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特許異議申立

2017-700451

ウエザストリップ

審判番号
2017-700451
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2013-125441外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年05月08日
審決日
2018年06月01日
公報発行日
2018年09月28日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(B60R) / P1651.537-YAA(B60R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6032434号発明「ウエザストリップ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6032434号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 特許第6032434号の請求項1、2、4ないし7に係る特許を維持する。 特許第6032434号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6032434号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成25年6月14日に特許出願され、平成28年11月4日にその特許権の設定登録がされた(特許掲載公報発行日:平成28年11月30日)。 そして、本件特許異議申立に係る手続の概要は、以下のとおりである。 平成29年 5月 8日   特許異議申立書、甲第1~5号証提出 (特許異議申立人 舟橋里帆(以下「申立人」という。) 同年 8月 8日付け 取消理由通知書 同年10月13日   訂正請求書提出 同年11月 9日   手続補正書(方式)提出 同年12月 8日付け 通知書(特許法120条の5第5項) 同年12月28日   意見書提出(申立人) 平成30年 4月 6日   手続補正書(方式)提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 平成29年10月13日にされた訂正の請求(以下、平成30年4月6日提出の手続補正書(方式)による、訂正事項9に係る補正を含めて、「本件訂正請求」という。また、本訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した明細書及び特許請求の範囲(以下、それぞれ「本件明細書」、「本件特許請求の範囲」といい、図面を含めて「本件明細書等」という。)を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。 なお、下線部は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 本件特許請求の範囲の請求項1に「該識別表示は、上記肉厚増加部の一方の先端部分と他方の先端部分に対応する上記ウエザストリップの表面に形成され、又は上記中空シール部の肉厚増加が開始される部分と上記中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分に形成されたことを特徴とするウエザストリップ。」と記載されているのを「該識別表示は、上記中空シール部の肉厚増加が開始される部分から上記中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分まで連続して形成されたことを特徴とするウエザストリップ。」に訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許請求の範囲の請求項2に「上記識別表示は、上記ウエザストリップの表面に付けられたマーク、上記取付基部に形成された切欠き部又は上記取付基部に形成された凹凸部である請求項1に記載のウエザストリップ。」と記載されているのを「上記識別表示は、上記ウエザストリップの表面に付けられたマーク又は上記取付基部に形成された凹部又は凸部である請求項1に記載のウエザストリップ。」に訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 本件特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」と記載されているのを「請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」に訂正する。 (5)訂正事項5 本件特許請求の範囲の請求項5に「請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」と記載されているのを「請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」に訂正する。 (6)訂正事項6 本件特許請求の範囲の請求項6に「請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」と記載されているのを「請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」に訂正する。 (7)訂正事項7 本件特許請求の範囲の請求項7に「請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」と記載されているのを「請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」に訂正する。 (8)訂正事項8 本件明細書の段落【0012】に「識別表示は、肉厚増加部の一方の先端部分と他方の先端部分に対応するウエザストリップの表面に形成され、又は中空シール部の肉厚増加が開始される部分と中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分に形成された」と記載されているのを「識別表示は、中空シール部の肉厚増加が開始される部分から中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分まで連続して形成された」に訂正する。 (9)訂正事項9 本件明細書の段落【0014】に「識別表示は、肉厚増加部の一方の先端部分と他方の先端部分に対応するウエザストリップの表面に形成された場合には、肉厚増加部の始まりの部分と終わりの部分が明確となり、識別表示を目安に取付けることができ、取付作業が容易である。 中空シール部の肉厚増加が開始される部分と中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分に形成された場合には、」と記載されているのを「識別表示は、中空シール部の肉厚増加が開始される部分から中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分まで連続して形成されたため、」に訂正する。 なお、訂正請求書では、「形成されたため」の後に読点がないが、訂正明細書には、読点が記載されているから、上記のとおり、「~形成されたため、」と修正して記載した。 (10)訂正事項10 本件明細書の段落【0019】に「識別表示は、ウエザストリップの表面に付けられたマーク、取付基部に形成された切欠き部又は取付基部に形成された識別表示である」と記載されているのを「識別表示は、ウエザストリップの表面に付けられたマーク又は取付基部に形成された凹部又は凸部である」に訂正する。 (11)訂正事項11 本件明細書の段落【0020】に「識別表示は、ウエザストリップの表面に付けられたマーク、取付基部に形成された切欠き部又は取付基部に形成された凹凸部である」と記載されているのを「識別表示は、ウエザストリップの表面に付けられたマーク又は取付基部に形成された凹部又は凸部である」に訂正する。 (12)訂正事項12 本件明細書の段落【0021】を削除する。 (13)訂正事項13 本件明細書の段落【0022】を削除する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正事項1は、識別表示に関し、訂正前の「上記肉厚増加部の一方の先端部分と他方の先端部分に対応する上記ウエザストリップの表面に形成され、又は上記中空シール部の肉厚増加が開始される部分と上記中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分に形成され」という事項の「又は」で選択的に記載された事項のうち、先に記載された選択事項を削除するものであり、加えて、後に記載された選択事項について、訂正前は「識別表示」が「中空シール部の肉厚増加が開始される部分」と「中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分」に形成されていれば足りるものであったところ(以下、両部分を「対応部分」という。)、「中空シール部の肉厚増加が開始される部分」から「中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分にまで連続して形成された」と訂正することにより、「識別表示」が当該対応部分のみならず当該対応部分の間においても連続して形成されるように識別表示を限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 イ 訂正事項1は、本件明細書の段落【0073】及び【0074】に記載されている事項を訂正の根拠とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 ウ 訂正事項1は、上記アで述べたとおり、識別表示を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 エ 訂正事項1は、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2、4ないし7も同様に訂正するものであるところ、かかる訂正についても、上記アないしウで判断したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正事項2は、識別表示の一態様として請求項2に選択的に記載された事項である「上記取付基部に形成された切欠き部」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。また、「凹凸部」を「凹部又は凸部」と訂正するものであり、かかる訂正は、本件明細書の段落【0073】又は【0074】に記載されている実施形態と整合させるものといえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 イ 訂正事項2は、請求項2に選択的に記載された事項を削除するものであり、また、本件明細書の段落【0073】又は【0074】に記載され事項を訂正の根拠にするものであって、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、さらに、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 訂正事項2は、請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項4ないし7も同様に訂正するものであるところ、かかる訂正についても、上記アないしイで判断したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とし、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (4)訂正事項4ないし7について ア 訂正事項4ないし7は、訂正事項3に係る請求項3の削除に伴い、多数項を引用する請求項4ないし7において、請求項3の引用を除き引用請求項数を減少するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項4ないし7は、請求項3の引用を除く訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 イ 訂正事項4は、請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5ないし7も同様に訂正するものであるところ、かかる訂正についても、上記アで判断したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (5)訂正事項8ないし13について 訂正事項8ないし13は、訂正事項1ないし3に係る訂正に伴って特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また、訂正事項8ないし13は、上記(1)ないし(3)で判断したところによれば、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (6)一群の請求項について 訂正事項1ないし7に係る訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7は請求項1を引用するものであるから、請求項1ないし7は一群の請求項である。そして本件訂正請求は、かかる一群の請求項ごとにされたものであるから、特許法第120条の5第4項に適合するものである。 (7)明細書の訂正について 訂正事項8ないし13の明細書の訂正は、請求項1ないし7に関係するものであり、本件訂正請求は、請求項1ないし7の全てを対象とするものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第4項に適合するものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求が認められ、特許異議の申立ての対象となる請求項3に係る特許は削除されたため、特許異議の申立ての対象として存在するものは、訂正後の請求項1、2、4ないし7に係る特許のみとなる。 本件訂正により訂正された請求項1、2、4ないし7に係る発明(以下「本件発明1、2、4ないし7」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1、2、4ないし7に記載した事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 車体開口部周縁又は車体開口部と対向する相手部材に取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成されて上記車体開口部と対向する上記相手部材又は上記車体開口部周縁に当接して上記車体開口部周縁と相手部材との間をシールする中空シール部とを備えるウエザストリップにおいて、該中空シール部の肉厚が部分的に増加する肉厚増加部を形成し、上記ウエザストリップの表面の上記肉厚増加部の範囲が分かる位置に識別表示を形成し、該識別表示は、上記中空シール部の肉厚増加が開始される部分から上記中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分にまで連続して形成されたことを特徴とするウエザストリップ。 【請求項2】 上記識別表示は、上記ウエザストリップの表面に付けられたマーク又は上記取付基部に形成された凹部又は凸部である請求項1に記載のウエザストリップ。 【請求項4】 上記中空シール部の肉厚の増加は、上記中空シール部の外径は同じで内径が減少して形成された請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のウエザストリップ。 【請求項5】 上記ウエザストリップは、ラッゲージウエザストリップであり、ラッゲージの車体開口部周縁のフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成されてラッゲージリッドの裏面に当接して上記ラッゲージの車体開口部周縁とラッゲージリッドとの間をシールするスポンジ材で形成された中空シール部とを備え、 上記取付基部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とで断面略コ字形をなし、上記車内側側壁の先端又は上記車内側側壁の先端に形成されたカバーシールリップに上記識別表示が形成された請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。 【請求項6】 上記ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップであり、車体開口部周縁のフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成されてドアに当接して上記車体開口部周縁と上記ドアとの間をシールするスポンジ材で形成された中空シール部とを備え、 上記取付基部は、車外側側壁、底壁と車内側側壁とで断面略コ字形をなし、上記底壁の外面に形成され車内方向に延設されるカバーリップ又は上記車内側側壁の先端部分に上記識別表示が形成された請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。 【請求項7】 上記ウエザストリップは、ドアウエザストリップであり、ドアフレームに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成されて上記車体開口部周縁に当接して上記車体開口部周縁と上記ドアフレームとの間をシールするスポンジ材で形成された中空シール部とを備え、上記取付基部の一部に上記識別表示が形成された請求項1、請求項2又は請求項4のいずれか1項に記載のウエザストリップ。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし7に係る特許に対して平成29年8月8日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)取消理由1 本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 刊行物1:特開平5-31784号公報(甲第1号証) 刊行物2:特開平10-119146号公報(甲第2号証) 刊行物3:特開平10-24477号公報(甲第3号証) 刊行物4:特開2005-231189号公報(甲第4号証) 上記刊行物1ないし4は、それぞれ特許異議申立人 舟橋里帆が証拠として提出した甲第1ないし4号証に相当する。 (2)取消理由2 本件特許は、その特許請求の範囲の請求項3の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しないため、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものである。 3 刊行物に記載された事項等 (1)刊行物1に記載された事項及び刊行物1に記載された発明 (1-1)刊行物1に記載された事項 刊行物1には、「自動車用ウェザストリップ」に関し、以下の事項が図面とともに記載されている。下線は当審で付した。以下同様。 (1a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】ドアフレームのリテーナー等に嵌着される嵌着部と、該嵌着部から一体に延設され、ドア閉止時に該ドアとボディ間に介在することによりこれらの間隙をシールするシールリップとを備えたウェザストリップにおいて、ウェザストリップの上記メインシール部を、所定肉厚に設けた通常肉厚部と、該通常肉厚部より所要厚肉に設けた厚肉部とで構成すると共に、これら通常肉厚部と厚肉部とを型成形部を介することなく連続して一体に形成せしめたことを特徴とする自動車用ウェザストリップ。」 (1b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車のドア外周縁またはボディ開口部周縁に、該ドアとボディとの隙間をシールするために装着される自動車用ウェザストリップ及びその成形方法に関するものである。」 (1c)「【0002】 【従来の技術】通常、図11に示す如き乗用型の自動車(C)のボディ(9)開口部とドア(10)との間の隙間をシールするためにドアフレーム(11)等の外周縁にシール部材として装着されるゴム製のウェザストリップ(W)は、ドア(10)自体の取付精度の誤差や高速走行時での負荷によるドア吸出し現象等により隙間が変化し易い箇所をシールするため、この部分からの雨水等の侵入を防止する高度なシール性能、ならびにウェザストリップそのものの正確な装着、固定が要求される。」 (1d)「【0008】 【作用】上記構成を有する本発明ウェザストリップにおいては、メインシール部の通常肉厚部をドア外周の一般部に、厚肉部をドア外周コーナー部に夫々対応させて取着するが、この場合、コーナー部に配される上記厚肉部は、通常の肉厚より厚肉に形成されてなることからツメゴムなしでも屈曲による断面変形を起こすことがほとんどなく、しかもこの厚肉部は前記通常肉厚部と型成形部を介することなく連続して一体に形成されるものであるから、その製造は簡便にして安価に行うことが可能である。」 (1e)「【0011】図1は本発明実施例の自動車用ウェザストリップを示す斜視図、図2は図1のA-A線断面図、図3は同B-B線断面図であり、このウェザストリップ(W)は、ドアフレームのフランジ状リテーナー(図示せず)に外嵌される断面コ字状の嵌着部(1)と、該嵌着部(1)から上方に一体に延設され、ドア閉止時に該ドアとボディ間に挟まれることによりこれら間隙を密閉状態にシールする中空円筒状のメインシール部(2)とを具備している。 【0012】そして、上記ウェザストリップ(W)はそのメインシール部(2)が、図示の如く、所定の肉厚に設けられた通常肉厚部(3)と、該通常肉厚部(3)より所要厚肉に設けられた厚肉部(4)とで構成されると共に、これら通常肉厚部(3)と厚肉部(4)とが型成形部を介することなく連続して一体に形成されている。上記通常肉厚部(3)の厚みはドア用やトランク用等のウェザストリップの種類によって異なるが、通常1.8~2.2mmの範囲であり、上記厚肉部(4)の厚みは、この通常肉厚部(3)の厚みに0.1mm以上、好ましくは0.2~0.4mm程度プラスして設定する。 【0013】また、図4は本発明他の実施例のウェザストリップを示す全体図、図5は図4のC-C線断面図、図6は同D-D線断面図であり、この実施例ウェザストリップ(W)は、ドアフレームのチャンネル状リテーナー(図示せず)に嵌入される断面コ字状の嵌着部(1)と、該嵌着部(1)から上方に一体に延設され、ドア閉止時に該ドアとボディ間に挟まれることによりこれらの間隙を密閉状態にシールする楕円の中空円筒状のメインシール部(2)と、ボディパネルのガーニッシュ(図示せず)にその先端が当接する断面舌片状のシールリップ(5)とを備えている。」 (1f)「【0019】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動車用ウェザストリップは、ドアフレームのリテーナー等に嵌着される嵌着部と、この嵌着部と一体に設けられドアとボディの間隙をシールする中空円筒状のメインシール部とを備えたウェザストリップにおいて、ウェザストリップの上記メインシール部を、所定肉厚に設けた通常肉厚部と、該通常肉厚部より所要厚肉に設けた厚肉部とで構成すると共に、これら通常肉厚部と厚肉部とを型成形部を解することなく連続して一体に形成せしめたものであり、ドア外周部コーナーの上記メインシール部を厚肉に形成することにより屈曲による該メインシール部の断面変形を防止し、従来の如きツメゴムの挿入を排除せしめてドアの閉り荷重を一定レベルに抑制すると共に、この厚肉部を通常肉厚部と連続して一体に形成することにより、型成形部を排除してその製造を簡便かつ安価に行わしめるとの顕著な効果を有するものである。」 (1g)刊行物1には、以下の図面の簡単な説明の記載とともに、図1ないし図6が図示されている。 (1-2)刊行物1に記載された発明 上記(1a)ないし(1g)の記載事項及び図示内容によれば、刊行物1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「ドアフレームのリテーナー等に嵌着される嵌着部1と、該嵌着部1から一体に延設され、ドア閉止時に該ドアとボディ間に介在することによりこれらの間隙をシールする中空円筒状のメインシール部2とを備えたウェザストリップにおいて、ウェザストリップの上記メインシール部2を、所定肉厚に設けた通常肉厚部3と、該通常肉厚部3より所要厚肉に設けた厚肉部4とで構成すると共に、これら通常肉厚部3と厚肉部4とを型成形部を介することなく連続して一体に形成せしめた自動車用ウェザストリップ。」 (2)刊行物2に記載された事項 刊行物2には、「ウエザストリップ」に関し、以下の事項が図面とともに記載されている。 (2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ウエザストリップの長手方向に、断面形状の異なる第1断面押出区間と第2断面押出区間とを設け、両区間の間に断面形状が徐々に変化する徐変押出区間を設けてなるウエザストリップを製造するに際し、 前記徐変押出区間における断面形状の変化に同期させて、押出直後のウエザストリップの表面に、前記徐変押出区間を判別するための着色マークを付することを特徴とするウエザストリップの製造方法。 ・・・ 【請求項3】 前記着色マークを付したウエザストリップを、その加硫後に前記着色マークを基準にして所定の長さに切断することを特徴とする請求項1記載のウエザストリップの製造方法。」 (2b)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この徐変押出は、徐変の名称が示すとおり、断面形状が緩やかに変化している場合がほとんどであるため、その位置を判別するのが困難である。そのため、加硫後の後工程において、かかる徐変位置を判別するのに時間がかかる。 また、この後工程において切断等する場合に、切断位置にバラツキが生じる場合が多い。さらに車両への取付時にもこの切断位置のバラツキ等の影響が出て、見栄えが悪化するという問題がある。 【0004】そこで、本発明は、かかる徐変押出により製造されるウエザストリップにおいて、その長手方向における徐変の位置を押出し後も容易に確認でき、その後の切断等の工程における位置バラツキを防止することのできるウエザストリップの製造方法を提供することを目的とする。」 (2c)「【0010】本実施形態におけるウエザストリップは押出し成形により製造されるものである。図5に示すように、このウエザストリップ2は、自動車1の車体開口部に取付けられるものであり、フロントピラー1aからルーフサイドレール1bを経てクォータピラー1cにかけて配され、前後のドア3,3に当接してドア3,3との間をシールする。 【0011】このウエザストリップ2は、図6に示すように、その長手方向において、フロントピラー1aに沿って配されるフロントピラー部2aと、ルーフサイドレール1bからクォータピラー1cに沿って配されるルーフ部2bと、両者間に介在するコーナ部2cとよりなり、フロントピラー部2aとルーフ部2bとが異なる断面形状を有し、コーナ部2cで断面形状が徐々に変化して両者2a,2b間をなめらかに接続するように形成されている。すなわち、フロントピラー部2aが第1断面押出区間、ルーフ部2bが第2断面押出区間、コーナ部2cが徐変押出区間となっている。 【0012】図1に示すように、ウエザストリップ2は、車体に取付けられる取付基部21と、この取付基部21から突出する2つのリップ状のシール部22,23とよりなる。上記の第1断面押出区間と第2断面押出区間とでは、シール部22の突出長が相違しており、第1断面押出区間の方が長くなっている。そして、徐変押出区間において、このシール部22内に設定された徐変部分24の長さが徐々に変化しており、これによりシール部22の突出長の徐変がなされている。 【0013】ウエザストリップ2の表面には、徐変押出区間を判別するための着色マーク25が、当該表面にペイントやインキ等の着色材を付着させることにより付されている。着色マーク25は、本実施形態では、徐変押出区間内においてシール部22の表面に付されており、1の徐変押出区間に対して1つ付されている。」 (2d)「【0031】なお、上記において、着色マーク25の形状は、特に限定されず、円形、矩形等の種々の形状を適用することができる。 【0032】また、着色マーク25の位置は、徐変押出区間の中間点の他、当該区間の開始点、終了点等の様々な位置に配することができる。」 (2e)刊行物2には以下の図1及び図6が図示されている。 (3)刊行物3に記載された事項 刊行物3には、「自動車各部のシール材として使用されるウエザストリップ」に関し、以下の事項が図面とともに記載されている。 (3a)「【特許請求の範囲】 ・・・ 【請求項4】車体に取り付けられる取付基部と、車体のコーナー部に対応する位置に配置された形状保持部材を覆い、かつ上記取付基部と一体となるように押出成形される中空シール部と、を有する長尺なウエザストリップであって、 上記形状保持部材を基準とした長手方向の所定位置に、車体取付時の車体に対する相対位置を示すマーキングが施されていることを特徴とするウエザストリップ。」 (3b)「【0021】上記マーキングは、例えば、従来公知のホワイトペン等を用いて中空シール部または取付基部に着色したり、あるいは中空シール部または取付基部に切欠を形成することによって施される。」 (3c)「【0028】そして本実施例のウエザストリップ10は、図6にも示すように、長手方向の所定位置にマーキングMが施されている。このマーキングMは、車体取付時の車体に対する相対位置を示し、後述する製造時に形状保持部材16の位置と対応させて、所定位置に施されている。ウエザストリップ10を車体に取り付ける際、このマーキングMを参照することによって、ウエザストリップ10を容易かつ正確な位置に取り付けることができ、ウエザストリップ10の取付作業性および取付位置精度が向上する。またマーキングMは形状保持部材16を基準として施されているため、形状保持部材16の位置精度も向上する。すなわちマーキングMを参照して取り付けることによって、形状保持部材16が正確にコーナー部Rに配置されるようになり、所期の特性を得ることができる。」 (3d)刊行物3には以下の図1、図6及び図7が図示されている。 (4)刊行物4に記載された事項 刊行物4には、「自動車用ウエザストリップ」に関し、以下の事項が図面とともに記載されている。 (4a)「【発明を実施するための最良の形態】 【0026】 本発明の実施の形態を図1~図10に基づき説明する。本発明について自動車用ウエザストリップを例にとり説明するが、他の押出成形により成形される長尺成形品にも使用することができる。 図1は、本発明の製造方法で製造される自動車用ウエザストリップ50の断面図である。ウエザストリップ50は、断面略U字形のトリム部52とトリム部52から車外方向に突出する中空シール部58からなるウエザストリップ本体51とトリム部52及び後述するカバーリップ53の上面に設けられた装飾層57から構成される。 【0027】 トリム部52は、断面略U字形をなし、内部にインサート54が埋設され、上部に車室内側に延びるカバーリップ53が設けられている。このカバーリップ53は、後述するように、所定箇所で部分的に切り取られる。また、インサート54には、後述するように、1本分の長尺成形品の先端と後端の位置に切欠部54bが設けられている。トリム部52の断面略U字形の内面には複数の車外側保持リップ55と1つの車内側保持リップ56が設けられている。トリム部52の内部にドアや車体開口縁のフランジが挿入され、車外側保持リップ55と車内側保持リップ56により保持されて、ウエザストリップ50が装着される。 トリム部52は、ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂等のソリッド材又は微発泡材で形成され、中空シール部58は、ゴムや熱可塑性エラストマー等のスポンジ材で構成されている。」 (4b)「【0032】 ・・・連続したウエザストリップ50は、レーザーマーカー装置7に送られ、インサート54の切欠き部54bをセンサーで検知して、ウエザストリップ50の先端部分に該当するトリム部52の被覆材の表面に、図3に示すように、該当製品を後述する画像認識装置が認識できるように製品マーク59cを付する。図3では、製品マーク59cはアルファベットのAが付されている。このAは工程管理装置9において、予め記憶されている該当品番と照合されて、その後の加工工程で加工される対象品番とその仕様が後述するように、加工装置に伝達される。 【0033】 さらに、連続したウエザストリップ50は、寸法計測器6内を移動して、ウエザストリップ50の後端部分に該当する切欠き部54bをセンサーが検知するとその部分にレーザーマーカー装置7により、合否マーク59bを付する。図3では、合否マーク59bは、合格の場合は丸印が付されている。 この、合否マーク59bと製品マーク59cは、トリム部52が後述するように断面U字形に曲げられた時に、画像認識装置40で認識しやすいように、トリム部52の上面に設けられている。」 4 対比・判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について (1-1)取消理由1について (1-1-1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「自動車用ウエザストリップ」及び「ウエザストリップ」は、本件発明1の「ウエザストリップ」に相当するといえる。 また、引用発明の「ウエザストリップ」は、自動車に適用されるものであり、かかる「ウエザストリップ」は、「ドアフレームのリテーナー等に嵌着される」ものであるから、引用発明の「ドアフレームのリテーナー」は、技術常識をも踏まえると、自動車の車体開口部と対向するドア側の部材、すなわち、車体開口部からみて相手部材ということができる。 そうすると、引用発明の「ドアフレームのリテーナー等に嵌着される」「嵌着部1」は、本件発明1の「車体開口部周縁又は車体開口部と対向する相手部材に取付けられる」「取付基部」に相当するといえる。 (イ)引用発明の「メインシール部2」は、「嵌着部1から一体に延設され、ドア閉止時に該ドアとボディ間に介在することによりこれらの間隙をシールする中空円筒状の」ものであること、及び本件発明1の「中空シール部」は、本件明細書の段落【0050】及び図1等の記載によれば、その具体的構造として略円形の中空状に形成されるものを含み得ることから、本件発明1の「取付基部に一体的に形成されて上記車体開口部と対向する上記相手部材又は上記車体開口部周縁に当接して上記車体開口部周縁と相手部材との間をシールする」「中空シール部」に相当するといえる。 (ウ)また、引用発明の「メインシール部2」は、「所定肉厚に設けた通常肉厚部3と、該通常肉厚部3より所要厚肉に設けた厚肉部4とで構成」されるものであり、かかる「通常肉厚部3と厚肉部4」とは、「連続して一体に形成せしめた」ものであることから、「メインシール部2」には、部分的に厚肉部4が形成されているということができる。 そうすると、引用発明の「ウェザストリップの上記メインシール部2を、所定肉厚に設けた通常肉厚部3と、該通常肉厚部3より所要厚肉に設けた厚肉部4とで構成すると共に、これら通常肉厚部3と厚肉部4とを型成形部を介することなく連続して一体に形成せしめた」ことは、本件発明1の「該中空シール部の肉厚が部分的に増加する肉厚増加部を形成し」たことに相当するといえる。 以上によれば、本件発明1と引用発明とは以下の点で一致及び相違するといえる。 <一致点> 「車体開口部周縁又は車体開口部と対向する相手部材に取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成されて上記車体開口部と対向する上記相手部材又は上記車体開口部周縁に当接して上記車体開口部周縁と相手部材との間をシールする中空シール部とを備えるウエザストリップにおいて、該中空シール部の肉厚が部分的に増加する肉厚増加部を形成したウエザストリップ」 <相違点> 本件発明1は、「上記ウエザストリップの表面の上記肉厚増加部の範囲が分かる位置に識別表示を形成し、該識別表示は、上記中空シール部の肉厚増加が開始される部分から上記中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分にまで連続して形成された」事項を有するのに対し、引用発明は、そのような事項を有しない点。 イ 判断 (ア)刊行物2に記載された事項の適用について a)刊行物2には、「フロントピラー1aに沿って配されるフロントピラー部2aと、ルーフサイドレール1bからクォータピラー1cに沿って配されるルーフ部2bと、両者間に介在するコーナ部2cとよりなり、フロントピラー部2aとルーフ部2bとが異なる断面形状を有し、コーナ部2cで断面形状が徐々に変化して両者2a,2b間をなめらかに接続するように形成されて」おり、「フロントピラー部2aが第1断面押出区間、ルーフ部2bが第2断面押出区間、コーナ部2cが徐変押出区間と」されており、「第1断面押出区間と第2断面押出区間とでは」、「取付基部21から突出する」「2つのリップ状のシール部22の突出長が相違しており、第1断面押出区間の方が長くなって」おり、「徐変押出区間において、このシール部22内に設定された徐変部分24の長さが徐々に変化しており、これによりシール部22の突出長の徐変がなされている」ウエザストリップ2であって、「ウエザストリップ2の表面には、徐変押出区間を判別するための着色マーク25が、当該表面にペイントやインキ等の着色材を付着させることにより付されている」事項が記載されている。(摘示(2c)の段落【0011】~【0013】)。 また、「着色マーク25は」、「徐変押出区間内においてシール部22の表面に付されており、1の徐変押出区間に対して1つ付され」る実施形態(摘示(2c)の段落【0013】)及び「着色マーク25の位置は、徐変押出区間の中間点の他、当該区間の開始点、終了点等の様々な位置に配することができる」こと(摘示(2d))が記載されている。 以上によれば、刊行物2には、ウエザストリップ2におけるコーナー部2cに配置されるリップ状のシール部22の突出長が徐々に変化する除変押出区間を判別するために着色マーク25を当該除変押出区間のシール部22等の中間点の他、当該区間の開始点、終了点等の様々な位置に配することが記載されているといえる。 b)刊行物2に記載の「除変押出区間」は、上記a)で示したとおり、異なる断面形状を有するフロントピラー部2aとルーフ部2bとの間をなめらかに接続するために設けられたものであるといえるところ、引用発明はそもそもそのような除変押出区間に相当する構成を有するものではないから、引用発明には刊行物2に記載された事項を適用する対象が存在しないといえ、対象が存在しない以上、刊行物2に記載された事項を適用する動機付けも存在しないといえる。 したがって、引用発明に刊行物2に記載された事項を適用し、上記相違点に係る本件発明1の構成を有するものとすることは、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。 c)なお、申立人は、特許異議申立書の22頁1行~23頁22行において、本件発明1の「中空シール部における部分的な厚肉増加部」と、刊行物2に記載された「リップ状のシール部22」における相対的に突出長が高い部分とは機能上等価であるとした上で、刊行物2の「リップ状のシール部22」の「除変押出区間」の「開始点」及び「終了点」に「着色マーク25」を付することは、本件発明1の「中空シール部の肉厚増加が開始される部分」及び「中空シール部の肉厚が元の中空シール部の肉厚に戻った部分に対応する部分」に識別表示を形成することを示唆している旨主張しているが、以下に述べるとおり、かかる主張は理由がない。 d)申立人の主張によれば、申立人は、本件発明1の「中空シール部における部分的な厚肉増加部」は、刊行物2に記載された「リップ状のシール部22」の「除変押出区間」に対応する部分であると解釈したものと理解することができる。 しかしながら、刊行物2の除変押出区間は、上記a)で示したとおり、異なる断面形状を有するフロントピラー部2aとルーフ部2bとの間をなめらかに接続するために設けられたものであるのに対し、本件発明1の「肉厚増加部」は、車体開口部周縁のコーナー部に取付ける中空シール部の肉厚を厚肉にし、コーナー部で中空シール部が座屈しないようにするための構造であるから(本件明細書の段落【0007】【0008】)、刊行物2に記載された「除変押出区間」と本件発明1の「肉厚増加部」とは、形状・構造のみならず、技術的意義においても相違するものといえる。 よって、申立人の上記主張は前提において失当であるというべきである。 e)仮に刊行物2に記載された「除変押出区間」の開始点、終了点等の様々な位置に「着色マーク25」を配するという事項を引用発明の「厚肉増加部」に適用することができたとしても、本件発明1の構成に至らないことを念のために以下に述べる。 f)刊行物2に記載された「着色マーク25」は、「除変押出区間のシール部22等の中間点の他、当該区間の開始点、終了点等の様々な位置に配する」ことが想定されているところ、当該マークの具体的な配設態様は、当該区間の中間点、開始点、終了点等の任意の点とすることのみ示されているにすぎないこと、及び、当該マークは、当該マークを基準にしてウエザストリップ2を所定の長さに切断するために利用されるものであることを考慮すると(摘示(2a)の【請求項3】、摘示(2b))、当該マークは、除変押出区間の任意の点に配すれば足りると解されることから、刊行物2は着色マーク25を当該区間の任意の点に配する配設態様を示唆するにとどまり、除変押出区間の開始点から終了点まで連続して配するような配設態様は想定していないといえる。 そうだとすると、仮に引用発明に刊行物2に記載された「着色マーク25」を適用することができたとしても、引用発明の「厚肉部4」(本件発明1の「肉厚増加部」に相当)の任意の点に着色マークを配する構成が想到されるにとどまり、「厚肉部4」の「通常肉厚部3」に対して肉厚増加が開始する部分から終了する部分まで連続して着色マークを配する構成を想到すること、すなわち、上記相違点に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者にとって容易とはいえない。 (イ)刊行物3に記載された事項の適用について a)刊行物3には、「車体に取り付けられる取付基部12と、車体のコーナー部Rに対応する位置に配置された形状保持部材16を覆い、かつ上記取付基部12と一体となるように押出成形される中空シール部14と、を有する長尺なウエザストリップ10であって、上記形状保持部材16を基準とした長手方向の所定位置に、車体取付時の車体に対する相対位置を示すマーキングMが施されているウエザストリップ10」(摘示(3a)(3d))が記載されている。 また、前記マーキングMの具体的な配設態様として、図1(摘示(3d))から、形状保持部材16の位置から長手方向に離れた位置にマーキングMが施されている構成が看て取れる。 b)刊行物3に記載されている形状保持部材16の配設区間は、本件発明1の「肉厚増加部」や引用発明の「厚肉部3」の区間と略対応しているといえるから、引用発明に刊行物3に記載された事項を適用すると、引用発明のウェザストリップの厚肉部3を基準とした長手方向の所定位置にマーキングを施す構成、例えば、厚肉部3の位置から長手方向に離れた位置にマーキングを施す構成が容易に得られるとはいえても、当該厚肉部3の肉厚増加が開始される部分から肉厚が元の肉厚に戻った部分に対応する部分まで連続して形成する構成が容易に得られるとはいえないし、そのように構成することが設計事項であると認めるに足りる証拠も見当たらない。 したがって、引用発明に刊行物3に記載された事項を適用し、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。 (ウ)刊行物4に記載された事項の適用について 刊行物4は、本件発明6に対する取消理由中で引用した文献であるが、念のため、刊行物4に記載された事項の適用についても以下検討する。 刊行物4には、「断面略U字形のトリム部52とトリム部52から車外方向に突出する中空シール部58からなるウエザストリップ本体51とトリム部52及び」「カバーリップ53の上面に設けられた装飾層57から構成される」「ウエザストリップ50」の「トリム部52の被覆材の表面」に、「製品マーク59cを付する」こと、及び、「後端部分に該当する切欠き部54b」「の部分にレーザーマーカー装置7により、合否マーク59bを付する」ことが記載されているといえるが(摘示(4a)(4b))、上記相違点に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。 したがって、引用発明に刊行物4に記載された事項を適用し、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到しうるものとはいえない。 (エ)小括 以上より、本件発明1は、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (1-1-2)本件発明2、4ないし7について 本件発明2、4ないし7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに減縮するものであるから、上記(1)で述べたとおり、本件発明1と同様の理由により、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (1-2)取消理由2について 訂正前請求項3は削除されたため、かかる請求項3の記載に対する取消理由2は存在しなくなった。 (2)特許異議申立理由(特許法第29条第2項)について 申立人は、訂正前の請求項1ないし7に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に基づいて容易想到である旨主張するものである。 ここで、取消理由通知で引用していない甲第5号証(実願昭63-62946号(実開平1-165739号)のマイクロフィルム)には、「自動車の車体開口縁部の周縁フランジに装着されるウェルト,ウェザーストリップ等の弾性材からなる縁飾り」に関する事項が図面とともに記載されているところ、その明細書1頁4~16行及び図面の記載によれば、「断面略U字状で、かつ、内、外側壁が非対称に形成され、車体開口縁部の周縁フランジに挟着固定される弾性材からなる帯状の縁飾りであつて、該縁飾りの内、外側の何れか一方の側壁に、両端末から所定の同一寸法長さの2位置にマーキングを付設した車体開口縁部の縁飾り」が記載されているといえるが、上記相違点に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。 本件発明1、2、4ないし7は、甲第1号証(刊行物1)ないし甲第4号証(刊行物4)に基づいて容易想到とはいえないことは、上記(1)において説示したとおりであり、さらに甲第5号証を参照しても容易想到とはいえない。 よって、申立人の主張は理由がない。 (3)付記(申立人が提出した意見書に添付した参考文献1について) 参考文献1(特開平7-117486号公報)には、「自動車用ウエザストリップ」に関する事項が図面とともに記載されているところ、その特許請求の範囲の請求項1には、「自動車ルーフに形成した開口を開閉するサンルーフパネルの外周に装着されて、該外周とルーフの開口縁との間をシールするウエザストリップであって、サンルーフパネルの外周をつかむ基部と、開口縁に圧接するシール部を備えたウエザストリップにおいて、サンルーフパネルの四隅コーナ部に対応する部分の基部に、コーナ中心の両側からコーナ中心に向けて漸次深くなる切欠きを設けた」「自動車用ウエザストリップ」が記載されている。そして、参考文献1の段落【0009】によれば、「ウエザストリップ3は切欠き37を設けたことで容易に曲げることができる。またコーナ中心を中心として曲がるから、ウエザストリップ3をサンルーフパネル2の外周に嵌込むときに、位置合せが容易、かつ正確になされ得る。」ということであるから、かかる「切欠き37」は、ウエザストリップ3をサンルーフパネル2の外周に装着する際、サンルーフパネル2のコーナ部に対応するウエザストリップの部分を正確に取り付けるための目印として機能するものということはできる。 しかしながら、参考文献1には、あくまで「切欠き37」が「サンルーフパネル2の四隅コーナ部に対応する部分の基部に」設けられることが開示されているにすぎず、当該「切欠き37」がどこから開始しどこで終わるかについて具体的に開示されているわけでもないから、引用発明の厚肉部3を有するウエザストリップに参考文献1の切欠き37に係る構成を適用したとしても、厚肉部3に対応する肉厚増加が開始される部分から肉厚が元の肉厚に戻った部分に対応する部分まで連続して形成する構成、すなわち、上記相違点に係る本件発明1の構成に至ることはないし、そのように構成することが設計事項であると認めるに足りる証拠も見当たらない。 したがって、参考文献1を参照しても、相違点に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到できるものとはいえない。 第4 むすび 以上のとおり、請求項1、2、4ないし7に係る特許については、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2、4ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項3に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700451

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    共通の審決分類: 121・B60R、537・B60R
  • 2022-700869異議申立 / 2024-09-25 / 訂正認容電子機器及びプログラム
    共通の審決分類: 121・B60R、537・B60R

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