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特許異議申立

2024-700949

抗疲労剤

審判番号
2024-700949
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-107500
登録番号
7462338
請求日
2024年09月30日
審決日
2025年11月21日
公報発行日
2026年02月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社東洋新薬
  • 【権利者代理人】▲高▼津 一也
  • 【異議申立人】齊藤 恵美子
  • 【異議申立人】寺澤 佳奈美
審判長/審判官
  • 審判長 柴田 昌弘
  • 審判官 植前 充司
  • 審判官 水野 明梨
分類
P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7462338号発明「抗疲労剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7462338号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第7462338号の請求項2及び3に係る特許を維持する。 特許第7462338号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立を却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7462338号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成27年6月25日に出願した特願2015-127862号(本稿では「原出願」という。)の一部を、令和1年7月11日に新たな特許出願としたものである特願2019-129279号の一部を、令和3年1月7日に新たな特許出願としたものである特願2021-1190号の一部を、令和4年7月4日に新たな特許出願としたものであって、令和6年3月28日にその特許権の設定登録(請求項の数3)がされ、同年4月5日に特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許に対し、同年9月30日に特許異議申立人 齊藤 恵美子(以下、「特許異議申立人A」という。)より特許異議の申立て(対象となる請求項:全請求項)がされ、同年10月4日に特許異議申立人 寺澤 佳奈美(以下、「特許異議申立人B」という。)より特許異議の申立て(対象となる請求項:全請求項)がされ、令和7年1月15日に特許異議申立人Bより特許異議申立書に対する手続補正書が提出され、同年4月28日付けで取消理由が通知され、同年6月23日に特許権者 株式会社東洋新薬(以下、「特許権者」という。)から訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされるともに意見書が提出され、同年7月9日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を行ったところ、同年8月12日に特許異議申立人A及びBからそれぞれ意見書(以下、それぞれ「意見書A」、「意見書B」という。)が提出されたものである。 第2 訂正の適否について 1 訂正請求の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、「特許第7462338号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の内容 令和7年6月23日にされた訂正請求にいる訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「オルニチン又はその塩と、トレハロースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物」 と記載されているのを、 「オルニチン又はその塩と、トレハロースとを含有し、錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤であることを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 に訂正する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「オルニチン又はその塩と、還元パラチノースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)及び(2)の経口組成物を除く)。 (1)オルニチン、クルクミン及び葛の花を含有するサプリメント (2)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン塩酸塩、ポリフェノール及び食物繊維を含有するダイエット用飲料」 と記載されているのを、 「オルニチン又はその塩と、還元パラチノースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(3)の経口組成物を除く)。 (1)オルニチン、クルクミン及び葛の花を含有するサプリメント (2)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン塩酸塩、ポリフェノール及び食物繊維を含有するダイエット用飲料 (3)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」 に訂正する。 3 訂正の適否についての判断 (1) 訂正事項1について 訂正事項1に係る請求項1の訂正は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1に係る請求項1の訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2) 訂正事項2について 訂正事項2に係る請求項2の訂正は、食品組成物が「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」ことを特定するとともに、「クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」を除くことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、本件特許の明細書の【0025】の記載から見て、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3) 訂正事項3について 訂正事項3に係る請求項3の訂正は、食品組成物において、「コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」を除くことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3に係る請求項3の訂正は、新規事項を追加するものではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 4 訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。また、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明3」を総称し「本件特許発明」ということがある。)は、令和7年6月23日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】(削除) 【請求項2】 オルニチン又はその塩と、トレハロースとを含有し、錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤であることを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料 【請求項3】 オルニチン又はその塩と、還元パラチノースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(3)の経口組成物を除く)。 (1)オルニチン、クルクミン及び葛の花を含有するサプリメント (2)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン塩酸塩、ポリフェノール及び食物繊維を含有するダイエット用飲料 (3)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」 第4 特許異議申立理由の要旨 1 特許異議申立人Aが申し立てた特許異議申立理由の要旨 特許異議申立人Aが申し立てた請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議申立理由の要旨は、次の(1)ないし(6)のとおりである。 (1) 申立理由A11(本件特許発明1に対する甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 なお、甲第A1号証を主たる証拠とする新規性について、「申立理由A11-1」のようにいう。以下の各理由に関しても同様である。 (2) 申立理由A12(本件特許発明2に対する甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由A13(本件特許発明3に対する甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由A21(本件特許発明1に対する甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由A22(本件特許発明2に対する甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由A23(本件特許発明3に対する甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7) 証拠方法 ・甲第A1号証:特開2013-40142号公報 ・甲第A2号証:特開2014-159381号公報 ・甲第A3号証:中国特許出願公開第103622121号明細書 ・甲第A4号証:韓国公開特許第2004-0071350号公報 ・甲第A5号証:Diet Amino Calpis、MINTEL GNPD、ID#:674482、2007年3月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A6号証:Diet Amino Acids、MINTEL GNPD、ID#:779635、2007年3月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A7号証:Diet Amino Calpis、MINTEL GNPD、ID#:880331、2008年3月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A8号証:Mix、MINTEL GNPD、ID#:1113200、2009年5月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A9号証:Matcha Green Tea Flavoured Weight-Control Mix、MINTEL GNPD、ID#:1262636、2010年1月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A10号証:Melon Flavoured Weight Control Beverage Mix、MINTEL GNPD、ID#:1340193、2010年5月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A11号証:Melon with Aloe Jelly、MINTEL GNPD、ID#:1387026、2010年8月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A12号証:Limited Edition Flavour Multi Pack、MINTEL GNPD、ID#:1398304、2010年9月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A13号証:Premium Protein Diet Set (C)、MINTEL GNPD、ID#:1444545、2010年11月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A14号証:Diet Drink (Milk Tea Flavor)、MINTEL GNPD、ID#:1546152、2011年5月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A15号証:Shake、MINTEL GNPD、ID#:1612438、2011年8月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A16号証:Pineapple Flavoured Protein High-Satiety Beverage Mix、MINTEL GNPD、ID#:1735421、2012年2月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A17号証:Low-calorie Shakes、MINTEL GNPD、ID#:1721082、2012年2月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A18号証:Mango Milk Flavoured Protein Shake Mix、MINTEL GNPD、ID#:1880570、2012年9月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A19号証:Chestnut Flavoured Diet Drink、MINTEL GNPD、ID#:1950622、2012年12月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A20号証:Quick-Acting Turmeric Jelly Supplement、MINTEL GNPD、ID#:1950623、2012年12月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A21号証:Matcha Milk Flavoured Diet Drink、MINTEL GNPD、ID#:2012989、2013年3月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A22号証:Meal Replacement Drink Limited Edition Set A、MINTEL GNPD、ID#:2130010、2013年7月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A23号証:Low-Calorie Meal Replacement Shakes、MINTEL GNPD、ID#:2203222、2013年10月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A24号証:特開2010-104283号公報 ・甲第A25号証:近藤君夫 ほか、「食肉の遊離アミノ酸」、長野県工業技術総合センター食品技術部門研究報告、2005年9月、第33号、第36頁ないし第44頁 ・甲第A26号証:Aquarius Real-Pro Red (Stamina)、MINTEL GNPD、ID#:645453、2007年1月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> ・甲第A27号証:Spicy Miso Ramen Noodles with Ornithine、MINTEL GNPD、ID#:1693805、2011年12月、[ONLINE]、<URL:https://www.gnpd.com> なお、証拠の表記は、おおむね特許異議申立書における記載に従った。 2 特許異議申立人Bが申し立てた特許異議申立理由の要旨 特許異議申立人Bが申し立てた請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議申立理由の要旨は、次の(1)ないし(6)のとおりである。なお、新規性・進歩性の理由については、主たる証拠ごとに整理したものを示す。 (1) 申立理由B11(本件特許発明1に対する甲第B1号証、甲第B2号証及び甲第B7号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第B1号証、甲第B2号証及び甲第B7号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 なお、甲第B1号証を主たる証拠とする新規性について、「申立理由B11-1」のようにいう。以下の各理由に関しても同様である。 (2) 申立理由B12(本件特許発明2に対する甲第B7号証を主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第B7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3) 申立理由B21(本件特許発明1に対する甲第B1号証ないし甲第B3号証及び甲第B7号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第B1号証ないし甲第B3号証及び甲第B7号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4) 申立理由B22(本件特許発明2に対する甲第B3号証、甲第B7号証、甲第B10号証及び甲第B27号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第B3号証、甲第B7号証、甲第B10号証及び甲第B27号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5) 申立理由B23(本件特許発明3に対する甲第B3号証を主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第B3号証に記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6) 申立理由B3(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、申立理由B3の具体的理由は次のとおりである。 ア 申立理由B3-1(高い疲労軽減効果(その1)) 本件特許発明は食品組成物であり、本件特許の発明の課題は、「疲労軽減効果の高い抗疲労剤を提供すること」(本件特許の明細書0005段落)である。しかしながら、本件特許発明に含有されるアスパルテーム、トレハロース及び還元パラチノースは経口摂取された際に生体内に吸収される前に分解されることが技術常識であるところ(甲第B13号証ないし甲第B16号証)、本件特許の明細書の発明の詳細な説明からは、そのように生体内に吸収される前に分解された場合にも上記課題を解決できることが読み取ることができず、また当該事項が技術常識でもないので、本件特許発明で特定している構成を採用することで上記発明の課題を解決して所望の作用効果を奏すると理解することができない。したがって、本件特許発明は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、サポート要件を満たしていない。 イ 申立理由B3-2(高い疲労軽減効果(その2)) 本件特許発明は食品組成物であり、本件特許の発明の課題は、「疲労軽減効果の高い抗疲労剤を提供すること」(本件特許の明細書0005段落)である。しかしながら、本件特許の明細書の実施例においては、何らストレスが加えられていない培養細胞を対象として本件特許発明が含有する成分の効果の評価をしているが、当該評価が疲労軽減効果の評価として妥当であることを本件特許の明細書の発明の詳細な説明からは読み取ることができず、また甲第B17号証乃至甲第B19号証からもわかるように当該事項が技術常識でもないので、本件特許発明で特定している構成を採用することで上記発明の課題を解決して所望の作用効果を奏すると理解することができない。したがって、本件特許発明は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、サポート要件を満たしていない。 ウ 申立理由B3-3(有効成分の含有比率) 本件特許発明においては、オルニチン又はその塩と、アスパルテーム、トレハロース又は還元パラチノースとの比率が何ら特定されていない。しかしながら、本件特許の明細書の実施例においては、特定の比率での評価しか行っていないため、本件特許発明の全範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるものではない。したがって、本件特許発明は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、サポート要件を満たしていない。 エ 申立理由B3-4(用法及び用量) 本件特許発明においては、用法及び用量が何ら特定されていない。しかしながら、本件特許の明細書の実施例においては、in vitroの実験は行っているものの、用法及び用量の検証実験が一切なされていないため、本件特許発明の全範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるものではない。したがって、本件特許発明は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであり、サポート要件を満たしていない。 (7) 証拠方法 ・甲第B1号証:特開2013-40142号公報 ・甲第B2号証:特開2014-159381号公報 ・甲第B3号証:国際公開第2007/040244号 ・甲第B4号証:特開2003-235512号公報 ・甲第B5号証:特開2015-12819号公報 ・甲第B6号証:特開平7-143876号公報 ・甲第B7号証:国際公開第2005/023021号 ・甲第B8号証:特表2006-527988号公報 ・甲第B9号証:特開2008-253148号公報 ・甲第B10号証:菱田幸宏、「機能性研究レポート L-オルニチンの肝機能改善効果」、Food style 21、食品化学新聞社、2012年11月、第16巻、第11号、第87頁ないし第89頁 ・甲第B11号証:特開平11-60490号公報 ・甲第B12号証:特開2014-129324号公報 ・甲第B13号証:Marie S. A. Palmnas, et al., “Low-Dose Aspartame Consumption Differentially Affects Gut Microbiota-Host Metabolic Interactions in the Diet-Induced Obese Rat”, PLOS ONE, 2014, Vol.9, Issue 10, pp.1-10 ・甲第B14号証:T Oku and S Nakamura, “Estimation of intestinal trehalase activity from a laxative threshold of trehalose and lactulose on healthy female subject”, European Journal of Clinical Nutrition, October 2000, Vol.54, pp.783-788 ・甲第B15号証:山田和彦、「炭水化物の消化・吸収・発酵とその利用」、栄養学雑誌、2001年8月1日、第59巻、第4号、第169頁ないし第176頁 ・甲第B16号証:井川佳子、「糖アルコールを用いたハードメレンゲの調製と性質」、応用糖質科学、2013年2月、第3巻、第1号、第68頁ないし第72頁 ・甲第B17号証:Ting-Kai Leung, et al., “A Pilot Study of Ceramic Powder Far-Infrared Ray Irradiation (cFIR) on Physiology: Observation of Cell Cultures and Amphibian Sleletal Muscle”, Chinese Journal of Physiology, 2011, Nol.54, No.4, pp.247-254 ・甲第B18号証:Kandikattu Hemanth Kumar, et al., “Celastrus paniculatus Willd. mitigates t-BHP induced oxidative and apoptotic damage in C2C12 murine muscle cells”, Cytotechnology, 2015, Vol.67, pp.955-967 ・甲第B19号証:Michela Battistelli, et al., “Skeletal Muscle Cell Behavior After Physical Agent Treatments”, Current Pharmaceutical Design, Bentham Science Publishers, 2015, Vol.21, No.25, pp.3665-3672 ・甲第B20号証:特開2008-142074号公報 ・甲第B21号証:特開2006-204210号公報 ・甲第B22号証:特開2002-17296号公報 ・甲第B23号証:特開2010-30975号公報 ・甲第B24号証:国際公開第2014/144198号 ・甲第B25号証:Christophe Moinard, et al., “Polyamines: metabolism and implications in human diseases”, Clinical Nutrition, ELSEVIER, 2005, Vol.24, No.2, pp.184-197 ・甲第B26号証:五十嵐一衛、「ポリアミンの生理機能解析とその濃度調整機序」、YAKUGAKU ZASSHI、2006、第126巻、第7号、第455頁ないし第471頁 ・甲第B27号証:特開2006-316053号公報 なお、甲第B1号証は甲第A1号証と同じ証拠であり、甲第B2号証は甲第A2号証と同じ証拠である。 また、証拠の表記は、おおむね特許異議申立書における記載に従った。 さらに、特許異議申立人Bは、意見書Bに添付して、次の参考資料1ないし4を提出している。 ・参考資料1:抗疲労臨床評価ガイドライン、日本疲労学会、第5版作成平成23年7月22日、検索日令和7年8月5日、URL:https://paperzz.com/doc/6127191/%E6%8A%97%E7%96%B2%E5%8A%B4%E8%87%A8%E5%BA%8A%E8%A9%95%E4%BE%Al%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3 ・参考資料2:Enoka RM, et al., “Muscle fatigue: what, why and how it influences muscle function” J Physiol., (2008), 586(1), pp.11-23 ・参考資料3:Allen DG, et al., “Skeletal Muscle Fatigue: Cellular Mechanisms”, Physiol Rev., (2008), 88(1), pp.287-332 ・参考資料4:Ament W, et al., “Exercise and Fatigue”, Sports Med., (2009), 39(5), pp.389-422 参考資料の表記は、おおむね特許異議申立人Bの意見書Bにおける記載に従った。 第5 令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由について 令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由は、次のとおりである。 なお、取消理由には、上記第4の特許異議申立理由のうち、申立理由A11ないし申立理由A23、申立理由B11及び申立理由B21のうち甲第B1号証、甲第B2号証を根拠とする部分、申立理由B3-2が包含される。 1 取消理由11(本件特許発明1に対する甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 なお、甲第A1号証を主たる証拠とする新規性について、「取消理由11-A1」のようにいう。以下の各理由に関しても同様である。 2 取消理由12(本件特許発明2に対する甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 取消理由13(本件特許発明3に対する甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする新規性) 本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれに記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 4 取消理由21(本件特許発明1に対する甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 5 取消理由22(本件特許発明2に対する甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項2に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 6 取消理由23(本件特許発明3に対する甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする進歩性) 本件特許の請求項3に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれに記載された発明に基いて、本件特許の原出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 7 取消理由3(サポート要件) 本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 なお、取消理由3の具体的理由は次のとおりである。 本件特許の発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は「疲労軽減効果の高い抗疲労剤を提供すること」(【0005】)である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明を見るに、「本発明者らは、オルニチンの疲労軽減効果について鋭意調査・研究したところ、オルニチンと特定の他の成分とを組み合わせることにより、高い疲労軽減効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。具体的には、オルニチンと、疲労軽減能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、疲労軽減能を相乗的に向上させることができることを見いだした。」(【0006】)との記載があり、実施例において、マウス筋芽細胞株C2C12を用い、各「抗疲労剤」と称するものを適用の上でマウス筋芽細胞株の細胞生存率について調査しており(表3~表6、及び図1~図8)、「オルニチンと、本発明の特定の他成分とを組み合わせることにより、筋細胞が相乗的に活発化した。したがって、本発明の抗疲労剤によれば、疲労をより有効に軽減することができる。」(【0051】)と結論づけている。 しかしながら、「マウス筋芽細胞株C2C12」を用いた上記実施例はいずれも、疲労状態を再現するような条件下においてなされたものではない(この点で、様々なストレス下で行われている甲第B17号証ないし甲第B19号証とは異なる。)。 また、本件特許の明細書全体を通じてみても、筋細胞の活発化あるいはマウス筋芽細胞株の細胞生存率と疲労軽減能との関係について明らかにされておらず、また、本件特許の原出願の出願時において、筋細胞の活発化あるいはマウス筋芽細胞株の細胞生存率の上昇が、「疲労軽減能」と直接つながる指標であるとする技術常識もない。 してみると、当業者は、本件特許の明細書全体の記載を見ても、オルニチンといくつかの成分を組み合わせたものが、筋細胞の活発化或いはマウス筋芽細胞株の細胞生存率に影響することは認識できるとしても、発明の課題を解決できるものと認識することはできない。 したがって、本件特許発明1ないし3は、明細書に記載された発明であるということができない。 第6 当審の判断 以下に検討するとおり、当審は、令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由及び特許異議申立人A及びBが特許異議申立書においてそれぞれ主張する異議申立理由のいずれにおいても、本件特許発明2及び3に係る特許を取り消すことはできないものと判断する。 1 令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由についての判断 (1) 取消理由11及び取消理由21(本件特許発明1に対する甲第A1号証ないし甲第A23号証それぞれを主たる証拠とする新規性・進歩性)について 上記第2のとおり、本件特許の請求項1は、本件訂正請求により削除された。 よって、取消理由11及び取消理由21は解消した。 (2) 取消理由12及び取消理由22(本件特許発明2に対する甲第A24号証、甲第A26号証及び甲第A27号証それぞれを主たる証拠とする新規性・進歩性)について ア 甲第A24号証を主たる証拠とする新規性・進歩性について (ア) 甲第A24号証の記載事項等 A 甲第A24号証の記載事項 甲第A24号証には、「味付け牛肉、牛のしぐれ煮の製造方法」に関し、次の記載がある。 「【請求項1】 原料肉として牛肉を使用した味付け牛肉。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は牛肉を原料とした味付け牛肉、牛のしぐれ煮、及びその製造方法に関するものである。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の課題は、冷えても固くならず、パサ付かない、又、直接空気に触れても乾燥しにくい、美味しい味付け牛肉、牛のしぐれ煮を提供することである。」 「【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明では、原料を沸騰させずに脂分を除去する方法を開発し、更に、調理後、乾燥し難い調味料の配合方法を開発した。 【0006】 原料を調理する時に、たんぱく質が変性しない、かつ脂肪分の融解温度以上の温度帯、例えば摂氏50度~85度の温度帯で余分な脂肪分を除去して、その後に、同じ温度帯で調味味付けをすることにより、固くなくふっくらとした味付け肉を製造することができる。 【0007】 調味料を従来の砂糖、醤油、醗酵調味料、アミノ酸等でなく、例えば糖分を、粗糖とトレハロースを組み合わせることで、保水性が増ししっとりとした食感を得ることができる。」 「【実施例】 【0010】 請求項1に係る味付けの実施の例を表2に記すと 【表2】 [図:0001432046000001.jpg] 」 B 甲第A24号証に記載された発明 上記Aの記載、特に実施例における表2に記された例を中心に整理すると、甲第A24号証には次の発明が記載されていると認める。 「牛肉、粗糖、醤油、トレハロース、和牛脂を原料として用いた味付け牛肉。」(以下、「甲A24発明」という。) (イ) 対比・判断 本件特許発明2と甲A24発明とを対比する。 甲A24発明の「味付け牛肉」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 また、甲A24発明は、その組成からみて、本件特許発明2において特定されている(1)~(6)の経口組成物のいずれにも該当しないことは明らかである。 してみると、両者における一致点、一応の相違点は次のとおりである。 (一致点) 「トレハロースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点A24-1 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲A24発明にはそのような特定がない点。 ・相違点A24-2 本件特許発明2は「オルニチン又はその塩」を含むことを特定するのに対し、甲A24発明にはそのような特定がない点。 相違点A24-1について検討する。 甲A24発明は「味付け牛肉」であり、「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤」ではないことは明らかである。 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲A24発明ではない。 また、甲第A24号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲A24発明において、「味付け牛肉」を「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤」とする動機付けがあるともいえない。 よって、甲A24発明において、相違点A24-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲A24発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 イ 甲第A26号証を主たる証拠とする新規性・進歩性について (ア) 甲第A26号証の記載事項等 A 甲第A26号証の記載事項 甲第A26号証には、「Aquarius Real-Pro Red(Stamina)」に関し、次の記載がある。 「 [図:0001432046000002.jpg] [図:0001432046000003.jpg] 」 B 甲第A26号証に記載された発明 上記Aの記載、特に成分に関する記載を中心に整理すると、甲第A26号証には次の発明が記載されていると認める。 「dextrin(cruster dextrin)、トレハロース、塩、L-オルニチン、クエン酸(酸性食品添加物)、L-アルギニン、アスパラギン酸ナトリウム、L-リシン酸塩、L-ロイシン、L-グルタミン、Sodium Citrate、フレーバー、DL-アラニン、L-イソロイシン、L-バリン、塩化カリウム、アセスルファムK(甘味料)を含む飲料。」(以下、「甲A26発明」という。) (イ) 対比・判断 本件特許発明2と甲A26発明とを対比する。 甲A26発明の「L-オルニチン」は、本件特許発明2の「オルニチン又はその塩」に相当し、甲A26発明の「飲料」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 また、甲A26発明はパウダータイプであるから、本件特許発明2の「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」との特定事項を満たす。 さらに、甲A26発明は、その組成からみて、本件特許発明2において特定されている(1)~(5)の経口組成物のいずれにも該当しないことは明らかである。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「オルニチン又はその塩と、トレハロースとを含有し、錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤であることを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(5)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物」 (相違点) ・相違点A26-1 本件特許発明2は「(6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」の経口組成物を除くことを特定するのに対し、甲A26発明にはそのような特定がない点。 上記相違点A26-1について検討する 甲A26発明は、「dextrin(cruster dextrin)、トレハロース、塩、L-オルニチン、クエン酸(酸性食品添加物)、L-アルギニン、アスパラギン酸ナトリウム、L-リシン酸塩、L-ロイシン、L-グルタミン、Sodium Citrate、フレーバー、DL-アラニン、L-イソロイシン、L-バリン、塩化カリウム、アセスルファムK(甘味料)を含む飲料」であり、本件特許発明2で除かれている「クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」に該当する。 してみれば、本件特許発明2は、甲A26発明ではない。 また、甲第A26号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲A26発明において、「クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」ではないものとする動機付けもない。 よって、甲A26発明において、相違点A26-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。 したがって、本件特許発明2は、甲A26発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (特許異議申立人Aの意見書Aにおける主張について) 特許異議申立人Aは、意見書Aにおいて、本件特許発明2と甲A26発明はいずれも食品の分野に属するものであり、技術分野が一致していること、同様の技術的課題を有するものであって、オルニチンとトレハロースを含む複数の成分を含有することで技術的課題を解決する点でも類似していることを挙げ、取消理由22は解消していない旨主張する。 しかしながら、上記検討のとおり、本件特許発明2は訂正により、甲A26発明の必須成分を含むものを除いているのであって、かつ、甲第A26号証は上市された製品に含まれる各成分が示されているにすぎないから、甲第A26号証の記載事項を根拠に認定される甲A26発明において、その成分・組成を変更する動機があるとまではいえない。 よって、特許異議申立人Aの上記主張は採用できない。 ウ 甲第A27号証を主たる証拠とする新規性・進歩性について (ア) 甲第A27号証の記載事項等 A 甲第A27号証の記載事項 甲第A27号証には、「Spicy Miso Ramen Noodles with Ornithine」に関し、次の記載がある。 「 [図:0001432046000004.jpg] [図:0001432046000005.jpg] [図:0001432046000006.jpg] 」 B 甲第A27号証に記載された発明 上記Aの記載、特に成分に関する記載を中心に整理すると、甲第A27号証には次の発明が記載されていると認める。 「Noodle(揚げ)(小麦粉)、植物油(植物性)、塩、タンパク質(hydrolysed)、醤油」、Soup(豚脂、砂糖ほか炭水化物系甘味料、ポークエキス、ゴマ、みそ、Starches and Dextrins、香辛料、植物油(植物性)、小麦粉、魚エキス、塩、ベジタブルシーズニング(調味料、植物性)、酵母エキス、醤油、L-オルニチン、エッセンシャルオイル(精油)(芳香性))、toppings(キャベツ、肉および肉加工品(フレーバー入り、ミンチされた)、豆類(スプラウト)、長ネギ(ウェールズ)、キクラゲ)、加工デンプン類、seasonings(アミノ酸(酸性食品添加物))、alkali、炭酸カルシウム、Caramel Colour(着色料)、emulsifler、グアーガム(増粘剤)、セルロース、ハーブエキス、カロテン類(着色料)、antioxidant(Vitamin E、ローズマリーエキス)、トレハロース、フレーバー、リボフラビン、ビタミンB1、part of the ingredients(卵、乳製品(チーズを除く)、落花生、鶏肉、ゼラチン)を含む、インスタントヌードル。」(以下、「甲A27発明」という。) (イ) 対比・判断 本件特許発明2と甲A27発明とを対比する。 甲A27発明の「L-オルニチン」は、本件特許発明2の「オルニチン又はその塩」に相当し、甲A27発明の「インスタントヌードル」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 さらに、甲A27発明は、その組成からみて、本件特許発明2において特定されている(1)~(6)の経口組成物のいずれにも該当しないことは明らかである。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「オルニチン又はその塩と、トレハロースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点A27-1 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲A27発明にはそのような特定がない点。 上記相違点A27-1について検討する。 甲A27発明は「インスタントヌードル」であり、「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤」ではないことは明らかである。 よって、本件特許発明2は、甲A27発明ではない。 また、甲第A27号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲A27発明において、「インスタントヌードル」を「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤」とする動機付けがあるともいえない。 よって、甲A27発明において、相違点A27-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件特許発明2は、甲A27発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 エ 取消理由12及び取消理由22についてのまとめ 上記アないしウのとおりであるから、取消理由12及び取消理由22では、本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。 (3) 取消理由13及び取消理由23(本件特許発明3に対する甲第A8号証ないし甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする新規性・進歩性)について ア 甲第A8号証を主たる証拠とする新規性・進歩性について (ア) 甲第A8号証の記載事項等 A 甲第A8号証の記載事項 甲第A8号証には、「Mix」に関し、次の記載がある。 「 [図:0001432046000007.jpg] [図:0001432046000008.jpg] [図:0001432046000009.jpg] [図:0001432046000010.jpg] 」 B 甲第A8号証に記載された発明 上記Aの記載、特に成分に関する記載を中心に整理すると、甲第A8号証には次の発明が記載されていると認める。 「乳タンパク、耐性デキストリン、大豆蛋白、マルトデキストリン、脱脂粉乳(粉末、脱脂)、食用油脂(粉末)(植物油(植物性)、(白糖、ブドウ糖シロップ)、ドロマイト、塩、パン酵母、大豆ペプチド、Grape Seed Extract、イソマルト、カゼインナトリウム、クエン酸カリウム、フレーバー、Soy Lecithin(乳化剤、大豆由来)、L-オルニチン塩酸塩、sweetener(アスパルテーム、L-フェニルアラニン、アセスルファムK、スクラロース)、リン酸鉄、ビタミンC、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、グアーガム(増粘剤)、ナイアシン、Vitamin E、パントテン酸Ca、ヘスペリジン、リボフラビン、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンA、葉酸(酸性食品添加物)、コレカルシフェロール、ビタミンB12、Peach Powder(粉末)(Starches and Dextrins、濃縮ピーチ果汁(Concentrate)、branched oligosaccharides)part of the ingredients(ミルク、大豆、オレンジ、桃)を含む栄養ドリンク。」(以下、「甲A8発明」という。) (イ) 対比・判断 本件特許発明3と甲A8発明とを対比する。 甲A8発明の「L-オルニチン塩酸塩」は、本件特許発明3の「オルニチン又はその塩」に相当し、甲A8発明の「栄養ドリンク」は、本件特許発明3の「食品組成物」に相当する。 また、甲A8発明の「イソマルト」は「還元パラチノース」にあたるものであるから、本件特許発明3の「還元パラチノース」に相当する。 さらに、甲A8発明は、その組成からみて、本件特許発明3において特定されている(1)及び(2)の経口組成物のいずれにも該当しないことは明らかである。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「オルニチン又はその塩と、還元パラチノースとを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)及び(2)の経口組成物を除く)。 (1)オルニチン、クルクミン及び葛の花を含有するサプリメント (2)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン塩酸塩、ポリフェノール及び食物繊維を含有するダイエット用飲料」 (相違点) ・相違点A8-1 本件特許発明3は「(3)コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」の経口組成物を除くことを特定するのに対し、甲A8発明にはそのような特定がない点。 上記相違点A8-1について検討する。 甲A8発明は「乳タンパク、耐性デキストリン、大豆蛋白、マルトデキストリン、脱脂粉乳(粉末、脱脂)、食用油脂(粉末)(植物油(植物性)、(白糖、ブドウ糖シロップ)、ドロマイト、塩、パン酵母、大豆ペプチド、Grape Seed Extract、イソマルト、カゼインナトリウム、クエン酸カリウム、フレーバー、Soy Lecithin(乳化剤、大豆由来)、L-オルニチン塩酸塩、sweetener(アスパルテーム、L-フェニルアラニン、アセスルファムK、スクラロース)、リン酸鉄、ビタミンC、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、グアーガム(増粘剤)、ナイアシン、Vitamin E、パントテン酸Ca、ヘスペリジン、リボフラビン、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンA、葉酸(酸性食品添加物)、コレカルシフェロール、ビタミンB12、Peach Powder(粉末)(Starches and Dextrins、濃縮ピーチ果汁(Concentrate)、branched oligosaccharides)part of the ingredients(ミルク、大豆、オレンジ、桃)を含む栄養ドリンク。」であるから、「コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」に該当する。 よって、本件特許発明3は、甲A8発明ではない。 また、甲第A8号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲A8発明において、「コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、オルニチン又はその塩、及びポリフェノールを含有するタンパク質補給用食品」を除くものとする動機付けもない。 よって、甲A8発明において、相違点A8-1に係る本件特許発明3に係る発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件特許発明3は、甲A8発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (特許異議申立人Aの意見書Aにおける主張について) 特許異議申立人Aは意見書Aにおいて、本件特許発明3と甲A8発明は、いずれも食品の分野に属するものであり、技術分野が一致していること、本件特許発明3と甲A8発明は、いずれもオルニチン又はその塩を有効成分として含有しており、且つ還元パラチノース(イソマルト)を含有するものであるから、その構成も類似しているものであり、技術思想が顕著に異なる発明ではないので、取消理由23は解消していない旨主張する。 しかしながら、上記検討のとおり、本件特許発明3は訂正により、甲A8発明の必須成分を含むものを除いているのであって、かつ、甲第A8号証は上市された製品に含まれる各成分が示されているにすぎないから、甲第A8号証の記載事項を根拠に認定される甲A8発明において、その成分・組成を変更する動機があるとまではいえない。 よって、特許異議申立人Aの上記主張は採用できない。 イ 甲第A9号証、甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証それぞれを主たる証拠とする新規性・進歩性について 甲第A9号証、甲第A10号証及び甲第A12号証ないし甲第A14号証はいずれも、甲第A8号証と同じく、MINTELの商品データベースに登録されている商品情報であるところ、上記10(1)イと同様に各証拠の成分に関する記載を整理した発明をそれぞれ、「甲A9発明」、「甲A10発明」及び「甲A12発明」ないし「甲A24発明」として認定することができる。 そして、本件特許発明3と甲A9発明、甲A10発明及び甲A12発明ないし甲A14発明とをそれぞれ対比すると、上記ア(イ)と同様に判断される(特許異議申立人Aが意見書Aで主張する点についても上記ア(イ)と同様に判断される。)。 したがって、本件特許発明3は、甲A9発明、甲A10発明及び甲A12発明ないし甲A14発明ではなく、甲A9発明、甲A10発明及び甲A12発明ないし甲A14発明それぞれに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4) 取消理由3(サポート要件)について ア サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 イ 特許請求の範囲の記載事項 上記第3のとおりである。 ウ サポート要件についての判断 本件特許発明2及び3の発明の課題(以下、「発明の課題」という。)は、「疲労軽減効果の高い抗疲労剤を提供すること」(【0005】)である。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「本発明者らは、オルニチンの疲労軽減効果について鋭意調査・研究したところ、オルニチンと特定の他の成分とを組み合わせることにより、高い疲労軽減効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。具体的には、オルニチンと、疲労軽減能がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、疲労軽減能を相乗的に向上させることができることを見いだした」(【0006】)との記載があり、「本発明は、オルニチン又はその塩と、下記(a)~(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分とを有効成分として含有することを特徴とする抗疲労剤に関する。 ・・・(略)・・・ (b)アスパルテーム、トレハロース、及び還元パラチノースから選ばれる少なくとも1種の甘味剤」(【0007】)との記載があり、具体的な実施例において、オルニチン単独、他の成分単独、オルニチンと他成分を添加したものにおけるマウス筋芽細胞の増殖促進作用について確認したものが示されている。 これらの記載に接した当業者であれば、オルニチンと、他の成分としてアスパルテーム、トレハロース、及び還元パラチノースから選ばれる少なくとの1種の甘味料を併せて用いる、との特定事項を満たすことにより、疲労軽減能を相乗的に向上させる、即ち、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明2及び3はいずれも、上記の発明の課題を解決できると認識できる特定事項を含みさらに限定するものであるから、当業者は当然、発明の課題を解決できると認識できる。 エ 特許異議申立人Bの意見書Bにおける主張について 特許異議申立人Bは、意見書Bとともに参考文献1ないし4を提出した上で、要するに、本件特許の明細書の実験例1は通常の培養系における実験であって酸化ストレスの程度も小さいため、疲労を再現したものとはいえないから、実験例1の結果を疲労における細胞に拡張ないし一般化することはできない旨主張(意見書第5/15頁)する。 確かに、本件特許の明細書の実験例1の実験条件から見ると、実験例1は酸化ストレスが強くかかったものではない。他方、特許異議申立人Bが提出した証拠はいずれも、酸化ストレスが強い場合の培養系における実験では酸化ストレスが強くない場合と異なる傾向となることを示すものではなく、可能性を主張するにすぎない。 そして、本件特許の明細書の発明の詳細な説明と実験例1の結果は、直接的な用語の一致を見るものではないものの、その内容において齟齬するものでもないから、特許異議申立人Bの上記主張は採用することができない。 オ 取消理由3についてのまとめ 上記ウ及びエのとおりであるから、取消理由3では、本件特許発明2及び3に係る特許を取り消すことはできない。 2 令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての判断 令和7年4月28日付けで特許権者に通知した取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、申立理由B11のうち甲第B7号証を主たる証拠とする新規性の理由、申立理由B12、申立理由B21のうち甲第B3号証及び甲第B7号証を主たる証拠とする進歩性の理由、申立理由B22、申立理由B23、申立理由B3-1、申立理由B3-3、申立理由B3-4である。 以下、順次検討する(但し、第3のとおり、本件特許の請求項1は削除されたため、申立理由B11、申立理由B21以外の部分を検討する)。なお、新規性・進歩性の申立理由については、主たる証拠毎に以下まとめて検討する。 (1) 甲第B3号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22及び申立理由B23)について ア 甲第B3号証の記載事項等 (ア) 甲第B3号証の記載事項 甲第B3号証には、「疲労自覚症状改善用組成物」に関し、次の記載がある。 「[0001] 本発明は、オルニチンまたはその塩を有効成分として含有する疲労自覚症状改善用組成物に関する。」 「発明が解決しょうとする課題 [0004] 疲労の自覚症状を有する者に対して、該自覚症状を改善し、充実した生活を創出 させる医薬品、機能性食品等が望まれている。すなわち、本発明の目的は、疲労自 覚症状改善用組成物を提供することにある。」 「[0011] 上記のオルニチンの塩のうち、塩酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、α-ケトグルタル酸塩、アスパラギン酸塩が好ましく用いられるが、他の塩、または2以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。 本発明の組成物は、オルニチンまたはその塩を有効成分として含有させる他、更にニンニク(Allium sativum L.)またはニンニクの抽出物を含有させてもよい。本発明において用いられるニンニクまたはニンニクの抽出物としては、疲労回復に有効な成分として知られているアリインまたはその分解物であるアリシンが含まれていれば、いずれの形態であってもよい。このようなニンニクの抽出物としては、例えば備前化成株式会社等より購入することもできる。 [0012] 本発明の組成物にニンニクまたはニンニクの抽出物を含有させる場合、オルニチンまたはその塩とアリインまたはアリシンとの組成比は、乾燥重量比で1:10000~10000:1、好ましくは1:3000~3000:1、特に好ましくは1000:1~1:1000である。 本発明の組成物には、オルニチンまたはその塩に加え、適宜、各用途に適した添加剤を含有させることができる。 [0013] 該添加剤としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、グルタミン、アラニン、セリン、グリシン、システイン、スレオニン等のアミノ酸等があげられる。 本発明の組成物は、医薬または食品添加剤(以下、本発明の医薬または食品添加剤ともいう)として用いることができる。」 「[0021] 本発明の食品添加剤は、必要に応じて他の食品添加剤を混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工、製造される。 本発明の食品添加剤を含有する飲食品(以下、本発明の飲食品ともいう)は、飲食品中に本発明の食品添加剤を添加する以外は、一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工、製造することができる。」 「[0025] 本発明の食品添加剤または飲食品には、一般に飲食品に用いられる添加剤、例えば食品添加物表示ハンドブック(日本食品添加物協会、平成9年1月6日発行)に記載されている甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。」 「[0031] 以下に、オルニチンの疲労自覚症状改善効果を調べた試験例を示す。 試験例1 健常な45歳から64歳までの男女14名を7名ずつ2つの群に分け、実施例1の錠剤(オルニチンを含有する錠剤)または比較例1の錠剤(オルニチンを含有しない錠剤)を1日当たり6錠ずつ3週間摂取させる試験を行った。試験開始時および試験終了時における被験者の疲労自覚症状について、線分スケール(VAS)法を用いて評価した。 [0032] すなわち、線分の両端に基準となる表現を記し、被験者に、図1または2に示される質問項目の内容に関して線分のどのあたりに相当するかをチェックしてもらった。疲労の自覚症状のうち、問1~8が「眠気とだるさ」に関する指標を、問9~15が「注意集中の困難」に関する指標をそれぞれ表す。 線分の左端からチェックした部分までの距離(mm)を測定して、試験前と試験後の差を求めた。この差が試験前の値に占める割合を百分率で表し、群毎の平均値および標準偏差を求めた。さらに、オルニチン群の平均値からプラセボ群の平均値を引いて平均改善率(%)とした。なお、試験開始時に2群間で差がないことを確認している。 [0033] また、試験開始時と試験終了時において7名の被験者について血中アンモニア値を測定しており、各被験者の血中アンモニア値が正常範囲内で変動していないことを確認している。 また、試験は無作為割付とし、二重盲検並行群間比較を行った。2群間の統計学的有意差検定は、試験開始時と試験終了時の差から両側分布のunpaired-t検定を行った。 [0034] 「眠気とだるさ」に関する結果を図3に示す。また、「注意集中の困難」関する結果を図4に示す。全ての項目でオルニチン摂取による改善効果が示され、中でも「考えのまとめ」については、プラセボ群とオルニチン摂取群で有意差が得られた。 以上の結果から、オルニチン摂取による疲労自覚症状の改善効果が明らかとなった。」 「実施例4 [0041] オルニチンを含有する飲料の製造 オルニチン塩酸塩1.28kg(製品名:L-オルニチン塩酸塩、協和発酵社製)、エリスリトール3kg(日研化学社製)、クエン酸0.05kg(協和ハイフーズ社製)、人工甘味料3g、香料0.06kgを液温70℃で水50Lに攪拌溶解し、クエン酸でpHを3.3に調整後、プレート殺菌を用いて滅菌して瓶に充填後、パストライザー殺菌し、飲料を製造した。 実施例5 [0042] オルニチンおよびニンニク抽出物を含有する飲料の製造 オルニチン塩酸塩0.64kg、無臭ニンニクエキス0.6kg、エリスリトール3kg、クエン酸0.05kg、人工甘味料3g、香料0.06kgを液温70℃で水50Lに攪拌溶解し、クエン酸でpHを3.3に調整後、プレート殺菌を用いて滅菌して瓶に充填後、パストライザー殺菌し、飲料を製造する。」 「請求の範囲 [1] オルニチンまたはその塩を有効成分として含有する疲労自覚症状改善用組成物。 [2] 疲労自覚症状が、生理的疲労における自覚症状である請求項1記載の組成物。 [3] 疲労自覚症状が、眠気とだるさ、または注意集中の困難に関する症状である請求項1または2記載の組成物。 [4] ニンニクまたはニンニクの抽出物を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の組成物。 [5] オルニチンまたはその塩の有効量を、必要とする対象に投与または摂取させることを含む、疲労自覚症状改善方法。 [6] 疲労自覚症状が、生理的疲労における自覚症状である請求項5記載の方法。 [7] 疲労自覚症状が、眠気とだるさ、または注意集中の困難に関する症状である請求項5または6記載の方法。 [8] ニンニクまたはニンニクの抽出物をさらに投与または摂取させることを含む、請求項5~7のいずれか1項記載の方法。 [9] 疲労自覚症状改善用組成物の製造のための、オルニチンまたはその塩の使用。 [10] 疲労自覚症状が、生理的疲労における自覚症状である請求項9記載の使用。 [11] 疲労自覚症状が、眠気とだるさ、または注意集中の困難に関する症状である請求項9または10記載の使用。 [12] ニンニクまたはニンニクの抽出物をさらに使用することを含む、請求項9~11のいずれか1項記載の使用。」 「 [図:0001432046000011.jpg] 」 (イ) 甲第B3号証に記載された発明 上記(ア)の記載、特に実施例4の記載を中心に整理すると、甲第B3号証には次の発明が記載されているものと認める。 「オルニチン塩酸塩1.28kg(製品名:L-オルニチン塩酸塩、協和発酵社製)、エリスリトール3kg(日研化学社製)、クエン酸0.05kg(協和ハイフーズ社製)、人工甘味料3g、香料0.06kgを液温70℃で水50Lに攪拌溶解し、クエン酸でpHを3.3に調整後、プレート殺菌を用いて滅菌して瓶に充填後、パストライザー殺菌し、製造された飲料。」(以下、「甲B3発明」という。) イ 対比・判断 (ア) 本件特許発明2について 本件特許発明2と甲B3発明とを対比する。 甲B3発明の「オルニチン塩酸塩」は、本件特許発明2の「オルニチン又はその塩」に相当する。 また、甲B3発明の「飲料」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 さらに、甲B3発明の組成から見て、本件特許発明2において除かれている(1)~(6)のいずれの傾向組成物にもあたらないことは明らかである。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「オルニチン又はその塩とを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点B3-1 本件特許発明2は「トレハロースとを含有し、」と特定するのに対し、甲B3発明にはそのような特定がない点。 ・相違点B3-2 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲B3発明にはそのような特定がない点。 上記相違点B3-1について検討する。 甲B3発明は「人工甘味料」を含むものではあるものの、甲第B3号証にはトレハロースを用いうる点についての記載はなく、また、他の全ての証拠の記載を見ても、甲B3発明において、トレハロースを用いるものとする動機付けがあるとまではいえない。 よって、甲B3発明において、相違点B3-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲B3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ) 本件特許発明3について 本件特許発明3と甲B3発明とを対比すると、上記(ア)と同様の相当関係がいえるから、両者は少なくとも次の点で相違する。 ・相違点B3-3 本件特許発明3は「還元パラチノースとを含有し、」と特定するのに対し、甲B3発明にはそのような特定がない点。 上記相違点B3-3について検討する。 甲B3発明は「人工甘味料」を含むものではあるものの、甲第B3号証には還元パラチノースを用いうる点についての記載はなく、また、他の全ての証拠の記載を見ても、甲B3発明において、還元パラチノースを用いるものとする動機付けがあるとまではいえない。 よって、甲B3発明において、相違点B3-3に係る本件特許発明3の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件特許発明3は、甲B3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 なお、甲第B3号証の実施例5から発明を認定した場合、あるいは、特許異議申立人Bの特許異議申立書の第26頁において記載する、「オルニチン又はその塩を含有する飲食品。」との発明を認定した場合のいずれにおいても、上記(ア)及び(イ)と同様に判断される。 ウ 甲第B3号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22及び申立理由B23)についてのまとめ 上記イのとおりであるから、甲第B3号証を主たる証拠とする申立理由B22及び申立理由B23では、本件特許発明2及び3に係る特許を取り消すことはできない。 (2) 甲第B7号証を主たる証拠とする新規性・進歩性(申立理由B12及び申立理由B22)について ア 甲第B7号証の記載事項等 (ア) 甲第B7号証の記載事項 甲第B7号証には、「ダイエット食品」に関し、次の記載がある。 「技術分野 [0001] 本発明は、肥満の軽減効果、及び成人病の防止改善効果を有するダイエット食品に関するものである。」 「[0011] 本発明の目的は、人体に対する安全性が高く、極めて効果的な体脂肪代謝と燃焼エネルギーの活用機能を備えたダイエット食品を提供することである。」 「[0051] また、L-オルニチンは、効果的な免疫機能の発現と肝臓機能に有効な役割を果たし、下垂体による成長ホルモンの合成と放出に関わる。従って、細胞代謝を高め、脂肪を減らすので、ダイエット成分としても有用である。オルニチンはアルギニンと組み合わせることで、より効果的に成長ホルモンの分泌を促進する。」 「[0076] また、味覚、食感を整えるためには、グラニュー糖、砂糖、トレハロース、アスパルテームなど他の天然もしくは合成糖類をも配合することが好ましい。」 「[0107] -作用- 本発明では、上記L-アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促し、新陳代謝を活発化するのみならず、脂肪分解酵素であるリパーゼの活性を高める作用を有する。L-アルギニンによって活性が高められたリパーゼは、血液中や体内の脂肪組織に蓄積されているトリグリセリドを効率よく加水分解し、脂肪酸とグリセリンを遊離させる。一方、L-オルニチンは、下垂体による成長ホルモンの合成と放出に関わっている。従って、L-オルニチンの摂取により、成長ホルモンの合成及び放出が活性化され、体細胞の代謝が高まり、物質合成が促進され体脂肪の分解・消費を促す。」 「[0154] 一方、本実施形態において、L-オルニチンまたはL-オルニチン前駆体が添加された場合、該L-オルニチン等は、摂取者の下垂体に作用して成長ホルモンの合成及び放出を活性化し、体細胞の代謝を高めて体脂肪の分解・消費を促す。」 「[0190] また、味覚を整えるために、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル(商品名:アスパルテーム)等低カロリー甘味料を添加することも可能である。」 「請求の範囲 [1] ω-3多価不飽和脂肪酸と、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを含むことを特徴とするダイエット食品。 [2] ω-6多価不飽和脂肪酸を含むことを特徴とする請求項1記載のダイエット食品。 [3] 上記ω-3多価不飽和脂肪酸の全部もしくは一部を魚油として含むことを特徴とする請求項1に記載のダイエット食品。 [4] 上記ω-3多価不飽和脂肪酸と上記ω-6多価不飽和脂肪酸の全部もしくは一部を魚油として含むことを特徴とする請求項2に記載のダイエット食品。 [5] 一食あたりの摂取量として、ω-3多価不飽和脂肪酸が0.1g以上で且つ3.5g以下であり、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つが0.6g以上で且つ15g以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイエット食品。 [6] 上記魚油がカプセル化されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のダイエット食品。 [7] ジアシルグリセロール、中短鎖脂肪酸及び植物ステロールのうち少なくとも1つと、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを含むことを特徴とするダイエット食品。 [8] ヌクレオ塩基類、ヌクレオシド及び核酸類のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [9] 上記ヌクレオ塩基類は、アデニン、グアシン、ヒポキサンチン、キサンチン、シトシン、ウラシル、チミンのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のダイエット食品。 [10] 上記ヌクレオシドは、ウリジン、アデノシン、グアノシン、シチジン、リポチミジン、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシウリジン、デオキシシチジン、チミジン、イノシン、キサントシン、のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のダイエット食品。 [11] 上記核酸類は、DNA、RNA、ヌクレオチドが重合したポリヌクレオチドのうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のダイエット食品。 [12] 一食あたりの摂取量として、上記核酸類、ヌクレオ塩基類及びヌクレオシドの少なくとも1つが0.1g以上で且つ1.5g以下であることを特徴とする請求項8に記載のダイエット食品。 [13] マルトデキストリン、クラスターデキストリン、難消化デキストリン、オリゴ糖のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [14] ムコ多糖類、ウロン酸含有多糖類のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [15] 糖質または脂質の吸収抑制作用を有する成分を含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [16] 一食あたりの摂取量として、400Kcal以下の低カロリー食品を構成することを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [17] ヨーグルトまたはヨーグルト由来のプロバイオティクス素材を含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [18] 吸水性繊維成分を含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [19] 食欲抑制成分、循環刺激成分、脂質分解消費促進成分、抗酸化成分のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [20]グルタミン、分岐鎖アミノ酸、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、β-カロチン、リノレン酸、リノレン酸トリグリセリド、エイコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸トリグリセリド、ドコサヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸トリグリセリドのうち少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [21] 有効成分が天然物由来の物質であることを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [22] 肥満者または成人病素因保有者または成人病発症者における健康維持または体質改善用であることを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [23]家畜、家禽、または愛玩動物における健康維持または体質改善用であることを特徴とする請求項1又は7に記載のダイエット食品。 [24] (A)L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つを0.1~6重量%、(B)ω-3多価不飽和脂肪酸を0.02~1.2重量%、及び(C)核酸類を0.02~2重量%含むことを特徴とするダイエット飲食品組成物。 [25] (A)L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つを0.1~6重量%、(B)ω-3多価不飽和脂肪酸を0.02~1.2重量%、(C)核酸類を0.02~2重量%、(D)蛋白又はペプチド1~7を重量%、(F)糖質を1~10重量%、及び(G)脂質を0.5~5重量%含み、水を溶媒とすることを特徴とする液状ダイエット食品用組成物。 [26] (A)L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つを0.1~6重量%、(B)ω-3多価不飽和脂肪酸を0.02~1.2重量%、(C)核酸類を0.02~2重量%、(D)蛋白又はペプチドを1~7重量%、(E)糖質を1~10重量%、(F)脂質を0.5~5重量%、(G)ショウガ汁を0.01~2重量%、及び(H)天然果汁又は果汁様成分を0.3~10重量%含み、水を溶媒とすることを特徴とする液状ダイエット食品用組成物。」 (イ) 甲第B7号証に記載された発明 上記(ア)の記載、特に請求の範囲第1項について整理すると、甲第B7号証には次の発明が記載されていると認める。 「ω-3多価不飽和脂肪酸と、L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを含むことを特徴とするダイエット食品。」(以下、「甲B7発明」という。) なお、甲第B7号証の記載から、特許異議申立人Bが特許異議申立書の第50頁ないし第51頁で主張するような甲7-2発明を認定することは、甲第B7号証の記載を都合よく部分的に取り上げ、組み合わせるものであるから、採用できない。 イ 対比・判断 本件特許発明2と甲B7発明とを対比する。 甲B7発明の「ダイエット食品」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 また、甲B7発明が、本件特許発明2において除外している(1)~(6)の経口組成物のいずれにも相当しないことは明らかである。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点B7-1 本件特許発明2は「オルニチン又はその塩」を含有することを特定するのに対し、甲B7発明には「L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを含む」ものである点。 ・相違点B7-2 本件特許発明2は「トレハロースとを含有し」と特定するのに対し、甲B7発明にはそのような特定がない点。 ・相違点B7-3 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲B7発明にはそのような特定がない点。 相違点B7-1及び相違点B7-2について検討する。 甲B7発明は「L-アルギニン、L-オルニチン、L-アルギニン前駆体及びL-オルニチン前駆体のうち少なくとも1つとを含む」ものであるものの、甲第B7号証には、L-オルニチンあるいはL-オルニチン前駆体を用いた具体的な実施例等の記載はない。また、甲第B7号証には「味覚、食感を整えるためには、グラニュー糖、砂糖、トレハロース、アスパルテームなど他の天然もしくは合成糖類をも配合することが好ましい」([0076])との記載はあるものの、「トレハロース」を用いた具体的な記載もない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲B7発明ではない。 さらに検討を進めるに、甲B7発明は、「肥満の軽減効果、及び成人病の防止改善効果を有するダイエット食品に関するもの」([0001])であり、甲第B7号証の全ての記載を見ても、「抗疲労効果」を窺わせる記載もない。 そして、本件特許発明2は、相違点B7-1及び相違点B7-2に係る発明特定事項を満たすことにより、「抗疲労効果」を奏するという、甲第B7号証及び他の全ての証拠の記載から見て、格別の効果を奏するものであるといえる。 よって、甲B7発明において、相違点B7-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲B7発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 ウ 甲第B7号証を主たる証拠とする新規性・進歩性(申立理由B12及び申立理由B22)についてのまとめ 上記イのとおりであるから、甲第B7号証を主たる証拠とする申立理由B12及び申立理由B22では、本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。 (3) 甲第B10号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22)について ア 甲第B10号証の記載事項等 (ア) 甲第B10号証の記載事項 甲第B10号証には、「L-オルニチンの肝機能改善効果」に関し、次の記載がある。なお、摘記にあたっては半角の記号・数字等を全角に改めた部分がある。 「L-オルニチン(図1)はタンパク質を構成しない遊離アミノ酸で、生体内の幅広い組織に分布している。一方で、L-オルニチンの接種については、日本では食品として、欧州では肝臓のアンモニア解毒不良に伴う症状、特に肝性脳症を適用とした医薬品成分として、それぞれ使用実績がある。」(第87頁左欄「1.L-オルニチンとは」の項) 「L-オルニチンも、肝臓におけるオルニチン回路の構成成分として作用し(図2)、その代謝促進効果よりアンモニア解毒という肝機能を回復させる効果があることが報告されている7)。実際、ヒトを対象とした試験で、L-オルニチン塩酸塩やL-オルニチンL-アスパラギン酸塩の摂取による、血中アンモニア濃度の低下が確認されている8,9)」(第87頁右欄第8行ないし第14行) 「肝機能障害の指標として一般に用いられる血清ALT、γ-GTP、並びに、ASTの値に対するL-オルニチンの摂取効果を検討した。本試験では、脂肪肝で初期に上昇するとされるALTが42IU/L以上100IU/L未満であり、かつ超音波検査において脂肪肝の所見が認められた肝機能障害者11名(平均年齢44.2歳)を対象とした。対象とした被験者は慢性肝炎ウイルス非保有者(HBs抗原とHCV抗体が陰性)である。それら被経(ママ)者に、1日あたり2.0gのL-オルニチン塩酸塩(6名、平均年齢44.5歳)、もしくはプラセボ食品(5名、平均年齢43.8歳)を3週間にわたり継続的に摂取させた。試験開始前と試験終了後に採血を行い、各種血液生化学指標を測定した。血清ALT、γ-GTP、並びに、ASTにおいて、試験開始後の値と試験開始前の値との差、すなわち変化量をそれぞれ算出したところ、L-オルニチン塩酸塩摂取群の方が試験開始前の値から改善した被検者が多いことが明らかとなった(図3、4、5)。さらに、γ-GTPの変化量(Δγ-GTP)について各群の平均値を比較したところ、両群間に有意差が確認された(p=0.02)(図3)。また、ALTについては、試験前後の変化量(ΔALT)について、各群の平均値を比較したところ、有意差は認められなかったものの、群間差の傾向が認められた(p=0.06)(図4)。一方で、前述の通りオルニチン摂取群の方が試験前後でAST値が改善した被検者が多かったが、ASTの変化量(ΔAST)の各群の平均値に群 [図:0001432046000012.jpg] [図:0001432046000013.jpg] [図:0001432046000014.jpg] 間差は認められなかった(図5)。これらの結果から、肝機能障害者において、オルニチン摂取が肝機能を改善する可能性が示唆された。」(第88頁左欄第9行ないし同頁右欄第3行) (イ) 甲第B10号証に記載された発明 上記(ア)の記載、特に「1.L-オルニチンとは」の項における記載を中心に整理すると、甲第B10号証には、次の発明が記載されていると認める。 「L-オルニチン又はL-オルニチン塩酸塩を含有する、食品。」(以下、「甲B10発明」という。) イ 対比・判断 本件特許発明2と甲B10発明とを対比する。 甲B10発明の「L-オルニチン又はL-オルニチン塩酸塩」は、本件特許発明2の「オルニチン又はその塩」に相当する。 また、甲B10発明の「食品」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 さらに、甲第B10号証には、本件特許発明2において除外されている(1)~(6)の経口組成物に当たるものの開示がないから、甲B10発明は本件特許発明2において除外されている(1)~(6)の経口組成物のいずれにも該当しない。 してみると、両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「オルニチン又はその塩とを含有することを特徴とする食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点B10-1 本件特許発明2は「トレハロースとを含有し、」と特定するのに対し、甲B10発明にはそのような特定がない点。 ・相違点B10-2 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲B10発明にはそのような特定がない点。 上記相違点B10-1について検討する。 甲B10発明は、オルニチンの肝機能改善の可能性について検討したものであり、トレハロースをあわせて用いることを示唆するものではない。 なお、この点について、特許異議申立人Bは特許異議申立書の第71頁ないし第72頁において、甲第B11号証、甲第B12号証を引用しつつ、トレハロースやマルチトールは肝機能を改善する方向に働くことが示唆されているから、肝機能改善の可能性を検討している甲第B10号証のオルニチンを含む食品において、トレハロースを組み合わせることは当業者が容易になし得たことである旨主張する。 しかしながら、上述のとおり、甲第B10号証は、あくまでオルニチンの肝機能改善の可能性について検討したものにすぎず、別の成分との組み合わせを検討するものではない。 また、仮に甲第B10号証ないし甲第B12号証の記載からオルニチンとトレハロースの組み合わせができるものであるとしても、予期される効果はあくまで肝機能の改善であり、「抗疲労効果」ではない。 そして、本件特許発明2は、相違点B10-1に係る発明特定事項を満たすことにより、「抗疲労効果」を奏するという、甲第B10号証及び他の全ての証拠の記載から見て、格別の効果を奏するものであるといえる。 よって、甲B10発明において、相違点B10-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は甲B10発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲第B10号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22)についてのまとめ 上記イのとおりであるから、甲第B10号証を主たる証拠とする申立理由B22では、本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。 (4) 甲第B27号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22)について ア 甲第B27号証の記載事項等 (ア) 甲第B27号証の記載事項 甲第B27号証には、「細胞障害抑制剤とその用途」に関し、次の記載がある。 「【請求項1】 有効成分としてα,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を含んでなる細胞障害抑制剤。 【請求項2】 細胞障害が煙に含まれる物質に起因する細胞障害であることを特徴とする請求項1記載の細胞障害抑制剤。 【請求項3】 細胞が口腔内、鼻腔内、喉、気管、気道及び/又は肺の上皮細胞であることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞障害抑制剤。 【請求項4】 α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体と共に、飲食品、特別用途食品、保健機能食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフード、雑貨、肥料、栄養液の分野の何れかにおいて使用可能な1種又は2種以上の他の成分を含んでなる請求項1乃至3の何れかに記載の細胞障害抑制剤。 【請求項5】 他の成分が、増粘剤、糖類、糖アルコール類、ビタミン類、抗酸化剤及びローヤルゼリーから選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の細胞障害抑制剤。 【請求項6】 増粘剤がコラーゲン、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸の塩類から選ばれる何れか1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5記載の細胞障害抑制剤。 【請求項7】 ビタミン類が、L-アスコルビン酸2-グルコシド、糖転移ルチン、糖転移ヘスペリジン、糖転移ナリンジンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項5に記載の細胞障害抑制剤。 【請求項8】 α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を、無水物換算で、合計0.1質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の細胞障害抑制剤。 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載の細胞障害抑制剤を含有する細胞障害抑制用の組成物。 【請求項10】 飲食品、特別用途食品、保健機能食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフード、雑貨、肥料、栄養液の何れかであることを特徴とする請求項9記載の組成物。 【請求項11】 細胞障害を抑制する旨を表示を付して細胞障害の抑制に使用することを特徴とする請求項9又は10に記載の組成物。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、新規な細胞障害抑制剤及び細胞障害抑制用の組成物、詳細には、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を含んでなる、煙などに含まれる物質によって引き起こされる、ヒトを含む動物や植物の細胞障害の抑制剤(以下、「細胞障害抑制剤」という。)及び当該細胞障害抑制剤を含有する細胞障害抑制用の組成物に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、細胞障害性物質による、ヒトを含む動物や植物の細胞に対する細胞障害を効果的に抑制する手段を提供することを課題とする。」 「【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、上記課題を解決するために、食品素材として汎用されている糖質に着目して、鋭意研究を重ねた結果、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体が、極めて効率よく、細胞障害性物質による、ヒトを含む動物や植物の細胞に対する細胞障害を抑制するという予想外の知見を見出し、本発明を完成した。」 「【発明の効果】 【0008】 本発明は、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体が、細胞障害性物質による、ヒトを含む動物や植物の細胞に対する細胞障害を抑制する作用を示すという知見に基づくものである。また、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体は、安定で、かつ、副作用の懸念もないので、安全で快適に、長期間、継続的に、細胞障害性物質による、ヒトを含む動物や植物の細胞に対する細胞障害抑制のために利用することができる。」 「【0009】 本発明でいう細胞障害性物質とは、ヒトを含む動物や植物が、その生体内に吸引或いは摂取するなどした場合に、この物質に接触した部位で、細胞が障害を受け、細胞の機能に障害がでたり、さらには、細胞が死滅してしまう作用を有する物質をいう。具体的には、タバコの煙、自動車の排気ガス、工場、焼却炉などなから排出される煙などの煙に含まれる物質で、タール類、アルデヒド類をはじめとするカルボニル類、フェノール類、ジエン類、ニトロソアミン類、シアン、ダイオキシン、窒素酸化物、硫黄酸化物などを含むいわゆる大気の汚染物質をいう。また、本発明の細胞障害性物質は、アスコルビン酸や酢酸をはじめとする酸の類やアルコール類などのように、通常は、飲食品として摂取しているような物質であっても、高濃度のものを摂取した場合には、喉や口腔内などの細胞に障害を与えたり、細胞を死滅させてしまう作用を有する物質も含む。また、乾燥や放射線のように皮膚や粘膜細胞などに対して細胞障害を引き起こす物理的な要因を含む。」 「【0023】 本発明の細胞障害抑制剤は、上記で述べたようにそれ自体で有用である一方、他の成分に配合してなる組成物の形態としても有利に利用できる。本発明の細胞障害抑制剤を含有する組成物を製造するには、対象とする動植物の種類やその摂取方法又は投与方法などに応じて選ばれる適宜の組成にしたがって、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体と、以上に示したような飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、ペットフードの分野の何れかにおいて使用することのできる1種又は2種以上の成分とを、個々の含量に基づいて、目的に応じて混合するなどの工程を適宜実施し、α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を含有する組成物を調製し、必要に応じて所望の形状に成形すればよい。」 「【0026】 本発明の細胞障害抑制剤を配合した組成物の形態には特に制限はない。望ましい皮膚外用剤の形態としては、例えば、ローション、乳液、クリーム、固形、粉末、ジェル、ムース、パック、フェイスマスク、マウスウオッシュ、口中清涼剤、口中清涼フィルム、歯磨きなどの形態の基礎化粧品、洗浄用化粧品、入浴用化粧品、口腔化粧品、日焼け・日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品、頭髪化粧品(発毛剤、育毛剤など)、浴用剤、石鹸や、台所用洗剤のように肌に直接影響を及ぼす雑貨類などが挙げられる。また、医薬品としては、皮内、皮下、血管内投与用の注射液、腹腔や胸腔内灌流液・洗浄液、点鼻剤、外用剤、トローチ、シラップ、錠剤、散剤、顆粒剤、ハップ剤、軟膏剤などを挙げることができる。食品の場合は、例えば、細胞障害の抑制のために用いられるものである旨の表示をしたアイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベットなどの氷菓、氷蜜などのシロップ、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのスプレッド及びペースト、チョコレート、ゼリー、のど飴をはじめとするキャンディ、グミゼリー、キャラメル、チューインガム、プリン、シュークリーム・スポンジケーキをはじめとする焼き菓子などの洋菓子、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓などの加工果実ないしは加工野菜、まんじゅう、ういろう、あん、羊羮、水羊羮、カステラ、飴玉、米菓などの和菓子、麺類、求肥、米飯、総菜、乾燥食品、レトルト食品、冷凍食品、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの調味料などが挙げられる。望ましい飲料の形態としては、例えば、合成酒・醸造酒・ビール・発泡酒・果実酒・洋酒などの酒類、ジュース・ミネラル飲料・ペプチド飲料・炭酸飲料・乳酸飲料・乳酸菌飲料・スポーツドリンク・栄養ドリンク剤、緑茶・紅茶・ウーロン茶などの茶飲料・コーヒー・ココアなどの清涼飲料などとすることができる。また、植物の根、茎、葉、花、果実などに直接使用する肥料、散布液、水耕栽培の栄養液、農薬などの組成物の形態とすることも随意である。以上のような本発明の組成物は、本発明の細胞障害抑制剤を、製品質量あたり、通常、0.01質量%以上、望ましくは、0.5質量%以上含有する。なお、本発明の細胞障害抑制剤の組成物へのα,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体の合計の配合量の上限は、通常、無水物換算で、10質量%未満の配合量で、十分な細胞障害の抑制効果が得られるものの、風味、物性などの面で好ましくない場合や本発明の作用効果を妨げる場合以外は、特に制限はない。また、上記皮膚外用剤において、α,α-トレハロースの糖質誘導体の配合により、べた付き感が認められる場合には、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリグルタミン酸ナトリウムなどの増粘剤やエタノールの1種又は2種以上を併用するか、ブチレングリコールとグリセロールとを1:10乃至10:1の配合比率で併用することにより、このべた付き感を低減することができる。」 「【0028】 <実験1> <タバコ煙エキス及びフェノールによる細胞障害に及ぼすα,α-トレハロース及びその糖質誘導体の影響の検討> タバコ煙エキス及びタバコ煙エキスに含まれる細胞障害性物質の一つであるフェノールによる細胞障害に及ぼすα,α-トレハロース及びその糖質誘導体の影響を調べる実験を、正常ヒト気管支/気管上皮細胞(Cambrex Bioscience社販売、以下、「NHBE細胞」と略記する。)を使用して、以下のような方法で行った。なお、以下の実験では、α,α-トレハロースの糖質誘導体として、α-マルトシルα,α-トレハロース(株式会社林原生物化学研究所製造、純度98質量%)を使用した。 <タバコ煙エキス及びフェノール溶液の調製> 市販のタバコ(日本たばこ産業株式会社販売、商品名「マイルドセブン10」)に着火し、フィルターの直前まで燃焼させ、その間、吸引ポンプ(イワキ株式会社販売、型式AP-115)を用いてタバコの煙を吸引し、6mlのダルベッコのリン酸緩衝液(pH7.35、日本製薬株式会社販売)に通気して、煙に含まれる成分をリン酸緩衝液に溶解させた。この操作を5本のタバコを使用して行い、タバコの煙を通気したリン酸緩衝液を回収して、タバコ煙エキスとした。また、上記ダルベッコのリン酸緩衝液に、フェノール(片山化学工業株式会社販売、試薬級)を120mMとなるように溶解したフェノール溶液を調製した。 <糖質含有溶液> 10容量%牛胎児血清及び抗生物質を含むダルベッコのMEM培地(以下、「D-MEM培地」と略記する。)に、α,α-トレハロース(株式会社林原生物化学研究所販売、試薬級)、α-マルトシルα,α-トレハロース或いはマルトース(株式会社林原生物化学研究所販売、試薬級)を、各々、無水物換算で、100mg/mlとなるように溶解して糖質含有溶液を調製した。 <試験液> 糖質の濃度が、25mg/mlとなるように試験液を調製した。すなわち、D-MEM培地2容量部と上記糖質含有溶液1容量部とを混合し、これに、タバコ煙エキス、或いは、フェノール溶液1容量部を加え、試験液を調製した。また、D-MEM培地3容量部にタバコ煙エキス或いはフェノールの何れかを1容量部を加えた試験液を調製した。 <NHBE細胞に対する細胞障害の測定方法> BEGM培地キット(Cambrex Bioscience社販売、以下、「BEGM培地」と略記する。)を用いて継代培養したNHBE細胞を回収し、BEGM培地に再懸濁し、96ウエルマイクロプレートに、1.6×104細胞/200μl/ウエルで播種して一晩培養して、細胞がウエルの70%を占める状態とした。その後、培養液を吸引除去し、上記試験液の何れか1種を200μl/ウエル添加して、3時間培養を行った。対照として、D-MEM培地3容量部とリン酸緩衝液1容量部とを混合した溶液を200μl/ウエル添加して3時間培養を行った。その後、培養液を吸引除去し、セル カウンティング キット-8(CELL COUNTING KIT-8、株式会社同人化学研究所販売)を、D-MEM培地で40倍希釈した溶液を200μl/ウエルで加えて、37℃で培養して、呈色反応を行った。なお、添加したタバコ煙エキス、或いは、フェノールの添加量は、予備実験により、これらを無添加の場合に比して、NHBE細胞の生存率を約60%減じる濃度とした。結果は、リン酸緩衝液とD-MEM培地とを混合した溶液を添加して培養した対照のNHBE細胞の呈色量を100とする相対値を求め細胞の生存率(%)として、タバコ煙エキスを添加して培養した場合を表1に、フェノールを添加した場合を表2に示す。また、本実験及び以下の実験では、細胞の培養は何れの場合も、37℃、5容量%炭酸ガス培養装置を使用し、試験は1種類の試験液について3ウエルを使用した。 【0029】 【表1】 [図:0001432046000015.jpg] 【0030】 【表2】 [図:0001432046000016.jpg] 【0031】 表1から明らかなように、糖質を含まないタバコ煙エキスのみを添加した試験液で培養したNHBE細胞は、培地とリン酸緩衝液のみを添加して培養した対照の細胞に比べて、その生存率が約38%にまで減少した。また、タバコ煙エキスとマルトースとを添加した試験液で培養した場合の生存率は43%となり、タバコ煙エキスのみを加えた試験液で培養した場合とほぼ同じ生存率であった。これに対して、タバコ煙エキスとα,α-トレハロースとを添加した試験液で培養した場合には、生存率が55%となり、タバコ煙エキスとα-マルトシルα,α-トレハロースとを添加した試験液で培養した場合には生存率が48%となって、何れも、タバコ煙エキスのみを加えた試験液で培養した場合に比して、細胞の生存率の有意(p<0.05)な上昇が認められた。また、表2から明らかなように、糖質を含まないフェノールのみを添加した試験液で培養したNHBE細胞は、培地とリン酸緩衝液のみを添加して培養した対照の細胞に比べて、その生存率が約40%にまで減少した。これに対して、フェノールとα,α-トレハロースとを添加した試験液で培養した場合、フェノールとα-マルトシルα,α-トレハロースを添加した試験液で培養した場合、或いは、フェノールとマルトースとを添加した試験液では、生存率が、各々72%、69%、或いは、68%となって、フェノールのみを加えた試験液で培養した場合に比して、何れも、細胞の生存率の有意(p<0.05)な上昇が認められ、α,α-トレハロース及びα,α-トレハロースの糖質誘導体が、タバコの煙の中に含まれているフェノール及びそれ以外の細胞障害性物質による細胞障害を抑制することが確認された。」 (イ) 甲第B27号証に記載された発明 上記(ア)の記載、特に、請求項1、9、10の記載を中心に整理すると、甲第B27号証には次の発明が記載されていると認める。 「有効成分としてα,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を含んでなる細胞障害抑制剤を含有する細胞障害抑制用の飲食品組成物。」(以下、「甲B27発明」という。) イ 対比・判断 本件特許発明2と甲B27発明とを対比する。 甲B27発明の「α,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体」は、本件特許発明2の「トレハロース」に相当する。 また、甲B27発明の「飲食品組成物」は、本件特許発明2の「食品組成物」に相当する。 さらに、甲第B27号証における記載を見ても、甲B27発明が、本件特許発明2において除外している(1)~(6)の経口組成物のいずれにも該当しないことは明らかである。 してみると両者の一致点・相違点は次のとおりである。 (一致点) 「トレハロースを含有する食品組成物(ただし、以下の(1)~(6)の経口組成物を除く)。 (1)アスタキサンチン、システインペプチド、ビタミンC及びセラミドを含有する美容用飲料 (2)オルニチンを含有するチーズ (3)分岐鎖アミノ酸又はその塩と、オルニチン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、トレハロースとを含有するヘモグロビン尿症又はミオグロビン尿症の予防又は治療用経口組成物 (4)ナメコを含有する食品組成物 (5)ブナシメジを含有する食品組成物 (6)クラスターデキストリンと、分岐鎖アミノ酸又はその塩と、アルギニン又はその塩と、アスパラギン酸又はその塩と、リジン又はその塩と、グルタミン又はその塩と、アラニン又はその塩とを含有する粉末飲料」 (相違点) ・相違点B27-1 本件特許発明2は「オルニチン又はその塩」を含有すること特定するのに対し、甲B27発明にはそのような特定がない点。 ・相違点B27-2 本件特許発明2は「錠剤、カプセル剤、粉末剤又は顆粒剤である」と特定するのに対し、甲B27発明にはそのような特定がない点。 上記相違点B27-1について検討する。 甲B27発明は有効成分としてα,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体を含有させることで細胞障害抑制を図るものであり、オルニチン又はその塩をあわせて用いることを示唆するものではないし、甲第B27号証及び他の全ての証拠の記載を見ても、甲B27発明において、オルニチンを含むものとする動機付けはない。 なお、この点について、特許異議申立人Bは特許異議申立書の第90頁ないし第91頁において、甲第B24号証ないし甲第B26号証を引用しつつ、オルニチンは細胞の生存率を向上させる効果及び細胞増殖を促進する効果を有することは技術常識であるから、甲B27発明の「細胞障害抑制効果」を高めるために、甲B27発明においてオルニチンを配合する動機付けはある旨主張する。 しかしながら、上述のとおり、甲第B27号証は、あくまでα,α-トレハロース及び/又はα,α-トレハロースの糖質誘導体における細胞障害抑制の可能性について検討したものにすぎず、別の成分との組み合わせを検討するものではない。 また、仮に甲第B24号証ないし甲第B26号証の記載をあわせることによりオルニチンとトレハロースの組み合わせができるものであるとしても、予期される効果はあくまで細胞障害抑制能であり、「抗疲労効果」ではない。 そして、本件特許発明2は、相違点B27-1に係る発明特定事項を満たすことにより、「抗疲労効果」を奏するという、甲第B27号証及び他の全ての証拠の記載から見て、格別の効果を奏するものであるといえる。 よって、甲B27発明において、相違点B27-1に係る本件特許発明2の発明特定事項を満たすものとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は甲B27発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 甲第B27号証を主たる証拠とする進歩性(申立理由B22)についてのまとめ 上記イのとおりであるから、甲第B27号証を主たる証拠とする申立理由B22では、本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。 (5) 申立理由B3(サポート要件)について ア サポート要件の判断基準 上記1(4)アのとおりである。 イ 特許請求の範囲の記載事項 上記第3のとおりである。 ウ サポート要件についての判断 上記1(4)ウのとおりである。 エ 特許異議申立人Bの主張について 特許異議申立人Bは、アスパルテーム、トレハロース及び還元パラチノースは経口摂取された際に生体内に吸収される前に分解されるものであるから、これらの成分をオルニチンと併せて用いることによる作用効果を理解できない(申立理由B3-1)旨主張するとともに、本件特許発明2及び3において、各成分の含有比率の特定がないこと(申立理由B3-3)、用法・用量の特定がないこと(申立理由B3-4)を併せて主張するが、いずれも、本件特許発明2及び3の特定事項を満たすものにおいて、具体的に発明の課題を解決し得ないことを示すものではない。 よって、特許異議申立人Bのいずれの主張も採用することはできない。 オ 申立理由B3についてのまとめ 上記ウ及びエのとおりであるから、申立理由B3では、本件特許発明2及び3に係る特許を取り消すことはできない。 第7 結語 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項2及び3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項2及び3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項1は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る特許に対する申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700949

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