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特許異議申立

2018-700206

シアン含有廃水の処理方法

審判番号
2018-700206
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-224360
登録番号
特許第6201114号(P6201114)
請求日
2018年03月07日
審決日
2019年02月26日
公報発行日
2019年05月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社片山化学工業研究所
  • 【権利者代理人】野河 信太郎
  • 【権利者代理人】澄川 広司
  • 【権利者代理人】甲斐 伸二
  • 【権利者代理人】金子 裕輔
  • 【権利者代理人】稲本 潔
  • 【権利者】ナルコジャパン合同会社
  • 【権利者代理人】野河 信太郎
  • 【権利者代理人】澄川 広司
  • 【権利者代理人】甲斐 伸二
  • 【権利者代理人】金子 裕輔
  • 【権利者代理人】稲本 潔
  • 【異議申立人】後藤 衞
審判長/審判官
  • 審判長 大橋 賢一
  • 審判官 豊永 茂弘
  • 審判官 山崎 直也
分類
P1651.1 -YAA(C02F) / P1651.121-YAA(C02F) / P1651.16 -YAA(C02F) / P1651.536-YAA(C02F) / P1651.537-YAA(C02F) / P1651.851-YAA(C02F) / P1651.853-YAA(C02F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第126条第7項、特許法第29条の2、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6201114号発明「シアン含有廃水の処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6201114号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6201114号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 特許第6201114号の請求項8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許に係る出願は、平成25年10月29日(優先権主張平成24年11月1日)の出願であって、平成29年9月8日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年9月27日に特許掲載公報の発行がなされたところ、平成30年3月7日に特許異議申立人の後藤衞(以下、単に「異議申立人」という。)により請求項1ないし8に係る特許について特許異議の申立てがなされ、同年7月30日付けで特許権者に取消理由通知がなされ、特許権者より同年9月21日に意見書及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、この訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)が提出され、これに対する意見を異議申立人に求めたものの、異議申立人からの意見書の提出がなされなかったものである。 第2 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6~9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。」とあるのを、「アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)ことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。」に訂正する。(当審注:下線は、訂正箇所を示し、特許権者が付与した。以下同じ。) イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 ウ 訂正事項3 明細書の【0018】の第1~4行に記載された「シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6~9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することを特徴とする」を、「アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)ことを特徴とする」に訂正する。 エ 訂正事項4 明細書の【0020】の第17~21行に記載された「さらに添加する、 (6)・・・である、および (7)シアン含有廃水が、アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水である のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。」を、「さらに添加する、および (6)・・・である のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。」に訂正する。 オ 訂正事項5 明細書の【0022】の第1~4行に記載された「シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6~9.5の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去することを特徴とする」を、「アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)ことを特徴とする」に訂正する。 カ 訂正事項6 明細書の【0048】の第1行に記載された「試験例1(シアン化物イオンの除去効果確認試験)」を、「試験例1(シアン化物イオンの除去効果確認試験:本試験例における実施例1、2、aおよびbならびに比較例1~4は参考例である)」に訂正する。 キ 訂正事項7 明細書の【0057】の第1~2行に記載された「試験例4(ジチオカルバミン酸塩と水溶性カチオン性高分子化合物とのシアン化物イオンの除去効果確認試験)」を、「試験例4(ジチオカルバミン酸塩と水溶性カチオン性高分子化合物とのシアン化物イオンの除去効果確認試験:本試験例における実施例8~10および比較例11~14は参考例である)」に訂正する。 2 訂正の適否 2-1 訂正事項が全ての訂正要件に適合しているか否かについて ア 訂正事項1 a 訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1について、「シアン含有廃水」を「アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水」に訂正し(訂正事項1-1)、「pH6~9.5の条件下」を「pH6.0~9.0の条件下」に訂正し(訂正事項1-2)、「(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)」を付加するもの(訂正事項1-3)であるところ、訂正事項1-1は、「アンモニウムイオンを含有する」という構成要件を直列的に付加するものであり、訂正事項1-2は、pH範囲を狭めるものであり、訂正事項1-3は、いわゆる「除くクレーム」として特定の構成を除外するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項但し書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、請求項1を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 上記の訂正事項1-1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項8および明細書の【0023】等の記載から導き出される構成であり、また、上記の訂正事項1-2は、明細書の【0054】ないし【0056】に記載の試験例3の記載から導き出される構成であり、さらに、上記の訂正事項1-3は、いわゆる「除くクレーム」として特定の構成を除外するものであって、新たな技術事項を導入するものでないから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 イ 訂正事項2 a 訂正の目的について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項8を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項但し書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、請求項8を削除するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項2は、請求項8を削除するものであって、新たな技術事項を導入するものでないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 訂正事項3 a 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであるので、特許法第120条の5第2項但し書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項3は、上記「訂正事項1」の「c」で示した理由と同じ理由より、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ 訂正事項4 a 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項但し書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項4は、訂正前の特許請求の範囲の請求項8および明細書の【0023】の記載から導き出される構成であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 オ 訂正事項5 a 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項但し書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項5は、上記「訂正事項1」の「c」で示した理由と同じ理由より、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 カ 訂正事項6 a 訂正の目的について 訂正事項6は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項但し書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項6は、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項6は、特定の試験例を本件特許発明の実施例でないことを明示するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 キ 訂正事項7 a 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正事項1及び2に伴って、特許請求の範囲と実施例の記載との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項但し書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項7は、特許請求の範囲と実施例の記載との整合を図るものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項7は、特定の試験例を本件特許発明の実施例でないことを明示するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ク 一群の請求項についての説明 訂正前の請求項1~8について、請求項2~7はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 2-2 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、訂正前の全ての請求項1~8について特許異議申立てがなされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 2-3 小括 上記のとおり、訂正前の請求項1ないし8は、特許法120条の5第4項の規定に適合する一群の請求項であり、本件訂正請求は、この一群の請求項1~8について訂正することを求めるものであるから、特許法120条の5第4項の規定に適合して請求されたものである。また、本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書き1号、3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条第4~6項の規定に適合するものである。 したがって、本件訂正後の請求項〔1-8〕について訂正を認める。 第3 本件請求項に係る発明 前記「第2」で示したとおり、本件訂正は適法になされたものであるから、訂正により削除された請求項8を除く請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明7」といい、これらを纏めて「本件発明」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された以下の事項により特定されるものと認める。 「【請求項1】 アンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)ことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。 【請求項2】 前記銅化合物が、塩化第一銅、フッ化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、フッ化第二銅、硝酸銅および硫酸銅から選択される請求項1に記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項3】 前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物が、ジチオカルバミン酸、その誘導体およびそれらの塩ならびにジチオカルバミン酸で修飾された高分子化合物から選択される請求項1または2に記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項4】 前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物が、ジチオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、ジェチルジチオカルバミン酸塩、ジプロピルジチオカルバミン酸塩、ジブチルジチオカルバミン酸塩、ピペラジンビスジチオカルバミン酸塩、テトラエチレンペンタミンジチオカルバミン酸塩、ポリアルキレン(炭素数2~4)ポリアミンに対して5~80モル%のジチオカルバミン酸で修飾された分子量500~100,000のポリアルキレンポリアミンを含有する高分子化合物、およびポリアルキレン(炭素数2~4)ポリイミンに対して2~80モル%のジチオカルバミン酸で修飾された分子量500~1,000,000のポリアルキレンポリイミンを含有する高分子化合物から選択される請求項1~3のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項5】 前記銅化合物と前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物との添加割合が、銅換算とジチオカルバミン酸換算の重量割合で1:1~1:50である請求項1~4のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項6】 前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物の添加と同時もしくはその添加後に、水溶性カチオン性高分子化合物をさらに添加する請求項1~5のいずれか1つに記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項7】 前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物と前記水溶性カチオン性高分子化合物との添加割合が、ジチオカルバミン酸換算の重量割合で100:1~1:100である請求項6に記載のシアン含有廃水の処理方法。 【請求項8】(削除)」 第4 取消理由通知書に記載した取消理由 4-1 取消理由1(特許法第36条第6項第1号)、取消理由2(特許法第36条第6項第2号)及び取消理由3(特許法第36条第4項第1号)について 取消理由1ないし3は、【0058】【表4】の比較例11、13が、訂正前の請求項1ないし8に係る発明に含まれることを根拠にしたものであるところ、本件訂正により、比較例11、13を含む【0058】【表4】のすべての例が参考例になることで、解消したということができるので、取消理由1ないし3に理由はないということができる。 4-2 取消理由4(特許法第29条の2)について 本件発明1ないし7は、「廃水中のシアンを除去する(但し、前記ジチオカルバミン酸基を有する化合物を添加する前に、銅化合物、マグネシウム化合物および還元剤を添加する場合を除く)」「シアン含有廃水の処理方法」を特定事項にするものである。 一方、下記「第5」「5-1」で示す甲第10号証の特願2012-100183号(特開2013-226510号公報)(先願)の【特許請求の範囲】【請求項1】の記載からして、 「シアン含有排水に銅化合物およびマグネシウム化合物を、還元剤の存在下に反応させ、シアンの不溶性塩を生成させて分離する、シアン含有排水の処理方法。」(以下、「甲10発明」という。)が記載されているといえる。 そうすると、本件発明1ないし7は、マグネシウム化合物を添加しないことを特定するのに対して、甲10発明は、マグネシウム化合物を添加することを特定する点で、少なくとも相違している。 したがって、本件発明1ないし7は、甲第10号証(先願)に記載された発明と同一であるとはいえないので、取消理由4に理由はないということができる。 4-3 小括 上記「4-1」ないし「4-2」より、本件発明1ないし7に係る特許は、取消理由1ないし4により取り消されるものではない。 第5 取消理由に採用しなかった申立理由 5-1 証拠方法 ○甲第1号証:特公昭63-1919号公報 ○甲第2号証:惠藤良弘、外1名著、「現場で役立つ 無機排水処理技術」(初版1刷)、株式会社工業調査会、2005年12月20日、p144-145 ○甲第3号証:特開昭51-140360号公報 ○甲第4号証:特公昭56-39358号公報 ○甲第5号証:特公平4-64757号公報 ○甲第6号証:特開平9-227855号公報 ○甲第7号証:特開平7-328648号公報 ○甲第8号証:特開2001-340874号公報 ○甲第9号証:特公平2-48315号公報 ○甲第10号証:特願2012-100183号(特開2013-226510号公報) 5-2 申立理由1(特許法第29条第1項柱書)について 申立理由1は、訂正前の請求項1ないし8に係る発明が、比較例を含むこと、及び、上乗せ効果を達成していない実施例10を含むことをもって、「産業上利用することができる発明」に該当しないというものであるが、これは、記載不備の問題であって、発明性の問題ではないから、申立理由1に理由はないということができる。 5-3 申立理由2(特許法第36条第6項第1号)、申立理由3(特許法第36条第6項第2号)及び申立理由4(特許法第36条第4項第1号)について 申立理由2ないし4(取消理由1ないし3を除く理由)は、明細書及び図面において、訂正前の請求項1ないし8に係る発明に関する説明(記載)が十分になされていないというものであるが、本件訂正後の明細書(特に【発明を実施するための形態】【0022】ないし【0059】)及び図面は、本件発明1ないし7について、シアン含有排水(処理対象物)に含まれる成分とその濃度、ジチオカルバミン酸基を有する化合物や銅化合物などの添加剤とその添加量、pHなどの条件(状態)、処理の結果等が、実施例3ないし7、比較例5ないし10、参考例にされた実施例1ないし2、a、b、8ないし9、及び、同比較例1ないし4、11ないし14という25個の具体例として示されており、また、当業者であれば、上記具体例に基いて、上記「ジチオカルバミン酸基を有する化合物や銅化合物などの添加剤とその添加量、pHなどの条件(状態)等」を適宜変更することもでき得るといえることからして、申立理由2ないし4(取消理由1ないし3を除く理由)に理由はないということができる。 5-4 申立理由5(特許法第29条第2項)について 5-4-1 本件発明1 甲第1号証には、特に、特許請求の範囲の請求項1、同請求項2、第8欄第8行~第9欄7行、第9欄第12行~第10欄11行、及び、第17欄第26行~第18欄26行等の記載からして、 「廃水中のチオシアン分及びシアン分を除去するのに必要な(過剰な)ハロゲン化第1銅溶液に、フエーリング液[硫酸銅溶液とロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)・水酸化ナトリウム溶液を混合したもの]を還元しうる還元性物質(亜硫酸及びその塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩、次亜燐酸及びその塩、亜燐酸及びその塩、塩化第一錫、ホスフイン類、ヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキノン類、カテコール類、o-アミノフエノール類、p-アミノフエノール類、o-フエニレンジアミン類、p-フエニレンジアミン類、1-フエニル-3-ピラゾリドン類、p-オキシフエニルグリシン類並びにホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレートよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物)を含有させた処理剤を廃水に添加し、9以下のpH(実施例5及び比較例4では、pH6.5)で沈殿を生成させて分離し、分離した後の廃水に硫化水素或いは硫化ナトリウムを添加して硫化銅の沈殿を生成させて分離する、廃水中のチオシアン分及びシアン分を除去する方法。」(以下、「甲1発明」という。)が記載されているということができる。 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「廃水中のチオシアン分及びシアン分を除去する方法」は、本件発明1の「シアン含有廃水の処理方法」に相当し、甲1発明の「廃水中のチオシアン分及びシアン分を除去するのに必要な(過剰な)ハロゲン化第1銅溶液に、フエーリング液[硫酸銅溶液とロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)・水酸化ナトリウム溶液を混合したもの]を還元しうる還元性物質(亜硫酸及びその塩、ピロ亜硫酸、亜二チオン酸塩、次亜燐酸及びその塩、亜燐酸及びその塩、塩化第1錫、ホスフイン類、ヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキノン類、カテコール類、o-アミノフエノール類、p-アミノフエノール類、o-フエニレンジアミン類、p-フエニレンジアミン類、1-フエニル-3-ピラゾリドン類、p-オキシフエニルグリシン類並びにホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレートよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物)を含有させた処理剤を廃水に添加し、9以下のpH(実施例5及び比較例4では、pH6.5)で沈殿を生成させ、これを分離」することは、本件発明1の「廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物」「を」「添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する」ことに一応相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「シアン含有廃水に、該廃水に含まれるシアンを除去し得る量の銅化合物を添加した後、該廃水をpH6.0~9.0の条件下で、生成した水不溶性塩を該廃水から除去して、該廃水中のシアンを除去する、シアン含有廃水の処理方法」という点で一致し、 本件発明1は、シアン含有廃水に、「銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加」することを特定するのに対して、甲1発明は、シアン含有廃水に、銅化合物を添加するものの、「銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加」することの特定がない点(以下、「相違点」という。)で、少なくとも相違している。 ここで、甲第2号証ないし甲第9号証の記載内容を検討したとしても、これら甲各号証のいずれにも、シアン含有廃水に、「銅化合物およびジチオカルバミン酸基を有する化合物をこの順で添加」することについて記載も示唆もない。 したがって、甲1発明と甲第2号証ないし甲第9号証に記載の事項を組み合わせたとしても、上記相違点に係る本件発明1の特定事項を導き出すことはできないので、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。 よって、本件発明1について、申立理由5に理由はないということができる。 5-4-2 本件発明2ないし7 本件発明2ないし7は、本件発明1と同じく、上記相違点に係る特定事項を有するものであるので、上記「5-4-1」で示した理由と同じ理由より、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである、とはいえない。 したがって、本件発明2ないし7についても、申立理由5に理由はないということができる。 5-5 小括 上記「5-1」ないし「5-4」より、本件発明1ないし7に係る特許は、申立理由1ないし5により取り消されるものではない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した申立理由および取消理由通知書に記載した取消理由によっては、本件発明1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件請求項8に係る特許は、訂正により削除されたため、本件請求項8に係る特許に対する異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700206

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