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特許異議申立

2024-700461

外用剤

審判番号
2024-700461
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-191536
登録番号
7382615
請求日
2024年05月15日
審決日
2024年12月24日
公報発行日
2025年05月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社東洋新薬
  • 【権利者代理人】▲高▼津 一也
  • 【異議申立人】平松 由紀子
審判長/審判官
  • 審判長 井上 典之
  • 審判官 野田 定文
  • 審判官 齊藤 真由美
分類
P1651.112-YAA(A61K) / P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7382615号発明「外用剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7382615号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第7382615号の請求項1、2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7382615号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成29年9月29日の出願であって、令和5年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1及び2に係る特許について、令和6年5月15日に、特許異議申立人 平松 由紀子 (以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 その後、当審合議体は、特許権者に対し、同年6月25日付けで取消理由を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である同年8月22日に訂正請求書及び意見書を提出し、同年同月27日に手続補正書(方式)を提出した。当審合議体は、申立人に対し、同年10月28日付けで訂正の請求があった旨の通知をしたが、申立人からは指定期間内に何らの応答もなかった。 第2 訂正の請求について 1 訂正の請求の趣旨及び訂正の内容 令和6年8月22日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正の請求による訂正を「本件訂正」という。)の趣旨は、 「特許第7382615号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求める。」 というものであり、本件訂正の内容は、本件訂正請求書の記載及び本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の記載からみて、以下の訂正事項1のとおりのものと認める。なお、下線は訂正による記載の変更箇所を示す。 <訂正事項1> 特許請求の範囲の請求項1に、 「外用剤(ただし、マッサージのために使用されるものを除く。)。」 と記載されているのを、 「外用剤(ただし、マッサージのために使用されるもの、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの、ホホバ種子油を含むもの、並びに、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものを除く。)。」 に訂正する。 請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1及び2において、請求項2は、請求項1の記載を引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1及び2に対応する訂正後の請求項1及び2は、特許法第120条の5第4項に規定する関係を有する「一群の請求項」であり、本件訂正は当該「一群の請求項」について請求されたものである。 3 訂正要件の判断 訂正事項1についての訂正要件の判断は、以下のとおりである。 なお、下線は、訂正による記載の変更箇所を示すもののほか、当審合議体が便宜のために付したものである。 (1) 訂正の目的の適否 訂正事項1による訂正は、請求項1に記載の「外用剤」から、同項に記載された事項の記載表現を残したままで、同項に係る発明の「外用剤」に包含される一部の態様である、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」、「ホホバ種子油を含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」という3種の外用剤の態様を除くことにより、「外用剤」を限定するものである。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (2) 新規事項の追加の有無 訂正事項1による訂正は、請求項1に記載の「外用剤」から、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」、「ホホバ種子油を含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」という3種の外用剤の態様を除外しているだけであり、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3) 特許請求の範囲の拡張・変更の有無 上記(1)及び(2)で検討したとおり、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、請求項1に記載の「外用剤」から、3種の外用剤の態様を除外しているだけであり、発明の対象やカテゴリー、目的を変更するものでないので、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。 (4) 独立特許要件について 訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を訂正の目的とするものであるが、本件特許異議申立事件においては、本件訂正前の全ての請求項である請求項1及び2に係る特許に対して特許異議の申立てがされているから、これらの請求項に対応する本件訂正後の請求項1及び2に係る発明については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。 4 訂正の請求についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件特許に係る発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の本件特許の請求項1及び2(以下、請求項の番号順に「本件訂正請求項1」等ということがある。)の記載は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであり、本件訂正請求項1及び2に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める(以下、請求項の番号順に「本件訂正発明1」等といい、これらを総称して「本件訂正発明」いうことがある。)。下線は本件訂正による記載の変更箇所を示す。 「【請求項1】 コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種を含む外用剤(ただし、マッサージのために使用されるもの、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの、ホホバ種子油を含むもの、並びに、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものを除く。)。 【請求項2】 外用剤が化粧料又は皮膚洗浄料である、請求項1に記載の外用剤。」 第4 特許異議の申立ての理由及び当審において通知した取消理由の概要 1 特許異議の申立ての理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、証拠方法として、下記(5)に示す甲第1号証~甲第4号証(以下、それぞれ番号順に「甲1」等という。)を添付して提出し、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべきとの特許異議の申し立てをしており、その理由(以下「申立理由」という。)の概要は、下記(1)~(4)に示すとおりである。 なお、ここでいう「請求項1」及び「本件発明1」等の表記は、本件訂正前の本件特許の請求項1及び当該請求項1に係る発明等を意味するものである。 (1) 申立理由1(特許法第29条第1項第2号:新規性(公然実施)) 請求項1及び2に係る発明は、甲1~4に記載の商品として、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2) 申立理由2(特許法第29条第1項第3号:新規性) (2-1) 申立理由2-1 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-2) 申立理由2-2 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-3) 申立理由2-3 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2-4) 申立理由2-4 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3) 申立理由2(特許法第29条第2項:進歩性) (3-1) 申立理由3-1 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-2) 申立理由3-2 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-3) 申立理由3-3 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (3-4) 申立理由3-4 請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基いて、本件特許の出願前に本件特許の発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (4) 申立理由4(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 請求項1及び2に係る発明は、「コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種」について、その配合量が特定されていない点で、使用感に優れたとの発明の課題を解決することのできない範囲を含むから、発明の詳細な説明に記載したものではなく、請求項1及び2に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。 (5) 甲号証一覧 甲1:Moisturiser, ID#2334851, Mintel GNPD [online], 2014年2月掲載 甲2:Hydrating Day Cream, ID#4915195, Mintel GNPD [online], 2017年6月掲載 甲3:Hydrating Day Cream, ID#1783335, Mintel GNPD [online], 2012年4月掲載 甲4:Lavender and Vanilla Body Souffle, ID#1066007, Mintel GNPD [online], 2009年3月掲載 2 当審において通知した取消理由の概要 本件訂正前の請求項1及び2に係る特許について、当審合議体が令和6年6月25日付け取消理由通知により特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりであり、ここでの甲1~4は、上記1における甲1~4と同じ証拠である。また、以下の取消理由1~3は、それぞれ上記1における申立理由1~3に対応するものである。 取消理由1(新規性:公然実施) 本件請求項1及び2に係る発明は、甲1~4に記載の商品として、本件特許の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由2(新規性) 取消理由2-1(新規性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由2-2(新規性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由2-3(新規性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由2-4(新規性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由3(進歩性) 取消理由3-1(進歩性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由3-2(進歩性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲2に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由3-3(進歩性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲3に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 取消理由3-4(進歩性) 本件請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲4に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきものである。 第5 取消理由についての当審合議体の判断 当審合議体は、上記第4の2の取消理由で通知した理由によっては、本件訂正請求項1及び2に係る特許は取り消すことはできないないと判断する。 その理由の詳細は、以下のとおりである。 1 甲号証の記載事項 各甲号証の「商品説明」の摘記は、当審合議体による訳文で示す。また、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。 (1) 甲1の記載事項 甲1には、次の事項が記載されている。 摘記(1a) 「 [図:0001422434000001.jpg] 商品説明 Aromatherapy AssociatesのRose Infinityのシリーズは、大豆及び酵母のタンパク質、並びに、希少な植物からの幹細胞を含有する強力な天然成分の抽出における最新の技術を取り入れ、わずか3週間で効果を実感できる、とされています。この製品は、再生、明るさ、完璧さを実現すると謳われています。シリーズの一部として、保湿クリームがあり、これはシワの見た目をふっくらさせ、深く潤いのある若々しい肌を実現するように設計されています。この処方の特徴には、アルパイン・ローズ幹細胞と、高く評価されている加水分解植物性タンパク質が含まれており、肌の細胞レベルでの修復と強化をサポートし、環境ストレスに対する抵抗力を高めます。また、抗酸化物質であるビタミンEも配合されています。・・・。」 摘記(1b) 「 [図:0001422434000002.jpg] 」 摘記(1c) 「 [図:0001422434000003.jpg] 」 (2) 甲2の記載事項 甲2には、次の事項が記載されている。 摘記(2a) 「 [図:0001422434000004.jpg] 商品説明 Jojoba CompanyのHydrating Day Creamは、ホホバを基にした高性能の保湿クリームで、敏感肌に適していると説明されており、成分には、緑茶やオリーブエキス、肌を落ち着かせるカモミール、ベータグルカン、ビタミンBとE、肌を引き締めるシベリア人参を豊富に含み、ホホバの深い保湿特性を補完しています。・・・。」 摘記(2b) 「 [図:0001422434000005.jpg] 」 摘記(2c) 「 [図:0001422434000006.jpg] [図:0001422434000007.jpg] 」 (3) 甲3の記載事項 甲3には、次の事項が記載されている。 摘記(3a) 「 [図:0001422434000008.jpg] 商品説明 Jojoba Companyの創設者は、他の高品質な天然の有機成分とともに、100%天然でコールドプレスされたオーストラリア産ホホバ(持続可能で、カーボンネガティブで、抗酸化、栄養補給及び保湿の特性があるとされています。)の特性を活かし、肌の健康のために純粋で自然な製品を創造することにコミットしています。・・・。」 摘記(3b) 「 [図:0001422434000009.jpg] [図:0001422434000010.jpg] 」 摘記(3c) 「 [図:0001422434000011.jpg] 」 (4) 甲4の記載事項 甲4には、次の事項が記載されている。 摘記(4a) 「 [図:0001422434000012.jpg] 商品説明 Origins Calm To Your Sensesのシリーズは、以前は伊勢丹デパートでのみ販売されていましたが、再発売されました。この限定版シリーズは、豊かなラベンダーの香りと、心を落ち着けてリラックスさせる温かみのあるバニラの香りをブレンドしており、家庭や友人との思い出を呼び起こします。Lavender and Vanilla Body Souffleは、リッチなオリーブオイル、グレープシードオイル、アプリコットカーネルオイルを配合しており、保湿効果があります。・・・。」 摘記(4b) 「 [図:0001422434000013.jpg] [図:0001422434000014.jpg] 」 摘記(4c) 「 [図:0001422434000015.jpg] 」 2 取消理由についての判断 (1) 取消理由2-1及び取消理由3-1について ア 甲1に記載された発明 甲1には、「フェイス/ネックケア」のための「スキンケア製品」である「Moisturiser」は、「大豆及び酵母のタンパク質、並びに、希少な植物からの幹細胞を含有する強力な天然成分」の抽出という技術に対応する「アルパイン・ローズ幹細胞」と「加水分解植物性タンパク質」を含むことが特徴のシリーズの商品であるという説明とともに(摘記(1a))、各種成分からなる組成物の成分には、「コメ胚芽油」、「シャクナゲ葉細胞培養エキス(アルパイン・ローズ幹細胞)」、「加水分解ダイズタンパク」、「加水分解酵母タンパク」、「ダマスクバラ花油」及び「イランイラン花油」及びが含まれていることが記載されている(摘記(1c))。甲1には、「Moisturiser」が、「ホホバ種子油を含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」であることを示す記載はない。 そうすると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 <甲1発明> コメ胚芽油、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク、加水分解酵母タンパク、ダマスクバラ花油、及びイランイラン花油を含有する、フェイス又はネックケアのためのスキンケア組成物(ただし、ホホバ種子油を含むものではなく、また、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものではない。)。 イ 本件訂正発明と甲1に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件訂正発明1について a 本件訂正発明1と甲1発明との対比 甲1発明における「ダマスクバラ花油」は、本件訂正発明1における「バラ油」に相当し、甲1発明の「フェイス又はネックケアのためのスキンケア組成物」は、本件訂正発明1の「外用剤」に該当する。 また、甲1において、甲1発明に関する「製品バリエーション」の「訴求内容」(摘記(1b))に、「マッサージ」に該当するような事項はないから、甲1発明は、マッサージのために使用されるものに該当しないといえる。 さらに、甲1発明の外用剤は、ホホバ種子油を含むものではなく、また、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものでもないから、本件訂正発明1における「ホホバ種子油を含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」を「除く」との条件を満たしている。 そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは、 「コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種を含む外用剤(ただし、マッサージのために使用されるもの、ホホバ種子油を含むもの、並びに、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものを除く。)。」 である点で一致し、以下の相違点1で相違する。 相違点1: 本件訂正発明1は、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」が除かれているのに対し、甲1発明は、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」である点 b 相違点についての検討 (a) 新規性について 材料及び組成の点で、相違点1は実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲1に記載された発明ではない。 (b) 進歩性について 上記アで述べたとおり、甲1の商品説明(摘記(1a))では、「アルパイン・ローズ幹細胞と加水分解植物性タンパク質」を含有させることが商品の特徴であり、これらの具体的成分が、甲1発明における「シャクナゲ葉細胞培養エキス」、「加水分解ダイズタンパク」及び「加水分解酵母タンパク」であるから、これらの必須成分を添加しないものとすることには阻害要因があるものといえる。 そうすると、甲1発明において、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、本件訂正発明1について、「外用剤」が「化粧料又は皮膚洗浄料である」ことを更に限定するものであるから、本件訂正発明2は、上記(ア)bで述べたのと同様の理由により、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2) 取消理由2-2及び取消理由3-2について ア 甲2に記載された発明 甲2には、「フェイス/ネックケア」のための「スキンケア製品」である「Hydrating Day Cream」が、ホホバを基にした高性能の保湿クリームであるとの説明とともに(摘記(2a))、各種成分からなる組成物の成分には、「ホホバ種子油」、「コメヌカ油」、「ダマスクバラ花油」及び「イランイラン花油」が含まれていることが記載されている(摘記(2c))。甲2には、「Hydrating Day Cream」が、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」であることを示す記載はない。 そうすると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 <甲2発明> ホホバ種子油、コメヌカ油、ダマスクバラ花油、及びイランイラン花油を含有する、フェイス又はネックケアのためのスキンケア組成物(ただし、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むものではなく、また、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものではない。)。 イ 本件訂正発明と甲2に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件訂正発明1について a 本件訂正発明1と甲2発明との対比 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0009】には、「コメ胚芽油」は「コメヌカ油」と呼ばれることもある旨が記載されているから、甲2発明における「コメヌカ油」及び「ダマスクバラ花油」は、それぞれ、本件訂正発明1における「コメ胚芽油」及び「バラ油」に相当し、甲2発明の「フェイス又はネックケアのためのスキンケア組成物」は、本件訂正発明1の「外用剤」に該当する。 また、甲2において、甲2発明に関する「製品バリエーション」の「訴求内容」(摘記(2b))に、「マッサージ」に該当するような事項はないから、甲2発明は、マッサージのために使用されるものに該当しないといえる。 さらに、甲2発明の外用剤は、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むものではなく、また、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものでもないから、本件訂正発明1における「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」並びに「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」を「除く」との条件を満たしている。 そうすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、 「コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種を含む外用剤(ただし、マッサージのために使用されるもの、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの、並びに、ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むものを除く。)。」 である点で一致し、以下の相違点2で相違する。 相違点2: 本件訂正発明1は「ホホバ種子油を含むもの」が除かれているのに対し、甲2発明は「ホホバ種子油を含むもの」である点 b 相違点についての検討 (a) 新規性について 材料及び組成の点で、相違点2は実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲2に記載された発明ではない。 (b) 進歩性について 上記アで述べたとおり、甲2の商品説明(摘記(2a))では、ホホバを基にした高性能の保湿クリームであるとされ、その具体的成分が、甲2発明における「ホホバ種子油」であるから、この必須成分を添加しないものとすることには阻害要因があるといえる。 そうすると、甲2発明において、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、本件訂正発明1について、「外用剤」が「化粧料又は皮膚洗浄料である」ことを更に限定するものであるから、本件訂正発明2は、上記(ア)bで述べたのと同様の理由により、甲2に記載された発明ではないし、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 取消理由2-3及び取消理由3-3について 甲3には、「フェイス/ネックケア」のための「スキンケア製品」である「Hydrating Day Cream」が、オーストラリア産ホホバの特性を活かし、肌の健康のために純粋で自然な製品である旨が記載され、必須成分の「ホホバ」として「ホホバ種子油」の成分を含有することが記載されている(摘記(3a))。 そうすると、上記(2)の甲2発明について述べたのと同様の理由により、本件訂正発明1及び2は、甲3に記載された発明ではないし、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4) 取消理由2-4及び取消理由3-4について ア 甲4に記載された発明 甲4には、「ボディケア」のための「スキンケア製品」である「Lavender and Vanilla Body Souffle」は、豊かなラベンダーの香りと、心を落ち着けてリラックスさせる温かみのあるバニラの香りをブレンドしている説明とともに(摘記(4a))、各種成分からなる組成物の成分には、「コメヌカ油」、「ダマスクバラ花油」、「イランイラン花油」、「イングリッシュラベンダーオイル」及び「バニラ果実オイル」が含まれていることが記載されている(摘記(4c))。甲4には、「Lavender and Vanilla Body Souffle」が、「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」並びに「ホホバ種子油を含むもの」であることを示す記載はない。 そうすると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているといえる。 <甲4発明> コメヌカ油、イランイラン花油、ダマスクバラ花油、イングリッシュラベンダーオイル、及びバニラ果実オイルを含有する、ボディケアのためのスキンケア組成物(ただし、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むものではなく、また、ホホバ種子油を含むものではない。)。 イ 本件訂正発明と甲4に記載された発明との対比・判断 (ア) 本件訂正発明1について a 本件訂正発明1と甲4発明との対比 本件明細書の【0009】には、「コメ胚芽油」は「コメヌカ油」と呼ばれることもある旨が記載されているから、甲4発明における「コメヌカ油」及び「ダマスクバラ花油」は、それぞれ、本件訂正発明1における「コメ胚芽油」及び「バラ油」に相当し、甲4発明の「ボディケアのためのスキンケア組成物」は、本件訂正発明1の「外用剤」に該当する。 そして、甲4発明における「イングリッシュラベンダーオイル」は、本件訂正発明1において「除く」とされているものの成分である「ラベンダーオイル」の1種である。 また、甲4において、甲4発明に関する「製品バリエーション」の「訴求内容」(摘記(4b))に、「マッサージ」に該当するような事項はないから、甲4発明は、マッサージのために使用されるものに該当しないといえる。 さらに、甲4発明の外用剤は、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むものではなく、また、ホホバ種子油を含むものでもないから、本件訂正発明1における「シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの」並びに「ホホバ種子油を含むもの」を「除く」との条件を満たしている。 そうすると、本件訂正発明1と甲4発明とは、 「コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種を含む外用剤(ただし、マッサージのために使用されるもの、シャクナゲ葉細胞培養エキス、加水分解ダイズタンパク及び加水分解酵母タンパクを含むもの、並びに、ホホバ種子油を含むものを除く。)。」 である点で一致し、以下の相違点3で相違する。 相違点3: 本件訂正発明1は「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」が除かれているのに対し、甲4発明は「ラベンダーオイル及びバニラ果実オイルを含むもの」である点 b 相違点についての検討 (a) 新規性について 材料及び組成の点で、相違点3は実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲4に記載された発明ではない。 (b) 進歩性について 上記アで述べたとおり、甲4の商品説明(摘記(4a))では、ラベンダーの香りとバニラの香りをブレンドしていることや、商品の名称自体にラベンダーとバニラが採用され、その具体的成分が、甲4発明における「イングリッシュラベンダーオイル」及び「バニラ果実オイル」であるから、これらの必須成分を添加しないものとすることには阻害要因があるといえる。 そうすると、甲4発明において、上記相違点3に係る本件訂正発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たものではない。 したがって、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (イ) 本件訂正発明2について 本件訂正発明2は、本件訂正発明1の発明特定事項を全て備え、本件訂正発明1について、「外用剤」が「化粧料又は皮膚洗浄料である」ことを更に限定するものであるから、本件訂正発明2は、上記(ア)bで述べたのと同様の理由により、甲4に記載された発明ではないし、甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5) 取消理由1について 摘記(1a)、(2a)及び(4a)によれば、甲1の「Moisturiser」、甲2の「Hydrating Day Cream」及び甲4の「Lavender and Vanilla Body Souffle」は、いずれも「購入者」を情報源として掲載されたものであって、その掲載時期は、それぞれ、「2014年2月」、「2017年6月」及び「2009年3月」であることから、本件特許の出願日である平成29年(2017年)9月29日以前に、実際に販売されたものといえ、公然実施をされた発明として、上記(1)、(2)及び(4)のアで述べた甲1発明、甲2発明及び甲4発明と、それぞれ同じ事項を備えた発明を認定できる。 また、摘記(3a)によれば、甲3の「Hydrating Day Cream」は、「トレードショー」を情報源として掲載されたものであって、その掲載時期は「2012年4月」であることから、本件特許の出願日である平成29年(2017年)9月29日以前に、譲渡等の実施がされた蓋然性が高いといえ、公然実施をされた発明として、甲3に記載の製品「Hydrating Day Cream」を甲3発明として認定できる。 そうすると、上記(1)~(4)で説示したとおり、本件訂正発明1及び2は、甲1発明、甲2発明、甲3発明及び甲4発明とは相違しているから、本件特許の出願前に公然実施をされた発明とはいえない。 (6) 申立人の主張について 申立人は、申立書において、「本件発明1、2から甲第1~4号証に記載された発明を「除くクレーム」とする訂正が行われたとしても、進歩性欠如の取消理由は解消しない。」と主張している。 しかしながら、甲1~甲4の記載に基いて、当業者が容易に本件訂正発明1及び2を想到するものであるといえるためには、相違点に係る本件訂正発明1及び2に係る構成を採用するにあたり、動機付けがあり、かつ、阻害要因がないことが必要であるから、上記(1)~(4)で説示したとおり、申立人の主張は採用できない。 (7) 取消理由についての判断のまとめ 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由1~3によっては、本件訂正請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由通知で採用しなかった申立理由(申立理由4)について 1 サポート要件の判断の前提 特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を対比し、特許請求の範囲で特定された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 2 本件訂正発明の課題 本件訂正請求項1及び2の記載、並びに、本件明細書の【0004】及び【0005】を含む本件明細書全体の記載からみて、本件訂正発明1及び2の課題は、「皮膚における水分蒸散を効果的に低減して、皮膚水分量を高めることができるのみならず、使用感に関して優れた効果が得られる外用剤」を提供することであると認められる。 3 本件明細書の記載事項 本件明細書には、本件訂正発明1及び2の外用剤の必須成分である「コメ胚芽油」、「バラ油」並びに「イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種」の配合量について、次の摘記(A)~(C)の事項が記載されている。なお、下線は当審合議体が付したものであり、「・・・」は摘記の省略を示す。 摘記(A) 「【0010】 本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、保湿向上効果を高める観点から、0.000001質量%以上含まれることが好ましく、・・・、特に好ましくは、0.001質量%以上である。本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、使用感向上効果を高める観点から、10質量%以下含まれることが好ましく、・・・、特に好ましくは、0.01質量%以下である。」 摘記(B) 「【0012】 本発明の外用剤中、バラ油は、保湿向上効果を高める観点から、0.000001質量%以上含まれることが好ましく、・・・、特に好ましくは、0.001質量%以上である。本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、使用感向上効果を高める観点から、10質量%以下含まれることが好ましく、・・・、特に好ましくは、0.01質量%以下である。」 摘記(C) 「【0024】 本発明の外用剤が、更にイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、コメ胚芽油及びバラ油と組み合わせることによる上記の効果をより一層高める観点から、その含有量は、コメ胚芽油及びバラ油の合計量100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、・・・、特に好ましくは、50質量部以上である。本発明の外用剤が、更にイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、コメ胚芽油及びバラ油と組み合わせることによる上記の効果をより一層高める観点から、その含有量は、コメ胚芽油及びダマスクバラ油の合計量100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、・・・、特に好ましくは、150質量部以下である。」 また、本件明細書には、本件訂正発明1及び2の具体例に該当するものを含む実施例及び比較例について、次の摘記(D)の事項が記載されている。 摘記(D) 「【実施例】 【0031】 以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。 【0032】 〔実施例1~5、比較例1~6〕 下記表1に記載の配合の液状サンプルを調製した。なお表1の原料としては以下の物を用いた。 コメ胚芽油:イネ(Oryza sativa)の胚芽からn-ヘキサン抽出法により得られた脂肪油を用いた。 ダマスクバラ油:ダマスクバラ(Rosa damascena)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。 イランイラン花油:イランイラン(Cananga odorata)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。 ウイキョウ果実油:フェンネル(Foeniculum vulgare)の果実部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。 ニオイテンジクアオイ油:ニオイテンジクアオイ(Pelargonium graveolens)の全草部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。 ラベンダー油:ラベンダー(Lavandula vera De Candolle)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。 【0033】 【表1】 [図:0001422434000016.jpg] 【0034】 上記各液状サンプルを、下記評価例1~3に供した。 【0035】 (評価例1.使用前後の肌状態〔水分量〕測定) 下記配合に基づき、下記表1A記載の成分を混合してベースのオールインワンジェルを調製した。得られたオールインワンジェル100質量部に、実施例1~5及び比較例1~6それぞれで得られた液状サンプル0.01質量部を混合し、実施例1~5及び比較例1~6の外用剤をそれぞれ調製した。また液状サンプルの代わりに同量の水を添加した外用剤を対照例として用いた。 【0036】 【表1A】 [図:0001422434000017.jpg] 【0037】 前記実施例1~5、比較例1~6、対照例のオールインワンジェルの使用前後における皮膚の水分量差を、ヤヨイ社製の測定装置SKICON-200EXで測定した。この測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価するものである。 健常な成人3名(男性1名、女性2名、平均年齢37.3歳)を被験者とし、前腕内側を洗浄した上で、測定室(温度:22±2℃。湿度:50±10%)で20分間安静に過ごさせた。次にジェル塗布前における皮膚の塗布予定箇所(前腕内側の3cm×3cmの部分)における水分量を上記測定機器で測定した。次に、上記の予定箇所にジェル30μLを塗布し、2時間後にジェル塗布箇所において再度水分量測定を行った。尚、被験者は測定中、安静に過ごした。 測定結果を表2に示す。表2は、ジェル使用前と使用後に当該箇所について5回ずつ水分量を測定し、使用前、使用後それぞれ得られた測定値のうち、最大値と最小値を除いた3つの値の平均値を求めた上で、使用後の水分量の値から使用前の水分量の値を差し引いた値である(被験者3名の平均値を示す)。つまり、表2は、ジェル塗布後による角層水分量の変化を数値化したものである。数値が大きいほど肌が潤っている(ジェル塗布により角層水分量が増加した)ことを示す。 【0038】 【表2】 [図:0001422434000018.jpg] 【0039】 表2に示す結果から、各実施例のジェルを皮膚に適用することにより、各比較例のジェルを適用する場合に比べて大幅に皮膚の水分量が増加したことが判る。すなわち、角層水分量は、コメ胚芽油のみの場合(比較例1)は177.00で、ダマスクバラ油のみの場合(比較例2)は174.3であるのに対し、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせた場合(実施例1)、角層水分量は284.8であり、顕著な角層水分量の向上が認められる。また、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油をそれぞれ単独で使用した場合(比較例3~6)、角層水分量は166.3~179.0であるのに対し、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油のそれぞれを、コメ胚芽油とダマスクバラ油と組み合わせた場合(実施例2~5)、角層水分量は334.0~386.3である。したがって、コメ胚芽油とダマスクバラ油に、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油又はラベンダー油を組合わせることにより、角層水分量はさらに向上することが分かった。対照品と比較例1~6、実施例1~5の各調製品における油の総量は同じであるにも関わらずこのような結果が示されることから、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせると、角層水分量の増加において相乗効果が認められることが分かった。 【0040】 (評価例2.香りを含む使用感の評価) 【0041】 健常な成人3名(男性1名、女性2名、平均年齢35歳)を被験者とし、前腕内側を洗浄した上で、前腕内側の3cm×3cmに上述したジェル3mLを塗り、1分間安静に過ごさせた後に、各評価項目(保湿感、べたつき感の無さ、のびの良さ、香り)について評価した。評価は、対照例を基準として行った。具体的には、「-3」を「対照例と比べて極めて悪い」、「-2」を「対照例と比べて悪い」、「-1」を「対照例と比べてやや悪い」、「0」を「対照例と変わらない」、「1」を「対照例と比べてやや良い」、「2」を「対照例と比べて良い」、「3」を「対照例と比べて極めて良い」として、-3から3までの7段階で行い、各評価項目について点数化した。 測定結果を表3に示す。なお、下記の結果は、被験者3名の評価点の平均値である。 【0042】 【表3】 [図:0001422434000019.jpg] 【0043】 表3に示されるように、実施例1~5では、比較例1~6及び対照品に比べ、使用感が優れていることが分かる。すなわち、コメ胚芽油のみの場合(比較例1)、保湿感(しっとり感)、べたつき感の無さ(さっぱり感)、のびの良さ、香りの合計点数は0で、ダマスクバラ油のみの場合(比較例2)、合計点数は0.7であるのに対し、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせた場合(実施例1)、合計点数は4.7であり、比較例1及び2に比べて顕著な差が認められる。また、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油をそれぞれ単独で使用した場合(比較例3~6)、保湿感(しっとり感)、べたつき感の無さ(さっぱり感)、のびの良さ、香りの合計点数は1.0~1.7であるのに対し、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油のそれぞれを、コメ胚芽油とダマスクバラ油と組み合わせた場合(実施例2~5)、合計点は8.3~9.3であり、比較例3~6に比べて顕著な差が認められる。対照品と比較例1~6、実施例1~5の各調製品における油の総量は同じであるにも関わらずこのような結果が生じることから、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせると、使用感の良さの向上において相乗効果が生じることが分かる。」 4 検討 摘記(D)の実施例2及び3が、それらの含有成分からみて、本件訂正発明1及び2の具体例に該当するところ、表2及び表3の結果によれば、「コメ胚芽油」又は「ダマスクバラ油」のいずれかのみを液状サンプルとして使用した比較例1及び2だけでなく、「コメ胚芽油」及び「ダマスクバラ油」のみを含む液状サンプルを使用した実施例1に対して、実施例2及び3は、肌の潤い、保湿感、べたつき感の無さ、のびの良さ及び香りのいずれの点でも優れていることが具体的に確認できる。 そして、摘記(A)~(C)によれば、本件明細書における一般的な記載として、各成分を組み合わせるにあたり、保湿向上効果及び使用感向上効果の観点、並びに、効果をより一層高める観点から、配合量の好ましい範囲が記載されており、「コメ胚芽油」、「バラ油、」並びに「イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種」の少なくとも3種の成分を配合することが本件訂正発明1及び2の特徴であって、そのことにより本件訂正発明1及び2の課題を解決できることを当業者は理解でき、各成分が特定の配合量のときのみに、当該課題が解決されるというわけではない。 したがって、本件訂正発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載された発明で、かつ、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。 5 申立人の主張について 申立人は、申立書において、「本件明細書の実施例には、ベースとなるオールインワンジェル、洗顔料、またはボディーソープ100質量部に対して、コメ胚芽油、バラ油、並びに、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種の混合物を0.01質量部配合した例しか記載されておらず、発明の詳細な説明の記載を考慮しても、コメ胚芽油、バラ油、イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種のそれぞれが、いかなる量であっても、本件発明の課題を解決できるとは認識することができない。また、例えば、全体に対してコメ胚芽油90質量%のように大量のコメ胚芽油を含む明らかに使用感が劣る組成であっても本件発明1の範囲内である。」と主張している。 しかしながら、各成分の配合量は、各成分を組み合わせるにあたり、保湿向上効果及び使用感向上効果の観点、並びに、効果をより一層高める観点から、当業者が当然に考慮するものであり、また、上記4で説示したとおりであるから、申立人の主張は採用できない。 6 申立理由4についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正発明1及び2は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであり、同法第36条第6項に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正請求項1及び2に係る特許は、申立人が主張する申立理由4によっては、取り消すことはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び証拠、並びに、申立人の申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 また、ほかに本件訂正請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700461

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ出願・登録の審決1件(出願 特願2017-191536)
  • 2021-017952拒絶査定不服審判 / 2023-09-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)外用剤
    同じ出願番号
同じ当事者の審決105件(平松 由紀子、株式会社東洋新薬)
  • 2021-701146異議申立 / 2023-02-20 / 訂正認容乳化物
    同じ当事者: 平松 由紀子、株式会社東洋新薬
  • 2025-700731異議申立 / 2026-08-28 / 異議終了
    同じ当事者: 株式会社東洋新薬
  • 2025-701014異議申立 / 2026-06-26 / 維持紙コップ用原紙
    同じ当事者: 平松 由紀子
  • 2025-700238異議申立 / 2026-02-17 / 訂正認容爪用組成物
    同じ当事者: 平松 由紀子
  • 2025-700276異議申立 / 2026-01-30 / 維持造粒物及び造粒物の製造方法
    同じ当事者: 株式会社東洋新薬
同じ論点・分野の審決(審決分類)5,156件(112・A61K、113・A61K、121・A61K ほか)
  • 2024-700381異議申立 / 2025-08-29 / 訂正認容皮膚外用組成物
    共通の審決分類: 112・A61K、113・A61K、121・A61K、537・A61K
  • 2023-700964異議申立 / 2024-08-05 / 訂正認容油中水型乳化化粧料
    共通の審決分類: 112・A61K、113・A61K、121・A61K、537・A61K
  • 2022-700338異議申立 / 2023-10-06 / 訂正認容1,3-ブチレングリコール製品
    共通の審決分類: 112・A61K、113・A61K、121・A61K、537・A61K
  • 2022-700820異議申立 / 2023-08-18 / 訂正認容油性化粧料
    共通の審決分類: 112・A61K、113・A61K、121・A61K、537・A61K
  • 2020-700588異議申立 / 2021-03-23 / 訂正認容網膜保護組成物
    共通の審決分類: 112・A61K、113・A61K、121・A61K、537・A61K

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