特許異議申立
2018-700168
マグネシアカーボンれんが
- 審判番号
- 2018-700168
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-014606
- 登録番号
- 特許第6190730号(P6190730)
- 請求日
- 2018年02月23日
- 審決日
- 2018年05月22日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】黒崎播磨株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人英和特許事務所
- 【異議申立人】品川リフラクトリーズ 株式会社
- 【異議申立人代理人】福井 豊明
- 審判長/審判官
- 審判長 豊永 茂弘
- 審判官 大橋 賢一
- 審判官 宮澤 尚之
- 分類
- P1651.121-Y (C04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6190730号発明「マグネシアカーボンれんが」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6190730号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件特許第6190730号は、平成26年1月29日(優先権主張 平成25年1月31日)に出願された特願2014-14606号の特許請求の範囲に記載された請求項1~3に係る発明について、平成29年8月10日に設定登録がされ、同年8月30日に登録公報の発行がされたものであり、その後、全請求項に係る特許に対し、平成30年2月23日付けの特許異議の申立てが「品川リフラクトリーズ株式会社」(以下、「申立人」という。)によりされたものである。
第2.本件発明の認定
本件特許の請求項1~3に係る発明(以下、「本件発明1~3」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認められる。
【請求項1】
マグネシア原料と黒鉛とを含有するマグネシアカーボンれんがにおいて、
マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で、黒鉛を8質量%以上25質量%以下、マグネシア原料を75質量%以上92質量%以下含有し、
前記マグネシア原料の粒度構成として、粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料がマグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で36質量%以上53質量%以下配合され、かつ粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比が4.2以上であり、
1400℃で3時間還元焼成後の見かけ気孔率が7.8%以下であるマグネシアカーボンれんが。
【請求項2】
前記黒鉛の粒度構成として、粒径0.15mm以上の黒鉛が全体の黒鉛の40質量%以上配合されている請求項1に記載のマグネシアカーボンれんが。
【請求項3】
ピッチ系原料の含有量がマグネシア原料と黒鉛との合量に対して外掛けで1質量%未満である請求項1又は2に記載のマグネシアカーボンれんが。
第3.申立理由の概要
申立人は、証拠として、下記の甲第1~5号証(以下、「甲1~5」という。)を提出し、本件発明1~3は、甲1~5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであると主張している。
甲1:特開平1-270564号公報
甲2:本件特許の審査過程で提出された意見書
甲3:特開2010-105891号公報
甲4:特開平5-330904号公報
甲5:特開平8-259312号公報
第4.当審の判断
1.甲1の記載
摘示1(【特許請求の範囲】)
「1.マグネシアクリンカと黒鉛とを夫々70~90重量%と10~30重量%含有してなり、マグネシアクリンカの粒度構成が、粒径1mm以上の粗粒25~40重量%と、粒径1~0.2mmの範囲にある中間粒30~45重量%と、0.2mm以下の微粒15~25重量%であることを特徴とする緻密質マグネシアカーボンれんが。」
摘示2(第1表の1)
「
」
2.甲1発明
甲1には、粒径1mm以上の粗粒と粒径1~0.2mmの範囲にある中間粒と0.2mm以下の微粒からなるマグネシアクリンカと黒鉛を含有してなる緻密質マグネシアカーボンれんが(摘示1)の具体例である「試料4」(摘示2)として、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「マグネシアクリンカと黒鉛とを夫々80重量%と20重量%含有してなり、マグネシアクリンカの粒度構成が、粒径1mm以上の粗粒35重量%と、粒径1~0.2mmの範囲にある中間粒30重量%と、0.2mm以下の微粒15重量%である緻密質マグネシアカーボンれんが。」
3.発明の対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「マグネシアクリンカ」が本件発明1の「マグネシア原料」に相当するから、本件発明1のうち、
「マグネシア原料と黒鉛とを含有するマグネシアカーボンれんがにおいて、
マグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で、黒鉛を8質量%以上25質量%以下、マグネシア原料を75質量%以上92質量%以下含有する、
マグネシアカーボンれんが。」
の点は、甲1発明と一致し、次の点で両者は相違する。
相違点1:マグネシア原料の粒度構成が、本件発明1では、「粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料がマグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で36質量%以上53質量%以下配合され、かつ粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比が4.2以上」であるのに対し、甲1発明では、「粒径1~0.2mmの範囲にある中間粒30重量%と、0.2mm以下の微粒15重量%」である点
相違点2:1400℃で3時間還元焼成後の見かけ気孔率が、本件発明1では、「7.8%以下である」のに対し、甲1発明では不明な点。
3.相違点の判断
(1)相違点1について、申立人は甲2を根拠に、甲1発明において0.2mm以下の微粒の半分(7.5重量%)が0.075mm以上であるとすれば、甲1発明は、粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料がマグネシア原料と黒鉛との合量に占める割合で30+7.5=37.5質量%配合され、かつ粒径0.075mm未満のマグネシア原料に対する粒径0.075mm以上1mm以下のマグネシア原料の質量比が37.5/(15-7.5)=5.0となるから、一致点であると主張している。
(2)そこで検討するに、甲2には、先行技術文献である特開平7-33513号公報に記載されている、粒度構成を1~0.2mmと0.2mm~0で特定したマグネシア原料について、特許権者が、0.2mm~0のマグネシア原料の半分を0.075mm以上であると仮定して本件発明1と対比したことが記載されているが、甲2の記載は、特許権者がそのような解釈をしたことを示すにすぎず、0.2mm以下のマグネシア原料の半分が0.075mm以上であることが、技術常識であることを示すものではない。
したがって、上記主張は技術的な裏付けがなく採用できない。
なお、申立人は、「試料4」のほか「試料5,6,7,14,15,24」をそれぞれ甲1発明とした場合にも(1)と同様の主張をしているが、やはり採用できない。
(3)次に、相違点1を実質的な差異として検討するに、甲3~5には、1mm以下のマグネシア原料の粒度構成に関する記載や示唆はない。
してみると、甲1発明において相違点1を解消することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1及びこれを引用する本件発明2,3は、甲1~5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5.むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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