特許拒絶査定不服審判
2018-003152
無線端末、無線基地局、無線端末の制御方法および無線基地局の制御方法
- 審判番号
- 2018-003152
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-148049外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月05日
- 審決日
- 2019年02月28日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-148049「無線端末、無線基地局、無線端末の制御方法および無線基地局の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日出願公開、特開2016-184985〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012(平成24年)年7月12日(国内優先権主張 平成23年7月29日)を国際出願日とする出願である特願2013-526729号の一部を平成28年7月28日に新たな出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月26日付け 拒絶理由通知書
平成29年 8月 7日 意見書及び手続補正書の提出
平成29年11月28日付け 拒絶査定
平成30年 3月 5日 拒絶査定不服審判の請求
第2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1-6に対して下記の引用例1-4が引用されている。
引用例1 中国特許出願公開第102014477号明細書
引用例2 Sharp,A special SCell for CA enhancement [online],3GPP TSG-RAN WG2#74 R2-113048,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_74/Docs/R2-113048.zip>,2011年5月2日
引用例3 InterDigital Communications,Support for multiple Timing Advance in LTE CA [online],3GPP TSG-RAN WG2#74 R2-113255,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_74/Docs/R2-113255.zip>,2011年5月3日
引用例4 Panasonic,Time Alignment in case of multiple TA [online],3GPP TSG-RAN WG2#74 R2-112819,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_74/Docs/R2-112819.zip>,2011年5月2日
第3 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成29年8月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、以下に記載のとおりのものと認める。
「第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能なプライマリセルを少なくとも含む第1のセルグループと、第2のPUCCHを送信可能なセカンダリセルを少なくとも含む第2のセルグループとを、アグリゲートする手段と、
前記第1のセルグループに対応する第1のタイマと、
前記第2のセルグループに対応する第2のタイマと、
を有し、
前記第1のタイマは、前記第1のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され、
前記第2のタイマは、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され、
前記第1のセルグループに対応する第1のタイマの満了は、前記第2のセルグループの運用に影響せず、
前記第2のセルグループの運用は、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信を含むことを特徴とする無線端末。」
第4 引用発明
本審決における主たる引用例は下記引用例1であるが、引用例1に記載された発明を認定するにあたり、引用例1の出願時の技術水準を示す文献として下記引用例5,6を先に検討する。
1 引用例5
当審で新たに引用する Huawei, PUCCH design for carrier aggregation(当審仮訳:「キャリアアグリゲーションのためのPUCCHデザイン」) [online], 3GPP TSG RAN WG1 #56bis R1-091275, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_56b/Docs/R1-091275.zip>,2009年3月17日掲載(以下「引用例5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「3.2 PUCCH on multiple CCs or only on the anchor carrier
A first issue for the design is the number of CCs used for the transmission of the multiple PUCCHs of a certain UE. The question is whether to use
Option 1. Multiple UL CCs used for multiple PUCCH transmission
Option 2. One UL CC used for multiple PUCCH transmission
Note that both options above can be used also in the symmetric carrier aggregation. In asymmetric aggregation, some UL CC may need to carry multiple PUCCH in the case of Option 1.」(第3葉第9-15行)
(当審仮訳:
「3.2 複数CCs上の又はアンカーキャリア上のみのPUCCH
設計上の第1の問題はあるUEの複数のPUCCHの伝送に用いられるCCの数である。問題は
オプション1. 複数のPUCCH伝送のために複数のUL CCsを用いるか、
オプション2. 複数のPUCCH伝送のために一つのUL CCを用いるか、
である。
対称的なキャリアアグリゲーションでは上記両オプションとも用いられる。非対称的なアグリゲーションでは、オプション1の場合に幾つかのUL CCは複数のPUCCHの搬送を必要とするであろう。」)
2 引用例6
当審で新たに引用する ZTE, Uplink Control Channel Design for LTE-Advanced(当審仮訳:「LTE-Advancedのためのアップリンク制御チャネルデザイン」) [online], 3GPP TSG RAN WG1 #57bis R1-092464, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_57b/Docs/R1-092464.zip>,2009年6月23日掲載(以下「引用例6」という。)には、以下の事項が記載されている。
「1. Introduction
Carrier aggregation, where different numbers of component carriers for UL and DL are aggregated, is considered for LTE-Advanced in order to support total transmission bandwidths up to 100 MHz in one or more spectrums. In this contribution, we discuss our views on uplink control channel design, especially the ACK/NACK feedback transmission, for LTE-Advanced with carrier aggregation.」(第1ページ第8-12行)
「2.1 Multiple control channels transmission
Considering the multiple control channels transmission, the most straightforward choice is to utilize the same PUCCH structure as Release-8, namely N*Rel-8 PUCCH structure. There are several alternatives when considering the frequency location of the multiple PUCCHs:
* Alternative #1: different CCs;
* Alternative #2: same CC, different RBs;
* Alternative #3: same RBs;
* Alternative #4: combination of the above mentioned.」(第1ページ第24-31行)
(当審仮訳:
「1. 導入
一又はそれ以上のスペクトラムにおいて100MHzに至るまでの合計伝送帯域幅をサポートするために、異なる多数のULとDLのためのコンポーネントキャリアが集約されるキャリアアグリゲーションが、LTE-Advanced のために考慮されている。この貢献において、われわれは上りリンクの制御チャネルデザインについての我々の視点、特にキャリアアグリゲーションを伴うLTE-AdvancedのためのACK/NACKフィードバック伝送について議論する。」
「2.1 複数制御チャネル伝送
複数制御チャネル伝送を考慮して、最も簡単な選択はリリース8と同じPUCCH構造、すなわちN*Rel-8 PUCCH構造を利用することである。複数PUCCHの周波数配置を考慮した場合、幾つかの選択肢がある。
* 選択肢 #1: 異なるCCs;
* 選択肢 #2: 同じCC, 異なるRBs;
* 選択肢 #3: 同じRBs;
* 選択肢 #4: 上記の組合せ。」)
引用例5,6の記載を総合すると、2009年3-9月当時は3GPP標準規格においてキャリアアグリゲーションについて検討中であり、「キャリアアグリゲーションの際に複数のPUCCH伝送のために複数のUL CCを用いる。」ことは周知であると認める。
3 引用例1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に外国において頒布された中国特許出願公開第102014477号明細書(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(当審仮訳:
「[0016] 上記のランダムアクセスメカニズムに対し、LTEシステムは上りリンクの同期プロセスも提案しており、この過程は端末と基地局の間を保持する上りリンクの同期に用いられ、端末がダウンリンクデータに対しHARQ(Hybrid-ARQ、ハイブリッド自動再送要求)フィードバック情報を送信することと、上りリンクデータ伝送を行う。LTEシステム規定では基地局は上りリンクの同期の維持の役割を負う。具体的には、UEのランダムアクセスの時、基地局はpreambleによって最初のタイミングアドバンスを得、図3に示すように、後続する上りリンクの同期維持手順は、以下の工程を含む:基地局とUEはそれぞれ1個のTAT(TA timer、TAタイマ)を維持し、基地局は端末にTAcommand(TA要求)を送信しTATを起動し、もし端末が正確にTA commandを受信できなければ、基地局は一定期間T1の経過後、TA commandを再送し、TATを再開し、端末が正確にTAcommandを受信した場合は端末のTATを起動し基地局にACK(ACKnowledge Character、肯定応答)情報を送信し、基地局は端末が発したACKを受信し、基地局のTATを起動する。基地局はあるUEのTATに対してタイムアウトがない場合、基地局はこのUEが同期状態にあると考える;UEの自身が維持するTATにタイムアウトがない場合は、UEは同じく自身が同期していると考える。
[0017] LTE技術の後続は発展変化し、LTE-A(LTE Advanced、進歩した長期進化)システムのピーク速度はLTEシステムに対して大きな向上があり、下り1Gbps、上り500Mbpsに達することができる。同時に、LTE-Aのシステム要件とLTEシステムはとてもよい互換性がある。高いピーク速度とLTEシステムとの互換性を有しつつスペクトル資源の需要を十分に利用するためにLTE-AシステムへCA(Carrier Aggregation、搬送波集約)技術が導入された。CA技術は1つのエリア内で上りリンク、ダウンリンクはそれぞれ複数のCC(Component Carrier、コンポーネントキャリア)を含み、LTEシステム及び以前の無線通信システムでは、単一の搬送波のモデルを有するものであった。搬送波集約のシステムでは各メンバーキャリアは連続、又は、非連続であり、LTEシステムと互換性のために、それぞれのメンバーキャリアの最大帯域幅は20MHzとし、各メンバーキャリア間の帯域幅は同じ又は異なることが可能である。」
「[0108] 図8に示すように、本発明実施例2中の上りリンクの同期の方法フローチャートとして、以下の工程を含む:
[0109] ステップ801は、ENB(Node B、ノードB)はUEマルチキャリア動作モードを構成する。
[0110] 例えば、UEの動作キャリアはCC1/2/3/4とする。
[0111] ステップ802は、ENBはネットワーク構成状況によって、CC1/2はTAグループ1に属し、CC3/4はTAグループ2に属することを知る。
[0112] ステップ803は、ENBはRRCシグナリング又はMAC CEの方法によってCCとTAグループの関係の構成をUEに提供する。
[0113] ステップ804は、ENBとUEはそれぞれ各TAグループに従いそれぞれのTAタイマを維持する。
[0114] 具体的には、もし、TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは同期が外れ、所有するリソースを解放する。前記リソースには、PUCCH(Physical Uplink Control Channel、物理上りリンク制御チャネル)/SRS(Sounding Reference Signal、サウンディング参照信号)/SPS(Semi-persistent Scheduling、半永久的スケジューリング)などが含まれる。
[0115] ステップ805は、UEはCCを介してTACコマンドを受信し、この命令をこのCC帰属のTAグループのすべてのCCに適用する。
[0116] 本発明実施例の技術的解決手段は以下の利点を有する。UEの各CCに対応するTAグループ情報を取得し、このTAグループ情報に基づいて各CCのTAタイマを維持し、上りリンクを同期し、これにより、マルチキャリアシステム中の各CCのタイミングアドバンスが異なる状況下で、上りリンクの同期の確立と維持の機構を提供する。」
引用例1の上記記載及びこの分野における技術常識を考慮し、以下の事項を認める。
(1)
[0108]-[0116]、特に[0111]より、引用例1に記載された「UE」は「複数のCCからなるTAグループ1」と「複数のCCからなるTAグループ2」を有すると認める。[0113]及び[0116]より、引用例1に記載されたものは「TAグループ1の各CCに対応するTAタイマ」と「TAグループ2の各CCに対応するTAタイマ」を有すると認める。[0114]より、引用例1には「TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは上りリンク同期が外れ、PUCCHのリソースを解放する」こと、が記載されている。また、[0017]の記載を考慮すると、引用例1はLTE-Aの「Carrier Aggregation(CA)」を前提としていることは明らかであるから、引用例1に記載されたUEにはTAグループ1の各CCとTAグループ2の各CCとを、アグリゲートする手段が存在することも明らかである。
(2)
[0114]の記載から、引用例1に記載された「TAグループ1のCC」、「TAグループ2のCC」はPUCCHリソースを有する、すなわちPUCCHを送信可能なCCといえる。
これは、前記「1」、「2」で検討したとおり、引用例5、引用例6の記載より、特許文献である引用例1の出願日(2009年10月30日)前において、「キャリアアグリゲーションの際に複数のPUCCH伝送のために複数のUL CCを用いる。」ことは周知であったこととも適合する。
さらに、同記載から、引用例1は「TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは同期が外れ、所有するリソースを解放する」ものである。
してみれば、引用例1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「TAグループ1に属するPUCCHを送信可能なCCと、TAグループ2に属するPUCCHを送信可能なCCとを、アグリゲートする手段と、
TAグループ1の各CCに対応するTAタイマと、
TAグループ2の各CCに対応するTAタイマと、
を有し、
TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは上りリンク同期が外れ、PUCCHのリソースを解放するUE。」
4 引用例3
原査定の拒絶の理由で引用された InterDigital Communications, Support for multiple Timing Advance in LTE CA(当審仮訳:「LTE CAにおける複数タイミングアドバンスのサポート」) [online], 3GPP TSG-RAN WG2 #74 R2-113255, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL2/TSGR2_74/Docs/R2-1132555.zip>,2011年5月3日掲載(以下「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「Proposal 2: The UE Supports at most two TA groups, a primary TA group and a secondary TA group.
Proposal 3: The primary TA group consists of the PCell, and zero or more SCell(s).
Proposal 4: The secondary TA group consists of zero or more SCell(s), and whether or not a SCell is part of the secondary TA group is configured by RRC.」(第4ページ第35-38行)
(当審仮訳:
「提案2: UEはプライマリTAグループとセカンダリTAグループの最大2TAグループをサポートする。
提案3: プライマリTAグループはPCellと0又はそれ以上のSCellから成る。
提案4: セカンダリTAグループは0又はそれ以上のSCellから成り、SCellがセカンダリTAグループの一部であるかどうかはRRCにより構成される。」)
してみれば、「CAにおいて、プライマリセルを含むセルグループとセカンダリセルのみからなるセルグループにグループ分けすること。」は公知である。
第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
1 本願発明の「セル」、「無線端末」と引用発明の「CC」、「UE」とでは、表現上の差異があるに過ぎない。また、本願の発明の詳細な説明【0008】の「3GPPでは、上り信号の送信タイミングを共通に制御できる1つ又は複数のコンポーネントキャリア(セル)のグループを同期グループ(Timing Advance Group:TAグループ)と呼ぶ。」との記載によれば、本願発明の「セルグループ」は「TAグループ」を含むから、引用発明の「TAグループ」は、本願発明の「セルグループ」に相当する。
してみれば、本願発明の「第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能なプライマリセルを少なくとも含む第1のセルグループと、第2のPUCCHを送信可能なセカンダリセルを少なくとも含む第2のセルグループとを、アグリゲートする手段」と、引用発明の「TAグループ1に属するPUCCHを送信可能なCCと、TAグループ2に属するPUCCHを送信可能なCCとを、アグリゲートする手段」とでは、「第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能なセルを少なくとも含む第1のセルグループと、第2のPUCCHを送信可能なセルを少なくとも含む第2のセルグループとを、アグリゲートする手段」との点で共通する。
また、引用発明の「TAグループ1の各CCに対応するTAタイマ」及び「TAグループ2の各CCに対応するTAタイマ」と、本願発明の「前記第1のセルグループに対応する第1のタイマ」及び「前記第2のセルグループに対応する第2のタイマ」とでは、どちらもセルグループに関連するタイマを有するとの点では共通するから、それぞれ、「前記第1のセルグループに関連する第1のタイマ」、及び、「第2のセルグループに関連する第2のタイマ」との点で共通する。
引用発明の「TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは上りリンク同期が外れ、PUCCHのリソースを解放する」との事項から、引用発明において、TAタイマ1及びTAタイマ2は、「セルグループの少なくとも1つのサービングセルでの無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され」ているといえる。してみれば、本願発明と引用発明とでは、「前記第1のタイマは、前記第1のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され」、「前記第2のタイマは、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され」との点で共通する。
次に、引用発明では、TAグループ2の少なくとも一つのキャリア(サービングセルに相当)で上りリンク送信をおこなっていることは明らかであるから、本願発明と引用発明とでは、「前記第2のセルグループの運用は、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信を含む」との点で共通する。
よって、本願発明と、引用発明とでは、
「第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能なセルを少なくとも含む第1のセルグループと、第2のPUCCHを送信可能なセルを少なくとも含む第2のセルグループとを、アグリゲートする手段と、
前記第1のセルグループに関連する第1のタイマと、
前記第2のセルグループに関連する第2のタイマと、
前記第1のタイマは、前記第1のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され、
前記第2のタイマは、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信が同期しているか否かを制御するために使用され、
前記第2のセルグループの運用は、前記第2のセルグループの少なくとも1つのサービングセルでの前記無線端末の上りリンク送信を含むことを特徴とする無線端末」
との点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明が、第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能な「プライマリセル」を少なくとも含む第1のセルグループと、第2のPUCCHを送信可能な「セカンダリセル」を少なくとも含む第2のセルグループとを、アグリゲートする手段を有するのに対し、引用発明では、「プライマリセル」及び「セカンダリセル」について、何ら特定されていない点。
(相違点2)
本願発明が「前記第1のセルグループに対応する第1のタイマ」と、「前記第2のセルグループに対応する第2のタイマ」とを有するのに対し、引用発明は「TAグループ1の各CCに対応するTAタイマ」と、「TAグループ2の各CCに対応するTAタイマ」とを有するものである。すなわち、本願発明がセルグループにタイマが対応しているのに対し、引用発明では、TAグループの各CCにTAタイマが対応している点。
(相違点3)
本願発明が「前記第1のセルグループに対応する第1のタイマの満了は、前記第2のセルグループの運用に影響」しないのに対し、引用発明は、TAタイマ1の満了がTAグループ2の運用に影響があるか否かは特定がない点。
第6 判断
1 相違点1について
前記「第4 4」で検討したとおり「CAにおいて、プライマリセルを含むセルグループとセカンダリセルのみからなるセルグループにグループ分けすること。」は公知である。よって、引用発明において、そのような構成を採用し、TAグループ1を「第1の物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)を送信可能なプライマリセルを少なくとも含む第1のセルグループ」とし、TAグループ2を「第2のPUCCHを送信可能なセカンダリセルを少なくとも含む第2のセルグループ」とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
2 相違点2について
同一のタイミングアドバンスを有するセルグループにおいて、タイマがタイムアウトしたとき、前記セルグループに属するセルの同期が外れることは、引用発明が「TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは上りリンク同期が外れ、PUCCHのリソースを解放する」ものであることからも理解されるように、技術常識である。してみれば、引用発明のTAグループの各CCにTAタイマが対応することに換え、TAグループにタイマが対応するようにすることも可能であることは、当業者にとって明らかである。してみれば、「前記第1のセルグループに対応する第1のタイマ」と、「前記第2のセルグループに対応する第2のタイマ」とを有するものとすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。
3 相違点3について
引用発明は、上記「第4 3」で検討したとおり、「TAグループ内の1個のCCに対応するTAタイマがタイムアウトした場合、このTAグループ内のすべてのCCは上りリンク同期が外れ、PUCCHのリソースを解放する」ものである。ここで、引用発明は、TAグループ毎にTAタイマ及びPUCCHリソースを有することから、一方のTAグループがタイムアウトしたとしても、もう一方のTAグループは、TAタイマは独立しており、TAタイマが継続している限り、当該TAグループのPUCCHを用いて、HARQ等の上りリンク制御チャネルによる送信が可能である。すなわち、一方のTAタイマの満了が他方のTAグループの動作に影響を与える必然性はない。してみれば、引用発明において一方のTAタイマの満了を他方のTAタイマの満了に影響させるか否かは、当業者であれば、設計的に決定できる事項である。したがって、引用発明において「前記第1のセルグループに対応する第1のタイマの満了は、前記第2のセルグループの運用に影響」しないように構成することは、当業者が容易に想到することができた事項である。
よって、本願発明は、引用例1及び引用例3,5,6に記載された周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-003152