特許異議申立
2017-700297
飲食用組成物
- 審判番号
- 2017-700297
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-021905外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月23日
- 審決日
- 2017年08月04日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社東洋新薬
- 【権利者代理人】特許業務法人翔和国際特許事務所
- 【異議申立人】土屋 篤志
- 分類
- P1651.121-Y (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5997854号発明「飲食用組成物」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5997854号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5997854号(以下「本件特許」という。)に係る経緯は,概ね次のとおりである。
平成28年2月 8日 出願(特願2016-21905号,先の出願
に基づく優先権主張:平成27年2月19日,平
成27年6月29日)
平成28年9月 2日 特許権の設定登録(特許第5997854号)
平成28年9月28日 公報発行
平成29年3月22日付 特許異議の申立て(特許異議申立人土屋篤志)
平成29年5月24日付 取消理由通知書
平成29年7月25日 意見書(特許権者)
第2 本件特許に係る発明
本件特許の請求項1に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下「本件発明」という。)。
【請求項1】
大麦の茎及び/又は葉の粉末を用いた青汁用の飲食用組成物であって,
該大麦が,トヨノカゼ及びサチホゴールデンから選ばれる少なくとも1の品種の大麦であることを特徴とする,青汁用の飲食用組成物。
第3 異議申立てについて
1 取消理由の概要
本件特許に対し,平成29年5月24日付けで通知した取消理由は,概ね,次のとおりである。
すなわち,本件発明は,本件特許の優先日前に日本国内又は外国において,頒布された甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:特開2015-109825号公報
甲第2号証:柳澤貴司,外9名,“多収で精麦品質に優れる裸麦新品種「トヨノカゼ」の育成”,近畿中国四国農業研究センター研究報告,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センター,平成19年3月,第6号,p.153-165
(以下,甲各号証を証拠の番号に従って「甲1」などという。)
2 取消理由について
(1) 甲1について
ア 甲1には,以下の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培される六条大麦の葉及び/又は茎。
・・・
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の六条大麦の葉及び/又は茎,又は請求項4に記載の方法によって得られる六条大麦の葉及び/又は茎を含む青汁用の飲食用組成物。」
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培され,かつ,飲食用組成物に使用される六条大麦の葉及び/又は茎,並びにこれらを含む飲食用組成物に関する。」
・「【0002】
青汁用の飲食用組成物は,植物の葉や茎などを含む,乾燥粉末や搾汁粉末などに加工してなるものである。青汁用の飲食用組成物は,簡易に野菜成分を摂取できるものであることから,健康食品として利用されている。」
・「【0008】
そこで,本発明は,飲食用組成物に適した六条大麦の葉及び/又は茎を提供すること,さらにこのような六条大麦の葉及び/又は茎を含むことから,栽培適性が高く,かつ,栄養が豊富で嗜好性の高い飲食用組成物を提供することを,発明が解決しようとする課題とした。」
・「【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは,上記課題について鋭意研究したところ,驚くべきことに,精麦不良を引き起こすとされていた黒ボク土を用いた栽培方法により,六条大麦の葉や茎は,従前の栽培方法を用いて得られた六条大麦の葉や茎に比べて,栽培適性が高く,栄養が豊富で,見た目が美しく,風味が良好であることから,青汁等の飲食用組成物の原料として適し,これを用いた飲食用組成物は,栄養が豊富で,嗜好性が高いものであることを見出し,本発明を完成させた。
【0010】
したがって,本発明によれば,(1)少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培される六条大麦の葉及び/又は茎が提供される。
・・・
【0014】
本発明の別の側面によれば,(5)上記(1),(2)又は(3)に記載の六条大麦の葉及び/又は茎,又は上記(4)に記載の方法によって得られる六条大麦の葉及び/又は茎を含む青汁用の飲食用組成物が提供される。」
・「【発明の効果】
【0015】
本発明の六条大麦の葉及び/又は茎は,従前の栽培方法を用いて得られた六条大麦の葉や茎に比べて,栽培適性が高く,栄養が豊富であり,見た目が美しく,風味が良好であり,かつ,青汁等の飲食用組成物に適するものである。このような本発明の六条大麦の葉及び/又は茎を用いて得られる本発明の飲食用組成物は,栄養が豊富で,嗜好性が高いものである。」
・「【0018】
本発明において,六条大麦は,植物学上で六条大麦に分類されるもの,すなわち,イネ科オオムギ属オオムギのうちの六条大麦(Hordeum vulgare f. hexastichon)であり,形態学的な特徴としては穂を上から見ると6列に実がついているものであれば特に限定されず,野生種,交雑種などのいずれであってもよい。本発明における六条大麦の具体例としては,飲食用組成物の原料として使用して青汁等の飲食用組成物とした場合に,二条大麦や六条大麦品種「赤神力」などの葉や茎を用いた従前の飲食用組成物に比べて,栽培適性の高さ,栄養成分の含有量,色が鮮やかであることによる見た目の美しさと,風味の良好さとを備えることができることから,倍取,シルキースノウ,サヌキハダカ,ダイシモチ,イチバンボシ,ファイバースノウ,シュンライ,はがねむぎ及びカシマゴールなどが挙げられるが,これらに限定されるものではない。」
・「【0031】
例えば,大麦の茎や葉を乾燥粉末化するには従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては,大麦の茎や葉に対して,乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが,乾燥処理を先に行うことが好ましい。乾燥粉末化は,この方法に,更に必要に応じブランチング処理,殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また,粉砕処理を行う回数は1回でも,2回以上の処理を組合せてもよいが,粗粉砕処理を行った後に,より細かく粉砕する微粉砕処理を組合せることが好ましい。
【0032】
ブランチング処理とは,茎や葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり,ブランチング処理の方法としては,熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。ブランチング処理は,80~100℃,好ましくは90~100℃の熱水または水蒸気中で,茎や葉を60~180秒間,好ましくは90~120秒間処理することが好ましい。また,ブランチング処理として熱水処理を行う場合,熱水中に炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を溶解させておくことで,茎や葉の緑色をより鮮やかにすることができるため,好ましい。また,蒸煮処理としては,常圧または加圧下において,茎葉を水蒸気により蒸煮する処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理が好ましい。間歇的蒸煮処理において,水蒸気により蒸煮する処理は,好ましくは20~40秒間,より好ましくは30秒間行われる。蒸煮処理後の冷却処理は,直ちに行われることが好ましく,その方法は,特に制限しないが,冷水への浸漬,冷蔵,冷風による冷却,温風による気化冷却,温風と冷風を組み合わせた気化冷却などが用いられる。このうち温風と冷風を組み合わせた気化冷却が好ましい。このような冷却処理は,茎葉の品温が,好ましくは60℃以下,より好ましくは50℃以下,最も好ましくは40℃以下となるように行われる。また,ビタミン,ミネラル,葉緑素などの栄養成分に富んだ茎や葉の粉末を製造するためには,間歇的蒸煮処理を2~5回繰り返すことが好ましい。
【0033】
また,殺菌処理とは,通常,温度・圧力・電磁波・薬剤等を用いて物理的・化学的に微生物細胞を殺滅させる処理である。乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合,ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。また乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合,殺菌処理は,乾燥処理の後か,粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
【0034】
また,乾燥処理としては,茎や葉の水分含量が10%以下,特に5%以下となるように乾燥する処理であることが好ましい。この乾燥処理は,例えば,熱風乾燥,高圧蒸気乾燥,電磁波乾燥,凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は,好ましくは40℃~140℃,より好ましくは80~130℃にて加温により茎や葉が変色しない温度及び時間で行われうる。
【0035】
また,粉砕処理としては,クラッシャー,ミル,ブレンダー,石臼などを用いて当業者が通常使用する任意の方法により粉砕する処理が挙げられる。粉砕された茎や葉は必要に応じて篩にかけられ,例えば,30~250メッシュを通過するものを茎や葉の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで,茎や葉の粉末のさらなる加工時に取り扱いやすく,粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで,茎や葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易である。
【0036】
具体的な乾燥粉末化の方法としては,例えば,大麦の茎や葉を切断した後,ブランチング処理を行い,次いで水分含量が10質量%以下,好ましくは5質量%以下となるように乾燥し,その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004-000210号公報を参照)。また例えば,大麦の茎や葉を切断した後,ブランチング処理を行い,次いで揉捻し,その後,乾燥し,粉砕する方法(特開2002-065204号公報,特許第3428956号公報を参照)も挙げられる。また例えば,大麦の茎や葉を乾燥し,粗粉砕した後,110℃以上で加熱し,更に微粉砕する方法(特開2003-033151号公報,特許第3277181号公報を参照)も挙げられる。
【0037】
大麦の茎や葉を細片化する方法としては,スライス,破砕,細断等,当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として,スラリー化してもよい。スラリー化は,大麦の茎や葉をミキサー,ジューサー,ブレンダー,マスコロイダーなどにかけ,大麦の茎や葉をどろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)にすることにより行う。このようにスラリー化することにより,茎や葉は,細片の80質量%以上が好ましくは平均径1mm以下,より好ましくは0.5mm以下,一層好ましくは0.1mm以下,最も好ましくは0.05mmとなるように細片化され,流動性を有するようになる。」
イ 上記の記載からすると,甲1には次の発明が記載されているといえる(以下「甲1発明」という。)。
(甲1発明)
「少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培される六条大麦の葉及び/又は茎の粉末を含む青汁用の飲食用組成物」
(2) 甲2について
甲2には,以下の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。
・「II 育成の経過
1 育種目標
『トヨノカゼ』は,早生・良質・多収・大粒・縞萎縮病抵抗性を育種目標に『四系9123』を母親,『四国裸90号』を父親として人工交配を行い,系統育種法により育種した品種である.
・・・父親の『四国裸90号』は・・・1992年に裸麦農林31号『イチバンボシ』として命名登録されている.」(153頁右欄下から5行~155頁左欄5行)
・「試作した味噌に関する成績を第7表に示す.色相,化学分析値について『トヨノカゼ』と『イチバンボシ』はほぼ同等の数字である.麦飯の食味試験に関する成績を第8表に示す.炊飯した際に,『トヨノカゼ』は『イチバンボシ』よりやや白く,粘りや味がやや優る.第9表に色相に関わるポリフェノール量およびプロアントシアニジン量を全粒粉および60%搗精粉について分析した結果を,第3図ではオオムギのポリフェノールの主成分であるカテキン,プロデルフィニジンB3およびプロシアニジンB3についてさらに詳細に分析した結果を示す.『トヨノカゼ』は『イチバンボシ』,『サヌキハダカ』に比べて60%搗精粉のポリフェノール量,プロアントシアニジン量が少ない.全粒粉ではそれほど差が見られない.『トヨノカゼ』は『イチバンボシ』,『サヌキハダカ』に比べてポリフェノールの3つのどの主成分も少ない.」(157頁右欄12~28行)
・「
」(160頁)
・「VI 大分県における採用理由
裸麦の奨励品種の中で,1993年に採用された『イチバンボシ』は,安定多収のうえ味噌加工適性に優れることから,急速に作付面積を拡大し,2000年産では778haをピークに大分県産麦の18.6%を占める主力品種となった.この状況は他県でも同様で,全国的に『イチバンボシ』の作付面積は増加し,現在国内の裸麦の71%(2004年産)のシェアとなっている.このようなことから大分県では,地元実需者から,出回り品が『イチバンボシ』に限定されるため,地元味噌業者の要望により2001年(2002年産)に古い品種でかつて栽培があったものの現在ではほとんど作付けされていない『サヌキハダカ』を一部の地域で作付数量を限定して導入している.しかしこの品種は,長稈で倒伏しやすく収量性が低く,縞萎縮病に弱いなど生産が不安定なため,作付面積は100ha程度に減少している.『トヨノカゼ』は,耐倒伏性が強く,収量性も『イチバンボシ』より多収であり,精麦性が『イチバンボシ』より軟質で搗精に要する時間が短く白度が高いうえ,味噌加工適性も優れている.このような特性を持つ『トヨノカゼ』を奨励品種に採用することによって,実需者ニーズに沿った『地元オリジナル品種』の生産を推進し,良質麦の安定供給を通じて大分県産裸麦と麦味噌の評価が高められることが期待される.」(161頁左欄2行~右欄17行)
(3) 対比及び判断
ア 本件発明と甲1発明とを,その有する機能に照らして対比すると,甲1発明の「六条大麦」,「茎」,「葉」,「粉末」,「青汁用の飲食用組成物」は,本件発明の「大麦」,「茎」,「葉」,「粉末」,「青汁用の飲食用組成物」に,それぞれ相当するから,両者は以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「大麦の茎及び/又は葉の粉末を用いた青汁用の飲食用組成物。」
(相違点)
本件発明は,大麦が「トヨノカゼ及びサチホゴールデンから選ばれる少なくとも1の品種の大麦」であるのに対し,甲1発明は,六条大麦についてそのような特定がない点。
イ 上記相違点について検討する。
甲2には,裸麦の新品種である「トヨノカゼ」が開示されているところ,甲2には,「トヨノカゼ」が「イチバンボシ」をもとに育種した品種であること,「トヨノカゼ」が,麦飯の白さ,香り,硬さ,粘り,味や,収量性,精麦性,味噌加工適性など,種子の観点から利点を有することが開示されているが(前記(2)),「トヨノカゼ」の葉及び/又は茎を利用することについて,特段記載はない。
他方,甲1発明は,六条大麦の葉及び/又は茎を利用するものであり,「飲食用組成物に適した六条大麦の葉及び/又は茎を提供すること,さらにこのような六条大麦の葉及び/又は茎を含むことから,栽培適性が高く,かつ,栄養が豊富で嗜好性の高い飲食用組成物を提供すること」(甲1【0009】)を課題とし,「従前の栽培方法を用いて得られた六条大麦の葉や茎に比べて,栽培適性が高く,栄養が豊富であり,見た目が美しく,風味が良好であり,かつ,青汁等の飲食用組成物に適する・・・六条大麦の葉及び/又は茎を用いて得られる本発明の飲食用組成物は,栄養が豊富で,嗜好性が高いものである。」(同【0015】)といった効果を奏するものである。
また,甲1には,六条大麦として「倍取,シルキースノウ,サヌキハダカ,ダイシモチ,イチバンボシ,ファイバースノウ,シュンライ,はがねむぎ及びカシマゴールなど」が挙げられているが(【0013】),「トヨノカゼ」に関する記載,示唆は特段ない。
このように,甲1発明と甲2に記載された事項とは,六条大麦に関する点で共通し,甲2に開示の「トヨノカゼ」は甲1に列記された「イチバンボシ」と品種としての関連性も認められるが,具体的に利用している部位が異なり,課題や用途に共通性も認められないから,甲1発明において,甲2に記載された「トヨノカゼ」をあえて採用することの動機付けは認められない。
そして,本件発明は,トヨノカゼ及びサチホゴールデンから選ばれる少なくとも1の品種の大麦の茎及び/又は葉の粉末を用いることにより,色の鮮やかさ,香りの良さ,甘さ,えぐ味の弱さ,苦味の弱さ,青臭さ,舌触りの良さ,粉っぽさのなさ,コク,味の濃さ,口当たりの良さ,のどごし,後味,熱安定性に関し,ニシノホシ,イチバンボシ,シュンライとの対比で所定の優位性が認められるから(本件特許明細書【0045】~【0062】,図1~6),この点を単なる設計的事項とすることは妥当ではない。
そうすると,甲1発明において,甲2に記載の「トヨノカゼ」を用い,上記相違点に係る本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できた事項であるとは認められない。
ウ この点に関し,特許異議申立人は,甲1に開示された大麦品種に代えて,甲2に記載された,大麦品種として味が優れ,大分県産の推奨品種として期待の「トヨノカゼ」を用いることの動機付けがある,大麦の品種として実際に事業栽培する場合に入手可能な種子としては,「トヨノカゼ」を含むごく僅かの品種しかなく,ごく僅かの品種の中から期待の「トヨノカゼ」を選択することは容易である,色・風味に関する評価も専門家パネラーでもない6名による結果だけで,その結果も必ずしも格別顕著ではない,などと主張している。
しかしながら,甲2に「トヨノカゼ」が種子としての特性に優れ,期待の品種である点が開示されているとしても,大麦として具体的に利用している部位が甲1発明とは異なり,課題や用途に共通性もないから,甲1発明において「トヨノカゼ」の葉及び/又は茎を利用することが,当業者にとって容易とは認められない。
また,専門家パネラーでない6名による評価結果であることから,一概に効果が認められないというものではなく,具体的な程度は措くとしても,「トヨノカゼ」は,ニシノホシ,イチバンボシ,シュンライとの対比で一応の優位性(少なくとも,青汁用の飲食用組成物の原料としての適性)が認められる。
(4) まとめ
以上のとおりであるから,本件発明は,甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
3 むすび
以上によれば,前記取消理由によっては,本件特許(請求項1に係る特許)を取り消すことはできない。
また,他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700297