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特許異議申立

2017-700843

鮮度保持フィルム

審判番号
2017-700843
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-505540外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年09月06日
審決日
2018年05月11日
公報発行日
2018年08月31日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C08J) / P1651.121-YAA(C08J) / P1651.536-YAA(C08J) / P1651.537-YAA(C08J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第1205条の5第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6101785号発明「鮮度保持フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6101785号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~11、13~15〕について訂正することを認める。 特許第6101785号の請求項1、3ないし12、14及び15に係る特許を維持する。 特許第6101785号の請求項2及び13に係る特許についての特許異議の申し立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6101785号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2014年3月13日(優先権主張2013年3月14日、日本国、2013年5月23日、日本国、2013年7月2日、日本国、2013年10月18日、日本国、2013年11月21日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成29年3月3日にその特許権の設定登録(請求項数:14)がされ、その後、その特許に対し、同年9月6日付け(受理日:同年9月7日)で特許異議申立人 小関 勝成(以下、「特許異議申立人1」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし9及び14)がされ、同年9月20日に特許異議申立人 江崎 宗憲(以下、「特許異議申立人2」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし14)がされ、当審において同年12月20日付けで取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、平成30年2月15日付け(受理日:同年2月16日)に特許権者 三井化学東セロ株式会社より意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年2月22日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年3月26日に特許異議申立人2より意見書が提出され、同年3月28日付け(受理日:同年3月29日)で特許異議申立人1より意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否について 1 訂正の内容 平成30年2月15日付け(受理日:同年2月16日)でされた訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「少なくとも一方の表面に、パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(a)が存在し、 前記表面における前記(a)の量が0.002~0.5g/m2である鮮度保持フィルム。」の記載を、 「少なくとも一方の表面に、ステアリルジエタノールアミンが存在し、 前記表面における前記ステアリルジエタノールアミンの量が0.002~0.5g/m2であり、 前記ステアリルジエタノールアミンの含有量が0.03~3質量%である鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の 「前記(a)が含まれる請求項1又は2に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる請求項1に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4の 「前記(a)が含まれる請求項1から3のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる請求項1又は3に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5の 「少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(b)が存在し、 前記表面における前記(b)の量が0.002~0.5g/m2である鮮度保持フィルム。」の記載を、 「少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2であり、 前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、 少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6の 「前記(b)が含まれる請求項5に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記グリセリンモノラウレートが含まれる請求項5に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7の 「前記(b)が含まれる請求項5又は6に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記グリセリンモノラウレートが含まれる請求項5又は6に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8の 「請求項1から7のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「請求項1及び3から7のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9の 「請求項1から8のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10の 「請求項1から9のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「請求項1及び3から9のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11の 「請求項1から10のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「請求項1及び3から10のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項14の 「請求項1から13のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「請求項1及び3から12のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項15として、 「少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2であり、 少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。」を追加する。 (15)訂正事項15 明細書の【0007】の 「本発明は以下の[1]~[14]である。」の記載を、 「本発明は以下の[1]、[3]~[12]、[14]及び[15]である。」に訂正する。 (16)訂正事項16 明細書の【0008】の 「[1]少なくとも一方の表面に、パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(a)が存在し、前記表面における前記(a)の量が0.002~0.5g/m2である鮮度保持フィルム。」の記載を、 「[1]少なくとも一方の表面に、ステアリルジエタノールアミンが存在し、前記表面における前記ステアリルジエタノールアミンの量が0.002~0.5g/m2であり、前記ステアリルジエタノールアミンの含有量が0.03~3質量%である鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (17)訂正事項17 明細書の【0009】を削除する。 (18)訂正事項18 明細書の【0010】の 「前記(a)が含まれる[1]又は[2]に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる[1]に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (19)訂正事項19 明細書の【0011】の「前記(a)が含まれる[1]から[3]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる[1]又は[3]に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (20)訂正事項20 明細書の【0017】の 「[5]少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(b)が存在し、前記表面における前記(b)の量が0.002~0.5g/m2である鮮度保持フィルム。」の記載を、 「[5]少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2であり、前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (21)訂正事項21 明細書の【0018】の 「前記(b)が含まれる[5]に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記グリセリンモノラウレートが含まれる[5]に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (22)訂正事項22 明細書の【0019】の 「前記(b)が含まれる[5]又は[6]に記載の鮮度保持フィルム。」の記載を、 「前記グリセリンモノラウレートが含まれる[5]又は[6]に記載の鮮度保持フィルム。」に訂正する。 (23)訂正事項23 明細書の【0020】の 「[8]プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の少なくとも一方を含有する[1]から[7]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [9]少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である[1]から[8]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [10]さらに、ミリスチルジエタノールアミンモノステアレートおよびステアリルジエタノールアミンモノステアレートの少なくとも一方を含む[1]から[9]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [11]前記鮮度保持フィルムがエチレン系重合体を含み、内容物と接触する面から厚さ方向に向けて、該エチレン系重合体の密度が大きくなる[1]から[10]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [12]プロピレン系重合体またはエチレン系重合体を含む、単層フィルム、または2層以上からなる多層フィルムであって、パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンの少なくとも一方であるアルキルジエタノールアミンを0.01~1.0質量%、ジグリセリンモノパルミテートおよびジグリセリンモノミリステートの少なくとも一方を0.05~0.80質量%含む鮮度保持フィルム。 [13]密度が0.89~0.95g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレン(A)および密度が0.91~0.93g/cm3である高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量を100質量%とするとき、前記直鎖状低密度ポリエチレン(A)50~95質量%と、前記高圧法低密度ポリエチレン(B)5~50質量%と、を含み、前記直鎖状低密度ポリエチレン(A)および前記高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100質量部に対し、粘着剤(C)0.5~10質量部と、防曇剤(D)0.5~5質量部と、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の特定化合物(E)0.3~3質量部と、を含み、少なくとも一方の表面に、前記特定化合物(E)が0.002~0.5g/m2の割合で存在する鮮度保持フィルム。 [14][1]から[13]のいずれかに記載の鮮度保持フィルムを備える包装材。」の記載を、 「[8]プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の少なくとも一方を含有する[1]及び[3]から[7]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [9]少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である[1]、[3]及び[4]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [10]さらに、ミリスチルジエタノールアミンモノステアレートおよびステアリルジエタノールアミンモノステアレートの少なくとも一方を含む[1]及び[3]から[9]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [11]前記鮮度保持フィルムがエチレン系重合体を含み、内容物と接触する面から厚さ方向に向けて、該エチレン系重合体の密度が大きくなる[1]及び[3]から[10]のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。 [12]プロピレン系重合体またはエチレン系重合体を含む、単層フィルム、または2層以上からなる多層フィルムであって、パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンの少なくとも一方であるアルキルジエタノールアミンを0.01~1.0質量%、ジグリセリンモノパルミテートおよびジグリセリンモノミリステートの少なくとも一方を0.05~0.80質量%含む鮮度保持フィルム。 [14][1]及び[3]から[12]のいずれかに記載の鮮度保持フィルムを備える包装材。 [15]少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在し、前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、願書に添付した明細書の訂正をする場合であって、請求項ごとに訂正の請求をするときに、当該明細書の訂正に係る請求項の全てについて行っているか否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(a)」を、「ステアリルジエタノールアミン」に限定し、含有量を「0.03~3質量%」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴い、訂正前の請求項3における「化合物(a)」からその一部を削除して「ステアリルジエタノールアミン」に特定するものであり、また、訂正事項2に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正事項1に係る訂正に伴い、訂正前の請求項3における「化合物(a)」からその一部を削除して「ステアリルジエタノールアミン」に特定するものであり、また、訂正事項2に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項5における「グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(b)」を、「グリセリンモノラウレート」に限定し、表面における量を「0.01~2g/m2」に限定し、含有量を「0.001~3質量%」に限定し、少なくとも一方の表面の濡れ指数を「35dyn以上」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正事項5に係る訂正に伴い、訂正前の請求項6における「化合物(b)」からその一部を削除して「グリセリンモノラウレート」に特定して整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、訂正事項5に係る訂正に伴い、訂正前の請求項7における「化合物(b)」からその一部を削除して「グリセリンモノラウレート」に特定して整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、訂正事項2に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項9について 訂正事項9は、訂正事項2及び5に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)訂正事項10について 訂正事項10は、訂正事項2に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (11)訂正事項11について 訂正事項11は、訂正事項2に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (12)訂正事項12について 訂正事項12は、訂正前の請求項13を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (13)訂正事項13について 訂正事項13は、訂正事項2及び12に係る訂正に伴い、引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (14)訂正事項14について 訂正事項14は、訂正前の請求項5における「グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(b)」を、「ジグリセリンモノラウレート」に限定し、表面における量を「0.2~0.5g/m2」に限定し、少なくとも一方の表面の濡れ指数を「35dyn以上」に限定したものを新たな請求項として追加したものである。そして、訂正前の請求項5には、「化合物(b)」として「グリセリンモノラウレート」を選択した発明と、「化合物(b)」として「ジグリセリンモノラウレート」を選択した発明の少なくとも2つが記載されていたといえるから、訂正事項14により追加された請求項15に係る発明は、訂正前の請求項5の「化合物(b)」として「ジグリセリンモノラウレート」を選択した発明と対応関係にあるものといえる。したがって、訂正事項14は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (15)訂正事項15ないし23について 訂正事項15ないし23は、訂正事項1ないし14により特許請求の範囲を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項15ないし23は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 さらに、訂正事項15ないし23は、願書に添付した明細書の訂正であるが、本件訂正の請求は、訂正前の請求項1ないし11、13及び14について行うものであり、当該明細書の訂正に係る請求項の全てについて行われている。 (16)一群の請求項 訂正前の請求項1ないし4と訂正前の請求項5ないし7は、訂正前の請求項8ないし11及び14を介して一体として特許請求の範囲の全部又は一部を形成するように連関している関係にあるので、訂正前の請求項1ないし11及び14は、一群の請求項である。 そして、訂正前の請求項1ないし11及び14並びに訂正前の請求項13は、訂正前の請求項14を介して一体として特許請求の範囲の全部又は一部を形成するように連関している関係にあるので、訂正前の請求項1ないし11、13及び14は、一群の請求項である。 したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 3 訂正の適否についてのむすび 以上のとおり、訂正事項1ないし23は、それぞれ、特許法120条の5第2項ただし書第1又は3号に掲げる事項を目的とするものである。 また、訂正事項1ないし14は、一群の請求項ごとに請求された訂正であるから、同法第120条の5第4項の規定に適合する。 さらに、訂正事項1ないし23は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないので、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 さらにまた、訂正事項15ないし23は、願書に添付した明細書についての訂正であるが、当該明細書に係る請求項の全てについて、本件訂正の請求は行われているので、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 そして、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされている(特許異議申立人2は、訂正前の全ての請求項に対して特許異議の申立てをしている。)ので、訂正を認める要件として、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正の請求は適法なものであり、訂正後の請求項〔1~11、13~15〕について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件特許発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1~11、13~15〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、総称して「本件特許発明」という。)は、平成30年2月15日付け(受理日:同年2月16日)の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも一方の表面に、ステアリルジエタノールアミンが存在し、 前記表面における前記ステアリルジエタノールアミンの量が0.002~0.5g/m2であり、 前記ステアリルジエタノールアミンの含有量が0.03~3質量%である鮮度保持フィルム。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 内容物と接触する面から厚さ方向に向けて、全体の厚みに対して50から90%の範囲に、前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる請求項1に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項4】 前記鮮度保持フィルムが2層以上からなり、内容物と接触する面を含む層にのみ、前記ステアリルジエタノールアミンが含まれる請求項1又は3に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項5】 少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2であり、 前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、 少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。 【請求項6】 内容物と接触する面から厚さ方向に向けて、全体の厚みに対して50から90%の範囲に前記グリセリンモノラウレートが含まれる請求項5に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項7】 前記鮮度保持フィルムが2層以上からなり、内容物と接触する面を含む層にのみ前記グリセリンモノラウレートが含まれる請求項5又は6に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項8】 プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の少なくとも一方を含有する請求項1及び3から7のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項9】 少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項10】 さらに、ミリスチルジエタノールアミンモノステアレートおよびステアリルジエタノールアミンモノステアレートの少なくとも一方を含む請求項1及び3から9のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項11】 前記鮮度保持フィルムがエチレン系重合体を含み、内容物と接触する面から厚さ方向に向けて、該エチレン系重合体の密度が大きくなる請求項1及び3から10のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルム。 【請求項12】 プロピレン系重合体またはエチレン系重合体を含む、単層フィルム、または2層以上からなる多層フィルムであって、 パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンの少なくとも一方であるアルキルジエタノールアミンを0.01~1.0質量%、 ジグリセリンモノパルミテートおよびジグリセリンモノミリステートの少なくとも一方を0.05~0.80質量%含む鮮度保持フィルム。 【請求項13】(削除) 【請求項14】 請求項1及び3から12のいずれか1項に記載の鮮度保持フィルムを備える包装材。 【請求項15】 少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2であり、 少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である鮮度保持フィルム。」 2 特許異議申立ての理由の概要 (1)特許異議申立人1の特許異議申立理由の概要 特許異議申立人1は、証拠方法として以下の文献を提出し、おおむね次の理由を主張している。 ・(新規性)本件特許の請求項1ないし3、5、6、8及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし3、5、6、8及び14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ・(進歩性)本件特許の請求項1ないし9及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし9及び14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ・(実施可能要件)本件特許の請求項1ないし9及び14に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 ・(サポート要件)本件特許の請求項1ないし9及び14に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 甲第1号証:特開2003-176384号公報 甲第2号証:特開2006-70131号公報 甲第3号証:特開2007-290338号公報 甲第4号証:特開2003-182007号公報 甲第5号証:特開平10-225281号公報 甲第6号証:特開2002-233471号公報 甲第7号証:実験成績証明書(小関勝成、2017年6月8日作成) 以下、順に「甲1(1)」のようにいう。 (2)特許異議申立人2の特許異議申立理由の概要 特許異議申立人2は、証拠方法として以下の文献を提出し、おおむね次の理由を主張している。 ・(新規性)本件特許の請求項1ないし3、5、6、8、10及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし3、5、6、8、10及び14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ・(進歩性)本件特許の請求項1ないし14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 甲第1号証:特公昭55-33819号公報 甲第2号証:特開2008-266463号公報 甲第3号証:特開平4-20571号公報 甲第4号証:特開平10-120039号公報 甲第5号証:特開2003-176384号公報 甲第6号証:再公表2003-066713号公報 甲第7号証:特開2000-940号公報 甲第8号証:特開2008-184478号公報 甲第9号証:特開2001-162737号公報 以下、順に「甲2(1)」のようにいう。 3 取消理由の概要 取消理由の概要は次のとおりである。 (1)(新規性)本件特許の請求項1、5、6、8及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、5、6、8及び14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)(進歩性)本件特許の請求項1、5ないし9、13及び14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1、5ないし9、13及び14に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)(実施可能要件)本件特許の請求項1ないし11及び14に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 (4)(サポート要件)本件特許の請求項1ないし11及び14に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 甲1(3):特開2007-290338号公報 甲1(4):特開2003-182007号公報 甲2(3):特開平4-20571号公報 甲2(4):特開平10-120039号公報 甲2(5):特開2003-176384号公報 甲2(7):特開2000-940号公報 甲2(9):特開2001-162737号公報 なお、甲2(5)は、特許異議申立人1が提出した甲第1号証でもある。 なお、該取消理由は、訂正前の本件特許の請求項1ないし11、13及び14に係る発明に対して通知したものである。以下、順に「取消理由1」のようにいう。 4 取消理由についての判断 (1)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について ア 甲1(3)、甲2(3)及び甲2(5)に記載された発明 (ア)甲1(3)に記載された発明 甲1(3)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。他の文献も同様。 ・「【請求項1】 被包装物が接触することとなるフィルム層がポリオレフィン系樹脂組成物で成形された包装用積層フィルムにおいて、被包装物が接触することとなるフィルム層が、ポリオレフィン系樹脂に下記のA成分を0.05~1質量%となるよう含有させたポリオレフィン系樹脂組成物で成形され且つ被包装物が接触することとなる面に下記のB成分が5~80mg/m2となるよう塗布されたものから成ることを特徴とする包装用積層フィルム。 A成分:3~12価の脂肪族多価アルコールと炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物、アルキル基の炭素数6~22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2~22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2~22の1,2-ビス(アルキルオキシカルボニル)-1-エタンスルホン酸アルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上 B成分:3価又は4価の脂肪族多価アルコールと炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物、炭素数8~22のアルキルジエタノールアミン、炭素数8~22のアルキルジエタノールアミド及び炭素数8~22のアルキルジエタノールアミンと炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物から選ばれる一つ又は二つ以上」 ・「【請求項6】 被包装物が接触することとなるフィルム層を形成するポリオレフィン系樹脂組成物に用いるポリオレフィン系樹脂がエチレン単独重合体又はエチレンと炭素数4~8のα-オレフィンとの共重合体である請求項1~5のいずれか一つの項記載の包装用積層フィルム。」 ・「【0001】 本発明は包装用積層フィルム及びその製造方法に関する。近年、野菜、肉、鮮魚、惣菜等の食品の包装には、合成樹脂製の積層フィルムが広く使用され、なかでも被包装物が接触することとなるフィルム層をポリオレフィン系樹脂組成物で成形した積層フィルムが多く使用されている。かかる包装用積層フィルムには、被包装物を鮮明に見せるために透明性及び防曇性が要求され、また包装の自動化や高速化に適応するために滑性及びヒートシール性が要求される。本発明はこれらの要求に応える包装用積層フィルム及びその製造方法に関する。」 ・「【0023】 B成分としての3価又は4価の脂肪族多価アルコールと炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物において、部分エステル化合物の原料となる3価又は4価の脂肪族多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビタン、ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等が挙げられる。また部分エステル化合物の他の原料となる炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸としては、オクタン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、テトラデセン酸、オクタデセン酸、エイコセン酸、イソオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸等が挙げられる。B成分としての部分エステル化合物は、以上説明した3価又は4価の脂肪族多価アルコールと炭素数8~22の脂肪族モノカルボン酸との適宜の組み合わせから得られるものであり、いずれの場合においても分子中に少なくとも1個の遊離の水酸基を有するものであるが、なかでも3価又は4価の脂肪族多価アルコールと炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とから得られる部分エステル化合物が好ましく、グリセリン又はジグリセリンと炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とから得られる部分エステル化合物がより好ましい。かかる部分エステル化合物としてはグリセリン=モノオレアート、ジグリセリン=モノラウラート、ジグリセリン=モノステアラート、ジグリセリン=モノオレアート等が挙げられる。 【0024】 B成分としての炭素数8~22のアルキルジエタノールアミンとしては、カプリリルジタエノールアミン、カプリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ベヘニルジエタノールアミン等が挙げられるが、なかでもアルキル基の炭素数が12~18のアルキルジエタノールアミンが好ましい。」 ・「【0035】 試験区分1(包装用積層フィルムの製造) ・実施例1 エチレン-(1-ブテン)共重合体(エチレン共重合比率95%、密度0.920g/cm3、MFR2.1g/10分)(E-1)90部及びデカグリセリン=モノラウラート(A-1)10部をタンブラーブレンダーに投入して、混合した後、更に二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット1.5部と前記のエチレン-(1-ブテン)共重合体(E-1)98.5部をタンブラーブレンダーにて混合し、被包装物が接触することとなるフィルム層用のポリオレフィン系樹脂組成物を得た。このポリオレフィン系樹脂組成物が被包装物が接触することとなる一方の外側のフィルム層に、また前記のエチレン-(1-ブテン)共重合体(E-1)が中間のフィルム層及び他方の外側のフィルム層になるよう、Tダイ法により30℃に冷却しながら成形し、厚さ60μmの3層共押出しフィルム(各フィルム層の厚さの比は、被包装物が接触することとなる一方の外側のフィルム層/中間のフィルム層/他方の外側のフィルム層=1/4/1)を得た。続いて、グリセリン=モノオレアート0.4部をイソプロピルアルコール99.6部に溶解し、固形分濃度0.4%とした溶液を前記した3層共押出しフィルムの被包装物が接触することとなる面にグラビアコート法で片面当り10g/m2(固形分換算では40mg/m2)となるよう塗布した後、70℃で乾燥して包装用積層フィルムを得た。 【0036】 ・実施例2~16及び比較例1~8 実施例1と同様にして、実施例2~16及び比較例1~8の包装用積層フィルムを製造した。実施例1も含め、以上で製造した各例の包装用積層フィルムの内容を表1にまとめて示した。 【0037】 【表1】 ・・・(略)・・・ 【0038】 表1において、 *1:表1中の含有量(%)となるようA成分を含有させたポリオレフィン系樹脂組成物で成形された被包装物が接触することとなる一方の外側のフィルム層 *2:中間のフィルム層 *3:他方の外側のフィルム層 A-1:デカグリセリン=モノラウラート A-2:ヘキサグリセリン=モノミリスタート A-3:ジグリセリン=モノステアラート A-4:トリグリセリン=モノパルミタート A-5:テトラグリセリン=モノオレアート A-6:ジグリセリン=モノステアラート/テトラグリセリン=モノオレアート=50/50(質量比)の混合物 A-7:ジグリセリン=モノステアラート/ヘキサグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物 A-8:グリセリン=モノステアラート A-9:ソルビタン=モノステアラート A-10:ドデシルスルホン酸ナトリウム A-11:オクタデシルスルホン酸ナトリウム A-12:ジグリセリン=モノステアラート/テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=50/25/25(質量比)の混合物 A-13:グリセリン=モノベヘナート A-14:デカグリセリン=モノカプリラート A-15:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム A-16:1,2-ビス(オクチルオキシカルボニル)-1-エタンスルホン酸エステルナトリウム a-1:ドデシルジエタノールアミン a-2:ステアリルジエタノールアミド a-3:ステアリルジエタノールアミンとステアリン酸とのエステル化合物(モノエステル含有量70%) 【0039】 B-1: グリセリン=モノオレアート B-2:ジグリセリン=モノラウラート B-3:ジグリセリン=モノステアラート B-4:ジグリセリン=モノオレアート B-5:グリセリン=モノオレアート/ジグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物 B-6:グリセリン=モノオレアート/ジグリセリン=モノステアラート=50/50(質量比)の混合物 B-7:グリセリン=モノオレアート/ジグリセリン=モノオレアート=50/50(質量比)の混合物 B-8:ソルビタン=モノラウラート B-9:ソルビタン=モノオレアート B-10:グリセリン=モノオレアート/ソルビタン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物 B-11:ジグリセリン=モノラウラート/ソルビタン=モノオレアート=50/50(質量比)の混合物 B-12:ジグリセリン=モノステアラート/ソルビタン=モノオレアート=50/50(質量比)の混合物 B-13:ジグリセリン=モノカプリラート B-14:ドデシルジエタノールアミン B-15:ステアリルジエタノールアミド B-16:ステアリルジエタノールアミンとステアリン酸とのエステル化合物(モノエステル含有量70%) b-1:ヘキサグリセリン=モノラウラート b-2:ショ糖ラウラート b-3:ドデシルアルコールのエレンオキサイド10モル付加物」 ・「【0049】 【表3】 ・・・(略)・・・」 ・「【0055】 【表5】 ・・・(略)・・・」 甲1(3)の上記記載を整理すると、甲1(3)には、次の発明(以下、順に「甲1(3)発明1」及び「甲1(3)発明2」という。)が記載されていると認める。 <甲1(3)発明1> 「B成分としての炭素数8~22のアルキルジエタノールアミンとして、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、 被包装物が接触することとなる面にB成分が5~80mg/m2となるよう塗布された、 包装用積層フィルム。」 <甲1(3)発明2> 「B成分として、グリセリン又はジグリセリンと炭素数12~18の脂肪族モノカルボン酸とから得られる部分エステル化合物、 被包装物が接触することとなる面にB成分が5~80mg/m2となるよう塗布された、 被包装物が接触することとなるフィルム層が、エチレン共重合体である、 包装用積層フィルム。」 (イ)甲2(3)に記載された発明 甲2(3)には、次の記載がある。 ・「〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、従来の技術で不充分な点を改善し、安全で長期間有効な抗菌力を持ち、同時に防曇性、帯電防止性を合わせ持ち、用途に通した物性を維持したフィルム・シート、シートから加工される容器などの食品包装用品を提供することを目的とする。 [課題を解決するための手段] 本発明はオクタン酸モノグリセリド、デカン酸モノグリセリド及びラウリン酸モノグリセリド(以下それぞれC8、C10およびC12と略称する。)の混合物を含有させたシート、フィルムが優れた抗菌性、防曇性、帯電防止性を合せ持っていることを見い出し本発明に到達したものである。」(第2ページ右上欄第1ないし14行) ・「〔作用〕 C8、C10およびC12各単独の抗菌力は菌の種類によって相違するが、概してC8≧C10>C12の順に小になる。しかしそれぞれを樹脂に混練するとおよそC8≦C10<C12の順になる。」(第3ページ右上欄第5ないし9行) ・「(本発明の試料) 低密度ポリエチレン(三菱化成社製 三菱ポリエチF131 MFR=1.3 ρ=0.924)のペレット粉砕品にC8とC12をそれぞれ1:2、1:3、3:1の重量比で混合した組成物、C10とC12をそれぞれ1:3、3:1の重量比で混合した組成物、およびC8とC10を等重量づつ混合したものとC12を3:1の重量比で混合した組成物をそれぞれ均一に混合し、二軸スクリュータイプ混練機を用いて溶融混練し、5重量%マスターバッチを作成した。このマスターバッチをF131ペレットで、0.1%、0.3%、0.5%含有まで希釈し、厚さ50μmのフィルムをインフレーション法で得た。 (比較の試料) モノグリセリドとしてC8、C10またはC12をそれぞれ単独に用いた以外は上記と全く同じ方法で厚さ50μmのフィルムを得た。 またモノグリセリドの代りにゼオライト銀(Xと略する)、パラオキシ安息香酸ブチルエステル(Yと略する)を用いた以外は上記と全く同じ方法で厚さ50μmのフィルムを得た。 (無添加の試料) F131ペレットを用いてインフレーション法で厚さ50μmのフィルムを得た。 実施例-1 前記のフィルム試料を用いて、次の方法で抗菌効力試験を実施した。 ・・・(略)・・・ 結果を表-1に示す。 比較例に較べて、格段に有効なことが示されている。また本結果はフィルム接触面だけでなく、非接触範囲にも効果の及ぶことが分かる。 実施例-2 前記のフィルム試料および菌株を供試して、繊維衛生協議会の菌数測定方法に準じて試験をした。 フィルム試料を非滅菌および121℃、20分のオートクレーブ滅菌の2法について実施した結果を表-2に示す。 比較例に較べて、本発明の各例が優れており、静菌性でなく殺菌性があることが分る。」(第3ページ左下欄第13行ないし第4ページ右上欄第6行) ・「表-1 抗菌効力試験(ハロー試験) ・・・(略)・・・ 表-2 抗菌効力試験(菌数測定) ・・・(略)・・・」(第4ページ右下欄表-1及び第5ページ左上欄表-2) 甲2(3)の上記記載を整理すると、甲2(3)には、次の発明(以下、「甲2(3)発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2(3)発明> 「低密度ポリエチレンにグリセリンモノラウレートを抗菌剤として添加して得た食品の包装に用いられる抗菌性フィルム。」 (ウ)甲2(4)に記載された発明 甲2(4)には、次の記載がある。 ・「【0023】 【実施例】以下、実験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。 実験例1 [試料1の作成]ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、下記するようにそれぞれの配合剤を所定量配合し、スーパーミキサーでドライアップ後、押出機により厚さ0.015mmのフィルムに押出し、試料1とし、抗菌性及び防曇性について評価した。 【0024】 ポリ塩化ビニル樹脂                 100重量部 ジイソノニルアジペート(DINA)          28重量部 ジ(n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル)アジペート(610A) 4重量部 エポキシ化大豆油                   10重量部 安定剤(Ca-Zn系液状安定剤)            2重量部 抗菌剤{ジグリセリンモノラウリン酸エステル(DGML)(モノエステル含量85重量%)}                  1.5重量部 【0025】 [試料2の作成]上記試料1中の抗菌剤をジグリセリンモノミリスチン酸エステル(DGMM)(モノエステル含量83重量%)に代えた以外は試料1と同じにして試料2を作成し、抗菌性及び防曇性について評価した。 【0026】 [試料3の作成]上記試料1中の抗菌剤をジグリセリンモノパルミチン酸エステル(DGMP)(モノエステル含量85重量%)に代えた以外は試料1と同じにして試料3を作成し、抗菌性及び防曇性について評価した。 【0027】 [比較の試料4の作成]上記試料1中の抗菌剤をグリセリンモノカプリル酸エステル(GMC)(モノエステル含量85重量%)に代えた以外は試料1と同じにして比較の試料4を作成し、抗菌性及び防曇性について評価した。」 ・「【0035】実験例2 低密度ポリエチレン(MI=3)のペレット粉砕品に、前記実験例1の試料1~3で使用した抗菌剤{ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(DGML、DGMM、DGMP)}及び前記実験例1の比較の試料4~7に用いた抗菌剤(GMC、DGL、銀ゼオライト、試料7は無し)を3重量%混合し、二軸押出機を用いて溶融混練し、3重量%マスターバッチを作成した。このマスターバッチを使用して、最終濃度1重量%含有まで希釈し、厚さ0.025mmのフィルムをTダイ押出し法にて作成し、試料8~14とした。各試料を50℃、20時間エージング処理後、抗菌性及び防曇性について評価した。 【0036】<抗菌性の評価>得られた試料8~14を用いて、下記方法で抗菌性について評価した。菌株として、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)を用い、生菌数104~106CFU/mlになるように生菌数測定用SCD培地(日本製薬社製)で希釈し、希釈菌液とした。この希釈菌液をプラスチック製滅菌シャーレに0.2ml分注する。各試料50×50mm栽片を、希釈菌液の上に載せ、試料と菌液を密着させる。この試料の入ったシャーレを、37℃、20時間培養した。所定時間培養後、試料に密着した菌液を生理食塩水10mlで洗い流し、洗液0.1mlを標準寒天培地を用い、混釈平板培養法(37℃、24時間培養)により生菌数を測定し、試料片1枚当たりに換算した。結果を表3に示す。尚、試料15として、検体に滴下した菌液と同量の菌液をシャーレに保存した対照についても評価した。 【0037】<防曇性の評価>前記した通り。結果を表3に示す。 【0038】 【表3】 ・・・(略)・・・」 ・「【0045】 【発明の効果】本発明によれば、人体や食品に接触しても極めて安全で優れた抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物が得られた。しかも本発明は、抗菌性と共に優れた帯電防止性及び防曇性を有している。本発明による抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物によって食品包装用フィルムや容器を形成し、該フィルムや容器を用いて食品を包装した場合、フィルム又は容器表面に付着した微生物の生育を抑制ないしは殺菌できる。更に防曇性を有しているため内面に曇りが生じることがない。また、本発明による抗菌性を有する熱可塑性樹脂組成物によって成型品(文具、玩具、雑貨品等)を形成した場合、優れた抗菌性を有していると共に、帯電防止性をも有しているため、埃等の付着が少ない。更に、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を農業用フィルム(ハウス用、展張用等)として用いた場合、表面に付着した微生物の生育を抑制ないしは殺菌できる。更に防曇性を有しているため内面に曇りが生じることがない。そして帯電防止性をも有しているため、埃等の付着が少ない。本発明に係る抗菌剤は、食品添加物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであるので食品衛生上極めて安全である。本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、シート、フィルムその他の成形品であってもよいし、ペレット、コンパウンドその他の成形用材料であってもよい。」 甲2(4)の上記記載を整理すると、甲2(4)には、次の発明(以下、「甲2(4)発明」という。)が記載されていると認める。 <甲2(4)発明> 「低密度ポリエチレンにジグリセリンモノラウレートを抗菌剤として添加して得た食品の包装に用いられる抗菌性フィルム。」 イ 対比・判断 (ア)甲1(3)を主引用文献とした場合 a 本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1(3)発明1を対比するに、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも一方の表面に、ステアリルジエタノールアミンが存在し、 前記表面における前記ステアリルジエタノールアミンの量が0.002~0.5g/m2であるフィルム。」 そして、次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1> 本件特許発明1においては、「前記ステアリルジエタノールアミンの含有量が0.03~3質量%である」のに対し、甲1(3)発明1においては、そうであるか不明な点。 <相違点2> 本件特許発明1においては、「鮮度保持フィルム」であるのに対し、甲1(3)発明1においては、そうであるか不明な点。 そこで、事案に鑑み、相違点1について検討するに、甲1(3)発明1に対して、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項を適用することについては、甲1(3)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1(3)発明1において、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1(3)発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 b 本件特許発明5について 本件特許発明1と甲1(3)発明2を対比するに、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2であるフィルム。」 そして、次の点で相違又は一応相違する。 <相違点3> 本件特許発明5においては、「前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲1(3)発明2においては、そうであるか不明な点。 <相違点4> 本件特許発明5においては、「鮮度保持フィルム」であるのに対し、甲1(3)発明2においては、そうであるか不明な点。 そこで、事案に鑑み、相違点3について検討するに、甲1(3)発明2に対して、相違点3に係る本件特許発明5の発明特定事項を適用することについては、甲1(3)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1(3)発明2において、相違点3に係る本件特許発明5の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明5は、甲1(3)発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 c 本件特許発明6ないし9及び14について 本件特許発明6ないし9及び14は、請求項1又は5を直接又は間接的に引用するものであるから、本件特許発明1及び5と同様に、甲1(3)発明1又は2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 d 本件特許発明15について 本件特許発明15と甲1(3)発明2を対比するに、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在するフィルム。」 そして、次の点で相違又は一応相違する。 <相違点5> 本件特許発明15においては、「前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲1(3)発明2においては、そうであるか不明な点。 <相違点6> 本件特許発明15においては、「鮮度保持フィルム」であるのに対し、甲1(3)発明2においては、そうであるか不明な点。 そこで、事案に鑑み、相違点5について検討するに、甲1(3)発明2に対して、相違点5に係る本件特許発明15の発明特定事項を適用することについては、甲1(3)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲1(3)発明2において、相違点5に係る本件特許発明15の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、相違点6について検討するまでもなく、本件特許発明15は、甲1(3)発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)甲2(3)を主引用文献とした場合 a 本件特許発明5について 本件特許発明5と甲2(3)発明を対比する。 甲2(3)発明は現に抗菌性を備えたものであること及び本件特許明細書の【0022】において、グリセリンモノラウレートが鮮度保持フィルムの少なくとも一方の表面に0.002~0.5g/m2存在することにより高い抗菌性を示す旨説明されていることから、甲2(3)発明において、グリセリンモノラウレートの量は、0.002~0.5g/m2の範囲に含まれるものといえる。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2である鮮度保持フィルム。」 そして、次の点で相違する。 <相違点7> 本件特許発明5においては、「前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲2(3)発明においては、そうであるか不明な点。 そこで、相違点7について検討するに、甲2(3)発明に対して、相違点7に係る本件特許発明5の発明特定事項を適用することについては、甲2(3)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲2(3)発明において、相違点7に係る本件特許発明5の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明5は、甲2(3)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 b 本件特許発明6ないし9及び14について 本件特許発明6ないし9及び14は、請求項5を直接又は間接的に引用するものであるから、本件特許発明5と同様に、甲2(3)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 c 本件特許発明15について 本件特許発明15と甲2(3)発明を対比するに、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「鮮度保持フィルム。」 そして、次の点で相違する。 <相違点8> 本件特許発明15においては、「少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在し、前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲2(3)発明においては、そうであるか不明な点。 そこで、相違点8について検討するに、甲2(3)発明に対して、相違点8に係る本件特許発明15の発明特定事項を適用することについては、甲2(3)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲2(3)発明において、相違点8に係る本件特許発明15の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明15は、甲2(3)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)甲2(4)を主引用文献とした場合 a 本件特許発明5について 本件特許発明5と甲2(4)発明を対比するに、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「鮮度保持フィルム。」 そして、次の点で相違する。 <相違点9> 本件特許発明5においては、「少なくとも一方の表面に、グリセリンモノラウレートが存在し、前記表面における前記グリセリンモノラウレートの量が0.01~0.2g/m2であり、前記グリセリンモノラウレートの含有量が0.001~3質量%であり、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲2(4)発明においては、そうであるか不明な点。 そこで、相違点9について検討するに、甲2(4)発明に対して、相違点9に係る本件特許発明5の発明特定事項を適用することについては、甲2(4)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲2(4)発明において、相違点9に係る本件特許発明5の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明5は、甲2(4)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 b 本件特許発明6ないし9及び14について 本件特許発明6ないし9及び14は、請求項5を直接又は間接的に引用するものであるから、本件特許発明5と同様に、甲2(4)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 c 本件特許発明15について 本件特許発明15と甲2(4)発明を対比する。 甲2(4)発明は現に抗菌性を備えたものであること及び本件特許明細書の【0022】において、ジグリセリンモノラウレートが鮮度保持フィルムの少なくとも一方の表面に0.002~0.5g/m2存在することにより高い抗菌性を示す旨説明されていることから、甲2(4)発明において、ジグリセリンモノラウレートの量は、0.002~0.5g/m2の範囲に含まれるものといえる。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「少なくとも一方の表面に、ジグリセリンモノラウレートが存在し、 前記表面における前記ジグリセリンモノラウレートの量が0.2~0.5g/m2である鮮度保持フィルム。」 そして、次の点で相違する。 <相違点10> 本件特許発明15においては、「少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上である」のに対し、甲2(4)発明においては、そうであるか不明な点。 そこで、相違点10について検討するに、甲2(4)発明に対して、相違点10に係る本件特許発明15の発明特定事項を適用することについては、甲2(4)には、記載も示唆もされていない。 また、このことは、取消理由で提示した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、甲2(4)発明において、相違点10に係る本件特許発明15の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 よって、本件特許発明15は、甲2(4)発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)についてのむすび したがって、本件特許発明1、5、6、8、14及び15は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえない。 また、本件特許発明1、5ないし9、14及び15は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 (2)取消理由3(実施可能要件)について ア 実施可能要件 物の発明について、実施可能要件を充足するためには、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物の生産及び使用をすることができる程度の記載を要する。 そこで、検討する。 イ 本件特許発明1、5及び15の特徴 本件特許発明1は、抗菌性の発揮の観点から特定化合物1であるステアリルジエタノールアミンの含有量を0.03~3質量%とし、0.002~0.5g/m2の量で表面に存在するように調整したことを特徴とするものである。 本件特許発明5は、抗菌性の発揮の観点から特定化合物1であるグリセリンモノラウレートの含有量を0.001~3質量%とし、0.01~0.2g/m2の量で表面に存在するようにし、少なくとも一方の表面の濡れ指数を35dyn以上に調整したことを特徴とするものである。 本件特許発明15は、抗菌性の発揮の観点から特定化合物1であるジグリセリンモノラウレートを0.2~0.5g/m2の量で表面に存在するようにし、少なくとも一方の表面の濡れ指数を35dyn以上に調整したことを特徴とするものである。 ウ 本件特許の発明の詳細な説明の記載について 本件特許の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 ・「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、特許文献1から5に記載の技術では、抗菌性及びそれに基づく鮮度保持性が低く、また安定して高い抗菌性を得ることができなかった。本発明は、高い抗菌性を有する鮮度保持フィルム及び包装材を提供することを目的とする。」 ・「【0022】 [第一の実施形態] 本発明に係る鮮度保持フィルムは、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物(以下、特定化合物1とも示す)が、少なくとも一方の表面に0.002~0.5g/m2存在する。特定化合物1が、鮮度保持フィルムの少なくとも一方の表面に0.002~0.5g/m2存在することで、高い抗菌性を有する鮮度保持フィルムが得られる。該鮮度保持フィルムは、抗菌性の観点から、特定化合物1を0.001~3質量%含有することが好ましい。また、該鮮度保持フィルムは、軽量で、フィルム加工性に優れる観点から、プロピレン系重合体およびエチレン系重合体の少なくとも一方を含むことが好ましい。また、該鮮度保持フィルムは、抗菌性の観点から、JISZ2801に準じた抗菌試験を、大腸菌を用いて行う時、鮮度保持フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによる拭き取りを行わない条件下において、24時間後の鮮度保持フィルムの少なくとも一方の表面の生菌数が1/100倍以下であることが好ましい。 【0023】 なお、本発明においての鮮度保持フィルムとは、該鮮度保持フィルムにより包装体を形成し、被包装物を封入した場合に、前記被包装物と面する表面の菌抑制作用のより、被包装物の鮮度が保たれる効果を有するフィルムをいう。 【0024】 <特定化合物1> 本発明に係る特定化合物1としては、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレートを単独で用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。パルミチルジエタノールアミンは、炭素数16の長鎖アルキル基であるパルミチル基を有するアルキルジエタノールアミンである。ステアリルジエタノールアミンは、炭素数18のステアリル基を有するアルキルジエタノールアミンである。グリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とグリセリンとのモノエステルである。ジグリセリンモノラウレートは、ラウリン酸(炭素数12)とジグリセリンとのモノエステルである。 【0025】 ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、ミリスチルジエタノールアミンやラウリルジエタノールアミンに比べて融点が比較的高い。このため、鮮度保持フィルムを溶融成形する際、特に鮮度保持フィルムが延伸フィルムである場合の熱固定において、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは比較的揮発しにくい。また、ステアリルジエタノールアミンおよびパルミチルジエタノールアミンは、抗菌性、および鮮度保持性に優れる。さらに、鮮度保持フィルムを包装用フィルムとして用いた場合、包装用フィルムに接触する内容物である被包装物への移行が比較的遅く、安全性に優れており、加えてその性能を持続することができる。なお、鮮度保持フィルムの「被包装物」を「内容物」と記すことがある。 【0026】 (アルキルジエタノールアミン;長鎖アルキル基の部分の炭素数;融点) ステアリルジエタノールアミン;18個;51℃ パルミチルジエタノールアミン;16個;28℃ ミリスチルジエタノールアミン;14個;22~23℃ ラウリルジエタノールアミン;12個;常温で液体。 【0027】 本発明に係る特定化合物1は、個々に、類似化合物を含有していてもよい。パルミチルジエタノールアミン(炭素数16)は、例えば少量のミリスチルジエタノールアミン(炭素数14)や、ステアリルジエタノールアミン(炭素数18)等の炭素数12~20のアルキル基を有するアルキルジエタノールアミンを含んでもよい。また、ステアリルジエタノールアミン(炭素数18)は、例えば炭素数16~20のアルキル基を有するアルキルジエタノール等を少量含んでもよい。また、特定化合物1は、これらのパルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンの類似化合物のアミンの一部が脂肪族カルボン酸とエステルを形成した化合物を少量含んでもよい。さらに、グリセリンモノラウレートは、例えば炭素数が10、14等である高級直鎖脂肪族カルボン酸とグリセリンとのモノエステル等を少量含んでもよい。また、ジグリセリンモノラウレートは、炭素数が10、14等である高級脂肪族カルボン酸とジグリセリンとのモノエステル等を少量含んでもよい。また、前記(ジ)グリセリンモノエステルは、(ジ)グリセリンジエステル、(ジ)グリセリントリエステルなどの類似化合物、さらにはグリセリン部分がジグリセリン、ジグリセリン部分がトリグリセリンである類似化合物を少量含んでもよい。これら特定化合物1の類似化合物は、一般に特定化合物1の合成、分離などの工程において、同時に合成されたり、分離が困難であったりする。また、当該類似化合物は、特定化合物1 100質量部に対して、50質量部以下含まれてもよく、40質量部以下含まれてもよく、含まれないことが好ましい。 【0028】 さらに、本発明に係る鮮度保持フィルムは、後述するように特定化合物1以外にも、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤(但し、特定化合物1を除く。)滑材などの他の添加剤を含むことができる。これら他の添加剤と、前記類似化合物との合計は、特定化合物1 100質量部に対して、50質量部以下含まれてもよく、40質量部以下含まれてもよく、30質量部以下含まれてもよい。 【0029】 <抗菌性、鮮度保持性などの機能付与> 本発明に係る鮮度保持フィルムは、少なくとも一方の表面に特定化合物1が0.002~0.5g/m2存在する。本発明に係る鮮度保持フィルムは、少なくとも一方の表面に特定化合物1が0.004~0.4g/m2存在することが好ましく、0.01~0.3g/m2存在することがより好ましく、0.02~0.2g/m2存在することがさらに好ましい。前記特定化合物1は、鮮度保持フィルムの内容物と接する面に0.002~0.5g/m2存在することが好ましい。特定化合物1を鮮度フィルムの表面に存在させる方法としては、前述したように、表面に特定化合物1を噴霧したり、表面に特定化合物1を含む溶液、懸濁液等を塗布したりするコート法が挙げられる。また、鮮度保持フィルムの内容物と接する面を含む表面層や中間層に特定化合物1を含有させてもよい。鮮度保持フィルム中の特定化合物1の含有量は、特定化合物1を表面に前記範囲の量ブリードアウトさせることができる観点から、0.001~3質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.1~2質量%がさらに好ましい。」 ・「【0052】 また、本発明に係る鮮度保持フィルムが三層以上の構造の場合であっても、一層または二層からなる場合であっても、鮮度保持フィルム全体に対する特定化合物1の含有量は0.001~3質量%であることが好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.03~2質量%がさらに好ましく、0.04~0.9質量%が特に好ましく、0.04~0.6質量%が最も好ましい。」 ・「【0078】 <他の好ましい形態> 本発明に係る鮮度保持フィルムは、抗菌性が向上する観点から、少なくとも一方の表面の濡れ指数が35dyn以上であることが好ましい。該濡れ指数は36dyn以上であることがより好ましく、37dyn以上であることがさらに好ましく、38dyn以上であることが特に好ましい。該濡れ指数の上限は特に限定されないが、例えば50dyn以下とすることができる。また、内容物と接する鮮度保持フィルムの表面層の表面の濡れ指数が35dyn以上であることが好ましい。なお、該濡れ指数は和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液を用いて確認した値である。鮮度保持フィルムの表面の濡れ指数を35dyn以上にする方法としては、該表面に対してコロナ処理を行う方法が好ましい。」 ・「【実施例】 【0163】 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。以下の記載において「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。 【0164】 [実験1] <試験方法> (1)抗菌試験 JISZ2801に準じて抗菌試験を、大腸菌(Escherichia coli)を用いて行った。但し、鮮度保持フィルムの表面の状態を保つためにアルコールによるふき取りは行わなかった。 【0165】 1/500普通ブイヨン培地に大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)を規定数量(JIS試験で0.4cc用いたブイヨン)入れて4cm角の鮮度保持フィルム表面に滴下して、ポリエチレンフィルムとの間に挟み込んだ。35℃で24時間経過した後に鮮度保持フィルム表面を洗浄し、その普通ブイヨン培地を含む洗浄液を回収し、それを、普通寒天培地を用いて培養してコロニーの数をカウントした。 【0166】 即ち、顕微鏡下で菌の個数をカウントすることは困難なため、コロニーの数を、目視によりカウントし、その1グラム(g)あたりのコロニーの数を生菌数CFU(colony forming unit)(単位[個/g])とした。また2枚のポリエチレンフィルムの間に挟み込んだサンプルをコントロール(Control)として、比較の基準とした。表にはn=1から3の平均値も合わせて示した。但し、測定値のバラツキが10倍以上の場合には、JIS規格上平均値は計算できない。 【0167】 また、抗菌性のバラツキと、抗菌性能は以下の基準で評価した。 【0168】 (バラツキ) なし:n=1~3における最大値と最小値との比が10よりも小さい。 小 :n=1~3における最大値と最小値との比が10~100の範囲内である。 大 :n=1~3における最大値と最小値との比が100よりも大きい。 【0169】 (抗菌性能) A:菌数が<10であり、事実上不検出である。 B:controlとの比(実験結果/control)が1/100以下である。 C:controlとの比(実験結果/control)が1/100を超えて1/10以下である。 D:controlとの比(実験結果/control)が1/10よりも大きい。 【0170】 (2)鮮度保持フィルム表面のステアリルジエタノールアミンの量(g/m2) ステアリルジエタノールアミンの塗布量から鮮度保持フィルム表面のステアリルジエタノールアミンの量を求めた。 【0171】 (3)鮮度保持フィルム表面のグリセリンモノラウレート(C12)の量(g/m2) グリセリンモノラウレートの塗布量から鮮度保持フィルム表面のグリセリンモノラウレートの量を求めた。 【0172】 (4)鮮度保持フィルム表面のジグリセリンモノラウレート(C12)の量(g/m2) グリセリンモノラウレートの塗布量から鮮度保持フィルム表面のジグリセリンモノラウレートの量を求めた。 【0173】 <実施例1~13、比較例1、2> (1)プロピレン系重合体を含む鮮度保持フィルム (1-1)中間層 中間層の材料には、プロピレン単独重合体(融点(Tm)=160℃、MFR=3g/10分(株式会社プライムポリマー社製))を用いた。 【0174】 (1-2)表面層及び裏面層 表面層及び裏面層の材料には、プロピレン・エチレンランダム共重合体(融点(Tm)=138℃、MFR=7g/10分(株式会社プライムポリマー社製))を用いた。 【0175】 前記材料を用いた裏面層/中間層/表面層の三層フィルムを二軸延伸機で層厚み比1/8/1で連続成形し、多層延伸フィルムからなる鮮度保持フィルムを製造した。鮮度保持フィルムの延伸温度は縦延伸:100℃、横延伸:180℃であった。ヒートセット温度は180℃であり、セット時間は10秒であった。更に、コロナ面の濡れ指数が38dynとなるように、裏面層の表面に対しコロナ処理を行った。 【0176】 ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレート(C12)、又はジグリセリンモノラウレートを、50℃に加温された精製水/IPA(イソプロピルアルコール)=80/20(質量比)の溶液に溶解した。これらの溶液の一つを、前記鮮度保持フィルムの表面層の表面に対し、表面における特定化合物1の量が表1から3に示される量となるようにコートバーを用いてコートし、100℃の温風で1分間加熱し、乾燥した。試験結果を表1から3に示す。 【0177】 【表1】 【0178】 【表2】 【0179】 【表3】 【0180】 表1から明らかなように、鮮度保持フィルムの表面にステアリルジエタノールアミンが0.002~0.5g/m2の範囲内で存在する実施例1~7は、24時間経過後の大腸菌数がcontrolの1/100以下であり、抗菌性が認められた。一方、ステアリルジエタノールアミンの量が前記範囲から外れる比較例1は、抗菌性が認められなかった。 【0181】 また、表2から明らかなように、鮮度保持フィルムの表面にグリセリンモノラウレートが0.002~0.5g/m2の範囲内で存在する実施例8~13は、24時間経過後の大腸菌数がcontrolの1/100以下であり、抗菌性が認められた。一方、グリセリンモノラウレートの量が前記範囲から外れる比較例2は、抗菌性が認められなかった。 【0182】 更に、表3から明らかなように、鮮度保持フィルムの表面にジグリセリンモノラウレートが0.200g/m2存在する実施例14は、24時間経過後の大腸菌数がcontrolの1/100程度であり、ある程度の抗菌性が認められた。」 ・「【0183】 <実施例15~26、比較例3~9> (2)エチレン系重合体を含む鮮度保持フィルム (2-1)中間層 中間層の材料には、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製、密度:0.920g/cm3、MFR:4.0g/10分、融点:117.3℃)を用いた。 【0184】 (2-2)裏面層 裏面層の材料として、前記直鎖状低密度ポリエチレンに以下の材料をそれぞれ1000ppm添加した材料を用いた。 【0185】 (a)シリカ 富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm) (b)エルカ酸アミド チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753。 【0186】 (2-3)表面層 表面層の材料として、前記直鎖状低密度ポリエチレンに以下の(a)及び(b)をそれぞれ1000ppm配合し、さらに以下の(c)から(f)を表4から8に示す量配合した材料を用いた。 【0187】 (a)シリカ 富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm) (b)エルカ酸アミド チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753 (c)ステアリルジエタノールアミン 花王株式会社製 (d)グリセリンモノラウレート(C12モノグリ) 理研ビタミン社製 (e)ジグリセリンモノラウレート(C12ジグリ) 理研ビタミン社製 (f)ポリエチレングリコール(PEG) PEG-1 分子量:20万(g/M) 第一工業製薬製 PEG-2 分子量:2万(g/M) 日油製。 【0188】 前記材料を用いた裏面層/中間層/表面層の三層キャストフィルムを層厚み比1/3/1で製造した。押出条件はダイス温度が200℃、チル温度が50℃であった。また、濡れ指数が38dynなるように表面層(シール層)の表面にコロナ処理を行った。試験結果を表4~8に示す。 【0189】 【表4】 【0190】 【表5】 【0191】 【表6】 【0192】 【表7】 【0193】 【表8】 」 ・「【0239】 <実施例9> (1)中間層 中間層の材料には、エチレン・1-ヘキセン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(三井化学株式会社製、密度:0.920g/cm3、MFR:4.0g/10分、融点:117.3℃、重量平均分子量(Mw):71,700、分子量分布(Mw/Mn):2.48)を用いた。 【0240】 (2)表面層及び裏面層 裏面層の材料には、下記(a)が0.1質量%(1000ppm)、及び下記(b)が0.1質量%(1000ppm)配合された前記LLDPEを用いた。また、表面層の材料には、下記(a)が0.1質量%(1000ppm)、下記(b)が0.1質量%(1000ppm)、及びステアリルジエタノールアミンが0.5質量%(5000ppm)配合された前記LLDPEを用いた。 【0241】 (a)シリカ(富士シリシア化学社製、商品名:サイリシア730(平均粒径3μm) (b)エルカ酸アミド(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名:ATMERSA1753)。 【0242】 前記材料を用いて、表面層/中間層/裏面層の3層フィルムをキャスト法により溶融成形した。成形条件は以下の通りである。 【0243】 成形条件 押出機のダイス温度:200℃ チル温度:50℃。 【0244】 3層フィルムの厚さの比率は表面層/中間層/裏面層=1/3/1であり、全体の厚みは40μmであった。得られた3層フィルムの裏面層の表面をコロナ処理した。コロナ処理された表面の濡れ指数が38dyn以上であることを、和光純薬株式会社製の濡れ張力試験用混合液NO.38.0を用いて確認した。この3層フィルムを用いて、大腸菌についての抗菌試験とヘイズの測定を行った。結果を表12に示す。 【0245】 <比較例5> 実施例9において、表面層にステアリルジエタノールアミンを配合しない以外は実施例9と同様に行った。結果を表12に示す。 【0246】 【表12】 【0247】 表12から明らかなように、内容物が接触する表面層の表面にステアリルジエタノールアミンが2×10-3g/m2の割合で存在している実施例9は、大腸菌に対して優れた抗菌性を示した。またヘイズも10%を越えておらず、透明性に優れる鮮度保持フィルムであった。」 ・「【0269】 <実施例1> (粘着剤(C)マスターバッチの調製) 直鎖状低密度ポリエチレン(A)〔三井化学(株)製、密度0.920g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕50質量%、及び粘着剤(C)として芳香族系炭化水素樹脂〔荒川化学工業(株)製、商品名:アルコンA100〕50質量%を含む組成物を、二軸押出機を用いて樹脂温度200℃で混練、造粒し、マスターバッチ(MC)を得た。 【0270】 (防曇剤(D)マスターバッチの調製) 直鎖状低密度ポリエチレン(A)〔三井化学(株)製、密度0.920g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕90質量%、及び防曇剤(D)としてジグリセリンオレート〔理研ビタミン(株)製、商品名:O-71-DE〕10質量%を含む組成物を、二軸押出機を用いて樹脂温度200℃で混練、造粒し、マスターバッチ(MD)を得た。 【0271】 (特定化合物(E)マスターバッチの調製) 直鎖状低密度ポリエチレン(A)〔三井化学(株)製、密度0.920g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕90質量%、及び特定化合物(E)としてステアリルジエタノールアミン〔東京化成(株)〕10質量%を含む組成物を、二軸押出機を用いて樹脂温度200℃で混練、造粒し、マスターバッチ(ME)を得た。 【0272】 (樹脂組成物の調製) 下記材料を混合して樹脂組成物を得た。 【0273】 直鎖状低密度ポリエチレン(A)〔三井化学(株)製、密度0.920g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕39質量部 高圧法低密度ポリエチレン(B)〔三井デュポン(株)製、密度0.917g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR7.2g/10分〕30質量部 前記マスターバッチ(MC)10質量部 前記マスターバッチ(MD)25質量部 前記マスターバッチ(ME)5質量部。 【0274】 なお、樹脂組成物の組成は、(A)及び(B)の合計を100質量%とするとき、(A)70質量%、(B)30質量%であった。また、(A)及び(B)の合計量100質量部に対し、(C)5質量部、(D)2.5質量部、(E)0.5質量部であった。 【0275】 (鮮度保持フィルムの成形) Tダイ付押出機を用いて前記樹脂組成物を、成形樹脂温度250℃、キャストロール温度25℃、延伸倍率1.2倍、巻取速度200m/分の条件下で、厚みが13μmの単層フィルムを押出成形し、鮮度保持フィルムを得た。 【0276】 <比較例1> 前記マスターバッチ(ME)5質量部に代えて、直鎖状低密度ポリエチレン(A)〔三井化学(株)製、密度0.920g/cm3、190℃、荷重2.16kgにおけるMFR4.0g/10分〕4.5質量部を加えた以外は実施例1と同様に行い、鮮度保持フィルムを得た。 【0277】 得られた鮮度保持フィルムについて、上記方法により各種特性を評価した。評価結果を表19に示す。 【0278】 【表19】 【0279】 表19から明らかなように、鮮度保持フィルムの表面にステアリルジエタノールアミンが0.010g/m2存在する実施例1は、24時間経過後の大腸菌数および黄色ブドウ球菌数がcontrolの1/100以下であり、抗菌性が認められた。一方、特定化合物(E)が表面に存在しない比較例1は抗菌性が認められなかった。」 本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明1の特徴及びその実施例(作成方法を含めて)について、【0022】ないし【0029】、【0052】、【0173】ないし【0176】、【0183】ないし【0193】、【0239】ないし【0247】及び【0269】ないし【0279】等に詳細に記載されている。 また、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明5の特徴及びその実施例(作成方法を含めて)について、【0022】ないし【0029】、【0052】、【0078】、【0173】ないし【0176】、【0178】及び【0183】ないし【0193】等に詳細に記載されている。 さらに、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明15の特徴及びその実施例(作成方法を含めて)について、【0022】ないし【0029】、【0078】、【0173】ないし【0176】、【0179】及び【0183】ないし【0193】等に詳細に記載されている。 したがって、本件特許発明1、5及び15の物の発明について、発明の詳細な説明に、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物の生産及び使用をすることができる程度の記載があるといえ、発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を充足する。 請求項1及び5を直接又は間接的に引用する他の発明についても、同様である。 エ 取消理由3(実施可能要件)についてのむすび したがって、本件特許の請求項1、3ないし11、14及び15に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 (3)取消理由4(サポート要件)について ア サポート要件 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 イ 本件特許の発明の詳細な説明の記載 本件特許の発明の詳細な説明には、上記第3 4(2)ウのとおりの記載がある。 ウ 発明の課題 本件特許の発明の詳細な説明の【0006】等の記載によると、本件特許発明の解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、「高い抗菌性を有する鮮度保持フィルム及び包装材を提供すること」である。 エ 本件特許発明5、請求項5を直接又は間接的に引用する本件特許発明6ないし11及び14並びに本件特許発明15について 本件特許の発明の詳細な説明の【0163】ないし【0182】等(特に【0178】の【表2】及び【0179】の【表3】)の記載から、少なくとも一方の表面にグリセリンモノラウレートが存在するフィルムについて、その量が0.01~0.2g/m2の場合、発明の課題を解決できると当業者は認識できる。また、同じく上記記載から、少なくとも一方の表面にジグリセリンモノラウレートが存在するフィルムについて、その量が0.2~0.5g/m2の場合、発明の課題を解決できると当業者は認識できる。 したがって、本件特許発明5、請求項5を直接又は間接的に引用する本件特許発明6ないし11及び14並びに本件特許発明15について、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 よって、本件特許発明5、請求項5を直接又は間接的に引用する本件特許発明6ないし11及び14並びに本件特許発明15に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 オ 本件特許発明1並びに請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2ないし4、8ないし11及び14について 本件特許の発明の詳細な説明の【0163】ないし【0182】等(特に【0177】の【表1】)の記載から、少なくとも一方の表面にステアリルジエタノールアミンが存在するフィルムについて、その量が0.002~0.5g/m2の場合、発明の課題を解決できると当業者は認識できる。 したがって、本件特許発明1並びに請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明3、4、8ないし11及び14について、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 よって、本件特許発明1並びに請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明3、4、8ないし11及び14に関して、特許請求の範囲の記載はサポート要件に適合する。 カ 取消理由4(サポート要件)についてのむすび したがって、本件特許の請求項1、3ないし11、14及び15に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 (4)取消理由の判断についてのむすび 以上のとおり、取消理由1ないし4によっては、本件特許の請求項1、3ないし11、14及び15に係る特許を取り消すことはできない。 (5)平成30年2月22日付けの訂正請求があった旨の通知(特許法第1205条の5第5項)に対しての特許異議申立人の意見書における主張について ア 特許異議申立人1の主張について 特許異議申立人1は、平成30年3月28日付け(受理日:同年3月29日)で提出した意見書において、特定化合物の含有量が限定された本件特許発明1及び5は、明確でなく、また、実施可能要件違反である旨主張するが、本件特許発明1及び5は、鮮度保持フィルムの表面における特定化合物の量と該フィルムが含有する特定化合物の量を特定したものであり、それらの意味は明確であるから、本件特許発明1及び5は明確であるし、発明の詳細な説明には、鮮度保持フィルムの表面における特定化合物の量と該フィルムが含有する特定化合物の量について詳細に記載され、実施例も記載されているから、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を満たしているので、これらの主張は採用できない。 また、特許異議申立人1は、請求項1及び5の記載は、いわゆるプロダクトバイプロセスクレームに該当し、本件特許発明1及び5は不明確であるし、結果物としての鮮度保持フィルム自体の構成を特定するものではないので、本件特許発明1及び5は甲1(3)発明1等と差異があるとは認められない旨主張するが、請求項1及び5の記載は、プロダクトバイプロセスクレームには該当しないので、これらの主張は採用できない。 さらに、特許異議申立人1は、周知技術を示す文献として、参考資料1(WO2005/102693号)、参考資料2(特開2012-36259号公報)及び参考資料3(特開2013-159739号公報)を提示した上で、本件特許発明15は依然として進歩性を有さない旨主張するが、参考資料1には、実施例11及び12に印刷インキの原料としてジグリセリンラウレートを使用するものが示されているにすぎず、参考資料2及び3には、ジグリセリンラウレートは非常に多くの化合物とともに例示されているにすぎず、いずれの参考資料においても、その機能は防曇であって、本件特許発明15とは異なるものであるから、周知技術を考慮しても、本件特許発明15を想到することは容易とはいえないので、この主張も採用できない。 イ 特許異議申立人2の主張について 特許異議申立人2は、平成30年3月26日に提出した意見書において、参考資料1(特開平11-71482号公報)を提示した上で、本件特許発明1は依然として新規性を有さず、また、本件特許発明5及び15は依然として進歩性を有さない旨主張するが、参考資料1を参酌しても、取消理由で提示した文献には、上記相違点1、3、5及び7ないし10に係る各本件特許発明の発明特定事項は記載も示唆もされているとはいえないので、この主張は採用できない。 5 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許異議申立人1の特許異議申立理由について 特許異議申立人1の特許異議申立理由の内、取消理由で採用しなかった特許異議申立理由は、概ね、次のとおりである。 ・本件特許の請求項1ないし3、5、6、8及び14に係る発明に対しての甲1(1)を主引用文献とした場合の新規性・進歩性違反及び甲1(4)を主引用文献とした場合の新規性・進歩性違反。 ・本件特許の請求項4、7及び9に係る発明に対しての甲1(1)を主引用文献とした場合の進歩性違反及び甲1(4)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 そこで、検討するに、甲1(1)又は甲1(4)に記載された発明に対して、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項、上記相違点3に係る本件特許発明5の発明特定事項及び上記相違点5に係る本件特許発明5の発明特定事項を適用することについては、甲1(1)及び甲1(4)の何れにも記載も示唆もされていない。また、このことは、特許異議申立人1が提出した他の文献にも記載も示唆もされていない。 なお、甲1(7)は、特許異議申立人1自身が行った実験成績証明書であるが、特許異議申立人1がどのような人であるか(経歴等)や実験が行われた日時・場所が明らかにされておらず、また、実験も甲1(1)記載の実施例とは、成分量が異なり、コロナ処理等の甲1(1)にない処理が追加されていることから、甲1(1)記載の実施例の正確な追試とは認められないので、証拠として採用できない。 したがって、上記申立理由は、いずれも理由がない。 (2)特許異議申立人2の特許異議申立理由について 特許異議申立人2の特許異議申立理由の内、取消理由で採用しなかった特許異議申立理由は、概ね、次のとおりである。 ・本件特許の請求項1ないし3に係る発明に対しての甲2(1)又は甲2(2)を主引用文献とした場合の新規性・進歩性違反。 ・本件特許の請求項4に係る発明に対しての甲2(1)又は甲2(2)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項5、8及び10に係る発明に対しての甲2(8)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項9に係る発明に対しての甲2(1)、甲2(2)、甲2(3)又は甲2(4)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項10に係る発明に対しての甲2(2)を主引用文献とした場合の新規性・進歩性違反。 ・本件特許の請求項11に係る発明に対しての甲2(1)、甲2(3)又は甲2(4)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項12に係る発明に対しての甲2(1)又は甲2(2)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項13に係る発明に対しての甲2(3)又は甲2(4)を主引用文献とした場合の進歩性違反。 ・本件特許の請求項14に係る発明に対しての甲2(1)又は甲2(2)を主引用文献とした場合の新規性・進歩性違反。 そこで、検討するに、甲2(1)、甲2(2)、甲2(3)、甲2(4)及び甲2(8)の何れかに記載された発明に対して、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項、上記相違点3に係る本件特許発明5の発明特定事項及び上記相違点5に係る本件特許発明5の発明特定事項を適用することについては、甲2(1)、甲2(2)、甲2(3)、甲2(4)及び甲2(8)の何れにも記載も示唆もされていない。また、このことは、特許異議申立人2が提出した他の文献にも記載も示唆もされていない。 また、本件特許発明12の「パルミチルジエタノールアミンおよびステアリルジエタノールアミンの少なくとも一方であるアルキルジエタノールアミンを0.01~1.0質量%、ジグリセリンモノパルミテートおよびジグリセリンモノミリステートの少なくとも一方を0.05~0.80質量%含む」という発明特定事項を、甲2(1)又は甲2(2)に記載された発明に対して、適用することについては、甲2(1)及び甲2(2)のいずれにも記載も示唆もされていない。また、このことは、特許異議申立人2が提出した他の文献にも記載も示唆もされていない。 したがって、上記申立理由は、いずれも理由がない。 第4 結語 上記第3のとおりであるから、取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては、請求項1、3ないし12、14及び15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、3ないし12、14及び15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項2及び13は、訂正により削除されたため、請求項2及び13に対して、特許異議申立人1及び2がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700843

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