特許異議申立
2017-700871
射出成形機の操作説明の表示方法、及び射出成形機
- 審判番号
- 2017-700871
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-013848
- 登録番号
- 特許第6134660号(P6134660)
- 請求日
- 2017年09月13日
- 審決日
- 2018年11月06日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ソディック
- 【権利者代理人】木森 有平
- 【権利者代理人】浅香 小百合
- 【異議申立人】藤江 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 加藤 友也
- 審判官 須藤 康洋
- 審判官 大島 祥吾
- 分類
- P1651.113-YAA(B29C) / P1651.121-YAA(B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6134660号発明「射出成形機の操作説明の表示方法、及び射出成形機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6134660号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~4]、5について訂正することを認める。
特許第6134660号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 主な手続の経緯等
特許第6134660号(設定登録時の請求項の数は5。以下、「本件特許」という。)は、平成26年1月29日を出願日とする特願2014-13848号に係るものであって、平成29年4月28日に設定登録され、同年5月24日に特許掲載公報が発行された。
特許異議申立人 藤江桂子(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成29年9月13日、本件特許の請求項1ないし5に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。
当審において、平成30年2月1日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、同年4月3日付けで、訂正請求書及び意見書を提出したので、同年4月9日付けで異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年5月8日付けで意見書を提出した。
当審において、平成30年6月12日付けで取消理由(決定の予告)を通知したところ、特許権者は、同年8月7日付けで、訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)及び意見書を提出したので、同年9月11日付けで異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年10月4日付けで意見書を提出した。
なお、平成30年4月3日付け訂正請求書に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の訂正事項1ないし9のとおりである。なお、下線については訂正箇所に請求人が付したものである。
訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機」
とあるのを、
「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる射出成形機」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2、3、4も同様に訂正する。
訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、」
とあるのを、
「操作者が前記所望の操作説明に係る頁を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2、3、4も同様に訂正する。
訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、」
とあるのを、
「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書を記憶媒体に記録しておき、」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2、3、4も同様に訂正する。
訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」
とあるのを、
「前記操作説明書の全ての頁の中から所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁を前記画面上に表示させる」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2、3、4も同様に訂正する。
訂正事項5
訂正前の特許請求の範囲の請求項3に
「前記画面に前記所望の操作説明をブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させる」
とあるのを、
「前記画面に前記所望の操作説明に係る頁をブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させる」
に訂正する。
請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。
訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に
「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機」
とあるのを、
「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる射出成形機」
に訂正する。
訂正事項7
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に
「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、」
とあるのを、
「操作者が前記所望の操作説明に係る頁を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、」
に訂正する。
訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に
「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、」
とあるのを、
「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書を記憶媒体に記録しておき、」
に訂正する。
訂正事項9
訂正前の特許請求の範囲の請求項5に
「前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」
とあるのを、
「前記操作説明書の全ての頁の中から前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁を前記画面上に表示させる」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
ア この訂正は、訂正前の請求項1では、「射出成形機」について「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる」ことを特定していたものを、訂正後の請求項1では、「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる」との記載により、射出成形機における表示対象をより具体的に特定し、さらに限定するものである。
よって、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0003】【0010】【0011】【0034】【0038】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、表示対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(2) 訂正事項2について
ア この訂正は、訂正前の請求項1では、「ボタン画像」を修飾する事項を「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作する」と特定していたものを、訂正後の請求項1では、「操作者が前記所望の操作説明に係る頁を前記画面に表示させるために操作する」とすることにより、ボタン画像を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0038】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項2は、ボタン画像をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(3) 訂正事項3について
ア この訂正は、訂正前の請求項1では、「記憶媒体に記録」しておく対象を「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明」と特定していたものを、訂正後の請求項1では、「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書」とすることにより、「記憶媒体に記録」しておく対象を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0034】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項3は、「記憶媒体に記録」しておく対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(4) 訂正事項4について
ア この訂正は、訂正前の請求項1では、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象を「前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明」と特定していたものを、訂正後の請求項1では、「前記操作説明書の全ての頁の中から所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁」とすることにより、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0034】、【0038】、【0040】及び図2の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項4は、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(5) 訂正事項5について
ア この訂正は、訂正前の請求項3では、「ブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させる」対象を「前記画面に前記所望の操作説明」と特定していたものを、訂正後の請求項3では、「前記画面に前記所望の操作説明に係る頁」とすることにより、「ブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させる」対象を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0034】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項5は、「ブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させる」対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(6) 訂正事項6について
ア この訂正は、訂正前の請求項5では、「射出成形機」について「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる」ことを特定しているが、訂正後の請求項5では、「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる」との記載により、射出成形機における表示対象をより具体的に特定し、さらに限定するものである。
よって、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項6は、願書に添付した明細書の段落【0003】【0010】【0011】【0034】【0038】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項6は、表示対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(7) 訂正事項7について
ア この訂正は、訂正前の請求項5では、「ボタン画像」を「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作する」と特定していたものを、訂正後の請求項5では、「操作者が前記所望の操作説明に係る頁を前記画面に表示させるために操作する」とすることにより、ボタン画像を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項7は、願書に添付した明細書の段落【0038】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項7は、ボタン画像をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(8) 訂正事項8について
ア この訂正は、訂正前の請求項5では、「記憶媒体に記録」しておく対象を「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明」と特定していたものを、訂正後の請求項5では、「前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書」とすることにより、「記憶媒体に記録」しておく対象を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項8は、願書に添付した明細書の段落【0034】の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項8は、「記憶媒体に記録」しておく対象を具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(9) 訂正事項9について
ア この訂正は、訂正前の請求項5では、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象を「前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明」と特定していたものを、訂正後の請求項5では、「前記操作説明書の全ての頁の中から所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁」とすることにより、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象を、より具体的に特定し、更に限定するものである。
よって、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項9は、願書に添付した明細書の段落【0034】、【0038】、【0040】及び図2の記載からみて、新規事項を追加するものではない。
ウ 上記アの理由から明らかなように、訂正事項9は、「記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」対象をより具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲の変更又は拡張するものでもない。
エ よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。
(10) 一群の請求項について
訂正前の請求項2~4は、訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用しているものであるから、訂正前の請求項1~4は一群の請求項であり、訂正前の請求項5は独立請求項である。
そうすると、訂正事項1ないし9は、訂正前の請求項1~4及び請求項5という一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項に適合するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~4]、5について、訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、平成30年8月7日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下に記載のとおりのものである。
「【請求項1】
タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が前記所望の操作説明に係る頁を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記操作説明書の全ての頁の中から前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁を前記画面上に表示させることを特徴とする射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項2】
前記画面には、少なくとも射出条件設定画面と、型開閉条件設定画面と、温度条件設定画面があり、前記操作者が設定条件を入力する前記入力要素を示す画像を選択操作したときに前記規定の表示領域の一部ないしは全部が強調表示されることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項3】
前記画面に前記所望の操作説明に係る頁をブラウザなどの表示アプリケーションによって表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項4】
前記所定位置は、いずれも、前記画面の四隅付近のうちいずれか一箇所であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の射出成形機の操作説明の表示方法。
【請求項5】
射出成形機の制御装置に付設のタッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁を選択的に表示させる射出成形機であって、前記制御装置が、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数頁からなる操作説明書を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記操作説明書の全ての頁の中から前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明に係る頁を前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で前記所望の操作説明に係る頁を前記画面上に表示させることを特徴とする射出成形機。」
第4 特許異議申立ての内容
1 異議申立人は、異議申立理由として下記2の証拠方法を提示するとともに、概略、以下の取消理由を主張する。なお、異議申立人は、意見書に添付して下記3及び4の参考資料を提出した。
<取消理由1>
本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<取消理由2>
本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<取消理由3>
本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
<取消理由4>
本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2 特許異議申立書に添付した証拠方法
甲1:特開2010-158841号公報
甲2:特開2004-155073号公報
甲3:特開2004-155088号公報
甲4:特開平10-268917号公報
甲5:特開平4-155217号公報
甲6:特開平4-130527号公報
甲7:特開平3-266115号公報
甲8:特開2003-19470号公報
甲9:特開2001-306583号公報
甲10:特開2011-179899号公報
甲11:特開2000-348022号公報
甲12:特開2003-191308号公報
3 平成30年5月8日付けの異議申立人の意見書に添付された参考資料。
参考資料1:特開昭62-127923号公報
参考資料2:特開2005-234645号公報
4 平成30年10月4日付けの異議申立人の意見書に添付された参考資料。
参考資料a:特開2012-257132号公報
参考資料b:特開2007-178472号公報
参考資料c:特開2010-185994号公報
参考資料d:特開2012-68894号公報
第5 取消理由(決定の予告)の概要
平成30年6月12日付けで通知した取消理由(決定の予告)は、以下のとおりである。
【理由1】 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲1に記載された発明並びに甲4、甲10、甲12に記載の周知技術及び下記の刊行物に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
記
周知技術
特開2006-309511号公報(当審において提示する文献)
特開2010-55156号公報(当審において提示する文献)
特開昭62-127923号公報(参考資料1)
第6 取消理由(決定の予告)についての当審の判断
当審は、以下述べるように、上記取消理由(決定の予告)の【理由1】には、理由がないと判断する。
1 甲1(特開2010-158841号公報)に記載された発明
甲1には、特許請求の範囲の請求項8に、
「(a)操作者による操作部の操作に基づいて、表示部に所定の設定画面を形成し、
(b)操作者によって、成形条件の所定の設定項目が選択され、確定操作要素が押下されたときに、前記設定画面の領域の一部に前記設定項目に対応させて案内画面を形成し、
(c)記録部から案内情報を読み出し、前記案内画面に表示することを特徴とする設定画面の表示方法。」
が記載されており、その具体的な実施態様として、段落【0015】、【0024】~【0028】、【0037】、【0038】において、射出成形機のタッチパネルによって形成されている表示部と操作部を備えた制御パネルでの設定画面の設定方法が説明がなされている。
そして、上記請求項8の(a)工程における「所定の設定画面」として、段落【0015】、【0024】~【0028】において、「段取、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、波形表示、品質管理及び生産管理の各設定を行うための所定の設定画面」が記載されていて、同じく、上記請求項8の(b)工程における「成形条件の所定の設定項目が選択」についての具体的な操作について、段落【0040】~【0042】において、「領域AR(図3)において所定のカーソル移動キーを押下し、前記設定画面g1上のカーソルを各設定項目のうちの所定の設定項目m1、図5においては、休止時間に移動させ」ることが示され、同じく請求項8の(b)工程における「確定操作要素が押下」として、段落【0040】~【0042】において、具体的な操作として「ヘルプキー(HELP)を押下すること」が示されるとともに、「ヘルプキー(HELP)k12を押下することによって案内情報を要求すると、設定項目m1として休止時間が選択され」と記載されている。
また、上記請求項8の(c)工程における「記録部」からの「案内情報」について、段落【0040】~【0042】において、メモリに記録される情報として「案内情報には、設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンスのほかに、設定項目の現在の設定値、設定項目に関連する設定項目である関連設定項目の実績値及び設定値、遅延時間等の補正値、最適な設定値を表す計算値、射出成形機の特性情報(射出成形機のパラメータ、射出成形機固有の情報等が含まれる。)等の参照値」が示されている。
これらを踏まえると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されているといえる。
「タッチパネルによって形成されている表示部と操作部とを備えた制御パネルを有する射出成形機の表示部の設定画面の表示方法であって、
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、前記表示部に段取、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、波形表示、品質管理及び生産管理の各設定を行うための所定の設定画面を形成し、それぞれの設定画面において設定項目に係る設定値を入力し、各種の設定を行うことができるようになっていて、
(b)操作者によって、領域において所定のカーソル移動キーを押下し、前記設定画面上のカーソルを所定の設定項目に移動させ、操作部に設けられたヘルプキー(HELP)を押下することによって案内情報を要求すると、当該設定項目が選択され、前記設定画面の領域の一部に、当該設定項目に対応させて、案内画面としてのポップアップ画面を形成し、
(c)メモリから当該設定項目に関する案内情報を読み出し、当該案内情報は、設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンスのほかに、設定項目の現在の設定値、設定項目に関連する設定項目である関連設定項目の実績値及び設定値、遅延時間等の補正値、最適な設定値を表す計算値、射出成形機の特性情報(射出成形機のパラメータ、射出成形機固有の情報等が含まれる。)等の参照値であって、前記案内画面に表示する
設定画面の表示方法。」
また、上記甲1発明Aの表示方法を行う射出成形機として、次の発明(以下、「甲1発明B」という。)が記載されているといえる。
「タッチパネルによって形成されている表示部と操作部とを備えた制御パネルを有する射出成形機において、表示部の設定画面の表示が、以下(a)~(c)により行われる射出成形機。
(a)操作者による操作部の操作に基づいて、前記表示部に段取、型開閉、可塑化、温度、一覧設定、波形表示、品質管理及び生産管理の各設定を行うための所定の設定画面を形成し、それぞれの設定画面において設定項目に係る設定値を入力し、各種の設定を行うことができるようになっていて、
(b)操作者によって、領域において所定のカーソル移動キーを押下し、前記設定画面上のカーソルを所定の設定項目に移動させ、操作部に設けられたヘルプキー(HELP)を押下することによって案内情報を要求すると、当該設定項目が選択され、前記設定画面の領域の一部に、当該設定項目に対応させて、案内画面としてのポップアップ画面を形成し、
(c)メモリから当該設定項目に関する案内情報を読み出し、当該案内情報は、設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンスのほかに、設定項目の現在の設定値、設定項目に関連する設定項目である関連設定項目の実績値及び設定値、遅延時間等の補正値、最適な設定値を表す計算値、射出成形機の特性情報(射出成形機のパラメータ、射出成形機固有の情報等が含まれる。)等の参照値であって、前記案内画面に表示する」
2 本件発明1について
(1) 本件発明1と甲1発明Aとを対比する。
本件発明1と甲1発明Aとを対比する。
甲1発明Aの射出成形機の制御パネルにおける「表示部」は、タッチパネルによって形成されているから、本件発明1の「タッチパネルディスプレイ」に相当する。
甲1発明Aの「ヘルプキー(HELP)」は、ヘルプキー(HELP)を押下することによって案内情報を要求するものであるから、本件発明1の「操作者が前記所望の操作説明」「を前記画面に表示させるために操作する」「ボタン」に相当する。
甲1発明Aの「メモリ」は、本件発明1の「記憶媒体」に相当する。
甲1発明Aの「案内情報」は、「前記各設定画面において、設定画面の名称、各設定項目の初期値等だけが表示されると、操作者が設定画面、設定項目等の意味、最適な設定値等についての認識を有していない場合、成形条件を設定するのが困難になってしまう」(甲1の【0037】)ことに対処するために表示されるものであって、「案内情報」には、「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」が含まれているから(甲1の【0042】)、本件発明1の「複数の運転操作に関係する」「所望の操作説明」の限りにおいて相当する。
甲1発明Aの「射出成形機の」「設定画面の表示方法」は、「前記各設定画面において、設定画面の名称、各設定項目の初期値等だけが表示されると、操作者が設定画面、設定項目等の意味、最適な設定値等についての認識を有していない場合、成形条件を設定するのが困難になってしまう」ことに対処するため(甲1の【0037】参照)に設けられたものであって、設定画面において選択された設定項目に関する案内情報を設定画面にポップアップされる案内画面に表示させるものであるから、操作説明が上記案内情報である限りにおいて、本件発明1の「射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する」「所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法」に相当する。
甲1発明Aにおいて、上記「案内情報」を要求する前に操作者が「設定画面上のカーソルを各設定項目のうちの所定の設定項目に移動させ」た状態は、本件発明1の「操作者が所望の運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態」に相当し、甲1発明Aの当該状態で「ヘルプキー(HELP)を押下すること」は、本件発明1の「次に前記ボタン」「を操作」に相当する。
甲1発明Aの「設定画面」に上記案内情報の「案内画面」を表示させる表示方法は、甲1発明Aの設定画面において「操作者が」「前記設定画面上のカーソルを各設定項目のうちの所定の設定項目に移動させ、ヘルプキー(HELP)を押下することによって案内情報を要求すると」「当該設定項目に対応させて、案内画面としてのポップアップ画面を形成し」「メモリから当該設定項目に関する案内情報を読み出し」「前記案内画面に表示」している。そうすると、甲1発明Aの「案内情報」は、「画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて」「記憶媒体に記録」されている「案内情報」といえるし、甲1発明Aの表示方法においても、「前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタンを操作したときに、」「前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明」「を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる」ことが行われているといえる。
そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、
「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタンを有し、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタンを操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法。」
で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン」に関し、本件発明1は、ボタンを「ボタン画像」とし、当該「画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておく」と特定するのに対し、甲1発明Aは、タッチパネルによって形成される「表示部」ではなく、「操作部」に「ヘルプキー(HELP)」として設けられている点。
<相違点2>
ボタン(ヘルプキー(HELP))を操作した時に選択的に表示され、記憶媒体(メモリ)に記録されている操作説明に関し、本件発明1は、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させると特定するのに対し、甲1発明Aは、「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」を表示させる点。
(2) 以下、相違点について検討する。
事案に鑑み、相違点2から検討する。
甲1発明Aの案内情報として例示されている「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」は、本件発明1の「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」とは相違するものであり、また、異議申立人が提出したいずれの証拠をみても、「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」として、「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」を「所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させることについては記載されていない。
参考資料aには、電子機器等でトラブルが発生した場合に、サービスマニュアルの必要なページを、前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で表示すること、同じく参考資料bには、マニュアルを頁ごとに表示させるときに、前後のページを表示させることができる状態で表示することが記載されているが、これらは、甲1発明の射出成形機の技術分野とは異なる分野のものであり、さらに、「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」を表示させるものではない。
そうすると、操作説明書の頁を前後のページを表示させることができる状態で表示することが周知であるといえたとしても、甲1発明Aの案内情報である「設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」を、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させるようにする動機はなく、当業者といえども、相違点2が容易想到ということはできない。
(3) まとめ
上記のことから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明A並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明2ないし4について
本件発明2ないし4は、請求項1を直接又は間接的に引用する発明であるから、少なくとも上記2における相違点2の点で、甲1に記載された発明と相違しており、上記相違点2は、上記のとおり当業者においても容易想到といえないから、本件発明2ないし4も、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではない。
4 本件発明5について
本件発明5と甲1発明Bとの対比・判断
本件発明5と、甲1発明Bを対比すると、上記2における検討のとおりであって、本件発明5と甲1発明Bとは、
「射出成形機の制御装置に付設のタッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の複数の運転操作にそれぞれ関係する複数の操作説明のうちの所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機であって、前記制御装置が、操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタンを有し、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて前記複数の操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタンを操作したときに、前記所望の運転操作に関係する前記所望の操作説明を前記記憶媒体から読み出して前記画面上に表示させる射出成形機。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点3>
「操作者が前記所望の操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン」に関し、本件発明5は、ボタンを「ボタン画像」とし、当該「画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておく」と特定するのに対し、甲1発明Bは、タッチパネルによって形成されている「表示部」ではなく、「操作部」に「ヘルプキー(HELP)」として設けられている点。
<相違点4>
ボタン(ヘルプキー(HELP))を操作した時に選択的に表示され、記憶媒体(メモリ)に記録されている操作説明に関し、本件発明5は、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させると特定するのに対し、甲1発明Bは、「該案内情報には、設定画面、設定項目等の意味、成形条件を設定する際の注意事項等を表すガイダンス」を表示するものである点。
以下、相違点について検討するに、相違点4は、上記2における相違点2と実質的に同じであるから、上記2における相違点2で検討したことと同様の理由により、相違点4は容易想到とはいえない。
よって、本件発明5は、甲1発明B並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 まとめ
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし5に係る特許についての取消理由の理由1には理由がない。
第7 取消理由に採用しなかった特許異議申立理由について
1 異議申立人の主張する<取消理由1>について
上記第5において検討したとおり、本件発明1及び本件発明5と甲1に記載された発明との間には、実質的な相違点があるから、本件発明1及び本件発明5は、甲1に記載された発明ではない。請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2ないし4も同様である。
よって、異議申立人の主張する<取消理由1>は、理由がない。
2 異議申立人の主張する<取消理由3>について
(1) 甲2には、段落【0002】、【0012】、【0015】、【0018】~【0020】、図2、図5の記載から、次の発明(以下、「甲2発明A」という。)が記載されていると認める。
「射出成形機における動作条件の設定画面について、選択された項目に対応する設定キーK1等をタッチすることにより設定支援ボードが自動的に表示され、入力項目に相当する設定キーKpをタッチすると、当該設定支援ボードに設定範囲、設定値が表示され、設定項目表示部に必要な各種情報が表示される、射出成形機の表示方法。」
また、上記甲2発明Aの表示方法を行う射出成形機として、次の発明(以下、「甲2発明B」という。)が記載されているといえる。
「射出成形機の制御装置に付設しているタッチパネルディスプレイで射出成形機の動作条件を設定する射出成形機であって、
射出成形機における動作条件の設定画面について、選択された項目に対応する設定キーK1等をタッチすることにより設定支援ボードが自動的に表示され、入力項目に相当する設定キーKpをタッチすると、当該設定支援ボードに設定範囲、設定値が表示され、設定項目表示部に必要な各種情報が表示される、射出成形機。」
(2) 本件発明1と甲2発明Aとを対比すると、両発明は、「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記所望の操作説明を前記画面上に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法。」で一致し、少なくとも、以下の相違点で相違している。
<相違点甲2-1>
本件発明1は、「前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記操作説明」を表示させるものであるのに対し、甲2発明Aは、入力項目に相当する設定キーKpをタッチすると、自動的に「設定範囲、設定値」、「設定項目表示部に必要な各種情報」が表示されるものである点。
<相違点甲2-2>
画面上に表示させる所定の操作説明に関し、本件発明1は、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させると特定するのに対し、甲2発明Aは、「設定範囲、設定値」及び「設定項目表示部に必要な各種情報」を表示させる点。
(3) 上記相違点について検討する。
相違点甲2-1について
甲2発明Aの表示方法は、設定キーKpをタッチすると自動的に設定支援ボードに「設定範囲、設定値」及び「設定項目表示部に必要な各種情報」が表示されるものであるから、当該甲2発明Aの表示方法に基づいては、本件発明1の「前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で」操作する「ボタン画像」、いわゆるヘルプキーを設ける動機はないから、相違点甲2-1は、当業者においても容易想到ということはできない。
相違点甲2-2について
甲2発明Aの案内情報として例示されている「設定項目表示部に必要な各種情報」は、本件発明1の「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」とは相違するものであり、また、異議申立人が提出したいずれの証拠をみても、「設定項目表示部に必要な各種情報」として、「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」を「所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させることについては記載されていない。
参考資料aには、電子機器等でトラブルが発生した場合に、サービスマニュアルの必要なページを、前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で表示すること、同じく参考資料bには、マニュアルを頁ごとに表示させるときに、前後のページを表示させることができる状態で表示することが記載されているが、これらは、甲2発明Aの射出成形機の技術分野とは異なる分野のものであり、さらに、「設定項目表示部に必要な各種情報」を表示させるものではない。
そうすると、操作説明書の頁を前後のページを表示させることができる状態で表示することが周知であるといえたとしても、甲2発明Aの案内情報である「設定項目表示部に必要な各種情報」を、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させるようにする動機はなく、当業者といえども、相違点甲2ー2が容易想到ということはできない。
以上のことから、本件発明1は、甲2に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2ないし4も同様である。
(4) 本件発明5と甲2発明Bとを対比すると、少なくとも上記(2)の相違点甲2-1及び相違点甲2-2で相違していて、当該相違点の判断は、上記(3)のとおりである。
してみれば、本件発明5は、甲2に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5) よって、異議申立人の主張する<取消理由3>は、理由がない。
3 異議申立人の主張する<取消理由4>について
(1) 甲3には、段落【0001】、【0024】、【0025】、図4、図5の記載から、次の発明(以下、「甲3発明A」という。)が記載されていると認める。
「射出成形機における段取り作業に際して、項目選択ボタンB1をタッチすることにより、ガイダンス表示部Wmに、当該項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFmが表示される、射出成形機の表示方法。」
また、上記甲3発明Aの表示方法を行う射出成形機として、次の発明(以下、「甲3発明B」という。)が記載されているといえる。
「射出成形機のタッチパネルを付設したカラー液晶ディスプレイで射出成形機の段取り作業のガイダンスメッセージを表示する射出成形機であって、
項目選択ボタンB1をタッチすることにより、ガイダンス表示部Wmに、当該項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFmが表示される、射出成形機。」
(2) 本件発明1と甲3発明Aとを対比すると、両発明は、「タッチパネルディスプレイの画面に射出成形機の所望の操作説明を選択的に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法であって、操作者が操作説明を前記画面に表示させるために操作するボタン画像を前記画面上の所定位置に予め表示させておくとともに、前記画面上に表示される前記複数の運転操作に関係する入力要素を示す画像にそれぞれ対応する前記画面中の予め定められた規定の表示領域を示すデータと関連付けて操作説明を記憶媒体に記録しておき、前記所望の操作説明を前記画面上に表示させる射出成形機の操作説明の表示方法。」で一致し、少なくとも、以下の相違点で相違している。
<相違点甲3-1>
本件発明1は、「前記操作者が所望の前記運転操作に関係する前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で次に前記ボタン画像を操作したときに、前記操作説明」「を前記画面上に表示させる」ものであるのに対し、甲3発明Aは、項目選択ボタンB1をタッチすると、ガイダンス表示部Wmに「項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFm」が表示されるものである点。
<相違点甲3-2>
画面上に表示される所定の操作説明に関し、本件発明1は、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させると特定するのに対し、甲3発明Aは、「項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFm」を表示させる点。
(3) 上記相違点について検討する。
相違点甲3-1について
甲3発明Aの表示方法は、項目選択ボタンB1をタッチすると自動的にガイダンス表示部Wmに「項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFm」が表示されるものであるから、当該甲3発明Aの表示方法に基づいては、本件発明1の「前記入力要素を示す画像を選択操作した状態で」操作する「ボタン画像」、いわゆるヘルプキーを設ける動機はないから、相違点甲3-1は、当業者においても容易想到ということはできない。
相違点甲3-2について
甲3発明Aの案内情報として例示されている「項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFm」は、本件発明1の「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」とは相違するものであり、また、異議申立人が提出したいずれの証拠をみても、「項目選択ボタンB1に係る作業全体のガイダンスメッセージFm」として、「操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」を「所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させることについては記載されていない。
参考資料aには、電子機器等でトラブルが発生した場合に、サービスマニュアルの必要なページを、前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で表示すること、同じく参考資料bには、マニュアルを頁ごとに表示させるときに、前後のページを表示させることができる状態で表示することが記載されているが、これらは、甲3発明Aの射出成形機の技術分野とは異なる分野のものであり、さらに、「作業全体のガイダンスメッセージFm」を表示させるものではない。
そうすると、操作説明書の頁を前後のページを表示させることができる状態で表示することが周知であるといえたとしても、甲3発明Aの案内情報である「作業全体のガイダンスメッセージFm」を、「具体的で詳しい操作方法が記載されている書類である複数頁からなる操作説明書のうちの所望の操作説明に係る頁」であって「前記記憶媒体から読み出して前記所望の操作説明に係る頁の前後のページを表示させることができる状態で」表示させるようにする動機はなく、当業者といえども、相違点甲3ー2が容易想到ということはできない。
以上のことから、本件発明1は、甲3に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2ないし4も同様である。
(4) 本件発明5と甲3発明Bとを対比すると、少なくとも上記(2)の相違点甲3-1及び相違点甲3-2で相違していて、当該相違点の判断は、上記(3)のとおりである。
してみれば、本件発明5は、甲3に記載された発明並びに周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5) よって、異議申立人の主張する<取消理由4>は、理由がない。
なお、異議申立人の主張する<取消理由2>については、第6のとおりである。
第8 むすび
以上のとおり、本件発明1ないし5に係る特許は、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-700871