特許拒絶査定不服審判
2024-014204
ガスメータ、及び、ガスメータの製造方法
- 審判番号
- 2024-014204
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-090638
- 請求日
- 2024年09月04日
- 審決日
- 2026年05月13日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】矢崎エナジーシステム株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人栄光事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小島 寛史
- 審判官 道祖土 新吾
- 審判官 関口 英樹
- 分類
- P18 .121-Z (G01F) / P18 .575-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 90638「ガスメータ、及び、ガスメータの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月13日出願公開、特開2021-188900〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月25日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 2月13日付け:拒絶理由通知書
同年 4月19日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
( 同年 6月 4日 :原査定の謄本の送達 )
同年 9月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 9月30日付け:前置報告書
同年11月13日 :上申書の提出
第2 令和6年9月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月4日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年9月4日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年4月19日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
ガスが通流可能な流路体と、前記流路体に取り付けられる一対の筒部材と、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備えるガスメータであって、
前記一対の前記筒部材の各々は、
前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置された湾曲形状を有し、
前記筐体部は、
前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能な状態にて、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容し、
前記筐体部は、一対の開口部を有し、
前記第2筒部の先端側部分には、前記相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられており、
前記一対の前記筒部材の前記第2筒部の各々が、前記筐体部の対応する前記開口部に、前記第2筒部の前記先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入され固定されることで、前記流路体及び前記一対の前記筒部材が前記筐体部に対して固定されている、
ガスメータ。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
ガスが通流可能な流路体と、前記流路体に取り付けられる一対の筒部材と、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備えるガスメータであって、
前記一対の前記筒部材の各々は、
前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置された湾曲形状を有し、
前記筐体部は、
前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能な状態にて、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容し、
前記筐体部は、一対の開口部を有し、
前記第2筒部の先端側部分には、前記相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられており、
前記一対の前記筒部材の前記第2筒部の各々が、前記筐体部の対応する前記開口部に、前記第2筒部の前記先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入され固定されることで、前記流路体及び前記一対の前記筒部材が前記筐体部に対して固定され、
前記一対の前記筒部材の各々を前期第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される、
ガスメータ。」
なお、本件補正後の請求項1の下線部における「前期第一筒部の中心軸」は「前記第一筒部の中心軸」の誤記であると認められるので、以下「前記第一筒部の中心部」と表記する。
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「一対の筒部材」について、「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」ことを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Cまでに分説する。また、参考図として、本願の【図1】及び【図2】に部材名を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
A ガスが通流可能な流路体と、
B1 前記流路体に取り付けられる一対の筒部材と、
C1 前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備える
X ガスメータであって、
B2 前記一対の前記筒部材の各々は、
前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置された湾曲形状を有し、
C2 前記筐体部は、
前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能な状態にて、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容し、
C3 前記筐体部は、一対の開口部を有し、
B3 前記第2筒部の先端側部分には、前記相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられており、
C4 前記一対の前記筒部材の前記第2筒部の各々が、前記筐体部の対応する前記開口部に、前記第2筒部の前記先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入され固定されることで、前記流路体及び前記一対の前記筒部材が前記筐体部に対して固定され、
B4 前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される、
X ガスメータ。
<参考図>
[図:0001436702000001.jpg]
[図:0001436702000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ、及び、ガスメータの製造方法に関する。」
「【背景技術】
【0002】
従来から、筐体と、筒状のガスの流入部及びガス流出部と、を備えたガスメータが提案されている。例えば、従来のガスメータの一つは、同一方向に延びるように設けられたガス流入部とガス流出部とを有する。このガスメータは、ガス流入部およびガス流出部と相手側ガス管とを接続するための接続用ユニットを介して、相手側ガス管に接続されている(例えば、特許文献1を参照。)。
…(中略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスメータのガス流入管とガス流出管との間の間隔(いわゆる、口金中心間距離。口金ピッチ)は、一般に、ガスメータの仕様ごとに異なる。例えば、家庭用LPガス機器に用いられるガスメータには、通常、口金ピッチが130mmであるガスメータと、口金ピッチが90mmであるガスメータと、の2種類が存在する。口金ピッチが異なる複数種類のガスメータを実際に製造するには、口金ピッチ毎にガスメータの構成部品(例えば、筐体や、流量測定用の内部機器など)を準備し、更にそれら複数種類の構成部品を適正に管理しながら誤り無く組み付ける必要がある。このような製造の複雑さは、ガスメータの製造コストを高める原因となり得る。
【0005】
本発明の目的の一つは、製造コストを抑えながら複数種類の口金ピッチに対応可能なガスメータ、及び、そのようなガスメータの製造方法の提供である。」
「【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、製造コストを抑えながら複数種類の口金ピッチに対応可能なガスメータ、及び、そのようなガスメータの製造方法を提供できる。」
「【0036】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るガスメータ1及びガスメータ1の製造方法によれば、一対の筒部材20の各々は、流路体30に連結される第1筒部21と、相手側ガス管に取り付けられることになる第2筒部22とを有する。更に、一対の筒部材20の各々は、第1筒部21の中心軸と第2筒部22の中心軸とがオフセットするように湾曲した形状を有している。これにより、例えば、接続先の相手側ガス管の間隔と、第2筒部22同士の間の間隔とが対応するように、一対の筒部材20の各々を、第1筒部21の中心軸を中心として回転させるように位置決めを行った上で、第1筒部21を流路体30に連結すれば、筒部材20そのものの形状を異ならせること無く(即ち、1種類の筒部材20を用いて)、ガスメータ1の口金ピッチを複数種類に異ならせることができる。よって、筒部材をガスメータの仕様ごとに異ならせる場合に比べ、ガスメータ1の製造コストを低減できる。したがって、本実施形態に係るガスメータ1は、ガスメータ1の製造コストを抑えながら複数種類の口金ピッチに対応可能である。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2008-122346号公報には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(ウ)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 段落【0001】~【0018】、図12~14
「【技術分野】
【0001】
本発明は、LPガス、都市ガスなどの流体の流量を計測する流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LPガス、都市ガスなどの流体の流量を計測する流量計測装置として、超音波を利用して流速を測定する超音波流量計が知られている。このような超音波流量計では、例えば、流体を通過させるための計測流路の壁部(取付壁面)に、流体の流れ方向上手側若しくは下手側に向けて超音波を発振し、又は流れ方向上手側若しくは下手側から到来する超音波を受信する送受信振動子(超音波センサ)が取り付けられている(特許文献1、2参照)。
…(中略)…
【0004】
具体的には、図12~図14に示すように、超音波流量計500は本体ユニット510と中間流路形成ユニット520と遮断弁530とから構成され、本体ユニット510は本体部511と蓋部517とからなる。」
「【図12】
[図:0001436702000003.jpg]
」
「【図13】
[図:0001436702000004.jpg]
」
「【図14】
[図:0001436702000005.jpg]
」
「【0005】
図13に示すように、本体部511は全体として直方体形状を有し、その上面には、上流側のガス配管P1に接続される円筒状の流入側口金512a(口金)を有する流入口512(入口側流路)、及び下流側のガス配管P2に接続される円筒状の流出側口金513a(口金)を有する流出口513(出口側流路)がそれぞれ開口している。また、その内部には、流入口512と流出口513との間にガス(流体)を通過させるための本体流路514が形成されている。本体部511の下部には、図13の背面側から手前側(嵌合方向)に向けて本体流路切除部515が形成され、この本体流路切除部515は蓋部517によって外部から覆われている(図14参照)。本体部511の嵌合方向前方側(図13の手前側)の外面には、本体流路切除部515と連通する一対の窓孔516a、516b(図12参照)が開口している。
【0006】
図14に示すように、中間流路形成ユニット520の内部には、本体部511の本体流路切除部515にガスの流れ方向と直交する方向(嵌合方向)から嵌合したときに本体流路514と接続される中間流路521が貫通形成されている。この中間流路521は、本体流路514と滑らかに連続する上下方向の入口側連結流路521b(導入側流路)、出口側連結流路521c(導出側流路)と、両端で両連結流路521b、521cと連なるとともに、本体流路514とほぼ直交する形態で本体部511の下面に沿って配設される水平方向の直線状中間流路521a(計測用直線流路)とから構成されている(図13参照)。また、中間流路形成ユニット520には、本体部511に開口する一対の窓孔516a、516bに対応して嵌合方向の前方側に一対の突出部522a、522bがそれぞれ一体形成されている。
【0007】
さらに、中間流路形成ユニット520の一対の突出部522a、522bには、直線状中間流路521aを通過するガスの流量を測定するために、超音波センサ523の一対の送受信振動子523a、523bがそれぞれ着脱可能に取り付けられている。直線状中間流路521aの軸直交断面積(流路断面積)を本体流路514や入口側連結流路521bの軸直交断面積(流路断面積)よりも小とし(絞り)、流れ方向に対して一定の大きさに形成する。なお、流入口512と中間流路521との間の本体流路514には、本体流路514のガスの流れを遮断する遮断弁530が設けられている(図13参照)。
【0008】
図14に示すように、直線状中間流路521a(中間流路521)は、本体流路切除部515への嵌合方向を長辺S1、上下方向を短辺S2(図13参照)とする矩形状に形成されている。したがって、本体流路514は、流入口512及び流出口513側では円形状断面、入口側連結流路521b及び出口側連結流路521c側では矩形状断面を有する形状変更部に形成されている(図13参照)。そして、超音波センサ523は次のような反射型V字配列に構成されている。すなわち、直線状中間流路521aの流れ方向直交断面のうち嵌合方向前方側の短辺を形成する壁部521d(取付壁面)の送受信振動子523a、523bが流れ方向に所定距離Wを隔てて取り付けられ、嵌合方向後方側の短辺を形成する壁部(壁面)を反射面521eとする。
【0009】
図12に戻り、超音波センサ523の送受信振動子523a、523b(センサ素子)で得られた出力信号は、リード線525a、525bを介して流量演算処理回路524に送信されてガス流量が算出され、流量表示部(図示せず)等を用いて報知される。これらの送受信振動子523a、523b、流量演算処理回路524、リード線525a、525b、流量表示部等は流量測定部Mを構成している。
【0010】
このような超音波流量計500では、直線状中間流路521aでの圧力損失が抑制され、直線状中間流路521aを流れる流体の流量を増大させることができるので、流量測定部Mでの測定範囲の拡大を図ることができる。また小型コンパクトな箱型形状を実現し、コスト低減を図ることもできる。しかし、超音波流量計500を用いてガス配管P1、P2間を流れるガスの流量を測定するとき、超音波流量計500自身の口金間隔Lは一定であるため(図13参照)、口金間隔Lが配管間隔と異なる場合には、配管間隔に一致する口金間隔Lを有する超音波流量計500を改めて製作する必要がある。このように、配管間隔が変わるたびに計測部(超音波流量計500)全体の設計・製造・組立てを行わなければならず、超音波流量計500の製造コストが嵩む要因ともなりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、入口側流路と出口側流路との口金の相互離間間隔を変更できるようにして、配管間隔の異なる配管に対しても接続を可能とすることにより設計・製造・組立て等のコストを削減するとともに、計測部の共用化を図ることにより製造コストを低減することもできる流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る流量計は、
外部の配管管路に接続するために並列状に配置された入口側流路と出口側流路とを備えるとともに、流体を通過させるために前記入口側流路に連通される導入側流路と、その導入側流路に交差して連通形成される計測用直線流路と、その計測用直線流路に交差して連通形成され、前記出口側流路に連通される導出側流路とを含む流量計であって、
前記入口側流路と出口側流路とのうち少なくとも一方は、前記配管管路に接続するための口金が前記導入側流路又は導出側流路の対応する流路中心からオフセットし、かつそのオフセットした流路中心の周りに回動する形で位置変更して、それら入口側流路と出口側流路との口金の相互離間間隔を変更可能な位置変更流路として配置されることを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る流量計に超音波流量計を用いる場合、
外部の配管管路に接続するために並列状に配置された入口側流路と出口側流路とを備えるとともに、流体を通過させるために前記入口側流路に連通される導入側流路と、その導入側流路に交差して連通形成され、その壁部に流体の流れ方向上手側若しくは下手側に向けて超音波を発振し、及び/又は流れ方向上手側若しくは下手側から到来する超音波を受信する送受信振動子が取り付けられた計測用直線流路と、その計測用直線流路に交差して連通形成され、前記出口側流路に連通される導出側流路とを含む流量計であって、
前記入口側流路と出口側流路とのうち少なくとも一方は、前記配管管路に接続するための口金が前記導入側流路又は導出側流路の対応する流路中心からオフセットし、かつそのオフセットした流路中心の周りに回動する形で位置変更して、それら入口側流路と出口側流路との口金の相互離間間隔を変更可能な位置変更流路として配置されることを特徴とする。
【0014】
これらの流量計によれば、入口側流路と出口側流路との口金の相互離間間隔を変更できるので、配管間隔の異なる配管に対しても口金の接続を可能とすることができる。これによって、流量計(超音波流量計)の設計・製造・組立て等のコスト削減を達成することができる。また、計測部の共用化を図り、部品点数を減らすことができる。これにより、流量計(超音波流量計)の製造コスト低減を達成することもできる。しかも、口金の相互離間間隔の変更に際し、オフセットした流路中心の周りに口金を回動する形で位置変更すればよいので、このような変更に要するコストも抑制することができる。
【0015】
具体的には、位置変更流路は、遮断弁を含む入口側流路で構成されるとともに、その遮断弁を取り付けたまま導入側流路の流路中心の周りに回動する形で位置変更することによって口金の相互離間間隔を変更することが望ましい。これによって、遮断弁を取り付けた状態で口金の相互離間間隔が変更されるので、口金間隔の変更調節が極めて容易にかつ安全に行なえる。なお、遮断弁は、入口側流路等を流れるガスの圧力が異常値を示した場合に、そのガスの流れを遮断する安全装置として機能する。
【0016】
さらに具体的には、位置変更流路と導入側流路とは、対向する流路端に各々形成されたフランジ部の相互固定位置を流路中心の周りに相対回動調節することによって、口金の相互離間間隔を変更することができる。これにより、フランジ部の位置合わせと固定とによって、口金間隔の変更調節を着脱可能に行うことが可能になる。なお、フランジ部を相対回動調節するときに、フランジ部を固定する固定具として、ボルトやクランプ(ヒンジ)等を用いることができる。
【0017】
一方、位置変更流路と導入側流路とは、対向する流路端を流路中心の周りに相対回動調節してそれらの周囲を直接又は他部材を介して間接的に溶融固着することによって、口金の相互離間間隔を変更することができる。これにより、口金の相互離間間隔を変更した後、溶接、溶着、ろう付け、半田付け等の溶融固着によって位置固定することができる。
【0018】
したがって、導入側流路及び導出側流路は、相互間隔を一定に保持する形で、計測用直線流路に対してそれぞれ直交状に配置され、位置変更流路を位置変更することにより口金の相互離間間隔を配管管路の間隔に合致させた状態で、各々の口金と配管管路とを接続することができる。このように、導入側流路及び導出側流路は計測用直線流路に対してそれぞれ直交状に配置されているので、計測用直線流路ひいては流量計(超音波流量計)を小型化することができる。また、導入側流路及び導出側流路の相互間隔を一定に保持したまま口金の位置変更・固定が行われるので、計測部の共用化を図り、流量計(超音波流量計)の部品点数を減らすことができる。」
(イ) 段落【0019】~【0025】、図1~4
「【0019】
(実施例1)
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は一般住宅用ガスメータ等として用いられる超音波流量計の一実施例の主要部を表わす正面図、図2はその分解斜視図を示す。図1及び図2に示す超音波流量計100(流量計)は、円形状断面を有する流入口12(入口側流路)及び流出口13(出口側流路)と、矩形状断面を有する入口側連結流路21b(導入側流路)、直線状中間流路21a(計測用直線流路)及び出口側連結流路21c(導出側流路)とを含む。なお、流入口12と入口側連結流路21bとの間には、断面が円形状から矩形状に徐々に変換する入口側形状変換部21eが設けられている。同様に、出口側連結流路21cと流出口13との間には、断面が矩形状から円形状に徐々に変換する出口側形状変換部21fが設けられている。」
「【図1】
[図:0001436702000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001436702000007.jpg]
」
「【0020】
流入口12と流出口13とはそれぞれ上下方向に並列状に配置され、流入側口金12a(口金)及び流出側口金13a(口金)を介して外部の上流側ガス配管P1(配管管路)と下流側ガス配管P2(配管管路)とにそれぞれ接続されている。
【0021】
入口側連結流路21bは、流体(ガス)を通過させるために所定の流路断面積を有して流入口12に連通されている。直線状中間流路21aは、入口側連結流路21bに交差(例えば直交)して連通形成され、入口側連結流路21bよりも小さい流路断面積を有する。直線状中間流路21aの壁部21d(取付壁面)には、流体の流れ方向下手側に向けて超音波を発振し、流れ方向下手側から到来する超音波を受信する超音波センサ23の送受信振動子23a、23b(センサ素子)が透過型Z配列方式で取り付けられている。出口側連結流路21cは、直線状中間流路21aに交差(例えば直交)して連通形成され、入口側連結流路21bと同等の流路断面積を有する。
【0022】
そして、流入口12は、上流側ガス配管P1に接続するための流入側口金12aが、入口側連結流路21bの入口側流路軸線O1(流路中心)から入口側オフセット寸法L1だけ外側へオフセット(齟齬;変位)して配置されている。他方、流出口13は、下流側ガス配管P2に接続するための流出側口金13aが、出口側連結流路21cの出口側流路軸線O2(流路中心)と一致して配置されている(出口側オフセット寸法L2=0)。したがって、入口側流路軸線O1と出口側流路軸線O2との離間距離、すなわち入出流路間隔(流路中心間距離)をL0としたとき、図1における口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0+L1
で表わされる。
【0023】
次に、図3は図1の超音波流量計で口金位置を変更調節した後の正面図、図4はその分解斜視図を示す。図3及び図4に示す超音波流量計100では、流入口12はオフセットした入口側流路軸線O1の周りに所定角度(例えば180°)回動する形で位置変更されている。すなわち、流入口12は、オフセットした流入口12の流入側口金12aと、オフセットしていない流出口13の流出側口金13aとの口金間隔L(相互離間間隔)が変更可能な位置変更流路となって配置されている。」
「【図3】
[図:0001436702000008.jpg]
」
「【図4】
[図:0001436702000009.jpg]
」
「【0024】
具体的には、位置変更流路は、遮断弁30を含む流入口12で構成され、遮断弁30を取り付けたまま入口側連結流路21bの入口側流路軸線O1の周りに半回転して位置変更されることによって、口金12a、13aの相互離間間隔(口金間隔)Lが変更される。したがって、図3における口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0-L1
で表わされる。なお、遮断弁30は流出口12を流れるガスの圧力が異常値を示した場合にそのガスの流れを遮断する安全装置として機能する。
【0025】
図2及び図4に示すように、位置変更流路(流入口12)と入口側連結流路21bとは、対向する流路端に各々形成された矩形状のフランジ部31、32の相互固定位置を入口側流路軸線O1の周りに半回転することによって、口金間隔Lが変更される。そして両フランジ部31、32は、所定の位置(例えば四隅)において複数(例えば4本)のボルト33(固定具)で締付固定される。なお、ボルト33に代わり、クランプ(ヒンジ)をフランジ部31、32の固定具として用いてもよい。」
(ウ) 段落【0030】~【0035】、図7、8
「【0030】
(実施例2)
次に、口金位置変更調節の他の例を図7の正面模式図と図8の平面模式図を用いて説明する。図7及び図8に示す超音波流量計200では、流入側口金12a(流入口12)が入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセットする。同様に、流出側口金13a(流出口13)も出口側連結流路21c(出口側流路軸線O2)から出口側オフセット寸法L2だけオフセットしている。よって、流入口12と流出口13とがともに位置変更流路を構成する。そして、流入口12と入口側連結流路21bとの流路端に各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置(例えば四隅)において複数(例えば4本)のボルト33(固定具)で締付固定される。同様に、流出口13と出口側連結流路21cとの流路端に各々形成された矩形状のフランジ部34、35は、所定の位置(例えば四隅)において複数(例えば4本)のボルト36(固定具)で締付固定される。」
「【図7】
[図:0001436702000010.jpg]
」
「【図8】
[図:0001436702000011.jpg]
」
「【0031】
[第一状態]したがって、まず、図7(a)及び図8(a)では、上流側ガス配管P1に接続するための流入側口金12a(流入口12)は、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ外側へオフセットしている。また、下流側ガス配管P2に接続するための流出側口金13a(流出口13)は、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ外側へオフセットしている。したがって、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0+L1+L2
で表わされる。
【0032】
[第二状態]次に、第一状態から図7(b)及び図8(b)になると、流入側口金12a(流入口12)は、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ内側へオフセットする。ただし、流出側口金13a(流出口13)は、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ外側へオフセットしたままである。したがって、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0-L1+L2
で表わされる。
【0033】
[第三状態]さらに、第一状態から図7(c)及び図8(c)になっても、流入側口金12a(流入口12)は、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ外側へオフセットしたままである。ただし、流出側口金13a(流出口13)は、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ内側へオフセットする。したがって、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0+L1-L2
で表わされる。
【0034】
[第四状態]次に、第三状態から図7(d)及び図8(d)になると、流入側口金12a(流入口12)は、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ内側へオフセットする。ただし、流出側口金13a(流出口13)は、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ内側へオフセットしたままである。したがって、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0-L1-L2
で表わされる。
【0035】
入口側口金位置変更調節[出口側口金位置変更調節]の際、ボルト33[ボルト36]を一旦取外し、流入口12[流出口13]及び入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]のフランジ部31、32[フランジ部34、35]の一方を半回転してから、再びボルト33[ボルト36]で締付固定する。つまり、流入側口金12a[流出側口金13a]が入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]を基準として左右反転(180°回転)することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する。」
(エ) 段落【0043】
「【0043】
以上で説明した実施例2~4(図7~10)において、実施例1(図1~6)と共通する機能を有する部分には同一符号を付与して説明を省略する。」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 認定事項1~4
引用文献1の段落【0030】によれば、「流入側口金12a(流入口12)が入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセットする」こと、及び「流出側口金13a(流出口13)も出口側連結流路21c(出口側流路軸線O2)から出口側オフセット寸法L2だけオフセットする」が記載されている。当該記載を踏まえつつ図2、4、7をみると、「流入側口金12a」(「流出側口金13a」)のオフセットとは、「流入側口金12a」(「流出側口金13a」)の中心軸のオフセットを意味することが理解できる。
すなわち、段落【0030】及び図1、3、7から、以下の事項を読み取ることができる。
<認定事項1>
「流入側口金12aの中心軸は、入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセットしていること。」
<認定事項2>
「流出側口金13aの中心軸は、出口側連結流路21c(出口側流路軸線O2)から出口側オフセット寸法L2だけオフセットしていること。」
また、流入側口金12aの中心軸は、入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセットするのであるから、流入口12及び入口側連結流路21eで構成される流路(以下、便宜のため「入口側流路」ということがある。)は、屈曲する部分を有していることは明らかである。このことは、図1~4からも直ちに看て取れる事項である。
<認定事項3>
「流入口12及び入口側連結流路21eで構成される入口側流路は、屈曲部を有すること。」
またこのことは、流出口13及び出口側連結流路21fで構成される流路(以下、便宜のため「出口側流路」ということがある。)についても同様である。
<認定事項4>
「流出口13及び出口側連結流路21fで構成される出口側流路は、屈曲部を有すること。」
(イ) 認定事項5、6
引用文献1の段落【0030】には「流入口12と入口側連結流路21bとの流路端に各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置(例えば四隅)において複数(例えば4本)のボルト33(固定具)で締付固定される。」と記載されており、文章をそのまま理解すれば、流入口12と入口側連結流路21bとがボルト33によって固定されるようにも読めるところ、その一方で、段落【0019】には「流入口12と入口側連結流路21bとの間には、断面が円形状から矩形状に徐々に変換する入口側形状変換部21eが設けられている」ことが記載されている。さらに図1、図3をみると、「入口側形状変換部21e」と「入口側連結流路21b」とがボルト33によって固定されていることが看て取れる。
また同様に、「出口側形状変換部21f」と「出口側連結流路21c」とがボルト36によって固定されていることが看て取れる。
すなわち、段落【0030】、【0019】及び図1、3から、以下の事項を読み取ることができる。
<認定事項5>
「入口側形状変換部21eと入口側連結流路21bに各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置において複数のボルト33で締付固定されること」
<認定事項6>
「出口側形状変換部21fと出口側連結流路21cに各々形成された矩形状のフランジ部34、35は、所定の位置において複数のボルト36で締付固定されること」
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、実施例2に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「 一般住宅用ガスメータとして用いられる超音波流量計であって、前記超音波流量計は、円形状断面を有する流入口12及び流出口13と、矩形状断面を有する入口側連結流路21b、直線状中間流路21a及び出口側連結流路21cとを含み、流入口12と入口側連結流路21bとの間には、断面が円形状から矩形状に徐々に変換する入口側形状変換部21eが設けられており、同様に、出口側連結流路21cと流出口13との間には、断面が矩形状から円形状に徐々に変換する出口側形状変換部21fが設けられており、(【0019】)
流入側口金12a(口金)及び流出側口金13a(口金)を介して外部の上流側ガス配管P1(配管管路)と下流側ガス配管P2(配管管路)とにそれぞれ接続されており、(【0020】)
流入側口金12aの中心軸は、入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセットしており、(認定事項1)
流出側口金13aの中心軸は、出口側連結流路21c(出口側流路軸線O2)から出口側オフセット寸法L2だけオフセットしており、(認定事項2)
流入口12及び入口側連結流路21eで構成される入口側流路は、屈曲部を有しており、(認定事項3)
流出口13及び出口側連結流路21fで構成される出口側流路は、屈曲部を有しており、(認定事項4)
入口側形状変換部21eと入口側連結流路21bに各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置において複数のボルト33で締付固定されており、(認定事項5)
出口側形状変換部21fと出口側連結流路21cに各々形成された矩形状のフランジ部34、35は、所定の位置において複数のボルト36で締付固定されており、(認定事項6)
第一状態では、上流側ガス配管P1に接続するための流入側口金12aは、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ外側へオフセットしており、下流側ガス配管P2に接続するための流出側口金13aは、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ外側へオフセットしており、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0+L1+L2で表され、(【0031】)
L0は入出流路間隔(流路中心間距離)であり、(【0022】)
第二状態として、流入側口金12aは、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ内側へオフセットし、流出側口金13aは、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ外側へオフセットしたままであり、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0-L1+L2
で表わされ、(【0032】)
第三状態として、流入側口金12aは、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ外側へオフセットしたままであり、流出側口金13aは、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ内側へオフセットし、このときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0+L1-L2
で表わされ、(【0033】)
第四状態として、流入側口金12aは、入口側連結流路21bから入口側オフセット寸法L1だけ内側へオフセットし、流出側口金13aは、出口側連結流路21cから出口側オフセット寸法L2だけ内側へオフセットしこのときの口金間隔L(配管間隔)は、
L=L0-L1-L2
で表わされ、(【0034】)
入口側口金位置変更調節[出口側口金位置変更調節]の際、ボルト33[ボルト36]を一旦取外し、流入口12[流出口13]及び入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]のフランジ部31、32[フランジ部34、35]の一方を半回転してから、再びボルト33[ボルト36]で締付固定するものであって、流入側口金12a[流出側口金13a]が入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]を基準として左右反転(180°回転)することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する、(【0035】)
超音波流量計。」
(3) 引用文献2~5の記載事項及び周知技術1~4の認定
ア 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2019-124654号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスの流量を計測するガスメータに関するものである。」
「【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るガスメータ1の一例を示す概略図である。図1Aは、ガスメータ1の外観図であり、図1Bは、ガスメータ1の上面図であり、図1Cは、図1BのB-B断面図であり、図1Dは、図1AのA-A断面図である。なお、図1Aでは、ガスメータ1のケース15内に設けられる流量計測部13等の各部についても図示するようにしている。
図1では、流体の出入口(流体入口部11および流体出口部12)の中心距離が130mmであるガスメータ1を示している。
ガスメータ1は、流体入口部11と、流体出口部12と、流量計測部13と、連結部材14と、ケース15と、遮断弁16とを備える。
実施の形態1に係るガスメータ1は、流体であるガスを配送する配管(図示省略)の途中において、流体入口部11が入口側配管(図示省略)、流体出口部12が出口側配管(図示省略)に接続され、配管を流れるガスの流量を計測するように設置される。
なお、実施の形態1において、流体とは、例えば、ガスとする。」
「【図1】
[図:0001436702000012.jpg]
」
「【0010】
流体入口部11は、ケース15の一面に設けられ、当該流体入口部11からケース15内にガスが流入する。流体入口部11は、口金からなる。
流体入口部11から流入したガスは、遮断弁16を介して四方に拡散され、流量計測部13(後述する)に流入する。遮断弁16は、ケース15内において、流体入口部11から流入したガスの流路に取り付けられる。
【0011】
流体出口部12は、ケース15の、流体入口部11が設けられる面と同一面に設けられ、流体入口部11からケース15内に流入し、流量計測部13によって流量が計測された後のガスを配管へ流出する。流体出口部12は、口金からなる。
【0012】
流量計測部13は、流体入口部11からケース15内に流入したガスの流量を計測する。流量計測部13は、計測流路部131と、演算部132とで構成される。
計測流路部131は、内部に、計測対象のガスが流通する計測流路1311を有する。
計測流路部131の、一方の端部に入口部131aを有し、他方の端部に出口部131bを有する。
流体入口部11から流入したガスは、入口部131aから計測流路部131内へ流入する。計測流路部131内へ流入したガスは、当該計測流路部131内の計測流路1311を流通し、計測流路部131の出口部131bから、当該計測流路部131と連結されている連結部材14(後述する)に流出する。
演算部132は、流量を計測する、センサー等の演算回路を有する。演算部132は、例えば、既知の、超音波を用いた方法で、ガスの流量を計測する。なお、これは一例に過ぎず、演算部132は、その他の流量計測原理を用いてガスの流量を計測するようにしてもよい。
【0013】
連結部材14は、蛇腹形状141を有する管状の弾性体からなる。実施の形態1では、連結部材14は、例えば、ゴムからなるものとする。
連結部材14は、一方の端部に接続部14a、他方の端部に接続部14bを有しており、計測流路部131の出口部131bと流体出口部12とを連結する。
具体的には、接続部14aに、計測流路部131の出口部131bが挿入されて、流量計測部13が連結部材14に保持され、接続部14bが流体出口部12に挿入されて、連結部材14が流体出口部12に接続される。なお、連結部材14はゴムからなるため、接続部14bが流体出口部12に挿入された際にガスの漏洩が起きないように、接続部14bの端部に凸部が成形されており、当該凸部が、流体出口部12に成形された凹部と嵌合されるようにしている。
連結部材14の接続部14aは、リブ部142を有し、当該リブ部142が出口部131bに引っかけられて接続され、当該リブ部142によって、計測流路部131が容易に抜けないようになっている。また、接続部14aは、計測流路部131に設けられた出口部131bの溝に設置したOリング17で気密に接続される。
このように、計測流路部131内を経由しないガスが連結部材14内に流入しないようになっている。
流量計測部13の計測流路部131から流出したガスは、連結部材14の内部の流路を経由して流体出口部12に流出し、流体出口部12から配管に流出する。
【0014】
また、連結部材14は、固定部14c、14dを有する。固定部14cは、例えば、溝を有し、当該溝がケース15に設けられた板(図示省略)に嵌め込まれる。固定部14dは、連結部材14の、ガスメータ1を設置した状態で上下となる位置に設けられた輪(図示省略)に設けられ、連結部材14が流体出口部12から抜けないように、ケース15に設けられているねじ穴(図示省略)と固定される。
このように、固定部14c、14dによって、連結部材14がケース15に固定され、これにより、連結部材14に保持されている流量計測部13がケース15内で固定される。
連結部材14は、蛇腹形状141を有することによって、流体入口部11の中心と流体出口部12の中心との中心距離に応じて、流量計測部13から流出したガスの流路を可変とすることができる。詳細は後述する。
【0015】
ケース15は、板金で構成され、内部空間を有する。
ケース15の一面には、流体入口部11および流体出口部12が設けられる。
ケース15内には、流量計測部13と連結部材14が収納される。
【0016】
上述のように、連結部材14は蛇腹形状141を有するゴムからなる。
これにより、ケース15に設けられる流体入口部11および流体出口部12の中心距離が変わっても、ケース15自体は同じ型とし、ケース15内に設けられる、流量計測部13および連結部材14等の内部部品も兼用するようにすることができる。
以下、詳細に説明する。
【0017】
図1は、上述のとおり、一例として、流体入口部11の中心と流体出口部12の中心との中心距離が130mmであるガスメータ1を示している。
ここで、図1とは別に、配管の使用最大流量にあわせ、流体入口部11の中心と、流体出口部12の中心との中心距離が90mmに設定されたガスメータ1aが必要になったとする。
図2は、実施の形態1において、流体入口部11の中心と、流体出口部12の中心との中心距離が90mmであるガスメータ1aの一例を示す概略図である。図2Aは、ガスメータ1aの外観図であり、図2Bは、ガスメータ1aの上面図であり、図2Cは、図2BのC-C断面図である。なお、図2Aでは、ガスメータ1aのケース15内に設けられる流量計測部1 3 等の各部についても図示するようにしている。
図2に示すガスメータ1aの各構成部は、図1に示すガスメータ1の各構成部と同様である。すなわち、ガスメータ1aと、ガスメータ1とは、備える各部品を兼用している。
なお、図2に示すガスメータ1aと、図1に示すガスメータ1とは、ケース15において、流体入口部11と流体出口部12が設けられる位置が異なるが、ケース15は板金からなるため、流体入口部11および流体出口部12の位置は比較的自由に変更して作成することができる。」
「【図2】
[図:0001436702000013.jpg]
」
イ 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である実願昭53-147013号(実開昭55-64720号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
(ア) 1頁11行~2頁15行
「 本考案は導入口から導入されたガスを計量室にて計量した後排出パイプを介して導出口へ排出する如き経路を有するガスメータに係り、前記計量室と導出口とを連結する排出パイプの改良に関する。
ガスメータのガス導入口、導出口の口金間隔寸法は規格化されておらず、メーカーによつてまちまちになつているのが実情である。現在のところ業界において、口金間隔寸法は130mm、90mmとするのが主流となつて来ているが、既設の配管に組み込まれたガスメータを新しいガスメータに交換するような場合、必ずしもこの寸法に適合せず、そのため配管の改造作業を必要とする等非常に大きな無駄を生じていた。
本考案はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的は、既設の配管に対しても適合可能なように、口金間隔を調整可能とするようなガスメータを提供することにある。本考案によれば、導入口から導入されたガスを計量室にて計量した後排出パイプを介して導出口へ排出する如き経路を有するガスメータにおいて、計量室と導出口を連結する排出パイプを延出方向へ向けて屈曲させるとともに、延出方向を軸として回転自在に形成したガスメータの排出パイプ構造が提供される。」
(イ) 2頁16行~3頁13行、第1図
「 以下本考案の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
第1図は本考案に係るガスメータの一実施例の外観構造を示した斜視図であり、(1)は導入口(2)、導出口(3)、指示装置(4)等を有し、内部に分配室の形成された上ケース、(5)は本体ケース部であつて内部に計量室が設けられている。(6)は排出パイプであつて、本体ケース部(5)の計量室と上ケース部(1)の導出口(3)とを連結するものであり、詳細は後述する。本体ケース部(5)の上面部には隔壁(7)が形成されている。また上ケース部(1)と本体ケース部(5)とは、夫々フランジ(8)、(9)を合致させた状態でネジ留めすることによつて、気密を保つて結合される。ガスは、導入口(2)から上ケース部(1)内の分配室へ一旦導入され、ここから本体ケース部(5)内の計量室へ送られ更に排出パイプ(6)を介して導出口(3)へ導かれる如き経路をたどつて燃料器等(図示せず)へ送出される。」
「第1図
[図:0001436702000014.jpg]
」
(ウ) 3頁14行~4頁5行、第2、3図
「第2図は第1図のA-A’線に沿う断面図であり、本体ケース部(5)の隔壁(7)と排出パイプ(6)との連結部は、Oリング(10)を介在させることによつて、気密を保つてガス漏れを防止しているとともに、排出パイプ(6)をその排出方向を軸として回転自在にしている。更に排出パイプ(6)は両端部の中心を通る軸が平行となるように中間部に於て屈曲している。すなわち延出方向へ向けて屈曲するように形成されている。そして、排出パイプ(6)の上端は、上ケース部(1)の導出口(3)にOリング(11)を介して気密に連結されている。なお(12)は分配室、(13)は計量室側を示している。」
「
[図:0001436702000015.jpg]
」
(エ) 4頁6行~5頁3行
「ところで、第2図において上ケース部(1)を取り外すと、排出パイプ(6)は回転自在となるので、排出パイプ(6)の延出方向を軸として180°回転させると、排出パイプ(6)は第3図に示す位置となり、この排出パイプ(6)に適合するように上ケース部(1’)をかぶせると図示の如くなる。これを第2図と関連づけて説明すると、第2図の導出口(3)の中心と、第3図の導出口(3')の中心とは距離Xだけ変動したことになる。すなわち、導入口(2)が固定であればXだけ導入口(2)と導出口(3)との間隔を調整できることになる。
従つて、排出パイプ(6)の回転角を適当に選べば導出口(3)、(3')の位置は0~Xの範囲内で適宜選択することが可能となり、この0~Xの範囲内の位置に適合する上ケース部(1)、(1')をいくつか準備しておくことにより、上ケース部を変換するだけで種々の既設配管に適合するガスメータを提供することができる。」
ウ 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2005-172479号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスやLPガス(液化プロパンガス)のような燃料用途等に用いられるガスの流量積算値などを計測するためのガスメータおよびその組立方法に関する。」
「【0042】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガスメータの概要構成を表したものである。なお、本発明の実施の形態に係るガスメータの組立方法については、このガスメータの作用と併せて説明する。また、図示および説明の繁雑化を避けるために、例えば遮断弁の内部構造のような、本発明の本質的な部分とは関係性の薄い部分については、その詳述は省略した。」
「【図1】
[図:0001436702000016.jpg]
」
「【0043】
このガスメータは、超音波伝播方式の流量計測器(計測装置)1および遮断弁2ならびに圧力センサ(圧力計測装置)3を備えた導通路ユニット100と、感震器4と、電池5と、液晶表示パネル(表示装置)6と、プリント配線基板7と、それらを内部の空間に収容するボディ(筐体)200とから、その主要部が構成されている。
【0044】
さらに詳細には、ボディ200は、前面パネル(前面部)201と、奥行きの深い背面パネル(背面部)202とを組み合わせてなる、外形形状がやや横長でほぼ直方体状(いわゆる箱状)のものである。その箱状の内部の空間に、導通路ユニット100、感震器4、液晶表示パネル6、プリント配線基板7、およびその他の各種部品等一式(図示省略)が収容される。このボディ200は、例えばアルミニウム系合金を薄手の肉厚に鋳造してなるもので、軽量で内部容積が大きく、かつその外形寸法は、従来の例えば膜式マイコンメータなどのようなガスメータのボディ200と比較すると、同じ号数でも極めて軽量かつ小型のものとなっている。
【0045】
前面パネル201には、その裏面に例えば表示部として液晶表示パネル6や駆動回路等を備えた表示装置が固定されるが、その液晶表示パネル6の表示部分を前面から視認可能にするための窓部8が設けられている。さらに具体的な一例としては、液晶表示パネル6は液晶駆動回路や流量積算値演算回路等が組み込まれたプリント配線基板7の上に搭載または実装されていて、そのプリント配線基板7ごと液晶表示パネル6が前面パネル201の窓部8の位置の裏面に組み付けられて固定される。
【0046】
そして、このガスメータを懸垂型として組み立てる場合と載置型として組み立てる場合とでは、ボディ200のうち導通路ユニット100が組み付けられている背面パネル202の天地を逆転させることになるが、他方、前面パネル201の天地はそのままにして(従ってその前面パネル201の裏面に固定されている液晶表示パネル6の天地は逆転しないようにして、あるいは換言すれば天地逆転させた背面パネル202に対して相対的に前面パネル201を天地逆転させて)、両パネルを組み付けることにより、ボディ200が構成される。
【0047】
導通路ユニット100は、都市ガスあるいは液化プロパンガスのような計測対象のガスを導通させるもので、このユニットのほぼ中央に位置する、流量計測器1が組み込まれた流量計測ブロック10と、その左右にそれぞれ接続されてガスの流路をほぼ直角に曲げた形状の2つのコーナーブロック40a、40bと、遮断弁2が組み込まれており常にガスの流入側に配置されることが望まれる遮断ブロック20と、圧力センサ3が組み込まれており常にガスの流出側に配置されることが望まれる圧力計測ブロック30とを、組み合わせてなるものである。その全体的な形状は、U字型(あるいはコの字型)になっていて、ガスの流入口11と流出口12とが同方向に向かって開口している。その先端の流入口11付近および流出口12付近は、導通路ユニット100がボディ200に取り付けられた状態で、それぞれボディから外側へと突出し、その突出した部分に、ガス配管51、52に接続するための、いわゆる口金(図示省略)が装着される。
【0048】
そして、この導通路ユニット100は、ボディ200に設けられている2つの開口21、22に対して流入口11と流出口12とを逆転させて取り付けてボディ200内に配置することが可能な形状に形成されている。より具体的には、ボディ200に設けられている2つの開口21、22の部分は、互いに同じ形状および寸法に形成されている。また、それら2つの開口21、22に対して、雄型と雌型との組み合わせのようにきっちりと取り付けられるような形状および寸法に、導通路ユニット100の流入口11の取り付け部分と流出口12の取り付け部分とが形成されている。」
「【0071】
なお、本実施の形態の説明では、このガスメータの構造上の作用および組立方法について、載置型を懸垂型に変更するという手順に則して説明したが、これは載置型の構造として組み立てる場合と懸垂型の構造として組み立てる場合とでの、ボディ200および導通路ユニット100などの配置構造の差異を、比較して説明するためであった。従って、実際の製造ラインや組立ラインにおけるこのガスメータの組み立て手順は、必ずしも上記のような手順のみには限定されないことは言うまでもない。例えば、図2(A)の載置型を図2(C)の懸垂型に変更する手順としては、上記以外にも、導通路ユニット100をY軸回りに180度回転させることで天地逆転(および表裏逆転)させると共に、背面パネル202はX軸回りに180度回転させて、両者を組み付けるようにすることなども可能である。要するに、組み立ての順序はどのようなものであっても、ボディ200、導通路ユニット100、電池5などのようなこのガスメータを構成する部品や部材の向きや組み
合わせ(配置関係)を、載置型の構造にする場合には図2(A)に示したようなものとし、懸垂型の構造にする場合には図2(C)に示したようなものとすればよいということである。また、このガスメータを製品として完成させた後に、載置型から懸垂型に、あるいは逆に懸垂型から載置型に、変更するようにしてもよい。具体的には、例えば導通路ユニット100の流入口11,流出口12と背面パネル202の開口11,12とを、接着剤や溶接金属等で固着させるのではなく、例えば導通路ユニット100の流入口11,流出口12の表面にタップでネジ山を設け、背面パネル202の開口11,12は通し穴として形成しておき、背面パネル202の開口11,12(通し穴)に流入口11,流出口12を挿通させて、導通路ユニット100を背面パネル202に組み付けた後、流入口11,流出口12の表面のネジ山にナット(図示省略)を螺合させることで、導通路ユニット100の流入口11,流出口12を背面パネル202に対してナットでカシメて固定するようにしてもよい。その他にも種々の固定方法が可能であることは言うまでもない。」
「【図2】
[図:0001436702000017.jpg]
」
エ 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2014-37982号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、ガスメータに係り、特に、ガスが流れる流路部材と、流路部材を収容する外装部材と、を備えたガスメータに関するものである。」
「【0017】
以下、本発明のガスメータを図1~図3を参照して説明する。図1及び図2に示すように、ガスメータ1は、ガスが流れる流路部材2と、流路部材2に流れるガスの流量を計測するための流量計測部(図示せず)と、流量計測部を制御するマイコン制御部(図示せず)と、マイコン制御部などの電子機器が搭載された基板3と、これら流路部材2及び基板3などを収容する外装部材4と、外装部材4に取り付けられる端子台カバー5と、を備えている。」
「【図1】
[図:0001436702000018.jpg]
」
「【図2】
[図:0001436702000019.jpg]
」
「【図3】
[図:0001436702000020.jpg]
」
「【0018】
流路部材2は、図2に示すように、金属製であり、略U字状に設けられている。この流路部材2の両端には、上流側のガス配管に接続される円筒状のガス流入口21と、下流側のガス配管に接続される円筒状のガス流出口22と、が設けられている。流路部材2は、ガス流入口21及びガス流出口22が、左右方向に並べられるように外装部材4内に収容される。
【0019】
また、図示しない流量計測部は、例えば一対の超音波センサから構成され、図示しないマイコン制御部は、マイクロコンピュータから構成されている。基板3は、上記流路部材2よりも正面側に配置され、その正面に流量積算値を表示する表示器6、復帰ボタン7、外部ラインが接続される端子台8を搭載している。
【0020】
上記外装部材4は、樹脂製であり、略直方体状に設けられている。この外装部材4の上面には、ガス流入口21及びガス流出口22をそれぞれ通す開口部41が設けられている。上記流路部材2のガス流入口21及びガス流出口22は、この開口部41からそれぞれ外部に突出する。上記外装部材4は、この開口部41をそれぞれ2分割するように前後方向に2分割された背面ケース42と、正面ケース43と、から構成されている。」
【0021】
上記背面ケース42は、背面を覆う略長方形状の背面壁42Aと、この背面壁42Aの周縁から正面に向かって突出する第1周壁42Bと、から構成され、正面が開口された略受皿状に形成されている。第1周壁42Bは、背面側に設けられた背面周壁部42B1と、正面側に設けられ、背面周壁部42B1よりも薄い正面周壁部42B2と、から構成され、その外側に背面周壁部42B1と正面周壁部42B2との段差面42B3が形成される。また、背面周壁部42B1及び正面周壁部42B2 のケース内側の面は、同一平面上に設けられている。上側の第1周壁42Bの端部には、開口部41を構成するU字状の切欠41Aが設けられている。
【0022】
上記正面ケース43は、正面を覆う正面壁43Aと、この正面壁43Aの周縁から正面に向かって突出する第2周壁43Bと、から構成され、背面が開口された略受皿状に形成されている。第2周壁43Bは、正面壁43Aの周縁から正面に向かって突出する正面周壁部43B1と、正面周壁部43B1の端面からケース外側に向かって突出する周壁部43B2と、周壁部43B2の外周縁から正面に向かって突出する背面周壁部43B3と、から構成されている。上側の第2周壁43Bの端部には、開口部41を構成する切欠41Bが設けられている。上記背面ケース42を構成する正面周壁部42B2の外側に正面ケース43を構成する背面周壁部43B3を重ねて、正面周壁部42B2の端部を後述する発泡パッキン10を介して周壁部43B2に当接し、背面周壁部43B3の端面を段差面42B3に当接すると、開口部41が設けられた略直方体状の外装部材4となる。
【0023】
上記正面ケース43を構成する正面壁43Aには、その上側中央に上記表示器6を外部に露出するための表示器開口部43Cと、表示器開口部43Cの左側に復帰ボタン7を外部に露出するための復帰ボタン開口部43Dと、その下端部に端子台8を外部に露出するための端子台開口部43Eと、が設けられている。端子台カバー5は、正面に露出する端子台8を覆うように取り付けられている。
【0024】
また、上述したガスメータ1は、上記ガス流入口21及びガス流出口22に圧入される筒状の弾性材から構成されたグロメット9と、発泡パッキン10と、をさらに備えている。上記グロメット9は、上端部に圧入部91が、下端部に挿入部92が設けられている。圧入部91は、円筒状に設けられ、上端に向かうに従って内径が小さくなるように設けられる。圧入部91上端の内径は、ガス流入口21及びガス流出口22の径よりも若干小さく、この圧入部91にガス流入口21及びガス流出口22が圧入される。なお、圧入部91は、後述する挿入部92よりも厚みが薄く、変形しやすいようになっている。
【0025】
上記挿入部92は、上面視かまぼこ型の平板中央に円形の貫通孔が設けられていて、貫通孔の径が一定に形成されている。この挿入部92に設けた貫通孔の径は、ガス流入口21及びガス流出口22の径よりも若干大きく設けられている。上記圧入部91は、挿入部92に設けた貫通孔縁部から上方に突出して設けられている。また、図3に示すように、このかまぼこ型の挿入部92の外側面において直線部94以外の部分には、凹部93が設けられている。なお、上記背面ケース42の背面周壁部42B1に設けられた切欠41A縁部には、ガス流入口21及びガス流出口22に向かって突出する第1突部42C及び突部としての第2突部42Dが上下方向に離間して設けられている。
【0026】
第1突部42C及び第2突部42Dは、切欠41A縁部に沿って延在して設けられ、切欠41A縁部のガス流入口21及びガス流出口22に対向する部分全長に渡って設けられている。また、上記第1突部42Cは、正面周壁部42B2と同一平面上になるように連なって設けられている。そして、この第1突部42C及び正面周壁部42B2に設けられた切欠41A縁部が、グロメット9の凹部93内に嵌合されている。第2突部42Dは、グロメット9の上側を覆う。
【0027】
上記発泡パッキン10は、形成時にゴム材料に発泡剤を混ぜて、中に複数の空洞を形成させたものであり、圧縮荷重が小さい。この発泡パッキン10は、第1周壁42B及び第2周壁43B に沿ったリング状に設けられ、背面ケース42及び正面ケース43が組み付けられたときその前後方向が正面ケース43の周壁部43B2と背面ケース42の正面周壁部42B2端面との間に挟まれて、背面ケース42及び正面ケース43の間をシールする。また、図3に示すように、正面ケース43の周壁部43B2が、発泡パッキン10を介してグロメット9の直線部94と当接している。
【0028】
また、上側の背面周壁部43B3には、図2に示すように、切欠41Bを囲むように上側に向かって立設する立壁43Fと、立壁43F上端からガス流入口21及びガス流出口22に向かって突出する突部43Gと、が設けられている。この突部43Gに切欠41Bが形成される。上記突部43Gは、図3に示すように、グロメット9の上側を覆う。
【0029】
上述した実施形態によれば、変形に強い金属製のガス流入口21及びガス流出口22にグロメット9を圧入して締め付けることにより、ガス流入口21及びガス流出口22とグロメット9との間をシールし、変形に弱い樹脂製外装部材4の開口部41縁部をグロメット9の外周面に設けた凹部93に嵌合することにより、外装部材4に力がかからないように外装部材4とグロメット9との間をシールすることができるので、樹脂製の外装部材4の変形を考慮した防水、防虫構造とすることで、樹脂を厚くする必要がなくなり、低コスト化、軽量化による作業者の作業性向上を実現できる。」
オ 周知技術1及び周知技術2の認定(筐体について)
前記ア~エに摘記した引用文献2~5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「ガスメータにおいて、相手側ガス管が取り付け可能な状態で、流路体や筒部材を収容する筐体部を備えること。」
さらに、前記ウに摘記した引用文献4の記載事項(特に段落【0047】、【0048】、【0071】及び図1を参照)及び前記エに摘記した引用文献5の記載事項(特に段落【0020】、【0029】及び図2を参照)に例示されるように、次の技術事項もまた、当業者にとって周知技術であったものと認められる。
<周知技術2>
「筐体部が一対の開口部を有し、一対の筒部材が前記筐体部の対応する前記開口部に、前記筒部材の先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入し固定することで、一対の前記筒部材を前記筐体部に対して固定すること。」
カ 周知技術3及び周知技術4の認定(流体路について)
前記イに摘記した引用文献3の記載事項に例示されるように、次の技術事項もまた、当業者にとって周知技術であったものと認められる。
なお、前記イ(ウ)には「排出パイプ(6)」は「中間部に於て屈曲している」ことが記載されているが、この「屈曲」が、いわゆる「湾曲」(「弓形に曲がること」広辞苑第7版)と呼称できるものであることは、第2、3図からただちに看て取れる。
<周知技術3>
「ガス等が流通可能な流路体において、流路の位置をオフセットさせるために流路を湾曲させること。」
また、前記イ(エ)の記載事項からみて、次の技術事項もまた、当業者にとって周知技術であったものと認められる。
<周知技術4>
「流路体を、その軸心周りに回転自在に取り付けること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点(ガスメータ)
「ガスメータ」の発明である本件補正発明と「一般住宅用ガスメータとして用いられる超音波流量計」の発明である引用発明は、「ガスメータ」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点(ガスが流通可能な流路体)
a 構成Aは、「ガスが流通可能な流路体」を備えることである。
b 引用発明における「入口側連結流路21b、直線状中間流路21a及び出口側連結流路21c」は「ガスメータ」に用いられるものであって、内部にガスを流通させるものであるから、本件補正発明における「ガスが流通可能な流路体」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「ガスが流通可能な流路体」を備える点。
(ウ) 構成B1~B4の観点(筒部材)
a 構成B1の観点
(a) 構成B1は、「前記流路体に取り付けられる一対の筒部材」を備えることである。
(b) 引用発明は「流入口12と入口側連結流路21bとの間には、断面が円形状から矩形状に徐々に変換する入口側形状変換部21eが設けられ」ており、「入口側形状変換部21eと入口側連結流路21bに各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置において複数のボルト33で締付固定される」ものであるところ、前記「流入口12」及び「入口側形状変換部21e」からなる「入口側流路」は、本件補正発明における「前記流路体に取り付けられる」「筒部材」に相当する。
また同様に、引用発明は「出口側連結流路21cと流出口13との間には、断面が矩形状から円形状に徐々に変換する出口側形状変換部21fが設けられ」ており、「出口側形状変換部21fと出口側連結流路21cに各々形成された矩形状のフランジ部34、35は、所定の位置において複数のボルト36で締付固定される」ものであるところ、前記「流出口13」及び「出口側形状変換部21f」からなる「出口側流路」は、本件補正発明における「前記流路体に取り付けられる」「筒部材」に相当する。
そして、「入口側流路」と「出口側流路」とは対になっているということができるから、併せて、本件補正発明における「前記流路体に取り付けられる一対の筒部材」に相当するものと認められる。
(c) したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記流路体に取り付けられる一対の筒部材」を備える点。
b 構成B2、B3の観点
(a) 構成B2は、「前記一対の前記筒部材の各々は、前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置された湾曲形状を有[する]」ことである。
また、構成B3は、「前記第2筒部の先端側部分には、前記相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられて[いる]」ことである。
(b) 引用発明の「入口側形状変換部21eと入口側連結流路21bに各々形成された矩形状のフランジ部31、32は、所定の位置において複数のボルト33で締付固定される」ものであるところ、引用発明における「入口側形状変換部21e」は、本件補正発明における「前記流路体に連結される第1筒部」に相当し、一方で、「流入口12」に設けられた「流入側口金12a」は「外部の上流側ガス配管P1」と接続されるのであるから、引用発明における「流入口12」は、本件補正発明における「相手側ガス管が取り付けられることとなる第2筒部」に相当する。また「流入側口金12」は、「第2筒部の先端側部分」に設けられた「相手側ガス管を締結固定するための締結部」に相当する。
また同様に、引用発明における「出口側形状変換部21f」は「第1筒部」に、「流出口13」は「第2筒部」に相当する。また「流出側口金13」は、「第2筒部の先端側部分」に設けられた「相手側ガス管を締結固定するための締結部」に相当する。
(c) 引用発明においては、「流入側口金12aの中心軸は、入口側連結流路21b(入口側流路軸線O1)から入口側オフセット寸法L1だけオフセット」し、「流出側口金13aの中心軸は、出口側連結流路21c(出口側流路軸線O2)から出口側オフセット寸法L2だけオフセットしている」のであるから、本件補正発明の「第1筒部及び第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置され[る]」との要件を満たす。
(d) 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成B2、B3の観点における一致点及び一応の相違点は、次のi及びiiに示すとおりである。
i 構成B2、B3の観点における一致点
「前記一対の前記筒部材の各々は、前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置され[ている]」点、及び
「前記第2筒部の先端側部分には、相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられて[いる]」点。
ii 構成B2の観点における一応の相違点
前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置するのにあたり、第1筒部及び第2筒部が、
本件補正発明においては、
「湾曲形状を有[する]」のに対して、
引用発明においては、
「屈曲部」は有するものの、「湾曲形状を有[する]」ものであるか不明である点。
c 構成B4の観点
(a) 構成B4は、「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」ことである。
(b) 引用発明は、「入口側口金位置変更調節[出口側口金位置変更調節]の際、ボルト33[ボルト36]を一旦取外し、流入口12[流出口13]及び入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]のフランジ部31、32[フランジ部34、35]の一方を半回転してから、再びボルト33[ボルト36]で締付固定することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する」ものであるが、当該構成が、本件補正発明にいう「第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」と言い得るものであるか、不明である。
(c) 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明の構成B4の観点における一応の相違点は、次に示すとおりである。
<一応の相違点>
本件補正発明においては、「前記一対の前記筒部材の各々を前期第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」のに対し、
引用発明においては、「入口側口金位置変更調節[出口側口金位置変更調節]の際、ボルト33[ボルト36]を一旦取外し、流入口12[流出口13]及び入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]のフランジ部31、32[フランジ部34、35]の一方を半回転してから、再びボルト33[ボルト36]で締付固定することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する」点。
d 構成C1~4の観点(筐体)
(a) 構成C1は、「前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備える」ことである。そして、構成C2~C4は当該筐体に関して発明を特定するものである。
(b) 引用発明は、筐体について特定されていないから、本件補正発明と引用発明の構成C1~C4の観点における相違点は、次に示すとおりである。
<相違点>
本件補正発明においては、「前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備え」、「前記筐体部は、前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能な状態にて、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容し」、「前記筐体部は、一対の開口部を有し」、「前記一対の前記筒部材の前記第2筒部の各々が、前記筐体部の対応する前記開口部に、前記第2筒部の前記先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入され固定されることで、前記流路体及び前記一対の前記筒部材が前記筐体部に対して固定され」るのに対し、
引用発明は、このような構成を有しない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点及び一応の相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「 ガスが通流可能な流路体と、前記流路体に取り付けられる一対の筒部材とを備えるガスメータであって、
前記一対の前記筒部材の各々は、
前記流路体に連結される第1筒部と、相手側ガス管が取り付けられることになる第2筒部と、を有するとともに、前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置され、
前記第2筒部の先端側部分には、前記相手側ガス管を締結固定するための締結部が設けられている、
ガスメータ。」である点。
(イ) 相違点
a 一応の相違点1
前記第1筒部及び前記第2筒部が互いの中心軸がオフセットするように配置するのにあたり、第1筒部及び第2筒部が、
本件補正発明においては、
「湾曲形状を有[する]」のに対して、
引用発明においては、
「屈曲部」は有するものの、「湾曲形状を有[する]」ものであるか不明である点。
b 一応の相違点2
本件補正発明においては、「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」のに対し、
引用発明においては、「入口側口金位置変更調節[出口側口金位置変更調節]の際、ボルト33[ボルト36]を一旦取外し、流入口12[流出口13]及び入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]のフランジ部31、32[フランジ部34、35]の一方を半回転してから、再びボルト33[ボルト36]で締付固定することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する」点。
c 相違点3
本件補正発明においては、「前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容する筐体部と、を備え」、「前記筐体部は、前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能な状態にて、前記流路体及び前記一対の前記筒部材を収容し」、「前記筐体部は、一対の開口部を有し」、「前記一対の前記筒部材の前記第2筒部の各々が、前記筐体部の対応する前記開口部に、前記第2筒部の前記先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入され固定されることで、前記流路体及び前記一対の前記筒部材が前記筐体部に対して固定され」るのに対し、
引用発明は、このような構成を有しない点。
(5) 判断
ア 一応の相違点1について
(ア) 本件補正発明における「湾曲形状」について
本願明細書の発明の詳細な説明においては、「湾曲」との意味につき、段落【0007】に以下のような記載が認められる。
「更に、一対の筒部材の各々は、第1筒部の中心軸と第2筒部の中心軸とがオフセットするように湾曲した形状を有している。これにより、例えば、接続先の相手側ガス管の間隔と第2筒部同士の間の間隔とが対応するように、一対の筒部材の各々を第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決めを行った上で、第1筒部を流路体に連結すれば、筒部材そのものの形状を異ならせること無く(即ち、1種類の筒部材を用いて)、ガスメータの口金ピッチを複数種類に異ならせることができる。」
また、段落【0036】の「<作用・効果>」の欄においても、同様の記載が認められる。
そうすると、本件補正発明における「湾曲」とは、第1筒部の中心軸と第2筒部の中心軸とをオフセットさせるために曲がっているという程度の意味しかなく、そのような目的を達成できる範囲で部材が曲げられていれば、本件補正発明における「湾曲」に相当するものと認められる。
(イ) ここで、引用発明における「入口側流路」は、「流入側口金12aの中心軸」と「入口側連結流路21b」とをオフセットさせるために屈曲しているものであるところ、引用発明における「屈曲」は、実質的にみて、本件補正発明の「湾曲」と相違しないものというべきである。「出口側流路」についても、同様のことがいえる。
したがって、一応の相違点1は実質的にみて相違点ではない。
(ウ) また仮に、一応の相違点1が実質的な相違点であるとしても、前記(3)カで検討したように、「ガス等が流通可能な流路体において、流路の位置をオフセットさせるために流路を湾曲させること」(周知技術3)は周知技術であるといえる。
してみれば、引用発明においても、「入口側流路」及び「出口側流路」を「湾曲」させることとして、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
イ 一応の相違点2について
(ア) 本件補正発明における「回転」について
前記ア(ア)で摘記したように、段落【0007】には以下のように記載されており、再掲する。
「更に、一対の筒部材の各々は、第1筒部の中心軸と第2筒部の中心軸とがオフセットするように湾曲した形状を有している。これにより、例えば、接続先の相手側ガス管の間隔と第2筒部同士の間の間隔とが対応するように、一対の筒部材の各々を第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決めを行った上で、第1筒部を流路体に連結すれば、筒部材そのものの形状を異ならせること無く(即ち、1種類の筒部材を用いて)、ガスメータの口金ピッチを複数種類に異ならせることができる。」
また、段落【0036】の「<作用・効果>」の欄においても、ほぼ同様の記載が認められる。
そうすると、本件補正発明における、「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」際の「回転」とは、ガスメータの口金ピッチを複数種類に異ならせることができるようにするために筒部材を回転させるという程度の意味しかなく、そのような目的を達成できる範囲で、「筒部材」を、「第一筒部の中心軸を中心として回転させる」ように位置決め可能であれば、前記一応の相違点2の要件を満たすものと認められる。
(イ) ここで、引用発明は、「流入側口金12a[流出側口金13a]が入口側連結流路21b[出口側連結流路21c]を基準として左右反転(180°回転)することによって、口金間隔L(配管間隔)は入口側オフセット寸法L1[出口側オフセット寸法L2]の2倍分変動する」ように位置決めできるのであるから、本件補正発明の「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」との要件を満たしているものと認められる。
したがって、一応の相違点2は、実質的にみて相違点ではない。
(ウ) 仮に、例えば一応の相違点2における回転が任意の角度に回転可能であるというような意味であって、引用発明と相違点を構成するものであるとしても、前記(3)カで検討したように、「流路体を、その軸心周りに回転自在に取り付けること」(周知技術4)は周知技術である。
してみれば、引用発明において当該周知技術4を適用して、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
ウ 相違点3について
前記(3)オで検討したように、「ガスメータにおいて、相手側ガス管が取り付け可能な状態で、流路体や筒部材を収容する筐体部を備えること」(周知技術1)は周知技術であるといえる。さらに、「筐体部が一対の開口部を有し、一対の筒部材が前記筐体部の対応する前記開口部に、前記筒部材の先端側部分が前記開口部から前記筐体部の外側へ突出するように挿入し固定することで、一対の前記筒部材を前記筐体部に対して固定すること」(周知技術2)もまた周知技術である。
してみれば、引用発明においても、流量計の保護やガス配管との接続を容易にすること等を目的として、周知技術1及び周知技術2を適用することとして、相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
エ 総合評価
前記ア~ウにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1~4に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1~4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 審判請求書における請求人の主張1について
(ア) 請求人の主張1の内容
本件補正発明1は、「一対の筒部材20の各々を第1筒部21の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」との特徴を含むところ、このような特徴について、引用文献1~5には、何らの開示も示唆もない。
(イ) 請求人の主張1についての検討
本件補正発明の「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」との点については、前記イにおいて検討したように、引用発明が有している構成であると認められるから、この点は実質的にみて相違点ではない。また仮にこの点が実質的な相違点であるとしても、前記周知技術4からみて、この点に進歩性が認められないこともまた、前記イで検討したとおりである。
したがって、前記請求人の主張1は採用することができない。
カ 令和6年11月13日に提出の上申書における主張2について
(ア) 請求人の主張2の内容
令和6年11月13日提出の上申書において、請求人は、本件補正発明に対して以下の構成を付加して限定する補正案を提示し、当該構成は進歩性を有する旨主張する。
なお検討の便宜上、付加された構成を次のとおり構成D、E、Fに分説する。
構成D:前記筐体部は、前記第2筒部に前記相手側ガス管を取り付け可能に構成され且つ幅方向に離れて並ぶように配置された一対の開口部を有し、
構成E:前記一対の前記筒部材は同形であり、
構成F: 前記一対の開口部の中心軸間の距離は、前記一対の前記第1筒部が連結される前記流路体の一対の連結部の中心軸間の距離より大きい第1距離、又は、前記距離より小さい第2距離であり、
前記一対の開口部の中心軸間の距離が前記第1距離である場合には、前記一対の前記第2筒部を前記一対の前記連結部より前記幅方向の外側にそれぞれ位置させて、前記一対の第2筒部の中心軸間の距離が前記第1距離と一致するように、前記流路体に対する前記一対の前記筒部材の周方向のそれぞれの向きが調整され、
前記一対の開口部の中心軸間の距離が前記第2距離である場合には、前記一対の前記第2筒部を前記一対の前記連結部より前記幅方向の内側にそれぞれ位置させて、前記一対の第2筒部の中心軸間の距離が前記第2距離と一致するように、前記流路体に対する前記一対の前記筒部材の周方向のそれぞれの向きが調整されている。
(イ) 請求人の主張2についての検討
a 構成Dは、周知技術である(前記周知技術1及び周知技術2を参照。)。
b 構成Fは、「前記一対の開口部」が筐体に設けられているとの相違点を除き、引用発明が既に有している構成であるが、かかる相違点は、前記aで検討したとおり周知技術である。
c 前記a、bで検討したとおり、構成D、Fについては進歩性の根拠となるものとは認めがたいところ、構成Eの「前記一対の前記筒部材が同型であ[る]」との点について検討する。
引用発明における口金間隔Lは、入出流路間隔L0、入口側オフセット寸法L1及び出口側オフセット寸法L2を用いて表現され、第二状態ではL=L0-L1+L2となり、第三状態ではL=L0+L1-L2となるものとされており、L1とL2が同じ値である場合には、第二状態、第三状態ともに口金間隔が「L0」で同じとなってしまうことから、L1とL2は別の値となっていること、すなわち、一対の筒部材は同型でないことが想定されているようにも思われる。
しかし、複数部材からなる装置において、部材を共通化することによってコストの削減を図ることは一般的なことであるから、L1とL2を同じとし、同型の筒部材とすることは当業者が容易に想起し得る程度のことといえる。
d してみれば、前記上申書で提示された補正案についても、独立特許要件を満たすものではないから、これを受け入れることはできない。
キ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1~4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)キのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
<主たる引用文献>
引用文献1.特開2008-122346号公報
<周知技術を示す文献>
引用文献2.特開2019-124654号公報
引用文献3.実願昭53-147013号(実開昭55-064720号)
のマイクロフィルム
引用文献4.特開2005-172479号公報
引用文献5.特開2014-037982号公報
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア及びウにおいて示したとおりであり、周知技術1~4は、前記第2の3(3)オ及びカにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明の「一対の筒部材」について、「前記一対の前記筒部材の各々を前記第1筒部の中心軸を中心として回転させるように位置決め可能に構成される」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1~4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-014204