特許拒絶査定不服審判
2018-004058
磁気メモリを製造するための装置及び磁気接合を提供するための方法
- 審判番号
- 2018-004058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-150526外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月23日
- 審決日
- 2019年06月07日
- 公報発行日
- 2019年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-150526「磁気メモリを製造するための装置及び磁気接合を提供するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開,特開2014- 22751〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成25年(2013年)7月19日(パリ条約による優先権主張2012年7月20日(以下,「本願優先日」という。),米国)の出願であって,平成29年4月7日付け拒絶理由通知に対し,同年7月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,同年11月17日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,平成30年3月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,その後,当審からの同年12月3日付け拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)に対し,平成31年1月24日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下,「本件補正」という。)がされたものである。
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりである。
「【請求項1】
基板上に多数の磁気接合を含む磁気メモリを製造するために使用される装置において,
反応性イオンエッチングチャンバーと,
前記反応性イオンエッチングチャンバーの下流側に連結されるイオンミリングチャンバーと,
前記イオンミリングチャンバーの下流側に連結される蒸着チャンバーと,を含み,
前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバーは,直列的に連結され,
前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバーのそれぞれには,各チャンバー専用の真空システムが設置され,
前記反応性イオンエッチングチャンバー及び前記イオンミリングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバーの各間にて,前記磁気メモリを大気環境に露出させずに移動することができ,
前記磁気接合は20nm以下の直径を有し,前記磁気メモリは隣接する磁気接合間で200nm以下の間隔を有する装置。」
第3 拒絶の理由
当審拒絶理由のうち,本願発明に対する理由2(進歩性)の概要は以下のとおりである。
(進歩性)本願発明は,本願優先日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,本願優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・引用文献等 1,3ないし6
<引用文献等一覧>
1.国際公開2007/032379号
3.特開2005-101441号公報
4.特開2012-7194号公報
5.特開2005-194589号公報
6.国際公開2009/060539号
第4 引用文献及び引用発明等
1 引用文献1について
(1) 引用文献1の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献1(国際公開2007/032379号)には,図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で加筆した。以下,同じ。)。
ア 「技術分野
[0001] この発明は,集積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random access memory)や,薄膜磁気ヘッドなどで利用される磁気抵抗効果素子の製造方法及び製造装置に関する。」
イ 「背景技術
[0002] DRAM並の集積密度でSRAM並の高速性を持ち,かつ無制限に書き換え可能なメモリとして集積化磁気メモリであるMRAMが注目されている。又,GMR(巨大磁気抵抗)やTMR(トンネリング磁気抵抗)といった磁気抵抗効果素子を用いた薄膜磁気ヘッドや磁気センサー等の開発が急速に進んでいる。
[0003] 磁気抵抗効果素子としては,例えば,シリコンやガラス等の基板の上に下部電極を形成し,その上に磁気抵抗効果素子(TMR)を構成する8層の多層膜が形成されているものがある。この8層の多層膜は,例えば,一番下側に下地層となるTa層,その上に,反強磁性層となるPtMn層,磁化固着層(Pinned Layer,Ru,Pinned Layer),絶縁層(Barrier Layer),フリー層,保護層(ハードマスク)が順に積層されているものなどがある。
[0004] 磁気抵抗効果素子については,それを構成する多層磁性膜が形成された基板を,半導体産業で培われた反応性イオンエッチング(RIE),イオンビームエッチング(IBE)などの薄膜加工技術で加工して,所要の性能が得られるようにするという提案がなされている・・・。」
ウ 「発明を実施するための最良の形態
[0048] 図1(a),(b)は,本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法の好ましい実施形態における加工工程のフローチャート(図1(a))と,当該フローチャートに対応させた磁気抵抗効果素子を構成する多層磁性膜が形成された基板10の断面構造(図1(b))を説明するものである。(以下,「磁気抵抗効果素子を構成する多層磁性膜が形成された基板10」を単に「基板10」と表すことがある。)
図1(b)において,符号11で示されている部分が多層磁性膜である。この多層磁性膜11は,例えば,TMR(トンネル磁気抵抗効果)多層体,CPP(current perpendicular to plane)構造のGMR(巨大磁気抵抗化効果)多層体,フリー層に対する磁化方向を規定するバイアス層を含んだTMR積層体もしくはCPP構造のGMR積層体,反強磁性結合型多層膜を有するCPP構造のGMR多層体,スペキュラー型スピンバルブ磁性多層膜を有するCPP構造のGMR多層体,デュアルスピンバルブ型磁性多層膜を有するCPP構造のGMR多層体などで構成される(以下,総称して多層磁性膜という)。
[0049] 多層磁性膜11としては,例えば,図4図示のように,基板の上に下部電極を形成し,その上に磁気抵抗効果素子を構成する多層磁性膜が形成されているものが使用される。図4図示の例では,多層磁性膜は8層からなり,一番下側に下地層となるTa層,その上に,反強磁性層となるPtMn層,磁化固着層(Pinned Layer,Ru,Pinned Layer),絶縁層(Barrier Layer),フリー層,保護層(ハードマスク)が順に積層されている。図4図示の例では,磁化固着層におけるRu層は8Å,保護層(ハードマスク)であるTa層は200Åである。
[0050] 図1(b)中,符号12で示されている部分は,ハードマスク層であり,単体元素であるTa(タンタル),Ti(チタン),Al(アルミニウム),Si(シリコン)のいずれかの単層膜又は積層膜からなるマスク材,又は,Ta,Ti,Al,Siのいずれかの酸化物又は窒化物の単層膜又は積層膜からなるマスクで構成することができる。
[0051] 図2は,本発明の磁気抵抗効果素子の製造装置20における好ましい実施形態の構成を説明する構成図である。
[0052] 図2において,21は真空搬送室であり,この真空搬送室21にゲートバルブ等の遮蔽手段(図示せず)を介して,第1の反応性イオンエッチング室22,第2の反応性イオンエッチング室23,イオンビームエッチング室24,成膜室25が,それぞれ真空搬送室21と連通するようにして設けられている。
[0053] 真空搬送室21には,さらにウエハローダ26が設けられ,このウエハローダ26を通して,基板10を真空搬送室21にローディングし,加工完了後の基板をアンローディングできるようになっている。
[0054] 真空搬送室21内には,図示しない搬送手段が設置されており,ローディングされた基板10を矢印31,32,33,34,35のように第1の反応性イオンエッチング室22へ,また,第1の反応性イオンエッチング室22から第2の反応性イオンエッチング室23へ,第2の反応性イオンエッチング室23からイオンビームエッチング室24へ,そしてイオンビームエッチング室24から成膜室25へと順次搬送できるようになっている。
[0055] また,図2に矢印31,32,33,34,35で示されている基板10の移送は,真空を破ることなく,真空搬送室21を介して,一貫して真空の状態で行うことができる。
[0056] すなわち,基板10は,第1の反応性イオンエッチング室22から第2の反応性イオンエッチング室23へ,次に,第2の反応性イオンエッチング室23からイオンビームエッチング室24へ,そして最後に,イオンビームエッチング室24から成膜室25へ,真空搬送室21を介して真空状態が維持された清浄な雰囲気の下で順次搬送される。そして,このような真空一貫の雰囲気の下で,イオンビームエッチング室24においてダメージ層が除去された表面の上に,成膜室25において保護膜が形成されることになる。
[0057] 成膜室25から矢印35のように搬送された加工完了後の基板10は,ウエハローダ26を通して真空搬送室21から外部にアンローディングされる。」
エ 「[0058] 上記の如くの製造装置20を用いて,図1(a)に示したフローチャートに従い基板10の加工を行う。
[0059] 真空搬送室21にローディングされた基板10を先ず第1の反応性イオンエッチング室22に搬送し,ここで基板10の多層磁性膜11の表面に形成されているフォトレジスト層13をPRマスク14とし,ハードマスク層12のエッチングを行う(ステップ101)。
[0060] 次に,基板10を第1の反応性イオンエッチング室22から第2の反応性イオンエッチング室23へ,真空状態を維持して搬送する。そして,ここで,エッチングガスとしてメタノールなどの水酸基を少なくとも一つ以上持つアルコールを用いた反応性イオンエッチングにより,ハードマスク層12をマスクとして,多層磁性膜11のエッチング加工,すなわち,多層磁性膜11の微細加工を行なう(ステップ102)。
[0061] この反応性イオンエッチングでは,図4に例示されている多層磁性膜11のバリア層を抜けてTa層の上の反強磁性層であるPtMn層までエッチングを行なうようにすることができる。また,MRAMの製造工程の一つであるフリー層までエッチングしてバリア層でエッチングを止めるようにすることもできる。この反応性イオンエッチングの工程(ステップ102)では,いずれの工程でも採用可能である。
・・・
[0063] 第2の反応性イオンエッチング室23での加工によって,多層磁性膜11の側壁及び上表面,あるいは多層磁性膜11の側壁及び多層磁性膜11の上表面にその一部を残しているハードマスク層12の側壁及び上表面に,図1(b)の上から3段目の図示のように,主に酸化により劣化した層であるダメージ層15が形成される。
[0064] 第2の反応性イオンエッチング室23での加工を終了した基板10は,続いて,真空状態を維持してイオンビームエッチング室24へと搬送される。そして,イオンビームエッチング室24でダメージ層15の除去加工が行われる(ステップ103)。
[0065] イオンビームエッチング室24は,Ar(アルゴン),Kr(クリプトン),Xe(キセノン)等の不活性ガスを用いたイオンビームエッチングにより,前記のダメージ層15を除去する処理室である。
[0066] 前述したように,水酸基を少なくとも一つ以上持つアルコールを用いた,ダメージの少ない反応性イオンエッチングの加工でさえも,ダメージ層15が形成されることがある。そこで,この薄いダメージ層15をイオンビームエッチングの加工によって除去し,より高品質の多層磁性膜を得ようとするものである。
・・・
[0074] ダメージ層15の除去が終了した基板10は,次に,真空状態を維持したまま成膜室25へと搬送され,ここで保護膜16の成膜が行われる(ステップ104)。
[0075] ダメージ層15を除去して清浄にした多層磁性膜11を保護膜16で覆うことによって,清浄な状態に維持することができる。
[0076] 成膜室25は,高周波高圧スパッタリング方法が行なわれる成膜室とすることができる。例えば,前記のステップ104における保護膜16の成膜は,高周波高圧の条件下,すなわち,高周波領域が1KHz以上100MHz以下で,真空度の領域は,1Pa以上20Pa以下の高圧で行われる高周波高圧スパッタ法による成膜にすることができる。
[0077] 保護膜16としては,例えば窒化アルミニウム(AlN)の膜とすることができる。」
オ [図2]は,磁気抵抗効果素子の製造装置の構成を説明する構成図であるところ,上記エの[0055]によれば,基板10は,真空を破ることなく,一貫して真空の状態で,第1の反応性イオンエッチング室22,真空搬送室21,第2の反応性イオンエッチング室23,真空搬送室21,イオンビームエッチング室24,真空搬送室21及び成膜室25の順で移送されることが開示されていると認められる。
(2) 引用発明
上記(1)によれば,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「集積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random access memory)や,薄膜磁気ヘッドなどで利用される磁気抵抗効果素子の製造装置において,
真空搬送室21にゲートバルブ等の遮蔽手段を介して,第1の反応性イオンエッチング室22,第2の反応性イオンエッチング室23,イオンビームエッチング室24,高周波高圧スパッタ法による保護膜16の成膜が行われる成膜室25が,それぞれ真空搬送室21と連通するようにして設けられ,
磁気抵抗効果素子を構成する多層磁性膜が形成された基板10は,真空を破ることなく,一貫して真空の状態で,第1の反応性イオンエッチング室22,真空搬送室21,第2の反応性イオンエッチング室23,真空搬送室21,イオンビームエッチング室24,真空搬送室21及び成膜室25の順で移送される,
製造装置。」
2 引用文献3について
(1) 引用文献3の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献3(特開2005-101441号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本願の発明は,巨大磁気抵抗効果素子等の磁気デバイスに用いられる磁気抵抗多層膜に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性薄膜の重要な利用分野の一つに,磁気ヘッドや磁気メモリなどの磁気デバイスがある。例えば,コンピュータの外部記憶装置に用いられている磁気ディスク駆動装置には,情報の記録用や再生用に磁気ヘッドが搭載されている。また,記憶素子にトンネル型磁気抵抗膜を利用した不揮発性メモリであるMRAM(Magnetic Random Access Memory)が開発されており,書き込みや読み取りの高速性から将来が有望視されている。」
「【0033】
次に,上記実施形態の磁気抵抗多層膜の製造について説明する。
上記のような磁気抵抗多層膜は,各層の薄膜をスパッタリングにより作製される。従って,装置は,各層の薄膜を作製する複数の成膜チャンバーよりなる構成とされる。複数の成膜チャンバーのレイアウトは,大きく分けて,クラスターツール型とインライン型に分類される。クラスターツール型の場合,搬送ロボットを内部に備えた搬送チャンバーが中央に設けられ,その周囲に成膜チャンバーが気密に接続される。基板は,搬送ロボットにより各成膜チャンバーに順次搬送される。また,インライン型の場合,直線移動するキャリア上に基板が搭載され,キャリアの搬送ラインに沿って各成膜チャンバーが気密に縦設される。いずれのタイプにおいても,基板は大気に取り出されることなく,真空中で連続的に各層の薄膜が作製される。」
(2) 引用技術的事項3
上記(1)によれば,引用文献3には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項3」という。)が記載されていると認められる。
「複数の成膜チャンバーのレイアウトは,搬送ロボットを内部に備えた搬送チャンバーが中央に設けられ,その周囲に成膜チャンバーが気密に接続されるクラスターツール型と,直線移動するキャリア上に基板が搭載され,キャリアの搬送ラインに沿って各成膜チャンバーが気密に縦設されるインライン型の二つのタイプに大きく分けられ,いずれのタイプにおいても,基板は大気に取り出されることなく,真空中で連続的に各層の薄膜が作製されること。」
3 引用文献4について
(1) 引用文献4の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献4(特開2012-7194号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0039】
「第1の実施形態の成膜装置」
図1は,本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の概略構成を模式的に示す図である。
本実施形態の成膜装置1は,成膜用基板Sに対してCIGS系半導体膜(以下において単に「CIGS膜」と表記する。)を成膜するためのインライン式多元同時蒸着成膜装置であり,直線状に順に連結配置された,基板導入室10,第1蒸着室11,第2蒸着室12,冷却室13および基板排出室14からなる5つのチャンバーと,成膜用基板Sを導入室10から排出室14に直線状に移動させる基板搬送機構16とを備えている。
【0040】
基板導入室10および基板排出室14は,それぞれ成膜用基板S(S’)を導入するためのチャンバーおよび排出するためのチャンバーである。基板導入室10には,CIGS膜蒸着前の成膜用基板Sを収納する処理前基板収納部として,複数枚の基板を収納可能な基板収納トレイ17が備えられ,基板排出室14には,CIGS膜成膜済みの成膜用基板S’を収納する処理済基板収納部として,複数枚の基板を収納可能な基板収納トレイ18が備えられている。
【0041】
基板導入室10,第1蒸着室11,第2蒸着室12,冷却室13および基板排出室14は,必要に応じて排気装置(図示せず)によって略真空に排気される。例えば,基板導入室10および排出室14には内部を真空排気する排気ポンプとして,ターボ分子ポンプが備えられ,第1蒸着室11,第2蒸着室12,冷却室13の各チャンバーには,内部を真空排気する排気ポンプとしての油拡散ポンプが備えられている。」
(2) 引用技術的事項4
上記(1)によれば,引用文献4には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項4」という。)が記載されていると認められる。
「基板導入室10,第1蒸着室11,第2蒸着室12,冷却室13および基板排出室14からなる5つのチャンバーが直線状に順に連結配置された成膜装置において,各チャンバーには,内部を真空排気する排気ポンプが備えられていること。」
4 引用文献5について
(1) 引用文献5の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献5(特開2005-194589号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0002】
光学ディスクや半導体の製造工程においては様々の真空装置が用いられるが,近年最も広く利用されている真空装置の一つとして,隣接する複数の真空チャンバを有する真空装置がある。
【0003】
図12は,隣接する複数の真空チャンバを有する真空装置を示す模式図である。図12に示すように,この真空装置は,真空チャンバ1011~1014と,扉(バルブ)1061~1065と,真空ポンプ(図12中,VP)1021~1024と,流量制御装置(図12中,MFC)1041~1044とを備える。
【0004】
真空チャンバ1011~1014が一列をなすように隣接している。扉1062~1064がそれぞれ真空チャンバ1011~1014の間に設けられている。列をなす真空チャンバ1011~1014の一端に位置する真空チャンバ1011には扉1061が設けられ,他端に位置する真空チャンバ1014には扉1065が設けられている。列をなす真空チャンバ1011~1014の両端には,図示を省略したロード・ロック室が設けられている。
【0005】
真空チャンバ1011~1014はそれぞれ,排気管を介して真空ポンプ1021~1024に接続される。真空チャンバ1011~1014がそれぞれ,ガス導入管を介して流量制御装置1041~1044に接続される。流量制御装置1041~1044にはそれぞれ,ガス(プロセスガス)g101~g104が供給される。
【0006】
真空ポンプ1021~1024はそれぞれ,真空チャンバ1011~1014を真空引きする。流量制御装置1041~1044はそれぞれ,真空チャンバ1011~1014に導入するガスg101~g104の流量を制御する。扉1062~1064はそれぞれ,真空チャンバ1011~1014間を開閉可能に構成されている。扉1061は,図示を省略したロード・ロック室と真空チャンバ1011との間を開閉可能に構成されている。扉1065は,図示を省略したロード・ロック室と真空チャンバ1014との間を開閉可能に構成されている。
【0007】
以下に,上述の真空装置の制御方法について説明する。まず,基板などの対象物(アクト)107が保持された真空チャンバ1011~1014内を排気し,真空チャンバ1011~1014内にガスg101~g104を導入しながら,スパッタリングや反応性イオンエッチング(RIE;Reactive Ion Etching)などのプロセスを対象物107に対して施す。その後,扉1061~1065を一斉に開けて,プロセスを施した対象物107を一度に次のプロセスを施す真空チャンバ1011~1014に移動させる。このように,扉1061~1065を一斉に開け,プロセスを施した対象物107を一度に移動させることで,タクトアップおよび真空装置(生産装置)の簡易化を実現できる。」
(2) 引用技術的事項5
上記(1)によれば,引用文献5には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項5」という。)が記載されていると認められる。
「半導体の製造工程において用いられる,隣接する複数の真空チャンバを有する真空装置であって,真空チャンバ1011~1014は一列をなすように隣接しており,真空チャンバ1011~1014はそれぞれ,排気管を介して真空ポンプ1021~1024に接続され,真空ポンプ1021~1024はそれぞれ,真空チャンバ1011~1014を真空引きすること。」
5 引用文献6について
(1) 引用文献6の記載
当審拒絶理由で引用された引用文献6(国際公開2009/060539号)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「[0002] 従来の半導体ウェハ搬送装置には幾つかの方式があり,そのいずれもが大きな欠点を有している。従来のクラスタ型のウェハ搬送装置は,中央に位置するロボットチャンバの周囲に複数のプロセスモジュールを放射状に配置した構成を有する。このようなクラスタ型ウェハ搬送装置は,設置のために大きなフットプリント(footprint)を必要とする。また,各プロセスモジュールでの処理が完了するたびに,ウェハはバッファ部などに一時的に置かれて次の処理まで待機するので,装置全体の処理速度は比較的遅い。さらに,設計上の都合により,クラスタ型ウェハ搬送装置におけるプロセスモジュールの数は,通常最大で5台又は6台程度に制限されてしまうことが多い。
[0003] インライン型のウェハ搬送装置はクラスタ型装置と比較して高い処理速度を有する。しかし,直線的な構造を有するため,最新の半導体製造設備の構造には適合しにくい。また,従来のインライン型ウェハ搬送装置においては,半導体製造過程における真空環境においては,ウェハを搬送する際,ウェハ搬送装置の構成部品同士の摩擦により,許容できないレベルのパーティクルが生じることもある。
[0004] 従来のインライン型のウェハ搬送装置の平面図を図1に示す(例えば,特許文献1を参照)。ウェハ搬送装置10において,各プロセスモジュール13a乃至13gは隣接して配置され,インラインに接続される。各プロセスモジュールはゲートバルブ(図示せず)により分離されている。ウェハはロボットチャンバ11内のロボット12によりロードチャンバ14から最初のプロセスモジュール13aに搬送され,各プロセスモジュールにおいて順次に処理される。処理を終えたウェハはロボット12により最後のプロセスモジュール13gからアンロードチャンバ15へと搬送される。ウェハを搬送するための余分なロボットやロボットチャンバが不要であるので,ウェハ搬送装置10に必要とされるフットプリントは比較的小さい。
[0005] 図1に示すインライン型のウェハ搬送装置10の一部の断面図を図2に示す。ウェハ21は,キャリア23に載せられて,あるプロセスモジュールから次のプロセスモジュールへと搬送される。各プロセスモジュール内において,ウェハ21はリフト台26によりキャリア23から持ち上げられて処理され,再びキャリア23に載せられて次のプロセスモジュールへと搬送される。キャリア23はローラ25などの移送機構を利用して移動される。ウェハ21が隣接する次のプロセスモジュールに搬送される際には,ゲートバルブ24が開かれ,隣接するプロセスモジュール同士が互いに密閉されない状態となる。あるプロセスモジュールにおける処理を終えたウェハ21は,次のプロセスモジュールが空くまで待機する。」
(2) 引用技術的事項6
上記(1)によれば,引用文献6には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項6」という。)が記載されていると認められる。
「直線的な構造を有するインライン型のウェハ搬送装置において,各プロセスモジュール13a乃至13gは隣接して配置され,インラインに接続されており,各プロセスモジュールはゲートバルブにより分離され,ウェハは各プロセスモジュールにおいて順次に処理されること。」
6 引用文献7について
(1) 引用文献7の記載
本願優先日前に公開された特開2010-80476号公報(以下,「引用文献7」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,多値化可能な磁気メモリ,その再生方法,および書き込み方法に関する。」
「【0018】
(第1実施形態)
まず,本発明の第1実施形態による磁気メモリを説明する。本実施形態による磁気メモリは,マトリクス状に配列された複数のメモリセルを有している。本実施形態に係るメモリセルの基本構成を図1(a),1(b)に示す。このメモリセル1は,強磁性層を有する第1磁気記録層2,第1バリア層4,強磁性層を有する磁気参照層6,第2バリア層8,および,強磁性層を有する第2磁気記録層10がこの順序で積層された積層構造を有している。磁気記録層2,10は情報を蓄える記録する層であり,磁気参照層6は磁気記録層2,10に情報を記録再生するための参照層である。」
「【0024】
このメモリセル1の積層構造は,軟磁性下地層20上に形成された金属下地層22上に設けられる。そして,例えば,磁気記録層2にはFePt(5nm),第1磁性挿入層12にはFe-Co合金(1.5nm),第1バリア層4にはMgO(1.5nm),第2磁性挿入層14にはFe-Co合金(1.5nm),磁気参照層6にはNiFe(10nm),第3磁性挿入層16にはFe-Co合金(1.5nm),第2バリア層8にはMgO(2.5nm),第4磁性挿入層18にはFe-Co合金(1.5nm),第2磁気記録層10にはFePt(15nm)が用いられる。第2磁気記録層10上にキャップ層19としてRu(3nm)が形成される。なお,括弧内の数字は層厚を示す。これらの層が積層された積層構造は直径が20nmの円柱に加工されている。この円柱をメモリセル1と呼ぶ。メモリセル1の下には金属下地層22としてTa層(1nm),その下に軟磁性下地層20としてNi-Fe合金層(50nm)が形成されている。
【0025】
本実施形態の磁気メモリにおいては,金属下地層22を共通としてそれに接して複数のセル1が近くに形成されており,例えば10nm離れたところに別のセル1が形成された構成となっている。すなわち,本実施形態の磁気メモリにおいては,金属下地層22を共通としてメモリセル1がマトリクス状に配列された構成となっている。」
(2) 引用技術的事項7
上記(1)によれば,引用文献7には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項7」という。)が記載されていると認められる。
「マトリクス状に配列された複数のメモリセルを有している磁気メモリにおいて,メモリセルは,直径が20nmの円柱に加工されており,10nm離れたところに別のメモリセルが形成された構成であること。」
7 引用文献8について
(1) 引用文献8の記載
本願優先日前に公開された特開2012-124491号公報(以下,「引用文献8」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態はメモリ素子に係り,さらに詳細には,磁気異方性物質の自由磁性層を含むストレージノードと,これを含む磁気メモリ素子及びその製造方法に関する。」
「【0029】
まず,本発明の一実施形態による磁気メモリ素子について説明する。この過程で,磁気異方性物質の自由層を含むストレージノードについての説明も伴う。
図1は,本発明の一実施形態による磁気メモリ素子を示す。
【0030】
図1を参照すれば,基板30に第1及び第2不純物領域32,34が離隔して存在する。基板30は半導体基板でもあり,不純物がドーピングされたものでもありうる。第1及び第2不純物領域32,34のうちいずれか一つはソース領域であり,残りはドレイン領域でありうる。第1及び第2不純物領域32,34間の基板30上に,ゲート電極を含むゲート積層物36が存在する。基板30と第1及び第2不純物領域32,34とゲート積層物36とは電界効果トランジスタ(以下,トランジスタ)を形成できる。前記トランジスタは,基板30に備えられるスイッチング素子の一種にすぎない。前記トランジスタの代わりに,他のスイッチング素子,例えば,ダイオードが備えられることもある。第2不純物領域34上にゲート積層物36と離隔して導電性プラグ42が形成されている。導電性プラグ42上に導電性パッド層44が備えられている。導電性パッド層44の直径は,導電性プラグ42より大きい。導電性パッド層44は省略してもよい。基板30上に導電性プラグ42と導電性パッド層44とを取り囲む層間絶縁層38が形成されている。第1及び第2不純物領域32,34とゲート積層物36とは層間絶縁層38で覆われている。層間絶縁層38は,半導体素子に使われる通常の絶縁物質でありうる。導電性パッド層44上にストレージノードS1が備えられている。ストレージノードS1は,MTJセルでありうる。ストレージノードS1は下部磁性層48を含む。下部磁性層は複数の磁性層を含む。下部磁性層48は,単層または複数層であり,シード層を含む。下記の自由磁性層58が水平磁気異方性物質を含むとき,下部磁性層48上には,図2に示したように,順次に積層されたピンニング層50及びピンド層52がさらに備えられる。ピンニング層50及びピンド層52は下部磁性層48に含まれる。ピンニング層50は,例えば,反強磁性層でありうる。ピンド層52は,磁性を持つ単一層または複数層であり,例えば,SAF(Sintered Anti-Ferromagnetic)層でありうる。」
「【0054】
図13は,ストレージノードS1の自由層58が垂直磁気異方性物質層である時,図1のメモリ素子を4F2構造で具現したセルレイアウトを示す。この時,セルレイアウトのデザインルール(D/R)は15nmまたは20nmである。
【0055】
図13で,ストレージノードS1の直径D1は19nmまたは26nmでありうる。図13のレイアウトでストレージノードS1の横方向間隔w1は,デザインルールによって11nm(D/R 15nm,直径D1 19nmである時)または14nm(D/R 20nm,直径D1 26nmである時)になる。縦方向の間隔は横方向の間隔と同一である。D/R 15nm,直径D1 19nmで1F=15nmであり,D/R 20nm,直径D1 26nmで1F=20nmである。」
(2) 引用技術的事項8
上記(1)によれば,引用文献8には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項8」という。)が記載されていると認められる。
「磁気メモリ素子において,MTJセルであるストレージノードS1は,直径D1が19nmであり,ストレージノードS1の横方向間隔w1が11nmであること。」
8 引用文献9について
(1) 引用文献9の記載
本願優先日前に公開された特開2011-198416号公報(以下,「引用文献9」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,磁気メモリに係り,例えば,磁気抵抗(magnetoresistive)効果を利用した記憶素子を備えた磁気メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)は,磁化の方向により抵抗値が変化する磁気抵抗(magnetoresistive)効果を利用したMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を記憶素子として用いている。また,スピン注入による書き込み方式を用いたスピン注入MRAMは,高速性,高集積性,耐久性に優れており,汎用的な不揮発ランダムアクセスメモリとして期待されている。」
「【0018】
非磁性層13としては,非磁性金属,非磁性半導体,絶縁体などを用いることができる。非磁性層13として絶縁体を用いた場合はトンネルバリア層と呼ばれ,非磁性層13として金属を用いた場合はスペーサ層と呼ばれる。トンネルバリア層としては,MgOやAl2O3等の絶縁酸化膜を用いることができる。絶縁酸化膜の厚さは,トンネル電流による面抵抗(sheet resistivity)が数10Ω・μm2程度以下になるように,1nm程度以下に設定することが望ましい。MTJ素子10のサイズは,スピン注入を効率よく行うために,直径(φ)100nm以下,特にφ40nm以下であることが望ましい。」
(2) 引用技術的事項9
上記(1)によれば,引用文献9には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項9」が記載されていると認められる。
「MTJ素子を記憶素子として用いたMRAMにおいて,MTJ素子のサイズは,直径(φ)100nm以下,特にφ40nm以下であることが望ましいこと。」
9 引用文献10について
(1) 引用文献10の記載
本願優先日前に公開された特開2005-203772号公報(以下,「引用文献10」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,コンタクトホールのないナノサイズの磁気トンネル接合セル(Magnetic Tunnel Junction Cell:MTJセル)の形成方法に係り,より詳細には,コンタクトホールを形成せずにMTJセル内にコンタクトを形成することによってナノサイズのMTJセルを形成できる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリは,不揮発性メモリであり,揮発性メモリとは違ってメモリへの電源供給が切れてしまっても,メモリに記録されたデータが失われずにそのまま保存されるという長所がある。しかし,データの記録速度が一般のDRAMより実に1000倍ほど遅く,かつ記録時の電力消費も相当多いという短所がある。また,データの消去および書き込み回数にもある程度の制限があることが知られている。そのために,一般的なDRAMとフラッシュメモリとの長所,すなわち,読出し/書込み速度が速く,消費電力が少なく,かつ電源がオフとなってもデータをそのまま保持できるメモリが研究されている。その結果として開発された不揮発性メモリとして,FeRAM(Ferroelectric RAM),オボニック統合メモリ(Ovonic Unified Memory;OUM),MRAMなどがある。
【0003】
ここで,MRAMは,磁気ランダムアクセスメモリ(Magnetic Random Access Memory)の略称であって,トンネル型磁気抵抗効果によって情報を記憶する磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction;MTJ)素子を用いてメモリセルを構成する不揮発性メモリ素子である。図1Aおよび図1Bに示すように,MTJ素子は,2つの強磁性層100,300の間に絶縁層(トンネルバリヤ)200が挟設された構造を有する。MTJ素子に記憶される情報は,2つの強磁性層100,300の磁化方向が同一の方向か,逆の方向かによって決定される。すなわち,図1Aに示すように,2つの強磁性層の磁化方向が同一になった場合,前記強磁性層100,300間にある絶縁層(トンネルバリヤ)200のトンネル抵抗が最も低くなり,例えば,“1”状態となる。一方,図1Bに示されたように,2個の強磁性層100,300の磁化方向が逆の方向になった場合,前記強磁性層間にある絶縁層200のトンネル抵抗が高くなり,例えば,“0”状態となる。このようなMTJ素子の独特な性質を用いれば,MTJ素子をメモリセルとして機能させることができる。以下では,便宜上,MTJ素子を用いるメモリセルを“MTJセル”と称する。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下,添付した図面に基づいて本発明の一実施形態によるコンタクトホールを有しないMRAMのMTJセルを形成する方法について詳細に説明する。
・・・
【0025】
このようにMTJセルの形成領域が形成されたならば,図4Dに示されたように,プラズマ化学蒸着(PECVD)またはマグネトロンスパッタリング法を用いて,MTJ層20の全面に亙り,例えば,SiO2やSi3N4よりなる絶縁層40を蒸着する。絶縁層40は,後で金属層50が最終的に蒸着された時,前記金属層50がキャップ層25とだけ電気的に接続され,他の部分との電気的接続を遮断する役割を有する。・・・」
(2) 引用技術的事項10
上記(1)によれば,引用文献10には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項10」という。)が記載されていると認められる。
「MTJ素子を用いてメモリセルを構成するMRAMの製造方法において,プラズマ化学蒸着(PECVD)またはマグネトロンスパッタリング法を用いて,MTJ層の全面に亙り,絶縁層を蒸着すること。」
10 引用文献11について
(1) 引用文献11の記載
本願優先日前に公開された国際公開2008/032745号(以下,「引用文献11」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
「技術分野
[0001] この発明は,集積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random access memory)や,薄膜磁気ヘッドなどで利用される磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気抵抗効果素子を製造するためのマルチチャンバ装置に関する。」
「[0095] このように,保護膜7を例えば,高周波高圧スパッタリング法による窒化アルミニウム等,または,CVD法による窒化シリコン膜等,その用途により選択することも可能である。
・・・
[0102] ダメージ層6の除去が終了した基板10は,次に,真空状態を維持したまま成膜処理室381へと搬送され,ここで保護膜7の成膜が行われる(ステップ104)。
[0103] ダメージ層6を還元した多層磁性膜1を保護膜7で覆うことによって,清浄な状態に維持することができる。
[0104] 成膜処理室381は,高周波高圧スパッタリング方法が行なわれるスパッタリング室とすることができる。例えば,ステップ104における保護膜7の成膜は,高周波高圧の条件下,すなわち,高周波領域が1KHz以上100MHz以下で,真空度の領域は,1Pa以上20Pa以下の高圧で行われる高周波高圧スパッタリング法による成膜にすることができる。
[0105] 保護膜7としては,例えば,窒化アルミニウム(AlN)等の膜とすることができる。」
(2) 引用技術的事項11
上記(1)によれば,引用文献11には,以下の技術的事項(以下,「引用技術的事項11」という。)が記載されていると認められる。
「MRAMや,薄膜磁気ヘッドなどで利用される磁気抵抗効果素子の製造方法及び磁気抵抗効果素子を製造するためのマルチチャンバ装置において,保護膜7を高周波高圧スパッタリング法やCVD法により成膜すること。」
第5 対比及び判断
1 対比
(1) 本願発明と引用発明の対比
ア 引用発明の「製造装置」は,「集積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random access memory)や,薄膜磁気ヘッドなどで利用される磁気抵抗効果素子」を製造する装置であるところ,「MRAM(magnetic random access memory)」が,「基板10」上に多数の「磁気抵抗効果素子」を含んでいることは明らかである。そうすると,引用発明の「製造装置」は,「基板上に多数の磁気接合を含む磁気メモリを製造するために使用される装置」であるということができる。
イ 引用発明の「第1の反応性イオンエッチング室22」及び「第2の反応性イオンエッチング室23」は,いずれも「反応性イオンエッチングチャンバー」ということができる。また,引用発明の「イオンビームエッチング室24」は,本願発明の「イオンミリングチャンバー」に相当する。
ウ 本願発明の「蒸着チャンバー」について,例えば,本願明細書の【0039】や【0054】には,「蒸着」する工程について,「その上,キャッピング膜のような膜は反応性イオンエッチング及び/又はイオンミリングの後に蒸着されることができるが,工程の間で大気環境に磁気メモリが露出されないこともあり得る。」と記載されている。そうすると,本願発明の「蒸着チャンバー」は,キャッピング膜のような膜を成膜するチャンバーであると認められるから,引用発明の「高周波高圧スパッタ法による保護膜16の成膜が行われる成膜室25」とは,「成膜チャンバー」である点で共通する。
エ 引用発明では,「第1の反応性イオンエッチング室22,第2の反応性イオンエッチング室23,イオンビームエッチング室24,保護膜16の成膜が行われる成膜室25が,それぞれ真空搬送室21と連通するようにして設けられ」ているから,本願発明における「前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバーは,直列的に連結され」ることとは,「前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーは,連結され」る点で共通する。
オ 引用発明は,「磁気抵抗効果素子を構成する多層磁性膜が形成された基板10は,真空を破ることなく,一貫して真空の状態で,第1の反応性イオンエッチング室22,真空搬送室21,第2の反応性イオンエッチング室23,真空搬送室21,イオンビームエッチング室24,真空搬送室21及び成膜室25の順で移送される」構成を備えるから,引用発明の「第1の反応性イオンエッチング室22」,「第2の反応性イオンエッチング室23」,「イオンビームエッチング室24」及び「成膜室25」には,それらを真空の状態とする真空システムが設置されているといえる。
カ また,引用発明は,上記オの構成を備えるところ,本願発明の「前記反応性イオンエッチングチャンバー及び前記イオンミリングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバーの各間にて,前記磁気メモリを大気環境に露出させずに移動すること」とは,「前記反応性イオンエッチングチャンバー及び前記イオンミリングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーの各間にて,前記磁気メモリを大気環境に露出させずに移動する」点で共通する。
したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致または相違する。
(一致点)
「基板上に多数の磁気接合を含む磁気メモリを製造するために使用される装置において,
反応性イオンエッチングチャンバーと,
前記反応性イオンエッチングチャンバーの下流側に連結されるイオンミリングチャンバーと,
前記イオンミリングチャンバーの下流側に連結される成膜チャンバーと,を含み,
前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーは,連結され,
前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーには,真空システムが設置され,
前記反応性イオンエッチングチャンバー及び前記イオンミリングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーの各間にて,前記磁気メモリを大気環境に露出させずに移動することができる,
装置。」
(相違点)
(相違点1)
「成膜チャンバー」について,本願発明は,「蒸着チャンバー」であるのに対し,引用発明は,「高周波高圧スパッタ法による保護膜16の成膜が行われる成膜室25」であって,成膜が蒸着によるものではないから,「蒸着チャンバー」ではない点。
(相違点2)
「前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバー」の連結について,本願発明は,「直列的に連結され」ているのに対し,引用発明は,「直列的に連結され」ているか不明である点。
(相違点3)
「前記反応性イオンエッチングチャンバー,前記イオンミリングチャンバー及び前記成膜チャンバーには,真空システムが設置され」ることについて,本願発明は,各チャンバーの「それぞれに」,「各チャンバー専用の真空システムが設置され」るのに対し,引用発明は,不明である点。
(相違点4)
「前記磁気メモリを大気環境に露出させずに移動する」のが,本願発明では,「前記イオンミリングチャンバー及び前記蒸着チャンバー」の間であるのに対し,引用発明では,「イオンビームエッチング室24,真空搬送室21及び成膜室25」の間である点。
(相違点5)
本願発明は,「前記磁気接合は20nm以下の直径を有し,前記磁気メモリは隣接する磁気接合間で200nm以下の間隔を有する」のに対し,引用発明は,不明である点。
2 判断
(1) 相違点1について
上記第4の9(2)の引用技術的事項10及び同10(2)の引用技術的事項11によれば,MRAMの製造方法において,蒸着法あるいはスパッタ法を用いて各層を形成することは,本願優先日前において,置換可能な周知技術であったと認められる。そうすると,引用発明において,当該周知技術を採用し,成膜室25における保護膜16の成膜を蒸着法により行うこと,すなわち,蒸着チャンバーで行うように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものである。
(2) 相違点2について
引用発明において,「基板10は,真空を破ることなく,一貫して真空の状態で,第1の反応性イオンエッチング室22,真空搬送室21,第2の反応性イオンエッチング室23,真空搬送室21,イオンビームエッチング室24,真空搬送室21及び成膜室25の順で移送される」から,「第2の反応性イオンエッチング室23」(反応性イオンエッチングチャンバー),「イオンビームエッチング室24」(イオンミリングチャンバー)及び「成膜室25」(蒸着チャンバー)は,その順に直列的に連結されているということができる。そうすると,相違点2は実質的には相違点ではない。
なお,請求人は,審判請求書において,本願発明は,本願の願書に添付した図面の【図4】の構成を前提とするものであって,引用文献1の[図2]に示される真空搬送室を囲むように各チャンバーが放射状に配置される構成とは明らかに構成が異なる旨の主張をしており,当該主張によれば,本願発明の「直列的に」とは,基板が各チャンバー間で直接移送されるような構成を意味しているとも解されるので,以下,検討する。
上記第4の2(2)の引用技術的事項3,同4(2)の引用技術的事項5及び同5(2)の引用技術的事項6によれば,直線的に一列に連結された,いわゆるインライン型の真空チャンバは,本願優先日前において,周知技術であると認められる。そして,上記引用技術的事項3に,インライン型の成膜チャンバでも,搬送チャンバーの周囲に成膜チャンバーが気密に接続される,いわゆるクラスターツール型の真空チャンバでも,基板は大気に取り出されることなく,真空中で連続的に各層の薄膜が作製されることが記載されているように,両者は,置換可能な周知技術であったと認められる。そうすると,引用発明において,当該周知技術を採用し,「第2の反応性イオンエッチング室23」(反応性イオンエッチングチャンバー),「イオンビームエッチング室24」(イオンミリングチャンバー)及び「成膜室25」(蒸着チャンバー)を直列的に連結されるように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものである。
(3) 相違点3について
上記第4の3(2)の引用技術的事項4及び同4(2)の引用技術的事項5によれば,直線状に連結された複数のチャンバーにおいて,各チャンバーに真空ポンプを設けて真空引きすることは,本願優先日前において,周知技術であったと認められる。そして,各チャンバーで実施される処理ごとに真空状態を最適化することは,通常設定する事項にすぎないから,引用発明において,当該周知技術を採用し,「第2の反応性イオンエッチング室23」(反応性イオンエッチングチャンバー),「イオンビームエッチング室24」(イオンミリングチャンバー)及び「成膜室25」(蒸着チャンバー)の各チャンバーのそれぞれに専用の真空システムを設置するように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものである。
(4) 相違点4について
上記(1)及び(2)のとおり,引用発明において,成膜室25における保護膜16の成膜を蒸着チャンバーで行うように構成すること,「イオンビームエッチング室24」(イオンミリングチャンバー)及び「成膜室25」(蒸着チャンバー)を直列的に連結されるように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものであるから,その場合,相違点4に係る本願発明の構成を備えることは明らかである。
(5) 相違点5について
上記第4の6(2)の引用技術的事項7,同7(2)の引用技術的事項8及び同8(2)の引用技術的事項9によれば,本願優先日前において,MRAMの技術分野では,磁気接合の直径を19nmや20nmにすること,40nm以下であることが望ましいこと等がすでに知られており,磁気接合間の間隔を10nmや11nmにすることもすでに知られていたと認められる。そうすると,引用発明の製造装置において,相違点5に係る構成のMRAMを製造することは,当業者であれば,適宜なし得ることである。
3 まとめ
したがって,本願発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献3ないし11に記載された技術的事項に基づいて,当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-004058