特許異議申立
2017-700043
缶蓋
- 審判番号
- 2017-700043
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-535055外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月19日
- 審決日
- 2017年09月01日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ユニバーサル製缶株式会社
- 【権利者代理人】青山 正和
- 【権利者】コンテナ・ディベロップメント・リミテッド
- 【権利者代理人】青山 正和
- 【異議申立人】太田 千香子
- 分類
- P1651.121-YAA(B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5956341号発明「缶蓋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5956341号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-2〕について訂正することを認める。
特許第5956341号の請求項1、2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第5956341号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成23年9月21日(優先権主張平成22年9月22日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年6月24日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年1月19日に特許異議申立人太田千香子(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年4月12日付けで取消理由が通知され、指定期間内である平成29年7月3日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、その訂正自体を単に「本件訂正」という。)があり、その訂正の請求に対して申立人から平成29年8月9日に意見書が提出されたものである。
2.本件訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「缶蓋において、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、」とあるのを「缶蓋において、前記カール部の最外径が64.9mm以下であり、前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて拡径しながら延びる外側壁部とにより形成され、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、」と訂正する。
イ 訂正事項2
明細書の段落0006に「缶蓋において、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、」とあるのを「缶蓋において、前記カール部の最外径が64.9mm以下であり、前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて拡径しながら延びる外側壁部とにより形成され、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、」と訂正する。
(2)本件訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項について
ア 訂正事項1
訂正事項1は、本件訂正前の「缶蓋」について、「前記カール部の最外径が64.9mm以下であり、前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて拡径しながら延びる外側壁部とにより形成され、」との構成を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、この訂正は、本件訂正前の明細書の段落0017の「缶蓋1において、公称径が204(缶体21に缶蓋1を巻き締めた後の巻き締め部25の最外径D2が56.5~56.7mm、巻き締め前の缶蓋1のカール部8の最外径が62.0~62.4mm)の場合」、段落0018の「公称径が202(巻き締め部25の最外径D2が53.6~54.4mm、巻き締め前の缶蓋1のカール部8の最外径が59.2~59.6mm)の場合」、段落0019の「公称径が206(巻き締めた後の巻き締め部25の最外径D2が59.2~59.4mm、巻き締め前の缶蓋1のカール部8の最外径が64.5~64.9mm)の場合」、段落0023の「使用した缶蓋及び缶体は、その公称径が204、202、206の三種類とした。」との記載に基いて「前記カール部の最外径が64.9mm以下であり、」との事項を付加し、本件訂正前の明細書の段落0014の「カウンターシンク部5では、コーナー部3に連なる内側壁部12が鉛直下方に向かうに従ってわずかに拡径するように延びており、その内側壁部12の下縁から内側湾曲部15及びその外側に外側湾曲部16が連続している。」、「外側湾曲部16から上方に向けて若干拡径しながら外側壁部17が延びており、」との記載及び図1における該当する形状の図示に基いて「前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて拡径しながら延びる外側壁部とにより形成され、」との事項を付加するものであるから、新規事項を付加するものでなく、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 訂正事項2
訂正事項2については、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るために、明細書に訂正事項1と同じ技術事項の訂正をするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、新規事項を付加するものでなく、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
ウ 一群の請求項
訂正事項1、2について、訂正前の請求項2は訂正前の請求項1を引用するものであるから、この訂正は、一群の請求項〔1-2〕に対して請求されたものである。
したがって、訂正事項1、2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。
(3)申立人の意見について
申立人が提出した平成29年8月9日付け意見書(以下、単に「申立人意見書」という。)の3.(2)(ア)において申立人は、訂正事項1、2の「カール部の最外径が64.9mm以下であり」について、本件特許の明細書に明記された数値範囲に含まれない64.5~62.4mm、62.0~59.6mm及び59.2mm未満の範囲も含むものであることから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない旨を主張する。
しかし、本件訂正前には請求項1及び段落0006において、カール部の最外径について何の特定も存在しなかったところ、訂正事項1及び2はカール部の最外径について64.9mmより大きいものを除外する訂正である。
そして、明細書にはカール部の最外径について59.2~59.6mm(段落0018)、62.0~62.4mm(段落0017)、64.5~64.9mm(段落0019)のものが記載されているところ、単にこれら数値範囲に含まれる最外径を有するカール部に加えて、これら数値範囲の間のものにおいても、本件発明の課題が解決できるであろうことは当業者であれば容易に理解できる。そうすると、上記訂正事項は、上記数値範囲のうち最大値である64.9mmをカール部の最外径の上限値として定めるものであって、新たな技術的事項を導入するものとはいえないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないとはいえない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-2〕について訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正が認められることにより、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1及び2」という。)は、本件訂正請求に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1及び2にそれぞれ記載された以下のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
タブが取り付けられるパネル部の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から上方に向かうにしたがって漸次拡径するチャック壁部が形成され、該チャック壁部から半径方向外方に広がるショルダー部を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部が連続形成された缶蓋において、前記カール部の最外径が64.9mm以下であり、前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて拡径しながら延びる外側壁部とにより形成され、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、前記チャック壁部は、半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部とが前記カウンターシンク部の外周縁から前記ショルダー部の内周縁にかけて順に形成され、前記第1湾曲部外面の曲率半径が1.2mm~4.0mm、前記第2湾曲部外面の曲率半径が0.6mm~3.0mm、前記ショルダー部外面と前記第1湾曲部外面との共通接線が前記パネル部外面となす角度が55°~70°とされ、前記共通接線から前記第2湾曲部外面までの最大距離が0.3mm~0.6mmとされ、前記第2湾曲部外面と前記カウンターシンク部の内底面との共通接線から前記第1湾曲部外面までの最大距離が0.4mm~0.7mmとされ、前記カウンターシンク部の内底面の曲率半径が0.75mm以下であり、かつ、前記ショルダー部からカール部にかけた部分の頂点からパネル部表面までの鉛直方向寸法をパネル深さとしたときの前記パネル部の外径に対する前記パネル深さの比率が10.17%以上でかつ缶蓋の全体高さが7.2mm以下であることを特徴とする缶蓋。
【請求項2】
前記パネル部から前記カウンターシンク部に至るコーナー部は、前記パネル部に隣接状態の内側屈曲部と、前記カウンターシンク部の内側壁部に隣接状態の外側屈曲部と、これら両屈曲部の間を連結する傾斜部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。」
(2)取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、2に係る特許に対して平成29年4月12日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。なお、特許異議申立書に記載された理由は、すべて通知した。
ア 請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明(以下、甲第1号証等を「甲1」等という。また、「甲第1号証に記載された発明」を「甲1発明」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。
イ 請求項2に係る発明は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項2に係る特許は、取り消されるべきものである。
記
甲1:特許第4388726号公報
甲2:特表2007-526859号公報
(3)甲号証の記載事項
ア 甲1の記載事項、甲1発明
甲1の段落0011-0022、図1-4、特に段落0020、0021、図1の実施例には、以下の甲1発明が記載されている(なお、缶蓋外径D2および外側壁13の傾斜角度については、段落0021を参照)。
「タブが取り付けられるパネル部(センターパネル2)の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部(強化環状溝3)が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から上方に向かうにしたがって漸次拡径するチャック壁部(チャックウォール4)が形成され、該チャック壁部から半径方向外方に広がるショルダー部(カール部5の内方)を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部(カール部5の外方)が連続形成された缶蓋において、
前記カール部の最外径(缶蓋外径D2)が67.5mmであり、
前記カウンターシンク部は、前記パネル部の外周縁からコーナー部を介して下方に延びる内側壁部と、該内側壁部の下縁に連続する湾曲部と、該湾曲部から上方に向けて0度の角度で垂直に立ち上がりながら延びる外側壁部(外側壁13)とによる形成され、
前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、前記チャック壁部は、半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部(湾曲部17)と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部(湾曲部18)とが前記カウンターシンク部の外周縁から前記ショルダー部の内周縁にかけて順に形成され、
前記第1湾曲部外面の曲率半径が2.1mm、
前記第2湾曲部外面の曲率半径が0.65mm、
前記カウンターシンク部の内底面の曲率半径が0.52mmであり、
かつ、前記ショルダー部からカール部にかけた部分の頂点からパネル部表面までの鉛直方向寸法をパネル深さとしたときの前記パネル部の外径に対する前記パネル深さの比率が10.42%で、
かつ缶蓋の全体高さが7.09mmである缶蓋。」
イ 甲2の記載事項
甲2の段落0008-0035、図1-13、特に段落0028-0032、図13には、以下の事項が記載されている。
「タブが取り付けられるパネル部(円形中央パネル212)の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部(カウンターシンク218)が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から上方に向かうにしたがって漸次拡径するチャック壁部(チャック壁)が形成され、該チャック壁部から半径方向外方に広がるショルダー部(内壁部分238)を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部(外壁244)が連続形成された缶蓋において、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、前記チャック壁部は、半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部(R12とR14)と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部(R15)とが前記カウンターシンク部の外周縁から前記ショルダー部の内周縁にかけて順に形成され、
前記パネル部から前記カウンターシンク部に至るコーナー部は、前記パネル部に隣接状態の内側屈曲部(R8)と、
前記カウンターシンク部の内側壁部に隣接状態の外側屈曲部(R13)と、これら両屈曲部の間を連結する傾斜部(斜面のパネル壁216)とから構成されている缶蓋。」
(4)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は少なくとも以下の5点で相違する。
<相違点1>
「ショルダー部外面と第1湾曲部外面との共通接線がパネル部外面となす角度」について、本件発明1では55°~70°とされているのに対し、甲1発明では特に限定されていない点。
<相違点2>
「共通接線から第2湾曲部外面までの最大距離」について、本件発明1では0.3mm~0.6mmとされているのに対し、甲1発明では特に限定されていない点。
<相違点3>
「第2湾曲部外面とカウンターシンク部のない底面との共通接線から第1湾曲部外面までの最大距離」について、本件発明1では0.4mm~0.7mmとされているのに対し、甲1発明では特に限定されていない点。
<相違点4>
「カール部の最外径」について、本件発明1では64.9mm以下であるのに対し、甲1発明では67.5mmである点。
<相違点5>
「カウンターシンク部」の「外側壁部」について、本件発明1では「上方に向けて拡径しながら延びる」ものであるのに対し、甲1発明では外側壁13は0度の角度で垂直に立ち上がるものである点。
(イ)判断
本件発明1は、耐圧性を高めてバルジ不良や輸送時の漏えいの発生を防止することを課題とし(段落0005)、缶蓋の変形を吸収することでパネル部の変形を抑制し(段落0007等)、耐圧性を高めてバルジ不良やバックリング、輸送時の漏えいの発生を防止する(段落0009等)という効果を得るために、相違点1~5に係る構成を採用したものである。
甲1には、相違点1~5の全ての構成を採用することで、このような課題を解決し、効果を得るという技術思想は、記載されていない。他の甲号証にも、この点は記載がない。
特に、相違点5について検討する。甲1の段落0011の記載には、「強化環状溝の外側壁13及び内側壁11は互いに軸線に対して平行(即ち、垂直壁)であることが望ましいが、外側壁13は軸線に対して外側に0°~2°・・・傾斜しても良い。」とある。そして、上記(4)ア(イ)に示したように、甲1発明は、強化環状溝を垂直にして高くし、センターパネル径を小さくしつつ、巻締時のチャックウォールとの係合性を向上し、巻締安定性、密着性を確保するとの課題を解決しようとするものである。したがって、甲1には、外側壁13を積極的に傾斜させようとの技術的思想が開示されているとはいえない。甲1発明の外側壁13の傾斜については、あくまでも0°、すなわち垂直壁とすることが甲1発明の課題解決の上で望ましいことが理解できる。そうすると、外側壁13の傾斜が0°である甲1発明において、外側壁13を外側へ傾斜させて拡径させることの動機が存することは、甲1発明には認められない。また、甲1発明は、実施例として、外側壁13が0度の角度で垂直に立ち上がるものであり、それによって、強化環状溝を垂直にして高くし、センターパネル径を小さくしつつ、巻締時のチャックウォールとの係合性を向上し、巻締安定性、密封性を確保するとの課題を解決しようとするものである(段落0006-0008等参照)。したがって、甲1発明において、上記相違点5に係る本件発明1の構成を採用しようとすることは、当該甲1発明の課題の解決を妨げることとなり、阻害事由があるといえる。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の特定事項をすべて含むものである。そして、上記アに示したとおり本件発明1は、甲1発明に基いて容易に発明をすることができたものではなく、甲2にも相違点1~5のようにすることで上記3.(4)ア(イ)のように課題を解決し効果を得るという技術思想は記載されていない。したがって、本件発明1の特定事項を全て含みさらに限定された本件発明2は、甲1発明及び甲2に記載される事項に基いて当業者が容易になし得たものではない。
(5)申立人の意見について
申立人は、申立人意見書の第3頁下から2行-第4頁第5行において、外側壁部が「上方に向けて拡径しながら延びる」ことについて、甲1の比較例2(c)には14.67°のもの(表1)、甲2には3~19°のもの(段落0028)が記載されるように、周知である旨も主張する。
しかし、上記甲1の「14.67°」は比較例であるから、むしろ甲1発明が採用し得ない数値であると理解すべきである。また仮に、上方に向けて拡径しながら延びることが周知であったとしても(4)アで示したように、甲1発明が外側壁13を外側へ傾斜させて拡径させることの動機づけはない。
よって、申立人の主張は採用できない。
(6)小括
したがって、本件発明1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された理由をすべて含む取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-700043