特許訂正審判
2018-390199
不連続なデータ送信のための制御チャネルフォーマットの適応
- 審判番号
- 2018-390199
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-526588
- 登録番号
- 特許第4913813号(P4913813)
- 請求日
- 2018年12月17日
- 審決日
- 2019年03月26日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】笛田 秀仙
- 【請求人代理人】五十嵐 貴裕
- 【請求人代理人】矢ヶ部 喜行
- 【請求人代理人】浅村 敬一
- 審判長/審判官
- 審判長 中木 努
- 審判官 長谷川 篤男
- 審判官 山本 章裕
- 分類
- P141 .853-Y (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4913813号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4913813号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第4913813号は、2006年(平成18年)8月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2005年8月16日 欧州)を国際出願日とする出願であって、平成24年1月27日に特許権の設定登録がなされ、平成30年12月17日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4913813号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次の訂正事項からなる。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項17及び18の「複数のタイムスロットの第1のサブセットにおいてデータを送信し、」を「前記複数のタイムスロットのうちの第1のサブセットのタイムスロットにおいてデータを送信し、」に訂正する(請求項17又は18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。(下線は、訂正箇所を示す。以下同様。)
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項17及び18の「複数のタイムスロットの第2のサブセットにおいてデータの送信をやめる手段、」を「前記複数のタイムスロットのうちの第2のサブセットのタイムスロットにおいてデータの送信をやめる手段、」に訂正する(請求項17又は18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項17及び18の「タイムスロットの第1のサブセットにおいて第1の制御信号を送信する手段、」を「前記第1のサブセットのタイムスロットにおいて前記第1の制御信号を送信する手段、」に訂正する(請求項17又は18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
4.訂正事項4
特許請求の範囲の請求項17の「前記既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」を「既定の信号部分と電力制御命令を構成するビットとを有し、前記既定の信号部分のビットの数に対する前記電力制御命令を構成するビットの数の割合が前記第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」に訂正する(請求項17の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
5.訂正事項5
特許請求の範囲の請求項18の「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」を「既定の信号部分と電力制御命令を構成するビットとを有し、制御信号全体のビットの数に対する前記電力制御命令を構成するビットの数の割合が前記第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」に訂正する(請求項18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
6.訂正事項6
特許請求の範囲の請求項17及び18の「タイムスロットの第2のサブセットのうちの少なくともいくつかにおいて、第1の制御信号の送信と比較して低減されたエネルギーで、第2の制御信号を送信する手段」を「前記第2のサブセットのタイムスロットのうちの少なくともいくつかのタイムスロットにおいて、前記第1の制御信号の送信と比較して低減されたエネルギーで、前記第2の制御信号を送信する手段」に訂正する(請求項17又は18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
7.訂正事項7
特許請求の範囲の請求項17及び18の「前記低減が少なくとも前記既定の信号部分のエネルギーを含む」を「前記低減が少なくとも前記既定の信号部分のエネルギーの低減を含む」に訂正する(請求項17又は18の記載を引用する請求項19乃至27も同様に訂正する)。
8.訂正事項8
特許請求の範囲の請求項19乃至請求項26において、「前記」の記載を欠く文言に「前記」を付して訂正する(請求項19乃至26に従属する請求項20乃至27も同様に訂正する)。
第3 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17及び18には、「複数のタイムスロットの第1のサブセットにおいてデータを送信し、」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前にも「複数のタイムスロット」との記載がある。そのため、当該発明特定事項における「複数のタイムスロットの第1のサブセット」と、これより前に記載された「複数のタイムスロット」との関係が不明瞭である。
訂正事項1のとおり、「前記複数のタイムスロットのうちの第1のサブセットのタイムスロットにおいてデータを送信し、」に訂正されることにより、前記発明特定事項における「複数のタイムスロットの第1のサブセット」は、これより前に記載された「複数のタイムスロット」のうちの第1のサブセットのタイムスロットであることが明瞭になる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
願書に添付された明細書には、
「【0030】
図1~6は、UMTS DPCCH制御チャネルのタイムスロットにおいて送信される制御信号に適しているフォーマットの例を説明する。各々のスロットの継続時間は10ビットであり、2560チップに対応し、10 msの継続時間の1つの無線フレームは15のタイムスロットを有する。
【0031】
図1はデータ送信も含むタイムスロットにおいて送信される制御信号のためのフォーマットを説明し、図2~6はデータ送信を含まないタイムスロットにおいて送信される制御信号のための本発明によるいくつかの可能なフォーマットを説明する。
【0032】
図1において、制御信号は8つのパイロットビット20及び送信電力制御(TPC)命令30のための2つのビットを有する。パイロットビットは80%の大多数であり、データ送信が確実に復号されることを可能にする。
【0033】
図2において、制御信号はより高い割合のTPCビットを有し、この例では5つのパイロットビット22及び5つのTPCビット32を有する。割合5/2によってTPCビットの数を50%まで増やすことによって、TPCビットの復号信頼性を図1のフォーマットと実質的に同じに維持しながら、制御信号送信電力は係数5/2 = 4dBで低減されることができる。結果的に、制御信号の送信されるエネルギーは低減されて、制御信号によって生じる潜在的な干渉は4dB低減される。割合3/8でのパイロットビットの低減された割合及びそれらの低減された電力は、そのタイムスロット中にデータがない場合にTPCビットの復号を可能にするのに十分である。
(中略)
【0043】
図7を参照して、データを送信するための無線通信装置100(以降では便宜上、装置100と呼ぶ)及びデータを受信するための無線局200を有する無線通信システムが示される。
【0044】
装置100は、送信すべきデータを受け取る入力110を有する。タイムスロットにおける送信のためのデータパケットにデータをフォーマットするデータフォーマッティングステージ115が、入力110に結合される。データフォーマッティングステージ115の出力は、データ信号としてデータパケットを送信する送信機120の入力に結合され、送信機120の出力はアンテナ125に結合される。周期的なタイムスロットに対応するタイミング基準を発生させるクロックジェネレータ(Clk)165があり、クロックジェネレータ165の出力は、タイムスロット内のデータ信号の送信の時間を制御するために送信機に結合される。データ信号の送信は断続的であり、例えば、入力110においてデータが利用可能であるか、又は無線ステーション200によって与えられる送信許可が利用可能であるかに依存している。
【0045】
データ信号を有するタイムスロットにおける、及び選択的にデータ信号を含まないいくつかのタイムストットにおける送信のための第1の制御信号を発生させる第1の制御信号発生器130、並びにデータ信号を含まない少なくともいくつかのタイムスロットにおける送信のための第2の制御信号を発生させる第2の制御信号発生器135がある。第1及び第2の制御信号発生器130, 135の各々の出力並びに送信機120の入力に結合されて、第1又は第2の制御信号のいずれかを送信のために選択するセレクタ140がある。セレクタ140の状態を制御するための、マイクロコントローラのようなコントローラ(μC)145がある。コントローラ145は、データが送信のために利用可能かどうかに従ってセレクタ140の状態を制御することができ、その目的のためにコントローラ145はデータフォーマッティングステージ115に結合されることができる。又はコントローラ145は、受信無線局200のような外部装置によって許可が与えられたかどうかに従ってセレクタ140の状態を制御することができ、その目的のためにコントローラ145は無線局200からの信号を受信するために受信機150に結合されることができる。コントローラ145は、セレクタ140の状態を変える瞬間を決定するためにクロックジェネレータ165に結合されることができ、及び送信機120の送信電力レベルを制御するために送信機120の入力に結合されることができる。
【0046】
受信機(Rx)150は、無線局200からの無線信号を受信するためにアンテナ125に結合される。受信機150の出力は、無線局200から受信される無線信号の品質を表すパラメータを評価することに応答して送信電力制御(TPC)命令を発生させるために電力制御命令発生器155に結合され、電力制御命令発生器155の出力は、第1及び第2の制御信号発生器130, 135のそれぞれの入力にTPC命令を伝達するために結合される。第1及び第2の制御信号発生器130, 135は、ここで説明されるように、既定の値のパイロットビットのような既定の信号部分及び電力制御命令発生器155によって供給されるTPC命令を含むフォーマットを有する制御信号を発生させる。」(下線は当審が付与。以下同様。)
と記載されている。
上記段落【0030】-【0031】の記載によれば、願書に添付された明細書には、複数のタイムスロットは、データ送信を含むタイムスロットとデータ送信を含まないタイムスロットからなることが記載されているといえ、データ送信を含むタイムスロットは、複数のタイムスロットのうちの第1のサブセットのタイムスロットといえる。また、「複数のタイムスロット」に「前記」を付すことは、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項17及び18に記載の「複数のタイムスロットの第1のサブセットにおいてデータを送信し、」における「複数のタイムスロットの第1のサブセット」と、これより前に記載された「複数のタイムスロット」との関係を明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17及び18には、「複数のタイムスロットの第2のサブセットにおいてデータの送信をやめる手段、」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前にも「複数のタイムスロット」との記載がある。そのため、「複数のタイムスロットの第2のサブセット」と当該発明特定事項の前に記載された「複数のタイムスロット」との関係が不明瞭である。
訂正事項2のとおり、「前記複数のタイムスロットのうちの第2のサブセットのタイムスロットにおいてデータの送信をやめる手段、」に訂正されることにより、前記発明特定事項における「複数のタイムスロットの第2のサブセット」は、これより前に記載された「複数のタイムスロット」のうちの第2のサブセットのタイムスロットであることが明瞭になる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
上記「1.」「(2)」に示した段落【0030】-【0031】の記載によれば、願書に添付された明細書には、複数のタイムスロットは、データ送信を含むタイムスロットとデータ送信を含まないタイムスロットからなることが記載されているといえ、データ送信を含まないタイムスロットは、複数のタイムスロットのうちの第2のサブセットのタイムスロットといえる。また、「複数のタイムスロット」に「前記」を付すことは、願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項17及び18に記載の「複数のタイムスロットの第2のサブセットにおいてデータの送信をやめる手段、」における「複数のタイムスロットの第2のサブセット」と、これより前に記載された「複数のタイムスロット」との関係を明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
3.訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17及び18には、「タイムスロットの第1のサブセットにおいて第1の制御信号を送信する手段、」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前には「複数のタイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」との記載がある。そのため、当該発明特定事項における「タイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」と、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」との関係がそれぞれ不明瞭である。
訂正事項3のとおり、「前記第1のサブセットのタイムスロットにおいて前記第1の制御信号を送信する手段、」に訂正されることにより、訂正事項1による訂正と整合をとりつつ、前記発明特定事項における「タイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」は、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」と同じものであることが明瞭になる。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
上記「1.」「(2)」に示した段落【0045】の記載によれば、願書に添付された明細書には、データ信号を有するタイムスロットにおいて、第1の制御信号を送信することが記載されているといえる。また、「第1のサブセットのタイムスロット」及び「第1の制御信号」に、それぞれ「前記」を付すことは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であることが明らかである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項17及び18に記載の「タイムスロットの第1のサブセットにおいて第1の制御信号を送信する手段、」における「タイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」と、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第1のサブセット」、「第1の制御信号」とが同じものであることを明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
4.訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17には、「前記既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前にも「第1の制御信号」との記載があり、当該発明特定事項における「第1の制御信号」と、これより前に記載される「第1の制御信号」との関係が不明瞭である。さらに、訂正前の請求項17は、「第1の制御信号」が「既定の信号部分と電力制御命令を構成する少なくとも1つのビットとを有する」と限定している一方、前記発明特定事項における「既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」が具体的に何の割合であるか不明瞭であるため、「既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」と「第1の制御信号」が有する「既定の信号部分と電力制御命令を構成する少なくとも1つのビット」との関係が不明瞭である。
訂正事項4のとおり、「既定の信号部分と電力制御命令を構成するビットとを有し、前記既定の信号部分のビットの数に対する前記電力制御命令を構成するビットの数の割合が前記第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」に訂正されることにより、前記発明特定事項における「第1の制御信号」と、これより前に記載される「第1の制御信号」とは、同じものであることが明瞭になるとともに、前記発明特定事項における「既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」は、既定の信号部分のビットの数に対する電力制御命令を構成するビットの数の割合であることが明瞭になる。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
「第1の制御信号」に「前記」を付すことは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であることが明らかである。また、上記「1.」「(2)」に示した段落【0046】の記載によれば、願書に添付された明細書には、第2の制御信号のフォーマットが既定の値のパイロットビットのような既定の信号部分及びTPC命令を含むことが記載されているといえる。さらに、上記「1.」「(2)」に示した段落【0033】の記載によれば、第2の制御信号は、TPCビットを有し、第1の制御信号よりパイロットビットのビット数に対するTPCビットのビット数の割合が高いことが記載されているといえる。したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項17に記載の「前記既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」における「第1の制御信号」と、これより前に記載された「第1の制御信号」とが同じものであることを明瞭にするとともに、「前記既定の信号部分に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」が何の割合であるかを明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
5.訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項18には、「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前にも「第1の制御信号」との記載があり、当該発明特定事項における「第1の制御信号」と、これより前に記載される「第1の制御信号」との関係が不明瞭である。さらに、訂正前の請求項18は、「第1の制御信号」が「既定の信号部分と電力制御命令を構成する少なくとも1つのビットとを有する」と限定している一方、前記発明特定事項における「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」が具体的に何の割合であるか不明瞭であるため、「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」と「第1の制御信号」が有する「既定の信号部分と電力制御命令を構成する少なくとも1つのビット」との関係が不明瞭である。
訂正事項5のとおり、「既定の信号部分と電力制御命令を構成するビットとを有し、制御信号全体のビットの数に対する前記電力制御命令を構成するビットの数の割合が前記第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」に訂正されることにより、前記発明特定事項における「第1の制御信号」と、これより前に記載される「第1の制御信号」とは、同じものであることが明瞭になるとともに、前記発明特定事項における「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」は、制御信号全体のビットの数に対する電力制御命令を構成するビットの数の割合であることが明瞭になる。。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
「第1の制御信号」に「前記」を付すことは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であることが明らかである。また、上記「1.」「(2)」に示した段落【0046】の記載によれば、願書に添付された明細書には、第2の制御信号のフォーマットが既定の値のパイロットビットのような既定の信号部分及びTPC命令を含むことが記載されているといえる。さらに、上記「1.」「(2)」に示した段落【0033】の記載によれば、第2の制御信号は、TPCビットを有し、第1の制御信号より制御信号全体のビット数に対するTPCビットのビット数の割合が高いこと、が記載されているといえる。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項5は、訂正前の請求項18に記載の「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合が第1の制御信号と比較して増加した第2の制御信号を発生させる手段、」における「第1の制御信号」と、これより前に記載された「第1の制御信号」とが同じものであることを明瞭にするとともに、「制御信号全体に対する電力制御命令を構成する制御信号の割合」が何の割合であるかを明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
6.訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17及び18には、「タイムスロットの第2のサブセットのうちの少なくともいくつかにおいて、第1の制御信号の送信と比較して低減されたエネルギーで、第2の制御信号を送信する手段」との発明特定事項が記載されているところ、当該発明特定事項の前に「複数のタイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」との記載がある。そのため、当該発明特定事項における「タイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」と、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」との関係がそれぞれ不明瞭である。さらに、当該発明特定事項の記載では、いくつかの何において、第2の制御信号を送信するのか不明瞭である。
訂正事項6のとおり、「前記第2のサブセットのタイムスロットのうちの少なくともいくつかのタイムスロットにおいて、前記第1の制御信号の送信と比較して低減されたエネルギーで、前記第2の制御信号を送信する手段」に訂正されることにより、訂正事項2による訂正と整合をとりつつ、前記発明特定事項における「タイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」は、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」と同じものであることが明瞭になる。さらに、当該訂正によりいくつかの「タイムスロット」において、第2の制御信号を送信することも明瞭になる。
したがって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
上記「1.」「(2)」に示した段落【0045】の記載によれば、願書に添付された明細書には、データ信号を含まない少なくともいくつかのタイムスロットにおいて、第2の制御信号を送信することが記載されているといえる。また、「第2のサブセットのタイムスロット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」のそれぞれに「前記」を付すことは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内であることが明らかである。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項6は、訂正前の請求項17及び18に記載の「タイムスロットの第2のサブセットのうちの少なくともいくつかにおいて、第1の制御信号の送信と比較して低減されたエネルギーで、第2の制御信号を送信する手段」における「タイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」と、これらより前に記載された「複数のタイムスロットの第2のサブセット」、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」が同じものであることを明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
7.訂正事項7について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項17及び18には、「前記低減が少なくとも前記既定の信号部分のエネルギーを含む」と記載されているが、「低減」と「既定の信号部分のエネルギー」との関係が不明瞭である。
訂正事項7のとおり、「前記低減が少なくとも前記既定の信号部分のエネルギーの低減を含む」に訂正されることにより、「低減」が既定の信号部分のエネルギーの低減を含むことが明瞭になる。
したがって、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
上記「1.」「(2)」に示した段落【0033】の記載によれば、願書に添付した明細書には、制御信号送信電力の低減は、パイロットビットの電力の低減であることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項7は、「前記低減が少なくとも前記既定の信号部分のエネルギーを含む」における「低減」が既定の信号部分のエネルギーの低減を含むことを明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
8.訂正事項8について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項19-20には、「第2の制御信号」、「第1の制御信号」という用語が記載されており、訂正前の請求項21-22、25-26には、「第2の制御信号」という用語が記載されており、訂正前の請求項23には、「電力制御命令」、「第2の制御信号」という用語が記載されており、訂正前の請求項24には、「第2の制御信号」、「電力制御命令」、「第1及び第2の複数のビット」という用語が記載されている。しかしながら、これらの用語は、それぞれの用語の記載より前に記載される「第1の制御信号」、「第2の制御信号」、「電力制御命令」、「第1の複数の既定の値のビット」、「第2の複数のビット」という用語との関係が不明瞭である。
訂正事項8のとおり、訂正前の請求項19-26において、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」、「電力制御命令」、「第1及び第2の複数のビット」という用語に「前記」を付して訂正されることにより、上記用語間の関係が明瞭になる。
したがって、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
訂正前の請求項19-26において、「第1の制御信号」、「第2の制御信号」、「電力制御命令」、「第1及び第2の複数のビット」という用語に「前記」を付すことは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記「(1)」のとおり、訂正事項8は、用語間の関係を明瞭にするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記「(1)」のとおり、訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正でないから、特許法第126条第7項の独立して特許を受けることができるかどうかの判断は必要ない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-390199