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特許異議申立

2020-700571

照明器具

審判番号
2020-700571
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-130858
登録番号
特許第6646881号(P6646881)
請求日
2020年08月07日
審決日
2021年04月13日
公報発行日
2021年08月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】東芝ライテック株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
  • 【権利者代理人】熊谷 昌俊
  • 【権利者代理人】河野 仁志
  • 【異議申立人】梯 京子
  • 【異議申立人】西村 太一
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 一浩
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 島田 信一
分類
P1651.121-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S) / P1651.536-YAA(F21S) / P1651.851-YAA(F21S) / P1651.852-YAA(F21S) / P1651.853-YAA(F21S) / P1651.841-YAA(F21S) / P1651.854-YAA(F21S) / P1651.855-YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6646881号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6646881号の明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6646881号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 特許第6646881号の請求項1に係る特許についての出願は,平成23年1月26日に出願した特願2011-13695号の一部を平成26年6月11日に新たな出願とした特願2014-120115号の一部を平成26年7月4日に新たな出願とした特願2014-138244号の一部を平成28年2月22日に新たな出願とした特願2016-31064号の一部を平成29年6月22日に新たな出願とした特願2017-122420号の一部をさらに平成30年7月10日に新たな特許出願としたものであって,令和2年1月16日にその特許権の設定登録がされ,同年2月14日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許について,同年8月7日に特許異議申立人西村 太一,及び,特許異議申立人梯 京子により,それぞれ特許異議の申立てがされ,当審は,同年11月5日付けで取消理由を通知した。特許権者は,その指定期間内である令和3年1月8日付け意見書の提出及び訂正の請求を行い,同年1月14日付で訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、その訂正の請求に対して,同年2月19日付けで特許異議申立人西村 太一,及び,特許異議申立人梯 京子により,それぞれ意見書の提出があったものである。 第2.訂正の適否 1.訂正の内容 令和3年1月8日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の訂正事項1,2のとおりである(下線部は,訂正箇所を示し,当審で付与した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と; 前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と; 内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と; 前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と; 前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと; を具備していることを特徴とする照明器具。」という記載を, 「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と; 前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と; 内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と; 前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と; 前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備し, 前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され, 前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする照明器具。」 に訂正する。 (2)訂正事項2 願書に添付した明細書の段落【0007】の「本発明の実施形態による照明器具は,器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と;前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と;内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と;前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備していることを特徴とする。」という記載を「本発明の実施形態による照明器具は,器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と;前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと;を具備し,前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする。」に訂正する。 2.訂正要件についての判断 (1)訂正事項1 ア.訂正の目的について 訂正事項1は,請求項1の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体と;」とあるのを,「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-1」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,器具本体が金属製である旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,訂正事項1は,請求項1の「前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板と;」とあるのを,「前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-2」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,基板が,基板の裏面側か器具本体と熱的に結合するように器具本体に実装される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-2は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,誤記である「前記LEDパッケージ」を「LEDパッケージ」と訂正するものであり,当該訂正事項1-2は,特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 また,訂正事項1は,請求項1の「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;」とあるのを,「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-3」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,取付部が,器具本体の開口から照射面方向へ延伸するように配設される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-3は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,訂正事項1は,請求項1の「前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置と;」とあるのを,「前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置;」へと訂正する事項(以下「訂正事項1-4」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,点灯装置の厚みが,取付部の照射面方向の端から器具本体側の端までの範囲に収まるように,点灯装置を配設する旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-4は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,訂正事項1は,請求項1の照明器具が具備する構成要素として,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,」を追加する事項(以下「訂正事項1-5」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,基板に略全面に亘り配線パターンが形成される旨を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また,訂正事項1は,請求項1の照明器具が具備する構成要素として,「前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」を追加する事項(以下「訂正事項1-6」という。)を含む。 訂正後の請求項1記載の発明では,基板に対するLEDパッケージの配置を明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1-6は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって,訂正事項1-1~訂正事項1-6を含む訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 上記訂正事項1は,願書に添付した明細書の発明の詳細な説明又は図面に基づいて導き出される構成である。 例えば,段落【0013】には,「図2乃至図5に示すように,本体1は,冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に形成されたシャーシであり,略中央部に,後述する取付部6を配設するための円形状の開口11が形成されている。」なる記載がされている。 また,例えば,段落【0023】には,「基板21は,絶縁性を有する表面上に配線パターン層21aが積層され,さらに,その上に反射層21bが積層されて形成されている。そして,基板21には,2列に亘って発光素子22である表面実装型のLEDパッケージが複数個実装されている。LEDパッケージは,外形的には,略直方体形状をなしていて,一方の短辺側にアノード側の電極Aeが設けられており,他方の短辺側にカソード側の電極Ceが設けられている。」なる記載がされている。また,例えば,段落【0024】には,「配線パターン層21aは,銅箔のパターンがエッチングによって形成されていて,基板21の表面上を略全面に亘って覆うように形成されている。」なる記載がされている。また,例えば,段落【0046】には,「したがって,基板21は,本体1と熱的に結合され,基板21からの熱が裏面側から本体1に伝導され放熱されるようになっている。」なる記載がされている。また,図14には,取付部6が,器具本体1の開口11から照射面方向へと延伸する点が明確に記載されている。また,図14には,点灯装置4における照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,取付部6における照射面方向の端から器具本体1側の端までの範囲に収まる点が明確に記載されている。また,図6,図7,図12には,LEDパッケージである発光素子22の一方の短辺側の電極が,器具本体1の開口側を向き,かつLEDパッケージである発光素子22の他方の短辺側の電極が,器具本体1の外周側を向くように配置される点が明確に記載されている。 このため,上記訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上記ア.の理由から明らかなように,訂正事項1は,補正前の請求項1に記載されていた発明特定事項を減縮するものであり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア.訂正の目的について 訂正事項2は,訂正前の明細書の段落【0007】に記載された課題を解決するための手段を,訂正事項1に係る訂正後の請求項1の記載にあわせて訂正するものである。 訂正前の明細書の段落【0007】には,課題を解決するための手段として,訂正前の請求項1に記載された発明が有する特徴が記載されていた。 しかしながら,上述した訂正事項1により,請求項1の記載を訂正したので,訂正後の請求項1と同様の訂正を,明細書の段落【0007】に対しても行うことで,訂正後の請求項1の記載と,明細書の記載とをあわせたものであるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 以上のとおり,訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項2は,訂正前の明細書の段落【0007】の記載を,訂正後の請求項1の記載にあわせるものである。 このため,訂正事項2は,訂正事項1と同様に,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと 上述したように,訂正事項2は,訂正後の請求項1と同様の訂正を,明細書の段落【0007】に対しても行うことで,訂正後の請求項1の記載と,明細書の記載とをあわせたものである。 このように,訂正事項2については,訂正後の請求項1と明細書の記載とをあわせるためのものであり,訂正後の請求項1に記載された発明の構成を説明するものであるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)小括 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号,第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって,明細書,特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1について訂正することを認める。 第3.訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下,「本件発明」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と; 前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と; 内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と; 前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置と; 前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと; を具備し, 前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され, 前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置されることを特徴とする照明器具。」 第4.取消理由通知に記載した取消理由について 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して,当審が令和2年11月5日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。 「1)(サポート要件)本件特許に係る特許出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2)(明確性)本件特許に係る特許出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3)本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。) は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 <理由1> ・・・ 3.特許法第36条第6項第1号についての結論 上記1.,2.のとおり,請求項1に記載された発明特定事項を具備する発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえないから,請求項1において,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,発明の詳細な説明に記載された範囲を超えて特許を請求することになり,特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではない。 <理由2> 請求項1の「前記LEDパッケージ」との記載は,それ以前に「LEDパッケージ」という記載が存在しないから,明確でない。 <理由3> 1.刊行物等一覧 引用文献1:特開2002-140918号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第1号証) 引用文献2:特開2009-272263号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第2号証)引用文献3:登録実用新案第3162973号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第3号証) 引用文献4:登録実用新案第3154761号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第4号証) 引用文献5:特開2009-302148号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第5号証) 引用文献6:特開2009-301810号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第6号証) 引用文献7:特開2009-289709号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第7号証) 引用文献8:特開平10-275515号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第8号証) 引用文献9:特開平10-275519号公報(異議申立人西村 太一が提出した甲第9号証)」 2.引用文献の記載事項,引用発明 (1)引用文献1 引用文献1には,図面とともに以下の記載がある(下線部は,当審が付与した。) ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,照明器具に関するものである。」 ・「【0006】本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり,気密性を保ちつつ組立作業性を向上してコスト低減を図った照明器具を提供する。」 ・「【0013】 【発明の実施の形態】(実施形態1)本実施形態の照明器具は天井取付型であって,図1及び図2に示すように,例えば金属部材などからなる器具本体10と,蛍光ランプLaと,器具本体10に取り付けられ,蛍光ランプLaに電力を供給して点灯させる電子式安定器20と,電子式安定器20を覆うように蛍光ランプLaと器具本体10との間に配置される反射板30と,蛍光ランプLa及び反射板30等を開口部から導入して内部に収め,開口部の周縁を器具本体10に略対向させて取り付けられる透光性のグローブ40とを備えている。 【0014】蛍光ランプLaは環形のものであって,定格出力並びに管径が異なる大小2種類の蛍光ランプ(例えば,FCL40/38とFCL32/30など)が用いられる。 【0015】また,電子式安定器20は,商用電源を整流する整流器やインバータ回路等を具備して低周波の商用電源を高周波に変換して蛍光ランプLaを高周波点灯させる従来周知の構成を有し,プリント配線板から成る略コ字形の回路基板22上に上記インバータ回路等を構成する回路部品が実装されて構成されている。ここで,この回路基板22上には上記インバータ回路等の構成部品以外に,常夜灯たる豆球が抜き差し自在に装着される豆球ソケット23と,電子式安定器20から蛍光ランプLaへの電源供給を入切して点灯,消灯するためのスイッチ24とが実装されている。 【0016】器具本体10は,略中央に円形の開口部11を有する略円盤状に形成されるとともに周縁端には全周に渡って周壁12が立設されている。また,器具本体10の開口部11周縁の下面側には,後述の取付アダプタ1が挿入され且つ固定される円筒部13が結合される。さらに,器具本体10の下面周縁近傍にはグローブ40に設けられた後述の被係止部44が係脱自在に係止固定される4つの固定部14が器具本体10の周方向に沿って略等間隔に器具本体10から一体に突設されている。これらの固定部14は,断面形状が略L形で外側に開口するとともに器具本体10下面との間の隙間が大きい方の挿入部14a並びに上記隙間が小さい方の係止部14bから成り,挿入部14aにおける周方向に沿った一端側が開口している。また,4つの係止部14bにおける器具本体10下面との間の隙間寸法をそれぞれ略等しくしている。なお,上述の器具本体10を非導電性の合成樹脂(例えば,ポリカーボネイトのような熱可塑性樹脂等)により形成しても良い。 【0017】取付アダプタ1は略円筒形の本体1aと,本体1aの上面に設けられ,天井に配設された引掛シーリング2や埋込ローゼット等の配線器具(図示せず)に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bと,本体1aの外周面から進退自在に突出して器具本体10の係合突部13a(後述する)に係脱自在に係止する一対の係止片1cと,本体1aの下面からスライド自在に突出し各係止片1cを進退させる一対の操作つまみ1dとを具備している。そしてこの取付アダプタ1から電源線を介して電子式安定器20等に商用電源の供給が行われる。 【0018】上述の器具本体10を取付アダプタ1を用いて天井などに取り付けるときには,器具本体10の円筒部13の内周面に全周に渡って係合突部13aが突設されているので,器具本体10の上面側から開口部1a(「11」の誤記)を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,挿入時に取付アダプタ1の本体1a内に退避させていた一対の係止片1cを進出させて円筒部13の係合突部13aに係合する。これにより,器具本体10が取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される。なお,取付アダプタ1の操作つまみ1dを操作して係止片1cを本体1a内に退避させれば,係合突部13aと係止片1cとの係合状態を解除して器具本体10を取付アダプタ1から取り外すことができる。 【0019】反射板30は板状の金属部材によって略椀形に形成され,その開口端周縁には全周に渡って4つの外鍔31が突設されている。また,反射板30の平坦な底面には,円筒部13内に位置する取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられ,その周辺には豆球ソケット23に装着される豆球が挿通される挿通孔33が設けてある。また,反射板30の斜面には蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される。」 ・図1,図2には,以下の内容が示されている。 ・段落【0016】の下線部の記載事項と図1からみて,蛍光ランプLaは,器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置されていることが理解できる。 ・段落【0018】の下線部の記載事項と図1からみて,内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成された円筒部13が理解でき,段落【0016】の下線部の記載事項から,円筒部13が,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合されることが理解できる。 ・段落【0015】の下線部の記載事項と図1,図2からみて,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22が円筒部13を囲むように器具本体10の前面側に配設されていることが理解できる。 ・図1,図2からみて,反射板30の底面と,斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲することが理解できる。 ・図1,図2からみて,照明器具は,取付アダプタ1と,器具本体10と,蛍光ランプLaと,円筒部13と,電子式安定器20を含む回路基板22と,反射板30とを具備していることが理解できる。 そうすると,引用文献1には,以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。 「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1と, 器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10と, 器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置される蛍光ランプLaと, 内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成され,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合される円筒部13と, 前記円筒部13を囲むように前記器具本体10の前面側に配設される,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22と, 前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30と, を具備している照明器具。」 3.当審の判断 (1)特許法第36条第6項第1号について 本件発明は,訂正により,器具本体,および基板の記載について, 「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と; 前記器具本体の開口を囲むように前面側にLEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板と;」とされた。 この訂正により,本件発明は,LEDパッケージで発生した熱が,基板から,金属製の器具本体に伝導されて,放熱されることが明確となり,発明の課題を解決するための手段が反映された。 したがって,本件発明は,特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。 (2)特許法第36条第6項第2号について 「LEDパッケージ」について「前記」を削除したことにより,「LEDパッケージ」の記載が明確になり,本件発明は,特許法第36条第6項第2号の要件を満たしている。 (3)特許法第29条第2項について ア.発明の対比 (ア)本件発明と引用発明とを対比すると,後者の「天井」は前者の「器具取付面」に相当し,以下同様に,「引掛シーリング2等の配線器具」又は「引掛シーリング2」は「配線器具」に,「取付アダプタ1」は「アダプタ」に,「金属部材などからなる器具本体10」は「金属製の器具本体」に,器具本体10の「開口部11」は器具本体の「開口」に,「内周面」は「内周側」に,「円筒部13」は「円筒状の取付部」又は「取付部」に,円筒部13の「係合突部13a」は取付部の「係合口」に,「結合される」ことは「配設される」ことに,「反射板30」は「点灯装置カバー」に,「底面」は「前面壁」に,「斜面」は「外周壁」に,反射板30の「露出孔32」は点灯装置カバーの「開口」に,「電子安定器20を含む回路基板22」は「点灯装置」に,それぞれ相当する。 (イ) a.(ア)の相当関係を踏まえると,後者の「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1」は前者の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタ」に相当する。 b.(ア)の相当関係と,後者の「器具本体10の開口部11に結合される円筒部13」を踏まえると,後者の「器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10」は,器具本体10が取付アダプタ1を介して引掛シーリング2に取り付けられているから,前者の「アダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」に相当する。 c.上記a.,b.を踏まえると,後者の「天井に配設された引掛シーリング2等の配線器具に取り付けて機械的な結合と電気的な接続が同時に行われる配線器具接続部1bを具備した取付アダプタ1と,器具本体10の上面側から開口部11を通して,引掛シーリング2に取り付けられた取付アダプタ1を挿入し,取付アダプタ1を円筒部13の係合突部13aに係合し,取付アダプタ1に機械的に結合されて固定される,金属部材などからなる器具本体10」は,前者の「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」に相当する。 (ウ)後者の「器具本体10の開口部11を囲むように前面側に配置される蛍光ランプLa」と前者の「前記器具本体の開口を囲むように前面側に前記LEDパッケージが実装された基板」とは,「前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源」において共通する。 (エ)後者の「内周面に取付アダプタ1が係合するための係合突部13aが形成され,器具本体10の開口部11から照射面方向へと延伸するように結合される円筒部13」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向に延伸するように配設される円筒状の取付部」に相当する。 (オ)後者の「前記円筒部13を囲むように前記器具本体10の前面側に配設される,蛍光ランプLaを高周波点灯させる電子式安定器20を含む回路基板22」と,前者の「前記取付部を囲むように配設されているとともに,照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される点灯装置」とは,(ア)の相当関係を踏まえると,「前記取付部を囲むように配設されている,点灯装置」において共通する。 (カ) a.後者の「略円形の露出孔32」により「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する」ためには,円筒部13の下側の開口部に対応した位置に露出孔32が形成されることは明らかであるから,後者の「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁」に相当する。 b.後者の「反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30」は,(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」に相当する。 c.上記a.,b.を踏まえると,後者の「前記円筒部13内に位置する前記取付アダプタ1を露出する略円形の露出孔32が略中央に設けられた反射板30の平坦な底面と,蛍光ランプLaを支持する一対の支持ばね34が取着される反射板30の斜面と,前記底面と前記斜面と円筒部13を内周壁とする空間に電子安定器20を含む回路基板22を包囲する反射板30」は前者の「前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」に相当する。 (キ)そうすると,両者は, 「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体と, 前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源と, 内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口から照射面方向へと延伸するように配設される円筒状の取付部と, 前記取付部を囲むように配設されている点灯装置と, 前記取付部の開口部に対応した開口が形成された前面壁を有するとともに,点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバーと, を具備している照明器具。」 の点で一致し,以下の各点で相違するものと認められる。 <相違点1> 前記器具本体の開口を囲むように前面側に配置された光源に関して,光源が,本件発明では,「LEDパッケージが実装され,裏面側が前記器具本体と熱的に結合するように前記器具本体に実装される基板」であるのに対して,引用発明では,「蛍光ランプLa」である点。 <相違点2> 前記取付部を囲むように配設されている点灯装置に関し,点灯装置が,本件発明では,「照射面側の端から裏面側の端までの厚みが,前記取付部の前記照射面方向の端から前記器具本体側の端までの範囲に収まるように配設される」のに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。 <相違点3> 本件発明では,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」のに対して,引用発明では,そもそも,LEDを実装する基板が存在しない点。 イ.相違点の判断 事案に鑑み,まず,相違点3について検討する。 LED基板について,その基板に形成させる配線パターンとしては,特にLED搭載基板の場合,LEDからの熱を放出させることが重要であることは,明らかである。 それは,異議申立人西村 太一が令和3年2月19日付け意見書において新たに引用する引用文献12(特開2010-97939号公報)の【図9】とその説明である段落【0026】には,「基板4のおもて面は,図8(図9の誤記)に示すように,LED10が接続される配線パターン40によってほぼ全面が覆われている。各配線パターン40は,銅箔で形成されており,それぞれに接続されたLED10の放熱板(放熱手段)の機能も有している。」と記載されていることからも明らかである。同じく同意見書にて,新たに引用する引用文献13(特開2007-35881号公報)の【図1】とその説明である段落【0016】にも,導体パターン3a~3dがLED基板の略全面に配置されている。 このように,配線パターンを基板全面に亘って配置させることは,特に照明の分野において周知の技術である。 また,同じく,同意見書において,新たに引用する引用文献14(特開2005-347279号公報)に,天井面などに取り付ける照明器具であって(段落【0017】),「・・・本実施形態では図8(a)に示すように各LED素子11の発光分布の短幅方向が放射線上に配置されるように各LED素子11を配置したり,図8(b)に示すように各LED素子11の発光分布の長手方向が放射線上に配置されるように各LED素子11を配置し(て)おり・・・」と記載されているように(段落【0027】),各LED素子の11の発光分布の長手方向を円周方向に配置するもの(図8(a)),半径方向に配置するもの(図8(b))がある。 また,同意見書にて,新たに引用する引用文献15(特開2009-117228号公報),これは例えば製品の外観検査に用いる照明装置に関するが,その図14,図15にLEDを半径方向に配置したものが,さらに,同意見書にて新たに引用する引用文献16(特開平11-66918号公報)は,CCDカメラ等の照明用光源に関するが,その図1にもLEDを長手方向を半径方向に配置のものが記載されている。 しかしながら,これらの引用文献14~16に示されるものは,いずれも,「LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」(以下「構成A」という。)とまではいえるものではない。 また,上記構成Aは,異議申立人西村 太一が提出したいずれの文献(甲第1号証~甲第9号証,引用文献10~引用文献16)にも,異議申立人梯 京子が提出したいずれの文献(甲第1号証~甲第9号証,引用文献10~12)」にも記載されていない。 したがって,上記相違点3に係る本件発明の構成とすることは,異議申立人西村 太一が提出したいずれの文献(甲第1号証~甲第9号証,引用文献10~引用文献16),及び,異議申立人梯 京子が提出したいずれの文献(引用文献10~12)」にも記載されていないから,当業者が容易に想到し得たものではない。 よって,相違点1,2を検討するまでもなく,本件発明は,引用発明に基いて,その余の証拠を参照しても当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ.小括 したがって,当該取消理由通知書に記載した取消理由によっては,本件発明を取り消すことはできない。 第5.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1.特許異議申立人西村 太一の特許異議申立理由 (1)特許法第36条第6項第1号 ア.器具本体の取付関係について 異議申立人は,本件発明1 は,「器具本体」について,「前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」と規定する。この規定によれば,「器具本体」は,直接「配線器具」に取り付けられてよいこととなるが,明細書の詳細な説明によれば,「器具本体」は「アダプタ」に取り付けらるものであり,これ以外の取付けについての記載はないから,本件発明は,発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。 しかしながら,本件発明は「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる金属製の器具本体」と特定されており,本件発明の「器具本体」はアダプタを介して間接的に「配線器具に取り付けられ」るものであるから,発明の詳細な説明に記載されており,特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。 (2)特許法第36条第6項第2号 異議申立人は,請求項1に係る発明の,ア.「器具本体の開口を囲む」,「取付部を囲む」について,イ.「開口」,「開口部」,「係合口」について,ウ.「外周壁」,「内周壁」について,不明である旨主張する。 しかしながら,上記ア.,イ.,ウ.について,本件発明の発明特定事項は,明確であるから,特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。 2.特許異議申立人梯 京子の特許異議申立理由 (1)特許法第36条第6項第2号 異議申立人は,請求項1に係る発明の記載は以下のように明確でない旨の主張をしていた 「<2>「器具取付面に配設された配線器具に電気的かつ機械的に接続されるアダプタが配設されるための開口を有し,前記配線器具に取り付けられる器具本体」との記載では,配線器具,アダプタと,器具本体,LEDパッケージが実装された基板などとの電気的接続関係が明瞭でないし,また,器具本体の配線器具への取り付けと,器具本体の開口へのアダプタの配設との電気的,機械的接続についての関連も明瞭でない。 <3>「内周側に前記アダプタが係合するための係合口が形成され,前記器具本体の開口に配設される円筒状の取付部と;前記取付部を囲むように配設されているとともに,前記取付部の上端よりも前記器具本体の前面側に配設される点灯装置」との記載において,「取付部」と「点灯装置」は,「配設された」ではなく,「配設される」という過去形で表現されたものでないことからみて,それぞれ,“器具本体の開口に対する配設前の取付部”,“取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する配設前の点灯装置”を言及したものと解される。そうすると,”,“器具本体の開口に対する取付部の配設時期”,“取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する点灯装置の配設時期”,及び,“配線器具に対する器具本体の取付時期”のそれぞれ相互間の関連が明瞭でない。また,本件発明は,器具本体の開口に対する取付部の配設前,または,後のどちらの「照明器具」を請求しているのか,取付部の上端よりも器具本体の前面側に対する点灯装置の配設前, または,後のどちらの「照明器具」を請求しているのか,交換できないように配設固定された取付部や点灯装置を具備する「照明器具」を請求していないのかなども明瞭でない。 <4>「点灯装置の外側を囲む外周壁と,前記取付部を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載では,「・・・外周壁」が如何なる文節を修飾しているのか明らかでないこともあって,その意味が明瞭でない。例えば,“外周壁と・・・内周壁とする空間“と解しても,その意味が明瞭でない。 <5>「・・・を囲む外周壁と,・・・を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載において,「空間に」における「に」は,動作,作用の行われる場所を示す格助詞と解されるが,該「に」は「包囲する」との動詞に対応するものではないなど(すなわち,“点灯装置カバーが点灯装置を空間に包囲する”との表現は意味が不明であるなど),「空間に」がどの文節を修飾するのか等が明らかでない。それ故,「・・・を囲む外周壁と,・・・を内周壁とする空間に前記点灯装置を包囲する点灯装置カバー」との記載は,その意味が明瞭でない。」 しかしながら,<2>~<5>について検討しても,本件発明の発明特定事項は,明確であり,特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。 (2)特許法第36条第4項第1号 異議申立人は,本件発明と「発光素子の温度上昇を抑制できる照明器具を提供することを目的とする」(段落【0006】)という目的との関連などが発明の詳細な説明に記載されていない旨の主張していたが,本件発明が訂正され,目的との関連が明確となった。 そして,発明の詳細な説明は,本件発明が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから,特許法第4項第1号の要件を満たすものである。 (3)特許法第29条第2項 「第4.3.(3)イ.」で示したように,本件発明は,「前記基板には,略全面に亘り配線パターンが形成され,前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」ことを含むものであるところ,上記構成A,すなわち,「前記LEDパッケージは,略直方体形状であり,一方の短辺側の電極が前記器具本体の開口側を向き,かつ他方の短辺側の電極が前記器具本体の外周側を向くように配置される」ことは,上述したように,異議申立人梯 京子の提出したいずれの文献(甲第1号証~甲第9号証,引用文献10~12)にも記載されていないから,本件発明は,異議申立人梯 京子の提出した文献に基いて,当業者が容易に発明することができたものではない。 第6.むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。

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2020-700571

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  • 2022-700400異議申立 / 2023-09-19 / 請求成立(取消)照明装置および照明システム
    共通の審決分類: 121・F21S、537・F21S、841・F21S、851・F21S ほか1件
  • 2018-700293異議申立 / 2020-03-12 / 請求成立(取消)自動車用機能部品
    共通の審決分類: 121・F21S、536・F21S、537・F21S、841・F21S ほか1件
  • 2021-390166訂正審判 / 2022-03-08 / 訂正認容光源ユニット及び照明器具
    共通の審決分類: 841・F21S、851・F21S、853・F21S、854・F21S ほか1件

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