特許拒絶査定不服審判
2018-007325
運転情報出力装置及び運転情報作成方法
- 審判番号
- 2018-007325
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-124076外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月29日
- 審決日
- 2019年10月15日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】矢崎エナジーシステム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人栄光特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-124076「運転情報出力装置及び運転情報作成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月12日出願公開、特開2017- 10213〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月19日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
拒絶理由通知 :平成29年 8月24日(起案日)
手続補正 :平成29年10月17日
拒絶査定 :平成30年 3月20日(起案日)
手続補正 :平成30年 5月29日
拒絶査定不服審判請求 :平成30年 5月29日
拒絶理由通知(当審) :令和 元年 6月19日(起案日)
手続補正 :令和 元年 8月 7日
第2 当審における拒絶の理由について
令和元年6月19日付け拒絶理由の内容は以下のとおりである。
『この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1の「複数の機器を用いて、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報を受け付ける受付部と、」
請求項3の「複数の機器を用いて、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報を受け付けるステップと、」
の記載は、係り受けが明確ではなく、どのような構成を特定しているか明らかでない。
具体的には、受付部において「乗務員が行った運行に関する行為の情報を受け付ける」際に、(I)複数の機器を用いて得た情報を(運転情報作成手段が)、それぞれ得ることを特定しているのか(「複数の機器を用いて・・受け付ける」こと)、(II)「乗務員が行った運行に関する行為の情報」が複数の機器それぞれを用いて得られていることを特定しているのか(複数の機器を用いて・・(得られる)運行に関する行為の情報)、(III)上記(I)、(II)の何れの場合も含むことを特定しているのか明らかではない。
請求項1を引用する請求項2についても同じである。
よって、請求項1-3に係る発明は明確でない。
拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。
本願請求項1-3に係る発明は、上記のとおり明確ではないから、進歩性の判断は留保する。』
すなわち、上記拒絶の理由は、平成30年5月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の記載では、その特許請求の範囲に記載された発明を特定することができないから、拒絶の査定の理由である進歩性の判断を行うことができず、まず、特許請求の範囲に記載された発明を明確化することを求める拒絶の理由であるといえる。
上記拒絶の理由に対して、令和元年8月7日付け手続補正にて、特許請求の範囲が以下のとおり補正された。
『 【請求項1】
乗務員の運転記録情報を出力する運転情報出力装置であって、
車載器から運行情報を入力する入力部と、
複数の機器それぞれを用いて得られた、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報、を受け付ける受付部と、
入力した前記運行情報及び受け付けたすべての前記運行に関する行為の情報を含む、前記運転記録情報を作成する記録作成部と、
を備え、
前記入力部は、前記車載器以外の装置から、気象情報を含む運行に関する追加情報を入力し、
前記記録作成部は、前記追加情報をさらに含む前記運転記録情報を作成する、
ことを特徴とする運転情報出力装置。
【請求項2】
前記アルコール検査結果として、前記車載器に接続されたアルコール検査器による検査結果と、前記運転情報出力装置に接続されたアルコール検査器による検査結果と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転情報出力装置。
【請求項3】
運転情報出力装置が乗務員の運転記録情報を作成する運転情報作成方法であって、
車載器から運行情報を入力するステップと、
複数の機器それぞれを用いて得られた、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報、を受け付けるステップと、
前記車載器以外の装置から、気象情報を含む運行に関する追加情報を入力するステップと、
入力した前記運行情報、受け付けたすべての前記運行に関する行為の情報及び前記気象情報を含む、前記運転記録情報を作成するステップと、
を有することを特徴とする運転情報作成方法。』
上記補正により、本願請求項に係る発明は、上記拒絶理由通知書で当審が指摘した(II)の場合であることが明確となり、当審が通知した拒絶の理由は解消したから、本願請求項に記載された発明は、令和元年8月7日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものと認め、以下検討する。
第3 本願発明
本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和元年8月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
((A)ないし(F)は当審において付与した。以下「構成要件(A)」等として引用する。)
【請求項3】
(A)運転情報出力装置が乗務員の運転記録情報を作成する運転情報作成方法であって、
(B)車載器から運行情報を入力するステップと、
(C)複数の機器それぞれを用いて得られた、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報、を受け付けるステップと、
(D)前記車載器以外の装置から、気象情報を含む運行に関する追加情報を入力するステップと、
(E)入力した前記運行情報、受け付けたすべての前記運行に関する行為の情報及び前記気象情報を含む、前記運転記録情報を作成するステップと、
(F)を有することを特徴とする運転情報作成方法。
第4 引用例の記載
(4-1)引用例1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2014-241085号公報(以下、引用例1という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
【0001】
本発明は、労務管理システムに関するものであり、特にバーコードを用いた労務管理に関する。
【0007】
しかし、運送業や宅配業においては、出退勤時刻以外にも、上述したようなトラックの点検事項や健康状態のチェック事項、休憩時間、トラックの出庫時間や帰庫時間、走行距離などを労務情報として一元管理し、従業員の一日の行動を把握して勤務時間の短縮や作業の効率化につなげたいという要望があるが、特許文献1では出退勤時間以外の労務情報に対応できない。また、宅配業においては、従業員はトラックで配達に出かけるため、営業所から離れた場所でも労務情報が入力できることが望ましいが、特許文献1のように各店舗に設けられた端末機に情報を入力させる場合には、従業員は営業所以外では労務情報を入力することができない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、宅配業において、各従業員に対する多様な労務情報を簡単に一元管理する労務管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る労務管理システムは、従業員の労務に関する情報が付され、従業員が携帯するバーコード表と、
従業員が携帯し、前記バーコード表から前記労務に関する情報を読み取るバーコード読取端末と、
従業員に携帯された前記バーコード読取端末と通信し、前記バーコード読取端末から読み取った前記労務に関する情報を取得するサーバを備え、
前記サーバは前記労務に関する情報を集計し、一元管理する。
【0010】
本発明の労務管理システムによれば、バーコード表には労務に関する情報が付されており、従業員がバーコード読取端末を用いてバーコードを読み取ることで、複数の従業員からの多様な労務に関する情報をサーバにおいて簡単に一元管理できる。
【0027】
本発明の労務管理システム10は、例えば、運送業務や宅配業務に適用される。図1は、第1実施形態における本発明の労務管理システム10の全体構成を示す図である。労務管理システム10は、バーコード読取端末11と、サーバ12と、従業員の労務に関する情報(労務情報)が付されたバーコード表13から構成されている。バーコード読取端末11とバーコード表13は複数の従業員よって携帯され、サーバ12は事務所に配置されている。バーコード読取端末11とサーバ12は通信ネットワーク14を介して接続されている。通信ネットワーク14として、例えば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)、電力線通信(PLC:Power Line Communications)、無線通信、光通信等を適用してもよい。
【0028】
従業員はバーコード表13の労務情報をバーコード読取端末11に読み取らせる。読み取られた労務情報はバーコード読取端末11に蓄積され、通信ネットワーク14を介してサーバ12に送られる。サーバ12では、複数のバーコード読取端末11から送られてきた労務情報を取得し集計して一元管理している。
【0035】
図4に「労務情報テーブル」T1の例を示す。テーブルT1には、従業員の出退勤情報、トラックの出帰庫情報を記録している。従業員の出退勤情報として、従業員の出勤時刻と、従業員の退勤時刻と、休憩時間とをテーブルT1に記録し、トラックの出帰庫情報として、配達物のトラックへの積込開始時刻、トラックの車庫からの出庫時刻、トラックの車庫への帰庫時刻をテーブルT1に記録している。図4のこれらの情報は、従業員がバーコード読取端末11を用いてバーコード表13より読み込むものである。
【0036】
図4の例以外にも、労務情報として、トラックの始業点検情報、出発点呼情報などを含んでもよく、トラックの始業点検情報とは、トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含み、出発点呼情報とは、免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否か、の情報を含んでもよい。さらに、労務情報として、完了情報、集荷情報、集荷下ろし情報、トラックの運転休止時間、車両番号、同乗者の有無、同乗者がある場合の同乗者のID,集配区域、天候、出庫地、出庫時のメータ、帰庫時のメータ、道路の運行状況、高速道路の使用の有無、フォークリフト使用の有無、給油時メータ、冷蔵室、冷凍室それぞれについて配達物の保冷状態の良否、積載状況の良否、室温状態の良否、湿度状態の良否、を含んでいてもよい。
【0112】
なお、本実施形態では、図11のようにバーコード読取端末11はバーコードを読み取るたびに労務情報をサーバ12に送信しているが、読み取った労務情報をバーコード読取端末11の記憶部114に保存しておき、一日の作業の終了時にサーバ12に送信してもよい。また、1週間、1ヶ月など所定の時間単位毎にバーコード読取端末11からサーバ12に情報を送信してもよい。この場合、サーバ12の記憶部には図18に示すような日付のデータが入った労務情報テーブルT3が作成される。サーバ12の制御部123の演算手段1233、判定手段1234は、この労務情報テーブルから情報を読み出し、各従業員の労務情報に対して、一週間単位や一ヶ月単位で上述した演算および判定を行ってもよい。
【0113】
また、本実施形態では通信ネットワーク14を介してバーコード読取端末11からサーバ12に労務情報を送信しているが、バーコード読取端末11とサーバ12をUSBなどで直接接続して労務情報をサーバ12に蓄積させてもよい。また、バーコード読取端末11はメモリカード等の記憶媒体を備え、バーコード読取端末11が読み取った労務情報が記憶されたメモリカードをバーコード読取端末11から取り出し、サーバ12に接続することで、労務情報をサーバ12に蓄積させてもよい。
【0114】
トラックの始業点検情報や出発点呼情報について労務管理を行う場合、従業員が携帯するバーコード表13には、トラックの始業点検情報としてトラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などや、出発点呼情報として免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否かなど、のそれぞれの情報についてのバーコードが付されている。
【0115】
従業員は、出勤後に始業点検としてトラックのブレーキ状態、タイヤ状態、灯火装置の動作等を点検し、これらの項目の良否についてバーコード読取端末11でバーコードを読み込む。さらに、配達物を積み込んだ後の出発点呼時に、免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否か等について確認し、これらの項目についてバーコード読取端末11でバーコードを読み込む。
【0116】
これらの始業点検情報や出発点呼情報はバーコード読取端末11からサーバ12に送信され、サーバ12の記憶部124に記憶されて一元管理される。サーバ12の制御部123は、トラックのブレーキ状態判定手段、タイヤ状態判定手段、灯火装置の動作判定手段、免許証の携帯の有無の判定手段、健康状態判定手段、飲酒判定手段等として機能し、これらの項目の判定を行う。サーバ12の制御部123の表示指示手段1235は、入力部122から判定結果の表示指令を受けると、各従業員のIDと判定結果を表示部125に表示させる。
【0118】
また、バーコード読取端末11の制御部113に、トラックのブレーキ状態判定手段、タイヤ状態判定手段、灯火装置の動作判定手段、免許証の携帯の有無の判定手段、健康状態判定手段、飲酒判定手段等を備え、バーコード読取端末11でこれらの項目の判定を行い、判定結果をバーコード読取端末11の表示部116に表示させてもよい。
【0121】
また、運送業や宅配業においては、運転日報を作成することが法令で義務付けられている。このため、サーバ12は始業点検情報や出発点呼情報を含む労務情報から、運転日報の作成に必要な情報を選択し、運転日報として表示部125に表示させてもよい。また、サーバ12にプリンタを接続して運転日報を紙にプリントアウトしてもよい。
【0122】
この運転日報は、トラックが出庫するまでに作成され、始業点検情報や出発点呼情報を判定するために用いられてもよく、また、従業員の退勤後に作成され、様々な労務情報を管理するため用いられてもよい。さらに、運転週報として一週間単位で作成されてもよい。
【0123】
また、トラックにデジタルタコグラフを設け、サーバ12の通信インターフェース部121をデジタルタコグラフと通信可能とし、サーバ12は、バーコード読取端末11からの送信される労務情報と、デジタルタコグラフから送信される労務情報を組み合わせて、労務情報の管理を行ってもよい。
【0124】
詳細には、サーバ12は、デジタルタコグラフから、トラックが出庫してから帰庫するまでの間に記録される労務情報、すなわち、トラックの走行データ、トラックの位置データ、出庫時刻、帰庫時刻、休憩時間、各作業場情報などの運行情報を受信し、記憶部124に記憶する。また、サーバ12は、バーコード読取端末11から、従業員が出勤してからトラックが出庫するまでに記録される情報、すなわち、出勤時刻や始業点検情報や出発点呼情報を受信するとともに、トラックが帰庫してから従業員が退勤するまでに記録される情報、すなわち、退勤時刻などを受信して、記憶部124に記憶する。サーバ12はデジタルタコグラフから送信される労務情報と、バーコード読取端末11から送信される労務情報とを用いて、労務情報の管理を行う。
以上の記載によれば、引用例1には以下の発明(以下、引用発明という。)が記載されている。((a)ないし(k)は当審において付与した。以下「構成(a)」等として引用する。)
(a)宅配業において、各従業員に対する多様な労務情報を簡単に一元管理する労務管理システムに関する発明であり、(【0008】)
(b)従業員はバーコード表13の労務情報をバーコード読取端末11に読み取らせ、読み取られた労務情報はバーコード読取端末11に蓄積され、通信ネットワーク14を介してサーバ12に送られ、サーバ12では、複数のバーコード読取端末11から送られてきた労務情報を取得し集計して一元管理するものであり、(【0028】)
(c)労務情報として、トラックの始業点検情報、出発点呼情報などを含んでもよく、トラックの始業点検情報とは、トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含み、出発点呼情報とは、免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否か、の情報を含んでもよく、さらに、労務情報として、完了情報、集荷情報、集荷下ろし情報、トラックの運転休止時間、車両番号、同乗者の有無、同乗者がある場合の同乗者のID,集配区域、天候、出庫地、出庫時のメータ、帰庫時のメータ、道路の運行状況、高速道路の使用の有無、フォークリフト使用の有無、給油時メータ、冷蔵室、冷凍室それぞれについて配達物の保冷状態の良否、積載状況の良否、室温状態の良否、湿度状態の良否、を含んでいてもよいものであり、(【0036】)
(d)トラックの始業点検情報や出発点呼情報について労務管理を行う場合、従業員が携帯するバーコード表13には、トラックの始業点検情報としてトラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などや、出発点呼情報として免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否かなど、のそれぞれの情報についてのバーコードが付され、(【0114】)
(e)従業員は、出勤後に始業点検としてトラックのブレーキ状態、タイヤ状態、灯火装置の動作等を点検し、これらの項目の良否についてバーコード読取端末11でバーコードを読み込み、さらに、配達物を積み込んだ後の出発点呼時に、免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否か等について確認し、これらの項目についてバーコード読取端末11でバーコードを読み込み、(【0115】)
(f)これらの始業点検情報や出発点呼情報はバーコード読取端末11からサーバ12に送信され、サーバ12の記憶部124に記憶されて一元管理され、サーバ12の制御部123は、トラックのブレーキ状態判定手段、タイヤ状態判定手段、灯火装置の動作判定手段、免許証の携帯の有無の判定手段、健康状態判定手段、飲酒判定手段等として機能し、これらの項目の判定を行う態様であるが、(【0116】)
(g)バーコード読取端末11の制御部113に、トラックのブレーキ状態判定手段、タイヤ状態判定手段、灯火装置の動作判定手段、免許証の携帯の有無の判定手段、健康状態判定手段、飲酒判定手段等を備え、バーコード読取端末11でこれらの項目の判定を行う構成としてもよく、(【0118】)
(h)サーバ12は始業点検情報や出発点呼情報を含む労務情報から、運転日報の作成に必要な情報を選択し、運転日報として表示部125に表示させてもよく、また、サーバ12にプリンタを接続して運転日報を紙にプリントアウトしてもよく、(【0121】)
(i)トラックにデジタルタコグラフを設け、サーバ12の通信インターフェース部121をデジタルタコグラフと通信可能とし、サーバ12は、バーコード読取端末11からの送信される労務情報と、デジタルタコグラフから送信される労務情報を組み合わせて、労務情報の管理を行ってもよく、(【0123】)
(j)詳細には、サーバ12は、デジタルタコグラフから、トラックが出庫してから帰庫するまでの間に記録される労務情報、すなわち、トラックの走行データ、トラックの位置データ、出庫時刻、帰庫時刻、休憩時間、各作業場情報などの運行情報を受信し、記憶部124に記憶し、また、サーバ12は、バーコード読取端末11から、従業員が出勤してからトラックが出庫するまでに記録される情報、すなわち、出勤時刻や始業点検情報や出発点呼情報を受信するとともに、トラックが帰庫してから従業員が退勤するまでに記録される情報、すなわち、退勤時刻などを受信して、記憶部124に記憶し、サーバ12はデジタルタコグラフから送信される労務情報と、バーコード読取端末11から送信される労務情報とを用いて、労務情報の管理を行う(【0124】)
(k)労務管理システム。
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(5-1)引用発明の「従業員」は宅配業などのトラックを運転する従業員であるから、本願発明の乗務員に相当する。
(5-2)引用発明の「サーバ」は、引用発明の構成(j)によれば、バーコード読取端末やデジタルタコグラフから送信される情報を受信、記録するものであり、同構成(i)によれば、労務情報を用いて運転日報として表示部125に表示させたり、紙にプリントアウトするものであるから、本願発明の「運転情報出力装置」に相当する。
(5-3)引用発明の「デジタルタコグラフ」は、引用発明の構成(i)、(j)によれば、トラックに設けられているから車載器ということができ、トラックの走行データ(運行情報)などをサーバに送信するものであり、サーバは上記車載器から運行情報を入力するステップを有しているということができるから、引用発明は本願発明の構成要件(B)を備えている。
(5-4)引用発明のサーバは、引用発明の構成(b)によれば、バーコード読取端末から送られてきた労務情報を取得し集計して一元管理するものであり、同構成(c)によれば、労務情報として、飲酒をしているか否か、トラックの始業点検情報(トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含む)、給油時メータを含むものである。上記引用発明の構成と本願発明の構成要件(C)とを対比すれば、引用発明の「バーコード読取端末」、「飲酒をしているか否か」、「トラックの始業点検情報(トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含む)」、「給油時メータ」は、それぞれ、本願発明の「機器」、「アルコール検査に関する情報」、「日常点検内容及び給油に関する前記乗務員が行った運行に関する行為の情報」ということができ、引用発明のサーバは、これらの情報を受け付けるステップを有しているという点で、本願発明の構成要件(C)に対応する構成を有しているといえる。
もっとも、本願発明では「機器」が「複数の機器」であり、受け付ける情報が「複数の機器それぞれを用いて得られた情報」であるのに対し、引用発明では、機器が「バーコード読取端末」のみであり、受け付ける情報が、上記「バーコード読取端末」のみから受け付けたものである点、「アルコール検査に関する情報」が、本願発明では「アルコール検査結果を表すアルコール濃度」であるのに対し、引用発明では(バーコード読取端末から得られる)飲酒をしているか否かの情報である点、「給油に関する」情報が、本願発明では「運行中の給油」に関するものであるのに対し、引用発明では「(バーコード読取端末から得られる)給油時メータ」である点で相違する。
(5-5)引用発明のサーバは、引用発明の構成(b)によれば、バーコード読取端末から送られてきた労務情報を取得し集計して一元管理するものであり、同構成(c)によれば、労務情報として、「天候」も含むものである。そして、引用発明のバーコード読取端末はタコメータとは異なるから、引用発明のサーバは「前記車載器以外の装置から、気象情報を含む運行に関する追加情報を入力するステップ」を有している。
(5-6)引用発明は、「送られてきた労務情報を取得し集計して一元管理する」ことを前提としているから、サーバが「入力した運行情報」、「受け付けたすべての前記運行に関する行為の情報」、「気象情報」を含む、運転に関する記録情報を作成していることは明らかであるから、本願発明の構成要件(E)を有している。
(5-7)そして、引用発明の「労務管理システム」は、サーバを主体としてみれば、(5-3)ないし(5-6)で認定したステップを備えるサーバにおける、運転情報を作成する方法であるということができる。
(5-8)まとめ(一致点・相違点)
以上を総合すると、本願発明と引用発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。
(一致点)
運転情報出力装置が乗務員の運転記録情報を作成する運転情報作成方法であって、
車載器から運行情報を入力するステップと、
機器を用いて得られた、アルコール検査結果、日常点検内容及び給油を含む前記乗務員が行った運行に関する行為の情報、を受け付けるステップと、
前記車載器以外の装置から、気象情報を含む運行に関する追加情報を入力するステップと、
入力した前記運行情報、受け付けたすべての前記運行に関する行為の情報及び前記気象情報を含む、前記運転記録情報を作成するステップと、
を有することを特徴とする運転情報作成方法。
(相違点)
相違点1
「機器」が、本願発明では「複数の機器」であって、受け付ける情報が「複数の機器それぞれを用いて得られた情報」であるのに対し、引用発明では、機器が「バーコード読取端末」のみであり、受け付ける情報が、上記「バーコード読取端末」のみから受け付けたものである点
相違点2
「アルコール検査に関する情報」が、本願発明では「アルコール検査結果を表すアルコール濃度」であるのに対し、引用発明では(バーコード読取端末から得られる)飲酒をしているか否かの情報である点
相違点3
「給油に関する」情報が、本願発明では「運行中の給油」に関するものであるのに対し、引用発明では「(バーコード読取端末から得られる)給油時メータ」である点
第6 判断
(6-1)相違点1、相違点2について
引用例1の記載では、バーコード読取端末を介して運転に関する各種情報を入力することを前提として、上記各種情報の例として「トラックの始業点検情報(トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含む)」、「飲酒をしているか否か」が列記されていることからみて、各種項目(トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否、飲酒をしているか否か)について、「良」あるいは「否」、(飲酒については「している」あるいは「していない」)のような選択が可能なバーコードが用意されているものと考えるのが普通である。
上記各項目のなかで、「トラックの始業点検情報」については、乗務員が行って「良」あるいは「否」の申告を行えば良いが、飲酒についてバーコードを用いて「している」あるいは「していない」の選択を乗務員にさせるということは、自己申告であり、信頼性に欠けることは明白である。
そして、乗務員が運転業務を行う際に、アルコール濃度測定装置を利用して、乗務員の呼気などからアルコール濃度の値を得、飲酒運転を防止することは、拒絶査定時に審査官が周知例として提示した引用例2(特開2008-186430号公報)、引用例3(特開2013-54696号公報)にあるとおり周知の技術である。
してみると、引用発明において、「飲酒をしているか否か」の情報を得る手段として、引用発明のバーコードによる自己申告を、上記周知例にあるようなアルコール濃度測定装置に換えることは当業者が容易に為し得たことである。
そして、上記「飲酒をしているか否か」の情報を得る手段として、引用発明のバーコードによる自己申告を、上記周知例にあるようなアルコール濃度測定装置に換えれば、バーコード読取端末とアルコール濃度測定装置は異なる装置であるから、複数の機器それぞれを用いて各情報を得る構成となることは自然のことである。
してみると、相違点1、相違点2は、引用発明に上記周知の技術を転用することにより当業者が容易に為し得たことであるといえる。
(6-2)相違点3について
引用発明において「給油時メータ」とは、どのような状況での「給油時メータ」であるか、引用例の記載をみても明らかではない。しかし、運転業務を行っていれば、その途中で燃料が不足し、乗務員が給油を行う必要が生じることは普通に想定できることである。してみると、引用発明の「給油時メータ」は、当然「運行中の給油を含む(給油時のメータ)」ことは明白であり、上記相違点3の構成は、引用発明及び技術常識からみて当業者が容易に想到し得たことである。
(6-3)予備的検討
当審では、本願発明の構成要件(D)の「前記車載器以外の装置」について、引用発明の「タコメータ」を本願発明の「車載器」に相当するものとし、引用発明の「バーコード読取端末」は「タコメータ(車載器)」とは異なるから、バーコード読取端末は「前記車載器以外の装置」に相当し、バーコード読取端末から入力される「天候」の情報を、(前記車載器以外の装置から得る)気象情報に相当すると認定した。
この点、引用発明の「バーコード読取端末」も、乗務員が携行し運転業務中もバーコード入力を行うことから「車載器」ということもできるから、本願発明の「前記車載器以外の装置」が「バーコード読取端末以外の装置」であることも含む場合についても検討する。
拒絶の査定で引用した引用例4(特開2015-102883号公報)には「車両の車種や走行条件に対する故障情報を提供することができる車両故障情報提供システム、車両故障情報提供方法及び故障情報提供プログラムを提供する(【0008】)ことを目的として、車両に搭載された複数の計測機器を含み、一意の車載端末IDが付与された車載機器からの各種車両情報をインターネットを介して受信し、該受信した各種車両情報に基づいて車両の故障情報を分析すると共にインターネットを介して地図情報を提供する地図情報提供サイトとインターネットを介して自然環境の天候情報を提供する気温天候情報提供サイトと車両のメンテナンス情報及び修理情報を提供する整備工場のメンテナンス情報登録端末とに接続され、記憶装置を含むコンピュータである故障情報分析提供サーバとを備え、・・・走行情報に含まれるタイムスタンプ及び車両位置情報をキーとして地図情報提供サイト及び気温天候情報提供サイトにアクセスし、該車両が走行した地域並びに故障が発生した地域の地形情報及び天候情報を収集し、車両基本情報と走行情報と修理情報と故障情報とをリンクさせ、車種毎の地形情報及び天候情報を含む走行条件に合致した故障の発生確率を分析した分析情報を記憶装置に登録させ(【0011】)、故障情報分析提供サーバに、メンテナンス情報に含まれるメンテナンス箇所及びメンテナンス内容並びに修理情報に含まれる故障箇所及び故障内容を、メンテナンス及び修理日時のタイムスタンプに基づいて車両の走行情報及び天候情報と結びつけることによって、特定の車種の走行情報及び天候情報に応じた故障が発生する可能性が大きい部位を故障発生確率として分析させる(【0012】)」ことが記載されている。
また、同引用例5(特開2014-92998号公報)には「バスや鉄道車両などの乗客輸送車両の乗降客数をカウントする乗降客数カウントシステム(【0001】)において、管理サーバ本体52が、例えばインターネットを介して天気情報提供サーバに定期的にアクセスして当該天気情報提供サーバから各乗客輸送車両1の運行経路を含む地域の天気情報を入手する機能を備えてもよく、この場合、管理サーバ本体52は、各乗客輸送車両1の乗降所ごとの乗降客数を、前記日時情報や前記運行経路情報に加えて又は代えて、天気情報と関連付けてデータベース53に格納することができ、前記端末などが管理サーバ本体52に対して乗降客数の集計データを要求すると、管理サーバ本体52は、各乗降所又は各運行経路の日別・時間別・天候別の利用者数の集計データを生成して前記端末などに出力することで、天候に応じて、その日の乗客輸送車両1の運行本数を変更するなど、乗客輸送車両1のさらに効率的な運行に活用することができる(【0047】)」ことが記載されている。
すなわち、運行情報と気候情報とを結びつけて記憶するに際して、上記天候情報を、インターネットなどを介して外部から得ることは当該技術分野において周知であったということができ、引用発明において天候情報を得る手段として、バーコード読取端末からの入力に換えて、外部装置から得るようにすることは当業者が容易に為し得たことである。
(6-4)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、以下のとおり主張している。
『今回の特許請求の範囲の補正では、独立請求項1,3それぞれにおいて、以下の(特徴1)が限定されました。
(特徴1):「運転日報100には、運行情報とともに、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油、気象情報のすべてが含まれる」
・・・・・中略・・・・・
審査官殿は、引用文献1-5のご指摘箇所に基づいて補正前の請求項1,3に係る発明を想到することは当業者にとって容易であると認定されています。
しかしながら、引用文献1-5には、上記(特徴1)について開示も示唆も何らありません。具体的には、引用文献1-2,4-5には、そもそも、本願発明の「運転日報」に相当する内容について何らの記載も示唆もありません。特に、引用文献1には、労務情報や始業点検情報から日報を作成する点が記載されておりますが、当該日報は運行データも掲載される本願の「運転日報」とは異なるものです。
また、引用文献3には、運転日報にアルコール検査の合否結果が表示されるようになっておりますが、運行データに何らかの問題が表れている場合に、仮にアルコール検査をクリアしているならば、その問題が何に起因して生じているのかを判断できません。これに対し、本願の運転日報では、運行データに表れている問題が、アルコールに起因するものなのか、アルコールに起因していない場合何が要因となっているのか、更には複合要因によるものなのか、など精度高い分析をすることが可能となります。
このように、引用文献1-5には、上記(特徴1)について開示も示唆も何らありません。更には、引用文献1-5には、上記(特徴1)を想到させる動機付けとなり得る記載も示唆も何ら見当たりません。』
しかし、引用例1の労務管理システムでは、労務管理システムにおいて、運転日報の作成に必要な情報を選択し、運転日報として表示部125に表示あるいはプリントアウトすることを前提に、「労務情報として、トラックの始業点検情報、出発点呼情報などを含んでもよく、トラックの始業点検情報とは、トラックのブレーキ状態の良否、タイヤ状態の良否、灯火装置の動作の良否などを含み、出発点呼情報とは、免許証の携帯の有無、健康状態の良否、飲酒をしているか否か、の情報を含んでもよく、さらに、労務情報として、完了情報、集荷情報、集荷下ろし情報、トラックの運転休止時間、車両番号、同乗者の有無、同乗者がある場合の同乗者のID,集配区域、天候、出庫地、出庫時のメータ、帰庫時のメータ、道路の運行状況、高速道路の使用の有無、フォークリフト使用の有無、給油時メータ、冷蔵室、冷凍室それぞれについて配達物の保冷状態の良否、積載状況の良否、室温状態の良否、湿度状態の良否、を含んでいてもよい」としているのであるから、収集した労務管理情報を必要に応じて運転日報として出力することは当然想定されることであり、労務管理情報として「飲酒をしているか否か」、「トラックの始業点検情報」、「天候」、「給油時メータ」、を含むことが記載されているのであるから、請求人が主張する「運行情報とともに、アルコール検査結果を表すアルコール濃度、日常点検内容及び運行中の給油、気象情報のすべてが含まれる」ことは、引用例1に示唆されているといえる。
したがって、上記請求人の主張は採用することができない。
(6-5)まとめ(判断)
したがって、上記各相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記各相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2ないし5に記載される本願出願前周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1、2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-007325