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特許拒絶査定不服審判

2021-009723

キャップ本体、キャップ付きボトル缶体

審判番号
2021-009723
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-248177
請求日
2021年07月20日
審決日
2022年07月13日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ユニバーサル製缶株式会社
  • 【請求人代理人】松沼 泰史
  • 【請求人代理人】寺本 光生
  • 【請求人代理人】細川 文広
  • 【請求人代理人】大浪 一徳
審判長/審判官
  • 審判長 井上 茂夫
  • 審判官 當間 庸裕
  • 審判官 藤原 直欣
分類
P18 .121-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-248177「キャップ本体、キャップ付きボトル缶体」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月28日出願公開、特開2018-100121〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年12月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年11月17日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月21日 :意見書の提出 令和3年 4月 1日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和3年 7月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年7月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正は、以下(1)の本願出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下(2)の記載に補正するものである。なお、下線部は、補正箇所である。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口金部と、を有する金属製のボトル缶体の前記開口を閉塞するためのボトル缶体向けのキャップ本体であって、 前記口金部の開口を覆う天板部、該天板部の外縁から延び、缶軸方向に向かって屈曲する屈曲部、該屈曲部から缶軸方向に沿って延びる延長部を有するキャップ基部と、 前記天板部の一面に重ねて配され、前記天板部の外縁内側で周回するリング部、および該リング部の一部に形成され、前記リング部を前記天板部に固着する固着部を有するプルタブと、を備え、 前記天板部には、所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する帯状の切裂部と、前記リング部の外方に形成され、前記リング部に沿って延び、前記天板部の一面から線状に突出する突条と、が形成され、 前記突条は、前記切裂部以外の箇所に形成されてなることを特徴とするキャップ本体。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口金部と、を有する金属製のボトル缶体の前記開口を閉塞するためのボトル缶体向けのキャップ本体であって、 前記口金部の開口を覆う天板部、該天板部の外縁から延び、缶軸方向に向かって屈曲する屈曲部、該屈曲部から缶軸方向に沿って延びる延長部を有するキャップ基部と、 前記天板部の一面に重ねて配され、前記天板部の外縁内側で周回するリング部、および該リング部の一部に形成され、前記リング部を前記天板部に固着する固着部を有するプルタブと、を備え、 前記天板部には、所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する帯状の切裂部と、前記リング部の外方に形成され、前記リング部に沿って延び、前記天板部の一面から線状に突出する突条と、が形成され、 2本の前記切込溝は、前記接続溝から前記天板部の外縁に向けて、直線状に互いに平行に延び、 前記突条は、前記切裂部以外の箇所に形成されてなることを特徴とするキャップ本体。」 2 本件補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「2本の切込溝」について、上記のとおり「2本の前記切込溝は、前記接続溝から前記天板部の外縁に向けて、直線状に互いに平行に延び」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項、引用文献に記載された発明 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、実願昭54-158863号(実開昭56-75156号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。)。 a「3.考案の詳細な説明 本考案は薬用瓶の蓋、特にバイアル等の薬用瓶に利用する外装用の蓋に関するものである。 本考案の目的は不使用時に於いてはゴム栓の瓶口に対する密閉、保持を正確かつ強固に行うことができるとともに使用に際しては特別の器具を用いることなく指先にてきわめて容易に開放することのできる薬用瓶の蓋を提供せんとするものである。 又本考案の他の目的は蓋体の頂面に装着する引き手が蓋体上面に突出しないようにして、取扱い操作時に誤って引き手を起立させることがなく保管上安全であり、さらにゴム栓の変質、変色の防止は勿論のこと蓋体表面部も衛生的に保持することのできる薬用瓶の蓋を提供しようとするものである。 更に又本考案の他の目的は蓋体頂面部を中間部位まで引き起し開放することによってゴム栓の一部を露出させ、これに注射針を挿入して瓶内より少量の薬液を取り出すことを可能とするとともに、手術時のように瓶内の薬液全量を一時に排出する必要がある場合には冠体を完全に除去し、ゴム栓の取り外しもきわめて簡単に行うことのできる薬用瓶の蓋を提供せんとするものである。 従来より栓体を含む瓶口を閉塞するための蓋体を、アルミ等の軟質金属冠と合成樹脂製の外蓋との組合せによって構成し、使用に際しては合成樹脂製の外蓋を剥離することによってアルミ冠体の頂面中央部分を開口できるようにしたものとして実公昭47-24268号公報記載の技術等が知られている。然し乍らこれら公知のものは使用に際して外蓋を除去することによって冠体の頂面中央部に開口部を顕出させることのみを専らその目的としているだけであり、外蓋の除去後も冠体は依然として瓶口に固着されているので瓶内収容されている薬液は注射針によって少量ずつを取出すことしか行えず、薬液全量を一時に排出させることは不可能であった。」(第2ページ第1行-第4ページ第7行) b「以下本考案の実施例を図面を参照して説明する。 本考案の瓶蓋はアルミ等の軟質金属からなる冠体(1)と、これと同質若しくは適宜の硬度を有する合成樹脂等からなる引き手(2)との組合せによって構成している。アルミ等の冠体(1)は周側壁下部を瓶(a)の頸部に巻締めできる長さとした倒深皿状に形成し、頂面外周には一部を切欠部(12)としたC字状の隆起部(11)を形成している。(3)は、冠体(1)の頂面に形成した剥離板であり適宜の深さに刻設した剥離線(31)により、平行する直線部分が切欠部(12)に位置する鍵穴状に形成し、且つ直線部分(開放端)と接する周壁部には二本の切開線(31)’(31)’を連続せしめている。(32)は切欠部(12)と反対側の冠体頂面に刻設した剥離線であり、必要に応じて周壁部の一部にも折り曲げ線(32)’を刻設することができる。(33)は剥離板(3)の一部を隆起させて形成した引き手係止用の突起であり、切欠部(12)の反対側となる位置に突設している。引き手(2)は冠体頂面のC字状の隆起(11)の内側に嵌合できる大きさとして形成しており基端部に穿設した透孔(21)に係止用突起(33)を挿通させた後その上面で前記突起(33)の上端を圧扁して両者を一体化するようにしている。なお剥離板(3)及び引き手(2)の形状は実施例図示のものに限定されるものではなく自由に変更することができる。 本考案は叙上のように構成したので不使用時に於て引き手(2)は前記C字状の隆起部(11)の上端面より低い場所に位置させることができ外部に露出することがなくなり瓶体に対する蓋体の装着、或いは外蓋装着後の瓶体の取り扱い時などに引き手(2)が誤って引き起されるという惧れも絶無とすることができる。又冠体(1)の頂面外周に形成した隆起部(11)も一部を切欠部(12)とした平面C字状としたので冠体装着後の瓶(a)を蒸気滅菌する場合にも冠体頂面に付着流入した水分は前記切欠部(12)から外部に流出排除することができ水分の残留を完全に防止することができるので残留水分が原因となる引き手(2)部分の汚損、黴の発生等を防止することができる、又切欠部(12)部分は引き手(2)と同じ面(高さ)となるので引き手(2)を引き起す際の指掛り部として利用することができ、例え引き手(2)の形状がC字状の隆起部(11)の内周一杯となるように形成されていても引き起しに不都合を生じさせることがないという特徴を有する。 更に又剥離板(3)の剥離も薬液の取り出しを注射針で少量だけ行う場合には第6図例示の位置、或はこれに近い所まで剥離板(3)を引き起すことによって栓体上面を露出させることができてその目的を達成することができる。」(第4ページ第12行-第7ページ第14行) c「 [図:0001388022000001.jpg] 」 d「 [図:0001388022000002.jpg] 」 e「 [図:0001388022000003.jpg] 」 f「 [図:0001388022000004.jpg] 」 g「 [図:0001388022000005.jpg] 」 h「 [図:0001388022000006.jpg] 」 i 第4図及び第5図に図示された瓶(a)の形状から、瓶(a)は、円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から瓶口に向けて延びる口部と、を有する瓶であることが看取できる。 (イ)上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から瓶口に向けて延びる口部と、を有する瓶の瓶口に対する密閉を行うことができる薬用瓶の蓋であって、 冠体(1)と引き手(2)との組合せによって構成し、 冠体(1)は周側壁下部を瓶(a)の頸部に巻締めできる長さとした倒深皿状に形成し、頂面外周には一部を切欠部(12)としたC字状の隆起部(11)を形成しており、 剥離板(3)は、冠体(1)の頂面に形成され、適宜の深さに刻設した剥離線(31)により、平行する直線部分が切欠部(12)に位置する鍵穴状に形成され、且つ直線部分(開放端)と接する周壁部には二本の切開線(31)’(31)’を連続せしめており、 引き手(2)は冠体頂面のC字状の隆起(11)の内側に嵌合できる大きさとして形成しており基端部に穿設した透孔(21)に係止用突起(33)を挿通させた後その上面で前記突起(33)の上端を圧扁して両者を一体化するようにしている蓋。」 イ 引用文献2 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である、特許第5323757号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(下線は、当審で付した。)。 a「【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。 図1の金属缶8は、円筒状の胴部6と、その下端を閉じる底部7と、その胴部上端に形成されたテーパー状の肩部5と、その肩部上端に形成された円筒状の首部4と、その首部の上端にテーパー部4aを介して形成された口部1とからなり、その口部の上端にはカール部2が形成されている。」 b「【実施例1】 【0024】 図1は、この発明に係る実施例1を示す図面である。この金属ボトル缶8は、口部1の先端にカール部2が形成されると共に、この口部1の下方に、缶軸に平行なストレート部3を有する、首部4が長い点が特徴である。このストレート部3の形成により、金属ボトル缶8を保持し易く、取り扱いが容易となる。そして、口部1、首部4、肩部5、胴部6及び底部7が一体成形で造られる。」 c「【0025】 図3及び図4に示すように、通称マキシキャップ、リップキャップ等と呼ばれる易開封性キャップ10は、カール部2に巻締められて固定される。」 d「【産業上の利用可能性】 【0035】 本発明に係る金属ボトル缶は、強度を保持しながら、簿肉化、軽量化とのバランスを図ったコストの安価な金属ボトル缶であるから、内容物として、ビール、コーラ等の炭酸飲料、ジュース、お茶等の清涼飲料、食品、健康飲料、薬品等を充填する容器として広く利用することができる。」 (イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。 「円筒状の胴部6と、その下端を閉じる底部7と、その胴部上端に形成されたテーパー状の肩部5と、その肩部上端に形成された円筒状の首部4と、その首部の上端にテーパー部4aを介して形成された口部1と、からなる金属ボトル缶8の口部の上端に形成されているカール部2に巻締められて固定される易開封性キャップ10。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明は、指先にてきわめて容易に開放することができ、蓋体の頂面に装着する引き手が蓋体上面に突出しないようにして、取扱い操作時に誤って引き手を起立させることがなく保管上安全であることを課題とした、バイアル等の薬用瓶に利用する外装用の蓋に係る技術であり(上記(2)ア(ア)a)、本件補正発明と、技術分野及び課題が共通する。 (イ)引用発明の「円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から瓶口に向けて延びる口部と、を有する瓶」の「薬用瓶」と、本件補正発明の「円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口金部と、を有する金属製のボトル缶体」とは、「円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口部と、を有する瓶」という限りで一致する。 (ウ)引用発明の「瓶口に対する密閉を行うことができる」「蓋」は、本件補正発明の「開口を閉塞するための」「キャップ本体」に相当する。 (エ)引用発明の「周側壁下部を瓶(a)の頸部に巻締めできる長さとした倒深皿状に形成し」た「冠体(1)」は、瓶口を覆い、瓶(a)の頸部まで延長され巻締めされるものであるから、本件補正発明の「前記口金部の開口を覆う天板部、該天板部の外縁から延び、缶軸方向に向かって屈曲する屈曲部、該屈曲部から缶軸方向に沿って延びる延長部を有するキャップ基部」と、「前記口部の開口を覆う天板部、該天板部の外縁から延び、瓶軸方向に向かって屈曲する屈曲部、該屈曲部から瓶軸方向に沿って延びる延長部を有するキャップ基部」という限りで一致する。 (オ)引用発明の「冠体頂面のC字状の隆起(11)の内側に嵌合できる大きさとして形成して」いる「引き手(2)」は、本件補正発明の「前記天板部の一面に重ねて配され、前記天板部の外縁内側で周回するリング部」を有する「プルタブ」に相当する。 (カ)引用発明の「基端部に穿設した透孔(21)に係止用突起(33)を挿通させた後その上面で前記突起(33)の上端を圧扁して両者を一体化するようにしている」「引き手(2)」における「基端部」は、その構成、機能からみて、本件補正発明の「該リング部の一部に形成され、前記リング部を前記天板部に固着する固着部」に相当する。 (キ)引用発明の「冠体(1)の頂面に形成され、適宜の深さに刻設した剥離線(31)により、平行する直線部分が切欠部(12)に位置する鍵穴状に形成され、且つ直線部分(開放端)と接する周壁部には二本の切開線(31)’(31)’を連続せしめて」いる「剥離板(3)」は、鍵穴形状は、矩形部分とそれにつながる円形の部分からなるから、本件補正発明の「前記天板部に」形成された「所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する帯状の切裂部」と、「前記天板部に」形成された「所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する少なくとも一部が帯状の切裂部」という限りで一致する。 (ク)引用発明の「頂面外周に」形成された「一部を切欠部(12)としたC字状の隆起部(11)」は、第2図に図示された引き手(2)との位置関係やその形状からみて、本件補正発明の「前記天板部に」形成された「前記リング部の外方に形成され、前記リング部に沿って延び、前記天板部の一面から線状に突出する突条」に相当する。 (ケ)引用発明の「冠体(1)の頂面に形成され」た「剥離線(31)」のうち「直線部分」が「平行する」ことは、第1図に図示された形状からみて、本件補正発明の「2本の前記切込溝は、前記接続溝から前記天板部の外縁に向けて、直線状に互いに平行に延び」ることに相当する。 (コ)引用発明の「一部を切欠部(12)としたC字状の隆起部(11)」に対して「平行する直線部分が切欠部(12)に位置する」ことは、本件補正発明の「前記突条は、前記切裂部以外の箇所に形成されてなること」に相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口部と、を有する瓶の前記開口を閉塞するための瓶向けのキャップ本体であって、 前記口部の開口を覆う天板部、該天板部の外縁から延び、瓶軸方向に向かって屈曲する屈曲部、該屈曲部から瓶軸方向に沿って延びる延長部を有するキャップ基部と、 前記天板部の一面に重ねて配され、前記天板部の外縁内側で周回するリング部、および該リング部の一部に形成され、前記リング部を前記天板部に固着する固着部を有するプルタブと、を備え、 前記天板部には、所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する少なくとも一部が帯状の切裂部と、前記リング部の外方に形成され、前記リング部に沿って延び、前記天板部の一面から線状に突出する突条と、が形成され、 2本の前記切込溝は、前記接続溝から前記天板部の外縁に向けて、直線状に互いに平行に延び、 前記突条は、前記切裂部以外の箇所に形成されてなるキャップ本体。」 【相違点1】 本件補正発明では、キャップ本体が「金属製のボトル缶体」向けのものであり、「口部」及び「瓶軸方向」がそれぞれ「口金部」及び「缶軸方向」であるのに対して、引用発明では、キャップ本体(蓋)が「瓶」向けのものであり、「口金部」及び「缶軸方向」といえない点。 【相違点2】 「所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する少なくとも一部が帯状の切裂部」について、本件補正発明では、「所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する帯状の切裂部」であるのに対して、引用発明では、「冠体(1)の頂面に形成され、適宜の深さに刻設した剥離線(31)により、平行する直線部分が切欠部(12)に位置する鍵穴状に形成され、且つ直線部分(開放端)と接する周壁部には二本の切開線(31)’(31)’を連続せしめて」いる「剥離板(3)」である点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 引用文献2には、上記(2)イのとおり、易開封性キャップ10が固定される瓶が、金属ボトル缶8である技術が記載されており、引用文献2に記載された金属ボトル缶8は、金属製のボトル缶体にほかならない。 引用発明と引用文献2に記載された技術とは、いずれも、円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方を塞ぐ底部と、前記胴部の他方を縮径したネック部と、該ネック部から開口に向けて延びる口部と、を有する瓶の前記開口を閉塞するための瓶向けのキャップ本体である点で共通するものであり、共に薬品が充填される容器として瓶を利用するものである。よって、引用発明における瓶として、引用文献2に記載された金属製のボトル缶体を採用し、キャップ本体(蓋)を「金属製のボトル缶体」向けのものとすると共に、「口部」及び「瓶軸方向」をそれぞれ「口金部」及び「缶軸方向」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点2について 引用文献1には、上記(2)アのとおり、「更に又本考案の他の目的は蓋体頂面部を中間部位まで引き起し開放することによってゴム栓の一部を露出させ、これに注射針を挿入して瓶内より少量の薬液を取り出すことを可能とする」(第3ページ第1-4行)、「更に又剥離板(3)の剥離も薬液の取り出しを注射針で少量だけ行う場合には第6図例示の位置、或はこれに近い所まで剥離板(3)を引き起すことによって栓体上面を露出させることができてその目的を達成することができる。」(第7ページ第10-14行)と記載されており、剥離板(3)の形状について、「なお剥離板(3)及び引き手(2)の形状は実施例図示のものに限定されるものではなく自由に変更することができる。」(第6ページ第3-5行)と記載されている。 これらのことからすれば、引用発明において、鍵穴状の剥離板(3)の特に円形の部分の形状は、栓体上面を露出させて注射針を挿入できる限りで当業者が適宜設計可能であり、2本の切込溝(剥離線(31)のうち平行する直線部分)の部分を長くして、切裂部(剥離板(3))を帯状とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 本願補正発明の効果について 本件補正発明の「所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝および該2本の切込溝どうしを繋ぐ接続溝で区画され、前記固着部から前記屈曲部を通り前記延長部に達する帯状の切裂部」との事項について、本願明細書の段落【0035】には、「キャップ基部13には、所定の間隔を開けて形成された2本の切込溝(スコア)46a,46bと、切込溝46aの端部と切込溝46bの端部とを繋ぐ接続溝(スコア)46cによって区画された略帯状の切裂部48が形成されている。切裂部48は、リング部51の固着部52から貫通するリベット53の近傍から、天板部41の外縁に向けて延び、更に屈曲部42から延長部43に達する略帯状を成す、キャップ基部13に形成された一領域である。」と記載されているが、2本の切込溝及び接続溝で区画される切裂部を「帯状」としたことによる効果は記載されていない。 この点、本願明細書には、本件補正発明の効果について、以下の記載がある。 「【0011】 本発明のキャップ本体によれば、リング部の外側を囲むように天板部の一面から突出する突条を備えることによって、プルタブが予期せずに切り裂かれて、ボトル缶体に係止されたキャップが開栓することを防止できる。」 「【0013】 そして、この突条は、切裂部と重なる部分を除いて形成しているので、開栓時には、操作者が指先をリング部と天板部の一面との隙間に入れやすく、プルタブの引き起こし操作を容易にすることができる。 【0014】 また、突条を切裂部と重なる部分を除いて形成することにより、リング部を引っ張って切裂部を裂開させていく際に、突条を乗り越えて切裂部を切り裂く必要が無いので、切裂部が途中で切断されてキャップが開栓不能になってしまうといった不具合を防止することができる。」 他方、引用発明は、「頂面外周には一部を切欠部(12)としたC字状の隆起部(11)を形成し」、「引き手(2)は冠体頂面のC字状の隆起(11)の内側に嵌合できる大きさとして形成し」、「剥離線(31)」の「平行する直線部分が切欠部(12)に位置する」ものであり、引用文献1には、「本考案は叙上のように構成したので不使用時に於て引き手(2)は前記C字状の隆起部(11)の上端面より低い場所に位置させることができ外部に露出することがなくなり瓶体に対する蓋体の装着、或いは外蓋装着後の瓶体の取り扱い時などに引き手(2)が誤って引き起されるという惧れも絶無とすることができる。」(第6ページ第6-12行)、「又切欠部(12)部分は引き手(2)と同じ面(高さ)となるので引き手(2)を引き起す際の指掛り部として利用することができ、例え引き手(2)の形状がC字状の隆起部(11)の内周一杯となるように形成されていても引き起しに不都合を生じさせることがないという特徴を有する。」(第7ページ第4-9行)、「本考案の目的は不使用時に於いてはゴム栓の瓶口に対する密閉、保持を正確かつ強固に行うことができるとともに使用に際しては特別の器具を用いることなく指先にてきわめて容易に開放することのできる薬用瓶の蓋を提供せんとするものである。」(第2ページ第4-8行)と記載されているから、本件補正発明の効果は予測できるものである。 エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年7月20日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、本願出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.実願昭54-158863号(実開昭56-75156号)のマイクロフィルム 2.特許第5323757号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「2本の前記切込溝は、前記接続溝から前記天板部の外縁に向けて、直線状に互いに平行に延び、」に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-009723

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