特許訂正審判
2018-390141
転がり軸受
- 審判番号
- 2018-390141
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2000-201821外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年09月19日
- 審決日
- 2019年02月26日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .851-Y (F16C) / P141 .853-Y (F16C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第131条の2第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第3975657号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第3975657号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判請求に係る特許第3975657号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成12年7月4日(優先権主張 平成11年7月9日)に出願され、その請求項1~5に係る発明について平成19年6月29日に特許権の設定登録がされたものである。
その後、平成30年9月19日に特許権者日本精工株式会社(以下、「請求人」という。)より、本件特許に対して訂正審判の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、本件訂正請求に対して、平成30年11月30日付けで訂正拒絶理由が通知され、平成30年12月17日に請求人より意見書及び手続補正書の提出がされたものである。
第2 訂正拒絶理由の概要
当審が平成30年11月30日付けで請求人に通知した訂正拒絶理由の概要は次のとおりである。
「本件訂正請求の訂正事項5の明細書段落【0024】についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれをも目的としていないから、本件訂正請求は拒絶すべきものである。」
第3 手続補正の適否
1.補正の内容
請求人が平成30年12月17日に提出した手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)の内容は次のとおりである(下線は補正箇所である。なお、改行位置は当審で適宜設定した。)。
(1)補正事項1
審判請求書の「6.請求の理由」の「(2)訂正事項2」の「オ 訂正事項5」の
「明細書の段落【0019】の「請求項2に記載した様に、」との記載を「請求項3に記載した様に、」に訂正し、明細書の段落【0024】及び【0026】の「請求項2に対応するラジアル玉軸受」との記載を「請求項3に対応するラジアル玉軸受」に訂正する。」
との記載を
「明細書の段落【0019】の「請求項2に記載した様に、」との記載を「請求項3に記載した様に、」に訂正し、明細書の段落【0024】及び【0026】の「請求項2に対応するラジアル玉軸受」との記載を「請求項3に対応するラジアル玉軸受」に訂正し、明細書の段落【0024】の「ラジアル玉軸受を実現する為には、外部条件」との記載を「ラジアル玉軸受を実現する為には、第一の設計条件を満たすとともに、外部条件」に訂正する。」
に補正する。
(2)補正事項2
審判請求書の「6.請求の理由」の「(3)訂正の理由」の「(オ) 訂正事項5」の「a 訂正の目的について」の
「訂正事項5は、発明の詳細な説明の記載を訂正後特許請求の範囲の記載に整合させるために、「請求項2」との記載を、請求項2と同じ構成を備える「請求項3」に訂正するものであり、」
との記載を
「訂正事項5は、発明の詳細な説明の記載を訂正後特許請求の範囲の記載に整合させるために、明細書の段落【0024】及び【0026】の「請求項2」との記載を、請求項2と同じ構成を備える「請求項3」に訂正するとともに、同段落【0024】に「第一の設計条件を満たすとともに、」との文言を追加するものであり、」
に補正する。
2.本件補正についての当審の判断
本件補正前の訂正事項5の明細書の段落【0024】についての訂正は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるために、明細書の段落【0024】の「請求項2」の記載を、「請求項3」とするものであった。
ところで、請求項3は、請求項2と同じ構成を備え、さらに第一の設計条件を満たすものであったので、本来は、訂正後の明細書の段落【0024】に、「第一の設計条件を満たすとともに、」との記載を追加することによって、訂正後の明細書の段落【0024】の「請求項3」が、請求項2と同じ構成を備え、さらに第一の設計条件を満たすものとすべきであった。
しかしながら、本件補正前の訂正事項5では、「第一の設計条件を満たすとともに、」との記載の追加がなされなかったために、本件補正前の訂正事項5による訂正によっても発明の詳細な説明の記載は不明瞭な記載となってしまっていた。
本件補正は、本件補正前の訂正事項5において、本来追加すべきであった「第一の設計条件を満たすとともに、」との記載を追加することによって、補正後の訂正事項5が不明瞭な記載の釈明を目的とするものであることを明らかにするものであり、審判請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第131条の2第1項の規定に適合するから、本件補正を認める。
そして、このことにより当審による上記訂正拒絶理由は解消した。
第4 請求の趣旨及び訂正の内容
上記「第3」のとおり、審判請求書の補正が認められることから、本件訂正審判請求の趣旨は、特許第3975657号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるというものであり、その訂正の内容は、次の訂正事項1~10のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の【請求項2】を削除する。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の【請求項4】の「請求項2~3のうち何れか1項に記載した転がり軸受」との記載を「請求項3に記載した転がり軸受」に訂正する。
3.訂正事項3
特許請求の範囲の【請求項5】の「請求項1~4のうち何れか1項に記載した転がり軸受」との記載を「請求項1、3、及び4のうち何れか1項に記載した転がり軸受」に訂正する。
4.訂正事項4
明細書の段落【0011】の「請求項2に記載した転がり軸受の場合には、上記第一の軌動輪と共に回転する回転軸と、転がり軸受と、この転がり軸受を支持したハウジングとで構成する回転支持部を、インパルス加振する事により発生させた加速度を高速フーリエ変換処理する事で求められる固有振動数の±250Hzの範囲内である、回転系の固有振動数領域で、それぞれ以下の(1)~(6)の関係式を満たす。
mZfi≠nZfc ---(1)
nZfc≠2kfb ---(2)
2kfb≠mZfi ---(3)
mZfi±fr≠nZfc ---(4)
nZfc≠2kfb±fc ---(5)
2kfb±fc≠mZfi±fr ---(6)」との記載を、「請求項3に記載した転がり軸受の場合には、上記(1)~(5)の関係式を満たし、さらに、上記第一の軌動輪と共に回転する回転軸と、転がり軸受と、この転がり軸受を支持したハウジングとで構成する回転支持部を、インパルス加振する事により発生させた加速度を高速フーリエ変換処理する事で求められる固有振動数の±250Hzの範囲内である、回転系の固有振動数領域で、それぞれ以下の(6)~(11)の関係式を満たす。
mZfi≠nZfc ---(6)
nZfc≠2kfb ---(7)
2kfb≠mZfi ---(8)
mZfi±fr≠nZfc ---(9)
nZfc≠2kfb±fc ---(10)
2kfb±fc≠mZfi±fr ---(11)」に訂正する。
5.訂正事項5
明細書の段落【0019】の「請求項2に記載した様に、」との記載を「請求項3に記載した様に、」に訂正し、明細書の段落【0024】及び【0026】の「請求項2に対応するラジアル玉軸受」との記載を「請求項3に対応するラジアル玉軸受」に訂正し、明細書の段落【0024】の「ラジアル玉軸受を実現する為には、外部条件」との記載を「ラジアル玉軸受を実現する為には、第一の設計条件を満たすとともに、外部条件」に訂正する。
6.訂正事項6
明細書の段落【0033】【表2】及び【0034】の「本発明品2」との記載を「参考品2」に訂正し、明細書の段落【0034】及び【0035】の「本発明品1、2」との記載を「本発明品1、参考品2」に訂正する。
7.訂正事項7
明細書の段落【0037】の「請求項1、2の何れの条件も満たす第一実施例」との記載を「請求項3の条件を満たす第一実施例」に訂正する。
8.訂正事項8
明細書の段落【0037】の「本発明に属し、請求項2の条件のみ満たす第二実施例」との記載を「請求項1の条件を満たさない第二参考例」に訂正し、同段落【0038】【表3】、【0039】、【0042】、【0043】及び【0046】【図面の簡単な説明】【図4】の「第二実施例」との記載を「第二参考例」に訂正する。
9.訂正事項9
明細書の段落【0042】から「と言う、請求項2の条件は満たす」との記載を削除する。
10.訂正事項10
明細書の段落【0045】の「請求項1の条件のみ満たし、請求項2の条件を満たさない状態は、」との記載を「請求項1の条件のみ満たし、請求項3の条件を満たさない状態は、」に訂正し、同【0045】の「第一実施例の様に請求項1、2の何れの条件も満たす、請求項3」との記載を「第一実施例の様に、請求項3」に訂正する。
第5 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的
訂正事項1は、特許請求の範囲の【請求項2】を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の【請求項2】を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
(3)独立特許要件
訂正事項1は、特許請求の範囲の【請求項2】を削除するものであるから、独立特許要件は問題とならない。
2.訂正事項2
(1)訂正の目的
訂正事項2は、多数項を引用している訂正前の特許請求の範囲の【請求項4】の引用請求項を削減するものである。また、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、特許請求の範囲の【請求項4】の記載が不明瞭な記載となってしまうのを整合させるためのものでもある。
したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、請求項4が、訂正事項1により削除した請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら新規事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
(3)独立特許要件
本件の請求項4に係る発明の特許について、平成19年6月29日に特許権の設定登録がされた以降、その独立特許要件を否定する新たな事情は認められないから、訂正後の請求項4に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
3.訂正事項3
(1)訂正の目的
訂正事項3は、多数項を引用している訂正前の特許請求の範囲の【請求項5】の引用請求項を削減するものである。また、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、特許請求の範囲の【請求項5】の記載が不明瞭な記載となってしまうのを整合させるためのものでもある。
したがって、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、請求項5が、訂正事項1により削除した請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら新規事項を追加するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
(3)独立特許要件
本件の請求項5に係る発明の特許について、平成19年6月29日に特許権の設定登録がされた以降、その独立特許要件を否定する新たな事情は認められないから、訂正後の請求項5に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。
4.訂正事項4
(1)訂正の目的
訂正事項4は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまう明細書の段落【0011】の記載内容を整合させるために、当該段落【0011】の「請求項2」の記載を「請求項3」とするとともに、当該段落【0011】の記載内容につき、訂正前の請求項2と同じ関係式を満たし、さらに請求項1の関係式を満たす請求項3に関する内容に訂正するものである。そして、特許請求の範囲の【請求項3】の記載内容から、請求項3が請求項1と請求項2に記載の関係式を満たすことは明らかである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
5.訂正事項5
(1)訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまう明細書の段落【0024】及び【0026】の記載内容を整合させるために、当該段落【0024】及び【0026】の「請求項2」の記載を、「請求項3」とするとともに、当該段落【0024】の記載内容につき、請求項3の記載内容と整合させるために、「第一の設計条件を満たすとともに、」との記載を追加するものである。
そして、訂正前の明細書の段落【0026】には、請求項2と請求項3に係る発明の両方に共通する関係式について記載されているから、訂正前の明細書の段落【0026】の「請求項2」を「請求項3」と訂正しても、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において何ら新たな技術的事項を導入するものではないといえる。
また、訂正前の明細書の段落【0024】の「請求項2」を「請求項3」に訂正するとともに、当該段落【0024】に「第一の設計条件を満たすとともに、」との記載を追加する訂正は、このことにより、当該段落【0024】の記載内容を請求項3に関する内容に訂正するものであり、訂正前の特許請求の範囲の【請求項2】、【請求項3】の記載内容及び訂正前の明細書の段落【0045】の「最も好ましいのは、前記第一実施例の様に、請求項1、2の何れの条件も満たす、請求項3に記載した構造である。」との記載内容から、請求項3に係る発明は請求項2に係る発明の構成を備えていることが明らかであること、及び、訂正前の明細書の段落【0024】には、訂正前の請求項2に係る発明で規定されている第二の設計条件が記載されていたことを踏まえれば、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、何ら新たな技術的事項を導入するものではないといえる。
さらに、当該訂正事項5により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
6.訂正事項6
(1)訂正の目的
訂正事項6は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、訂正により特許請求の範囲に含まれなくなる態様を「参考品2」として技術的に含まれないことを明記することによって、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるものにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
7.訂正事項7
(1)訂正の目的
訂正事項7は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の特許請求の範囲の【請求項2】、【請求項3】の記載内容及び訂正前の明細書の段落【0045】の「最も好ましいのは、前記第一実施例の様に、請求項1、2の何れの条件も満たす、請求項3に記載した構造である。」との記載内容から、訂正前の明細書の段落【0037】の「請求項1、2の何れの条件も満たす第一実施例」が、請求項3の条件を満たすことは明らかである。
したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
8.訂正事項8
(1)訂正の目的
訂正事項8は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の明細書の段落【0037】の記載内容から、当該段落【0037】の「第二実施例」は、請求項2の条件のみを満たすものであるとえいる。また、訂正前の明細書の段落【0042】の記載内容からすれば、訂正前の明細書に記載された「第二実施例」は、請求項1の条件を満たさないものであるといえる。そして、訂正事項8により、訂正前の「第二実施例」は「第二参考例」と訂正される。
したがって、訂正後の明細書に記載された「第二参考例」は、請求項1の条件を満たさないものであるといえる。
訂正事項8は、訂正前の明細書に記載された「第二実施例」について、訂正事項1によって請求項2が削除されたことに伴い、特許請求の範囲に含まれなくなる態様を「第二参考例」として技術的に含まれないことを明記する(段落【0037】においては、「第二参考例」が請求項1の条件を満たさないものであることをも明記する)ことによって、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるものにすぎないから、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、何ら新たな技術的事項を導入するものではないといえる。
さらに、当該訂正事項8により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
9.訂正事項9
(1)訂正の目的
訂正事項9は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9は、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるために、訂正前の明細書の段落【0042】から、「と言う、請求項2の条件は満たす」との記載を削除するものであり、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、何ら新たな技術的事項を導入するものではないといえる。
また、当該訂正事項9により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
10.訂正事項10
(1)訂正の目的
訂正事項10は、訂正事項1による請求項2の削除に伴って、発明の詳細な説明の記載が特許請求の範囲の記載との関係で不明瞭な記載となってしまうのを整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の特許請求の範囲の【請求項1】、【請求項2】及び【請求項3】の記載内容から、請求項3は請求項1と請求項2の条件を全て充足する関係にあるといえる。
したがって、請求項2の条件を満たさない場合には、請求項3の条件も満たさず、また、請求項1及び2の条件を満たす場合には、請求項3の条件を満たすこととなる。
よって、訂正事項10による、訂正前の明細書の段落【0045】の「請求項1の条件のみ満たし、請求項2の条件を満たさない場合は、」との記載を「請求項1の条件のみ満たし、請求項3の条件を満たさない状態は、」とする訂正、及び、同じく訂正前の明細書の段落【0045】の「第一実施例の様に、請求項1、2の何れの条件も満たす、請求項3」との記載を「第一実施例の様に、請求項3」とする訂正は、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、何ら新たな技術的事項を導入するものではないといえる。
また、当該訂正事項10により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。
なお、本件訂正審判の請求の趣旨は、上記「第4」のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するといえる。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正請求に係る訂正事項1~10は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号を目的とするものであり、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-390141