特許異議申立
2017-700196
半導体装置製造用仮接合層、積層体、及び、半導体装置の製造方法。
- 審判番号
- 2017-700196
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-218586
- 登録番号
- 特許第5982248号(P5982248)
- 請求日
- 2017年02月27日
- 審決日
- 2017年09月11日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】富士フイルム株式会社
- 【権利者代理人】高松 猛
- 【権利者代理人】尾澤 俊之
- 【異議申立人】磯 瑠里子
- 審判長/審判官
- 審判長 深沢 正志
- 審判官 飯田 清司
- 審判官 加藤 浩一
- 分類
- P1651.113-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5982248号発明「半導体装置製造用仮接合層,積層体,及び,半導体装置の製造方法。」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5982248号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。
特許第5982248号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
特許第5982248号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は,平成24年9月28日に特許出願され,平成28年8月5日にその特許権の設定登録がされ,その後,平成29年2月27日に,その特許について,特許異議申立人 磯 瑠里子 により特許異議の申立てがなされ,平成29年4月27日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である同年6月19日に意見書の提出及び訂正の請求があり,同年7月27日に特許異議申立人から意見書の提出があったものである。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成29年6月19日付け訂正請求書(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のアないしウのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層である半導体装置製造用仮接合層。」とあるのを,「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む半導体装置製造用仮接合層。」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置製造用仮接合層。」とあるうち,請求項1を引用するものについて,独立形式に改め,「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む半導体装置製造用仮接合層。」とした後,上記「ポリスチレン樹脂」及び上記「オレフィンモノマー重合体」を削除して,「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がテルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む半導体装置製造用仮接合層。」と訂正する。
ウ 訂正事項3
明細書の段落【0021】に記載された
「本発明者らは,上記課題を解決すべく鋭意検討した結果,支持体と被処理部材との間に炭化水素樹脂層と接着性層を設けることにより,研磨や加熱などの物理的な刺激に対して高い耐久性を持ち,また剥離の際には剥離溶剤を接触させることにより,上記の従来技術において行うような,加熱や,活性光線若しくは放射線の照射を行うこともなく,処理済部材に対する仮支持を容易に解除できることを見出し,本発明を完成するに至った。すなわち,本発明は,以下の通りである。
<1> (A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層である半導体装置製造用仮接合層。
<2> 前記炭化水素樹脂が,ポリスチレン樹脂である,<1>に記載の半導体装置製造用仮接合層。
<3> 前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含むことを特徴とする<1>又は<2>に記載の半導体装置製造用仮接合層。
<4> 支持体と,被処理部材と,前記支持体と前記被処理部材との間に設けられた<1>~<3>のいずれか1項に記載の半導体装置製造用仮接合層とを有する,積層体。
<5> 被処理部材の第1の面と基板とを,<1>~<3>のいずれか1項に記載の半導体,装置製造用仮接合層が介在するように接着させる工程,前記被処理部材の前記第1の面とは異なる第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程,及び,前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程,を有する,前記処理済部材を有する半導体装置の製造方法。
<6> 前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の前に,前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程を更に有する,<5>に記載の半導体装置の製造方法。
<7> 前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の後,かつ,前記被処理部材の前記第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程の前に,前記仮接合層を50℃~300℃の温度で加熱する工程を更に有する,<5>又は<6>に記載の半導体装置の製造方法。
<8> 前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程が,前記仮接合層に剥離溶剤を接触させる工程を含む,<5>~<7>のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
<9> 前記剥離溶剤が,炭化水素系溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,<8>に記載の半導体装置の製造方法。
<10> 前記剥離溶剤が,シクロペンタン,n-ヘキサン,シクロヘキサン,n-ヘプタン,リモネン,-メンタン及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,<9>に記載の半導体装置の製造方法。
本発明は,上記<1>~<10>に記載の半導体装置製造用仮接合層,積層体,及び,半導体装置の製造方法に関するものであるが,その他の事項についても参考のために記載する。」を,
「本発明者らは,上記課題を解決すべく鋭意検討した結果,支持体と被処理部材との間に炭化水素樹脂層と接着性層を設けることにより,研磨や加熱などの物理的な刺激に対して高い耐久性を持ち,また剥離の際には剥離溶剤を接触させることにより,上記の従来技術において行うような,加熱や,活性光線若しくは放射線の照射を行うこともなく,処理済部材に対する仮支持を容易に解除できることを見出し,本発明を完成するに至った。すなわち,本発明は,以下の通りである。
<1> (A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層がバインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む半導体装置製造用仮接合層。
<2> 前記炭化水素樹脂が,ポリスチレン樹脂である,<1>に記載の半導体装置製造用仮接合層。
<3>(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がテルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む半導体装置製造用仮接合層。
<4> 支持体と,被処理部材と,前記支持体と前記被処理部材との間に設けられた<1>~<3>のいずれか1項に記載の半導体装置製造用仮接合層とを有する,積層体。
<5> 被処理部材の第1の面と基板とを,<1>~<3>のいずれか1項に記載の半導体装置製造用仮接合層が介在するように接着させる工程,前記被処理部材の前記第1の面とは異なる第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程,及び,前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程,を有する,前記処理済部材を有する半導体装置の製造方法。
<6> 前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の前に,前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程を更に有する,<5>に記載の半導体装置の製造方法。
<7> 前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の後,かつ,前記被処理部材の前記第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程の前に,前記仮接合層を50℃~300℃の温度で加熱する工程を更に有する,<5>又は<6>に記載の半導体装置の製造方法。
<8> 前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程が,前記仮接合層に剥離溶剤を接触させる工程を含む,<5>~<7>のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
<9> 前記剥離溶剤が,炭化水素系溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,<8>に記載の半導体装置の製造方法。
<10> 前記剥離溶剤が,シクロペンタン,n-ヘキサン,シクロヘキサン,n-ヘプタン,リモネン,p-メンタン及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,<9>に記載の半導体装置の製造方法。
本発明は,上記<1>~<10>に記載の半導体装置製造用仮接合層,積層体,及び,半導体装置の製造方法に関するものであるが,その他の事項についても参考のために記載する。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る発明は,「半導体装置製造用仮接合層」について,剥離層と接着性層とを有することを規定している。
これに対して,訂正後の請求項1に係る発明では,「接着性層が,バインターと,重合性モノマーと,熱重合性開始剤とを含む」との記載により,接着性層がどのような成分を含んでいるかについて明らかにすることで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項1は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に,訂正後の請求項1を引用する請求項2,4~10は,訂正後請求項1に記載された「接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,熱重合性開始剤とを含む」との記載を引用することにより,「接着性層」をより具体的に特定し,更に限定するものであるため,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記のように,訂正事項1については,請求項1に関して「接着性層」がどのような成分を含んでいるかについて明らかにする訂正であり,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は,願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。
「接着性層」に係る説明として,【0050】には「接着性組成物(ひいては接着性層)は,バインダーを有していることが好ましい。」,【0052】には「また,接着性組成物(ひいては接着性層)は,重合性モノマーを含有することが好ましい。」,【0134】には「本発明の接着性組成物(ひいては接着性層)は,熱重合開始剤,すなわち熱によりラジカル又は酸を発生する化合物を含有することも好ましい。」との記載がされているから,当該訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は,訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを,請求項間の引用関係を解消し,請求項1の記載を引用しないものとし,独立形式請求項へ改めるための訂正であって,特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。また,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3に「前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層である」とあるのを,上記訂正事項2においては,「前記剥離層がテルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり」との記載により,「剥離層」について更に減縮することで,特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから,当該訂正事項2は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に,訂正後の請求項3を引用する請求項4~10は,訂正後請求項3に記載された,「前記剥離層がテルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり」との記載を引用することにより,「剥離層」を更に限定するものであるため,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記のように,訂正事項2は,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3における「剥離層」について更に限縮する訂正であるから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記のように,訂正事項2は,訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項3における「剥離層」について更に減縮する訂正であるから,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は,訂正事項1及び2に係る訂正に伴って,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正である。
よって,訂正事項3は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更する訂正ではないこと
上記のように,訂正事項3は,訂正事項1及び2に係る訂正に伴って,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり,訂正後の請求項1~10に対応する記載を発明の要旨として記載する訂正であるため,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(ウ)願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記のように,訂正事項3は,訂正事項1及び2に係る訂正に伴って,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり,訂正後の請求項1~10に対応する記載を発明の要旨として記載する訂正であるため,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
エ 一群の請求項について
訂正事項1ないし3による訂正は一群の請求項に対して請求されたものである
(3)むすび
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号,第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので,訂正後の請求項〔1-10〕について,本件訂正請求による訂正を認める。
3 特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし10に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む半導体装置製造用仮接合層。
【請求項2】
前記炭化水素樹脂が,ポリスチレン樹脂である,請求項1に記載の半導体装置製造用仮接合層。
【請求項3】
(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層がテルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層であり,前記接着性層が,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む半導体装置製造用仮接合層。
【請求項4】
支持体と,被処理部材と,前記支持体と前記被処理部材との間に設けられた請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置製造用仮接合層とを有する,積層体。
【請求項5】
被処理部材の第1の面と基板とを,請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置製造用仮接合層が介在するように接着させる工程,前記被処理部材の前記第1の面とは異なる第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程,及び,前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程,を有する,前記処理済部材を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の前に,前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程を更に有する,請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の後,かつ,前記被処理部材の前記第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程の前に,前記仮接合層を50℃~300℃の温度で加熱する工程を更に有する,請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記仮接合層から前記処理済部材を脱離する工程が,前記仮接合層に剥離溶剤を接触させる工程を含む,請求項5~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記剥離溶剤が,炭化水素系溶剤及びエーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記剥離溶剤が,シクロペンタン,n-ヘキサン,シクロヘキサン,n-ヘプタン,リモネン,p-メンタン及びテトラヒドロフランからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤である,請求項9に記載の半導体装置の製造方法。」
(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし10に係る特許に対して平成29年4月27日付けで特許権者に通知した取消理由は,要旨次のとおりである。
1 本件特許の下記の請求項に係る発明は,本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2 本件特許の下記の請求項に係る発明は,本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
・甲第1号証:国際公開第2012/057893号(日本語訳として特表2013-535838号公報を参照)
・甲第2号証:特開2010-109324号公報
・甲第3号証:特開2004-64040号公報
(1)請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。また,請求項2ないし10に係る発明を,それぞれ「本件発明2」ないし「本件発明10」という。)について
ア 本件発明1は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の請求項1,請求項6,請求項15,請求項20,第8ページ第23行-第13ページ第25行(公表特許公報【0024】-【0037】。以下同じ。)等の記載を参照されたい。
甲第1号証の第12ページ第30行-第13ページ第9行(【0035】)には,「処理が完了すると,基板12及び24は,多くの分離方法(図示せず)によって分離することができる。1つの方法では第1及び第2の接合層20,32の1つ又は両方を溶媒(例えば,リモネン,ドデセン,プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME))中に溶解する。」(下線は当審で付与した。)と記載されている。したがって,甲第1号証の「第1の接合層」は,本件発明1の「剥離層」に相当する。
また,甲第1号証の第11ページ第22-27行(【0031】)には,「第1及び第2の接合層20及び32が形成される材料は,第1及び第2の基板12及び24それぞれと並びに互いに強固な接着剤接合を形成できるものでなければならない。」と記載されている。したがって,甲第1号証の「第2の接合層」は,本件発明1の「接着性層」に相当する。
さらに,甲第1号証の第1ページ第14-17行(【0003】)の「本発明は,広くは,多層接合システムを利用する新規な暫定ウェーハー接合方法に関する。本発明の方法は,ウェーハーの薄層化及び他の背面処理中にデバイスウェーハーをキャリヤー基板上に支持することができる。」との記載から,甲第1号証の前記「第1の接合層」及び前記「第2の接合層」を含む接合層は,本件発明1の「半導体装置製造用仮接合層」に相当する。
そして,甲第1号証の請求項6,請求項20には,前記「第1の接合層」が,「溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択される」ことが記載されており,これは,本件発明1の「剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む」と一部重複する。
したがって,本件発明1は,甲第1号証に記載された発明である。また仮に,甲第1号証に記載された発明と,本件発明1との間に相違点が存在したとしても,甲第1号証に記載された発明において,前記相違点について本件発明1の構成を採用することは,当業者が容易になし得たことであり,その効果も格別のものとは認められない。
イ 本件発明1は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第2号証の請求項1,請求項5,請求項9-10,請求項12-13,【0048】等の記載を参照されたい。甲第2号証の「第2接着剤層」,「第1接着剤層」は,それぞれ,本件発明1の「剥離層」,「接着性層」に相当し,甲第2号証の前記「第2接着剤層」及び前記「第1接着剤層」を含む接着剤層は,本件発明1の「半導体装置製造用仮接合層」に相当する。
そして,甲第2号証の請求項13,【0048】には,前記「第2接着剤層」が,「炭化水素樹脂」である「シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選択される」を含む層であることが記載されており,これは,本件発明1の「剥離層がポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくども一種の炭化水素樹脂を含む」と一部重複する。
したがって,本件発明1は,甲第2号証に記載された発明である。また仮に,甲第2号証に記載された発明と,本件発明1との間に相違点が存在したとしても,甲第2号証に記載された発明において,前記相違点について本件発明1の構成を採用することは,当業者が容易になし得たことであり,その効果も格別のものとは認められない。
ウ 本件発明1は,甲第1号証に記載された発明と,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第13ページ第38行-第15ページ第9行(【0038】-【0043】)等の記載を参照されたい。
甲第1号証の「リフトオフ層44」,「接合層20」は,それぞれ,本件発明1の「剥離層」,「接着性層」に相当する。
そして,甲第1号証の第14ページ第14行-同ページ第25行(【0040】-【0041】)には,「リフトオフ層44を形成するために用いられる組成物は,1%の塩化水素酸水溶液,50%の酢酸水溶液,イソプロパノール,1-ドデセン,R-リモネン,シクロペンタノン,PGME,及びテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)から成る群から選択される溶液中で層44が可溶性であるように選択されるべきである。より詳細には,リフトオフ層44は,特定の除去溶液に接触してから約4~5時間の後に,約95%以上,好ましくは約99%以上,好ましくは100%溶解/除去される。
リフトオフ層44を形成するために好ましい組成物は上述の特性を持つ市販の組成物から選択することができる。」ことが記載されている。
一方,甲第1号証,甲第2号証等の記載から,ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂が,溶液中で可溶性という特性を備えた組成物として周知であると認められる。
そうすると,甲第1号証の第13ページ第38行-第15ページ第9行(【0038】-【0043】)に記載された発明において,「リフトオフ層44を形成するために用いられる組成物」として,溶液中で可溶性という特性を備えた組成物として知られている,ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含むものとすることは当業者が適宜なしたことであり,このような構成を採用したことによる効果も格別のものとは認められない。
(2)本件発明2について
本件発明2は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の請求項6,請求項20には,前記「第1の接合層」に含まれる炭化水素樹脂として,ポリスチレン樹脂が示されている。
(3)本件発明3について
本件発明3は,甲第1号証に記載された発明と,甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第10ページ第1行-第15行(【0027】)に「キャリヤー面26上に第2の接合層32を形成するように,第2の組成物が第2の基板24に適用される。・・・組成物が適用された後,好ましくは,温度約80℃~約250℃,より好ましくは約170℃~約220℃へ,時間約60秒~約8分(好ましくは約90秒~約6分)間加熱される。第2の接合層32を形成するために使用される組成物に依存して,焼成によって架橋反応が開始され層32を硬化することができる。幾つかの実施形態では,使用される組成物に応じて,層に多段焼成プロセスを施すことが好ましい」ことが,第11ページ第22-27行(【0031】)に「第1及び第2の接合層20及び32が形成される材料は,第1及び第2の基板12及び24それぞれと並びに互いに強固な接着剤接合を形成できるものでなければならない。」ことが,さらに,第12ページ第11-20行(【0033】)に「次に構造体10及び22は,第1の接合層20の上部表面21が第2の接合層32の上部表面33に接触するように向かい合わせにされ一緒にプレスされる(図1(b))。プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,これら2つの構造体10及び22の接合が有効になり接合されたスタック34が形成される。接合パラメータは,接合層20及び32が形成される組成物に依存して変動するが,このステップの典型的な温度範囲は,約150℃~約375℃の範囲,好ましくは約160℃~約350℃の範囲であり,典型的な圧力範囲は,約1,000N~約5,000N,好ましくは約2,000N~約4,000Nであり,時間は約30秒~約5分,より好ましくは約2分~約4分である。」ことが記載されている。
そうすると,上記記載から,甲第1号証の「第2の接合層」は,焼成によって架橋反応が開始され層を硬化するものであって,強固な接着剤接合を形成できるものであり,プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,接合が有効になる材料であると理解される。
一方,甲第3号証の【0024】に「接合層は被研削基材を光熱変換層を介して支持体に固定するために用いられる。光熱変換層における分解による基材と支持体との分離の後には,接合層が付着した基材が得られる。このため,接合層はピールにより基材から容易に剥離されうるものであることが必要である。したがって,接合層は基材を支持体に固定するためには十分な接着力を有するが,ピールにより剥離されうるために十分に低い接着力を有するものである。本発明において,接合層として使用可能な接着剤としては,ゴム,エラストマーなどを溶剤に溶解したゴム系接着剤,エポキシ,ウレタンなどをベースとする一液熱硬化型接着剤,エポキシ,ウレタン,アクリルなどをベースとする二液混合反応型接着剤,ホットメルト型接着剤,アクリル,エポキシなどをベースとする紫外線(UV)もしくは電子線硬化型接着剤,水分散型接着剤が挙げられる。(1)ウレタンアクリレート,エポキシアクリレート又はポリエステルアクリレートなどの重合性ビニル基を有するオリゴマー及び/又は(2)アクリルもしくはメタクリルモノマーに光重合開始剤,及び,場合により,添加剤を添加したUV硬化型接着剤は好適に使用される。添加剤としては,増粘剤,可塑剤,分散剤,上記透明フィラー以外のフィラー,難燃剤及び熱老化防止剤などが挙げられる。」と記載されているように,本件特許の出願時において,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む接着性層は周知であったといえる。
そうすると,焼成によって架橋反応が開始され層を硬化するものであって,強固な接着剤接合を形成できるものであり,プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,接合が有効になる材料であると理解される甲第1号証の「第2の接合層」を,バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含むものとすることは当業者が容易になし得たことである。また,このような構成を採用したことによる効果も格別のものとは認められない。
(4)本件発明4について
ア 本件発明4は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の「キャリヤー面を有する第2の基板」,「背面及びデバイス面を有する第1の基板」は,それぞれ,本件発明4の「支持体」,「被処理部材」に相当する。
イ 本件発明4は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第2号証の「支持板」,「基板」は,それぞれ,本件発明4の「支持体」,「被処理部材」に相当する。
(5)本件発明5について
ア 本件発明5は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の請求項11等の記載を参照されたい。
イ 本件発明5は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第2号証の【0002】-【0004】の記載を参照されたい。甲第2号証に記載された発明は,前記【0002】-【0004】に記載されたウエハの「研削」を前提とした発明と理解されるところ,当該「研削」は,本件発明5の「機械的又は化学的な処理」に相当する。
(6)本件発明6について
ア 本件発明6は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第10ページ第1行-第15行(【0027】)に記載された,「キャリヤー面26上に第2の接合層32を形成するように,第2の組成物が第2の基板24に適用される。・・・組成物が適用された後,好ましくは,温度約80℃~約250℃,より好ましくは約170℃~約220℃へ,時間約60秒~約8分(好ましくは約90秒~約6分)間加熱される。」工程は,第2の接合層を加熱する工程であるから,熱を照射する工程といえる。したがって,当該工程は,本件発明6の,「前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程」に相当する。
そして,前記工程は,甲第1号証の第12ページ第11-20行(【0033】)に記載された,「次に構造体10及び22は,第1の接合層20の上部表面21が第2の接合層32の上部表面33に接触するように向かい合わせにされ一緒にプレスされる(図1(b))。プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,これら2つの構造体10及び22の接合が有効になり接合されたスタック34が形成される。」工程よりも前に行われる工程であるから,甲第1号証に記載された発明は,「被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の前に,前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程を更に有する」ものと認められる。
イ 本件発明6は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲第2号証の【0076】の「接着剤組成物1を・・・80℃で5分間乾燥させて」という工程は,本件発明6の「前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の前に,前記仮接合層の接着性層に対して,活性光線若しくは放射線又は熱を照射する工程」に相当する。また,仮に相違するとしても,前記「80℃」での「乾燥」を,ランプ加熱等の,放射熱を用いた加熱で行うことは当業者が適宜なし得たことである。
(7)本件発明7について
ア 本件発明7は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第12ページ第11-20行(【0033】)に記載された「次に構造体10及び22は,第1の接合層20の上部表面21が第2の接合層32の上部表面33に接触するように向かい合わせにされ一緒にプレスされる(図1(b))。プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,これら2つの構造体10及び22の接合が有効になり接合されたスタック34が形成される。接合パラメータは,接合層20及び32が形成される組成物に依存して変動するが,このステップの典型的な温度範囲は,約150℃~約375℃の範囲,好ましくは約160℃~約350℃の範囲であり,典型的な圧力範囲は,約1,000N~約5,000N,好ましくは約2,000N~約4,000Nであり,時間は約30秒~約5分,より好ましくは約2分~約4分である。」工程は,本件発明7の「前記被処理部材の第1の面と前記基板とを前記仮接合層を介して接着させる工程の後,かつ,前記被処理部材の前記第2の面に対して,機械的又は化学的な処理を施し,処理済部材を得る工程の前に,前記仮接合層を50℃~300℃の温度で加熱する工程」に相当する。
(8)本件発明8について
ア 本件発明8は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第12ページ第30行-第13ページ第9行(【0035】)の,「処理が完了すると,基板12及び24は,多くの分離方法(図示せず)によって分離することができる。1つの方法では第1及び第2の接合層20,32の1つ又は両方を溶媒(例えば,リモネン,ドデセン,プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME))中に溶解する。」(下線は当審で付与した。)との記載を参照されたい。
イ 本件発明8は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第2号証の請求項1の記載を参照されたい。
(9)本件発明9-10について
ア 本件発明9-10は,甲第1号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第1号証,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第12ページ第30行-第13ページ第9行(【0035】),甲第2号証の【0061】の記載を参照されたい。
イ 本件発明9-10は,甲第2号証に記載された発明であるか,仮にそうでないとしても,甲第2号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
すなわち,甲第1号証の第12ページ第30行-第13ページ第9行(【0035】),甲第2号証の【0061】の記載を参照されたい。
(3)甲号証,甲発明等
ア 甲第1号証について
取消理由に引用された甲第1号証には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付与した。以下同じ。)
・「15. An article comprising:
a first substrate having a back surface and a device surface:
a first bonding layer adjacent said device surface and having a softening temperature;
a second bonding layer adjacent said first bonding layer and having a softening temperature, wherein the softening temperature of said first bonding layer is at least about 20 °C greater than the softening temperature of said second bonding layer; and
a second substrate having a carrier surface, said second bonding layer being adjacent said carrier surface.
16. The article of claim 15, wherein said first bonding layer has a thickness T1 of at least about 24 μm.
17. The article of claim 15, wherein said second bonding layer has a thickness T 3 of less than about 35 μm.
18. The article of claim 15, wherein said first bonding layer has a softening point of at least about 100°C.
19. The article of claim 15, wherein said second bonding layer has a softening point of less than about 220 °C.
20. The article of claim 15, wherein said first bonding layer is formed from a composition comprising a polymer or oligomer dissolved or dispersed in a solvent system, said polymer or oligomer being selected from the group consisting of polymers and oligomers of cyclic olefins, epoxies, acrylics, silicones, styrenics, vinyl halides, vinyl esters, polyamides, polyimides, polysulfones, polyethersulfones, cyclic olefins, polyolefin rubbers, and polyurethanes, ethylene-propylene rubbers, polyamide esters, polyimide esters, poiyacetals, and polyvinyl buterol.
21. The article of claim 15, wherein said second bonding layer is formed from a composition comprising a polymer or oligomer dissolved or dispersed in a solvent system, said polymer or oligomer being selected from the group consisting of polymers and oligomers of cyclic olefins, epoxies, acrylics, silicones, styrenics, vinyl halides, vinyl esters, polyamides, polyimides, polysulfones, polyethersulfones, cyclic olefins, polyolefin rubbers, and polyurethanes, ethylene-propylene rubbers, polyamide esters, polyimide esters, poiyacetals, and polyvinyl buterol.
22. The article of claim 15, wherein said device surface comprises an array of devices selected from the group consisting of integrated circuits; MEMS; microsensors; power semiconductors; light-emitting diodes; photonic circuits; interposers; embedded passive devices; and microdevices fabricated on or from silicon, silicon-germanium, gallium arsenide, and gallium nitride.
23. The article of claim 15, wherein said second substrate comprises a material selected from the group consisting of silicon, sapphire, quartz, metal, glass, and ceramics.
24. The article of claim 15, said device surface comprising at least one structure selected from the group consisting of: solder bumps; metal posts; metal pillars; and structures formed from a material selected from the group consisting of silicon, polysilicon, silicon dioxide, silicon (oxy)nitride, metal, low k dielectrics, polymer dielectrics, metal nitrides, and metal silicides. 」(第35ページ第16行-第37ページ第5行)(対応する公表特許公報である特表2013-535838号公報に基づく日本語訳。以下同じ。「【請求項15】
物品であって:
背面及びデバイス面を有する第1の基板;
前記デバイス面に隣接し,軟化温度を有する第1の接合層;
前記第1の接合層に隣接し軟化温度を有する第2の接合層であって,前記第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い,第2の接合層;及び,
キャリヤー面を有する第2の基板であって,前記第2の接合層は前記キャリヤー面に隣接する,第2の基板;
を含む物品。
【請求項16】
前記第1の接合層の厚みT1は少なくとも約24μm以上である請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記第2の接合層の厚みT3は約35μm未満である請求項15に記載の物品。
【請求項18】
前記第1の接合層の軟化点は約100℃以上である請求項15に記載の物品。
【請求項19】
前記第2の接合層の軟化点は約220℃未満である請求項15に記載の物品。
【請求項20】
前記第1の接合層は,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択される請求項15に記載の物品。
【請求項21】
前記第2の接合層は,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択される請求項15に記載の物品。
【請求項22】
前記デバイス面は,集積回路;MEMS;マイクロセンサ;電力半導体;発光ダイオード;光子回路;インターポーザ;埋め込み受動デバイス;及びシリコン,シリコンゲルマニウム,ガリウムヒ素,及びガリウム窒素上に製造される又はそれらから製造されるマイクロデバイス:から成る群から選択されるデバイスアレイを含む請求項15に記載の物品。
【請求項23】
前記第2の基板は,シリコン,サファイヤ,水晶,金属,ガラス,及びセラミックスから成る群から選択される材料を含む請求項15に記載の物品。
【請求項24】
前記デバイス面は,半田バンプ;金属ポスト;金属ピラー;及びシリコン,ポリシリコン,二酸化ケイ素,(オキシ)窒化ケイ素,金属,低k誘電体,ポリマー誘電体,窒化金属,及び金属シリサイドから成る群から選択される材料から形成される構造体:から成る群から選択される少なくとも1つの構造体を含む請求項15に記載の物品。」)
・「The present invention is broadly concerned with novel temporary wafer bonding methods utilizing multiple layer bonding systems, The inventive methods can support a device wafer on a carrier substrate during wafer thinning and other backside processing. 」(第1ページ第15-17行)(「本発明は,広くは,多層接合システムを利用する新規な暫定ウェーハー接合方法に関する。本発明の方法は,ウェーハーの薄層化及び他の背面処理中にデバイスウェーハーをキャリヤー基板上に支持することができる。」)
・「1. Bilayer Bonding Scheme 1
Referring to Fig. 1(a), a precursor structure 10 is depicted in a schematic and cross- sectional view. Structure 10 includes a first substrate 12. Substrate 12 has a front or device surface 14, a back surface 16, and an outermost edge 18. Although substrate 12 can be of any shape, it would typically be circular in shape. Preferred first substrates 12 include device wafers such as those whose device surfaces comprise arrays of devices (not shown) selected from the group consisting of integrated circuits, MEMS, microsensors, power semiconductors, light- emitting diodes, photonic circuits, interposers, embedded passive devices, and other microdevices fabricated on or from silicon and other semiconducting materials such as silicon- germanium, gallium arsenide, and gallium nitride. The surfaces of these devices commonly comprise structures (again, not shown) formed from one or more of the following materials: silicon, polysilicon, silicon dioxide, silicon (oxy)nitride, metals (e.g., copper, aluminum, gold, tungsten, tantalum), low k dielectrics, polymer dielectrics, and various metal nitrides and silicides. The device surface 14 can also include at least one structure selected from the group consisting of: solder bumps; metal posts; metal pillars; and structures formed from a material selected from the group consisting of silicon, polysilicon, silicon dioxide, silicon (oxy)nitride, metal, low k dielectrics, polymer dielectrics, metal nitrides, and metal silicides.
A composition is applied to the first substrate 12 to form a first bonding layer 20 on the device surface 14, as shown in Fig. 1 (a). Bonding layer 20 has an upper surface 21 remote from first substrate 12, and preferably, the first bonding layer 20 is formed directly adjacent the device surface 14 (i.e., without any intermediate layers between the first bonding layer 20 and substrate 12). The composition can be applied by any known application method, with one preferred method being spin-coating the composition at speeds of from about 500 rpm to about 5,000 rpm (preferably from about 500 rpm to about 2,000 rpm) for a time period of from about 5 seconds to about 120 seconds (preferably from about 30 seconds to about 90 seconds). After the composition is applied, it is preferably heated to a temperature of from about 80°C to about 250°C, and more preferably from about 170°C to about 220°C and for time periods of from about 60 seconds to about 8 minutes (preferably from about 90 seconds to about 6 minutes). Depending upon the composition used to form the first bonding layer 20, baking can also initiate a crosslinking reaction to cure the layer 20. In some embodiments, it is preferable to subject the layer to a multi-stage bake process, depending upon the composition utilized. Also, in some instances, the above application and bake process can be repeated on a further aliquot of the composition, so that the first bonding layer 20 is "built" on the first substrate 12 in multiple steps.
A second precursor structure 22 is also depicted in a schematic and cross- sectional view in Fig. 1 (a). Second precursor structure 22 includes a second substrate 24. In this embodiment, second substrate 24 is a carrier wafer. That is, second substrate 24 has a front or carrier surface 26, a back surface 28, and an outermost edge 30. Although second substrate 24 can be of any shape, it would typically be circular in shape and sized similarly to first substrate 12. Preferred second substrates 24 include silicon, sapphire, quartz, metals (e.g., aluminum, copper, steel), and various glasses and ceramics.
A second composition is applied to the second substrate 24 to form a second bonding layer 32 on the carrier surface 26, as shown in Fig. 1(a). Second bonding layer 32 has an upper surface 33 remote from second substrate 24, and a lower surface 35 adjacent second substrate 24. Preferably, the second bonding layer 32 is formed directly adjacent the carrier surface 26 (i.e., without any intermediate layers between the second bonding layer 32 and second substrate 24). The composition can be applied by any known application method, with one preferred method being spin-coating the composition at speeds of from about 500 rpm to about 5,000 rpm (preferably from about 500 rpm to about 2,000 rpm) for a time period of from about 5 seconds to about 120 seconds (preferably from about 30 seconds to about 90 seconds). After the composition is applied, it is preferably heated to a temperature of from about 80 °C to about 250 °C, and more preferably from about 170°C to about 220 °C and for time periods of from about 60 seconds to about 8 minutes (preferably from about 90 seconds to about 6 minutes). Depending upon the composition used to form the second bonding layer 32, baking can also initiate a crosslinking reaction to cure the layer 32. In some embodiments, it is preferable to subject the layer to a multi-stage bake process, depending upon the composition utilized.
The thickness of first and second bonding layers 20 and 32 (as weii as other layers as described herein) can best be illustrated by reference to Fig. 2, where like numbering has been used to represent like parts. Device surface 14 has been drawn in Fig. 2 to schematically depict the variation in topography on device surface 14 due to the presence of the above-described devices as well as of raised features, contact holes, via holes, lines, trenches, etc., that are present on or in device surface 14. Among the various features found on device surface 14 are highest feature 36 and lowest feature 38. (As used herein, "highest" refers to the feature extending the farthest from back surface 16 of first substrate 12, while "lowest" refers to the feature whose lowest point is closest to back surface 16 of first substrate 12.) Highest feature 36 has an uppermost surface 36a, while lowest feature 38 has a lowermost surface or point 38a. When referring to the thickness of a layer that has been applied to a topographical (i.e., non-planar) surface, two thicknesses may be references. T1 refers to the distance from a lower plane 40 defined by lowermost surface or point 38a and extending to upper surface 21 , as exemplified in Fig. 2. T 2 refers to the layer's thickness as measured above the uppermost surface 36a. Specifically, and as shown in Fig. 2, this thickness T 2 begins at upper plane 42 and extends to the upper surface 21. When referring to the thickness of a layer that has been applied to a planar (or substantially planar) surface, that thickness is represented by T 3 in Fig. 2, and is the distance between lower surface 35 and upper surface 33 of layer 32. Finally, in some instances, thickness T 4 is used, and it refers to the distance from lower plane 40 to upper plane 42. All thicknesses refer to average thicknesses taken over five measurements.
In the embodiment of this invention, first bonding layer 20 preferably has a thickness T1 that is at least equal to T 4 , preferably from about 1.1 T 4 to about 1.5T 4 , and more preferably from about 1.2T 4 to about 1.3T 4 . This will typically result in a thickness T1 of at least about 24 μm, more preferably from about 45 μm to about 200 μm, and even more preferably from about 50 μm to about 150 μm. Furthermore, first bonding layer 20 preferably has a thickness T 2 of at least about 5 μm, more preferably from about 5 μm to about 50 μm, and even more preferably from about 10 μm to about 30 μm. Second bonding layer 32 has a thickness T 3 of less than about 35 μm, preferably from about 1 μm to about 35 μm, more preferably from about 1 μm to about 25 μm, and even more preferably from about 1 μm to about 15 μm.
First bonding layer 20 preferably has a softening point (ring and ball) that is at least about 20 °C higher than the softening point of second bonding layer 32, more preferably from about 20 U C to about 200°C higher, and even more preferably from about 20°C to about 100°C higher. This will typically result in first bonding layer 20 having a softening point that is at least about 100°C, preferably from about 150°C to about 400°C, and more preferably from about 200°C to about 300°C. Furthermore, typical softening points of second bonding layer 32 will be less than about 220 °C, preferably from about 50 °C to about 220 °C, and more preferably from about 100°C to about 150°C.
The materials from which first and second bonding layers 20 and 32 are formed should be capable of forming a strong adhesive bond with the first and second substrates 12 and 24, respectively, as well as with one another. Anything with an adhesion strength of greater than about 50 psig, preferably from about 80 psig to about 250 psig, and more preferably from about 100 psig to about 150 psig as determined by ASTM D4541/D7234, would be desirable for use as first and second bonding layers 20 and 32.
Advantageously, the compositions for use in forming first and second bonding layers 20 and 32 can be selected from commercially available bonding compositions that would be capable of being formed into layers possessing the above properties. Typical such compositions are organic and will comprise a polymer or oligomer dissolved or dispersed in a solvent system. The polymer or oligomer is typically selected from the group consisting of polymers and oligomers of cyclic olefins, epoxies, acrylics, silicones, styrenics, vinyl halides, vinyl esters, polyamides, polyimides, polysulfones, polyethersulfones, cyclic olefins, polyolefm rubbers, and polyurethanes, ethylene-propylene rubbers, polyamide esters, polyimide esters, polyacetals, and polyvinyl butyral. Typical solvent systems will depend upon the polymer or oligomer selection. Typical solids contents of the compositions will range from about 1 % to about 60% by weight, and preferably from about 3% to about 40% by weight, based upon the total weight of the composition taken as 100% by weight. Some suitable compositions are described in U.S. Patent Publication Nos. 2007/0185310, 2008/0173970, 2009/0038750, and 2010/01 12305, each incorporated by reference herein.
Structures 10 and 22 are then pressed together in a face-to-face relationship, so that upper surface 21 of first bonding layer 20 is in contact with upper surface 33 of second bonding layer 32 (Fig. 1 (b)). While pressing, sufficient pressure and heat are applied for a sufficient amount of time so as to effect bonding of the two structures 10 and 22 together to form bonded stack 34. The bonding parameters will vary depending upon the compositions from which bonding layers 20 and 32 are formed, but typical temperatures during this step will range from about 150°C to about 375 °C, and preferably from about 160°C to about 350°C, with typical pressures ranging from about 1,000 N to about 5,000 N, and preferably from about 2,000 N to about 4,000 N, for a time period of from about 30 seconds to about 5 minutes, and more preferably from about 2 minutes to about 4 minutes.
At this stage, the first substrate 12 can be safely handled and subjected to further processes that might otherwise have damaged first substrate 12 without being bonded to second substrate 24. Thus, the structure can safely be subjected to backside processing such as back- grinding, CMP, etching, metal and dielectric deposition, patterning (e.g., photolithography, via etching), passivation, annealing, and combinations thereof, without separation of substrates 12 and 24 occurring, and without infiltration of any chemistries encountered during these subsequent processing steps. Not only can first bonding layer 20 and second bonding layer 32 survive these processes, they can also survive processing temperatures up to about 450 °C, preferably from about 200°C to about 400°C, and more preferably from about 200°C to about 350°C.
Once processing is complete, the substrates 12 and 24 can be separated by any number of separation methods (not shown). One method involves dissolving one or both of the first and second bonding layers 20, 32 in a solvent (e.g., limonene, dodecene, propylene glycol monomethyl ether (PGME)). Alternatively, substrates 12 and 24 can also be separated by first mechanically disrupting or destroying the periphery of one or both of first and second bonding layers 20, 32 using laser ablation, plasma etching, water jetting, or other high energy techniques that effectively etch or decompose first and second bonding layers 20, 32. It is also suitable to first saw or cut through the first and second bonding layers 20, 32 or cleave the layers 20, 32 by some equivalent means. Regardless of which of the above means is utilized, a low mechanical force (e.g., finger pressure, gentle wedging) can then be applied to completely separate the substrates 12 and 24.
The most preferred separation method involves heating the bonded stack 34 to temperatures of at least about 100°C, preferably from about 150°C to about 220°C, and more preferably from about 180°C to about 200°C. It will be appreciated that at these temperatures, second bonding layer 32 will soften, allowing the substrates 12 and 24 to be separated (e.g., by a slide debonding method, such as that described in U.S. Patent Publication No. 2008/020001 1 , incorporated by reference herein). After separation, any remaining first or second bonding layer 20 and 32 can be removed with a solvent capable of dissolving the particular layer 20 or 32. In some embodiments, the composition for forming first bonding layer 20 will be selected so that it is suitable leave some or all of it on the first substrate 12 permanently. In these instances, first bonding layer 20 will serve some function (e.g., gap fill) in subsequent wafer processing steps, an advantage missing from prior art processes.
It will be appreciated that this bilayer embodiment provides a number of advantages. The bonding temperatures and overall thermal stability of the structure can be controlled due to the inventive methods. That is, the inventive method allows the use of higher processing temperatures while simultaneously making bonding and debonding possible at lower temperatures. 」(第8ページ第23行-第13ページ第25行)(「1.二層接合方式I
図1(a)を参照すると,前躯体構造体10が概略断面図として示されている。構造体10は第1の基板12を含む。基板12は前面又はデバイス面14,背面16,及び最外側エッジ18を有する。基板12は任意の形状でよいが,通常は円形形状である。好ましい第1の基板12はデバイスウェーハーを含み,そのデバイス面は集積回路,MEMS,マイクロセンサー,動力半導体,発光ダイオード,フォトニック回路,インタポーザー,埋込受動素子,及び,シリコン,又はシリコンゲルマニウム,ガリウムヒ素,およびガリウム窒素のような半導体材料上に製造される又はそれらから製造される他のマイクロデバイス,から成る群から選択されたデバイスアレイ(図示されていない)を含む。これらのデバイスの表面は一般に以下の材料の1つ以上から形成された構造体(これも図示されていない)を含む:シリコン,ポリシリコン,二酸化ケイ素,(オキシ)窒化ケイ素,金属(例えば,銅,アルミニウム,金,タングステン,タンタル),低k誘電体,高分子誘電体,および各種窒化金属および金属シリサイド。またデバイス面14は,半田バンプ;金属ポスト;金属ピラー;及びシリコン,ポリシリコン,二酸化ケイ素,(オキシ)窒化ケイ素,金属,低k誘電体,ポリマー誘電体,窒化金属,及び金属シリサイドから成る群から選択される材料から形成される構造体:から成る群から選択される少なくとも1つの構造体を含むことができる。
図1(a)に示すようにデバイス面14上に第1の接合層20を形成するように,第1の基板12に組成物が適用される。接合層20は第1の基板12から離れた上部表面21を有し,好ましくは,第1の接合層20はデバイス面14に直接隣接して形成される(即ち,第1の接合層20と基板12との間に中間層が存在しない)。組成物は任意の既知の方法によって適用することができる。1つの好ましい方法は,速度約500rpm~約5,000rpm(好ましくは約500rpm~約2,000rpm)で,時間約5秒~約120秒(好ましくは約30秒~約90秒)間,組成物をスピンコートすることである。組成物を適用した後,温度約80℃~約250℃,より好ましくは約170℃~約220℃で時間約60秒~約8分(好ましくは約90秒~約6分)間加熱することが好ましい。第1の接合層20を形成するために用いられる組成物に依存して,焼成によって架橋反応が開始され層20を硬化することができる。幾つかの実施形態では,用いられる組成物に応じて,層に多段焼成プロセスを施すことが好ましい。また幾つかの例では,組成物の更なるアリコットを用いて上述の適用及び焼成プロセスが繰り返され,多数のステップによって,第1の接合層20が第1の基板12上に「構築される」。
第2の前駆体構造体22も図1(a)の概略断面図に示されている。第2の前駆体構造体22は第2の基板24を含む。この実施形態では,第2の基板24はキャリヤーウェーハーである。即ち,第2の基板24は前面又はキャリヤー面26,背面28,及び最外側エッジ30を有する。第2の基板24は任意の形状でよいが,通常は円形形状であり,第1の基板12と同じサイズである。好ましい第2の基板24はシリコン,サファイヤ,水晶,金属(例えば,アルミニウム,銅,鋼),並びに種々のガラス及びセラミックスを含む。
図1(a)に示すように,キャリヤー面26上に第2の接合層32を形成するように,第2の組成物が第2の基板24に適用される。第2の接合層32は,第2の基板24から離れた上部表面33,及び第2の基板24に隣接する下部表面35を有する。好ましくは,第2の接合層32はキャリヤー面26に直接隣接して形成される(即ち,第2の接合層32と第2の基板24との間に中間層が存在しない)。組成物は任意の既知の適用方法によって適用してよく,1つの好ましい方法は,組成物を,速度約500rpm~約5,000rpm(好ましくは約500rpm~約2,000rpm)で,時間約5秒~約120秒(好ましくは約30秒~約90秒)間スピンコートすることである。組成物が適用された後,好ましくは,温度約80℃~約250℃,より好ましくは約170℃~約220℃へ,時間約60秒~約8分(好ましくは約90秒~約6分)間加熱される。第2の接合層32を形成するために使用される組成物に依存して,焼成によって架橋反応が開始され層32を硬化することができる。幾つかの実施形態では,使用される組成物に応じて,層に多段焼成プロセスを施すことが好ましい
第1及び第2の接合層20及び32(並びに本明細書中に説明する他の層)の厚みは,図2を参照することによって最良に説明される。類似の番号が類似の部分を示すように用いられている。デバイス面14上に存在する上述のデバイスや,隆起した特徴,コンタクト孔,ビア孔,ライン,トレンチ等によるデバイス面14上のトポグラフィの変動を概略的に示すように,デバイス面14が図2に示されている。デバイス面14上に見られる様々な特徴の中に,最も高い特徴36及び最も低い特徴38がある(本明細書中に用いられる場合,「最も高い」は,特徴が第1の基板12の背面16から最も遠くまで延在している特徴を指し,一方「最も低い」は,その最下点が第1の基板12の背面に最も近い特徴を指す)。最も高い特徴36は最上表面36aを有し,一方最も低い特徴38は最下表面又は最下点38aを有する。トポグラフィが存在する(即ち,平面ではない) 表面に適用される層の厚みを指すときは,2つの厚みを参照としてもよい。T1は,図2に例示されるように最下表面又は最下点38aによって定義される下側平面40から上部表面21に延びる距離を示す。T2は最上表面36aの上で測定した層の厚みを示す。具体的には,図2に示すように,この厚みT2は上側表面42から始まり上部表面21まで延びる。平面の(又は実質的に平面の)表面に適用された層の厚みを指すときは,その厚みは図2のT3で表され,層32の下部表面35と上部表面33との間の距離である。最後に,幾つかの例では厚みT4が用いられ,これは下側平面40から上側表面42までの距離を示す。全ての厚みは5つの測定値の平均の厚みを示す。
本発明の実施形態において,第1の接合層20は,好ましくは厚みT1を有し,厚みT1は,少なくともT4に等しく,好ましくは約1.1T4~約1.5T4,より好ましくは約1.2T4~約1.3T4である。この結果,典型的には,厚みT1が,少なくとも約24μm,より好ましくは約45μm~約200μm,更により好ましくは約50μm~約150μmとなる。更に,第1の接合層20は好ましくは厚みT2を有し,厚みT2は約5μm以上,より好ましくは約5μm~約50μm,更により好ましくは約10μm~約30μmである。第2の接合層32は厚みT3を有し,厚みT3は約35μm未満,好ましくは約1μm~約35μm,より好ましくは約1μm~約25μm,更により好ましくは約1μm~約15μmである。
第1の接合層20は好ましくは軟化点(環球式軟化点)を有し,その軟化点は第2の接合層32の軟化点より,約20℃以上高く,より好ましくは約20℃~約200℃高く,更により好ましくは約20℃~約100℃高い。この結果,典型的には,第1の接合層20の軟化点は約100℃以上,好ましくは約150℃~約400℃,より好ましくは約200℃~約300℃となる。更に,第2の接合層32の典型的な軟化点は,約220℃未満,好ましくは約50℃~約220℃,より好ましくは約100℃~約150℃となる。
第1及び第2の接合層20及び32が形成される材料は,第1及び第2の基板12及び24それぞれと並びに互いに強固な接着剤接合を形成できるものでなければならない。ASTMD4541/D7234の測定で,接着強さが約50psigより上,好ましくは約80psig~約250psig,より好ましくは約100psig~約150psigであるものが第1及び第2の接合層20及び32として使用するのに望ましい。
有利なことに,第1及び第2の接合層20及び32を形成するために用いる組成物は,上述の特性を有する層内に形成可能とされる市販の接合組成物から選択することができる。典型的には,そのような組成物は有機であり,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む。ポリマー又はオリゴマーは,典型的には,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロールの,ポリマー又はオリゴマーから成る群から選択される。典型的な溶媒系はポリマー又はオリゴマーの選択に依存する。組成物の総重量を100重量%としたときに,組成物の典型的な固形分は,約1重量%~約60重量%,好ましくは約3重量%~約40重量%の範囲となる。幾つかの適切な組成物が,各々参照として本明細書中に含まれる,米国特許公開番号第2007/0185310号,第2008/0173970号,第2009/0038750号,及び2010/0112305号に記載されている。
次に構造体10及び22は,第1の接合層20の上部表面21が第2の接合層32の上部表面33に接触するように向かい合わせにされ一緒にプレスされる(図1(b))。プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,これら2つの構造体10及び22の接合が有効になり接合されたスタック34が形成される。接合パラメータは,接合層20及び32が形成される組成物に依存して変動するが,このステップの典型的な温度範囲は,約150℃~約375℃の範囲,好ましくは約160℃~約350℃の範囲であり,典型的な圧力範囲は,約1,000N~約5,000N,好ましくは約2,000N~約4,000Nであり,時間は約30秒~約5分,より好ましくは約2分~約4分である。
この段階で,第1の基板12は安全にハンドリングすることができ,第2の基板24に接合されていなければ第1の基板に損傷を与え損ねなかった更なる処理を施すことができる。このように,基板12及び24の分離を起こすことなく構造体に,背面研削,CMP,エッチング,金属及び誘電体堆積,パターニング(例えば,フォトリソグラフィ,ビアエッチング),不動態化,アニーリング,及びそれらの組合せ等の背面処理を安全に施すことができ,またこれらの後処理ステップ中に遭遇する任意の化学薬品が浸入することもない。第1の接合層20及び第2の接合層32は,これらのプロセスに耐えられるだけでなく,最大約450℃,好ましくは約200℃~約400℃,より好ましくは約200℃~約350℃の処理温度にも耐えうる。
処理が完了すると,基板12及び24は,多くの分離方法(図示せず)によって分離することができる。1つの方法では第1及び第2の接合層20,32の1つ又は両方を溶媒(例えば,リモネン,ドデセン,プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME))中に溶解する。或いは,最初にレーザ切断,プラズマエッチング,ウォータージェッティング,又は,第1及び第2の接合層20,32を効果的にエッチング又は分解するその他の高エネルギー技術を用いて第1及び第2の接合層20,32の1つ又は両方の周囲を機械的に分解又は破壊することによって基板12及び24を分離することができる。また,最初に第1及び第2の接合層20,32を貫通して鋸引き又は切断するかもしくは層20,32を何らかの同等手段を用いて切り裂くことも適切である。上述の手段のどれを用いるかに拘らず,その後,低機械力(例えば,指の圧力,緩やかな割り裂き)を加えることにより基板12及び24を完全に分離させることができる。
最も好ましい分離方法は,接合されたスタック34を,約100℃以上,好ましくは約150℃~約220℃,より好ましくは約180℃~約200℃の温度に加熱することである。これらの温度で,第2の接合層32が軟化し,基板12及び24を分離させる(例えば,参照として本明細書に含まれる,米国特許公開番号第2008/0200011号に記載されるようなスライド剥離方法によって)ことは理解されるであろう。分離後,残留する第1又は第2の接合層20及び32を,特定の層20又は32を溶解する性能のある溶媒を用いて除去することができる。幾つかの実施形態では,第1の接合層20を形成するための組成物は,その一部又は全部が第1の基板12上に永久的に残ることが適切であるように選択される。その場合,第1の接合層20が後続のウェーハー処理ステップにおいて何らかの機能(例えば,間隙充填)を実行する。これは先行技術のプロセスにはなかった有利な点である。
この二層の実施形態が多くの利点を提供することは理解されるであろう。本発明の方法により,構造体の接合温度及び全体の熱安定性を制御することができる。即ち,本発明の方法は,より高い処理温度の使用を可能にすると同時により低い温度で接合及び剥離を可能にする。」)
・「2. Bilayer Bonding Scheme II
The second bilayer bonding scheme is shown in Fig. 3, with like numbers representing like parts. In this embodiment, a "cleaning" or lift-off layer 44 having an upper surface 46 and lower surface 48 is formed on device surface 14. Lift-off layer 44 can be formed by any known application method, with one preferred method being spin-coating the composition used to form layer 44 at speeds of from about 500 rpm to about 5,000 rpm (preferably from about 500 rpm to about 2,000 rpm) for a time period of from about 5 seconds to about 120 seconds (preferably from about 30 seconds to about 90 seconds). After the composition is applied, it is preferably heated to a temperature of from about 60 °C to about 250 °C, and more preferably from about 80 °C to about 220 °C and for time periods of from about 60 seconds to about 4 minutes (preferably from about 90 seconds to about 2 minutes). In some embodiments, it is preferable to subject the layer to a multi-stage bake process, depending upon the composition utilized. Depending upon the composition used to form the lift-off layer 44, baking can also initiate a crosslinking reaction to cure the layer 44.
Lift-off layer 44 preferably has a thickness T1 of less than about 3 μm, more preferably from about 0.5 μm to about 3 μm, and even more preferably from about 1 μm to about 1.5 μm. In other embodiments, lift-off layer 44 is a conformal layer, so it would not have the above thickness.
The compositions used to form lift-off layer 44 should be selected so that layer 44 is soluble in solutions selected from the group consisting of 1 % hydrochloric acid aqueous solution, 50% acetic acid aqueous solution, isopropanol, 1-dodecene, R-limonene, cyclopcntanone, PGME, and tetramcthylammonium hydroxide (TMAH). More specifically, lift-off layer 44 will be at least about 95%, preferably at least about 99%, and preferably 100% dissolved/removed after about 4-5 hours of contact with the particular remover solution.
Preferred compositions for forming lift-off layer 44 can be selected from commercially available compositions possessing the above properties. Examples of such compositions include those selected from the group consisting of poly(vinyl pyridine) and polyamic acids. Two preferred such compositions are ProLIFT (R) and the WGF series of wet-developable materials (available from Brewer Science, Inc.). A particularly preferred composition for use is described in U.S. Patent Publication No. 2009/0035590, incorporated by reference herein.
Next, a bonding layer 20 is formed on lift-off layer 44 (Fig. 3(b)). Bonding layer 20 preferably has a thickness T, as described with respect to Fig. 1, and a thickness T 2 of at least about 5 μm, more preferably from about 5 μm to about 50 μm, and even more preferably from about 10 μm to about 30 μm. A second substrate 24 is then bonded to bonding layer 20 (Fig. 3(c)), as described previously, to form a bonded stack 50. The bonded stack 50 can then be subjected to further processing as described above.
Once the first and second substrates 12 and 24 are ready to be separated, the bonded stack 50 is exposed to one of the above remover solutions (preferably for time periods of from about 1 minute to about 5 hours, and more preferably from about 2 minutes to about 60 minutes), so that the solution will dissolve lift-off layer 44, thus allowing the substrates 12 and 24 to be separated. Advantageously, in embodiments where lift-off layer 44 is functioning as a "cleaning" layer, the substrates 12 and 24 can be separated by heating to soften bonding layer 20 sufficiently to allow substrates 12 and 24 to be separated. Once the substrates 12 and 24 have been separated, lift-off/cleaning layer 44 can be removed with a remover solution, and this will simultaneously cause any remaining residue of bonding layer 20 to also be removed. 」(第13ページ第27行-第15ページ第9行)(「2.二層接合方式II
第2の二層接合方式を図3に示す。類似の番号は類似の部分を表す。この実施形態では,上部表面46及び下部表面48を有する「クリーニング層」又はリフトオフ層44がデバイス面14上に形成される。リフトオフ層44は,任意の既知の適用方法によって形成することができ,1つの好ましい方法では,層44を形成するために用いられる組成物を,速度約500rpm~約5,000rpm(好ましくは約500rpm~約2,000rpm)で,時間約5秒~約120秒(好ましくは約30秒~約90秒)の間,スピンコートする。組成物は,適用された後,好ましくは,温度約60℃~約250℃,より好ましくは約80℃~約220℃に,時間約60秒~約4分(好ましくは約90秒~約2分)間,加熱される。幾つかの実施形態では,使用される組成物に応じて,層に多段焼成プロセスを施すことが好ましい。リフトオフ層44を形成するために用いられる組成物に依存して,焼成によって架橋反応が開始され層44を硬化することができる。
リフトオフ層44は好ましくは厚みT1を有し,厚みT1は約3μm未満,より好ましくは約0.5μm~約3μm,更により好ましくは約1μm~約1.5μmである。別の実施形態では,リフトオフ層44が共形層であり, そのため上述の厚みを有しない。
リフトオフ層44を形成するために用いられる組成物は,1%の塩化水素酸水溶液,50%の酢酸水溶液,イソプロパノール,1-ドデセン,R-リモネン,シクロペンタノン,PGME,及びテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)から成る群から選択される溶液中で層44が可溶性であるように選択されるべきである。より詳細には,リフトオフ層44は,特定の除去溶液に接触してから約4~5時間の後に,約95%以上,好ましくは約99%以上,好ましくは100%溶解/除去される。
リフトオフ層44を形成するために好ましい組成物は上述の特性を持つ市販の組成物から選択することができる。そのような組成物の例には,ポリ(ビニルピリジン)及びポリアミド酸から成る群から選択される組成物が含まれる。これら2種の好ましい組成物は,ProLIFT(R)及び,湿式現像可能な材料のWGFシリーズ(Brewer Science社から入手可能)である。使用が特に好ましい組成物は参照として本明細書に含まれる,米国特許公開番号第2009/0035590号に記載されている。
次にリフトオフ層44上に接合層20が形成される(図3(b))。接合層20は,好ましくは,図1に関連して説明したような厚みT1,及び,約5μm以上,より好ましくは約5μm~約50μm,更により好ましくは約10μm~約30μmの厚みT2を有する。次に第2の基板24が上述のように接合層20に接合され(図3(c)),接合されたスタック50を形成する。次に接合されたスタック50に上述のような更なる処理を施すことができる。
第1及び第2の基板12及び24の分離の準備が整うと,接合されたスタック50は,上述の除去溶液の1つに暴露され(好ましくは約1分~約5時間,より好ましくは約2分~約60分の間),その結果,溶液がリフトオフ層44を溶解して,基板12及び24が分離される。有利なこととして,リフトオフ層44が「クリーニング」層として機能する実施形態では,基板12及び24を分離させるために十分に接合層20を軟化させるよう加熱することによって基板12及び24を分離させることができる。基板12及び24が分離されると,リフトオフ/クリーニング層44を除去溶液によって除去することができ,これは同時に残っているすべての接合層20残留物も除去する。」)
したがって,上記甲第1号証には,請求項15ないし24に記載された発明の実施形態であると解される「二層接合方式I」に係る発明(以下「甲1A発明」という。)が記載されていると認められる。
さらに,上記甲第1号証には,「第2の二層接合方式を図3に示す。類似の番号は類似の部分を表す。」と記載されており,このため,「二層接合方式II」の「接合層20」は,「二層接合方式I」において,同一の番号「20」を付して説明されている「第1の接合層20」と同様の構成を備えるものと解されるから,甲第1号証には,「二層接合方式II」に係る発明(以下「甲1B発明」という。)が記載されていると認められる。
・甲1A発明
「A 軟化温度を有する第1の接合層,
B 前記第1の接合層に隣接し軟化温度を有する第2の接合層であって,前記第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い,第2の接合層を含み,
C 前記第1の接合層は,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択され,
D 前記第2の接合層は,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択される
E 仮接合層。」
・甲1B発明
「デバイス面を有する第1の基板と,
前記デバイス面に隣接するリフトオフ層と,
前記リフトオフ層に隣接する接合層20と,
前記接合層20に隣接する第2の基板と,
を含む物品であって,
前記リフトオフ層を形成するために用いられる組成物は,1%の塩化水素酸水溶液,50%の酢酸水溶液,イソプロパノール,1-ドデセン,R-リモネン,シクロペンタノン,PGME,及びテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)から成る群から選択される溶液中でリフトオフ層が可溶性であるように選択されるべきであり,より詳細には,リフトオフ層は,特定の除去溶液に接触してから約4~5時間の後に,約95%以上,好ましくは約99%以上,好ましくは100%溶解/除去されるものであって,リフトオフ層44を形成するために好ましい組成物は上述の特性を持つ市販の組成物から選択することができ,そのような組成物の例には,ポリ(ビニルピリジン)及びポリアミド酸から成る群から選択される組成物が含まれるものであり,
前記接合層20は,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択されるものであって,組成物を適用した後,温度約80℃~約250℃,より好ましくは約170℃~約220℃で時間約60秒~約8分(好ましくは約90秒~約6分)間加熱することが好ましく,接合層20を形成するために用いられる組成物に依存して,焼成によって架橋反応が開始され層を硬化することで,接合層20を「構築」するものであり,
前記デバイス面は,集積回路;MEMS;マイクロセンサ;電力半導体;発光ダイオード;光子回路;インターポーザ;埋め込み受動デバイス;及びシリコン,シリコンゲルマニウム,ガリウムヒ素,及びガリウム窒素上に製造される又はそれらから製造されるマイクロデバイス:から成る群から選択されるデバイスアレイを含むものであり,
前記物品は,広くは,多層接合システムを利用する新規な暫定ウェーハー接合方法に関するものであって,ウェーハーの薄層化及び他の背面処理中にデバイスウェーハーをキャリヤー基板上に支持することができるものである物品。」
イ 甲第2号証ないし甲第3号証について
取消理由に引用された甲第2号証には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項9】
基板と,上記基板上に形成された第1接着剤層と,上記第1接着剤層上に形成された,第1接着剤層よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層,若しくは,第1接着剤層が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層と,上記第2接着剤層に貼着された支持板とを含むことを特徴とする積層体。
【請求項10】
請求項9に記載の積層体に含まれる第2接着剤層を形成するための接着剤。
【請求項11】
平均分子量が5000~10000の接着化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の接着剤。
【請求項12】
炭化水素樹脂または極性溶媒溶解性化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の接着剤。
【請求項13】
上記炭化水素樹脂は,シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選択されることを特徴とする請求項12に記載の接着剤。」
・「【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る剥離方法について,図1および図2を参照して以下に説明する。図1は,本発明に係る剥離方法に用いられる,本発明に係る積層体1を示す断面図であり,図2は,本発明の一実施形態に係る剥離方法の各工程を示す断面図である。図1および図2に示すように,積層体1は,ウエハ(基板)2,サポートプレート(支持板)3,第1接着剤層4および第2接着剤層5を含むように構成されている。積層体1において,第1接着剤層4および第2接着剤層5は接着積層体6として,ウエハ2とサポートプレート3とを貼り合わせている。
【0018】
本発明に係る剥離方法は,第1接着剤層4と,第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層5,若しくは,第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層5とを介してサポートプレート3が貼着されているウエハ2から,サポートプレート3を剥離する剥離方法であって,サポートプレート3側に位置する第2接着剤層5を溶解してサポートプレート3を上記ウエハ2から剥離する剥離工程を包含している。
【0019】
なお,本実施形態においては,サポートプレート3として厚さ方向に貫通孔を有する孔あきサポートプレート3を用いているが,本発明はこれに限定されない。孔あきサポートプレート3を用いることによって,孔を介して第2接着剤層5に溶剤を供給することができる。
【0020】
(第1接着剤層4)
第1接着剤層4は,ウエハ2と第2接着剤層5とに接着している。第1接着剤層4は,ウエハ2とサポートプレート3とを,第2接着剤層5を介して十分接着させることが可能な接着化合物を含む第1接着剤材料により形成されていればよく,従来公知の接着剤材料を好適に使用可能である。第1接着剤層4を形成する第1接着剤材料としては,アクリル-スチレン系樹脂,マレイミド系樹脂を含むものが挙げられる。
【0021】
アクリル-スチレン系樹脂として,例えば,単量体として,スチレンまたはスチレンの誘導体と,(メタ)アクリル酸エステル等とを用いて重合した樹脂が挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリル酸エステルとしては,(メタ)アクリル酸エステルとしては,例えば,鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル,脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル,芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては,炭素数15~20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル,炭素数1~14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。アクリル系長鎖アルキルエステルとしては,アルキル基がn-ペンタデシル基,n-ヘキサデシル基,n-ヘプタデシル基,n-オクタデシル基,n-ノナデシル基,n-エイコシル基等であるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお,当該アルキル基は,分岐状であってもよい。
【0023】
炭素数1~14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては,既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば,アルキル基が,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,2-エチルヘキシル基,イソオクチル基,イソノニル基,イソデシル基,ドデシル基,ラウリル基,トリデシル基等からなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
【0024】
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては,シクロヘキシル(メタ)アクリレート,シクロペンチル(メタ)アクリレート,1-アダマンチル(メタ)アクリレート,ノルボルニル(メタ)アクリレート,イソボルニル(メタ)アクリレート,トリシクロデカニル(メタ)アクリレート,テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート,ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが,イソボルニルメタアクリレート,ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0025】
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては,特に限定されるものではないが,芳香族環としては,例えばフェニル基,ベンジル基,トリル基,キシリル基,ビフェニル基,ナフチル基,アントラセニル基,フェノキシメチル基,フェノキシエチル基等が挙げられる。また,芳香族環は,炭素数1~5の鎖状または分岐状のアルキル基を有していてもよい。具体的には,フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
【0026】
マレイミド系樹脂としては,例えば,単量体として,N-メチルマレイミド,N-エチルマレイミド,N-n-プロピルマレイミド,N-イソプロピルマレイミド,N-n-ブチルマレイミド,N-イソブチルマレイミド,N-sec-ブチルマレイミド,N-tert-ブチルマレイミド,N-n-ペンチルマレイミド,N-n-ヘキシルマレイミド,N-n-へプチルマレイミド,N-n-オクチルマレイミド,N-ラウリルマレイミド,N-ステアリルマレイミドなどのアルキル基を有するマレイミド,N-シクロプロピルマレイミド,N-シクロブチルマレイミド,N-シクロペンチルマレイミド,N-シクロヘキシルマレイミド,N-シクロヘプチルマレイミド,N-シクロオクチルマレイミド等の脂肪族炭化水素基を有するマレイミド,N-フェニルマレイミド,N-m-メチルフェニルマレイミド,N-o-メチルフェニルマレイミド,N-p-メチルフェニルマレイミド等のアリール基を有する芳香族マレイミド等を重合して得られた樹脂が挙げられる。
【0027】
第1接着剤層4の層厚は,ウエハ2とサポートプレート3との接着および耐熱性を維持するために,15~30μmであることが好ましく,15μmであることが特に好ましいが,これに限定されない。第1接着剤層4は,ウエハ2上に上記接着化合物を含む第1接着剤材料を塗布し,ウエハ2上において層状に固化させることによって形成することができる。また,予め第1接着剤材料を層状に固化させたものをウエハ2上に移動させることによって形成してもよい。
【0028】
(第2接着剤層5)
第2接着剤層5は,サポートプレート3側に位置し,第1接着剤層4とサポートプレート3とを接着している。第2接着剤層5は,第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解する,または第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解するように形成されている。本発明に係る接着剤は,第2接着剤層5を形成するためのものであり,後述する第2接着剤材料を含むものである。
【0029】
第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層5は,高溶解性の第2接着剤材料により形成されていることが意図され,上述した第1接着剤材料に含まれる接着化合物よりも平均分子量が小さい接着化合物を含む第2接着剤材料により形成されるものであることができる。
【0030】
第2接着剤層5を第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解するように形成することによって,サポートプレート3をウエハ2から剥離するとき,サポートプレート3の孔を介して溶剤を第2接着剤層5に供給し,溶解速度の速い第2接着剤層5をより短時間で溶解させ,第2接着剤層5に接着されたサポートプレート3をより短時間で剥離することができる。サポートプレート3を剥離した後で第1接着剤層4を溶解することで,サポートプレート3の存在により溶剤の浸透が妨げられることがないため,第1接着剤層4の溶解も短時間で行うことができる。
【0031】
第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層5は,第1接着剤層4に含まれる接着化合物の平均分子量の10%~30%に相当する平均分子量の接着化合物を含む第2接着剤材料によって形成されていることが好ましい。これにより,剥離時間を短縮するために十分な溶解速度を得ることができる。第1接着剤層4を従来用いられている一般的な第1接着剤材料を用いて形成した場合,第2接着剤層5を,平均分子量5000~10000の接着化合物を含む第2接着剤材料を用いて形成すればよい。例えば,第1接着剤層4を,平均分子量40000の接着化合物を含む第1接着剤材料を用いて形成した場合,第2接着剤層5を,平均分子量10000の接着化合物を含む第2接着剤材料を用いて形成することができる。
【0032】
第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層5は,第1接着剤層4が溶解する溶剤に対する耐性を有する第2接着剤材料により形成されていることが意図され,第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に対する溶解速度の速い第2接着剤材料により形成されていることが好ましい。
【0033】
第2接着剤層5を第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解するように形成することによって,サポートプレート3をウエハ2から剥離するとき,サポートプレート3の孔を介して溶剤を第2接着剤層5に供給し,第2接着剤層5を溶解する溶剤により第2接着剤層5のみを溶解させ,第2接着剤層5により接着されたサポートプレート3を剥離することができる。サポートプレート3を剥離した後で第1接着剤層4を溶解することで,サポートプレート3の存在により溶剤の浸透が妨げられることがないため,第1接着剤層4の溶解も迅速に行うことができる。
【0034】
ここで,本実施形態においては孔あきサポートプレート3を用いているので,ウエハ2の薄化プロセスにおいて,例えばフォトリソグラフィ工程におけるバックリンス液のような溶剤がサポートプレート3の孔を介して第2接着剤層5にかかる可能性がある。第1接着剤層4のような,ウエハ2とサポートプレート3とを貼着する一般的な接着剤層は,PGMEA(propylene glycol monomethyl ether acetate),HP(2-ヘプタノン)等の有機溶媒を含む溶剤に対して耐性がなく,薄化プロセスにおいてこのような溶剤がサポートプレート3の孔を介して浸入すると,接着剤層が溶解してしまう。これにより,サポートプレート3にデラミネーションが発生し,薄化プロセスを良好に行うことができないという問題が生じる。この問題を解決するために,従来,溶剤がかかるような工程においては,バックテープによりサポートプレート3の孔を塞ぎ,サポートプレート3の孔への溶剤の浸透を防いでいるが,処理効率の低下やコストアップに繋がるため好ましくない。
【0035】
本発明においては,上述したような有機溶媒を含む溶剤に対して耐性のある第2接着剤層5をサポートプレート3側に設けることによって,第1接着剤層4が上記溶剤に対して耐性のある第2接着剤層5に覆われるので,上記溶剤がサポートプレート3の孔を介して浸入したとしても,第1接着剤層4および第2接着剤層5が溶解せず,サポートプレート3のデラミネーションが発生しない。したがって,バックテープによりサポートプレート3の孔を塞ぐ必要がない。
【0036】
第2接着剤層5は,第1接着剤層4とは異なる溶剤によって溶解するように形成されていればよく,第1接着剤層4を有機溶媒で溶解する第1接着剤材料により形成している場合には,有機溶媒に対して耐性を有する第2接着剤材料により第2接着剤層5を形成すればよい。このような第2接着剤材料に含まれる接着化合物として,炭化水素樹脂または極性溶媒溶解性(例えば水溶性)化合物を用いることができる。
【0037】
炭化水素樹脂として,シクロオレフィン系ポリマー(以下,「樹脂(A)」ということがある),テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下,「樹脂(B)」ということがある)等が挙げられるが,これに限定されない。」
・「【0058】
次に,図2中(a)~(e)を参照して本発明に係る剥離方法の処理フローを説明する。本発明に係る剥離方法は,上述した剥離工程を少なくとも含んでいればよく,当該剥離工程の後に,第1接着剤層4を溶解する溶解工程をさらに含んでいることが好ましい。本実施形態においては,当該溶解工程を含む本発明に係る剥離方法を例として説明する。
【0059】
まず,本発明に係る剥離工程において,図2中(a)に示すように,剥離処理の対象となる本発明に係る積層体1を準備する。次に,図2中(b)に示すように,第2接着剤層5を溶解する溶剤を,サポートプレート3の第2接着剤層5に接していない側から注入する。注入された溶剤は,サポートプレート3の貫通孔を介して浸入し,第2接着剤層5に浸透して,第2接着剤層5を溶解させる。
【0060】
このとき,第2接着剤層5を溶解する溶剤は,第2接着剤層5の特性に応じて適宜選択される。第2接着剤層5を,第1接着剤材料に含まれる接着化合物よりも平均分子量が小さい接着化合物を含む第2接着剤材料により形成した場合には,第1接着剤材料が溶解する溶剤と同一の溶剤を使用することができる。このような溶剤として,溶解度パラメータ(SP値)が8より大きく,10より小さい溶剤であることが好ましく,例えば,PGMEA,HP等が挙げられる。
【0061】
また,第2接着剤層5を,炭化水素樹脂により形成した場合,非極性溶媒を溶剤として好適に使用可能であり,このような溶剤として,例えば,炭化水素系溶剤が挙げられる。前記炭化水素系溶剤としては,直鎖,分岐または環状の炭化水素が挙げられる。具体的には,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,ノナン,メチルオクタン,デカン,ウンデカン,ドデカン,トリデカン等の直鎖状の炭化水素,炭素数3から15の分岐状の炭化水素;ゲラニオール,ネロール,リナロール,シトラール,シトロネロール,p-メンタン,o-メンタン,m-メンタン,ジフェニルメンタン,メントール,イソメントール,ネオメントール,リモネン,α-テルピネン,β-テルピネン,γ-テルピネン,α-テルピネオール,β-テルピネオール,γ-テルピネオール,テルピネン-1-オール,テルピネン-4-オール,1,4-テルピン,1,8-テルピン,カルボン,ヨノン,ツヨン,カンファー,ボルナン,ボルネオール,ノルボルナン,ピナン,α-ピネン,β-ピネン,ツジャン,α-ツジョン,β-ツジョン,カラン,ショウノウ,ロンギホレン,1,4-シネオール,1,8-シネオール等のモノテルペン類,アビエタン,アビエチン酸等のジテルペン類等の環状の炭化水素(テルペン類)が挙げられる。
【0062】
中でも,環状骨格を有する炭化水素であるテルペン系溶剤を用いることが好ましい。このようなテルペン系溶剤としては,具体的には,中でもモノテルペン類が入手の容易さから好ましく,その中でもリモネン,ピネン,ピナン,およびp-メンタンの中から選ばれる少なくとも1種が高い溶解性能を有することから好ましい。これらの中でも,SP値が8以下の非極性溶媒が好適に使用可能であり,SP値が7.4以下の非極性溶媒を使用することがより好ましい。
【0063】
さらに,第2接着剤層5を,極性溶媒溶解性(例えば水溶性)化合物により形成した場合,従来公知の極性溶媒を溶剤として好適に使用可能であるが,SP値が10以上の極性溶媒を使用することが好ましく,SP値が12以上の極性溶媒を使用することがより好ましい。SP値が12以上の極性溶媒として,例えば,水,メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0064】
ついで,図2中(c)に示すように,第2接着剤層5が溶解した後,サポートプレート3を剥離する。なお,サポートプレート3を剥離した後,第1接着剤層4上を洗浄して溶け残った第2接着剤層5を取り除いてもよい。
【0065】
そして,図2中(d)に示すように,第1接着剤層4が溶解する溶剤を,第1接着剤層4の全面に注入して第1接着剤層4を溶解し,図2中(e)に示すように,サポートプレート3が剥離され,第1接着剤層4および第2接着剤層5が取り除かれたウエハ2が得られる。第1接着剤層4が溶解する溶剤としては,上述した第1接着剤材料に含まれる接着化合物よりも平均分子量が小さい接着化合物を含む第2接着剤材料により形成した第2接着剤層5を溶解する溶剤と同一の溶剤を使用することができる。
【0066】
上述したように,本発明に係る剥離方法によれば,サポートプレート3をウエハ2から剥離するとき,サポートプレート3の孔を介して溶剤を第2接着剤層5に供給し,第2接着剤層5を溶解する溶剤により第2接着剤層5を短時間で溶解させ,第2接着剤層5により接着されたサポートプレート3を剥離することができる。サポートプレート3を剥離した後で第1接着剤層4を溶解することで,サポートプレート3の存在により溶剤の浸透が妨げられることがないため,第1接着剤層4の溶解も迅速に行うことができる。」
・「【0067】
(熱重合禁止剤)
本発明において,第1接着剤材料または第2接着剤材料として使用する接着剤組成物は,熱重合禁止剤を含有してもよい。熱重合禁止剤は,熱によるラジカル重合反応を防止するのに有効な物質である。熱重合禁止剤は,ラジカルに対して高い反応性を示し,モノマーよりも優先的に反応するため,重合が禁止される。そのため,熱重合禁止剤を含む接着剤組成物は,高温環境下(特に250℃~350℃)における接着剤組成物の重合反応が抑制される。これにより,250℃で1時間加熱する高温プロセスを経ても,接着剤組成物を容易に溶解できる。したがって,接着剤組成物により形成された接着剤層を,高温プロセス後においても容易に剥離することができ,また残渣の発生も抑えることができる。」
したがって,上記甲第2号証には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
・甲2発明
「A 第1接着剤層と,
B 上記第1接着剤層上に形成された,第1接着剤層よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層,若しくは,第1接着剤層が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層を含み,
C 上記第1接着剤層が,アクリルースチレン系樹脂,マレイミド系樹脂を含み,
D 上記第2接着剤層が,シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む
E 仮接合層。」
取消理由に引用された甲第3号証には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
被研削基材と,
前記被研削基材と接している接合層と,
光吸収剤及び熱分解性樹脂を含む光熱変換層と,
光透過性支持体と,
を含み,
但し,前記光熱変換層は,前記接合層とは反対側の前記被研削基材の表面を研削した後に,放射エネルギーが照射されたときに分解して,研削後の基材と前記光透過性支持体とを分離するものである,積層体。
<途中省略>
【請求項11】
前記接合層は光硬化型接着剤である,請求項1~10のいずれか1項記載の積層体。」
・「【0024】
接合層
接合層は被研削基材を光熱変換層を介して支持体に固定するために用いられる。光熱変換層における分解による基材と支持体との分離の後には,接合層が付着した基材が得られる。このため,接合層はピールにより基材から容易に剥離されうるものであることが必要である。したがって,接合層は基材を支持体に固定するためには十分な接着力を有するが,ピールにより剥離されうるために十分に低い接着力を有するものである。本発明において,接合層として使用可能な接着剤としては,ゴム,エラストマーなどを溶剤に溶解したゴム系接着剤,エポキシ,ウレタンなどをベースとする一液熱硬化型接着剤,エポキシ,ウレタン,アクリルなどをベースとする二液混合反応型接着剤,ホットメルト型接着剤,アクリル,エポキシなどをベースとする紫外線(UV)もしくは電子線硬化型接着剤,水分散型接着剤が挙げられる。(1)ウレタンアクリレート,エポキシアクリレート又はポリエステルアクリレートなどの重合性ビニル基を有するオリゴマー及び/又は(2)アクリルもしくはメタクリルモノマーに光重合開始剤,及び,場合により,添加剤を添加したUV硬化型接着剤は好適に使用される。添加剤としては,増粘剤,可塑剤,分散剤,上記透明フィラー以外のフィラー,難燃剤及び熱老化防止剤などが挙げられる。」
・「【0051】
実施例1
光透過性支持体として,直径220mm×厚さ1.0mmのガラス基板を用い,ウェハとして,直径200mm×厚さ750μmのシリコンウェハを用いた。ガラス基板に上記の表1に記載される組成の光熱変換層前駆体の10%溶液(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶剤中)をスピンコートにより塗布する。これを加熱により乾燥し,紫外線(UV)照射して硬化させて支持体上に光熱変換層を形成した。一方,ウェハに上記の表2に記載される組成の接合層前駆体を同様にスピンコートにより塗布し,図2に示すような真空接着装置内でガラス基板とウェハとを貼り合せて,それにUV照射して接合層前駆体を硬化させて,積層体を得た。この積層体はガラス基板/光熱変換層/接合層/シリコンウェハの構成であり,光熱変換層の厚さは0.9μmであり,接合層の厚さは100μmであり,接着面積は314cm2であった。」
(4)対比・判断
ア 甲第1号証(甲1A発明)を主引例とした検討
(ア)本件発明1について
・対比
本件発明1と甲1A発明とを対比すると,次のことがいえる。
(i)甲1A発明の「第1の接合層」は,本件発明1の「剥離層」に相当し,同様に「第2の接合層」は「接着性層」に相当する。
(ii)そして,甲1A発明は,「第1の接合層」が,「スチレン,エチレンプロピレンゴム,ポリオレフィンゴム」等の「ポリマー又はオリゴマー」である場合を包含し,この「スチレンのポリマー」等は炭化水素樹脂である。
そうすると,本件発明1の「剥離層」に含まれる材料が選ばれる元となる群と,甲1A発明の「第1の接合層」に含まれる材料が選ばれる元となる群とは,その構成要素が,一部重複する。
(iii)甲1A発明の「仮接合層」は,本件発明1の「半導体装置製造用仮接合層」に相当する。
したがって,本件発明1と甲1A発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層。」
(相違点)
(相違点1)本件発明1の「接着性層」が,「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」のに対して,甲1A発明の「第2の接合層」は,そのような構成を備えていない点。
(相違点2)本件発明1の「剥離層」が,「ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,甲1A発明の「第1の接合層」は,「溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む組成物から形成され,前記ポリマー又はオリゴマーは,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロール,のポリマー及びオリゴマーから成る群から選択され」るものであって,本件発明1の「ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」と,一部しか重複しない点。
・相違点についての判断
(i)相違点1について
相違点1に係る本件発明1の,「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」という構成は,実質的なものである。
したがって,本件発明1の発明特定事項は,甲1A発明の発明特定事項と一致しないから,本件発明1は,甲第1号証に記載された発明であるとは認められない。
さらに,甲第1号証には,「有利なことに,第1及び第2の接合層20及び32を形成するために用いる組成物は,上述の特性を有する層内に形成可能とされる市販の接合組成物から選択することができる。典型的には,そのような組成物は有機であり,溶媒系中に溶解又は分散されたポリマー又はオリゴマーを含む。ポリマー又はオリゴマーは,典型的には,環状オレフィン,エポキシ,アクリル,シリコン,スチレン,ハロゲン化ビニル,ビニルエステル,ポリアミド,ポリイミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,環状オレフィン,ポリオレフィンゴム,及びポリウレタン,エチレンプロピレンゴム,ポリアミドエステル,ポリイミドエステル,ポリアセタール,及びポリビニルブテロールの,ポリマー又はオリゴマーから成る群から選択される。」と記載されている。
そして,甲第3号証には,「被研削基材と,前記被研削基材と接している接合層と,光吸収剤及び熱分解性樹脂を含む光熱変換層と,光透過性支持体と,を含」む「積層体」が記載されており,前記接合層として使用可能な接着剤として,「(1)ウレタンアクリレート,エポキシアクリレート又はポリエステルアクリレートなどの重合性ビニル基を有するオリゴマー及び/又は(2)アクリルもしくはメタクリルモノマーに光重合開始剤,及び,場合により,添加剤を添加したUV硬化型接着剤は好適に使用される」と記載されている。
しかしながら,甲第1号証及び甲第3号証には,接着性層が「熱重合開始剤」を含むことは記載されていない。
そうすると,甲1A発明において,相違点1について,本件発明1の構成とすることが,甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易になし得たことであるとは認められない。
したがって,他の相違点については検討をするまでもなく,本件発明1は,甲1A発明と,甲第1号証及び甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
なお,異議申立人は,意見書において,「重合開始剤として光重合開始剤及び熱重合開始剤はともに周知である」から,「熱により硬化させるために,『バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む接着性層』を『バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む接着性層』とすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。よって,本件訂正請求項1に係る発明は,進歩性を有しないものと思料する。」と主張する。
しかしながら,仮に,「重合開始剤として光重合開始剤及び熱重合開始剤はともに周知」であったとしても,甲1A発明において,相違点1について,本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であったとは認められない。その理由は,以下のとおりである。
すなわち,上記(3)アのとおり,甲1A発明は,「A 軟化温度を有する第1の接合層,B 前記第1の接合層に隣接し軟化温度を有する第2の接合層であって,前記第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い,第2の接合層を含」む「仮接合層」に係る発明である。
そして,甲第1号証の上記(3)アの記載から,甲1A発明は,「次に構造体10及び22は,第1の接合層20の上部表面21が第2の接合層32の上部表面33に接触するように向かい合わせにされ一緒にプレスされる(図1(b))。プレスされると同時に,十分な時間十分な圧力及び熱が加えられて,これら2つの構造体10及び22の接合が有効になり接合されたスタック34が形成され」,「第1の接合層20及び第2の接合層32は,これらのプロセスに耐えられるだけでなく,最大約450℃,好ましくは約200℃~約400℃,より好ましくは約200℃~約350℃の処理温度にも耐えうる」ものであって,しかも,「『接合されたスタック34を,約100℃以上,好ましくは約150℃~約220℃,より好ましくは約180℃~約200℃の温度に加熱する』『これらの温度で,第2の接合層32が軟化し,基板12及び24を分離させる』」という分離方法を,「最も好ましい分離方法」として用いることができる発明であると理解される。
すなわち,甲1A発明は,「構造体の接合温度及び全体の熱安定性を制御することができる。即ち,本発明の方法は,より高い処理温度の使用を可能にすると同時により低い温度で接合及び剥離を可能にする」という効果を奏するものといえる。
他方,甲1A発明の「第2の接合層」を,「熱重合開始剤」を含むものとした場合には,当該「第2の接合層」は,接合の際の加熱及び高い処理温度によって重合し,硬化するものと認められる。
そして,甲1A発明は,「A 軟化温度を有する第1の接合層,B 前記第1の接合層に隣接し軟化温度を有する第2の接合層であって,前記第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い,第2の接合層を含」むという構成を有し,当該構成を有することによって前記効果を奏する発明であることから,甲1A発明において,相違点1について,本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であったといえるためには,「熱重合開始剤」によって重合した「第2の接合層」の軟化温度と,ポリスチレン樹脂等の炭化水素樹脂を含むものとされる「第1の接合層」の軟化温度とを比較した場合に,「第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い」という条件を満たすようにすることが容易であったことを要するものといえる。
しかしながら,「第2の接合層」を,「熱重合開始剤」を含むものとすることによって,当該接合層の軟化温度が低くなることが当然に生じる事象であるとは認めることはできない。
さらに,甲第1号証,甲第3号証の記載及び技術常識から,甲1A発明において,第2接合層を「熱重合開始剤」を含むものとすることによって,「第1の接合層の軟化温度は,前記第2の接合層の軟化温度よりも約20℃以上高い」ものとする動機を見いだすこともできない。
してみれば,甲1A発明において,「第2の接合層」を,「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」ものとすること,すなわち,上記相違点1について,本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であったとは認めることはできない。
そして,本件発明1は,「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」という構成を備えることによって,本件特許明細書に記載された,「【0135】熱重合開始剤が存在することにより,接着性層と剥離層とが接合された後,熱重合開始剤の分解温度以上に加熱することで,接着性層を硬化させて,より耐熱性・耐薬品性の高い接着を行えるという利点がある。」及び「熱ラジカル発生剤を添加することによって,仮接着剤を用いて形成された接着性層に対して熱を照射した後に,被処理部材と接着性支持体との仮接着を行う場合においては,熱により架橋性基を有する反応性化合物における架橋反応が進行することにより,後に詳述するように,接着性層の接着性(すなわち,粘着性及びタック性)を前もって低下させることができる。【0137】一方,被処理部材と接着性支持体との仮接着を行った後に,接着性支持体における接着性層に対して熱を照射した後に場合には,熱により架橋性基を有する反応性化合物における架橋反応が進行することにより,接着性層がより強靭になり,被処理部材の機械的又は化学的な処理を施している時などに生じやすい接着性層の凝集破壊を抑制できる。すなわち,接着性層における接着性を向上できる。」という格別の効果を奏するものと認められる。
したがって,仮に,「重合開始剤として光重合開始剤及び熱重合開始剤はともに周知」であったとしても,本件発明1は,甲1A発明と,甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(イ)本件発明3について
本件発明3と甲1A発明とを対比すると,本件発明3と甲1A発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層。」
(相違点)
(相違点3)本件発明3の「接着性層」が,「バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む」のに対して,甲1A発明の「第2の接合層」は,そのような構成を備えていない点。
(相違点4)本件発明3の「剥離層」が,「テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,甲1A発明の「第1の接合層」は,そのような構成を備えていない点。
・相違点についての判断
(i)相違点4について
「剥離層」が,「テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」という構成は,甲第1号証,甲第3号証には記載されていない。
そうすると,甲1A発明において,相違点4について,本件発明3の構成とすることは,当業者が容易になし得たこととは認められない。
したがって,他の相違点については検討をするまでもなく,本件発明3は,甲1A発明と,甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明2,及び,本件発明4ないし10について
本件発明2,及び,本件発明4ないし10も,本件発明1の「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」,本件発明3の「剥離層」が「テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,甲第1号証に記載された発明であるとは認められず,また,当業者であっても,甲1A発明と,甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
イ 甲第1号証(甲1B発明)を主引例とした検討
本件発明1について
・対比
本件発明1と甲1B発明とを対比すると,次のことがいえる。
(i)甲1B発明の「リフトオフ層」は,本件発明1の「剥離層」に相当し,同様に「接合層20」は「接着性層」に相当する。
(ii)甲1B発明の「物品」は,本件発明1の「半導体装置製造用仮接合層」に相当する。
したがって,本件発明1と甲1B発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層。」
(相違点)
(相違点5)本件発明1の「接着性層」が,「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」のに対して,甲1B発明の「接合層20」は,そのような構成を備えていない点。
(相違点6)本件発明1の「剥離層」が,「ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,甲1B発明の「リフトオフ層」は,「1%の塩化水素酸水溶液,50%の酢酸水溶液,イソプロパノール,1-ドデセン,R-リモネン,シクロペンタノン,PGME,及びテトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)から成る群から選択される溶液中でリフトオフ層が可溶性であるように選択されるべきであり,より詳細には,リフトオフ層は,特定の除去溶液に接触してから約4~5時間の後に,約95%以上,好ましくは約99%以上,好ましくは100%溶解/除去されるものであって,リフトオフ層44を形成するために好ましい組成物は上述の特性を持つ市販の組成物から選択することができ,そのような組成物の例には,ポリ(ビニルピリジン)及びポリアミド酸から成る群から選択される組成物が含まれるものであ」るものである点。
・相違点についての判断
(i)相違点5について
甲第1号証,甲第2号証,甲第3号証には,接着性層が「熱重合開始剤」を含むことは記載されていない。
そうすると,甲1B発明において,相違点5について,本件発明1の構成とすることは,当業者が容易になし得たこととは認められない。
したがって,他の相違点について検討をするまでもなく,本件発明1は,甲1B発明と,甲第2号証,甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
よって,甲1B発明と,甲第2号証,甲第3号証に記載された事項からは,当業者が本件発明1を容易に発明をすることができたとは認められない。
ウ 甲第2号証(甲2発明)を主引例とした検討
(ア)本件発明1について
・対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると,次のことがいえる。
(i)甲2発明の「第1接着剤層」は,本件発明1における「接着性層」に相当し,同様に「第2接着剤層」は「剥離層」に相当する。
(ii)本件発明1の「剥離層」が,「ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,甲2発明の「第2接着剤層」は,「シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む」ものであり,両者は「炭化水素樹脂を含む層」である点で一致する。
(iii)甲2発明の「仮接合層」は,本件発明1の「半導体装置製造用仮接合層」に相当する。
したがって,本件発明1と甲2発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層が炭化水素樹脂を含む層である,半導体装置製造用仮接合層。」
(相違点)
(相違点7)本件発明1の「接着性層」が,「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」のに対して,甲2発明の「第1接着剤層」が,そのような構成を備えていない点。
(相違点8)本件発明1の「剥離層」が,「ポリスチレン樹脂,オレフィンモノマー重合体,テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,甲2発明の「第2接着剤層」が,「シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む」ものである点。
・相違点についての判断
(i)相違点7について
相違点7に係る本件発明1の,「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」という構成は,実質的なものである。
したがって,本件発明1の発明特定事項は,甲2発明の発明特定事項と一致しないから,本件発明1は,甲第2号証に記載された発明であるとは認められない。
さらに,上記(3)イのとおり,甲2発明は,「A 第1接着剤層と,B 上記第1接着剤層上に形成された,第1接着剤層よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層,若しくは,第1接着剤層が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層を含」む「仮接合層」に係る発明である。
そして,甲第2号証の上記(3)イの記載によれば,甲2発明は,「第1接着剤層4と,第1接着剤層4よりも速く溶剤に溶解する第2接着剤層5,若しくは,第1接着剤層4が溶解する溶剤とは異なる溶剤に溶解する第2接着剤層5とを介してサポートプレート3が貼着されているウエハ2から,サポートプレート3を剥離する剥離方法であって,サポートプレート3側に位置する第2接着剤層5を溶解してサポートプレート3を上記ウエハ2から剥離する剥離工程を包含している」剥離方法に用いられることを想定した「仮接合層」に係る発明であるところ,甲2発明に係る前記剥離方法は,「上述した剥離工程を少なくとも含んでいればよく,当該剥離工程の後に,第1接着剤層4を溶解する溶解工程をさらに含んでいることが好まし」く,このため,甲2発明において,「第1接着剤材料または第2接着剤材料として使用する接着剤組成物は,熱重合禁止剤を含有」してもよく,そして,第1接着剤材料または第2接着剤材料として使用する接着剤組成物が,熱重合禁止剤を含有する場合には,「熱重合禁止剤を含む接着剤組成物は,高温環境下(特に250℃~350℃)における接着剤組成物の重合反応が抑制される」ことから,「250℃で1時間加熱する高温プロセスを経ても,接着剤組成物を容易に溶解でき」,「したがって,接着剤組成物により形成された接着剤層を,高温プロセス後においても容易に剥離することができ,また残渣の発生も抑えることができる」という有利な効果を奏することが理解される。
そうすると,このような事項が記載された甲第2号証に接した当業者において,甲2発明の「第1接着剤層」を「熱重合開始剤」を含むものとすることは,ウエハ2から,第2接着剤層を除去する際に,残渣の発生に繋がることが予測され,このような残渣の発生が望ましくないことは明らかであるから,甲第2号証には,甲2発明において,相違点7について,本件発明1の構成とすることに阻害要因があるものと認められる。
したがって,本件発明1は,他の相違点については検討するまでもなく,甲2発明から,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(イ)本件発明3について
本件発明3と甲2発明とを対比すると,本件発明3と甲2発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「(A)剥離層と,(B)接着性層とを有する半導体装置製造用仮接合層であって,前記剥離層が炭化水素樹脂を含む層である,半導体装置製造用仮接合層。」
(相違点)
(相違点9)本件発明3の「接着性層」が,「バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む」のに対して,甲2発明の「第1接着剤層」は,そのような構成を備えていない点。
(相違点10)本件発明3の「剥離層」が,「テルペン樹脂,ロジン及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の炭化水素樹脂を含む層」であるのに対して,「第2接着剤層」が,「シクロオレフィン系ポリマー,テルペン樹脂,ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む」ものである点。
・相違点についての判断
(i)相違点9について
上記「相違点7について」と同様の理由により,甲第2号証には,甲2発明において,相違点9について,本件発明1の構成とすることに阻害要因があるものと認められる。
したがって,本件発明3は,他の相違点については検討するまでもなく,甲2発明から,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
(ウ)本件発明2,及び,本件発明4ないし10について
本件発明2,及び,本件発明4ないし10も,本件発明1の「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,熱重合開始剤とを含む」,本件発明3の「接着性層」が「バインダーと,重合性モノマーと,光重合開始剤及び熱重合開始剤の少なくとも一方とを含む」と同一の構成を備えるものであるから,本件発明1と同じ理由により,甲第2号証に記載された発明であるとは認められず,また,当業者であっても,甲2発明と,甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
エ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は,意見書において,「ii.訂正請求項3の進歩性」について,甲第1号証の第13ページ第38行-第15ページ第9行(特表2013-535838号公報の【0038】-【0041】)から,甲第1号証には,「リフトオフ層44」を発明特定事項として含む発明が記載されていることを前提としたうえで,その進歩性の欠如を主張する。
しかしながら,前記「リフトオフ層44」を発明特定事項として含む発明に基づく,請求項3に係る発明の進歩性の欠如の主張は,異議申立書に記載された異議申立ての理由ではなく,また,取消理由通知書で通知した取消理由にも該当しない。
したがって,前記主張は,その主張の前提を欠くから採用することはできない。
4 むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
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2017-700196