特許異議申立
2017-700058
ガスセンサ
- 審判番号
- 2017-700058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-224215外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月23日
- 審決日
- 2017年10月04日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】トヨタ自動車株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人 小笠原特許事務所
- 【異議申立人】飯島 秀子
- 分類
- P1652.121-YAA(G01N) / P1652.537-YAA(G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5962413号発明「ガスセンサ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5962413号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。
特許第5962413号の請求項1、3に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5962413号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成24年10月9日に出願され、平成28年7月8日に設定登録がされ、その後、本件特許の請求項1及び3に係る特許に対し、異議申立人飯島秀子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成29年4月19日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年6月23日に意見書の提出及び訂正請求がなされ、その訂正請求に対して申立人から同年8月10日付けで意見書が提出され、同年9月19日付けで特許権者より上申書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成29年6月23日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、同訂正請求書の記載によれば、以下のとおりである。
(1) 請求項1に係る訂正事項
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記被測定ガスを前記被測定ガス室に通す拡散層」とあるのを、
「前記被測定ガスを前記被測定ガス室に通す多孔質体の拡散層」に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記拡散層との界面側から窪む凹部」とあるのを、
「前記拡散層との界面側から窪み、前記拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部」に訂正する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「平面視で前記被測定ガス室から被測定ガス取り込み側を見たときに、前記被測定ガス室が有する被測定ガス取り込み側を見込む壁面の平面視における長さをチャンバ幅として、前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」とあるのを、
「平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布する」に訂正する。
(2) 請求項2に係る訂正事項
ア 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項
請求項1に係る上記(1)の訂正に伴い、請求項1を引用する請求項2も訂正された。
イ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項2に「ことを特徴する」とあるのを、
「ことを特徴とする」に訂正する。
(3) 請求項3に係る訂正事項
請求項1に係る上記(1)の訂正、及び、請求項2に係る上記(2)の訂正に伴い、請求項1及び2を引用する請求項3も訂正された。
(4) 明細書についての訂正事項
ア 訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0008】に「前記被測定ガスを前記被測定ガス室に通す拡散層」とあるのを、
「前記被測定ガスを前記被測定ガス室に通す多孔質体の拡散層」に訂正する。
イ 訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0008】に「前記拡散層との界面側から窪む凹部」とあるのを、
「前記拡散層との界面側から窪み、前記拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部」に訂正する。
ウ 訂正事項7
願書に添付した明細書の段落【0008】に「設けられていることを特徴とする」とあるのを、
「設けられており、平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布することを特徴とする」に訂正する。
エ 訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0009】を削除する。
オ 訂正事項9
願書に添付した明細書の段落【0010】、【0011】、【0012】、【0013】、【0014】に「第1または第2の局面」、「第2の局面」、「第3の局面」または「第4の局面」とあるのを、それぞれ「第1の局面」、「第1の局面」、「第2の局面」、「第3の局面」に訂正する。
カ 訂正事項10
願書に添付した明細書の段落【0010】に「ことを特徴する」とあるのを、
「ことを特徴とする」に訂正する。
2 当審の判断
(1) 請求項1に係る訂正事項
ア 訂正事項1
(ア) 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0021】には、「拡散層17は多孔質体として形成されている。」と記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項1は、「拡散層」が「多孔質体」であることを限定することによって特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項2
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0025】には、「拡散層17は多孔質体となっていることで抵抗層として機能する。排気ガス中には溶解性の被毒成分を含有した溶液が含まれ得るが、被測定ガスは多孔質体を通過して被測定ガス室に向う一方、被毒成分を含有した溶液は拡散層17を浸透していくにつれ、毛細管現象によって凹部12aや凹部20aへと導かれる。」と記載されており、この記載より、凹部が水滴の捕集が可能であることは明らかである。
また、本件特許明細書等の図1、図5、図7及び図8を参照すると、凹部が拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きいものであることは、明らかである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2は、「凹部」が「拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な」ものであることを限定することによって特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 訂正事項3
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0038】には、「平面視で被測定ガス室13から被測定ガス取り込み側を見たときに、被測定ガス室13が有する被測定ガス取り込み側を見込む壁面の平面視における長さをチャンバ幅として、凹部12bの当該チャンバ幅方向の長さは、凹部12bの当該チャンバ幅方向に占める範囲Lが当該チャンバ幅の範囲Wを包含するように、被測定ガス室13のチャンバ幅よりも大きい。」と記載されていることから、「チャンバ幅W」は「平面視において、前記被測定ガス室が形成されている範囲をガスセンサ素子の被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲」を意味し、また、「凹部のチャンバ幅方向に占める範囲」は、本件特許明細書等の段落【0038】、【0039】、図1、図5、図7及び図8を参照すれば、「凹部が形成されている範囲をガスセンサ素子の被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲」の上端と下端とを両端とする連続範囲Lを意味する点が理解できる。よって、「前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」とは、「平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲」が「前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲」の内部と、それより両外側に分布していることが理解できる。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、新たな技術的事項を導入するものではないから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項3は、「平面視で前記被測定ガス室から被測定ガス取り込み側を見たときに、前記被測定ガス室が有する被測定ガス取り込み側を見込む壁面の平面視における長さをチャンバ幅として、前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」という記載を、「平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布する」と訂正することによって明確化するものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
エ 請求項1についての特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項1に係る訂正事項1ないし3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
オ 請求項1についての訂正のまとめ
以上のことから、請求項1についての訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項だたし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2) 請求項2に係る訂正事項
ア 請求項1に係る訂正に伴う訂正事項
請求項1に係る訂正事項1ないし3により、請求項1を引用する請求項2も同様に訂正された。
そして、請求項1に係る訂正事項1ないし3は、上記「(1) 請求項1に係る訂正事項」「オ 請求項1についての訂正のまとめ」のとおりであり、また、上記訂正事項1ないし3による訂正によって、請求項2に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮、及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、請求項1を引用する請求項2に係る訂正事項1ないし3は、同様に、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
イ 訂正事項4
本件訂正前の請求項2に記載された「ことを特徴する」が、「ことを特徴とする」の誤記であることは明らかであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正事項4は、願書に添付した明細書等に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 独立特許要件
特許異議の申立てがされていない請求項2は、上記「(1) 請求項1に係る訂正事項」による請求項1の訂正及び上記訂正事項4による訂正により訂正されることになったものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項に掲げる独立特許要件について検討する必要がある。
請求項1を引用する訂正後の請求項2に記載された発明は、「凹部の壁面は拡散層との界面に対して垂直な形状をなすこと」を特徴とし、段落【0040】に記載されたとおり「三相界面が形成されるため、被毒物質をトラップする効果を向上させることができる」との効果を奏するものであるが、訂正後の請求項1に係る発明と同じく、発明の詳細な説明に記載されたものであり、かつ、明確であるから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。
また、訂正後の請求項1に記載された発明は、本件特許査定までに審査で引用された引用文献1(特開2011-247790号公報)、引用文献2(特開2007-248357号公報)、及び、引用文献3(特開2010-38794号公報)に記載された発明及び周知技術からは、容易に想到できたものでなく、また、以下の「第3 特許異議の申立てについて」「3 取消理由についての当審の判断」「(3) 取消理由3(特許法第29条第2項について)」に示すように、特許異議の申立てにおいて提出された甲第1号証(特開2007-40838号公報)に記載された発明及び周知技術から、容易に想到できたものでなく、さらに、他に容易に発明をすることができたものとする理由もないことから、その従属項についても同様のことがいえるとの理由により、訂正後の請求項2に記載された発明についても、当業者といえども本件特許出願前に容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しないことが明らかである。
よって、訂正後の請求項2に記載された発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項に適合するものである。
エ 請求項2についての訂正のまとめ
以上のことから、請求項2についての訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項だたし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同第2号に掲げる誤記の訂正、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものであり、訂正後の請求項2に記載された発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項に適合するものである。
(3) 請求項3に係る訂正事項
請求項1に係る訂正事項1ないし3、及び、請求項2に係る訂正事項4により、請求項1及び2を引用する請求項3も同様に訂正された。
そして、請求項1に係る訂正事項は、上記「(1) 請求項1に係る訂正事項」「オ 請求項1についての訂正のまとめ」のとおりであり、また、請求項2に係る訂正事項は、上記「(2) 請求項2に係る訂正事項」「エ 請求項2についての訂正のまとめ」のとおりであり、上記訂正事項1ないし4による訂正によって、請求項3に係る発明が、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内ではないものになるものではなく、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、及び、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、請求項1を引用する請求項3に係る訂正事項1ないし3、及び、請求項2を引用する請求項3に係る訂正事項1ないし4は、同様に、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、同法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同第2号に掲げる誤記の訂正、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4) 明細書についての訂正事項
明細書に係る訂正事項5ないし10は、訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とした訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、 特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
そして、訂正事項1ないし4と同様に本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(5) 一群の請求項について
訂正前の請求項の引用関係からみて、訂正事項1ないし10は、請求項1ないし3を一群の請求項として請求されたものであり、特許法第120条の5第4項及び同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、同第2号に掲げる誤記の訂正、及び、同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合し、また、請求項2に関して、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項に適合するものであるので、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明3」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
被測定ガスの濃度を検出するガスセンサ素子であって、
固体電解質体と、前記被測定ガスが導入される被測定ガス室と、前記被測定ガスの濃度の基準となる基準ガスが導入される基準ガス室と、前記被測定ガス室内で前記固体電解質体に接触する第1の電極と、前記基準ガス室内で前記第1の電極との間に前記固体電解質体を挟持するように前記固体電解質体に接触する第2の電極と、前記固体電解質体と接して配置され、前記被測定ガスを前記被測定ガス室に通す多孔質体の拡散層と、前記固体電解質体との間に前記拡散層が配置されるように前記拡散層と接して配置される遮蔽層とを備えており、
前記固体電解質体と前記遮蔽層との少なくとも一方に、前記拡散層との界面側から窪み前記拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部が設けられており、
平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布することを特徴とする
ガスセンサ素子。
【請求項2】
前記凹部の壁面は前記拡散層との界面に対して垂直な形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスセンサ素子を備えたことを特徴とするガスセンサ。
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1及び3に係る特許に対して平成29年4月19日付けで特許権者に通知した取消理由は次の通りである。
(1) 取消理由1(特許法第36条第6項第2号について)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備があり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたため、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消すべきものである。
記
ア 請求項1における「被測定ガス取り込み側を見込む壁面」において、「見込む」とは、どのような意味で用いられているのか不明であり、請求項1に係る発明が明確に把握できない。
請求項1の記載を引用する請求項3に係る発明についても同様である。
イ 請求項1において、「前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」とあるが、「凹部の」「占める範囲」とは、どのように定義されるものであるのか不明である。
よって、請求項1に係る発明が明確に把握できない。
請求項1の記載を引用する請求項3に係る発明についても同様である。
(2) 取消理由2(特許法第36条第6項第1号について)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備があり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたため、同法第113条第4号の規定に該当し、取り消すべきものである。
記
ア 請求項1には、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。
請求項1の記載を引用する請求項3に係る発明についても同様である。
イ 請求項1及び請求項3に係る発明は、本件特許明細書の段落【0012】~【0014】に記載された「発明の効果」を奏しないものも含むものである。
(3) 取消理由3(特許法第29条第2項について)
本件発明1及び3は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、その発明に係る特許は同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。
刊行物等一覧
甲第1号証:特開2007-40838号公報(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:特開2012-93330号公報(以下、「甲2」という。)
甲第3号証:特開2012-168030号公報(以下、「甲3」という。)
甲第4号証:特開2012-127672号公報(以下、「甲4」という。)
3 取消理由についての当審の判断
(1) 取消理由1について
本件訂正により、訂正前の請求項1の「平面視で前記被測定ガス室から被測定ガス取り込み側を見たときに、前記被測定ガス室が有する被測定ガス取り込み側を見込む壁面の平面視における長さをチャンバ幅として、前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」が「平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布する」に訂正されたことに伴い、本件訂正後の請求項1には、「被測定ガス取り込み側を見込む壁面」の記載、及び、「前記凹部のチャンバ幅方向に占める範囲がチャンバ幅の範囲Wを包含している」の記載は存在しなくなった。
したがって、取消理由1は解消した。
よって、本件訂正後の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないということはできない。
(2) 取消理由2について
ア 取消理由2のアについて
本件訂正により、「凹部」が、「拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部」である点が限定され、前記凹部に、製造過程で生じた凹凸に起因する凹部のように、水滴の捕集が可能であるか否かが不明である凹部が含まれないことが明確になった。
したがって、取消理由2のアは解消した。
イ 取消理由2のイについて
本件訂正により、「凹部」が、「水滴の捕集が可能な凹部」である点が限定され、本件特許明細書のに記載された「発明の効果」を奏しないものが含まれないことが明確になった。
したがって、取消理由2のイは解消した。
(3) 取消理由3について
ア 刊行物等の記載事項
(ア) 甲1の記載事項及び甲1発明
取消理由で通知した甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審により付加した。以下同様。)。
(甲1-ア)
「【0028】
また、ガスセンサ素子1は、図1、図2に示すごとく、酸素イオン伝導性の固体電解質体13と、該固体電解質体13の一方の面に設けた被測定ガス側電極12と、固体電解質体13の他方の面に設けた基準ガス側電極14と、被測定ガス側電極12を覆うように固体電解質体13に積層した遮蔽層11と、固体電解質体13と遮蔽層11との間に配設した多孔質拡散抵抗層10とを有する。
【0029】
また、多孔質拡散抵抗層10は、図3(b)に示すごとく、該多孔質拡散抵抗層10の膜厚と同等の粒径を有するアルミナよりなる膜厚制御用粒子101と、該膜厚制御用粒子101よりも小径のアルミナよりなる多孔質体粒子102と、これらの間に形成された気孔105とよりなる。-
そして、被測定ガスは、多孔質拡散抵抗層10内に形成されている気孔105を通過して被測定ガス側電極12へと導入される。」
(甲1-イ)
「【0031】
図1、図2に示すごとく、このような固体電解質体13に対し、電気的絶縁性を有し、かつ緻密でガスを透過させないアルミナセラミックスよりなる基準ガス室形成層15が積層される。この基準ガス室形成層15には基準ガス室150として機能する溝部151が設けてある。基準ガス室150には、例えば外気(空気)が基準ガスとして導入されるよう構成されている。」
(甲1-ウ) 図1
「
」
(甲1-エ) 図3
「
」
上記(甲1-ウ)を参照すると、基準ガス側電極14は、基準ガス室150内で固体電解質体13に接していることが見て取れる。
以上の摘記事項を含む甲1全体の記載を総合すると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「酸素イオン伝導性の固体電解質体13と、
該固体電解質体13の一方の面に設けた被測定ガス側電極12と、
固体電解質体13の他方の面に設けた基準ガス側電極14と、
被測定ガス側電極12を覆うように固体電解質体13に積層した遮蔽層11と、
固体電解質体13と遮蔽層11との間に配設した多孔質拡散抵抗層10と
を有し、
固体電解質体13に対し、電気的絶縁性を有し、かつ緻密でガスを透過させないアルミナセラミックスよりなる基準ガス室形成層15が積層され、
この基準ガス室形成層15には基準ガス室150として機能する溝部151が設けられ、
基準ガス側電極14は、基準ガス室150内で固体電解質体13に接している
ガスセンサ素子1。」
(イ) 甲2ないし4の記載事項
a 甲2の記載事項
甲2は、ガスセンサ素子について記載されており、段落【0046】、【0047】、図1等を参照すると、「固体電解質体11」に「積層され」た「拡散抵抗層14」から「被測定ガス(排ガス)を「被測定ガス室140」に「導入」する構成が記載されている。
b 甲3の記載事項
甲3は、ガスセンサ素子について記載されており、段落【0044】、【0047】、【0049】、図1等を参照すると、「固体電解質層3と、被測定ガス側電極41を被測定ガス空間8を介して包囲する多孔質拡散抵抗層2」を備えた構成が記載されており、固体電解質層3に接して多孔質拡散抵抗層が設けられ、被測定ガス空間8には、多孔質拡散抵抗層2を通して排気ガスが導入される構成が記載されている。
c 甲4の記載事項
甲4は、ガスセンサ素子について記載されており、段落【0030】、【0032】、図1等を参照すると、固体電解質層3に接して多孔質拡散抵抗層2が設けられており、排気ガスを構成する水素ガスや一酸化炭素ガス、酸素ガスなどが多孔質拡散抵抗層2を介して被測定ガス空間8に導入される構成が記載されている。
d まとめ
上記aないしcより、被測定ガス室を設け、被測定ガス(排ガス)を、固体電解質体に積層された拡散抵抗層から被測定ガス室に導入する構成が、周知事項であることが理解できる。
イ 本件特許発明1について
(ア) 対比
本件訂正発明1と甲1発明を対比する。
a 甲1発明の「ガスセンサ素子1」は、本件訂正発明1の「被測定ガスの濃度を検出するガスセンサ素子」に相当する。
b 甲1発明の「酸素イオン伝導性の固体電解質体13」は、本件訂正発明1の「固体電解質体」に相当する。
c 甲1発明の「基準ガス室150として機能する溝部151」は、本件訂正発明1の「前記被測定ガスの濃度の基準となる基準ガスが導入される基準ガス室」に相当する。
d 甲1発明の「固体電解質体13の一方の面に設けた被測定ガス側電極12」は、本件訂正発明1の「固体電解質体に接触する第1の電極」に相当する。
e 甲1発明の「基準ガス室150内で固体電解質体13に接し」「固体電解質体13の他方の面に設けた基準ガス側電極14」は、本件訂正発明1の「前記基準ガス室内で前記第1の電極との間に前記固体電解質体を挟持するように前記固体電解質体に接触する第2の電極」に相当する。
f 甲1発明の「固体電解質体13と遮蔽層11との間に配設した多孔質拡散抵抗層10」は、本件訂正発明1の「固体電解質体と接して配置され」た「多孔質体の拡散層」に相当する。
g 甲1発明の「固体電解質体13に積層した遮蔽層11」は、本件訂正発明1の「前記固体電解質体との間に前記拡散層が配置されるように前記拡散層と接して配置される遮蔽層」に相当する。
よって、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
被測定ガスの濃度を検出するガスセンサ素子であって、
固体電解質体と、前記被測定ガスの濃度の基準となる基準ガスが導入される基準ガス室と、前記固体電解質体に接触する第1の電極と、前記基準ガス室内で前記第1の電極との間に前記固体電解質体を挟持するように前記固体電解質体に接触する第2の電極と、前記固体電解質体と接して配置され、多孔質体の拡散層と、前記固体電解質体との間に前記拡散層が配置されるように前記拡散層と接して配置される遮蔽層とを備えた
ガスセンサ素子。
そして、両者は以下の点で相違する。
<相違点1>
本件訂正発明1は、被測定ガスが導入される被測定ガス室を備え、第1の電極が前記被測定ガス室内で前記固体電解質体に接触し、多孔質体の拡散層が、被測定ガスを前記被測定ガス室に通すものであるのに対して、甲1発明は、被測定ガス室を備えておらず、上記の構成を有さない点。
<相違点2>
本件訂正発明は、固体電解質体と遮蔽層との少なくとも一方に、拡散層との界面側から窪み前記拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部が設けられており、平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布するものであるのに対して、甲1発明は、そのような構成を有さない点。
(イ) 判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
本件訂正発明1の上記相違点2に係る構成は、甲1発明は有しておらず、また、取消理由において示した甲2ないし4のいずれにも記載されていない。また、その構成が本件特許に係る出願の出願前において周知であるとはいえない。
そして、本件訂正発明1は、上記相違点2に係る構成を備えることによって、ガスセンサ素子において、排気ガス中に含まれる溶解性の被毒物を拡散層に上層側や下層側で接する層に設けた凹部によって捕集することができるため、電極で反応する被測定ガスの雰囲気に悪影響を排除することが可能となり、これにより、被毒要因による経時劣化が生じないため、排気ガスシステムの法規上の異常の発現を防止することができるという格別な作用効果を奏するものである。
よって、本件特許発明1は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。
ウ 本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明1を引用するものであり、本件訂正発明1である「ガスセンサ素子」を備えた「ガスセンサ」に係る発明である。
したがって、本件訂正発明1と同様の理由で、甲1ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。
エ 申立人の意見について
(ア) 取消理由1についての主張
申立人は、平成29年8月10日付け意見書において、取消理由1に関して、以下の3点を主張している。
a 本件訂正後の請求項1における「平面視において、前記凹部が形成されている範囲を被測定ガス取り込み側の側辺に投影した範囲は、前記被測定ガス室が形成されている範囲を前記側辺に投影した範囲の内部および両外側に分布する」の記載に関して、本件訂正発明1は、凹部が、連続して存在しているものの他、断続して存在しているものも含み、その場合、凹部同士の隙間は凹部ではなくなることから、発明が不明確である。
b 本件訂正後の請求項1における、凹部が「拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく」と規定された点に関して、多孔質の孔径の定義は不明瞭であり、また、孔径よりも「大きい凹部」の記載において、凹部の何が孔径よりも大きいのか不明であり、発明が不明確である。本件訂正発明3についても同様である。
c 本件訂正後の請求項1における「水滴の捕集が可能な凹部」の記載に関して、本件特許明細書等には、凹部が保持する水滴の量、保持期間について記載されていないことから、捕集の程度を理解することができず、どのような凹部であれば「水滴の捕集が可能」かが不明瞭である。
そこで、上記aについて検討すると、凹部が連続するもの、断続するものであるかにかかわらず、「凹部が形成されている範囲」は理解できるから、本件訂正発明1が明確でないとはいえない。
また、上記bについて検討すると、本件特許明細書等を参照すれば、凹部と多孔質体の孔径の大小関係は理解でき、凹部の大きさと多孔質体の孔径の厳密な対比が、作用効果において有意な差異をもたらすものとは認められないことから、凹部の大きさ、及び、多孔質体の孔径の厳密な定義を規定しなくても本件訂正発明1及び3は理解でき、本件訂正発明1及び3が明確でないとまではいえない。
そして、上記cについて検討すると、本件訂正発明1における凹部は、「水滴の捕集」を「可能」とする意図をもって形成されたものであり、そのような意図をもって形成されたものでない凹部とは構成上の差異を有するものと認められ、本件特許明細書等には、「本発明の実施形態」として、「水滴の捕集が可能」な「凹部」の例が記載されていることから、当業者であれば、本件訂正発明1を理解でき、本件訂正発明1が明確でないとまではいえない。
以上のことから、申立人の「取消理由1について」の主張を参酌しても、先の取消理由1が解消されていないとはいえない。
(イ) 取消理由2についての主張
申立人は、上記意見書において、取消理由2に関して、以下の3点を主張している。
a 特許権者は、本件訂正後の請求項1において凹部を、「水滴の捕集が可能な凹部」と規定し、その効果として、「一定量の水滴を各凹部が捕集して一定期間保持しうる」と主張しているが、依然として製造過程で生じた凹凸と区別されているとは言えないから、本件訂正発明1は発明の詳細な説明の記載範囲を超えている。
b 本件訂正後の請求項1は、多孔質の孔径に比べて「大きい」凹部と規定しており、この規定は、孔径<凹部という数値限定発明であるが、本件特許明細書等には、多孔質体の孔径と凹部の大小関係、境界についての記載がなく、孔径<凹部の範囲まで特許権が及ぶとは認められない。
c 本件訂正後の請求項1は、凹部が「拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく」と規定するものであるが、今回新たに示す甲第7号証(特開2007-86501号公報)の請求項3には、多孔質の平均気孔径(=平均孔径)が0.05~0.5μmであると記載されており、このサイズは髪の毛の直径の1/100程度であり、到底目視できない大きさであるが、本件特許明細書等の図1及び図5を参照すると、凹部は平面視で目視できる大きさのものしか開示されていないことから、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明の記載範囲を超えている。
一方、特許権者より、平成29年9月19日付けで上申書が提出されており、特許権者は、下記の内容を上申している。
「4. 上申の内容
平成29年6月23日付け訂正請求書による訂正後の本件特許の請求項1に係る「ガスセンサ素子」は、「固体電解質体と遮蔽層との少なくとも一方に、拡散層との界面側から窪み、拡散層の多孔質体の孔径に比べて大きく、水滴の捕集が可能な凹部」を備えるという特徴を有します。この「凹部」は、水滴捕集の効果を得るために設計上備えたものであります。
したがいまして、本件特許権者は、異議申立の甲第5号証(特開2009-230874号公報)が開示する気孔形成用粒子の消失跡のような、製造段階で結果的に発生しうる凹部のみを有するガスセンサ素子に、本件特許に基づく権利を行使する意思はありません。」
そこで、申立人の上記の各主張を検討するにあたって、上記の上申の内容を勘案すると、本件訂正発明1において、「凹部」は、水滴捕集の効果を得るために設計上備えたものであり、製造過程で生じた凹凸のように、水滴捕集の効果を得るという意図をもって形成されたものでない凹部とは構成上の差異を有し、区別されるべきものと認められ、また、孔径との大小関係において、凹部の大きさが孔径に近いもの、及び、凹部の大きさが極端に小さいものは本件訂正発明1に含まれないと考えるのが相当である。
したがって、上記aに記載した製造過程で生じた凹凸、上記bに記載した孔径<凹部の条件の境界に近いもの、上記cに記載した平面視で目視できる大きさではないものは、本件訂正発明1に含まれないと認められ、その前提において、本件訂正発明1は、発明の詳細な説明の記載範囲を超えているとまではいえない。
本件訂正発明3についても同様である。
(ウ) 取消理由3についての主張
申立人の取消理由3についての主張は、本件訂正発明1及び3は、甲1ないし甲4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明ができた旨の主張であるが、該主張は、上記「第3 特許異議の申立てについて」「3 取消理由についての当審の判断」「(3) 取消理由3(特許法第29条第2項について)」で検討したように、採用できない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700058