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特許異議申立

2018-700300

立体シート及びそれを用いた吸収性物品

審判番号
2018-700300
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-141039
登録番号
特許第6211147号(P6211147)
請求日
2018年04月11日
審決日
2019年06月07日
公報発行日
2019年10月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】花王株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人翔和国際特許事務所
  • 【異議申立人】久門 享
審判長/審判官
  • 審判長 久保 克彦
  • 審判官 渡邊 豊英
  • 審判官 白川 敬寛
分類
P1651.536-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B) / P1651.121-YAA(B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項、特許法第41条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6211147号発明「立体シート及びそれを用いた吸収性物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6211147号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~7]について訂正することを認める。 特許第6211147号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第6211147号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成28年7月19日(特許法第41条の規定による優先権主張 平成27年7月21日)に特許出願され、平成29年9月22日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成29年10月11日)がされた。 その後、請求項1~7に係る特許について、平成30年4月11日に特許異議申立人久門享(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがなされ、平成30年7月17日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年9月14日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)があり、平成30年9月20日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知がされ、その指定期間内である平成30年10月25日に申立人より意見書(以下、「申立人意見書」という。)が提出され、平成31年1月15日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成31年3月13日に、前記取消理由(決定の予告)に対応するための測定実験に時間を要するため指定期間の延長を希望する旨の上申書が提出され、平成31年3月14日付けで、前記取消理由(決定の予告)で指定した指定期間を職権により延長する旨が通知され、前記延長した指定期間内である平成31年4月19日に意見書(以下、「特許権者意見書」という。)が提出された。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正の内容は以下のとおりである。(訂正箇所に下線を付す。) ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含み」とあるのを、 「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり」に訂正する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に「第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み」とあるのを、 「第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり」に訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含み」とあるのを、 「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり」に訂正する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「前記第1繊維は前記第2繊維よりも直径比が大きく、 前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の立体シート。」とあるのを、 「第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 前記第1繊維は前記第2繊維よりも直径比が大きく、 前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の立体シート。」に訂正する。 オ.訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含み」とあるのを、 「第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.一群の請求項 訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項2、5及び7、訂正前の請求項3及び請求項3を引用する請求項5及び7、訂正前の請求項4及び請求項4を引用する請求項5及び7、訂正前の請求項6及び請求項6を引用する請求項7は、各々、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、これらの一群の請求項は、いずれも請求項7を含むから、組み合わされて一つの一群の請求項[1~7]を構成するため、本件訂正請求による訂正は当該一群の請求項[1~7]に対して請求されたものである。 イ.訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1において、「それぞれ」が、「高融点成分及び低融点成分を含み」と規定されていた「第1繊維及び第2繊維」が、「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0037】の「・・・第1繊維層11に、第1繊維として第1熱融着性繊維を含有させ、且つ第2繊維として第2熱融着性繊維を含有させるという、種類の異なる2種の繊維を含有させることが更に好ましい。第1熱融着性繊維及び第2熱融着性繊維としては、いずれも芯鞘型熱融着性繊維を用いることが好ましい。・・・」との記載や【0038】の「第1繊維及び第2繊維として、芯成分と鞘成分の樹脂の容積比が相違している熱融着性繊維を用いるとき・・・この熱融着性繊維は、同心型の芯鞘型複合繊維、偏心型の芯鞘型複合繊維、及びサイド・バイ・サイド型複合繊維等であり得る。」との記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ.訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項3において、「第1繊維層」が含む「第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維」が、「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0037】の「・・・第1繊維層11に、第1繊維として第1熱融着性繊維を含有させ、且つ第2繊維として第2熱融着性繊維を含有させるという、種類の異なる2種の繊維を含有させることが更に好ましい。第1熱融着性繊維及び第2熱融着性繊維としては、いずれも芯鞘型熱融着性繊維を用いることが好ましい。・・・」との記載や【0038】の「第1繊維及び第2繊維として、芯成分と鞘成分の樹脂の容積比が相違している熱融着性繊維を用いるとき・・・この熱融着性繊維は、同心型の芯鞘型複合繊維、偏心型の芯鞘型複合繊維、及びサイド・バイ・サイド型複合繊維等であり得る。」との記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ.訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4において、「それぞれ」が、「高融点成分及び低融点成分を含み」と規定されていた「第1繊維及び第2繊維」が、「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0037】の「・・・第1繊維層11に、第1繊維として第1熱融着性繊維を含有させ、且つ第2繊維として第2熱融着性繊維を含有させるという、種類の異なる2種の繊維を含有させることが更に好ましい。第1熱融着性繊維及び第2熱融着性繊維としては、いずれも芯鞘型熱融着性繊維を用いることが好ましい。・・・」との記載や【0038】の「第1繊維及び第2繊維として、芯成分と鞘成分の樹脂の容積比が相違している熱融着性繊維を用いるとき・・・この熱融着性繊維は、同心型の芯鞘型複合繊維、偏心型の芯鞘型複合繊維、及びサイド・バイ・サイド型複合繊維等であり得る。」との記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ.訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項5における「前記第2面側の下層」について、同請求項5が引用する請求項1には、「第2面側の下層」が記載されていないから、請求項1の記載を引用する請求項5における「前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている」なる事項が何を規定しようとしているのかが不明であったところ、「第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、」との記載を付加することにより、訂正後の請求項5における「前記第2面側の下層」が、多層構造からなる第1繊維層の下層であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0027】の「・・・特に、第1繊維層11に関しては、該第1繊維層11が第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、該上層及び該下層の一方又は両方が複数種類の繊維を含んでいることが好ましい。・・」との記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ.訂正事項5による訂正は、訂正前の請求項6において、「それぞれ」が、「高融点成分及び低融点成分を含み」と規定されていた「第1繊維及び第2繊維」が、「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であ」ることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書の段落【0037】の「・・・第1繊維層11に、第1繊維として第1熱融着性繊維を含有させ、且つ第2繊維として第2熱融着性繊維を含有させるという、種類の異なる2種の繊維を含有させることが更に好ましい。第1熱融着性繊維及び第2熱融着性繊維としては、いずれも芯鞘型熱融着性繊維を用いることが好ましい。・・・」との記載や【0038】の「第1繊維及び第2繊維として、芯成分と鞘成分の樹脂の容積比が相違している熱融着性繊維を用いるとき・・・この熱融着性繊維は、同心型の芯鞘型複合繊維、偏心型の芯鞘型複合繊維、及びサイド・バイ・サイド型複合繊維等であり得る。」との記載からみて、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第4項、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1~7]について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1~7」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 【請求項1】 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり、 下記式から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異なり、第2繊維の直径比A2の値は、1.1以上1.2以下である立体シート。 高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2 【請求項2】 前記第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、該第1面側の上層及び該第2面側の下層の一方又は両方が複数種類の繊維を含んでいる請求項1に記載の立体シート。 【請求項3】 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、一方の層が複数種類の繊維を含み、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含み、 下記式から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異なる立体シート。 高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2 【請求項4】 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、一方の層が複数種類の繊維を含み、他方の層が一種類の繊維のみを含んでおり、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり、 下記式から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異なる立体シート。 高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2 【請求項5】 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 前記第1繊維は前記第2繊維よりも直径比が大きく、 前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている請求項1ないし4のいずれか一項に記載の立体シート。 【請求項6】 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 第1繊維及び第2繊維が第2面側の下層に含まれており、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり、 下記式から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A1の値が、1.3以上2.0以下であり、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A2の値が、A1よりも小さいことを条件として1.1以上1.8以下である立体シート。 高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の立体シートを用いた吸収性物品。 (2)取消理由の概要 平成30年7月17日付け取消理由通知書及び平成31年1月15日付け取消理由通知書(決定の予告)に記載した本件発明1~7に係る特許に対する取消理由の概要は、以下のとおりである。 ア.理由1 本件特許の明細書、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (ア)本件発明1、3、4及び6は、「第1繊維」及び「第2繊維」について、繊維における「直径」の測定位置、その複合形態(例えば、芯鞘型、サイドバイ・サイド型等)や断面形状(例えば、真円型、楕円型、同心型、偏心型等)を発明特定事項としていないところ、本件特許明細書には以下のa.及びb.の点が記載されていない。 ゆえに、「直径」及び「直径比」の定義や測定方法が不明確である本件発明1、3、4及び6及びこれらを引用する本件発明2、5、7は、明確であるとはいえない。 また、以下のa.及びb.が説明されていない、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~7を実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 a.「第1繊維」及び「第2繊維」が、「芯鞘型」である場合であっても、繊維の長さ方向において、断面形状が異なり、「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」も異なると解されるところ、「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」がどのように定義され、それをどのように測定するのかという点。 b.「第1繊維」及び「第2繊維」が、「同心型」かつ「真円型」である「芯鞘型」ではない場合には、「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」がどのように定義され、それをどのように測定するのかという点。 (イ)本件発明5が引用する本件発明1は、「第2面側の下層」を発明特定事項としていないから、本件発明1を引用する本件発明5における「前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている」なる事項が何を規定しようとしているのかが不明である。 ゆえに、本件発明5はこの点についても明確であるとはいえない。 イ.理由2 本件発明1~7は、その優先日前に日本国内又は外国において、下記の《刊行物等一覧》に示す、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 《刊行物等一覧》 甲1.特開2009-50538号公報 甲2.国際公開第2007/029792号 甲3.特開平2-175959号公報 甲4.特開2014-233447号公報 《備考》 甲1~4は、本件特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に添付された甲第1号証~甲第4号証であり、甲1に記載された発明を甲1発明といい、甲1~4の各々に記載された事項を甲1記載事項~甲4記載事項という。 本件発明1~7は、甲1発明、甲2記載事項から把握される技術的事項、甲3記載事項及び甲4記載事項から把握される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)当審の判断 ア.理由1について (ア)「直径比」を発明特定事項とする本件発明1~7の明確性及び実施可能要件について 本件訂正が認められたことにより、本件発明1~7は、「第1繊維層」に含まれる「第1繊維」及び「第2繊維」は、それぞれ、「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維」であることを発明特定事項とするものとなった。 一方、「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」がどのように定義(実測値であるのか、それとも、第1繊維層として利用する不織布シートの仕様値(メーカー公表値)であるのかといった定義)され、また、実測値であるならばどのように測定するのかといった点は、本件発明1~7の発明特定事項とはされていない。 当該点について、本件特許明細書には以下の記載がある。(下線は当審にて付与。) a.「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ・・・ 【0006】 したがって本発明の課題は、立体賦形されたシートの改良にあり、更に詳しくは立体賦形によるクッション感を維持しつつ、凸部の滑らかさが向上した立体シートを提供することにある。また、凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさを高めた立体シートを提供することにある。」 b.「【発明の効果】 【0009】 本発明の立体シートは、凸部に起因するクッション感を有し、且つ凸部の滑らかさが向上したものである。更に本発明の立体シートは、凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさが向上したものである。」 c.「【0016】 本実施形態の立体シート10においては、該立体シート10に含まれる構成繊維同士の接合の状態を制御することが有利である。本発明者の検討の結果、繊維の接合の状態を制御することで、立体シート10は、凸部20に起因するクッション感に加えて、該凸部20がXY平面内方向に変形しやすくなることが判明した。また、凸部20の起立性や、荷重が加わったときの凸部20の潰れにくさが向上することも判明した。これらのことに起因して、凸部20は、該凸部20が当接している物体の動きに対する追従性が良好になり、摩擦係数が低下する。摩擦係数の低下は、立体シート10を例えば吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、肌への刺激が低くなるという点から有利である。この観点から本発明者が更に検討した結果、第1繊維層第1面111側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S1と、第1繊維層第2面112側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S2との平均値をP1(個/mm3)とし、また、第2繊維層第1面121側の繊維密度当たりの繊維融着点の数をP2(個/mm3)としたとき、P1がP2よりも小さくなるように立体シート10を製造することが有利であることが判明した。」 d.「【0019】 P1及びP2は、繊維密度当たりの繊維融着点の数で定義されるところ、従来のこの種の立体シート、例えば特許文献1に記載の立体シートでは、繊維密度が高くなると、それに比例して繊維融着点の数も増加していた。これとは対照的に、本実施形態の立体シートにおいては、同じ繊維密度で比較した場合、繊維融着点の数が、従来の立体シートよりも少なくなっている。特に第1繊維層第2面112での繊維融着点の数が、従来の立体シートよりも少なくなっている。本実施形態の立体シートではP1がP2よりも小さくなっているところ、これは第1繊維層11の融着点数が第2繊維層12の融着点数よりも少なくなっていることと同義である。融着点数が少ないということは、繊維どうしの結合点が少ないことを意味する。繊維どうしの結合点が少ないと、繊維の自由度が増すため、立体シート10におけるXY平面内で繊維が動きやすくなる。すなわち、P1がP2より小さい本実施形態の立体シート10は、従来の立体シートに比べて、凸部20がXY平面内方向に変形しやすく、該凸部20が当接している物体の動きに対する追従性が良好になる。その結果、摩擦係数低下の効果が効率的に発現する。このように、本実施形態の立体シート10においては、繊維融着点の数をコントロールして、所望の特性が発現するようにしている。繊維融着点の数をコントロールするための具体的な手法については後述する。」 e.「【0025】 また本発明において繊維1本当たりの質量は、1本の繊維に着目したとき、その繊維1本の質量のことであり、μg/本で定義される。繊維1本当たりの質量は次の方法で測定される。まず、22℃65%RH環境下にて、鋭利なかみそりで、測定する立体シート10の第1繊維層第1面111、第1繊維層第2面112、第2繊維層第1面121からX方向に1mm、Y方向に1mmの大きさの測定片を切り出して、それらを「マイクロスコープ」(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いて、繊維の端面から端面までの長さを測定する。あるいは、カーボンテープを載せた走査型電子顕微鏡(SEM)用アルミ製試料台に各不織布を載せて固定した後に、走査型電子顕微鏡を用いて繊維の端面から端面までの長さを測定することによって、繊維1本当たりの長さを測定する。また、繊度を電子顕微鏡等により繊維の断面形状を計測し、繊維の断面積(複数の樹脂より形成されている繊維では各々の樹脂成分の断面積)を計測するとともに、DSC(示差熱分析装置)により、樹脂の種類を特定して、比重を割り出し、繊度を算出する。前記のように求めた繊度と繊維長を用いて、立体シート10の繊維1本当たりの質量を求める。」 f.「【0027】 上述のP1とP2との大小関係が満たされるようにするためには、第1繊維層11及び第2繊維層12を構成する繊維として、特定の繊維を用いることが有利である。特に、第1繊維層11に関しては、該第1繊維層11が第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、該上層及び該下層の一方又は両方が複数種類の繊維を含んでいることが好ましい。この複数種類の繊維は、第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含むことが好ましい。そして第1繊維及び第2繊維はそれぞれ、高融点成分、及び該高融点成分よりも融点の低い低融点成分を含むものであることが好ましい。この場合、第1繊維の高融点成分と第2繊維の高融点成分は同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。また、第1繊維の低融点成分と第2繊維の低融点成分は同種のものであってもよく、あるいは異種のものであってもよい。第1繊維及び第2繊維それぞれとして、高融点成分、及び該高融点成分よりも融点の低い低融点成分を含むものを用いることが好ましい理由は、高融点成分を含む繊維を用いることで、低融点成分を含む繊維を用いた場合に比べて、繊維どうしの融着の程度が少なくなるからである。この理由の詳細については後述する。第1繊維と第2繊維とは、直径比が異なることで区別されるものである。本明細書において直径比とは、第1繊維及び第2繊維それぞれの高融点成分の直径と低融点成分との直径(μm)の比率のことである。高融点成分の直径及び低融点成分の直径とは、例えば第1及び第2繊維が芯鞘型複合繊維であり、鞘樹脂が低融点成分からなり、芯樹脂が高融点成分からなる場合には、図3に示すD1が低融点成分C1の直径であり、D2が高融点成分C2の直径である。そして、第X繊維の高融点成分C2と低融点成分C1の直径比AXは、以下の式から算出される。ここで、「同種の熱融着性繊維」とは、繊維を構成する樹脂が同一であって、且つ、構造も同一であるものを言う。例えば、高融点成分と低融点成分からなる芯鞘型複合繊維が2本ある場合、これら2本が有する高融点成分と低融点成分がそれぞれ同一の樹脂であり、且つ、芯鞘の直径比が同一であるとき、これら2本は同種の熱融着性繊維である。一方、高融点成分と低融点成分がそれぞれ同一の樹脂であっても、直径比が異なる場合は、異種の熱融着性繊維である。また、「複数種類の繊維を含む」とは、異種の熱融着性繊維を含んでいることを言う。 第X繊維の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1(μm)÷第X繊維の高融点成分直径D2(μm) 【0028】 本発明においては、上述のとおり、第1繊維の直径比A1と第2繊維の直径比A2を異ならせている。A1に対するA2の比率であるA2/A1の値は1未満であることが好ましく、0.99以下であることが更に好ましく、0.91以下であることが一層好ましい。また、A2/A1の値が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.7以上であることが一層好ましい。A1とA2との比率をこのように設定することで、上述した繊維融着点の数P1及びP2を容易に制御できる。例えばA2/A1の値は、0.5以上1未満であることが好ましく、0.6以上0.99以下であることが更に好ましく、0.7以上0.91以下であることが一層好ましい。 【0029】 第1繊維の直径比A1と第2繊維の直径比A2との比率は上述のとおりであるところ、第1繊維の直径比A1そのものの値は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.3以上であることが一層好ましい。また、2.0以下であることが好ましく、1.9以下であることが更に好ましく、1.8以下であることが一層好ましい。具体的には、第1繊維の直径比A1そのものの値は、1.1以上2.0以下であることが好ましく、1.2以上1.9以下であることが更に好ましく、1.3以上1.8以下であることが一層好ましい。 【0030】 一方、第2繊維の直径比A2そのものの値は、A1よりも小さいことを条件として、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることが更に好ましく、1.3以上であることが一層好ましい。また、2.0以下であることが好ましく、1.9以下であることが更に好ましく、1.8以下であることが一層好ましい。具体的には、第2繊維の直径比A2そのものの値は、1.1以上2.0以下であることが好ましく、1.2以上1.9以下であることが更に好ましく、1.3以上1.8以下であることが一層好ましい。 【0031】 第1繊維の直径比A1及び第2繊維の直径比A2を制御することで、繊維融着点の数P1及びP2を容易に制御できる。例えば第X繊維が芯鞘型複合繊維であり、鞘樹脂が低融点成分からなり、芯樹脂が高融点成分からなる場合、直径比AXが小さいときには、鞘樹脂の容積が芯樹脂の容積よりも相対的に少なくなるので、溶融紡糸時に鞘樹脂が延伸されやすくなり、高分子鎖の配向性が高まり、また結晶化が進行する。その結果、繊維表面、すなわち鞘樹脂の表面及びその近傍の領域での該鞘樹脂の軟化点が高くなる。一方、直径比AXが大きいときには、鞘樹脂の容積が芯樹脂の容積に近づくので、直径比AXが小さいときに比べて溶融紡糸時における鞘樹脂の延伸の程度が低くなる。その結果、直径比AXが大きいときには、直径比AXが小さいときに比べて高分子鎖の配向性が相対的に低くなり、また結晶化の程度が相対的に低くなる。このことに起因して、直径比AXが大きいときには、直径比AXが小さいときに比べて、繊維表面、すなわち鞘樹脂の表面及びその近傍の領域での該鞘樹脂の軟化点が相対的に低くなる。直径比AXが小さいほど第X繊維の表面の軟化点が高くなり、第2繊維層よりも直径比AXの小さい第X繊維を多く含む第1繊維層の繊維融着点P1は、P2よりも小さくなる。このように、直径比AXの大小に応じて第X繊維の表面の軟化点が変化し、そのことに起因して繊維同士の融着の程度が相違するので、繊維融着点の数P1及びP2を制御することができる。 【0032】 直径比AXが小さい場合に、鞘樹脂の軟化点が高くなる理由は、詳細には以下のとおりであると本発明者は考えている。例えば繊維が、低融点成分からなる鞘樹脂と、高融点成分からなる芯樹脂とからなる芯鞘型複合繊維である場合、該芯鞘型複合繊維を溶融紡糸法によって製造するときに、直径比AXが大きいときに比べて直径比AXが小さいと、芯成分よりも鞘成分の方が一層早く固化する。その結果、溶融紡糸中における紡糸張力が鞘樹脂に集中しやすくなり、このことに起因して鞘樹脂が一層延伸されやすくなる。この延伸によって高分子鎖の配向性が高まり、また結晶化が進行する。鞘樹脂の高分子鎖の配向性が高まることは、該鞘樹脂の軟化点が高まるという結果をもたらす。また、鞘樹脂の高分子鎖の結晶化が進行することは、結晶の融解熱の増加という結果をもたらす。これらの結果に起因し、直径比AXが小さい繊維は融着しづらくなり、繊維融着点の数が減少する。なお、直径比AXが小さい芯鞘型複合繊維は、溶融紡糸中に糸切れが起こりやすく、紡糸しづらいとの理由で、これまではあまり用いられていなかった。」 これらの記載からみて、本件発明1~7は、立体賦形によるクッション感を維持しつつ、凸部の滑らかさが向上した立体シートを提供すること及び凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさを高めた立体シートを提供することを解決すべき課題(上記a.及びb.を参照。)とし、立体シートの繊維の接合の状態を制御することで、凸部に起因するクッション感に加えて、該凸部がXY平面内方向に変形しやすくなり、また、凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさが向上することを見いだし(上記c.を参照。)、前記接合の状態の制御を、第1繊維層第1面側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S1と、第1繊維層第2面側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S2との平均値をP1(個/mm3)とし、また、第2繊維層第1面121側の繊維密度当たりの繊維融着点の数をP2(個/mm3)としたとき、P1がP2よりも小さくなるようにする(上記d.を参照。)ために、第1繊維の直径比A1及び第2繊維の直径比A2(ただし、第X繊維の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1(μm)÷第X繊維の高融点成分直径D2(μm)とする。)の値を、特定の数値範囲や大小関係となるように設定すること(上記f.を参照。)で解決したものであるといえる。 ここで、上記「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」は、「立体シート」に含まれる「同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維」における「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」であるから、これらの値は、「立体シート」から採取した繊維を測定して得られる値であると解するのが自然である。 一方、本件特許明細書には、上記「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」の具体的な測定方法についての直接的な説明は記載されていないものの、「繊維1本当たりの質量」の測定について、「22℃65%RH環境下にて、鋭利なかみそりで、測定する立体シート10の第1繊維層第1面111、第1繊維層第2面112、第2繊維層第1面121からX方向に1mm、Y方向に1mmの大きさの測定片を切り出して、・・・また、繊度を電子顕微鏡等により繊維の断面形状を計測し、繊維の断面積(複数の樹脂より形成されている繊維では各々の樹脂成分の断面積)を計測する」との記載がある(上記e.を参照。)ことから、上記「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」の測定も、同様に、「立体シート」から、「鋭利なかみそり」で切り出された「繊維」について、その断面を「電子顕微鏡等」を利用して観察し、計測することで行われるものと理解できる。 また、このような理解は、特許権者意見書に乙第5号証として添付された「繊維学会編,「繊維・高分子測定法の技術」,初版,株式会社朝倉書店,1985年9月20日,p.133-135」の記載や同意見書の3頁18行~4頁4行に列挙されている、特表2016-529939号公報の段落[0124]~[0126]、特表2016-530404号公報の段落[0131]及び[0132]、特開2015-101817号公報の段落[0026]、特開2014-139359号公報の段落[0037]、特開2014-139357号公報の段落[0020]、特開2013-27686号公報の段落[0037]、特開2013-5880号公報の段落[0038]、特開2013-5879号公報の段落[0032]、特開2012-92475号公報の段落[0025]、特開2014-141760号公報の段落[0052]、特開2013-204163号公報の段落[0048]、国際公開第2013/015210号の段落[0105]~[0107]、特開2012-140721号公報の段落[0015]、特開2012-140720号公報の段落[0049]等の記載に例示される、不織布を構成する繊維等、一般的な繊維直径の測定に関する技術常識、すなわち、かみそり等を用いて、対象の断面を切り出し、当該断面について電子顕微鏡等を利用して観察し、繊維の直径を計測することとも整合するものである。 そして、上記計測をするにあたり、繊維同士の熱融着点等、そもそも「低融点成分直径D1」や「高融点成分直径D2」を認識できないような特異な箇所については、計測の対象としないと考えるのが自然である。 したがって、本件発明1~7における「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」は、その対象である「立体シート」について、上記技術常識にしたがい、かみそり等を用いて、対象の断面を切り出し、当該断面について電子顕微鏡等を利用して観察し、繊維の直径を計測するものと理解することができる。 ゆえに、本件特許明細書に、上記「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」の具体的な測定方法についての直接的な説明が記載されていないことのみを理由として、本件発明1~7は、第三者の利益が不当に害されることがあり得るほど不明確であり、また、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとまではいえない。 (イ)「直径比」に関する申立人の意見について 申立人は、申立人意見書2頁2行~8頁8行において、上記「低融点成分直径D1」及び「高融点成分直径D2」に関し、「繊維の断面形状は、その長さ方向において異なる」旨を主張しているが、申立人がその論拠とする乙第2号証(鳥海浩一郎,外3名,”溶融紡糸過程の繊度むらに対する伝達関数”,繊維学会誌,一般社団法人繊維学会,1984年,Vol.40,No.12,p.494-503)、参考資料1(特開2010-168715号公報)、参考資料2(特開2013-117074号公報)、乙第4号証(安田武夫,”プラスチック材料の各動特性の試験法と評価結果<11>”,プラスチックス,株式会社工業調査会,2000年12月1日,第51巻,第12号,p.130)、参考資料3(「成形加工シンポジア’03」,社団法人プラスチック成形加工学会,2003年,p.153-154)は、いずれも、上記「繊維の断面形状は、その長さ方向において異なる」具体的な根拠や実例を示すものではない。 一方、特許権者意見書に添付された乙第6号証(湊崎真行,”実験成績証明書(1)”平成31年4月15日)には、芯鞘型複合繊維を鋭利なかみそりで切断した断面のSEM像を観察することで、芯部及び鞘部のそれぞれの直径を測定することが可能であることが記載され、また、同意見書に添付された乙第7号証(湊崎真行,”実験成績証明書(2)”平成31年4月15日)には、芯鞘型複合繊維の芯部及び鞘部の直径が長さ方向にほぼ変動していないことが実例を示して記載されている。 したがって、上記申立人の主張は、その論拠に乏しいものであり、採用することはできない。 (ウ)本件発明5における「前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている」なる事項が規定しようとしている事項について 本件発明5は、上記2.で示したとおり本件訂正が認められたことにより、「第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造から」なるものと訂正されたから、上記「前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている」なる事項における「前記第2面側の下層」とは、「第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からな」る「第1繊維層」における「第2面側の下層」を指し、上記「前記第2繊維は、前記第2面側の下層に少なくとも含まれている」なる事項は、「第2繊維」が、「第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からな」る「第1繊維層」における「第2面側の下層に少なくとも含まれている」ことを規定しようとしていることが明らかとなった。 したがって、本件発明5は明確であり、理由1の(イ)は、その根拠を欠くものである。 (エ)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~7に係る特許は、理由1によって、取り消されるべきものとすることはできない。 イ.理由2について (ア)甲1~甲4の記載事項 a.甲1記載事項 (a)「【請求項1】 外側層及び内側層を有する第1のシートが前記内側層側で第2のシートに間欠的に接合された吸収性物品用シートであって、該吸収性物品用シートには前記接合部間に形成された前記第1シート側に突出する凸部が連設され、かつ、前記第1のシートの外側層を構成する繊維は前記内側層を構成する繊維より細い繊維である吸収性物品用シート。」 (b)「【0005】 本発明は、吸収性物品の高い液吸収性及び液保持性を実現することができ、さらに排泄液や軟便等の隠蔽性及び漏れ防止性に優れ、かつ表層の液残りが抑制される吸収性物品用シートの提供を目的とする。また、本発明は上記の機能を維持して、しかもクッション性に富み肌当りがやさしく、柔らかくサラッとした触感を与える吸収性物品用シートの提供を目的とする。」 (c)「【0007】 本発明のシートは、吸収性物品の表面シート等として用いたとき、高い液吸収性及び液保持性を示し、さらに排泄液や軟便等の隠蔽性及び漏れ防止性に優れ、かつ液体吸収表面近傍の液残りを抑制しうる。また、本発明のシートは、上記の機能を維持して、しかもクッション性に富み肌当りがやさしく、柔らかくサラッとした触感を与える。」 (d)「【0008】 以下、本発明を、その好ましい実施形態を示す図面を参照しながら詳細に説明する。 図1は本発明の吸収性物品用シートの一実施形態の要部を模式的に示す部分斜視図である。本実施形態の表面シート10は第1のシート7及び第2のシート3を有する。この表面シート10は例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品に適用することが好ましく、例えば第1シート7側を着用者の肌に向けて、肌に直接当てて使用されることが好ましい。」 (e)「【0009】 本実施形態の吸収性物品用シート10において、第1のシート7は外側層1と内側層2とからなる。・・・各繊維の具体的な径は吸収性物品の種類や用途に応じて適宜定めればよいが、好ましくは外側層に用いる繊維の繊度を、内側層に用いる繊維の繊度の10~70%とすることが好ましく、20~60%とすることがより好ましい。さらに詳しくは、外側層の繊維の繊度を1.0~4.4dtexとすることが好ましく、1.2~3.3dtexとすることがより好ましい。内側層に用いる繊維の繊度は2.2~7.8dtexとすることが好ましく、3.3~5.6dtexとすることがより好ましい。なお各層を構成する繊維が2種以上の異なる繊度の繊維からなる場合には、そのシートの繊度とは、各繊維の質量比率から繊度を平均し求めた値をいう。・・・」 (f)「【0010】 本実施形態の吸収性物品用シート10の第1のシート7側には、多数の凸部4が連設されている。本発明において凸部の連設とは、図示したもののように接合部6がなす谷部を介して凸部4が連続した状態のほか、例えば後述する略千鳥状パターンのように、断面方向によっては第1シートと第2シートとが接合していない谷部を介して凸部が連続した状態(つまり内部の空孔が隣接する凸部において互いに連続した状態)を含む。 本実施形態における凸部4について更に詳しくいうと、第1のシート7が賦型され、第2のシート3との間に空洞5を保持して形成されている。このとき図1に示した断面においては第1のシート7と第2のシート3とは接着部6により間欠的に接合されている。・・・」 (g)「【0025】 第1のシート7(外側層1及び内側層2)及び第2のシート3は同じ種類の繊維材料からなるものであっても、異なる繊維材料からなるものであってもよいが、いずれのシートも実質的に伸縮しないシート材からなることが好ましい。このとき、各シートがMD(不織布等のシート材が製造時に流れる方向をいい、「Machine Direction」の略語である。流れ方向ともいう。)及びCD(上記MDに直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。)のいずれの方向にも実質的に伸縮しないものであってもよく、MD及びCDのうちのいずれか一方向にのみ伸縮するものであってもよい。一方向にのみ伸縮性を有する不織布であるとき第1のシート7及び第2のシート3を伸縮方向が一致するように積層することが好ましい。・・・」 (h)「【0027】 前記不織布としては、前記の特性を有するものであれば、通常の不織布を使用することができる。例えばカード法により製造されたヒートボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。また、第1のシート7と第2のシート3とを後述するように熱融着によって接合する場合には、前記不織布に熱融着繊維が含まれることが好ましい。熱融着繊維としては、PET/PE、PP/PEなどの芯鞘構造のものが好ましい。また、前記不織布には、界面活性剤等を用いた親水化処理を施すことが好ましい。・・・」 (i)「【0049】 〔実施例・比較例〕 第1のシートを構成する不織布として、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維を構成繊維とする坪量6g/m2のエアースルー不織布でなる外側シートと、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維を構成繊維とする坪量12g/m2のエアースルー不織布でなる内側シートとを張り合わせた2層シートを準備した。この第1のシートの厚みは0.6mmであった。第2のシートを構成する不織布として、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維を構成繊維とする坪量18g/m2のエアースルー不織布を用いた。第2のシートの厚みは0.6mmであった。これらのシートを用い、図4に示す装置を用いて使い捨ておむつの吸収性物品用シート(試験体1)を作製した。得られたシート(試験体1)における凸部の高さhは1.4mm、X方向に沿う凸部の幅wは4.0mm、接合部(凹部)の幅kは1.0mmであった。 【0050】 第1のシート及び第2のシートに用いた繊維の繊度及びシートの坪量、さらに上層シートのエアースルー温度を表1に記載のとおりに代えて、それ以外は試験体1と同様にして吸収性物品用シート(試験体2~8)を作製した。なお、表中「×」は内層を用いずに外層として記載した層のみにより1層構造の第1層として作製したことを表す。 【0051】 各シート(試験体)を表面シートとして第1のシートが肌当接面側になるように用いて使い捨ておむつを作製した。吸収材としては、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとの積繊体を用いた。パルプの坪量は257g/m2、ポリマーの坪量は257g/m2であった。この吸収材の表面に各シート試験体を配設した。外包体として坪量20g/m2の透湿フィルムを用いた。得られた使い捨ておむつを用いて以下の試験を、それぞれの試験体について行った。これらの結果を表1に示す。」 (j)「【0056】 」 (k)「 」(図1) (l)「 」(図2) b.甲2記載事項 (a)「[0001] 本発明は、耐久性のある高度の親水性を有するポリエステル繊維、および水拡散性に優れた不織布およびそれを用いた吸収性物品に関する。・・・」 (b)「[0010] 上述した様に、従来の方法では、ポリエステル繊維への親水性の付与は不十分であり、また耐久親水性に優れたポリエステル繊維は得られていない。また、吸収性や 耐久親水性が不十分な繊維で不織布を製造し、これを吸収性物品に用いた場合、 例えば、この不織布を吸収性物品の表面材として用いた場合には、吸収性物品内部への液透過性が不十分となり、尿や経血等の体液排泄物の高分子吸収層への液送りが遅くなり、吸収性物品と着用者の肌との接触面において、液残りおよび液広がりが多く発生する。また、かかる場合には、尿や経血等の体液排泄物が、着用者の皮膚表面に残存し、肌との間でベタツキ感や、濡れ感により、着用時の快適性を阻害したり、さらには、かぶれ等を引き起こす原因にもなると考えられる。」 (c)「[0013] 本発明の第3の目的は、経血、尿等の体液の吸収体への引き込み性、および吸収された体液の拡散性を向上させ、残存水分率及びリウェット率によって評価される液移行性において優れた評価を有する不織布積層体およびそれを吸収層あるいは液移行層(液拡散層)として用いた吸収性物品を提案することである。」 (d)「[0102] <複合繊維の製造例1> 親水性の高いポリエステルとして、デュポン株式会社製「バイオマックス (登録商標)4046」(融点 200℃)を使用し、ポリエチレンテレフタレートと70対30質量比で混合したものを鞘成分とし、融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、 鞘成分、芯成分それぞれを乾燥し、常法により、紡糸温度265℃にて、単孔吐出量2g/分、芯/鞘=50/50((重量比)、1000m/分にて複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これを温度70℃、延伸倍率3.0倍、延伸速度100m/分にて延伸した。さらに、得られた繊維にスタッフイングボックスにて捲縮を付与し、乾燥した後、44mmにカットし、短繊維を得た。得られた短繊維は2.2デシテックス、強度3.0cN/dtex、伸度80%であった (以下、複合短繊維1という)。」 (e)「[0103]<複合繊維の製造例2> 融点が130℃のポリエチレンを鞘成分、融点が260℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分とし、常法により鞘成分を260℃、芯成分を295℃で複合紡糸口金パックに 導入し、単孔吐出量 2g/分、芯/鞘=60/40 (質量比)、1500m/分の速度で複合紡糸した。得られた未延伸糸を引き揃え、10万デシテックスとし、これに初期親水油剤を付与し、温度70℃、延伸倍率2.8倍、延伸速度120m/分で延伸した。加熱した押し込み式クリンパーで、繊維に捲縮を付与した後、温度100℃の熱風で5分間処理し、冷却した後、切断し、繊度2.2デシテックス、長さ44mmの熱接着性複合短繊維を得た (以下、複合短繊維2という。なお、複合短繊維2は、東洋紡績株式会社から「S2.2T 44-ARS」の商品名で入手可能である)。 」 (f)「[0106]<エアースルー不織布> 上記複合短繊維1および/または複合短繊維2を用い、これらの複合短繊維1および/または2を下記実施例および比較例に記載の割合で混合して、カード機に通し て不織布ウェブを作成した後、熱風循環型の熱処理機にて、温度140℃で10秒間熱処理して、目付20または25g/m2のエアースルー不織布を作成した。」 (g)「[0108]<実施例3―1> 第一不織布層として、複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2の上記エアースルー不織布を作製し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=50/50 (質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のエアースルー不織布を作製した。得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。・・・ [0109]<実施例3―2> 第一不織布層として複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=70/30 (質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のエアースルー不織布を製造した。次いで、得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。・・・ [0110]<実施例3― 3> 第一不織布層として複合短繊維2のみを使用して目付20g/m2のエアースルー不織布を製造し、第二不織布層として、複合短繊維1/複合短繊維2=50/50 (質量比)の混合綿を使用して目付25g/m2のスパンレース不織布を製造した。次いで、 得られた不織布を単に重ね合わせて2層構造の不織布積層体を得た。・・・」 (h)「[0113]・・・ 実施例3―1~3― 3、比較例3―1~3―2に示すように、本発明の不織布積層体は、高度の親水性を持つポリエステル繊維を用いているため、不織布積層体の人工尿による残存水分率やリウェット率評価で優れた結果が得られている。したがって、本発明の不織布積層体を使用すれば、吸収体への体液引き込み性や吸収された体液の拡散性が向上された、液移行性に優れた吸収性物品が得られるものと考えられる。」 (i)「請求の範囲 ・・・ [7] 少なくとも第一不織布層と第二不織布層の二層の不織布層が積層されており、 前記第二不織布層が、0.5~11デシテックスのポリエステル繊維を50質量%以上含有し、 液移行性評価において、残存水分率が1%以下、リウェット率が2%以下であることを特徴とする液移行性に優れた不織布積層体。」 c.甲3記載事項 (a)「1.発明の名称 吸収性物品 2.特許請求の範囲 1. 2つの異なる第1及び第2の部分から成り、これらの二つの部分が下記の(A)、(B)および(C)の要件を満たす複合繊維を少くとも10%以上含む不織布を表面材として用いてなる吸収性物品。 (A)第2の部分が第1の部分の少くとも一部を覆う。 ・・・」(1頁左欄2~11行) (b)「<産業上の利用分野> 本発明は、吸収性及び加工性に優れた不織布を表面材として使用した使い捨て可能な吸収性物品、特に、生理用ナプキン、紙おむつ、化粧用シート等の吸収性物品に関するものである。」(1頁左欄20行~同頁右欄4行) (c)「 ここでは一例として芯成分(第1の部分)がポリプロピレンで、鞘成分(第2の部分)がポリエチレンであるような芯/鞘構造を熱バインダ繊維を用いる不織布を例にして説明する。」(3頁左上欄5~8行) (d)「芯/鞘構造の断面積比は80/20~20/80であることが好ましく、60/40~40/60であればより好ましい。100/0~80/20では必要な接着力を得ることが困難となり、また20/80~0/100では必要なカット性を得ることが困難となるので、何れも好ましくない。」(3頁右下欄18行~4頁左上欄4行) d.甲4記載事項 (a)「【請求項1】 液透過性層と、液不透過性層と、該液透過性層及び該液不透過性層の間に設けられた吸収性材料層と、第1接合部とを備える吸収性物品であって、 該液不透過性層が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂を含有し、 該吸収性材料層が、セルロース系吸水性繊維を含有し、 該第1接合部が、該液不透過性層及び該吸収性材料層を接合する、 吸収性物品。」 (b)「【0001】 本発明は、吸収性物品に関する。」 (c)「【0091】 吸収性材料層41に含有される熱可塑性樹脂繊維の形態としては、例えば、芯・鞘型のもの、サイド・バイ・サイド型のもの、島/海型のもの等が挙げられる。熱接着性の観点から、芯部と鞘部とから構成される複合繊維が好ましい。芯鞘型複合繊維における芯断面の形状としては、例えば、円、三角型、四角型、星型等が挙げられ、芯の部分は中空であってもよいし、多孔であってもよい。芯部/鞘部構造の断面積比は特に限定されるものではないが、好ましくは80/20~20/80であり、さらに好ましくは60/40~40/60である。」 (イ)本件発明1について a.甲1発明 上記3.(3)イ.(ア)a.(a)~(l)に摘記した甲1記載事項からみて、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。 《甲1発明》 外側層及び内側層を有する第1のシート及び第2のシートとを有し、 第1のシートが前記内側層側で第2のシートに間欠的に接合され、第1のシートと第2のシートとの接合部がなす谷部を介して第1シート側に突出する凸部が連設されており、 第1のシート及び第2のシートがいずれも不織布によって構成され、 第1のシートは、外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維と、内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維との2種類の繊維を含む、吸収性物品用シート。 b.対比、一致点、相違点 甲1発明の「第1のシート」、「第2のシート」、「接合部」、「凸部」、外側層における「芯鞘型複合繊維」、内側層における「芯鞘型複合繊維」、芯鞘型複合繊維における芯の「ポリエチレンテレフタレート」、芯鞘型複合繊維における鞘の「ポリエチレン」、「吸収性物品用シート」は、各々、本件発明1の「第1繊維層」、「第2繊維層」、「接合部」、「凸部」、「第1繊維」、「第2繊維」、「高融点成分」、「低融点成分」、「立体シート」に相当する。 してみると、本件発明1と甲1発明とは、以下の《一致点》で一致し、少なくとも、以下の《相違点1》で相違する。 《一致点》 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維である、 立体シート。 《相違点1》 本件発明1は「式:高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異なり、第2繊維の直径比A2の値は、1.1以上1.2以下である」という構成を備えているのに対し、甲1発明では、そのような構成を備えているか不明である点。 c.相違点1の判断 甲1発明の「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」と「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」とは、互いに直径比が異なり、前記「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比の値が、1.1以上1.2以下であるとすべき根拠は、甲1~甲4、申立人が提出した平成30年10月25日付け意見書に添付された参考資料6(特開平2-175959号公報)の3頁左下欄7行~4頁左上欄4行の記載事項、参考資料7(特開2000-64123号公報)、参考資料8(特開2002-180331号公報)、参考資料9(特開2006-283212号公報)、参考資料10(特開2006-104606号公報)には記載されていないから、甲1発明における「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比と、「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比とを異ならせ、前記「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比の値を、1.1以上1.2以下とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そして、本件発明1は、上記ア.(ア)で示したように、立体賦形によるクッション感を維持しつつ、凸部の滑らかさが向上した立体シートを提供すること及び凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさを高めた立体シートを提供することを解決すべき課題とし、立体シートの繊維の接合の状態を制御することで、凸部に起因するクッション感に加えて、該凸部がXY平面内方向に変形しやすくなり、また、凸部の起立性や、荷重が加わったときの凸部の潰れにくさが向上することを見いだし、前記接合の状態の制御を、第1繊維層第1面側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S1と、第1繊維層第2面側の繊維密度当たりの繊維融着点の数S2との平均値をP1(個/mm3)とし、また、第2繊維層第1面121側の繊維密度当たりの繊維融着点の数をP2(個/mm3)としたとき、P1がP2よりも小さくなるようにするために、第1繊維の直径比A1及び第2繊維の直径比A2(ただし、第X繊維の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1(μm)÷第X繊維の高融点成分直径D2(μm)とする。)の値を、特定の数値範囲や大小関係となるように設定することで解決したものであるといえるところ、このような技術的事項についての開示が、甲1~甲4及び参考資料6~10にはない。 なお、申立人は、申立人意見書において、「芯鞘型複合繊維は、その長さ方向において、上記直径比が異なるといえる」から、上記相違点1のうちの「第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異な」る点は実質的な相違点ではない旨主張しているが、上記ア.(イ)で示したとおり、申立人は、上記「芯鞘型複合繊維は、その長さ方向において、上記直径比が異なるといえる」具体的な根拠や実例を示していないから、上記主張は採用できない。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明2について 本件発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている、本件発明2は、上記と同様の理由により、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (エ)本件発明3について a.甲1発明 甲1発明は、上記3.(3)イ.(イ)a.に示したとおりである。 b.対比、一致点、相違点 甲1発明の「第1のシート」、「第2のシート」、「接合部」、「凸部」、外側層における「芯鞘型複合繊維」、内側層における「芯鞘型複合繊維」、芯鞘型複合繊維における芯の「ポリエチレンテレフタレート」、芯鞘型複合繊維における鞘の「ポリエチレン」、「吸収性物品用シート」は、各々、本件発明3の「第1繊維層」、「第2繊維層」、「接合部」、「凸部」、「第1繊維」、「第2繊維」、「高融点成分」、「低融点成分」、「立体シート」に相当する。 また、甲1発明の「第1シート」が有する「外側層」及び「内側層」は、本件発明3の「第1面側の上層」及び「第2面側の下層」に相当し、また、甲1発明の「第1シート」は「多層構造」といえる。 してみると、本件発明3と甲1発明とは、以下の《一致点》で一致し、少なくとも、以下の《相違点3》で相違する。 《一致点》 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維であり、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む、 立体シート。 《相違点3》 本件発明3は、「第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、一方の層が複数種類の繊維を含み」、「式:高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異な」るという構成を備えているのに対し、甲1発明では、そのような構成を備えているか不明である点。 c.相違点3の判断 甲1発明の「外側層」と「内側層」の内の一方の層が複数種類の繊維を含み、「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」と「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」とは、互いに直径比が異なるとすべき根拠は、甲1~甲4、申立人が提出した平成30年10月25日付け意見書に添付された参考資料6(特開平2-175959号公報)の3頁左下欄7行~4頁左上欄4行の記載事項、参考資料7(特開2000-64123号公報)、参考資料8(特開2002-180331号公報)、参考資料9(特開2006-283212号公報)、参考資料10(特開2006-104606号公報)には記載されていないから、甲1発明において、「外側層」と「内側層」の内の一方の層が複数種類の繊維を含むようにして、かつ、「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比と、「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比とを異ならせ、前記「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比の値を、1.1以上1.2以下とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (オ)本件発明4について a.甲1発明 甲1発明は、上記3.(3)イ.(イ)a.に示したとおりである。 b.対比、一致点、相違点 甲1発明の「第1のシート」、「第2のシート」、「接合部」、「凸部」、外側層における「芯鞘型複合繊維」、内側層における「芯鞘型複合繊維」、芯鞘型複合繊維における芯の「ポリエチレンテレフタレート」、芯鞘型複合繊維における鞘の「ポリエチレン」、「吸収性物品用シート」は、各々、本件発明4の「第1繊維層」、「第2繊維層」、「接合部」、「凸部」、「第1繊維」、「第2繊維」、「高融点成分」、「低融点成分」、「立体シート」に相当する。 また、甲1発明の「第1シート」が有する「外側層」及び「内側層」は、本件発明4の「第1面側の上層」及び「第2面側の下層」に相当し、また、甲1発明の「第1シート」は「多層構造」といえる。 してみると、本件発明4と甲1発明とは、以下の《一致点》で一致し、少なくとも、以下の《相違点4》で相違する。 《一致点》 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維である、 立体シート。 《相違点4》 本件発明4は、「第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、一方の層が複数種類の繊維を含み、他方の層が一種類の繊維のみを含んでおり」、「式:高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比と、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比が異な」るという構成を備えているのに対し、甲1発明では、そのような構成を備えているか不明である点。 c.相違点4の判断 甲1発明の「外側層」と「内側層」の内の一方の層が複数種類の繊維を含み、他方の層が一種類の繊維のみを含んでおり、「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」と「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」とは、互いに直径比が異なるとすべき根拠は、甲1~甲4、申立人が提出した平成30年10月25日付け意見書に添付された参考資料6(特開平2-175959号公報)の3頁左下欄7行~4頁左上欄4行の記載事項、参考資料7(特開2000-64123号公報)、参考資料8(特開2002-180331号公報)、参考資料9(特開2006-283212号公報)、参考資料10(特開2006-104606号公報)には記載されていないから、甲1発明において、「外側層」と「内側層」の内の一方の層が複数種類の繊維を含み、他方の層が一種類の繊維のみを含むようにして、かつ、「外側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.2dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比と、「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比とを異ならせ、前記「内側層における芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる4.4dtexの芯鞘型複合繊維」の直径比の値を、1.1以上1.2以下とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件発明4は、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (カ)本件発明5について 本件発明1~4のいずれかの発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている、本件発明5は、上記と同様の理由により、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (キ)本件発明6について a.甲1発明 甲1発明は、上記3.(3)イ.(イ)a.に示したとおりである。 b.対比、一致点、相違点 甲1発明の「第1のシート」、「第2のシート」、「接合部」、「凸部」、外側層における「芯鞘型複合繊維」、内側層における「芯鞘型複合繊維」、芯鞘型複合繊維における芯の「ポリエチレンテレフタレート」、芯鞘型複合繊維における鞘の「ポリエチレン」、「吸収性物品用シート」は、各々、本件発明6の「第1繊維層」、「第2繊維層」、「接合部」、「凸部」、「第1繊維」、「第2繊維」、「高融点成分」、「低融点成分」、「立体シート」に相当する。 また、甲1発明の「第1シート」が有する「外側層」及び「内側層」は、本件発明6の「第1面側の上層」及び「第2面側の下層」に相当し、また、甲1発明の「第1シート」は「多層構造」といえる。 してみると、本件発明6と甲1発明とは、以下の《一致点》で一致し、《相違点6》で相違する。 《一致点》 第1面及びそれに対向する第2面を有する第1繊維層と、第1面及びそれに対向する第2面を有する第2繊維層とを有し、 第1繊維層の第2面と、第2繊維層の第1面とが対向するように積層されており、 第1繊維層と第2繊維層とが部分的に熱融着された接合部が形成され、第1繊維層が、該接合部間で第2繊維層から離れる方向に突出して、凸部を多数形成しており、 第1繊維層及び第2繊維層がいずれも不織布からなっており、 第1繊維層は第1繊維及び第2繊維からなる少なくとも2種類の繊維を含み、 第1繊維層は第1面側の上層と第2面側の下層とを備えた多層構造からなり、 第1繊維及び第2繊維が第2面側の下層に含まれており、 第1繊維及び第2繊維はそれぞれ高融点成分及び低融点成分を含む同心型又は偏心型の芯鞘型複合繊維である、 立体シート。 《相違点6》 本件発明6は「式:高融点成分と低融点成分の直径比AX=第X繊維の低融点成分直径D1÷第X繊維の高融点成分直径D2から算出される、第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A1の値が、1.3以上2.0以下であり、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A2の値が、A1よりも小さいことを条件として1.1以上1.8以下である」という構成を備えているのに対し、甲1発明では、そのような構成を備えているか不明である点。 c.相違点6の判断 「第1繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A1の値が、1.3以上2.0以下であり、第2繊維の前記高融点成分と前記低融点成分との直径比A2の値が、A1よりも小さいことを条件として1.1以上1.8以下である」ようにすることは、甲1~甲4、申立人が提出した平成30年10月25日付け意見書に添付された参考資料6(特開平2-175959号公報)の3頁左下欄7行~4頁左上欄4行の記載事項、参考資料7(特開2000-64123号公報)、参考資料8(特開2002-180331号公報)、参考資料9(特開2006-283212号公報)、参考資料10(特開2006-104606号公報)には記載されておらず、これを示唆する記載もない。 したがって、本件発明6は、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ク)本件発明7について 本件発明1~6のいずれかの発明特定事項の全てを含み、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項としている、本件発明7は、上記と同様の理由により、甲1発明及び甲1記載事項~甲4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ケ)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~7に係る特許は、理由2によって、取り消されるべきものとすることはできない。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1~7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第4号の規定に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。 また、本件発明1~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号の規定に該当することを理由に取り消されるべきものとすることはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件発明1~7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、結論のとおり決定する。

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2018-700300

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