」及び請求項2で特定する構成要件2Aの「取り付け部材」を特定することができない。 したがって、請求項1に記載された構成要件1Eの「前記取り付け用開口は、前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品によって前記他方の面の側の少なくとも一部が閉塞されている」が技術的に明らかでなく、発明が不明確である。 また、請求項2に記載された構成要件2Aの「前記取り付け用開口は、前記配置部品を前記他方の面に取り付ける取り付け部材によって、少なくとも一部が閉塞される」が技術的に明らかでなく、発明が不明確である。 (2)判断 上記(1)ア~ウの異議申立理由は、請求項2に「取り付け部材」との発明特定事項があり、該「取り付け部材」と請求項1の発明特定事項である「配置部品」との関係が不明であるという点に起因しているところ、本件訂正により、請求項2は削除され、取り付け部材によって少なくとも一部が閉塞されるとの特定はなくなったから、上記異議申立理由は、理由がない。 2-3 特許法第29条関係 (1)特許異議申立理由の概要 申立人が、特許法第29条に関して、主張する理由は次のとおりである。 ア 特許法第29条第1項第3号について(請求項1~4) 本件発明1~4は、甲第1号証に記載された発明である。 本件発明1、2及び4は、甲第3号証に記載された発明である。 本件発明1、2及び4は、甲第4号証に記載された発明である。 イ 特許法第29条第2項について(請求項1~4) 本件発明1、2及び4は、甲第1号証に記載された発明に基いて、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2~4号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 本件発明3は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、申立人は、令和5年7月11日提出の意見書(以下、単に「意見書」という。)で、以下の主張をしている。 本件発明1、2及び4(令和5年5月25日の訂正請求による訂正後の請求項1、2、4に係る発明)は、甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(意見書5ページ3行~7ページ11行) 本件発明1、2及び4(同上)は、甲1号証に記載された発明及び周知技術(技術常識)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(意見書7ページ12行~12ページ7行) 本件発明3及び5(同上)は、甲1号証に記載された発明及び周知技術あるいは技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。(意見書12ページ8行~16ページ8行) ウ 証拠方法 甲第1号証:特開2016-181516号公報 甲第2号証:特開2015-179660号公報 甲第3号証:特開2017-91707号公報 甲第4号証:特開2016-207621号公報 参考文献1:特開2015-22881号公報 参考文献2:特開2016-212975号公報 参考文献3:実願昭46-6453号(実開昭47-5874号)のマイクロフィルム 参考文献4:特開2017-91959号公報 甲第1号証~甲第4号証は異議申立書と共に提出され、参考文献1~4は令和5年7月11日の意見書と共に提出された。甲第1号証~甲第4号証を、以下「甲1」~「甲4」という。 (2)甲1を主たる引用例とする新規性・進歩性についての判断 ア 本件発明1について (ア)甲1に記載された発明 a 段落【0025】の「連結金具250(図12)は、・・・保持部220の連結金具取付台220cに固定される。」との記載を踏まえて、図5をみると、連結金具250を固定するための「ボルト状の固定具」が看取できるとともに、連結金具取付台220cには当該ボルト状の固定具のための穴が看取できる。すなわち、保持部220cの連結金具取付台220cには、連結金具250の取り付けのためのボルト状固定具用の穴が形成されており、連結金具250はボルト状固定具により連結金具取付台220cに固定されるものと認められる。 b そうすると、甲1には、連結金具250の固定に係る次の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、主な参照箇所を括弧内に示した(以下、同様。)。 「保持部220と、 保持部220の保持正面部220aの一面に取り付けられ、LEDが実装されているLED基板210と、(段落【0020】、【0022】) を備え、 保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面には、板バネ130と連結する連結金具250を取り付ける為の連結金具取付台220cが形成され、(段落【0022】) 保持部220cの連結金具取付台220cには、連結金具250の取り付けのためのボルト状固定具用の穴が形成され、連結金具250はボルト状固定具により連結金具取付台220cに固定される(段落【0022】、【0025】、上記a) 光源部200。」 (イ)対比・判断 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。 ・相違点1A 本件発明1は、「前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」のに対し、甲1発明1は、そのような特定がない点。 相違点1Aについて検討するに、相違点1Aは、相違点5Bと同じであり、相違点5Bの検討で説示したと同様に、いずれの証拠にも記載も示唆もない。 そうすると、甲1発明において、相違点1Aに係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことではなく、その余の点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1ではなく、また、甲1発明に基いて当業者が容易に想到し得たものでもない。 (ウ)申立人の主張について a 申立人の主張の概要 申立人は、次のように、本件発明1が甲1に記載された発明及び周知技術により容易想到である旨を主張する。 甲1の図12(申立人が加筆した図12を以下に示す)から、連結金具250は、「爪部」が形成されていることが看取できる(異議申立書19ページ)。 [図:0001414142000006.jpg] 甲1には、この「爪部」の機能について文言として明記されていないものの、甲1の「配置部品(連結金具250)」は、そもそも「支持部材(保持部220)」に固定されるものであるから、この「爪部」を「支持部材(保持部220)」との連結構造として機能させることは自然かつ合理的であり、さらに「照明具」を構成するに際し、支持部材に貫通する取り付け用開口を形成すると共に、この取り付け用開口に配置部品の係合部をスライド可能に係合させて配置部品を支持部材に固定することは、かかる技術分野の周知技術又は技術常識(甲2及び参考文献1~3)であることを踏まえると、甲1発明1の「爪部」を「保持部220」に係合する「係合部」として機能させること、つまり「支持部材(保持部220)」に貫通する「取り付け用開口」を設け、この「取り付け用開口」に「爪部」を差し込んでスライド可能に構成することは、当業者であれば容易に想到しうるものと言わざるを得ない。(意見書第7ページ第12行~第12ページ第7行) b 申立人の主張の検討 甲1の連結金具250のうち、申立人が「爪部」と主張する箇所が、どのような機能を持つ、どのような部材であるのかは、申立人も認めるとおり、甲1には何ら記載されていないし、そもそも、当該箇所が「爪部」であることの記載もない。その上、甲1には、図5等を参照しても、当該「爪部」なるものが挿入・係合される貫通孔も示されていない。そうすると、申立人が「爪部」と主張する箇所を連結構造として機能させることは自然かつ合理的であるとはいえない。 また、申立人は、甲2及び参考文献1~3を周知技術あるいは技術常識として提出する。 しかしながら、甲2には固定用爪部376が貫通穴354の縁部に掛止されることが記載されているものの(段落【0020】)、バネ金具38の全体形状等が示されておらず、バネ金具38のどのような部分を固定用爪部376としているのか、固定用爪部376が設けられたバネ金具38(配置部品)が、貫通穴354の「他方の面の側の少なくとも一部を閉塞」するようなものである等が不明である。そうすると、甲2は、甲1の図12の形状の連結金具250の「爪部」と称する部分を連結構造とすることを教示するものとはいえない。参考文献1及び参考文献2は甲2以上のものを開示するものではない。 また、参考文献3の取付金具3は、甲1の連結金具250とはその形状が大きく異なるものであり、また、開口の反対側の面に係止するものではないから、甲1の図12に示される形状の連結金具250の爪部と主張する箇所を、貫通孔に挿入してLEDが配置される面に係止する連結構造にすることを教示するものではない。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 イ 本件発明3について (ア)甲1に記載された発明 a 段落【0032】の「保持部220に取り付けられる連結部290a」及び「連結部290aは点灯装置270とあわせてボルト及びナットにて固定される」との記載から、点灯装置270と連結部290aはあわせてボルト及びナットにて保持部220に固定されるものと認められる。これを踏まえて図5をみるとボルトが立設された部材が看取でき、また、点灯装置270を保持部220に固定するには、当該ボルトが立設された部材が、保持部220に固定されることは当然である。そうすると、点灯装置270は、保持部220に固定されボルトが立設された部材及びナットにて保持部220に固定されるものと認められる。 また、段落【0022】の「保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面には、・・・連結金具取付台220cが形成される」との記載及び図5において点灯装置27と連結金具取付台220cが同じ側に位置することが看取できることから、点灯装置270が固定されるのは、保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面であると認められる。 b そうすると、甲1には、点灯装置270の取り付けに係る次の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 「保持部220と、 保持部220の保持正面部220aの一面に取り付けられ、LEDが実装されているLED基板210と、(段落【0020】、【0022】) を備え、 保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面には(上記b)、LED基板210を点灯させる点灯装置270(【0020】)が固定され、点灯装置270は、保持部220に固定されボルトが立設された部材及びナットにて保持部220に固定される(上記b)、 光源部200。」 (イ)対比 本件発明3と甲1発明2とを対比する。 a 後者の「保持部220」、「LED」、「LED基板210」及び「光源部200」は、前者の「支持部材」、「発光素子」、「発光素子基板」及び「照明具」にそれぞれ相当する。 b 後者の「保持部220の保持正面部220aの一面」は前者の「支持部材の一方の面」に相当し、後者の「保持部220の保持正面部220aの一面に取り付けられ、LEDが実装されているLED基板210」は、前者の「発光素子が実装されており、前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子基板」に相当する。 c 後者の「点灯装置270」は前者の「配置部品」に相当し、後者の「保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面」は前者の「前記一方の面の裏側である前記支持部材の他方の面」に相当する。 そうすると、後者の「保持正面部220aのLED基板210が取り付けられる背面には、LED基板210を点灯させる点灯装置270が固定され」る構成は、前者の「前記一方の面の裏側の他方の面の側に配置される配置部品」の構成に相当する。 以上を踏まえると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「支持部材と、 発光素子が実装されており、前記支持部材の一方の面の側に配置される発光素子基板と、 前記一方の面の裏側の他方の面の側に配置される配置部品と を備える 照明具。」 [相違点] ・相違点1B 本件発明1は、「前記支持部材には、 前記配置部品の取り付けのための取り付け用開口が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、 前記取り付け用開口は、 前記配置部品及び前記発光素子基板が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品、及び、前記支持部材に取り付けられる前記発光素子基板によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている」のに対し、甲1発明2は当該構成を有しない点。 (ウ)相違点についての判断 相違点1Bについて検討する。 甲1発明2において、点灯装置270(配置部品)は、保持部220に固定されボルトが立設された部材及びナットで固定されるものである。しかしながら、甲1では、ボルトが立設された部材が保持部220にどのように固定されるか明らかでなく、当該ボルトが立設された部材を取り付けるための取り付け開口があるか不明である。 仮にそのようなボルトが立設された部材を取り付けるための取り付け用開口があったとして、ボルトが立設された部材が当該取り付け用開口を閉塞しているとしても、相違点1Bに係る本件発明3の発明特定事項は、「配置部品」「によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている」ことであって、当該取り付け用開口を点灯装置270(配置部品)が閉塞するものではない。また、提示されたいずれの証拠も、ボルトが立設された部材を取り付けるための開口を点灯装置270(配置部品)が閉塞することを記載又は示唆するものではない。 そうすると、本件発明3は甲1発明2ではない。 また、甲1発明2において、相違点1Bに係る本件発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たものではない。 (エ)申立人の主張について a 申立人の主張の概要 申立人は、次のように、本件発明3が甲1に記載された発明及び周知技術により容易想到である旨を主張する。 甲1の図5、図10(申立人が加筆した図5及び図10を以下に示す)から、保持部220の保持正面部220aには、「係止部」が形成されており、「ネジ部を立設した板部」が「係止部」に係止されている(異議申立書21、22ページ)。 [図:0001414142000007.jpg] [図:0001414142000008.jpg] 上記「係止部」は、図5や図10の図示内容によれば、保持部220aを切り起して形成したものと理解でき、切り起しにより貫通孔をなすことは自明である。また、図10によれば、点灯装置270が保持部220の保持正面部220aに取り付けられると、「保持部220の正面部220aに形成された係止部」の一部は、点灯装置270によって覆われることも明らかである(異議申立書42ページ)。 してみると、甲1に記載された発明は、「前記支持部材(保持部220:保持正面部220a)には、前記配置部品(点灯装置270)の取り付けのための取り付け用開口(係止部:切り起しによる貫通孔)が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、前記取り付け用開口(係止部:切り起しによる貫通孔)は、・・・前記配置部品(点灯装置270)・・・によって、前記一方の面と前記他方の面との間の空間が閉塞されている」ということができる(異議申立書43ページ)。 また、照明具を構成するに対し、支持部材に配置部品を取り付けのための切り起しを形成することは、かかる技術分野の周知技術又は技術常識(参考文献3及び4)であり、当該周知技術又は技術常識を踏まえて甲1に接すれば、甲1には、「前記支持部材(保持部220:保持正面部220a)」に、「配置部品(点灯装置270)」を取り付けのための「取り付け用開口(係止部:切り起しによる貫通孔)」が前記一方の面から前記他方の面へ貫通するように形成されており、この「取り付け用開口(係止部:切り起しによる貫通孔)」に、「配置部品(板部)」を介して「配置部品(転送装置270)」を固定することが記載されていると理解するのは自然である。そして、そのような固定により「配置部品(板部、点灯装置270)」及び「発光素子基板(LED基板)」が「支持部材(保持部220:保持正面部220a)」に取り付けられた状態で、「配置部品(板部、点灯装置270)」及び「発光素子基板(LED基板)」によって、一方の面と他方の面との間の空間が閉塞されているものといえる(意見書12ページ8行~16ページ8行)。 b 申立人の主張の検討 仮に「係止部」が切り起しであって、その係止部の下部に貫通孔が形成されるものであったとしても、点灯装置270は「係止部」を覆うものであって、当該「係止部」の下部に形成される貫通孔を閉塞するとはいえないことは、上記(ウ)で説示したとおりである。 また、意見書では、申立人は、「ネジ部を立設した板部」(甲1発明2における「ボルトが立設された部材」)も「配置部品」に相当すると主張しているようにも解される。しかしながら、当該ネジ部を立設した板部は、点灯装置270、すなわち配置部品を固定するための部材であって、配置部品とはいえないから、仮にその板部が貫通孔を閉塞するとしても「配置部品」が貫通孔を閉塞するとはいえない。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 ウ 本件発明4、5について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明1ではなく、また、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件発明5は、本件発明3の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明3と同様に、甲1発明2ではなく、また、甲1発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)甲3を主たる引用例とする新規性についての判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲3に記載された発明とを対比すると、両者は、少なくとも次の点で相違する。 ・相違点3 本件発明1は、「前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」のに対し、甲3に記載された発明では、そのような構成を有しない点。 そして、相違点3は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲3に記載された発明ではない。 イ 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲3に記載された発明ではない。 (4)甲4を主たる引用例とする新規性・進歩性についての判断 ア 本件発明1について (ア)対比・判断 本件発明1と甲4に記載された発明とを対比すると、両者は少なくとも次の点で相違する。 ・相違点4 本件発明1は、「前記配置部品が前記支持部材に取り付けられた状態で、前記配置部品に形成されている部分であって前記他方の面と対向しつつ前記取り付け用開口へ延びる部分によって前記他方の面の側における前記係合部が差し込まれる領域の少なくとも一部が前記他方の面の側から覆われて閉塞されている」のに対し、甲4に記載された発明では、そのような構成を有しない点。 そして、相違点4は実質的な相違点であるから、本件発明1は甲4に記載された発明ではない。 また、甲4に記載された発明において、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、いずれの証拠にも記載も示唆もない。 (イ)申立人の主張について a 申立人の主張の概要 申立人は、次のように、本件発明1が甲4に記載された発明により容易想到である旨を主張する。 甲4の段落【0048】の記載から、甲4には、電線保持部材160を固定する具体例として、以下の具体的な固定の構造が示されている。 固定構造a:取付片163を装置取付面部111dと交わる向きに押し込み取付片163に設けられた係止爪を装置取付面部111dに引掛ける構造。 固定構造b:取付片163を装置取付面部111dに沿って直線方向または回転方向にスライドさせて装置取付面部111dに設けられた係止突起(図示省略)で係止する構造。 固定構造c:固定構造bの一部を限定した、「装置取り付け面部111d」の特定の位置(図10(b)(c)に示される位置)に「係止突起167」を設け、「取付片163」が「部材取付孔111c」に挿入された後に、「台座部166」が「係止突起167」を乗り越えてスライドされるようにする構造。 ここで「固定構造b」について検討するに、この例において「係止突起(不図示)」の配設位置は特定されておらず任意であるから、「部材取付孔111c」に挿入された「取付片163」は、この「部材取付孔111c」に対して、どのような位置にまで「スライド」させるかは任意であり、要は、「電線保持部材160」を、「装置取り付け面部111d」に対して固定できるように「スライド」させれば足りるものである。 そうすると、「スライド」後の「取付片163」が、「部材取付孔111c」における「取付片163」が差し込まれる領域内に位置することも当然想定の範囲というべきであるから、本件発明1は、甲4に記載された発明であるか、あるいは甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものというべきである(意見書5ページ3行~7ページ11行)。 b 申立人の主張の検討 甲4の取付片163は、プレート部110と係合することで、電線保持部材160をプレート部に固定する作用・機能を有する部分であるところ、取付片163が部材取付孔111cの取付片163が差し込まれる領域内(甲4の図10(b)及び(c)で、部材取付孔111cにおける幅広の部分)にあると、その部分は、プレート部110と係合せず、電線保持部材160をプレート部110に固定するという作用・機能に寄与しないこととなる。すなわち、電源保持部材160をプレート部110に固定する機能を十分に発揮しないものとなる。そうすると、申立人が主張する「固定構造b」の構造において、「「スライド」後の「取付片163」が、「部材取付孔111c」における「取付片163」が差し込まれる領域内に位置する」ことが当然想定の範囲内であるということはできず、むしろ阻害要因があるというべきである。 よって、申立人の上記主張は採用できない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件発明1は、甲4に記載された発明ではない。 また、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 イ 本件発明4について 本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲4に記載された発明ではなく、また、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 まとめ 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び提出された証拠によっては、本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1、3~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件特許の請求項2に係る特許については、本件訂正請求により削除されたから、請求項2に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701229

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