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特許異議申立

2017-700525

ポリオレフィン系フィルム

審判番号
2017-700525
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-239505外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年05月26日
審決日
2017年10月20日
公報発行日
2017年12月28日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-Y (B32B) / P1651.121-Y (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6056378号発明「ポリオレフィン系フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6056378号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第6056378号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願は、平成24年10月30日(優先権主張平成23年10月31日)を出願日とする出願であって、平成28年12月16日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人鳥居章代(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 2.本件発明 本件特許の請求項1~4に係る発明(以下、「本件発明1~4」という。)は、それぞれ、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 離型層を構成する樹脂がプロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体を少なくとも含み、炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体の配合量が離型層を構成する樹脂成分中5重量%以上35重量%未満であり、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の片面にスチレン系エラストマーを含む粘着層を、反対面に離形層を共押出により積層してなり、離型層の表面粗さ(SRa)が0.25μm以上0.45μm以下であることを特徴とするポリオレフィン系フィルム。 【請求項2】 前記炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体が4-メチルペンテン-1系(共)重合体である請求項1に記載のポリオレフィン系フィルム。 【請求項3】 粘着層がスチレン系エラストマー及び粘着付与剤を含む請求項1あるいは2に記載のポリオレフィン系フィルム。 【請求項4】 粘着層がスチレン系エラストマー、粘着付与剤、及びポリオレフィン系樹脂を含む請求項1~3のいずれかに記載のポリオレフィン系フィルム。」 3.申立理由の概要 申立人は、甲第1号証として特開2009-241596号公報(以下、「甲1」という。)を提出し、 (1)本件発明1~4は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明であり、 仮に甲1に記載された発明でないとしても、 (2)本件発明1~4は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であり、 請求項1~4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 4.当審の判断 (1)本件発明1は、「粘着フィルムをロール状態で保管し、その後フィルムを繰出す際にも、フィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が起き難く、フィルムの加工適性に優れる自己粘着性表面保護フィルムを提供すること」、すなわち、「表面荒れの転写が生じず、かつ粘着性を抑制することなく、良好な剥離性及び製膜性を有するポリオレフィン系フィルムを提供することを目的」(本件特許明細書の【0007】)として、本件発明1の「離型層」を構成する樹脂を、「プロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体を少なくとも含」むものとしたものである。 (2)一方、甲1には、 ア.「合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用、偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護用として好適に使用されるプロピレン系表面保護用フィルム」に関し(【0001】])、従来、「ポリエチレンが主成分であるため、フィルム製膜時に成形機押出機等の内部に滞留が生じ、エチレン成分の劣化によるゲル化が起こり、フィルム中にフィッシュアイが発生するため、被保護物に貼付けた後、そのままの状態で段積み保管した場合、上記フィッシュアイの存在により、被保護物に凹みが生じる」(【0004】)との問題を解決しようとして、「特定のメルトフローレート、示差熱走査熱量計による融解ピーク温度、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた重量平均分子量と数平均分子量との比、昇温溶離分別法で測定した40℃以下の可溶分量を有するプロピレン系樹脂を基材層に用い、ゴム系粘着剤を粘着剤層に用い、表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.2~1.5μmの範囲内である剥離処理層を用いることにより、フィッシュアイが少なく、寸法安定性、表面硬度に優れ、剥離力の制御と繰り出し性能が改良された表面保護用フィルムが得られることを見出し」た旨(【0007】。下線は当審で付したもの。以下同じ。)が記載されている。 イ.このうち、「剥離処理層」は、表面保護用のフィルムにおいて、ロールを解くときにはスムースにはがれ、繰り出し性を向上させるように(【0046】)機能するものであり、甲1には、この「剥離処理層」について、以下の記載がある。 「【0049】 剥離処理層に用いるポリオレフィン系樹脂としては、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α-オレフィンブロック共重合体からなるプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の低密度ポリエチレン等からなるポリエチレン系樹脂が挙げられる。 プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α-オレフィンブロック共重合体からなるプロピレン系樹脂は、一般的にチーグラー触媒、メタロセン触媒等の公知の触媒を使用して、それら触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の公知の重合法で製造される。また、共重合成分のα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテンなどが挙げられる。α-オレフィンは単独で使用してもよいが2種類以上を併用して使用してもかまわない。」 「【0050】 高密度ポリエチレンは、一般的にチーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して、気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスで、エチレンまたはエチレンと少量のプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィンとを(共)重合させて製造される。 高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンは、パーオキサイドなどのラジカル発生剤を重合開始剤として、高圧ラジカル重合法等のプロセスで、エチレン又はエチレンと少量のプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィンとを(共)重合させて製造される。・・・・」 「【0051】 また、剥離処理層に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独または、ポリオレフィン系樹脂を二種以上組み合わせた樹脂組成物を用いることができる。・・・・ 【0052】 また、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α-オレフィンブロック共重合体からなるプロピレン系樹脂と高密度ポリエチレン、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の低密度ポリエチレンからなるポリエチレン系樹脂を混合して剥離処理層として使用する場合、好ましくは、プロピレン系樹脂99~50重量%、ポリエチレン系樹脂1~50重量%、より好ましくは、プロピレン系樹脂95~70重量%、ポリエチレン系樹脂5~30重量%を含む樹脂組成物である。・・・・」 ウ.さらに、実施例、比較例における剥離処理層の樹脂の具体例として、 「【0113】 (3)剥離処理層 剥離処理層樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用した。プロピレン系樹脂として、プロピレン・エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製、銘柄名;ウィンテックWFW4)、プロピレン・エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ(株)製、銘柄名;ノバテックBC3HF)を用いた。ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、銘柄名;ノバテックLD LC600A、MFR:7.0g/10分、密度:0.918g/cm3、 Mw/Mn:7.9)、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、銘柄名;ノバテックLD LF240、MFR:0.7g/10分、密度:0.924g/cm3、Mw/Mn:4.9)、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、銘柄名;ノバテックLD LF441B、MFR:2.0g/10分、密度:0.924g/cm3、Mw/Mn:4.4)、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、銘柄名;ノバテックHD HJ560、MFR:7g/10分、密度:0.964g/cm3)を用いた。」と記載されている。 (3)ア.ここで、甲1に記載された「剥離処理層」は、本件発明1の「離型層」と同様に、表面保護用のフィルムの剥離性を向上させるものであるが、「剥離処理層」を構成する樹脂として、本件発明1の「離型層」のように、「プロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体を少なくとも含」む樹脂を採用するとは、甲1に、直接の記載はない。 イ.しかも、甲1の【0051】に「剥離処理層に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独または、ポリオレフィン系樹脂を二種以上組み合わせた樹脂組成物を用いることができる」とあり、その二種以上組み合わせた樹脂組成物の組み合わせとして、【0052】に「プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α-オレフィンブロック共重合体からなるプロピレン系樹脂と高密度ポリエチレン、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の低密度ポリエチレンからなるポリエチレン系樹脂を混合して剥離処理層として使用する場合」が一例として示されてはいるが、「プロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体を少なくとも含」む樹脂を採用することを示唆するものではない。 すなわち、プロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を混合する組み合わせのうち、プロピレン系樹脂として「プロピレンとエチレンのブロック共重合体」を明示して記載するものではないし、このプロピレン系樹脂と混合されるポリエチレン系樹脂についても、「エチレンと少量のプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィンとを(共)重合させて製造される」(【0050】)とされ、本件発明1の「炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体」である「4-メチル-1-ペンテン」が列挙されるものの、複数の選択肢の中の一例であって、プロピレン系樹脂と共に、特に「炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体」を採用することを示唆するものではない。 ウ.そうすると、甲1の「剥離処理層」は、本件発明1の「離型層」と樹脂材料で相違するから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。 エ.そして、本件発明1と甲1に記載された発明とは、「離型層」の樹脂材料で相違するが、本件発明1は、その「離型層」の樹脂材料を、「プロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体を少なくとも含み、炭素数4以上のα-オレフィン(共)重合体の配合量が離型層を構成する樹脂成分中5重量%以上35重量%未満」とすることにより、「被覆体に対して強い粘着力を示し様々な被覆体に使用可能でありながら、粘着フィルムをロール状態で保管し、その後フィルムを繰出す際にも、フィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が起き難く、フィルムの加工適性に優れるという利点を有」し、「表面荒れの転写が生じず、かつ粘着性を抑制することなく、良好な剥離性及び製膜性を有するポリオレフィン系フィルムを提供することができる」(本件特許明細書の【0012】)との格別な効果を奏するものである。 よって、本件発明1は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 オ.さらに、本件発明2~4は、いずれも本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定されたものであるところ、当該限定がなされない本件発明1が、上記のように、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、本件発明2~4も、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 5.むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700525

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